説明

屋外装置用保守設備

【課題】雨天時に屋外装置の保守点検を行う際に用いられる屋外装置用保守設備を提供する。
【解決手段】屋外装置1の上部に取り付けられる屋外装置用保守設備10であって、折り畳み可能な扇形の傘2と、傘2の円弧部分に、着脱可能に取り付けられるシート4と、を備える。また、屋外装置用保守設備10は、シート4の一辺から延長され、他辺に取り付けられる延長シート5をさらに備えること、シート4の下部に錘6が取り付けられていることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外に設置される屋外装置(例えば、基地局装置)の設置・保守作業を雨天時に行う際に用いられる屋外装置用保守設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、無線通信基地局装置は、PHS基地局に代表される低出力で小型の屋外に設置されるタイプと、携帯電話基地局に代表される高出力で大型のキャビネット内に設置されるタイプと、があった。ところが、大型であった携帯電話基地局も小型化の技術が進み、設置性の面からも屋外設置タイプが求められつつある。また、データ通信においても高いデータレートが求められるようになり、従来のセル設計では高データレートを提供できるエリアが限られる可能性が高く、エリアを補完するために基地局を追加していく必要がある。このような背景の中、ビルの屋上の他、コンクリート柱あるいは電柱に設置される基地局装置が増加している(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−231784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
屋外に設置された基地局装置は風雨にさらされるため、このような基地局装置の設置作業あるいは保守作業は天候の影響が大きい。すなわち、雨天時の基地局装置の設置・保守作業において、特に、電気的な作業には感電、故障等の危険が伴うため天候の回復を待つか、あるいは、傘等を用いて作業を行っていた。天候の回復を待つと、待機時間が存在するため作業効率が低下してしまう。また、傘等を用いて作業を行うと、作業者が作業に専念することができないためやはり作業効率が低下するのみならず、特に高所での作業には危険が伴うおそれがある。しかしながら、従来、基地局装置の設置・保守作業において風雨をしのぐための設備は提供されていなかった。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、雨天時に屋外装置の保守点検を行う際に用いられる屋外装置用保守設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する第1の観点に係る屋外装置用保守設備の発明は、
屋外装置の上部に取り付けられる屋外装置用保守設備であって、
折り畳み可能な扇形の傘と、
前記傘の円弧部分に、着脱可能に取り付けられるシートと、
を備えることを特徴とするものである。
【0007】
第2の観点に係る屋外装置用保守設備の発明は、第1の観点に係る屋外装置用保守設備において、
前記シートの一辺から延長され、他辺に取り付けられる延長シートをさらに備えることを特徴とするものである。
【0008】
第3の観点に係る屋外装置用保守設備の発明は、第1または第2の観点に係る屋外装置用保守設備において、
前記シートの下部に錘が取り付けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、嵐のような荒天時を除いて雨天時でも屋外装置の設置・保守作業を高効率かつ安全に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態に係る屋外装置用保守設備を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る屋外装置用保守設備が展開される様子を説明するための図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る屋外装置用保守設備を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る屋外装置用保守設備の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1(a)は、本発明の第1実施形態に係る屋外装置用保守設備が、使用に供される状態を示す斜視図であり、図1(b)は、その平面図である。屋外装置用保守設備10は、電柱Dに設置されている基地局装置1の上部に取り付けられている。屋外装置用保守設備10は、図1(b)に示すとおり扇形の傘2と、傘2の円弧部分に着脱可能に取り付けられているシート4と、を備える。傘2は、基地局装置1の上面1uの大部分を覆い、かつ、基地局装置1の正面部分で保守作業等を行う作業者を覆う大きさであり、折り畳み可能である。傘2は、中棒2aと、この中棒2aを中心に放射状に延びる複数の(図示例では4本)親骨2b1〜2b4と、親骨2b1〜2b4を全体的に覆う傘布2cと、中棒2aに接続され親骨2b1〜2b4および傘布2cを支持する受骨(図示を省略)と、を有する。図1に示す使用に供される状態とは、受骨が親骨2b1〜2b4および傘布2cを支持している状態であり、後述する傘2が折り畳まれている状態とは、受骨が親骨2b1〜2b4および傘布2cを支持していない状態のことである。傘2の円弧部分およびシート4の上部には、互いが取り付けられるために、ボタン、ジッパー等の取り付け手段(図示を省略)が設けられている。傘2およびシート4の材料は水の浸透を防げるものであることが必要であり、採光性および視認性を考慮すると透明材料であることが好ましい。また、収納性を考慮すると、軽量かつ薄手の材料であることが好ましい。
【0013】
図2を参照して、屋外装置用保守設備が展開される様子を説明する。図2(a)は屋外装置用保守設備10が、保護ケース3等に収納されて電柱Dに配設されている状態を示している。保護ケース3を取り外すと、図2(b)に示すように、屋外装置用保守設備10は、傘2が折り畳まれ、シート4が巻かれている状態である。詳細には、親骨2b1〜2b4が、中棒2aの上端部から略垂直方向下向きに延在し、親骨2b1の先端部には、シート4が巻かれている状態で接続されている。次に、図2(c)に示すように、受骨によって親骨2b1〜2b4および傘布2cを支持することにより傘2を開くとともに、シート4を、傘2の円弧部分にボタン、ジッパー等の取り付け手段を介して取り付けていく。図2(c)は、シート4の約2/3が傘2の円弧部分に取り付けられ、シート4の残りの約1/3が未だ取り付けられていない状態を示す。続けて、シート4の全てを傘2の円弧部分に取り付けると、すなわち、シート4を親骨2b1の先端部から親骨2b4の先端部まで接続すると、図2(d)に示すように、屋外装置用保守設備10が使用に供される状態になる。
【0014】
基地局装置1の保守作業等が終わり、屋外装置用保守設備10を片付ける際には、図2(d)に示す状態で乾燥させ、図2に示した手順と逆の手順により屋外装置用保守設備10を折り畳み、保護ケース3等に収納することができる。なお、屋外装置用保守設備10を作業現場にて乾燥させずに、使用後取り外して別の場所で乾燥させた後に、折り畳み、保護ケース3等に収納することもできる。
【0015】
第1実施形態に係る屋外装置用保守設備10では、傘2およびシート4により風雨が遮られるので、作業者が基地局装置1の保守作業等を効率よく安全に行うことができる。また、この屋外装置用保守設備10は、展開作業および収納作業が容易であり、これらの作業に多くの時間を費やすことはない。また、この屋外装置用保守設備10は、小型に収納可能なため、電柱等に常時設置しておくことができる。
【0016】
図3(a)は、本発明の第2実施形態に係る屋外装置用保守設備の、展開途中の状態を示し、図3(b)は、この屋外装置用保守設備が使用に供される状態を示す平面図である。第2実施形態において、第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略する。屋外装置用保守設備20は、傘2と、シート4と、シート4に接続された延長シート5と、を備える。延長シート5は、シート4の一辺4e1から延長し、先端部分5eが、シート4の他辺4e2に、ボタン、ジッパー等の取り付け手段(図示を省略)を介して取り付けられる。すなわち、シート4および延長シート5は、傘2の裏側の電柱Dを巻き込む形で傘2の周りを一周している。なお、図示例ではシート4と延長シート5とは一体であるが、別体とすることもできる。また、シート4は、傘2の円弧部分の先端よりわずかに内側に取り付けられている。さらに、シート4は、下部に錘6が取り付けられている。図示を省略するが、延長シート5の下部にも錘6が取り付けられていてもよい。
【0017】
第2実施形態に係る屋外装置用保守設備10では、延長シート5を設け、傘2の周りを一周にわたって覆うことにより、電柱Dの裏側から吹き込むような風雨も防止するので、作業者が基地局装置1の保守作業等をより効率よく安全に行うことができる。また、シート4を傘2の円弧部分の先端よりわずかに内側に取り付けることにより、傘2に降った雨が傘2とシート4との接続部分を伝ってシート4の内側に流れることを防止することができる。また、シート4の下部に錘6を取り付けることにより、シート4が風によってあおられることを防止することができる。
【0018】
本発明は、上述した実施形態に制限されることはなく、各種変更が可能である。例えば、傘2が4本の親骨2b1〜2b4を有する例を示したが、親骨は、2本以上であれば、傘2の大きさに応じて適宜設定可能である。また、傘2は、例えば折り畳み傘のように、親骨が2段階以上に折れ曲がる構造とすることもできる。また、シート4は、基地局装置1を覆う長さである例を示したが、基地局装置1および傘2の大きさに合わせて適宜設計可能である。また、屋外装置用保守設備を電柱Dに取り付ける形態を説明したが、基地局装置1に取り付け手段等を介して取り付けることもできる。また、屋外装置用保守設備を電柱Dに常時設置する形態を説明したが、必要な場合にのみ設置することもできる。但し、常時設置する場合には、屋外装置用保守設備の劣化防止および、屋外装置用保守設備が想定外に展開しないために、図示例のように保護ケース3を設けることが好ましい。
【符号の説明】
【0019】
1 基地局装置
2 傘
2a 中棒
2b 親骨
2c 傘布
3 保護ケース
4 シート
5 延長シート
6 錘
10 屋外装置用保守設備
20 屋外装置用保守設備

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外装置の上部に取り付けられる屋外装置用保守設備であって、
折り畳み可能な扇形の傘と、
前記傘の円弧部分に、着脱可能に取り付けられるシートと、
を備えることを特徴とする屋外装置用保守設備。
【請求項2】
前記シートの一辺から延長され、他辺に取り付けられる延長シートをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の屋外装置用保守設備。
【請求項3】
前記シートの下部に錘が取り付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の屋外装置用保守設備。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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