説明

屋根の水切材

【課題】家屋の屋根の端部における野路板と破風板や化粧破風板あるいは壁材等の外壁材との隙間からの雨水や粉雪解け水の浸入を阻止する屋根の水切材を提供する。
【解決手段】家屋の屋根の野地板などの下葺材の外側面を覆い隠す上部水切部2と、上部水切部2の下方から上部水切部2と略直角方向へ延出した横部水切部5と、横部水切部5から上部水切部2と反対方向に突出した下部水切部4を具備した屋根の水切材である。また、下部水切部4が上部水切部2の延長上に位置すること、下部水切部4が横部水切部5を往復に折り曲げて形成したものであること、上部水切部2と横部水切部5のいずれか又は双方の先端に水返しを形成したこと、上部水切部2の上方を横部水切部5と同方向に所定の角度だけ折り曲げて先端水切部を形成したこと、横部水切部5と先端水切部が略平行である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家屋の屋根の端部における野路板と破風板や化粧破風板あるいは壁材等の外壁材との隙間からの雨水や粉雪解け水の浸入を阻止する屋根の水切材に関する。
【背景技術】
【0002】
切妻屋根の妻側の端部のけらば等においては、図17乃至図19に示すように、家屋の屋根の構造体に傾斜して固定されている垂木7上に合板等からなる野地板8が固定され、更にこの野地板8上に敷かれた防水用の下葺材9上に、桟材10が軒先側から棟方向に等間隔で軒先と平行方向に多数所定間隔をあけて固定され、この桟材10に屋根葺材11としての和瓦や洋瓦等が釘12等によって敷設固定されている。野地板8の外側面においては、野地板8上に垂木などからなる端部材13が傾斜方向に沿って固定されており、この端部材13の上面と屋根葺材11の上面に跨って被せられる水平片14と該水平片14と直角に形成されて端部材13の外側面と野地板8や下葺材9の外側面を塞ぐ垂直片15とからなる断面が逆L字型のけらば瓦16が敷設されている。
【0003】
更に、野地板8を上方に固定している垂木7の外側面には、その上端面を野地板8に密着している破風板17が固定されており、更に、この破風板17の外側面には化粧破風板18が固定されている。この化粧破風板18の上端面と野地板8の下面との間に間隙19を形成し、この隙間19にコーキング材20が詰め込まれている。又、破風板17の下方においては軒天21の端部が固定されている。
【0004】
更に又、前記下葺材9の端部9aは端部材13の内側面から上面を通って反対側の外側面にたれ下がるようにして屋根葺材11方向から浸入した雨水等の排出を図るようにしている。又、桟材10の端部と端部材13の間に形成された空間の下葺材9上には水切材22が軒先に向かって配置されていて(例えば、特許文献1)、屋根葺材11の端と端部材13の内側面の間から侵入した雨水等を軒先から排出するようにしている。
【0005】
図19に示す他の従来例の屋根構造が、前記の図17、図18に示す屋根構造と異なるところは、野地板8の端部が破風板17の上方にまで達していなく、その代わりに破風板17の上方で端部材13の下方に野地板8に代わって品板23を野地板8と同じ傾斜角度で棟側から軒先側へと向かって設けたものである。この構造においては、化粧破風板18の上面と品板23の下面の隙間19にあえてコーティング材20を詰め込む必要はないが、図のように詰め込むこともある。
【0006】
又、屋根の軒先側においては、例えば特許文献2に示されるように、野地板の軒先側の上面から野地板の先端を回って鼻隠し板の外面の上方に固着している水切板が開示されており、これによって、野地板と鼻隠し板の隙間からの雨水等の浸入を阻止するようにしている。
【0007】
更に又、片流れ屋根の棟側の端部においては、例えば特許文献3に示されるように、棟側の端部の上方に固定している棟包支持桟にその上端を固定してその棟側の側面と野地板等の屋根下地材の側面を覆って化粧破風に固定することにより、棟包支持桟と屋根下地材や化粧破風の側面端部の隙間からの雨水等の浸入を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−231589号公報
【特許文献2】特開2004−068301号公報
【特許文献3】特開2010−07430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記した図17、図19に示す切妻屋根のけらばの防水構造においては、長年の経過によって野地板8の下面と化粧破風板18の上面との間の隙間19にコーキング材20がそれらの接触面で剥離を生じたり、コーティング材20自身の内部に亀裂が生じるなどによって、雨水や粉雪解け水などが家屋内側に浸入して、破風板17や軒天材21にシミを生じさせたり、腐食を生じさせることが生じている。
【0010】
更に又、野地板8の外側面は破風板17や化粧破風板18によって覆われていないので、雨水等が野地板8の外側面から木目や合板の接合面を伝わって奥へと浸入するために、野地板8全体を濡らして、しいては野地板8一枚全体を腐食させる原因ともなっている。又、コーキング材20を使用するので施工工数が多くなるという問題点がある。
【0011】
前記した図19に示す構造においては、野地板8が破風板17の上方に達していなく、その代わりに品板23が配置されているので、横からの巻き込み水や雨水等はこの品板13に沿って流下して軒先へと導かれ、野地板8の端面からの雨水等の浸入は防止することはできるものの、前記と同様に品板23と化粧破風板18の隙間19にコーキング材20を使用しているので、施工工数が多くなると共にコーキング材20の端が外部から見えるために、仕上げを丁寧にしなければならないという前記と同様の問題点がある。
【0012】
更に、特許文献1に示す水切板は、屋根葺材とけらば瓦の間隙から浸入した雨水等を集めて軒先から外へ排出させるものであって、野地板や下葺材の外側面から浸入する雨水等を阻止するものではない。
【0013】
更に又、特許文献2に示す屋根の軒先側に設ける水切板は、鼻隠し板に固定している鼻隠しカバー本体にその下方を連結しているので、横からの雨風が吹き付けた場合でも屋根下地材と鼻隠し板との間隙からの雨水等の浸入は阻止できるものの、その連結部分からの雨水等の浸入の阻止にはまだ不十分である。
【0014】
更に又、特許文献3に示す片流れ屋根の棟側の端部における水切材は、棟側の側面と鼻隠し板の表面とが同じ平面上にある場合には適しているが、鼻隠し板の表面が棟側の側面より凹んでいる場合には、隙間が出来て使用できないという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであって、その手段とするところは、請求項1においては、家屋の屋根の野地板のなどの下葺材の外側面を覆い隠す上部水切部と、該上部水切部の下方から該上部水切部と略直角方向へ延出した横部水切部と、該横部水切部から前記上部水切部と反対方向に突出した下部水切部を具備した屋根の水切材としたところにある。
【0016】
請求項2においては、前記下部水切部が、前記上部水切部の延長上に位置することにある。
【0017】
請求項3においては、前記下部水切部が、前記横部水切部を往復に折り曲げて形成したことにある。
【0018】
請求項4においては、前記上部水切部と前記横部水切部のいずれか又は双方の先端に水返しを形成したことにある。
【0019】
請求項5においては、前記上部水切部の上方を前記横部水切部と同方向に所定角度だけ折り曲げて先端水切部を形成したことにある。
【0020】
請求項6においては、前記横部水切部と前記先端水切部が略平行であることにある。
【発明の効果】
【0021】
この発明の屋根の水切材によると、上部水切部が野地板や下葺材の外側面と化粧破風板等の壁材の外側面を塞ぐので、これらの外側面から雨水等が浸入しないことは勿論のこと、野地板と壁材との間に形成される隙間をも塞ぐので、この隙間からの浸入も防ぐことができる。加えて、外部からの見栄えも良くなる。更に、横部水切部が、前記隙間の中に挿入されて野地板の裏面に当接し又上部水切部が野地板の外側面に当接させるだけで位置決めが出来るので、施工が簡単になり、作業能率が向上する。更に、この横部水切部には、上部水切部と反対方向に突出した下部水切部が設けられているので、これによって、横或いは下方向からの雨水や粉雪の浸入或いは巻き水の浸入を有効に阻止し、家屋内部の部材の汚れや資材の腐敗を防止できる。更には、野地板の外側面や野地板の下面と壁材の上面との隙間を塞いでいるので外部からの火災時の延焼を防止できる。
【0022】
前記下部水切部が上部水切部の延長上にある場合には、横部水切部を上部水切部との分かれ目まで深く隙間の奥まで押し込むことができるので、壁材の上面の奥行きが広い場合であっても塞ぐことが出来て漏れの防止効果を高めることが出来る。
【0023】
前記下部水切部が、前記横部水切部を往復に折り曲げて形成したときには、1枚の金属板材を折り曲げ加工するだけで屋根の水切材を形成できる。また、折り曲げて形成した空間内には、重ね合わせたとき上方の水切材の下部水切部が入るので、長手方向に連続して使用する場合には水漏れなく途切れることなく連続性を保つことが出来、また、運搬時に重ね合せても嵩張らない。
【0024】
前記上部水切部と前記横部水切部のいずれか又は双方の先端に水返しを形成すれば、その先端を超えて水が浸入しないので、より一層防水効果を高めることが出来る。
【0025】
前記上部水切部の上方を前記横部水切部と同方向に所定角度だけ折り曲げて先端水切部を形成すれば、この水切材を軒先や片流れ屋根の棟側の端部に用いた場合には、その折り曲げた先端水切部が野路板等の端部上面と密着し易くなるので、防水効果がより一層向上する。
【0026】
前記横水切部と前記先端水切部が略平行になるまで折り曲げた場合には、軒先における野地板等の外側面及びその上面と下面を挟み込めて隙間が殆どなくなるので、野地板等の外側面からの雨水等の浸入をより効果的に阻止でき、又、火災防止効果を高めることができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の実施形態の屋根の水切材を取付した切妻屋根のけらば側の要部一部断面斜視説明図。
【図2】図1の要部断面説明図。
【図3】屋根の屋根の水切材の一実施態様の斜視図。
【図4】図3の屋根の水切材に水返しを設けた他の実施態様の斜視図。
【図5】図4の屋根の水切材と下部水切部の位置を変えた他の実施態様の斜視図。
【図6】図5の屋根の水切材を取付した切妻屋根のけらば側の要部断面説明図。
【図7】他の実施形態の屋根の水切材の斜視図。
【図8】図7の屋根の水切材を取付けた軒先の断面説明図。
【図9】他の実施形態の屋根の水切材の斜視図。
【図10】図9の屋根の水切材を取付けた軒先の断面説明図。
【図11】他の実施形態の屋根の水切材の斜視図。
【図12】図11の屋根の水切材を取付けた軒先の断面説明図。
【図13】他の実施形態の屋根の水切材の斜視図。
【図14】図13の屋根の水切材を取付けた軒先の断面説明図。
【図15】他の実施形態の屋根の水切材の斜視図。
【図16】図15の屋根の水切材を取付けた軒先の断面説明図。
【図17】従来例の屋根の要部一部断面説明図。
【図18】図17の要部拡大断面説明図。
【図19】他の従来例の屋根の要部断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
この発明の一実施形態を以下図1乃至図4に基づいて説明する。
この発明の一実施形態の屋根の水切材1は、図3に示すように、防錆性能を有する長尺な矩形の金属板材を長手方向に沿って折り曲げ加工してなるものであって、野地板8等の外側面を覆い隠す幅広な水切面を有する上部水切部2と、この上部水切部2から略直角方向へ延出した横部水切部5と、該横部水切部5から前記上部水切部2と反対方向に突出した下部水切部4を具備したものである。
【0029】
図4に示すように、必要に応じて前記上部水切部2や横部水切部5の先端に水返し6を設けても良い。また、前記下部水切部4は、図3に示すように、横部水切部5の端の上部水切部2の延長上であっても、図5に示すように、横部水切部5の中央部分であっても良い。上部水切部2と横部水切部5のなす角度αは、略直角に限定されず、適宜変更しても良い。図示のように、水切材1を1枚の金属板材を折り曲げて形成する場合には、下部水切材4はこの金属板材を往復に折り曲げて形成できる。この時に折返した金属板材の間に空間3を形成しておけば、屋根の水切材1の端部同士を上流側を上に載せるようにして重ね合わせた際に、連続性を保たれるので、水の流れがスムーズになり且つ水漏れも防止できる。また、搬送の際には、縦方向に積層しても嵩張ることがない利点がある。更にまた、折り返し角度を変えることで上部水切部2と横部水切部5のなす角度αを適宜変えることができる。
【0030】
この屋根の水切材1は、例えば、前述した図17、図19に示す屋根構造において使用されるもので、その使用状態を図1と図2に基づいて説明する。なお、屋根構造について既に説明してあるので同じ部材には同じ符号を用いてその説明を省略する。
【0031】
この屋根の水切材1の取付けは、野地板8の端部上方に設けられている端部材13の外側面及び野地板8の外側面に上部水切部2を当接させると共に横部水切部5の上面を野地板8の下面に当接させることによって位置決めをしてから、上部水切部2を釘などの係止具24を用いて端部材13の外側面に固定させるだけの作業でよい。複数の屋根の水切材1を使用する場合には、軒先側から施工して、継ぎ目においては軒先側の屋根の水切材1の棟側端部の上面に棟側の屋根の水切材1の軒先側の端部の下面を重ねて施工することによって、棟側から軒先側へ流下する雨水等が継目から漏水しないようにする。
【0032】
野地板8の上面に敷設している下葺材9の端部9aが端部材13の外側面からたれ下がっている部分は上部水切材2の外側面とけらば瓦16の内側面の間に収納するようにしながら、屋根の水切材1を取付け固定した後にけらば瓦16を軒先側から順に棟側へと施工してゆく。
【0033】
化粧破風板18は屋根の水切材1を取付ける前工程で破風板17に固定しても、後工程で固定してもよい。いずれの場合においても、野地板8や図19に示す品板23の下面と化粧破風板18との上面の間には少しの隙間19を形成するようにしておく。この隙間19にはコーティング材やスポンジなどを詰め込んで一層の防水効果を図ってもよいが、これらを用いなくても下部水切部4の長さが隙間19の開口よりも長く形成しておくことにより、又、下部水切部4を化粧破風板18に当接させておくことにより、横方向からの雨水や粉雪解け水が浸入するのを防止できる。又、万一浸入しても横部水切部5が野地板8や品板23の下面に当接しているので、野地板8や品板23に雨水等が触れることはない。そして、万一、横部水切部5を伝って雨水等が浸入した場合であっても、水返し6が下方に向けて横部水切部5の先端に設けられていれば、野地板8の奥方向への浸入は阻止できる。
【0034】
上部水切部2の先端に形成した水返し6は、下方から吹き上げた風に混ざって雨水等が浸入した場合に端部材13の上方へと伝わらないようにしたものであるが、ここまで雨水等が達するのは極めてまれであるため必ずしも必要ではない。
【0035】
又、下部水切部4と横部水切部5のなす角度αが直角である場合には、位置決めの時に座りが良くて施工がし易いが、直角でなくても差し障りはないので、とくに限定されるものではない。
【0036】
尚、この実施形態においては、折り曲げて形成した下部水切部4の空間3は屋根の水切材1を継ぐ時に上流側すなわち棟側の屋根の水切り材1の同じ折れ曲がり部分を挿入して重ねるためである。
【0037】
上記のように施工したこの屋根の水切材1によると、けらば瓦16と端部材13の空間から入った雨水や粉雪解け水は上部水切部2に沿って下落したり軒先側へと流下していく。又、この上部水切部2は野地板8や品板23の外側面を塞ぎ、又、下部水切部4は化粧破風板18の外側面に当接しているので、隙間19の開口をより確実に塞ぐことができる。このとき、横部水切部5の下面と化粧破風板18の上面の間にコーディング材を介在させておけばより一層の雨水等の浸入を防止できる。又、横部水切部5の先端に水返し6を設ければ横部水切部5の下面を伝わって奥行き方向に雨水が浸入した場合でも、この水返し6によって確実に阻止できる。更に又、年月の経過によって野地板8にあばれが発生しても、横部水切部5を下方へ押し込むだけであるので、防水効果に影響を与えない。更に又、軒先側から棟側へ複数の屋根の水切材1を継いで使用する場合であっても、空間3部分に上流側の折れ曲がり部を入れることができるので、継目からの水漏れを防止できる。
【0038】
更に、この屋根の水切材1を施工する際に、上部水切部2を端部材13や野地板8の外側面に当接させると共に横部水切部5の上面を野地板8や品板23の下面に当接させるだけでよいので、施工の手数が省けると共に、正確な位置合わせが可能となり、外からの見栄えも向上する。
【0039】
更に又、コーティング材が不要であるので、施工数が減少すると共にコーティング材の詰め忘れなどによる施工のミスが生じ難くなり利点がある。
【0040】
更に、下部水切部4によって隙間19の開口を隠すことができるので、外部から見栄えもよくなる。
【0041】
尚、以上の実施形態においては、破風板17や化粧破風板18を用いた家屋について説明したが、これらに加えてパネルなどの壁材を使用する場合であっても、この壁材の上面と野地板の下面の間に隙間19を設ける場合にも適用できるため、これらを全て含めて壁材と総称した。
【0042】
図5及び図6示す実施形態が前記の実施形態と異なるところは、下部水切部4が横部水切部5の中央寄りから下方に突出している点である。これにより、野地板8の外側面が化粧破風板18より外側に突出している場合にも、下部水切部4が粧破風板18に密着又は接近するので、隙間19の開口を塞いで雨水等の浸入を阻止出来る。この実施形態の屋根の水切材1の場合も、前記実施態様の場合と同様に切妻屋根の妻側のけばらに好適に使用出来る。
【0043】
図7及び図8に示す実施形態が前記図5に示す実施形態と異なるところは、上部水切部2の先端部を前記横部水切部5の突出方向と同方向に所定角度だけ折り曲げて先端水切部21を形成したものである。上部水切部2に対する折り曲げ角度は、野地板8の傾斜角度と略同等であることが好ましい。また、この実施形態では、水返し6は横部水切部5の先端にのみに設けている。図において、25は桁で、野地板8を載せる垂木は省略してある。
【0044】
これを、屋根の軒先に使用した場合には、図8に示すように、先端水切部21を野地板8の軒先側の上面に被せ、上部水切部2を野地板8の先端部を隠すようにして横部水切5を化粧破風板18の上面で野地板8の下面の間の隙間に挿入し、下部水切部4を破風板17の化粧破風板18の外側面に密着若しくは接近させたものである。下葺材9はこの先端水切部21の上方に載せ、図示していないが屋根葺材はこの下葺材9の上方に載せる。これにより、野地板8の外側面や野地板8の下面と化粧破風板18の間に形成される隙間が塞がれるので、野地板8や隙間への雨水等の浸入を阻止できるのに加えて、外からの見栄えを良くすることが出来る。更に、下部水切部3により横若しくは下方から吹上げる雨風をも防ぐことが出来る。下部水切部4を化粧破風板18に当接させればこの効果をより高めることが出来る。万一、横部水切部5の下面を伝って内部に入り込んだ雨水等は水返し6によって奥への侵入を阻止できる。
【0045】
図9及び図10に示す実施形態が、図7に示す前記実施形態と異なるところは、下部水切部4を上方水切部2の下方への延長上に設けた点である。これを屋根の軒先に設けた場合には、前記実施形態と異なり、下部水切部4が野地板8の外側面に下に位置することになるが、これによっても見栄えが良くなり、巻き水や横雨風による雨水等の浸入を阻止できる。又、野地板8の外側面から雨水等が浸入するのを阻止できる。横部水切部5の下面と化粧破風板18の上面の間に隙間が生じた際にはパッキン材又はスポンジを挿入しても良い。
【0046】
図11及び図12に示す実施形態が、図9に示す実施形態と異なるところは、上部水切部2に対する横部水切部5の折り返し角度αを直角より小さくしたものである。この場合には空間3は図示のように上方が広く拡がることとなる。これにより野地板8の傾斜角度が変化した場合でも、横部水切部5を水平方向に維持できる。これは水切部2に対する先端水切部21の折り曲げ角度の変更によっても同様に対応できる。
【0047】
図13及び図14に示す実施形態が、図11に示す実施形態と異なるところは、上部水切部2に対する横部水切部5の折り返し角度αが略直角で、且つ、上部水切部2に対する先端水切部21の折り曲げ角度も略直角であるので、横部水切部5と先端水切部21が略平行になっている点である。この実施形態の屋根の水切材1を屋根の軒先に使用すれば、図14に示すように、野地板8の先端部を先端水切部21と横部水切部5の間に挟むことが出来るので、野地板8に対する防水効果を挙げることが出来る。又、下部水切部4を長く形成すればこの下部水切部4により壁材の上面と野地板8の下面との隙間を塞ぐことが出来る。なお、この実施態様では、先端水切部21の上面に軒水切材26を設置して、この上から桟材10で野地板8に押さえて固定しているために、これによっても雨水等が野地板8に直接当たることを防止できる。

【0048】
図15及び図16に示す実施形態は、片流れ屋根の棟側の端部の使用に適しているもので、野地板8の外側面を先端水切部21で覆い壁材と野地板8との隙間を上部水切2と横部水切部5とで塞いで、防止するようにしたものである。水返し6が横部水切部5の先端にあるので紛れ込んだ雨水等はこの横部水切部5の上面から排出される。
【0049】
なお、以上の説明においては、下部水切部4は板材を往復に折り曲げて真ん中に空間3形成した例について述べたが、別途の板材を横部水切部5の下面に固定するようにしても良い。但し、この場合には屋根の水切材1を接続して用いる場合の重なり部分をとり難くなり、又、積み重ねもし難くなる。屋根の水切材1の長さは、特に限定されるものではないが、1.5〜4m位が適当であり、端数は切断して調整する。
【産業上の利用可能性】
【0050】
この発明の屋根の水切り材は、日本の風土に合った家屋一般に適用することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 屋根の水切材
2 上部水切部
3 空間
4 下部水切部
5 横部水切部
6 水返し
8 野地板
11 屋根葺材
13 端部材
14 水平片
15 垂直片
16 けらば瓦
18 化粧破風板(壁材)
19 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家屋の屋根の野地板のなどの下葺材の外側面を覆い隠す上部水切部と、該上部水切部の下方から該上部水切部と略直角方向へ延出した横部水切部と、該横部水切部から前記上部水切部と反対方向に突出した下部水切部を具備したことを特徴とする屋根の水切材。
【請求項2】
前記下部水切部が、前記上部水切部の延長上に位置することを特徴とする請求項1に記載の屋根の水切材。
【請求項3】
前記下部水切部が、前記横部水切部を往復に折り曲げて形成したものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の屋根の水切材
【請求項4】
前記上部水切部と前記横部水切部のいずれか又は双方の先端に水返しを形成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の屋根の水切材
【請求項5】
前記上部水切部の上方を前記横部水切部と同方向に所定角度だけ折り曲げて先端水切部を形成したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の屋根の水切材
【請求項6】
前記横部水切部と前記先端水切部が略平行であることを特徴とする請求項5に記載の屋根の水切材


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−87448(P2013−87448A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226913(P2011−226913)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(511248412)
【出願人】(511248423)