説明

展示用ブリスターバック

【課題】ブリスターパックが床に近い場所に吊下げ展示された場合でも、そのままの状態で、商品の前面イメージが容易に確認できるようにする。
【解決手段】商品収容部12は、鍔部13に対して傾斜した傾斜部14を備え、裏部材21は、商品収容部12に収められた商品5の位置ズレを防止する支持凸部22が、商品収容部12に対応して形成され、吊下げ部41が吊下げられたときには、傾斜部14によって、商品5の前面が、斜め上方を向く構造になっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前方に突出した商品収容部が形成された透視可能な樹脂カバーと、この樹脂カバーの鍔部に後方から一体化される裏部材とからなり、吊下げ部を設けて、吊下げて展示される展示用ブリスターパックの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記のようなブリスターパックでは、商品収容部に収容された商品が中でガタつかないように、商品が裏部材に沿うような形状になっていた。そのような従来技術の例として、引用文献1には、表台紙と裏台紙が折目線を介して一体のものからなり、表台紙の中央にはカバーの形状に副った開口部を穿設したブリスターパックが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実登3107154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ブリスターパックに収容される商品は多様であり、中には、例えば住宅用火災警報のような、正面視ではイメージが掴めるが、側面視ではイメージが掴みにくいものもある。そして、そのような商品を収容したブリスターパックが床に近い場所に吊下げ展示されてしまうと、購買者は、そのブリスターパックをわざわざ手にとって、商品のイメージを確認しなければならなかった。
【0005】
そこで、本発明は、ブリスターパックが床に近い場所に吊下げ展示された場合でも、そのままの状態で、商品の前面イメージが容易に確認できるブリスターパックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるブリスターパックは、前方に突出し、その裏面側に商品を収める商品収容部と、この商品収容部を囲む鍔部とが形成された透視可能な樹脂カバーと、前記商品収容部の裏面側の開口を塞ぐように、前記樹脂カバーの鍔部に後方から一体化される裏部材とを備え、吊下げ部を設けて、吊下げ展示される展示用ブリスターパックにおいて、前記商品収容部は、前記鍔部に対して傾斜した傾斜部を備え、前記裏部材は、前記商品収容部に収められた商品の位置ズレを防止する支持凸部が、前記商品収容部に対応して形成され、前記吊下げ部が吊下げられたときには、前記傾斜部によって、前記商品の前面が、斜め上方を向く構造になっている。
【0007】
また、前記ブリスターパックは、前記樹脂カバーの鍔部に前方から一体化される表部材を更に備え、前記表部材は、前記商品収容部を貫通させて前方に突出させるための開口が形成されていてもよい。
【0008】
また、前記吊下げ部は、前記樹脂カバーの商品収容部の上方から前方に突出形成して構成されていてもよい。
【0009】
また、前記ブリスターパックは、商品として、住宅用警報器を収容してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、展示用ブリスターパックが吊下げられたときには、商品の前面が斜め上方を向くようにしているので、ブリスターパックが床に近い場所に吊下げ展示された場合でも、そのままの状態で、商品の前面イメージが容易に確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】は、実施例の分解斜視図である。
【図2】は、実施例の全体斜視図である。
【図3】は、実施例の縦破断図で、吊下げ展示された状態を示している。
【図4】は、他の実施例の分解斜視図である。
【図5】は、他の実施例の全体斜視図である。
【図6】は、他の実施例の縦破断図で、吊下げ展示された状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1〜図3は、商品5として1台の住宅用警報器を想定した展示用ブリスターパックの例で、同一ブリスターパックの分解斜視図、全体斜視図、縦破断図になっている。なお、商品5は、住宅用警報器に限定されないが、薄型のものが望ましい。
【0013】
ブリスターパックは、商品収容部12が形成された樹脂カバー11と、樹脂カバー11に後方から一体化される裏部材21とからなり、吊り具6によって吊下げるための吊下げ部41を備えている。
【0014】
樹脂カバー11は、例えば、ポリエチレンテレフタート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)等、無色あるいは有色の透視可能な樹脂製である。それ以外の素材として、生分解樹脂等も利用できる。
【0015】
商品収容部12の基部周囲には、平坦な鍔部13が形成されており、商品収容部12は、鍔部13に対して傾斜した傾斜部14を備えている。商品収容部12に収容された商品5は、傾斜部14に接触することで、鍔部13、裏部材21に対して傾斜した状態となる。ここで、傾斜部という用語は、商品収容部12に収容された商品5が傾斜した状態になるように、商品5に接触する部分の呼称として用いている。従って、そのような機能を果たすならば、傾斜部14の形状、個数に何ら制限はない。例えば、この例では、商品収容部12の前面全体がその傾斜部14になっている。なお、商品収容部12は、全体として、商品5に沿う形状とするのが望ましいが、余裕を持たった形状、大きさとし、複数個所のみが商品5に接触するようにしてもよい。
【0016】
鍔部13は、裏部材21を接着剤あるはホチキスによって固定するための付けしろとなる部分で、裏部材21にピッタリと合わさるように、方形の輪郭としてもよい。あるいは、商品収容部12の基部より一回り大きくした輪郭としてもよい。
【0017】
また、樹脂カバー11には、ブリスターパックを吊り具6に吊下げるための吊下げ部41が、商品収容部12の上方から前方に突出して形成されている。図示した吊下げ部41は、展示用の吊り具6を挿通させる筒形で、先端の開口43は、そこが吊り具6の係止点になるように、やや狭くなっている。なお、別構成として、吊下げ部41の先端にフックを設けてもよい(図示なし)。
【0018】
吊下げ部41の前方への突出長は、ブリスターパックが吊り具6に吊下げ展示されたときに、傾かずに垂直になるように、商品5、樹脂カバー11、および裏部材21の重量、バランスを考慮して決定される。従って、商品5の外形が同じであっても、その重量、バランスが異なれば、吊下げ部41の突出長も異なる。この構成では、吊下げ部41は樹脂カバー11と一体に形成されているが、こうすれば、部品点数が増加しないので、組み立てに手間がかからない。
【0019】
図3では、2つのブリスターパックが1つの吊り具6(棒)によって吊下げ展示されており、いずれのブリスターパックでも、商品収容部12に収容された商品5は、その前面が斜め上方を向いており、裏部材21の支持凸部22によって後方から支えられ、ガタつかないように位置決めされている。
【0020】
このように、ブリスターパックが吊りされられたとき、商品5の前面が斜め上を向く構造であれば、ブリスターパックの陳列位置が下の方であっても、購買者は、ブリスターパックを吊り具6から外して確認することなく、見下ろすだけで商品5の前面イメージが確認できるので、利便である。
【0021】
裏部材21は、樹脂カバー11と同様の素材からなるが、厚紙等、他の部材で形成してもよい。裏部材21には、商品収容部12に収められた商品5の位置ズレを防止する支持凸部22が、商品収容部12に対応して形成されている。その形状は特に制限されないが、この例では、商品5の裏面に沿う傾斜面になっている。また、商品収容部12に収容された商品5の陰にならない場所には、商品名やロゴ、簡単な説明文等が印刷されている(図示なし)。
【0022】
図4〜図6は、商品5として複数台の住宅用警報器を想定した展示用ブリスターパックの例で、同一ブリスターパックの分解斜視図、全体斜視図、縦破断図になっている。上記実施例と共通の構成要素には、同一の参照符号を付けて、説明を省略する。
【0023】
この例では、樹脂カバー11に複数の商品収容部12が形成され、裏部材21にも、商品収容部12のそれぞれに対して、複数の支持凸部22が形成されている。
【0024】
なお、吊下げ部41は、上記実施例では樹脂カバー11と一体に形成されていたが、ここでは別体としている。すなわち、吊下げ部41は、その基部の周囲に、商品収容部12の鍔部13から分離した鍔部42を備えている。このような吊下げ部41の構成も本発明に含まれる。このように、吊下げ部41を、樹脂カバー11とは別体とすれば、商品収容部12の鍔部13を小さくできるので、樹脂カバー11の材料が節約できる。
【0025】
また、この例では、樹脂カバー11の鍔部13に前方から一体化される表部材31が更に備えられている。表部材31は、樹脂カバー11と同様の素材で形成してもよいが、不透明な厚紙等で形成すれば、樹脂カバー11の鍔部13が見えなくなるので、ブリスターパックの外観がスマートになる。この場合、商品名やロゴ等は、表部材31の適所に印刷すればよい。
【0026】
表部材31は、商品収容部12を貫通させて前方に突出させるための開口32と、ブリスターパックを吊り具6に吊下げるための吊下げ部41を貫通させて前方に突出させるための開口33とが形成されており、裏部材21のときと同様に、接着剤等で樹脂カバー11の鍔部13に前方から一体すればよい。あるいは、表部材31、樹脂カバー11、裏部材21を重ね合わせた状態で、まとめてホチキス止めしてもよい。
【符号の説明】
【0027】
5 商品
6 吊り具
11 樹脂カバー
12 商品収容部
13 鍔部
14 傾斜部
21 裏部材
22 支持凸部
31 表部材
32 開口
41 吊下げ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品収容部と鍔部とが形成された樹脂カバーと、前記樹脂カバーの鍔部に後方から一体化される裏部材とを備え、吊下げ部を設けた展示用ブリスターパックにおいて、
前記商品収容部は傾斜部を備え、前記裏部材には支持凸部が前記商品収容部に対応して形成され、前記吊下げ部が吊下げられたときには、前記商品の前面が斜め上方を向く展示用ブリスターパック。
【請求項2】
請求項1において、
前記樹脂カバーの鍔部に前方から一体化される表部材を更に備え、
前記表部材は、前記商品収容部を貫通させて前方に突出させるための開口が形成されていることを特徴とした展示用ブリスターパック。
【請求項3】
請求項1において、
前記吊下げ部は、前記樹脂カバーの商品収容部の上方から前方に突出形成して構成されていることを特徴とした展示用ブリスターパック。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記商品は、住宅用警報器であることを特徴とした展示用ブリスターパック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−246148(P2011−246148A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119465(P2010−119465)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】