説明

屋根上取付具

【課題】挟着片間が開かずに、波形屋根に安定的に固定維持できるようにした屋根上取付具を提供する。
【解決手段】先端同士が対向する一対の挟着片13、13を下部に設けた略門形の挟着具1を備えてなり、一対の挟着片13、13を相互に近接させて、波形屋根Yの頂部Y1aより突出したボルト体Bに挟着させるようにした屋根上取付具において、
挟着片13は、ボルト体Bの雄ネジ部B1に係止するボルト係止溝部13bと、締付用突出片14とを備えてなり、締付体15をさらに備え、該締付体15で、重合した締付用突出片14、14を挟持締め付けする構造としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波形屋根の頂部より突出したボルト体に挟着させることで屋根上に取り付けるようにした屋根上取付具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、折板屋根(角波形屋根)、丸波形屋根等の波形屋根の上面に、例えばテレビアンテナや空調機器、太陽電池パネル、遮熱シート等の各種機器・部材類を配設することが実施されており、従来には、各種機器・部材類を屋根上に取り付けるための種々の屋根上取付具が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1に記載された屋根は、山部と谷部とが交互に連続してなる波形屋根における山部の頂部で、隣接する屋根材同士を重ねてなる重合部をボルト体とナットの螺着によって連結、固定する重ね式連結構造となっている。そして、その波形屋根に取り付けられる屋根上取付具は、屋根材の重合部を波形屋根の下方より貫通して屋根上に突出した、屋根材連結のためのボルト体の雄ネジ部を、先端が相対向する挟着片で挟み込むことで設置できるようになっている。
【0004】
具体的には、この屋根上取付具は、略門形に形成した挟着具の両脚片を横方向に貫通する緊締用ボルトおよびナットで両脚片を緊締して、両脚片のそれぞれの下端から対向するように延びた両挟着片をボルト体に挟着させる構造となっている。挟着片の先端がボルト体のネジ溝に食い込んだ状態で係止、固定されるので、屋根上取付具は容易に外れることなく屋根上にしっかりと固定される。
【0005】
また、特許文献2のものは、挟着具が支点連結された一対の挟着部材より構成され、波形屋根の頂部におけるハゼ部に対して挟着する構造となっているが、この種のものを、重ね式連結構造の屋根に適用させ、両挟着片でボルト体に挟着させる構造に形成した場合でも、同様に屋根上取付具はしっかりと屋根上に固定されることが想定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−77692号公報
【特許文献2】特許第3368374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、このような屋根上取付具であっても、設置した各種機器・部材類や風雨、積雪等により屋根上取付具に負荷がかかり、挟着片同士の挟着が緩んで挟着片間がわずかに開いて、屋根上取付具がボルト体からずり上がったり、抜け出たりするおそれがある。
【0008】
図16は、ボルト体への挟着によって設置できるようにした従来の屋根上取付具の波形屋根への取付例を示した概略説明図である。この図例は、波形屋根Yの側端縁の山部Y1の頂部Y1aにおける、重ね式接合構造におけるボルト体Bの軸部B1への屋根上取付具(挟着具100)の挟着例である。図中のY2は谷部である。
【0009】
この図例のように、遮熱シート110を複数の挟着具100に固定フレーム111を介して固定して張り渡した状態において、例えば遮熱シート110上に積雪した場合、雪Sの重みによって遮熱シート110の両側に配された屋根上取付具(挟着具100)が中央に引っ張られて挟着片101、101の先端同士が開いて、不安定な状態となるおそれがある。さらに力が加わることで、ボルト体Bに挟着した挟着片101が傾斜しながら抜け出ていくおそれもある。
【0010】
また、テレビアンテナや空調機器、太陽電池パネル等の機器を取り付けた場合、挟着具100の挟着片101が少しでも開いてしまえば、屋根上取付具が外れないまでも、それらの機器がぐらついたり傾いたりして不安定な状態となって、機器が正常に機能しなくなるおそれもある。
【0011】
本発明は、このような問題を考慮して提案されたもので、その目的は、挟着片間が開かず、波形屋根に安定的に固定維持できるようにした屋根上取付具を提供することにある。また、屋根上取付具の波形屋根への安定的な固定を簡易、迅速にできるようにすることを、本発明のさらなる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の屋根上取付具は、先端同士が対向する一対の挟着片を下部に設けた略門形の挟着具を備えてなり、該一対の挟着片を相互に近接させて、波形屋根の頂部より突出したボルト体に挟着させるようにした屋根上取付具において、挟着片は、ボルト体の雄ネジ部に係止するボルト係止溝部と、締付用突出片とを備えてなり、締付体をさらに備え、該締付体で、重合した締付用突出片を挟持締め付けする構造としたことを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の屋根上取付具は、締付用突出片、締付体の少なくとも一方が、該締付体のずれ、外れを阻止する外れ止め手段を備えている。
【0014】
請求項3に記載の屋根上取付具では、外れ止め手段は、締付用突出片の外面に形成された溝部を備えてなり、締付体が溝部に嵌合する構成となっている。
【0015】
請求項4に記載の屋根上取付具では、外れ止め手段は、締付体側に掛止部を備える一方、締付用突出片側に掛止部が掛止する掛止受部を備えた構成になっている。
【0016】
請求項5に記載の屋根上取付具では、挟着具は、挟着片を下端に折曲形成させた脚片と、該脚片を両端に延設させた台座部とを含んで一体形成され、一対の脚片を緊締することで一対の挟着片を近接させる構造としている。
【0017】
請求項6に記載の屋根上取付具では、挟着具は、挟着片を下端に折曲形成させた脚片と、該脚片を一方端に延設させた台座部とよりなる挟着部材を一対有し、一対の挟着部材を台座部で開閉自在に支点連結して構成されている。
【0018】
請求項7に記載の屋根上取付具では、挟着具は、挟着片を下端に折曲形成させた脚片と、該脚片を一方端に延設させた台座部とよりなる挟着部材を一対有し、一対の挟着部材を台座部を重合して開閉自在に連結して構成されている。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の屋根上取付具によれば、重合した締付用突出片を締付体で挟持締め付けする構造となっているので、挟着片でボルト体を挟着し、ボルト係止溝部でボルト体の雄ネジ部に係止した状態で、締付用突出片同士を固定してしまえば、その後、挟着片間が開くことはなく、屋根上取付具のぐらつきやボルト体からの抜けを防止でき、安定した固定状態を維持することができる。
【0020】
特に、締付体で締付用突出片同士を挟持するだけで締め付け固定できる構成であるため、ボルト止めやカシメ止めなどよりもはるかに効率よく作業することができる。
【0021】
請求項2に記載の屋根上取付具によれば、締付用突出片、締付体の少なくとも一方が外れ止め手段を備えているので、締付体が締付位置からずれ動いたり、締付用突出片から外れたりすることを防止できる。
【0022】
請求項3に記載の屋根上取付具によれば、締付用突出片の外面に形成された溝部に締付体を嵌合させる構成であるため、ずれや外れを簡易な構造で防止することができる。
【0023】
請求項4に記載の屋根上取付具によれば、突起や突部などの掛止部を締付体に設けて、その掛止部で締付用突出片に設けた掛止受部に掛止する構成となっているため、外れ防止を確実にできる。この掛止構造を上記溝部と併用すれば、締付体の溝部への嵌合と、掛止部の掛止受部への掛止とで締付体の縦横へのずれを確実に防止できる。
【0024】
請求項5に記載の屋根上取付具によれば、挟着具が挟着片を下端に折曲形成させた脚片と、脚片を両端に延設させた台座部とを含んで一体形成されているため、挟着具を頑丈かつシンプルな形状に構成できる。また、挟着具が一体形成されているため両挟着片間でずれが発生するおそれがほとんどない。
【0025】
さらに、一対の脚片を緊締することで一対の挟着片を近接させる構造としているため、一対の脚片を緊締するための緊締用ボルト等を設けるだけで緊締の構造を実現でき、そのため構造をシンプルにできる。
【0026】
請求項6に記載の屋根上取付具によれば、一対の挟着部材を台座部で開閉自在に支点連結して挟着具を構成しているので、緊締によらず、省力かつ簡易な操作で挟着片をボルト体に挟着させることができる。
【0027】
請求項7に記載の屋根上取付具によれば、一対の挟着部材を台座部を重合して開閉自在に連結して挟着具を構成しているので、請求項6の屋根上取付具と同様、緊締によらず、省力かつ簡易な操作で挟着片をボルト体に挟着させることができる。また、台座部を重合させた構造であるため屋根上取付具を頑丈に構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る屋根上取付具の第1実施形態の説明図であり、(a)は屋根上取付具を波形屋根へ取り付ける前の状態を示した分解斜視図、(b)は締付体の正面図である。
【図2】屋根上取付具の挟着片の展開図である。
【図3】屋根上取付具の波形屋根への取り付け後の状態を示した一部破断斜視図である。
【図4】(a)、(b)は、屋根上取付具の施工手順を示した部分断面正面図である。
【図5】(c)は、屋根上取付具の施工手順を示した部分断面正面図である。
【図6】屋根上取付具の波形屋根への載置状態を説明するための概略平面図である。
【図7】(a)、(b)は、締付体の締付用突出片への装着手順を示した要部斜視図である。
【図8】(a)〜(e)は、締付用突出片の他の形状例を示した部分斜視図である。
【図9】(a)、(b)は、締付体と締付用突出片の他の組み合わせ2例を示した部分斜視図である。
【図10】(a)〜(d)は、締付体の他の形状例を示した斜視図である。
【図11】本発明に係る屋根上取付具の第2実施形態の説明図であり、(a)は屋根上取付具を波形屋根へ取り付ける前の状態を示した分解斜視図、(b)は締付体を締付用突出片に装着した状態の要部斜視図である。
【図12】屋根上取付具に使用される挟着具の分解斜視図である。
【図13】(a)、(b)は、屋根上取付具の施工手順を示した部分断面正面図である。
【図14】(c)、(d)は、屋根上取付具の施工手順を示した部分断面正面図である。
【図15】本発明に係る屋根上取付具の第3実施形態の説明図であり、(a)は屋根上取付具に使用される挟着具の分解斜視図、(b)は屋根上取付具の施工状態を示した正面図である。
【図16】従来の屋根上取付具の設置例を示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【0030】
図1は、本発明に係る屋根上取付具の第1実施形態の説明図であり、図1(a)は屋根上取付具を波形屋根へ取り付ける前の状態を示した分解斜視図、図1(b)は挟着具を固定するための締付体の正面図である。図2は、屋根上取付具の挟着片の展開図である。図3は、屋根上取付具の波形屋根への取り付け後の状態を示した一部破断斜視図である。図4(a)、(b)および図5(c)は、屋根上取付具の施工手順を示す部分断面正面図である。図6は、屋根上取付具の波形屋根への載置状態を説明するための概略平面図である。図7(a)、(b)は、締付体の締付用突出片への装着手順を示した要部斜視図である。
【0031】
この屋根上取付具Aが取り付けされる波形屋根としては、図例として示した折板屋根Y(角波形屋根)や丸波形屋根が挙げられる。また、屋根の素材としては、金属や合成樹脂、セメント系等のものが適用できる。
【0032】
図例として示した折板屋根Yは、山部Y1と谷部Y2が交互に連続する屋根であって、複数の折板屋根材を側端縁の山部Y1の頂部Y1aで重合し、その重合部でボルト体BとナットC1の螺着によって連結した重ね式連結構造となっている。
【0033】
このナットC1は、図例においては、その下方の座金C2とともに座金部Cを構成している。座金C2は、ボルト孔からの水の浸入を防止するための防水パッキンC3を覆っている。なお、座金部Cは、図例のような座金C2を含まず螺着用のナットC1のみで構成してもよい。
【0034】
また、折板屋根Yの裏側には、正面視で折板屋根Yと略同形状をなす、ボルト止めのための支持金具Y3が取り付けられている。折板屋根Yはこの支持金具Y3に支持される。なお、屋根上取付具Aを取り付けるためのボルト体Bの取付位置は、隣接する折板屋根材の重合部に限らず、他の頂部Y1aに支持金具Y3を用いてボルト体Bを取り付けてもよい。
【0035】
この屋根上取付具Aは、金属板または硬質樹脂板よりなり、折板屋根Yの頂部Y1aより上方に突出した上記ボルト体Bに挟着させて、取り付け、固定する構造となっている。
【0036】
具体的には、屋根上取付具Aは、台座部11と、その両端から下方に延びた一対の脚片12、12と、脚片12、12のそれぞれの下端から、先端が相対向するように折曲形成された挟着片13、13とが一体形成された、略門形の挟着具1により構成されており、両脚片12、12を緊締して、両挟着片13、13の先端を相互に近接させて、ボルト体Bに挟着させる構造となっている。
【0037】
この両脚片12、12の緊締は、対向する両脚片12、12に開設された軸孔12a、12aに貫通された緊締用ボルト25と、緊締用ナット26との螺合によってなされる。
【0038】
なお図例の屋根上取付具Aには、台座部11および両脚片12、12に、補強用のリブ11x、12xが形成されている。
【0039】
挟着片13は、屋根上取付具Aを折板屋根Yの頂部Y1aに取り付けたときに頂部Y1aの上面に接触する屋根上載置部13aを有し、その先端部において上方に折曲された立上り部13cが形成され、その立上り部13cの中央にはボルト体Bの雄ネジ部B1に係止する半割筒体よりなるボルト係止溝部13bが形成されている。
【0040】
この立上り部13cの両端には、屋根上取付具Aの中央開口の貫通方向(脚片12の幅方向)の各外側に突出した締付用突出片14が形成されているこの締付用突出片14は、対向する他方の締付用突出片14と重合した状態で、別体の締付体15により挟持締め付けされる構成となっている。
【0041】
この締付体15は、金属または硬質樹脂よりなり、図1(b)に示したように、所定間隔を開けた一対の挟持片15aを有して倒コ字形に形成されており、この一対の挟持片15aで、重合した締付用突出片14、14を挟み込みできるようになっている。また、挟持片15aの先端の開口部15bには、内側が斜めにカットされたガイド部15eが形成されて、締付用突出片14に装着しやすいようになっている。
【0042】
また、図7(a)、(b)の要部斜視図に示すように、締付用突出片14、14の各外面には幅方向に沿った溝部14aが形成してあり、各挟持片15aが嵌合できるようになっている。この溝部14aは外れ止め手段20を構成しており、これによって、締付体15の横ずれや外れを防止することができる。
【0043】
一方、屋根上載置部13aは、図2の挟着片13の展開図に示すように、中央部に大きな開口が形成され、これを折り曲げて挟着片13を形成したときには、その開口によって、屋根上取付具Aを頂部Y1aに設置したときに上記座金部Cを収容する(回避する)座金部収容空所13aaが形成される。
【0044】
この座金部収容空所13aaは、平面的には座金C2の大きさ分を収容でき、高さ方向においてはナットC1の上端までを収容できる程度の空所であればよい。
【0045】
また、ボルト係止溝部13bは内側に雌ネジ部13baを形成した半割筒体よりなり、脚片12の緊締によって両ボルト係止溝部13b、13bでボルト体Bを抱持することで雄ネジ部B1と係止される。こうして、雄ネジ部B1とボルト係止溝部13bとは、ネジ山とネジ溝とが相互に噛み合って、強固な挟着関係が形成され、それによって屋根上取付具Aがボルト体Bに固定される。
【0046】
また、図3に示すように、屋根上取付具Aは頂部Y1aの上面に載置されるように固定される。つまり、屋根上取付具Aを設置したときには挟着片13の屋根上載置部13aは頂部Y1aの上面に接触する。
【0047】
したがって、この屋根上取付具Aによれば、ボルト係止溝部13bにより折板屋根Yの頂部Y1aより突出したボルト体Bにしっかりと係止、挟着でき、さらに、2組の締付用突出片14、14同士を締付体15で挟持し締め付け固定することで、挟着片13、13間が開くことをほぼ確実に防止することができる。特に、本実施形態に示した締付用突出片14は外側に突出しているので、ボルト止めの作業がしやすく、施工の負担にならない。
【0048】
また、締付体15を締付用突出片14、14に差し込むだけで挟着片13、13同士を開かないように固定できるので作業を迅速に行える。ボルト止めやカシメ止めなどよりも簡易に固定できるので効率よく作業できる。
【0049】
このように、ボルト係止溝部13bによるボルト体Bの雄ネジ部B1への係止と、挟着片13によるボルト体Bへの挟着と、締付用突出片14、14の締付体15による締付固定との協働によって、屋根上取付具Aのボルト体Bからの抜け出しや、ぐらつきをほぼ確実に防止することができる。
【0050】
またさらに、波形屋根Yに取り付けたときに、屋根上載置部13aが頂部Y1aに接触する構成となっているので、屋根上取付具Aのボルト体Bへの固定安定化を補完できる。
【0051】
また、図1に示すように座金C2の径が大きく、頂部Y1aの幅方向の両側に広いスペースが得られない場合でも、座金部収容空所13aaが形成された屋根上載置部13aが挟着片13に形成されているため、図例のように頂部Y1aの幅方向に両脚片12、12を並べるように設置する場合でも、挟着片13は座金部Cに抵触することなく、挟着片13を安定的に頂部Y1aの上面に接触、載置させることができる。
【0052】
また、図6は屋根上取付具Aの折板屋根Yへの載置状態を示した概略平面図であるが、両挟着片13、13の屋根上載置部13a、13aは、クロスハッチングで示しているように座金部Cに接触することなく、頂部Y1aの上面に面接触している。図6に示すように、屋根上載置部13aは、座金部Cの周回部において頂部Y1a上面に接触するので、安定的な設置が望める。
【0053】
以上のように構成した本発明の屋根上取付具Aは、以下の要領で折板屋根Yに取り付けて使用する。
【0054】
まず、両脚片12、12の軸孔12a、12aの一方から緊締用ボルト25の軸部25aを貫通させ、緊締用ボルト25の先端側から緊締用ナット26を軽く締めて仮止め状態にしたうえで、折板屋根Yに立設されたボルト体Bの上方から、両挟着片13、13のボルト係止溝部13b、13b間の間隙Sを通じてボルト体Bを嵌挿する(図4(a)、(b)参照)。
【0055】
次に、仮止め状態にしていた緊締用ボルト25および緊締用ナット26を緊締すると、この締め付け力によって両脚片12、12が近接して、両挟着片13、13のボルト係止溝部13b、13bも互いに近接し、両半割筒体がボルト体Bの雄ネジ部B1を挟み込み、ボルト係止溝部13b、13bがボルト体Bの雄ネジ部B1の外周面のネジ溝に係止して(螺合関係を形成して)ボルト体Bを挟持する(図4(b)、図5(c)参照)。
【0056】
そして最後に、向かい合い接触あるいは近接して重合状態となった締付用突出片14、14に、締付体15の頭部15dをハンマー等で叩いて挟持片15aを圧嵌し、締付用突出片14、14を挟持固定する(図3参照)。
【0057】
こうして折板屋根Yに取り付けた屋根上取付具Aの台座部11の上方には、各種機器・部材類(不図示)を取り付けることができる(図5(c)参照)。
【0058】
また、本実施形態の屋根上取付具Aによれば、挟着具1は、挟着片13、13を下端に折曲形成させた両脚片12、12と、脚片12、12を両端に有した台座部11とを含んで一体形成されているため、挟着具1を頑丈かつシンプルな形状に構成できる。
【0059】
さらに、緊締用ボルト25を用いて一対の脚片12、12を緊締することで一対の挟着片13、13を近接させる構造としているため、挟着構造をシンプルに構成できる。
【0060】
また、ボルト係止溝部13bを半割筒体で構成し、両ボルト係止溝部13b、13bで筒体を構成してボルト体Bを包み込むようにすることが強固な挟着を実現するうえで望ましいが、ボルト体Bの雄ネジ部B1に係止できればボルト係止溝部13bを半割筒体に形成しなくてもよく、ボルト体Bの雄ネジ部B1の外周の一部を係止するものでもよい。
【0061】
本実施形態では、屋根上取付具Aの締付用突出片14を波形屋根の頂部の長手方向に向けて挟着具を設置しているが、締付用突出片14を谷部Y2に向けて設置してもよい。そのように設置すれば、締付用突出片14が谷部Y2側に突出するので、挟持片15aが長い締付体15を用いて締付用突出片14を挟持することができる。このように挟持片15aを長くすれば、締付体15の外れ防止を強化することができる。
【0062】
また、本実施形態では、締付用突出片14に対して締付体15を上方から装着するようにしたものを示したが、後述する第2実施形態のように、締付用突出片14の端部から横方向に装着するようにしてもよい。
【0063】
つぎに、締付用突出片14の種々の締め付け態様および締付体15の種々の例について、図8〜図10を参照しながら説明する。
【0064】
図8(a)〜(e)は、締付用突出片14の他の形状例を示した部分斜視図である。これらの例はいずれも、締付用突出片14に、締付体15のずれ、外れを阻止できる外れ止め手段20が形成されている。これらのうち図8(a)〜(c)は、第1実施形態のものと同様に締付体を上方から装着する例であり、図8(d)、(e)は締付体を横から装着する例である。
【0065】
図8(a)の締付用突出片14は、外側面に折曲成形による溝部14aが形成してあり、その溝部14aに締付体15の挟持片15aを嵌合装着できるようになっている。第1実施形態(図7)のものと同様、溝部14aによって締付体15の横ずれが防止できる。
【0066】
図8(b)の締付用突出片14は、端部にストッパ片14bが形成してあり、締付体15が横方向に移動して締付用突出片14から抜け出ることを防止する構造となっている。
【0067】
図8(c)の締付用突出片14は、倒L字形に形成され、上部に水平片14cを有しており、この水平片14cには締付体15の挟持片15aを挿着できる開口14caが形成されている。この構造によれば、開口14caにより挟持片15aを固定できるので締付体15の横ずれ、外れを確実に防止できる。
【0068】
図8(d)の締付用突出片14は、幅方向の中央に横方向(長手方向)に走る溝部14aが形成されており、締付用突出片14の長手方向に沿って横方向に装着した締付体15が上下方向にずれないようになっている。
【0069】
図8(e)の締付用突出片14は、上下端部にストッパ片14bを設けて溝部14aを形成しており、締付用突出片14本体が溝形形状となっている。これによれば、締付体15が上下方向に移動して締付用突出片14から抜け出ることを防止できる。
【0070】
なお、図8の各図には、外れ止め手段20を構成する各部位に外れ止め手段20を示す符号を併記している。他の図においても同様である。
【0071】
図9(a)、(b)は、締付体15と締付用突出片14の他の組み合わせ2例を示した部分斜視図である。
【0072】
図9(a)の組み合わせ例は、締付体15を横方向に装着する例であり、挟持片15aの内側に突起よりなる掛止部15cを有した締付体15を、締付用突出片14の溝部14aに装着するようにした構造例である。この溝部14aには貫通孔や穴、凹部よりなる掛止受部14dが形成してあり、挟持片15aの掛止部15cが掛止受部14dに嵌り込み掛止して外れ止めできる構造となっている。
【0073】
ようするに、図9(a)のものは、溝部14aと、掛止部15cおよび掛止受部14dとより外れ止め手段20を構成している。つまり、掛止構造と溝部14aによる嵌合構造とを併用することで、締付体15の縦横へのずれ、外れを確実に防止することができる。
【0074】
なお、締付体15の突起(掛止部15c)は、装着時に挟持片15aがスムーズに弾性的に拡開されるように、半球状にすることが望ましい。
【0075】
図9(b)の組み合わせ例は、締付体15を上方から装着する例であり、挟持片15aの下端の内側に突部を有した締付体15を、締付用突出片の溝部に装着するようにした構造例である。締付体15の突部は掛止部15cを構成しており、この掛止部15cが締付用突出片14の下端(掛止受部14d)に掛止して外れ止めできる構造となっている。図9(b)の例の場合、挟持片15aのガイド部15eの傾斜面で弾性的に拡開させて装着することが望ましい。
【0076】
以上のような種々の外れ止め手段20によれば、締付体15が締付位置からずれ動いたり、締付用突出片14から外れたりすることを防止できる。
【0077】
特に、締付用突出片14の外面に溝部14aを形成したものでは、溝部14aに締付体15を嵌合させる構成であるため、締付体15のずれや外れを簡易な構造で防止することができる。また、締付体15に突起や突部などの掛止部15cを設けて、その掛止部15cで締付用突出片14の掛止受部14dに掛止するようになっているため、外れ防止を確実にできる。図例のように溝部14aによる嵌合構造と、掛止部15cと掛止受部14dによる掛止構造とを併用すれば、締付体15を溝部14aにより強固に固定できるので、締付体15の縦横へのずれをほぼ確実に防止できる。
【0078】
なお、外れ止め手段20としては、溝部14a等による嵌合構造のみによるもの(図7、図8参照)、掛止部15cと掛止受部14dによる掛止構造を併用したもの(図9参照)に限られず、掛止部15cと掛止受部14dによる掛止構造だけで外れ止め手段20を構成するようにしてもよい。
【0079】
図10(a)〜(d)は、締付体15の種々の形状例を示した斜視図である。これらの例はいずれも、ハンマーで叩くための頭部15dを大きくした例である。
【0080】
図10(a)は上端を一方向に折曲させて頭部15dを形成した例であり、図10(b)は上端を相反する方向に折曲させて頭部15dを形成した例である。図10(c)は円柱体を加工形成したものであり、図10(d)は板体を折曲形成したものであり、いずれも頭部15dが広く形成されている。
【0081】
いずれの締付体15も、頭部15dが平面的に広く形成されているので、ハンマーで叩きやすく、締付用突出片14への装着をミスなく簡単に行える。
【0082】
図8〜図10に示した種々の例は、後述する第2、第3実施形態の屋根上取付具Aにも適用可能であることはいうまでもない。
【0083】
ついで、第2実施形態について説明する。
【0084】
図11は、本発明に係る屋根上取付具の第2実施形態の説明図であり、図11(a)は屋根上取付具の波形屋根への取り付け前の状態を示した斜視図、図11(b)は締付体を締付用突出片に装着した状態の要部斜視図である。図12は、屋根上取付具に使用される挟着具の分解斜視図である。図13(a)、(b)および図14(c)、(d)は、図11で示した屋根上取付具の施工手順を示す部分断面正面図である。
【0085】
なお、本実施形態においては、屋根上取付具Aの波形屋根への取り付け後の斜視図については図示を省略する。また、屋根上取付具Aの載置状態を示す斜視図については第1実施形態と略同様であるため図示を省略する。
【0086】
この屋根上取付具Aが取り付けされる波形屋根としては、第1実施形態のものと同様、図例として示した折板屋根Y(角波形屋根)や丸波形屋根が挙げられる。また、屋根の素材としては、金属や合成樹脂、セメント系等のものが適用できる。
【0087】
また、屋根上取付具Aの取付対象である折板屋根Yについても、第1実施形態で示した折板屋根Yと同一であり、その構造については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0088】
この屋根上取付具Aは、一対の挟着部材10、10を開閉自在に支点連結して挟着具1´を構成し、挟着具1´の作用点とされる相対向した一対の挟着片13、13を相互近接させ固定して、折板屋根Yの頂部Y1aより突出したボルト体Bに挟着させる構造とした取付具である。
【0089】
まず、挟着部材10の構成部のうちボルト体Bの挟着を担う挟着片13について説明する。
【0090】
この挟着片13は、第1実施形態と同様に、屋根上取付具Aを折板屋根Yの頂部Y1aに取り付けたときに頂部Y1aの上面に接触する屋根上載置部13aを有し、その先端部において上方に折曲された立上り部13cが形成され、その立上り部13cの中央にボルト体Bの雄ネジ部B1に係止する半割筒体よりなるボルト係止溝部13bが形成されている。
【0091】
この立上り部13cの両端には、第1実施形態と同様に、屋根上取付具Aの中央開口の貫通方向(脚片12の幅方向)の各外側に突出する締付用突出片14が形成されている。この締付用突出片14は、対向する他方の締付用突出片14と重合した状態で、別体の締付体15により挟持締め付けされる構成となっている。
【0092】
この締付体15は、金属または硬質樹脂よりなり、図11(a)に示したように、締付用突出片14の端部に横方向から装着するものであり、第1実施形態と同じものを用いてもよいが、締付用突出片14の長さに合わせて、長めのものを用いてもよい。図11(b)に示すように、挟持片15aはその先端が挟着具1の内方スペースに挿入される程度の長さにしてもよい。なお、締付体15の形状については第1実施形態のものと同様であるため、説明は省略する。
【0093】
また、第1実施形態と同様に、締付用突出片14、14の各外面には締付体15を嵌合させるための溝部14a(図7参照)が形成されていることが望ましい。
【0094】
一方、屋根上載置部13aは中央部が開口されており、その開口によって屋根上取付具Aを頂部Y1aに設置したときに座金部Cを収容する座金部収容空所13aaを形成している。この座金部収容空所13aaは、第1実施形態と同様に座金部Cが収容できる寸法のものであればよい。
【0095】
なお、ボルト係止溝部13bについても第1実施形態と同様に、内側に雌ネジ部13baを形成した半割筒体よりなるものを示しているが、これには限定されない。
【0096】
このように、この屋根上取付具Aによれば、ボルト係止溝部13bにより折板屋根Yの頂部Y1aより突出したボルト体Bにしっかりと挟着でき、さらに、2組の締付用突出片14、14同士を締付体15で締め付け固定することで、挟着片13、13間が外力により開くことをほぼ確実に防止することができる。
【0097】
また、このように、ボルト係止溝部13bによるボルト体Bの雄ネジ部B1への係止と、挟着片13によるボルト体Bへの挟着と、締付用突出片14、14締付体15による締付固定との協働によって、屋根上取付具Aのボルト体Bからの抜け出しや、ぐらつきをほぼ確実に防止することができる。
【0098】
またさらに、屋根上載置部13aが頂部Y1aに接触した構成となっているので、屋根上取付具Aのボルト体Bへの固定安定化を補完できる。
【0099】
また、図11に示すように座金C2の径が大きく、頂部Y1aの幅方向の両側に広いスペースが得られない場合でも、座金部収容空所13aaが形成された屋根上載置部13aが挟着片13に形成されているため、図例のように頂部Y1aの幅方向に両脚片12、12を並べるように設置する場合でも、挟着片13が座金部Cに抵触することなく、挟着片13を安定的に頂部Y1aの上面に接触させることができる。
【0100】
ついで、挟着具1´の全体構造について説明する。
【0101】
挟着具1´を構成する一対の挟着部材10、10のそれぞれは、中央にボルト貫通孔11eが開設され、ボルト貫通孔11eから一方の側端縁に至る切り溝11dが形成された上板11Aと、上板11Aの基端より折曲して下方に延びる脚片12、12と、脚片12、12の下端から上板11Aと略同一の方向に延びる挟着片13、13とより構成されている。
【0102】
挟着具1´は、上記2つの挟着部材10、10の上板11A同士を相対向させた状態で、相互の上板11Aの先端が相手の上板11Aの基端の下に配されるように、上板11Aの切り溝11d同士を相互差し込みして両上板11A、11Aを揺動自在に噛み合わせてボルト貫通孔11e同士を一致させ、その一致させたボルト貫通孔11eに挟着具締付ボルト21を通し、締付ナット22を螺合することで挟着片13、13の先端に設けたボルト係止溝部13b、13b同士を近接させる構造となっている。
【0103】
ここで、挟着具締付ボルト21としては、図示するように、角根丸頭ボルトを使用すればよく、締付ナット22としては、ハット状の座金22bの頂面にナット22aが回動自在に取り付けられた座金付きナットを使用すればよい。ボルト止め23は合成樹脂等より製され、孔23aの周縁に複数の切り込み23bが形成してある。
【0104】
以上の構造を要約すれば、2つの挟着部材10、10は上板11Aに形成された切り溝11dで交差状に連結され、挟着具締付ボルト21と締付ナット22で上下から2つの上板11A、11Aを締め付けることで、切り溝11d部分を支点として力点となる上板11A、11Aの先端を拡開させ、交差状態にある両上板11A、11Aをより平板状に近づけ、それによって作用点とされる両挟着片13、13を相互に近接させるような変形鋏構造となっている。
【0105】
また、さらに具体的には、図12に示すように、上板11Aは平板状の基端部11aと、その基端部11aより先端側に形成された段差部11cと、その段差部11cよりさらに先端側に形成された、基端部11aよりほぼ板厚1枚分低い位置にある先端部11bとを備えている。そして、上板11Aのほぼ中央には、段差部11cを中心に基端部11aと先端部11bにまたがる長孔が設けてあり、この長孔が上記ボルト貫通孔11eを構成している。さらに、この長孔の先端部11b側の端部側には、下向きに切り起こした押さえ爪11fが形成されている。また、このボルト貫通孔11eに連通する上記切り溝11dは、段差部11cに沿って形成されている。なお、上板11Aは、全体として緩い前方傾斜状となっていることが望ましい。
【0106】
このように、段差部11cを、上板11Aの中央に設けたボルト貫通孔11eと切り溝11dとに沿って形成することで、上板11Aの先端部11bが開いたときに、交差重合した2枚の上板11Aがほぼ平板状となり、かつ上板11Aの基端部11aと相手の挟着部材10の上板11Aの先端部11bとの間の隙間がより小さくなって、ぐらつくおそれのない、より安定した形状とすることができる。こうして交差状に重なり合った両上板11A、11Aは、各種機器・部材類を設置するための台座部11を構成する。
【0107】
このような屋根上取付具Aによれば、挟着具1´が2つの挟着部材10、10で構成され、それらが開閉自在に支点連結されているので、挟着具締付ボルト21と締付ナット22とが緩んだ状態にあるときは、2つの挟着部材10、10も緩んだ状態にある。そのため、両挟着片13、13を閉状態に固定するためには、締付ナット22を締め付けて上板11A、11A同士を固定するだけでよく、施工性がよい。
【0108】
また、2つの挟着部材10、10で挟着する構造であるため挟着片13の先端が相互にずれるおそれがあるが、重合した締付用突出片14、14を締付体15で締め付け固定する構造であるため、そのようなずれの発生を阻止することができる。
【0109】
以上のように構成した本発明の屋根上取付具Aは、以下の要領で折板屋根Yに取り付けて使用する。
【0110】
まず、屋根上取付具Aを挟着具1´の両挟着片13、13が十分に開いた状態、つまり挟着具締付ボルト21、締付ナット22の螺合を緩めて、2つの挟着部材10、10を開閉自在に支点連結しておき、折板屋根Yに立設されたボルト体Bの上方から、両ボルト係止溝部13b、13b間の間隙Sを通じてボルト体Bを嵌挿する(図13(a)参照)。
【0111】
次に、仮止め状態にしていた挟着具締付ボルト21および締付ナット22を締め付けていくと、揺動自在に緩んだ状態で交差状に重合していた両上板11A、11Aが平板状に近づき、それと同時に両脚片12、12の下端より延びた両挟着片13、13も互いに近接し、両半割筒体がボルト体Bの雄ネジ部B1を挟み込み、ボルト係止溝部13b、13bがボルト体Bの雄ネジ部B1の外周面のネジ溝に係止してボルト体Bを挟持する(図13(b)、図14(c)参照)。
【0112】
そして最後に、向かい合い接触あるいは近接して重合状態となった締付用突出片14、14に、締付体15の頭部15dをハンマー等で叩いて挟持片15aを圧嵌し、締付用突出片14、14を挟持固定する(図11(b)参照)。
【0113】
こうして折板屋根Yに取り付けた屋根上取付具Aの台座部11の上方には、各種機器・部材類Eを取り付けることができる(図14(d)参照)。
【0114】
つぎに、本発明に係る屋根上取付具の第3実施形態について説明する。
【0115】
図15は本発明に係る屋根上取付具の第3実施形態の説明図であり、図15(a)は屋根上取付具に使用される挟着具の分解斜視図、図15(b)は屋根上取付具の施工状態を示した正面図である。
【0116】
この屋根上取付具Aは、一対の挟着部材10、10を開閉自在に挟着具締付ボルト21、締付ナット22で連結して挟着具1´を構成し、挟着具締付ボルト21、締付ナット22の螺進によって相対向した一対の挟着片13、13を相互近接させ固定して、挟着片13、13のボルト係止溝部13b、13bで、折板屋根Yの頂部Y1aより突出したボルト体Bに係止、挟着する構造となっている。
【0117】
挟着片13はさらに、第1、第2実施形態と同様の締付用突出片14を有しており、重合された締付用突出片14に横方向から締付体15を装着して挟持固定できるようになっている。よって、本実施形態の屋根上取付具Aについても、ボルト係止溝部13bによるボルト体Bの雄ネジ部B1への係止と、挟着片13によるボルト体Bへの挟着と、締付用突出片14、14同士の締付固定との協働によって、屋根上取付具Aのボルト体Bからの抜け出しや、ぐらつきをほぼ確実に防止することができる。
【0118】
なお、本実施形態で用いる締付体15は、板体を折曲して形成したもの(図10(d)に示したものと同形状)であり、締付用突出片14に対して横方向から装着できるようになっている。また図例では、締付用突出片14に対応して高さ寸法の大きいものを用いているため、安定した締め付け挟持を行える。
【0119】
またさらに、波形屋根Yに取り付けたときに、屋根上載置部13aが頂部Y1aに接触する構成となっているので、屋根上取付具Aのボルト体Bへの固定安定化を補完できる。
【0120】
挟着具1´を構成する一対の挟着部材10、10のそれぞれは、中央にボルト貫通孔11eが開設され上板11Aと、上板11Aの基端より折曲して下方に延びる脚片12と、脚片12の下端から上板11Aと略同一の方向に延びる挟着片13とより構成されている。また挟着部材10は、上板11Aの端部から脚片12の下端にいたるまで、中央位置に上方に盛り上がったリブ18が形成されている。両上板11A、11Aは上下にほとんど隙間なく重合、嵌合できるように、上側の挟着部材10のリブ18幅が下側の挟着部材10のリブ18幅よりも大きくなっている。こうして、両上板11A、11Aが重なり合って台座部を構成している。
【0121】
両挟着片13、13のそれぞれの先端には、上述したように、半割筒体よりなるボルト係止溝部13bが形成されている。
【0122】
このような挟着部材10、10を挟着具締付ボルト21、締付ナット22の螺合により連結し、螺進させていくと、下側に配されている上板11Aのリブ18による突出部が、上側のリブ18による凹部に嵌り込んで両挟着部材10、10は固定され、それとともに挟着片13、13の先端同士が近接し、両ボルト係止溝部13b、13bがボルト体Bを係止、挟着して固定される。
【0123】
本実施形態の屋根上取付具Aの効果については、第2実施形態のものと同様であり、さらに本実施形態では台座部11を重合させた構造であるため、屋根上取付具を頑丈に構成できるという効果も奏せられる。
【0124】
以上に示した第1〜第3実施形態では、座金部収容空所13aa(図1、図7等参照)として開口により形成したものを例示したが、挟着片13(屋根上載置部13a)に、上方に向けて凹ませた(上方が開口していない)凹部を設けて、その凹部空間によって座金部収容空所を構成してもよい。
【0125】
また、以上の3実施形態で示した屋根上取付具Aはいずれも、相対する2つの締付用突出片14を2対(4片)備えているが、いずれか1対を備えたものであってもよい。さらに上記3実施形態では、締付用突出片14に対して横方向にボルト止めしているが、上下方向にボルト止めできるようにした締付用突出片であってもよい。つまりこの場合、一方の挟着片から突出した締付用突出片と、他方の挟着片から突出した締付用突出片とが挟着時に上下に重なるように形成されていればよい。
【符号の説明】
【0126】
A 屋根上取付具
1、1´ 挟着具
10 挟着部材
11 台座部
12 脚片
13 挟着片
13a 屋根上載置部
13b ボルト係止溝部
13ba 雌ネジ部
14 締付用突出片
15 締付体
15a 挟持片
15b 開口部
15c 掛止部
15d 頭部
15e ガイド部
20 外れ止め手段
B ボルト体
B1 雄ネジ部
Y 折板屋根(波形屋根)
Y1 山部
Y1a 頂部
Y2 谷部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端同士が対向する一対の挟着片を下部に設けた略門形の挟着具を備えてなり、該一対の挟着片を相互に近接させて、波形屋根の頂部より突出したボルト体に挟着させるようにした屋根上取付具において、
上記挟着片は、上記ボルト体の雄ネジ部に係止するボルト係止溝部と、締付用突出片とを備えてなり、
締付体をさらに備え、該締付体で、重合した上記締付用突出片を挟持締め付けする構造としたことを特徴とする屋根上取付具。
【請求項2】
請求項1において、
上記締付用突出片、上記締付体の少なくとも一方は、該締付体のずれ、外れを阻止する外れ止め手段を備えている屋根上取付具。
【請求項3】
請求項2において、
上記外れ止め手段は、上記締付用突出片の外面に形成された溝部を備えてなり、上記締付体が該溝部に嵌合する構成となっている屋根上取付具。
【請求項4】
請求項2または3において、
上記外れ止め手段は、上記締付体側に掛止部を備える一方、上記締付用突出片側に上記掛止部が掛止する掛止受部を備えた構成になっている屋根上取付具。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項において、
上記挟着具は、上記挟着片を下端に折曲形成させた脚片と、該脚片を両端に延設させた台座部とを含んで一体形成され、一対の脚片を緊締することで一対の挟着片を近接させる構造としている屋根上取付具。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項において、
上記挟着具は、上記挟着片を下端に折曲形成させた脚片と、該脚片を一方端に延設させた台座部とよりなる挟着部材を一対有し、上記一対の挟着部材を上記台座部で開閉自在に支点連結して構成されている屋根上取付具。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか1項において、
上記挟着具は、上記挟着片を下端に折曲形成させた脚片と、該脚片を一方端に延設させた台座部とよりなる挟着部材を一対有し、上記一対の挟着部材を上記台座部を重合して開閉自在に連結して構成されている屋根上取付具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−11067(P2013−11067A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142788(P2011−142788)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(593178409)株式会社オーティス (224)