説明

履物及びその製造方法

【課題】中底を一切使用しないで、返りの良好な履物であり、かつ履物の各構成部材の柔軟性を損なうことがなく、履く人にやさしく、履いた時に軽量感のあるサンダルや靴等の履物及びその製法を提供する。
【解決手段】熱可塑性エラストマー、合成ゴム等の弾性材からなる表底3は上部表底3aと下部表底3bからなる分割型表底接合構造であって、該上部表底は上面に弾性シート5を形成し、上部表底裏面に前記下部表底の上面と接合する耐屈曲性を有する上部表底接合面を備え、前記下部表底は上面に該上部表底接合面と接合する耐屈曲性を有する下部表底接合面を備えるとともに下部表底裏面における足の返り相当部位の前後に亘り、足の幅方向に沿ってブロック状の凸条部が間隔をおいて形成され、かつ下部表底裏面の土踏まず相当部位まで延出した踵部を一体に形成する構造であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はサンダル、靴、室内履き履物等の各種履物に適用され、特に履いた時に足の返りが良好な履物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来靴の製法として、グッドイヤ式製法があり、この製法は中底を靴型に仮止めして製甲をつり込み、製甲と細革とをこの中底リブに製靴機械にて縫いつける方法である。これに対してセメンテッド式製法は、つり込んだ甲と底とを糸で縫い付けないで接着剤で張り合わせる方法である。また、マッケイ式製法は、つり込み済みの製甲と中底に表底を張り付けて、靴型を抜いてから製甲・中底・表底の3者を一緒に機械で通し縫いする方法である。
【0003】
上記従来の靴の製法は、いずれも中底を製法上の必須構成部材としている。この中底は靴の土台となる重要な部品であり、構造上はアッパー(靴の甲の部分)、ヒール、細革(グッドイヤー・ウェルト式製法の場合)、本底(表底)を接合する本体として、靴の背骨の役割を果たすと同時に、直接足を支えるという機能をもっており、靴のふまずあたりから後方はびくともしないように強靭に作られている。
【0004】
上記従来の靴の製法は、いずれも中底を構造上の必須構成部材としているために、靴本来の強靭さは確保されるものの、靴を履く人にとっては、靴底自体の返しがないために長時間に亘り履いていると足に過度の負担や疲労の原因ともなる。
【0005】
また、靴底の返しをよくするための靴として、甲革、中底及び表底を備えた履物において、該中底のうち足の趾部と中足部相当部位に繰り抜き穴を形成し、該繰り抜き穴全体を埋めるように返りの良好な柔軟材にて形成したことを特徴とする履物がある(特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平10−57104号公報
【0007】
しかし、上記特許文献1も基本的に中底を使用しており、また中底のうち足の趾部と中足部相当部位に繰り抜き穴を形成し、該繰り抜き穴全体を埋めるように返りの良好な柔軟材にて形成しているが、繰り抜き穴から柔軟材が剥離あるいは脱落等が起きたりする原因となり、さらには繰り抜き穴部位と中底との材料が異なるために履く人に違和感等が生じる。
【0008】
さらに、本出願人は、熱可塑性エラストマー、合成ゴム等の弾性材からなる表底であって、該表底裏面における足の返り相当部位の前後に亘り、幅方向に沿って凸条部及び該凸条部より凹んだ薄肉部を交互に形成し、かつ踵部を一体に形成し、表底の踵部及び前記凸条部のそれぞれに対応した穴部を備えた足形形状のシート状被覆体にて凸条部及び踵部が穴部から顕出する如く前記表底を被覆し、前記表底の上面には足形形状をした弾性シートを形成し、該弾性シートの上に中敷を形成し、アッパーの周縁下端が前記弾性シートの周縁又は表底の上面周縁に当接状態で中敷周縁と前記シート状被覆体の上部周縁との間にアッパー下部周縁を挟んで糸で中敷周縁、アッパー下部周縁及びシート状被覆体の上部周縁が互いに密着するように縫付け、且つアッパーがない箇所がある場合は中敷周縁と被覆体の上部周縁を縫付けたことを特徴とする履物を出願した(特願2007−112231)。
【0009】
本出願人が先に出願した上記発明は、中底を一切使用しないで、返りの良好なサンダルや靴等の履きやすい履物が得られる。特に、中敷及び足形形状をした弾性シートは従来のように全面に接着剤接着をするといった固定方法を採用しないので、履物の各構成部材の柔軟性がそれぞれ損なわれることがなく、履く人にやさしく、履いた時に軽量感を与えることができる履物であるという利点を有するも、表底の踵部及び前記凸条部のそれぞれに対応した穴部を備えた足形形状のシート状被覆体にて凸条部及び踵部が穴部から顕出する如く前記表底を被覆する作業に熟練を要すること等の理由により量産化に問題を残すこととなっていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記の点に鑑み、中底を一切使用しないで、返りの良好な履物であり、かつ履物の各構成部材の柔軟性を損なうことがなく、履く人にやさしく、履いた時に軽量感のあるサンダルや靴等の履物及びその製造方法を提供するとともに熱可塑性エラストマー、合成ゴム等の弾性材で、かつ耐屈曲性を有する表底を上部表底と下部表底からなる分割型表底接合構造又は非分割型の一体型表底接合構造とすることにより、帯状シート被覆体によるブロック状の凸条部同士間に形成される溝部の被覆作業が簡便となり、かつ従来のように剛性を有するしっかりした中底を採用せずとも表底裏面に形成する踵部が土踏まず相当部位まで延出する構造と表底裏面の返り相当部位及びその前後に一定間隔をおいて足の返りを妨げない状態で形成するブロック状の凸条部との組み合わせにより足の返りが良好で、かつ耐久性に優れた履物が得られ、上記従来の中底相当の構造では得られない履き心地の良い履物及びその製造方法を得るようにしたことにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る履物は、熱可塑性エラストマー、合成ゴム等の弾性材で、かつ耐屈曲性を有する表底は上部表底と下部表底からなる分割型表底接合構造であって、該上部表底の上面にクッション性を有する弾性シートを重ねて形成し、上部表底裏面に前記下部表底の上面と接合する上部表底接合面を備え、前記下部表底は上面に該上部表底接合面と接合する下部表底接合面を備えるとともに下部表底裏面における足の返り相当部位の前後に亘り足の幅方向に沿って足の返りを妨げない状態でブロック状の凸条部が間隔をおいて形成されるとともに下部表底裏面の土踏まず相当部位まで延出した踵部を一体に形成する構造であり、上記上部表底接合面と前記下部表底接合面とを剥離強度が確保され、かつ足の返りを妨げない接着剤を使用して接着接合し、前記ブロック状の凸条部と隣接するブロック状の凸条部間で形成される溝面のそれぞれに対応した溝面を帯状シート被覆体にて被覆するとともに上記上部表底の外周面を別の帯状シート被覆体にて被覆し、前記弾性シートの上に中敷を形成し、さらにアッパーの周縁下端部と前記中敷周縁との間に前記別のシート状被覆体の上端部を挟んで糸で互いに密着するように縫付けて固定し、且つアッパーがない箇所がある場合は中敷周縁と前記別のシート状被覆体の上部周縁を糸で縫付けて固定し、該別のシート状被覆体の下端部を前記下部表底の周縁に固定したことを特徴とする。
【0012】
請求項1記載の履物は、熱可塑性エラストマー、合成ゴム等の弾性材で、かつ耐屈曲性を有する表底を上部表底と下部表底の分割型表底接合構造であって、該上部表底の上面周縁に弾性シートを重ねる時の位置合わせ用の立ち上り部を形成するか又は位置決め線を形成するとともに上部表底の下方周縁に前記下部表底を収納可能な垂れ下がり部を形成したことを特徴とする。
【0013】
請求項1又は2記載の履物は、表底を構成する下部表底の裏面における足の返り相当部位及びその前後に亘り足の幅方向に沿って足の返りを妨げない状態で形成したブロック状の凸条部同士の間に形成される薄肉部の溝が前記下部表底の裏面における足の指先相当部位にも形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項1記載の履物は、表底を構成する下部表底の裏面に一体に形成する踵部が、前記下部表底の裏面における足の返り相当部位の近傍まで延出形成していることを特徴とする。
【0015】
請求項1記載の履物に用いる足形形状をした弾性シートは、軟らかいスポンジ体と該スポンジ体より硬く柔軟性を有する弾性材とを重ね合わせるか又は該スポンジ体より硬く柔軟性を有する弾性材単独で形成されていることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る履物にあっては、熱可塑性エラストマー、合成ゴム等の弾性材で、かつ耐屈曲性を有する表底は上部表底と下部表底が一体の非分割型表底構造であって、該非分割型表底の上面にクッション性を有する弾性シートを重ねて形成し、前記非分割型表底裏面における足の返り相当部位及びその前後に亘り足の幅方向に沿って足の返りを妨げない状態でブロック状の凸条部が間隔をおいて形成されるとともに下部表底裏面の土踏まず相当部位まで延出した踵部を一体に形成する構造であり、前記弾性シートの上に中敷を形成し、さらにアッパーの周縁下端部を前記非分割型表底の上面周縁に固定することを特徴とする。
【0017】
本発明に係る履物の製法は、熱可塑性エラストマー、合成ゴム等の弾性材で、かつ耐屈曲性を有する表底は上部表底と下部表底からなる分割型表底接合構造であって、上部表底裏面に前記下部表底の上面と接合する上部表底接合面を備え、前記下部表底は上面に該上部表底接合面と接合する下部表底接合面を備えるとともに下部表底裏面における足の返り相当部位の前後に亘り足の幅方向に沿って足の返りを妨げない状態でブロック状の凸条部が間隔をおいて形成されるとともに下部表底裏面の土踏まず相当部位まで延出した踵部を一体に形成する構造の履物部材を成形により得た後、
上部表底裏面に形成したブロック状の凸条部間の溝部を帯状シート被覆体にて被覆する工程と、
上記上部表底の外周面を別の帯状シート被覆体にて被覆する工程と、
上部表底の上面に足形形状をしたクッション性を有する弾性シートを敷設する工程と、
弾性シートの上に重ねて中敷を敷設する工程と、
アッパーの周縁下端部と前記中敷周縁との間に前記別のシート状被覆体の上端部を挟んで糸で互いに密着するように縫付けて固定し、且つアッパーがない箇所がある場合は中敷周縁と前記別のシート状被覆体の上部周縁を糸で縫付けて固定し、該別のシート状被覆体の下端部を前記下部表底の周縁に固定する工程と、
最後に前記上部表底の裏面と下部表底の表面とを剥離強度が確保され、かつ足の返りを妨げない接着剤を使用して接着する工程とからなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は中底を一切使用しないで、足の返りを妨げない状態で形成されるブロック状の凸条部と隣接するブロック状の凸条部間の薄肉部で形成される溝部の返りが良好なサンダルや靴等の履きやすい履物が得られる。また、中敷及び足形形状をした弾性シートは従来のように全面に接着剤接着をするといった固定方法を採用しないので、履物の各構成部材の柔軟性がそれぞれ損なわれることがなく、履く人にやさしく、履いた時に軽量感を与えることができ、耐久性に優れた履物である。
【0019】
さらに、本発明の特徴は、熱可塑性エラストマー、合成ゴム等の弾性材で、かつ耐屈曲性を有する表底を上部表底と下部表底からなる分割型表底接合構造とすることにより、帯状シート被覆体によるブロック状の凸条部同士間に形成される溝部の被覆及び上部表底の外周面の被覆作業が簡便となり、かつ従来のようにしっかりした中底を採用せずとも表底裏面に形成する踵部が土踏まず相当部位まで延出する構造と表底裏面の返り相当部位及びその前後に所定間隔をおいて形成するブロック状の凸条部との組み合わせにより上記従来の中底相当の構造が得られる。
さらにまた、本発明は踵部が下部表底の土踏まず相当部位まで延出する大きさの踵部に形成したことに伴い弾性シートを強靭な構造とすることなく軽量な素材で作ることができ、しかも履物としての耐久性が十分に備わった履物が得られる。
【0020】
本発明の履物の製法は、従来の中底を廃止し、履く人が長時間に亘って履いても過度の負担がかかることがなく履きやすく、足の返りを妨げない状態で形成される構造であるので履いた時に軽量感及び柔軟性の得られる履物として画期的な製法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の一実施例を図面に基いて説明する。
図1は本発明に係る履物をサンダルに適用した場合の分解斜視図である。1はアッパー、2は中敷、3は弾性材で、かつ耐屈曲性を有する上部表底3aと下部表底3bからなる分割型表底、4aはブロック状の凸条部7と隣接するブロック状の凸条部7との間に形成される溝部8を被覆する帯状シート被覆体、4bは上部表底3aの周面を被覆する別の帯状シート被覆体、5はクッション性を有する弾性シート、7は下部表底3bの裏面に同一材料にて一体に形成したブロック状の凸条部をそれぞれ示す。
【0022】
図2は本発明に係る履物をサンダルに適用した場合の上部表底と下部表底からなる分割型表底を示す履物全体の斜視図である。図3は図2のA−A矢印方向に切断した断面斜視図で、図4は図2のB−B矢印方向に切断した断面斜視図である。
中敷2は足の裏に直接当たる部分であり、革、合成樹脂等の素材からなるシートであるが、後述する足形形状をしたクッション性を有する弾性シート5とは全面に接着剤による貼り合わせをする構造ではなくスポット的な接着またはその他の固定手段を採用するか、あるいは弾性シート5の上面に単に中敷2を密着させる構造とする。
中敷2と弾性シート5を貼り合わせする構造を採用しない理由は各素材の柔軟性を有効に生かし、足の返り動作をなるべく阻害しないようにするためである。従来のように、貼り合わせ構造とした場合、接着剤の硬化に伴う素材自体の柔軟性が損なわれることを防ぐためである。
【0023】
足形形状をしたクッション性を有する弾性シート5は図1では足形形状に裁断したシート状のスポンジ体(図示せず)と合成ゴム、柔軟性を有する合成樹脂その他の弾性材料からなるシート状弾性体(図示せず)を重ねて組み合わせ使用するか、あるいはシート状弾性体の単独使用であってもよい(本例では単独使用の場合を示す)。シート状のスポンジ体とシート状弾性体は全面が接着剤により貼り合わせ構造とすることなく両者がずれない程度にスポット的に固定するか、あるいは単に密着して重ねるようにしてもよい。
【0024】
分割型表底3はEVA等の熱可塑性エラストマー、合成ゴム、ウレタン樹脂等の発泡体その他の弾性材を用いて上部表底3aと下部表底3bからなる分割型表底に形成する。分割型表底3を上下に分割形成する理由は、後記する隣接するブロック状の凸条部7同士の間に形成される溝部8を被覆する帯状シート被覆体4aにより被覆し易く、かつ綺麗に効率良く仕上げるためである。
上部表底3aは上面に重ねて形成する際に、弾性シート5が上部表底3aの上面で位置ずれがしないようにするために、上部表底3aの上面周縁を僅かに立ち上げるガイド3cを形成するか、位置合せのガイド線を引くようにする(図示せず)。なお、上部表底3aの上面周縁に形成する僅かに立ち上げるガイド3cは立ち上げる高さを高くすると足の返りを妨げることとなるので、足の返りの妨げとならないような高さに形成する必要がある。上部表底3aは裏面に下部表底3bの上面と接合する上部表底接合面を備え、下部表底3bは上面に上部表底接合面と接合する下部表底接合面を備えるとともに下部表底3b裏面における足の返り相当部位の前後に亘り、足の幅方向に沿って足の返りを妨げない状態でブロック状の凸条部7が間隔をおいて形成され、かつ下部表底3b裏面に踵部9を一体に同一材料にて成形等により形成する構造である。
上部表底接合面と前記下部表底接合面とは、剥離強度が確保され、かつ足の返りを妨げないように接着剤により接着接合する。例えば上部表底と下部表底の接合面の接着剤の量を多くし、全面に塗布した場合、剥離強度は十分に確保されるが、接着剤の硬化に伴い足の返りを却って妨げる結果となるために、相反する両者(剥離強度と足の返り)を同時に満足するような接着剤の種類及び塗布量並びに塗布面積等を考慮して接着することが肝要である。
下部表底3bの裏面における足の返り相当部位の前後に亘り、足の幅方向に沿ってブロック状の凸条部7及び該凸条部7より凹んだ薄肉部で形成される溝部8を交互に形成し、かつブロック状の踵部9が下部表底裏面の土踏まず相当部位まで延出した構造を成型により一体に形成する。
ブロック状の凸条部7の形状は直方体その他各種形状であってもよく、要はブロック状の凸条部と隣接するブロック状の凸条部間の薄肉部での返りがしやすい形状及び構造であればよい。上部表底3a自体は軽量化等の観点から成型時にその上面及びその内部に窪み(図示せず)を形成する場合であってもよい。
ブロック状の踵部9は図2に示すように、下部表底3bの裏面における足の返り相当部位及びその近傍に延出する大きさに形成する。
【0025】
図3は中敷2の周縁とアッパー1の周縁下端との間に別の帯状シート被覆体4bの上部周縁を挟んでいと10で縫い合わせて固定した状態を示す断面斜視図である。
中敷2の周縁とアッパー1の周縁下端との間に別の帯状シート被覆体4bの上部周縁を挟んだ状態で糸10により縫付けて固定し、該縫付け部6が表に現れないようにひっくり返した状態でアッパー1を立ち上げる。
【0026】
また、表底を上部表底3aと下部表底3bからなる分割型表底に形成する場合の他、上部表底3aと下部表底3bを分割しない非分割型の一体的な表底に形成しても良いが、この非分割型の一体的な表底の場合は、帯状シート被覆体は原則として不要である。
【0027】
図5は本発明の他の実施例を示す斜視図で、表底3が一体に形成されており、帯状シート被覆体4a及び別の帯状シート被覆体4bを使用しない場合の例である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る履物をサンダルに適用した場合の分解斜視図である。
【図2】本発明に係るサンダルの斜視図である。
【図3】中敷とアッパーと別の帯状シート被覆体とを縫い合わせて周縁を固定した状態を示す履物の断面図である。
【図4】中敷と別の帯状シート被覆体とを縫い合わせて周縁を固定した状態を示す履物の断面図である。
【図5】本発明の他の実施例を示す斜視図で、表底を一体に形成した場合の斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
1 アッパー
2 中敷

3 分割型表底
3a 上部表底
3b 下部表底
3c ガイド
4a 帯状シート被覆体
4b 別の帯状シート被覆体
5 弾性シート
6 糸縫い部分
7 ブロック状の凸条部
8 薄肉部で形成される溝部
9 踵部
10 糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性エラストマー、合成ゴム等の弾性材で、かつ耐屈曲性を有する表底は上部表底と下部表底からなる分割型表底接合構造であって、該上部表底の上面にクッション性を有する弾性シートを重ねて形成し、上部表底裏面に前記下部表底の上面と接合する上部表底接合面を備え、前記下部表底は上面に該上部表底接合面と接合する下部表底接合面を備えるとともに下部表底裏面における足の返り相当部位の前後に亘り足の幅方向に沿って足の返りを妨げない状態でブロック状の凸条部が間隔をおいて形成されるとともに下部表底裏面の土踏まず相当部位まで延出した踵部を一体に形成する構造であり、上記上部表底接合面と前記下部表底接合面とを剥離強度が確保され、かつ足の返りを妨げない接着剤を使用して接着接合し、前記ブロック状の凸条部と隣接するブロック状の凸条部間で形成される溝面のそれぞれに対応した溝面を帯状シート被覆体にて被覆するとともに上記上部表底の外周面を別の帯状シート被覆体にて被覆し、前記弾性シートの上に中敷を形成し、さらにアッパーの周縁下端部と前記中敷周縁との間に前記別のシート状被覆体の上端部を挟んで糸で互いに密着するように縫付けて固定し、且つアッパーがない箇所がある場合は中敷周縁と前記別のシート状被覆体の上部周縁を糸で縫付けて固定し、該別のシート状被覆体の下端部を前記下部表底の周縁に固定したことを特徴とする履物。
【請求項2】
請求項1記載の履物は、熱可塑性エラストマー、合成ゴム等の弾性材で、かつ耐屈曲性を有する表底を上部表底と下部表底の分割型表底接合構造であって、該上部表底の上面周縁に弾性シートを重ねる時の位置合わせ用の立ち上り部を形成するか又は位置決め線を形成するとともに上部表底の下方周縁に前記下部表底を収納可能な垂れ下がり部を形成したことを特徴とする請求項1記載の履物。
【請求項3】
請求項1記載の履物は、表底を構成する下部表底の裏面における足の返り相当部位及びその前後に亘り足の幅方向に沿って足の返りを妨げない状態で形成したブロック状の凸条部同士の間に形成される薄肉部の溝が前記下部表底の裏面における足の指先相当部位まで形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の履物。
【請求項4】
請求項1記載の履物の表底を構成する下部表底の裏面に一体に形成する踵部が、前記下部表底の裏面における足の返り相当部位の近傍まで延出形成していることを特徴とする請求項1、2又は3記載の履物。
【請求項5】
請求項1記載の履物に用いる足形形状をした弾性シートは、軟らかいスポンジ体と該スポンジ体より硬く柔軟性を有する弾性材とを重ね合わせるか又は該スポンジ体より硬く柔軟性を有する弾性材単独で形成されていることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の履物。
【請求項6】
熱可塑性エラストマー、合成ゴム等の弾性材で、かつ耐屈曲性を有する表底は上部表底と下部表底が一体の非分割型表底構造であって、該非分割型表底の上面にクッション性を有する弾性シートを重ねて形成し、前記非分割型表底裏面における足の返り相当部位及びその前後に亘り足の幅方向に沿って足の返りを妨げない状態でブロック状の凸条部が間隔をおいて形成されるとともに下部表底裏面の土踏まず相当部位まで延出した踵部を一体に形成する構造であり、前記弾性シートの上に中敷を形成し、さらにアッパーの周縁下端部を前記非分割型表底の上面周縁に固定することを特徴とする履物。
【請求項7】
熱可塑性エラストマー、合成ゴム等の弾性材で、かつ耐屈曲性を有する表底は上部表底と下部表底からなる分割型表底接合構造であって、上部表底裏面に前記下部表底の上面と接合する上部表底接合面を備え、前記下部表底は上面に該上部表底接合面と接合する下部表底接合面を備えるとともに下部表底裏面における足の返り相当部位の前後に亘り足の幅方向に沿って足の返りを妨げない状態でブロック状の凸条部が間隔をおいて形成されるとともに下部表底裏面の土踏まず相当部位まで延出した踵部を一体に形成する構造の履物部材を成形により得た後、
上部表底裏面に形成したブロック状の凸条部間の溝部を帯状シート被覆体にて被覆する工程と、
上記上部表底の外周面を別の帯状シート被覆体にて被覆する工程と、
上部表底の上面に足形形状をしたクッション性を有する弾性シートを敷設する工程と、
弾性シートの上に重ねて中敷を敷設する工程と、
アッパーの周縁下端部と前記中敷周縁との間に前記別のシート状被覆体の上端部を挟んで糸で互いに密着するように縫付けて固定し、且つアッパーがない箇所がある場合は中敷周縁と前記別のシート状被覆体の上部周縁を糸で縫付けて固定し、該別のシート状被覆体の下端部を前記下部表底の周縁に固定する工程と、
最後に前記上部表底の裏面と下部表底の表面とを剥離強度が確保され、かつ足の返りを妨げない接着剤を使用して接着する工程とからなる履物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−148509(P2009−148509A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−340600(P2007−340600)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【特許番号】特許第4256903号(P4256903)
【特許公報発行日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(599104831)
【Fターム(参考)】