説明

屈折矯正手術のための装置、方法、および制御プログラム

屈折矯正手術、特にレーシックのための装置および方法であって、角膜の頂点を屈折矯正処置の切除センターを把握するための基準とする。この目的のために、処置すべき眼球における、瞳孔の特性に対する頂点の位置の依存性(関連性)を決定し、測定した瞳孔特性に対する依存性から、屈折矯正手術のための切除センター位置を計算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屈折矯正手術のための装置、この装置のための制御プログラム、および、この制御プログラムを生成するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
「屈折矯正手術」とは、専門家の間では、光学(視覚)系である「眼球」の結像特性を、レーザー照射によって変化させることと理解されている。このようにレーザー照射は、眼球の一つまたは複数の構成要素の屈折特性を変化させる。眼球の結像特性を決定するのは主に角膜であるため、屈折率矯正手術は、特に、角膜の整形するために行われる。
【0003】
このようにその屈折特性を変化させるために角膜を再整形する最たる例としては、レーシック(LASIK:Laser In Situ Keratomileusis)がある。本発明は、とくにこのレーシックの技術に関するものである。さらに本発明は、レーザー屈折矯正角膜切除術(以下PRK:Photorefractive Keratectomy)およびエピレーシック(EPI-LASIK:Epithelial Laser In Situ Keratomileusis)にも、一般的に適用できる。本発明は、さらに、フェムト秒のレーザーを使用するケースにも適用できる。
【0004】
従来技術によれば、レーシックでは、いわゆる切除輪郭(切除パターン)を決定する。つまり、眼球の計測結果、および、状況に応じて他の影響を及ぼす要因(変数)に基づいて、角膜のどこの組織(基質)をどの程度除去するのかを計算する。この除去後角膜は、結果として、処置すべき眼球にとって最適な形状となる、つまり、その眼球が術前に有した光学(視覚)的結像欠陥を、可能な限り矯正する。この切除輪郭(パターン)の計算方法に関して、従来技術において様々な方法が知られている。
【0005】
処置すべき眼球の切除輪郭を決定した後、どのようにすれば、この切除輪郭が最適に角膜からレーザー照射によって除去(切除)できるかを計算する。この目的のため、一連の個別レーザーパルスのそれぞれを、空間および時間に関連して計算し、これら空間および時間に関連するレーザーパルスが角膜基質に作用することで、角膜の必要とされる再整形を行う。
【0006】
切除輪郭は三次元形状であり、除去すべき角膜量に対応する。
【0007】
予め規定した切除輪郭が除去するように、コンピュータによってレーザー照射を制御する手段は、従来技術などにおいてよく知られている。
【0008】
屈折矯正手術を実施する際、コンピュータは、制御プログラムに基づいてレーザー照射、例えば個々のレーザーパルス(「スポット」)を、眼球に対する空間的および時間的なシーケンスで制御する。
【0009】
このように眼球に対してレーザー照射を制御する場合、極めて決定的な基準値となるのが、いわゆる切除センターである。切除センターは、上述したレーザーパルスの空間的シーケンスが関係する空間的基準ポイントである。従来技術においては、通常、瞳孔の中心点(センター)を切除センターとして使用する。瞳孔、即ち、絞り(ダイヤフラム)としての虹彩により開いた状態にされ、眼球に光が入る部分は、比較的鮮明な輪郭を有しており、このため、カメラで撮影(記録)し、画像処理プログラムによって分析するのに適している。このような撮影(記録)デバイスおよび処理プログラムは、従来技術においてよく知られており、本発明はそれらをある程度利用する。
【0010】
屈折矯正手術中、処置すべき眼球は一定のサイズではなく、むしろ、眼球の特性および向きは処置中に変化し得る。眼球の向きの変化は、従来技術によれば、いわゆるアイトラッカにより観測する。アイトラッカは、通常、上述したカメラによる瞳孔の撮影(記録)およびこれに続く画像処理によって眼球の動きをトレースする。眼球の動きに瞳孔も付随し、そのためこの方法により動きを決定し、レーザー光線の制御はこのような眼球の動きに適合させることができる。すなわち、手術中の眼球の動きは信頼性が高い方法で排除することができないが、この眼球運動が起こっても、予め計算した切除輪郭で正確に除去することができる。
【0011】
上述のとおり、従来技術においては、概して瞳孔のセンターを切除センターとして使用する。本発明の意図は、この従来技術を改善することであり、このことを、以下の点を考慮することにより対処する。
【0012】
屈折矯正手術中、一般に、瞳孔も一定のサイズおよび形状を保つわけではない。概して、瞳孔は完全な円形形状を有するものでもなく、通常は一方向が他方向よりも長い寸法を有する。瞳孔の寸法は、既知のように、入射光量に基づき、眼球は、入射光量の関数として瞳孔の横断面積を調節する。しかし、一般的に、瞳孔のサイズの変化は、瞳孔センターの変位も伴う。言い換えると、瞳孔が拡張する場合、この拡張は同心状に起こるのではなく、一般に、この場合瞳孔センターはシフトする(非円形形状の場合、瞳孔センターは、例えば、領域面積の図心と理解され得る)。一般的に、瞳孔面積の変化に伴い、非円形の瞳孔形状が回転するという、生理学では捻転として知られる事実によって、状況は更に複雑になる。
【0013】
このため、従来技術において、屈折矯正手術において瞳孔センターを切除センターとした場合、一連の系統的な誤差要因が生じる。
【0014】
第一に、瞳孔センターは必ずしも眼球の光軸にないことが挙げられる。光学(視覚)系である「眼球」に関して言えば、異なる軸線を規定し、光軸および眼(視)軸は、本発明にとって特に重要である。通常の定義によれば、光軸は、眼球構成要素の屈折面の曲率中心と交わる、すなわち、通常、全ての屈折面に直交する。眼(視)軸は、通常、眼球によって定まるポイントと網膜中心窩とを結ぶラインである。通常、このラインは、水晶体の裏面の、いわゆる結節ポイントを通過し、詳細には、通常光軸もこの結節ポイントを通過する。
【0015】
このため、通常は、光軸は網膜中心窩を通過しない。光軸と眼(視)軸とがなす角度は、典型的には、5°前後である。
【0016】
本発明は、もし、瞳孔センターまたは光軸上のポイントを切除の基準ポイント、すなわちいわゆる切除センターとして使用しない場合、屈折矯正手術結果を改善できるとの知見に由来する。瞳孔センターを切除センターとして使用する場合、上述した瞳孔センター単なる変位でさえ、瞳孔サイズに依存して、一様に系統的誤差を生ずることになり、瞳孔センターを切除センターとすることが、良好な切除結果につながるのは、偶然に処置すべき眼球の特性が特別に有利である場合などのみである。
【0017】
瞳孔サイズが変化する際の瞳孔センターの変位を、切除センターの決定に考慮し、この瞳孔センター変位が生理学的に既知である場合であっても、これは常に切除の向上につながるものではない。なぜなら、この選択に関連する系統的誤差が、いわば、持ち越されているからである。
【0018】
上述の考慮は、切除輪郭を計算し、レーザー照射のための制御プログラムを生成する目的で、眼球を、例えばハートマン・シャック法またはチェルニング法に従う波面分析、またはトポグラフィ測定によって、測定する場合にも当てはまる。いわゆる「標準」切除の場合も同様に、切除輪郭を高い精度で決定する必要がある。
【0019】
特許文献1(国際公開03/011177号)は、瞳孔センターに関して、切除を眼(視)軸上に切除センターを置くことを教示している。
【0020】
特許文献2(米国特許出願公開第2004/019346号)は、角膜を切除する方法を記載しており、この方法において、レーザー照射を、角膜表面とレーザー光のビームとがなす角度に基づいて制御する。照射の個々の局所的入射角を使用して、組織の局所的な切除を決定する。このようにして決定した切除マップ(切除輪郭)は、切除輪郭を角膜表面の頂点に整列させる目的で角膜表面の頂点を使用せず、とくに頂点の位置の瞳孔特性に対する依存性(関係性)は使用していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】国際公開第03011177号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004019346号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明は、屈折矯正手術のための、比較的簡単な手段で決定することができ、また屈折結果の向上につながる切除センターを得るという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0023】
この目的を達成するため、本発明は、請求項1記載の特徴を備える屈折矯正手術装置を教示する。さらに、本発明は、請求項5記載の特徴を備える、このような装置のための制御プログラムを教示する。
【0024】
好適な実施形態を従属請求項に記載する。
本発明は、手術処置中、角膜の前面に位置する角膜の頂点を切除センターにする場合、切除結果の改善が得られるとの知見に基づく。
【0025】
頂点は、角膜の最も高いポイント、角膜頂点である。
【0026】
一般に、少なくとも既知の利用可能な手段では、角膜表面上の上述したポイントを手術処置中に決定するのは容易でない。
【0027】
したがって、本発明は、処置すべき眼球に関して、瞳孔の形状および位置に対する、角膜表面上の上述したポイント(このポイントを切除センターとして使用する)の空間的位置の関数的依存性を経験的に(観察により)決定する方法を教示する。上述したように、通常、屈折矯正処置において、瞳孔は、レーザー光のビーム案内系(アイトラッカ)を眼球の動きに追随させるように、カメラによって十分な頻度で測定する。本発明によれば、瞳孔を、よく知られたカメラおよび画像処理プログラムにより測定し、また例えば頂点の位置の依存性を、処置すべき眼球に特有の瞳孔データの関数として測定し、これら測定結果をコンピュータに記憶し、続いてこのコンピュータは屈折矯正手術、即ち実質的にはレーザー光のビームを制御し、この制御コンピュータは、レーザー光のビーム、即ち切除輪郭を、基準ポイント(切除センター)としての頂点に関連付ける。このためには、いかなる場合でも、瞳孔または虹彩を、屈折矯正処置中にのみ測定するだけでよい。
【0028】
上述の、角膜における選択した切除センターと、手術中に測定できる数値との間の関数的関係性を表す、測定すべき適切な瞳孔特性は、とくに、瞳孔の特定の寸法、およびそこから帰結する瞳孔形状である。更なる改善は、この、切除センターと測定値との間の関数的依存性が虹彩の特性をも考慮する場合に、可能となる。上述のように、通常、虹彩は瞳孔サイズが変化する際に回転する。この回転の同定は、虹彩における特定の構造部が回転するところをカメラによって撮影(記録)した画像の画像処理によって同定すること行われる。
【0029】
上述の関数的依存性は、瞳孔および/または虹彩の位置、例えば頂点および特性を、例えばコンピュータのメモリテーブルなどに記憶することができる。
【0030】
瞳孔の、特に、例えばサイズや形状などの測定データに対する、頂点(または、本発明による選択した他の切除センター)の位置の関数的依存性の測定は、(理解されるように、屈折矯正手術前に)例えばトポメータ(登録商標)などの適切な手段によって、処置すべき眼球に特有の頂点を決定することにより行うことができる。頂点のこの位置は、角膜へのマーキングにより固定できる。これらマーキングは、好適には、頂点に直接配置することはしない。例えば、いわゆるケラトメータマークを頂点の近傍に投影することができ、これらマークが、頂点の空間的位置を画定する。すなわち、画像処理コンピュータが、これらマークから、頂点の位置を同定する。瞳孔/虹彩の特性と頂点位置との間の関数的関係性を決定する(この決定は、やはり実際の手術処置前に行う)。
【0031】
本発明は、さらに、例えばデータ媒体に格納する、屈折矯正手術装置のための制御プログラムを提供するものであり、屈折矯正手術装置は、
・レーザー光源、
・レーザー光源から発生したレーザー光のビームを、処置すべき眼球に対して整形および案内するビーム整形および案内手段、
・眼球の虹彩および瞳孔を撮影(記録)するカメラ、および
・切除輪郭に基づいてビーム整形および案内手段を制御する制御プログラムを実行するコンピュータ、
を備えるものとし、該屈折矯正手術装置のための制御プログラムは、
・瞳孔の少なくとも一つの特性に依存する、眼球の角膜における頂点の位置の依存性に関する関数を有し、
・屈折矯正手術中に、瞳孔の瞬間的な特性をカメラによって撮影し、撮影した記録から、関数によって、角膜の頂点(A)の位置を計算し、および、
・このように計算した頂点(A)、または頂点から一定の距離を有する角膜表面上のポイントに切除輪郭を整列させる、
ものとして構成する。
【0032】
上述した装置の実施態様は、とくに切除センターの選択および測定に使用する瞳孔特性に関して、この制御プログラムにおいても適用することができる。
【0033】
本発明はまた、屈折矯正手術用の制御プログラムを生成するための方法に関し、レーザー照射を、予め規定した空間的および時間的なシーケンスに基づいて、処置すべき眼球に指向または入射させ、予め規定した空間的および時間的なシーケンスは前記眼球の位置に対して整列するものとした、該方法において、
屈折矯正手術の前に、処置すべき眼球に固有の、屈折矯正手術中に変化し得る瞳孔特性に対する、上述の眼球の角膜上に位置する部位の依存性を決定し、記憶する。
【0034】
上述の、眼球の部位は、とくに、上述した切除センター、角膜の頂点、またはこの頂点から一定の距離を有するポイントとする。瞳孔特性に関する上述のパラメータは、制御プログラムを生成するための本発明方法にも使用することができる。
【0035】
以下、図面につき、本発明の実施形態例を詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】眼球の断面を、本発明で傾注すべき軸線およびポイントとともに示す眼球の線図的断面図である。
【図2】本発明による屈折矯正手術用装置の線図的説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1に示す眼球10の正中断面(矢状面)は、角膜12、水晶体14、前眼房16、その端縁18aが瞳孔20を画定する虹彩18、網膜中心窩22、強膜24、光軸26および眼(視)軸28を線図的に示す。
【0038】
光軸26は、角膜12の前面12aと位置Oにおいて交差する。眼軸28は、角膜の前面12aと位置Vにおいて交差する。
【0039】
一般的に、角膜12の頂点Aは、図1に線図的に示すように、位置Oまたは位置Vに位置せず、眼軸の交点Vが、頂点Aと光軸の角膜前面における交点Oとの間に位置する。この場合、通常、Vは、OよりもAに近接する。本発明は、これら解剖学的規則性を利用する。
【0040】
図2は屈折矯正手術用装置を概略的に示し、この装置はレーザー光源34を備え、このレーザー光源34はレーザー光32を発生し、このレーザー光32は、レーザー光のビームを整形および案内するためのデバイス36によって、処置すべき眼球10に指向する。カメラ、例えば赤外線カメラ38を使用して、特に眼球の瞳孔および虹彩を撮影し、デジタル画像信号をコンピュータ40に入力する。
【0041】
コンピュータ40は、上述のコンポーネントのすべて、とくに、レーザー光源34、および、レーザー光のビームを整形および案内するための手段36を制御する。上述のコンポーネントは、従来技術で公知であるので、本明細書においてこれ以上詳細に説明しない。
【0042】
上述した、処置すべき眼球の切除輪郭は、まずそれ自体既知の方法で決定する。このことは、眼球測定、例えば波面分析によって行う。このようにして得られた切除輪郭を、コンピュータ40に記憶する。コンピュータ40は、さらに、とくに、切除輪郭に基づいて、レーザー光のビームを整形および案内するデバイス36を制御するための制御プログラムを有する。このこともやはり、従来技術で既知である。
【0043】
第一に、処置すべき眼球の角膜の頂点Aを決定する、すなわち頂点Aの位置の空間的座標を測定する。このことは、例えば、いわゆるケラトメータマークによって行うことができ、すなわち、頂点Aの位置を画定する1個以上のマークを角膜の表面12aで頂点Aの近傍に投影する。この頂点測定は、例えば従来のトポメータ(登録商標)によって行うことができる。その後、頂点Aの座標は、その眼球にとって不変であると見なすことができ、この座標を、基準ポイント、すなわちその後に行う切除のための切除センターとして使用する。この基準ポイントは、瞳孔幅変化および瞳孔回転を生じた場合でも、不変である。
【0044】
頂点Aの空間的な座標決定に続くその後のステップにおいて、処置すべき眼球に関して、頂点Aの位置の、個々の瞳孔の動き、したがって、瞳孔幅変化および瞳孔回転に対する関数的依存性(関連性)を決定する。
【0045】
この目的のため、まず、瞳孔幅に対するセンター位置の依存性を決定する。上述のように、一般に、瞳孔の拡張は同心状に生ずるものではなく、すなわち、通常は、瞳孔拡張に伴って瞳孔センターはシフトする。この、瞳孔センター位置の瞳孔幅に対する依存性は、瞳孔幅の変化が段階的に発生し、また瞳孔センターの座標が、頂点を基準ポイントとして各瞳孔幅との相関関係で決定される。この場合、瞳孔幅の変動は入射する可視光の量を変化させることにより生じ、したがって、散瞳(瞳孔拡張)が自然に生ずる(薬理学的な散瞳は、しばしば、その自然な動きとは異なる)。つぎに、赤外線カメラを使用して、先に決定された頂点を基準ポイントとして、異なる瞳孔幅に関して瞳孔センターの対応位置を決定する。
【0046】
同様に、瞳孔幅に対する瞳孔回転角度の依存性を決定する。この場合、赤外線カメラは、瞳孔センター同定の他に、虹彩パターンの位置変動も同定し、虹彩パターンの位置は、瞳孔回転に関する情報を与える。
【0047】
このようにして、瞬間的に生ずる瞳孔特性、例えば、とくに瞳孔幅および瞳孔の回転状態に対する頂点Aの位置に基づく依存性を表す関数が決定される。この、処置すべき眼球に関して実験的に測定した依存(関係)性を、コンピュータ40に記憶し、その後に行うべき屈折矯正手術中、とくにレーシックに使用して、その瞬間的な切除センターを計算するする。図示の実施例の場合、切除センターを、頂点Aとする。
【0048】
このことは、屈折矯正手術の場合、眼球の瞳孔20および虹彩14を赤外線カメラ38によって記録し、記録の頻度は、眼球の動きおよび瞳孔変化に対して切除を調整する迅速性で捉えるのに充分な頻度とする。コンピュータ40に記憶した画像処理プログラムは、上述の記憶した、瞬間的瞳孔サイズおよび瞳孔位置に関係する関数を使用して、頂点Aの座標を計算する。また、コンピュータ40は、ビーム案内のためのデバイス36の制御に基づいて、この瞬間的な頂点Aを切除センターとして捉える、すなわち、個々のレーザーパルスを、頂点Aの瞬間的に測定した位置が切除センターとして使用される切除輪郭に基づいて位置決めする。この作業は、屈折矯正手術処置中、瞬間的な切除センターが、常に眼球の実際の状態に対応するような、上述した高頻度で繰り返し行う。これと並行して、処置中、カメラ38およびコンピュータ40によって、それ自体既知の「アイトラッキング」を行う。
【0049】
上述のように、切除のセンターを頂点Aとすることで、屈折矯正手術の結果を向上させる、すなわち視力矯正を改善する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
・レーザー光源(34)、
・前記レーザー光源から発生したレーザー光のビームを、処置すべき眼球(10)に対して整形および案内するビーム整形および案内手段(36)、
・眼球の虹彩および瞳孔を撮影するカメラ(38)、および
・切除輪郭に基づいて前記ビーム整形および案内手段を制御する制御プログラムを有するコンピュータ(40)、
を備える屈折矯正手術装置において、
前記制御プログラムは、
・瞳孔の少なくとも一つの特性に依存する、前記眼球(10)の角膜(12)における頂点(A)の位置の依存性に関する関数を有し、
・屈折矯正手術中に、瞳孔の瞬間的な特性をカメラによって撮影し、撮影した記録から、前記関数によって、角膜の頂点(A)の位置を計算し、
・このように計算した前記頂点(A)、または前記頂点から一定の距離を有する角膜表面上のポイントに、前記切除輪郭を整列させる
ものとして構成したことを特徴とする屈折矯正手術装置。
【請求項2】
請求項1記載の屈折矯正手術装置において、
前記瞳孔特性は、前記瞳孔の各種寸法のうち一つ以上の寸法としたことを特徴とする屈折矯正手術装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の屈折矯正手術装置において、
前記瞳孔特性は、前記瞳孔の形状および/またはセンターとしたことを特徴とする屈折矯正手術装置。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の屈折矯正手術装置において、
前記制御プログラムが、前記虹彩の撮影した特性によって、前記角膜の前記事前決定した点(A;V)の瞬間的な位置をも決定することを特徴とする屈折矯正手術装置。
【請求項5】
屈折矯正手術装置のための制御プログラムであって、
前記屈折矯正手術装置は、
・レーザー光源(34)、
・前記レーザー光源から発生したレーザー光のビームを、処置すべき眼球(10)に対して整形および案内するビーム整形および案内手段(36)、
・眼球の虹彩および瞳孔を撮影するカメラ(38)、および
・切除輪郭に基づいて前記ビーム整形および案内手段を制御する前記制御プログラムを実行するコンピュータ(40)、
を備える該屈折矯正手術装置のための、該制御プログラムにおいて、該制御プログラムは、
・瞳孔の少なくとも一つの特性に依存する、前記眼球(10)の角膜(12)における頂点(A)の位置の依存性に関する関数を有し、
・屈折矯正手術中に、瞳孔の瞬間的な特性をカメラによって撮影し、撮影した記録から、前記関数によって、角膜の頂点(A)の位置を計算し、
・このように計算した前記頂点(A)、または前記頂点から一定の距離を有する角膜表面上のポイントに前記切除輪郭を整列させる、
ものとして構成したことを特徴とする制御プログラム。
【請求項6】
屈折矯正手術装置用の制御プログラムを生成する方法であって、該方法により、レーザー照射を、予め規定した空間的および時間的なシーケンスに基づいて、処置すべき眼球に指向または入射させ、前記予め規定した空間的および時間的シーケンスは前記眼球の位置に対して整列するものとした、該方法において、
屈折矯正手術の前に、処置すべき眼球に固有の、屈折矯正手術中に変化し得る瞳孔特性に対する、頂点(A)または前記頂点から一定の距離を有する角膜表面におけるポイントの位置の依存性を決定し、記憶することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−524608(P2010−524608A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504541(P2010−504541)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際出願番号】PCT/EP2008/003311
【国際公開番号】WO2008/131909
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(509114077)ウェーブライト アーゲー (7)