説明

屋外型公衆水洗トイレシステム

【課題】本発明は、公園・河川・湖沼等のようなインフラの未整備な屋外の公共用の場所・施設の一部の土地に設置され、水洗トイレを不特定多数の人々の利用に供し、その利用により生じる汚水を自然エネルギーを利用して何時でも確実に浄化し、良好な環境維持・保全を図る屋外型公衆水洗トイレシステムを提供する。
【解決手段】本発明の屋外型公衆水洗トイレシステム101は、屋外の公共用の場所・施設等の一部に設置される水栓トイレユニット102と、この水栓トイレユニット102に所要の水を供給するトイレ用水源装置103と、水栓トイレユニット102から排出される汚水を浄化し放流する浄化槽104と、垂直軸垂直翼形の風車及び同軸反転式コアレス型発電機を含む風力発電装置106と、太陽光発電設備107とを組み合せたハイブリッド型に構成され前記水栓トイレユニット102、浄化槽104、トイレ用水源装置103に所要の電力を供給する自然エネルギー利用電源設備105とを有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外型公衆水洗トイレシステムに関し、詳しくは、電気・上下水道などインフラの整備がなされていない公共の場所・施設での人々の生活あるいは活動によって生じる汚水をクリーンな自然エネルギーを利用して速やかに浄化し良好な環境維持・保全に有益な屋外型公衆水洗トイレシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、電気・上下水道などインフラの整備がなされていない公共用の場所・施設(例えば、公園・河川・湖沼・池・山岳道・運動施設・海水浴場施設等)のような不特定多数の人々の活動する場所においては、公衆トイレの充実及び排出される汚水の適切な処理、必要な電力の確保が要請される。
【0003】
すなわち、このような公共用の場所・施設において、不特定多数の人々の活動に伴って生じる汚水がそのまま河川、湖沼、海等に放流されると、その水質が悪化し、水辺環境・自然環境の悪化を紹いてしまう。
【0004】
特許文献1には、 山小屋等のような電力、水量等に制限がある場所において、水洗トイレからの汚水の浄化能力を維持することを目的とする排水処理システムであって、斜面に設置した雨水を利用した給水槽から、高低差を利用してトイレの便器に洗浄水を流して洗浄し、便器から排出される汚水を、浄化槽で浄化し、浄化した水をポンプにより給水槽に環流するように構成し、また、浄化槽に空気を送給するブロワ、及び、ポンプを動作させるための電力を、風力発電機と太陽電池とにより発電するように構成した排水処理システムが提案されている。
【0005】
しかし、この特許文献1の場合、雨水を利用した給水槽を採用しているため、降雨の無い期間が長くなると洗浄用の雨水が枯渇し、便器の洗浄が不可能になってしまうという問題を包含している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−266299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする問題点は、電気・上下水道などインフラの整備がなされていない公共の場所・施設での人々の生活あるいは活動によって生じる汚水をクリーンな自然エネルギーを利用して何時でも確実に、かつ、速やかに浄化し放流できるような屋外型公衆水洗トイレシステムが存在しない点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る屋外型公衆水洗トイレシステムは、屋外の公共用の場所・施設等の一部に設置される水栓トイレユニットと、前記水栓トイレユニットに所要の水を供給する井戸水又は地下水を利用したトイレ用水源装置と、前記水栓トイレユニットから排出される汚水を浄化し放流する浄化槽と、前記水栓トイレユニット、浄化槽、トイレ用水源装置に所要の電力を供給する少なくとも垂直軸垂直翼形の風車及び同軸反転式コアレス型発電機を含む風力発電装置を利用した自然エネルギー利用電源設備と、を有することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、公園・河川・湖沼・池・山岳道・運動施設・海水浴場施設等のような電気・上下水道等インフラの整備がなされていない地に設置されている不特定多数の人々が活動する公共用の場所・施設において、少なくとも風力発電装置を用いた自然エネルギー利用電源設備によってクリーンな発電電力により必要な電力を確保し、また、トイレ用水源装置により必要な水を常時確保して、水栓トイレユニットの利用に伴って生じる汚水を浄化槽にて何時でも確実に、かつ、速やかに浄化し、きれいな処理水を放流することができ、公衆トイレの充実及び排出される汚水の適切な処理を実現することが可能となり、良好な環境維持・保全に有益な屋外型公衆水洗トイレシステムを提供することができる。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、自然エネルギー利用電源設備を同軸反転式コアレス型発電機を含む風力発電装置と、太陽光発電設備とを組み合せたハイブリッド型とした構成の基に、請求項1記載の発明の場合と同様、水栓トイレユニットの利用に伴って生じる汚水を浄化槽にて何時でも確実に、かつ、速やかに浄化し、きれいな処理水を放流することができ、公衆トイレの充実及び排出される汚水の適切な処理を実現することが可能となり、良好な環境維持・保全に有益な屋外型公衆水洗トイレシステムを提供することができる。
【0011】
請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の発明と同様な構成で、かつ、流量調整型嫌気濾床槽、担体流動生物濾過槽、リン除去装置を組み合せた浄化槽を採用した構成の基に、水栓トイレユニットの利用に伴って生じる汚水を浄化槽にて何時でも確実に、かつ、速やかに浄化し、きれいな処理水を放流することができ、公衆トイレの充実及び排出される汚水の適切な処理を実現することが可能となり、良好な環境維持・保全に有益な屋外型公衆水洗トイレシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は本発明の実施例に係る屋外型公衆水洗トイレシステムの全体構成を示す概略図である。
【図2】図2は本実施例に係る屋外型公衆水洗トイレシステムの制御系の概略ブロック図である。
【図3】図3は本実施例に係る屋外型公衆水洗トイレシステムにおける水洗トイレユニットの正面図である。
【図4】図4は本実施例に係る屋外型公衆水洗トイレシステムにおける水洗トイレユニットの概略縦断面図である。
【図5】図5は本実施例に係る屋外型公衆水洗トイレシステムにおける水洗トイレユニットの手洗い室、便室を示す横断面図である。
【図6】図6は本実施例に係る屋外型公衆水洗トイレシステムにおける水洗トイレユニットの基礎部分を示す概略平面図である。
【図7】図7は本実施例に係る屋外型公衆水洗トイレシステムにおける浄化槽の概略構成を示す説明図である。
【図8】図8は本実施例に係る屋外型公衆水洗トイレシステムにおける浄化槽による汚水処理の流れを示すフロー図である。
【図9】図9は本実施例に係る屋外型公衆水洗トイレシステムにおける風力発電装置の概略平面図である。
【図10】図10は本実施例に係る屋外型公衆水洗トイレシステムにおける風力発電装置のブレードを示す概略斜視図である。
【図11】図11は本実施例に係る屋外型公衆水洗トイレシステムにおける風力発電装置のブレードを裏側から見た概略斜視図である。
【図12】図12は本実施例に係る屋外型公衆水洗トイレシステムにおける風力発電装置の同軸反転式コアレス発電機の概略分解断面図である。
【図13】図13は本実施例に係る屋外型公衆水洗トイレシステムにおける風力発電装置の同軸反転式コアレス発電機の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、インフラの整備がなされていない公共の場所・施設での人々の生活あるいは活動によって生じる汚水をクリーンな自然エネルギーを利用して確実、かつ、速やかに浄化し良好な環境維持・保全に有益な屋外型公衆水洗トイレシステムを提供するという目的を、屋外の公共用の場所・施設等の一部に設置される水栓トイレユニットと、前記水栓トイレユニットに所要の水を供給する井戸水又は地下水を利用したトイレ用水源装置と、前記水栓トイレユニットから排出される汚水を浄化し放流する流量調整型嫌気濾床槽、担体流動生物濾過槽、リン除去装置を組み合せた浄化槽と、垂直軸垂直翼形の風車及び同軸反転式コアレス型発電機を含む風力発電装置と、太陽光発電設備とを組み合せたハイブリッド型に構成され、前記水栓トイレユニット、浄化槽、トイレ用水源装置に所要の電力を供給する自然エネルギー利用電源設備と、を有する構成によりより実現した。
【実施例】
【0014】
以下に本発明の実施例に係る屋外型公衆水洗トイレシステムについて説明する。
本実施例に係る屋外型公衆水洗トイレシステム101は、例えば、公園・河川・湖沼・池・山岳道・運動施設・海水浴場施設等のようなインフラの未整備な屋外の公共用の場所・施設の一部の土地に設置され、水洗トイレを不特定多数の人々の利用に供し、その利用により生じる汚水を自然エネルギーを利用して確実に浄化し、良好な環境維持・保全を図るものである。
【0015】
本実施例に係る屋外型公衆水洗トイレシステム101は、図1に示すように、屋外の公共用の場所・施設等の一部の土地に設置される水栓トイレユニット102と、前記水栓トイレユニット102に所要の水を供給する井戸水を利用したトイレ用水源装置103と、前記水栓トイレユニット102から排出される汚水を浄化し放流する浄化槽104と、前記水栓トイレユニット102、浄化槽104、トイレ用水源装置103に所要の電力を供給する自然エネルギー利用電源設備105と、を有している。
【0016】
前記自然エネルギー利用電源設備105は、図2に示すように、風力発電装置106と太陽光発電設備107とを組み合せたハイブリッド型の発電部108と、この発電部108からの発電出力を取り込み、前記水栓トイレユニット102、浄化槽104、トイレ用水源装置103に対して個別に所要の電力供給を行なうように構成した発電電力コントローラ109と、を具備している。
【0017】
前記発電電力コントローラ109は、風力発電装置106、太陽光発電設備107からの発電電力を集電し、後述する水栓トイレユニット102の照明器具144、153、前記浄化槽104のエアリフトポンプ179a、散気用、逆洗用、移送用の各ブロワ、前記トイレ用水源装置103の井戸ポンプ161に対して個別に所要の電力供給を行なうように構成している。また、前記発電電力コントローラ109は、図示しないが電力を蓄えるバッテリーも設置している。
【0018】
次に、前記水栓トイレユニット102について、図3乃至図6を参照して具体的に説明する。
【0019】
前記水栓トイレユニット102は、図3乃至図5に示すように、例えば地面に構築したコンクリートを主体とする基礎111上に、丸型の屋根112、外装壁113を具備する例えば小屋型の水洗トイレ建屋110を配置し、その内部をドア枠パネル114、ロック錠付きのドアノブ116を有するドアパネル115で仕切って手洗い室117、便室118を設けた構成としている。
【0020】
そして、水洗トイレ建屋110の屋根112上に、図1に示すように前記風力発電装置106と太陽光発電設備107とを取り付けている。
【0021】
前記基礎111の部分には、図6に示すように、汚水配管121、放流配管122を埋設し、手洗い室117に設けた手洗い排水口123、床排水口124を放流配管122に接続管125、126により接続し、また、前記便室118に設けた床排水口127を放流配管122に接続管128により接続している。
【0022】
さらに、前記便室118に設けた汚水排水口129を接続管130により汚水配管121に接続している。
【0023】
そして、前記汚水配管121を浄化槽104に接続し、前記放流配管122を流れる手洗い水、床洗浄水を図1に示す側溝131に放流するように構成している。
【0024】
前記手洗い室117は、その入り口側を開口部とするとともに、奥側に手洗いカウンター141、水栓カラン142、Sトラップ143等を有する手洗いユニット140が配置され、また、壁面に鏡145を取り付けている。
【0025】
前記手洗い室117の天井には、照明器具144が設置され、前記ドアノブ116近傍のドア枠パネル114には、防水スイッチ146配置している。
【0026】
前記便室118には、前記汚水排水口129に連通して配置した公知の便器151、及び、ロータンク152等が設置され、また、前記便室118の天井には照明器具153が設置されている。
【0027】
次に、前記トイレ用水源装置103について説明する。このトイレ用水源装置103は、前記水栓トイレユニット102の設置位置の付近に設けられ、地下から井戸水(又は地下水)を汲み上げる井戸ポンプ161と、汲み上げた井戸水を貯留する水槽162とを有し、この水槽162から前記水栓トイレユニット102の水栓カラン142やロータンク152に給水するように構成している。
【0028】
次に、前記浄化槽104について図7、図8を参照して具体的に説明する。前記浄化槽104の浄化槽本体171は、屎尿汚水が流入する流入管181側から、浄化処理された処理水の放流管182側にわたって下記の要素を内蔵した例えば10人槽の槽形態としている。
【0029】
すなわち、浄化槽本体171は、流量調整型嫌気濾床槽である第1室172及び第2室173、担体流動生物濾過槽174、鉄電解法によるリン除去装置175、処理水槽176、消毒槽177を地面下に略横配列した構造なっている。尚、図8中、180は処理水の流量を計量する計量装置である。
【0030】
前記第1室172及び第2室173に、図8に示すように、流量調整部178を設けている。
【0031】
前記流量調整型嫌気濾床槽を構成する第1室172及び第2室173には、各々濾材が充填され、流入管181から流下する汚水が濾材を通過する際に、固形物の分離と嫌気性微生物の働きにより有機物の嫌気分解、及び、酸化態窒素の還元脱窒素を行なうように構成している。
【0032】
前記流量調整型嫌気濾床槽の第1室172及び第2室173では、流入汚水中のBODを水素供与体として使用しており、酸化態窒素は脱窒細菌の働きによって脱窒され、無害な窒素ガスとして大気中に放出される。
【0033】
前記流量調整部178は、エアリフトポンプ179aによって前記第2室173からの流出水を常時担体流動生物濾過槽174に移送するように構成している。
【0034】
前記担体流動生物濾過槽174は、中空円筒状で大きい比表面積を持ち、微生物を担持した担体を採用するとともに、上部の好気部と、下部の濾過部とを具備し、上部の好気部で散気を行ない、充填された担体表面に付着した微生物の働きで汚水中の有機物の分解、除去及びアンモニア硫化を行なう。また、下部の濾過部では、担体を濾過材として浮遊物質の濾過を行なう。
【0035】
さらに詳述すると、上部の好気部では、付着微生物の濃度を高め、BOD等の有機物質の分解、アンモニア性窒素などの硝化を促進する。特に、汚水中のアンモニア性窒素等は、上部の好気部で硝化細菌の働きにより、好気的条件下で酸化態窒素(NO−N及びNO−N)に酸化され、その後、酸化態窒素を含む硝化液は、前記流量調整部178のエアリフトポンプ179a、移送管179によって前記第1室172に循環移送される。
【0036】
前記リン除去装置175は、前記担体流動生物濾過槽174内に浸漬された陽極、陰極として機能する2枚の鉄板の間に直流電源を接続することで構成し、+側、すなわち陽極より2価の鉄イオン(Fe2+)を溶出させる。この2価の鉄イオンは水中の溶存酸素(O)により酸化されて3価の鉄イオンに変わる。3価の鉄イオンは水中のリン酸イオン(PO3−)と反応して不溶性のリン酸鉄(FePO)となる。
【0037】
そして、前記担体流動生物濾過槽174における下部の濾過部で補足されたリン化合物は毎日行われる逆洗・汚泥の移送によって前記第1室172に移送・貯留され、貯留されたリン化合物は汚泥として定期的に系外に搬出される。
【0038】
本実施例では、リン除去装置175に対して定期的に電流方向を変える極性転換をするとともに、流動担体による鉄板表面での衝突洗浄を行って、不導体や生物膜を形成しないようにし、低維持管理頻度下で長期間安定したリン除去が行えるように構成している。
【0039】
前記処理水槽176は、前記担体流動生物濾過槽174による処理水を一時的に貯留するものであり、また、前記消毒槽177は、処理水を消毒剤により消毒し前記放流管182に放流するものである。
【0040】
尚、前記浄化槽104おいて、実際には散気用、逆洗用、移送用の各ブロワ等の動力系が組み込まれているが、これらについては図示省略する。また、図1、図7中、183は、浄化槽104に設けたマンホールである。
【0041】
上述した浄化槽104による汚水処理の一連の流れを図8に概略的に示す。
【0042】
上述した浄化槽104によれば、以下の作用効果を奏する。
(1)処理性能;放流水の水質の一例を挙げると、BOD≦10mg/L、T−N≦10mg/L、T−P≦1mg/L(日本建築センターの性能評定値)である。高度な汚水処理を実現することができる。
(2) 経済性;最近整備された標準的な処理性能の下水道(放流水質はBOD≦15mg/L)に比べ、単位水量あたりの汚水処理の原価は1/2以下と安価である。
(3)即効性;中小規模の浄化槽の大多数は工場生産浄化槽であるため、品質の安定化や工期の短縮化が可能である。
(4)循環性;汚水の排出源付近で処理が行われるため、排水を集水する管路や中継ポンプなどを敷設する必要がなく、設置場所で清澄な処理水として放流されるので健全な水循環、河川等の水質改善が見込め、水資源の枯渇を防止することが可能となる。
【0043】
次に、前記ハイブリッド型の自然エネルギー利用電源設備105を構成する風力発電装置106及び太陽光発電設備107について、図9乃至図13を参照して説明する。
【0044】
本実施例に係る風力発電装置106は、図1、図9に示すように、ポール6により例えばジャイロミル形(垂直軸垂直翼タイプ)の風車2と、同軸反転式コアレス発電機1とを垂直配置に支持し、ポール6の下端部に設けた基枠部6aを、前記水洗トイレ建屋110に屋根112に設置している。また、ポール6に太陽光発電設備107を取り付けている。
【0045】
前記同軸反転式コアレス発電機1は、風車2の下端と、この風車2を地上から所定の高さとなるように支持するポール6の上端との間に配置され、風エネルギーで回転する風車2の回転力を利用して発電出力を得るように構成している。
【0046】
前記風車2は、風車軸3に対してアーム4を介して例えば3枚のブレード5を取り付け、風車軸3の下端部3aを前記同軸反転式コアレス発電機1に取り付けるように構成している。
【0047】
次に、図10、図11を参照して、本実施例1の風車2におけるブレード5の具体例について説明する。
【0048】
本実施例においては、3枚の各ブレード5の素材としては耐腐食性でリサイクル可能なアルミニウム合金材を採用し、その側面形状を図10に示すように風力エネルギーにより揚力を生成する流線形状とし、また、全体として平面略長方形状に形成している。
【0049】
また、前記ブレード5の裏面には、図11に示すように、複数箇所にわたって風力エネルギーを裏面側から捉える開口部5aを設けている。
【0050】
このようなブレード5を採用することにより、風速1m/secから強風時にわたって、また、風向きを問わず風力エネルギーを効率よく発電電力に変換することができ、かつ、機械的強度が高く耐久性、安全性に優れた風車2を構成している。
【0051】
次に、本実施例に係る同軸反転式コアレス発電機1について、図12、図13を参照して具体的に説明する。
【0052】
本実施例に係る同軸反転式コアレス発電機1は、発電機本体10と、この発電機本体10を回転可能に支持する軸支体11とを有している。
【0053】
前記発電機本体10は、前記風車2の回転力を受けて回転するアウターロータ12と、このアウターロータ12の中央部を軸支し、該アウターロータ12を回転可能とする発電機軸13と、前記発電機軸13により中央部が支持される状態でアウターロータ12内に内蔵した円盤状のコアレス型コイル体(円盤状に圧縮されたコイルの束)14と、を有している。
【0054】
前記発電機軸13は、下端にネジ13aを、上端側に大径部13bを、この大径部13bの下側に突出円板部13cを設けている。
【0055】
前記アウターロータ12は、下側が開口した皿円盤状の上部ロータ21と、上側が開口した皿円盤状の下部ロータ31とを上下配置に突き合わせて接合し、両者の外周近傍位置において、円形に配列する多数の固定ボルト22を用いて一体的に固定されるようになっている。
【0056】
前記アウターロータ12のうちの上部ロータ21は、その中央部下側に発電機軸13の上端部を嵌合させるとともに、その中央部に上側に突出する円柱状の風車取り付け部21aを設けている。
【0057】
前記風車取り付け部21aには、円形配置に多数のネジ孔21bが設けられ、前記風車軸3の下端部3aに接合して図示しない取り付けボルトにより上部ロータ21と風車軸3の下端部3aとを一体的に結合し、風車軸3の回転力を伝達するように構成している。
【0058】
また、前記発電機軸13における大径部13bの上面側と、その近傍の上部ロータ21の内底部との間に主軸受23を配置し、上部ロータ21、したがってアウターロータ12を回転可能に軸支している。
【0059】
前記上部ロータ21の内底部における前記主軸受23の外側位置には、大径部13bよりも若干大きい内径を有する円形突部25が設けられ、この円形突部25の下端面に全周にわたって円形ギア26を設けている。
【0060】
前記上部ロータ21の内底部における外周近傍位置には、端面を内底面に臨ませる状態で所要数のマグネット24を円形配置に埋設している。
【0061】
前記下部ロータ31は、前記上部ロータ21と上下略対称形状に形成されている。すなわち、その中央部上面には前記突出円板部13cが入り込む円形凹段部32が設けられるとともに、この円形凹段部32の中心位置を前記発電機軸13が貫通するように構成している。
【0062】
また、下部ロータ31の内底部における外周近傍位置には、端面を内底面に臨ませる状態で、かつ、前記上部ロータ21側のマグネット24と対向する配置で所要数のマグネット24を円形配置に埋設している。
【0063】
このような上部ロータ21、下部ロータ31の構成により、両者の内部にコアレス型コイル体14を収容する収容室33を形成している。
【0064】
前記下部ロータ31の下面側には、その中央部に下側に突出する円柱状の取り付け部34を設け、この取り付け部34に円形配置にネジ孔35を設けている。
【0065】
前記コアレス型コイル体14は、前記収容室33内において前記アウターロータ12と同軸配置されるとともに、その中央部には、前記上部ロータ21の円形突部25が入り込む内径を有する上孔と、前記発電機軸13の大径部13bより若干大径の下孔とが設けられ、大径部13bが貫通するように構成している。
【0066】
そして、大径部13bの下端外周と、前記コアレス型コイル体14の下孔との間に配置した軸受46を介してコアレス型コイル体14を前記発電機軸13により回転可能に支持している。
【0067】
また、前記コアレス型コイル体14の上面には、前記上部ロータ21側のマグネット24と対応配置で、かつ、近接する状態にコイル部41を配置し、同様にその下面には、前記下部ロータ31側のマグネット24と対応配置で、かつ、近接する状態にコイル部41を配置している。
【0068】
さらに、前記コアレス型コイル体14における上下の各コイル部41における各コイル部出力端42は、このコアレス型コイル体14の下面に臨む位置に配置され、前記円形凹段部32内に位置する発電機軸13における突出円板部13cに対向させるように構成している。
【0069】
そして、前記突出円板部13cの上面に設けた前記各コイル部出力端42に対応する配置の各ブラシ(集電子)43、この各ブラシ43に接続した出力ケーブル44を介して発電機本体10による発電出力を取り出すように構成している。
【0070】
尚、前記ブラシ43に替えて、例えば一次トランス、二次トランスの電磁誘導結合を利用する構成や、磁石と、コイル及び転流用の電子回路とを組み合わせた構成等からなるブラシレス型の集電子とすることもできる。
【0071】
前記前記コアレス型コイル体14における下孔を形成する円形突出部14aの上面側(上孔側)には、前記円形突部25の円形ギア26と同様な円形ギア45を全周にわたって設けている。
【0072】
また、前記発電機軸13の大径部13b外周には、前記上孔内に位置して回転軸を水平方向とした複数の逆転用ギア51が取り付けられ、この逆転用ギア51を前記円形ギア26、円形ギア45に各々ギア結合している。
【0073】
このような構成により、前記アウターロータ12が図12に示す矢印a方向(反時計方向)に回転するとき、コアレス型コイル体14は逆転用ギア51により図12に示す矢印b方向に逆回転するように構成している。
【0074】
すなわち、前記アウターロータ12と、コアレス型コイル体14とを逆転用ギア51を用いて同軸反転するように構成している。
【0075】
前記軸支体11は、前記発電機軸13を中央孔61a内に嵌装して下方に突出させ、発電機軸13のネジ13aに下側からナット62をねじ込んで固定支持する固定支持体61と、この固定支持体61上に密接状態で配置され中央部に設けた前記中央孔61aと同径の貫通孔71aを前記発電機軸13が貫通する回転支持体71との重合構造としている。
【0076】
すなわち、前記回転支持体71は固定支持体61に対してこれら両者間に設けた軸受63を介して回転可能に支持されるとともに、固定支持体61の上面外周部に設けた円形溝61bに回転支持体71の下面外周部に設けた円形突条71bを嵌め込み、これにより、回転支持体71は固定支持体61上で密接しつつ円滑に回転し得るように構成している。
【0077】
前記固定支持体61の側面には、中央孔61aの軸線方向と直交する配置にネジ孔64が設けられ、固定支持体61の下側から前記ポール6の上端部を嵌め込み、ボルト65を用いて前記軸支体11をポール6の上端部に取り付けるように構成している。
【0078】
前記回転支持体71には、前記下部ロータ31における取り付け部34のネジ孔35に対応する配置に取り付けボルト72が配置され、回転支持体71と固定支持体61とを組み付ける前段階において、この回転支持体71を前記下部ロータ31に取り付け、その後固定支持体61を回転支持体71に組みつけるように構成している。
【0079】
前記回転支持体71における貫通孔71aの上端部には、発電機軸13用の支持軸受73を配置している。
【0080】
前記上部ロータ21とコアレス型コイル体14間、及び、下部ロータ31とコアレス型コイル体14間に各々コロ軸受52を配置している。
【0081】
本実施例に係る同軸反転式コアレス発電機1によれば、前記風車2が風エネルギーにより例えば図12に示す矢印a方向に回転するとき、前記アウターロータ12も矢印a方向に回転し、このアウターロータ12の回転力は、逆転用ギア51に伝達され、この結果逆転用ギア51を介してコアレス型コイル体14は図12に示す矢印b方向に回転する(同軸反転)。
【0082】
この結果、前記各マグネット24とコイル部41との相対速度の上昇に応じた大きい発電出力を前記コアレス型コイル体14のコイル部出力端42から前記ブラシ43、出力ケーブル44を介して外部に取り出すことができる。
【0083】
さらに詳述すると、本実施例1に係る同軸反転式コアレス発電機1によれば、前記アウターロータ12とコアレス型コイル体14とを前記風車2の回転に応じて逆転用ギア51という簡略な要素のみで同軸反転させるように構成しているので、通常のロータ、ステータを使用する発電機に比べてアウターロータ12、コアレス型コイル体14間に例えば2倍の相対速度を得ることができ、同一の風エネルギーという条件下において通常の風力発電用の発電機よりも大きい発電出力を得ることが可能となる。
【0084】
具体的には、通常の発電機において100の回転速度で発電出力が100であると仮定した場合、本実施例1に係る同軸反転式コアレス発電機1によれば、50の回転速度で100の発電出力を得ることができる。又は、100の回転速度であれば200の発電出力を得ることができる。
【0085】
前記太陽光発電設備107は、ポール6に固着する取付枠7と、この取付枠7に太陽光が照射される方向に向けて取り付けた例えばシリコン単結晶を素材とする太陽光パネル8とを具備し、太陽光パネル8の発電出力を前記発電電力コントローラ109に送電するように構成している。
【0086】
上述した本実施例に係る屋外型公衆水洗トイレシステム101によれば、例えば、公園・河川・湖沼・池・山岳道・運動施設・海水浴場施設等のような電気・上下水道等インフラの整備がなされていない地に設置されている不特定多数の人々が活動する公共用の場所・施設において、前記自然エネルギー利用電源設備105を構成する風力発電装置106、太陽光発電設備107によるクリーンな発電電力により必要な電力を確保し、また、トイレ用水源装置103により必要な水を常時確保することができる。
【0087】
これにより、前記水栓トイレユニット102の利用に伴って生じる汚水を浄化槽104にて何時でも確実に、かつ、速やかに浄化し、側溝131にきれいな処理水を放流することができ、公衆トイレの充実及び排出される汚水の適切な処理を実現することが可能となり、良好な環境維持・保全に有益な屋外型公衆水洗トイレシステム101を構築することができる。
【0088】
尚、本実施例に係る屋外型公衆水洗トイレシステム101においては、前記自然エネルギー利用電源設備105として風力発電装置106のみを採用する構成としたり、太陽光発電設備107を構成する太陽光パネル8を前記ブレード5に張り合わせたハイブリッド型としたり等の変形実施も可能である。
【0089】
また、前記トイレ用水源装置103としては、雨水を利用したり、浄化槽104の処理水を循環方式で利用したりという応用ももちろん可能である。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、屋外の公共用の場所・施設の一部に設置する場合の他、例えば比較的交通不便でインフラの未整備な地にある住宅、別荘等のような個人所有の建物用付帯設備として、また、山岳地等にある各種観測所やインフラの未整備な地にある灯台等の施設の付帯設備として広範に応用可能である。
【符号の説明】
【0091】
1 同軸反転式コアレス発電機
2 風車
3 風車軸
3a 下端部
4 アーム
5 ブレード
5a 開口部
6 ポール
6a 基枠部
7 取付枠
8 太陽光パネル
10 発電機本体
11 軸支体
12 アウターロータ
13 発電機軸
13a ネジ
13b 大径部
13c 突出円板部
14 コアレス型コイル体
14a 円形突出部
21 上部ロータ
21a 風車取り付け部
21b ネジ孔
22 固定ボルト
23 主軸受
24 マグネット
25 円形突部
26 円形ギア
31 下部ロータ
32 円形凹段部
33 収容室
34 取り付け部
35 ネジ孔
41 コイル部
42 コイル部出力端
43 ブラシ
44 出力ケーブル
45 円形ギア
46 軸受
51 逆転用ギア
52 コロ軸受
61 固定支持体
61a 中央孔
61b 円形溝
62 ナット
63 軸受
64 ネジ孔
65 ボルト
71 回転支持体
71a 貫通孔
71b 円形突条
72 ボルト
73 支持軸受
101 屋外型公衆水洗トイレシステム
102 水栓トイレユニット
103 トイレ用水源装置
104 浄化槽
105 自然エネルギー利用電源設備
106 風力発電装置
107 太陽光発電設備
108 発電部
109 発電電力コントローラ
110 水洗トイレ建屋
111 基礎
112 屋根
113 外装壁
114 ドア枠パネル
115 ドアパネル
116 ドアノブ
117 手洗い室
118 便室
121 汚水配管
122 放流配管
123 排水口
124 床排水口
125 接続管
126 接続管
127 床排水口
128 接続管
129 汚水排水口
130 接続管
131 側溝
140 手洗いユニット
141 手洗いカウンター
142 水栓カラン
143 Sトラップ
144 照明器具
145 鏡
146 防水スイッチ
151 便器
152 ロータンク
153 照明器具
161 井戸ポンプ
162 水槽
171 浄化槽本体
172 第1室
173 第2室
174 担体流動生物濾過槽
175 リン除去装置
176 処理水槽
177 消毒槽
178 流量調整部
179 移送管
179a エアリフトポンプ
180 計量装置
181 流入管
182 放流管
183 マンホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外の公共用の場所・施設等の一部に設置される水栓トイレユニットと、
前記水栓トイレユニットに所要の水を供給する井戸水又は地下水を利用したトイレ用水源装置と、
前記水栓トイレユニットから排出される汚水を浄化し放流する浄化槽と、
前記水栓トイレユニット、浄化槽、トイレ用水源装置に所要の電力を供給する少なくとも垂直軸垂直翼形の風車及び同軸反転式コアレス型発電機を含む風力発電装置を利用した自然エネルギー利用電源設備と、
を有することを特徴とする屋外型公衆水洗トイレシステム。

【請求項2】
屋外の公共用の場所・施設等の一部に設置される水栓トイレユニットと、
前記水栓トイレユニットに所要の水を供給する井戸水又は地下水を利用したトイレ用水源装置と、
前記水栓トイレユニットから排出される汚水を浄化し放流する浄化槽と、
垂直軸垂直翼形の風車及び同軸反転式コアレス型発電機を含む風力発電装置と、太陽光発電設備とを組み合せたハイブリッド型に構成され、前記水栓トイレユニット、浄化槽、トイレ用水源装置に所要の電力を供給する自然エネルギー利用電源設備と、
を有することを特徴とする屋外型公衆水洗トイレシステム。
【請求項3】
屋外の公共用の場所・施設等の一部に設置される水栓トイレユニットと、
前記水栓トイレユニットに所要の水を供給する井戸水又は地下水を利用したトイレ用水源装置と、
前記水栓トイレユニットから排出される汚水を浄化し放流する流量調整型嫌気濾床槽、担体流動生物濾過槽、リン除去装置を組み合せた浄化槽と、
垂直軸垂直翼形の風車及び同軸反転式コアレス型発電機を含む風力発電装置と、太陽光発電設備とを組み合せたハイブリッド型に構成され、前記水栓トイレユニット、浄化槽、トイレ用水源装置に所要の電力を供給する自然エネルギー利用電源設備と、
を有することを特徴とする屋外型公衆水洗トイレシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−1769(P2011−1769A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−146299(P2009−146299)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(309020769)二和設備工業株式会社 (1)
【出願人】(308023963)株式会社WINPRO (3)
【Fターム(参考)】