説明

履物収納用部材

【課題】 本発明は、左右一対の履物を上下方向に安定的に配置することができ、履物の収納場所の省スペース化を図ることができる履物収納用部材を提供する。
【解決手段】 本発明の履物収納用部材Aは、左右一対の履物のうちの何れか一方の履物S1を載置するための下側履物載置部材1と、上記下側履物載置部材1の上方に位置し且つ他方の履物S2を載置するための上側履物載置部材2とからなり、上記上下履物載置部材1,2はその後端部において回動自在に接続されていると共に、上記上側履物載置部材2を上記下側履物載置部材1対して傾斜状態に保持可能に構成されていることを特徴とするので、左右一対の履物S1、S2を上下方向に重ね合わせた状態にして省スペース化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右一対の履物を上下方向に重ね合わせた状態に配設して省スペース化を図ることができる履物収納用部材に関する。
【背景技術】
【0002】
左右一対の履物は、不使用時には通常、左右に揃えた状態にして下駄箱内に収納され、或いは、玄関などの床面に並べた状態とされる。そして、下駄箱内には、通常、履物を載置するための棚板が複数枚、所定高さ毎に配設され、これら棚板上に履物を載置している。
【0003】
しかしながら、使用していない履物を玄関などの床面に並べると体裁が悪いだけでなく、現在、使用している履物すら置くことができない状態となることがある。又、下駄箱内に履物を収納する場合には、上述のような問題点は発生しないものの、棚板間の上下間隔が履物の高さに比して広い場合には、下駄箱内に収納スペースが余っているにもかかわらず、限られた数の履物しか収納することができず、収納効率が悪いといった問題点を有していた。
【0004】
そこで、特許文献1には、左右一対の靴内に上下の両端部を装着して、左右一対の靴を上下配置に立体収納可能とする保高部材である靴収納用部材が提案されている。ところが、この靴収納用部材は、左右一対の靴を保高部材を介して上下方向に配置しているに過ぎないので非常に不安定であり、この靴収納用部材を用いて複数組の履物を左右方向に並べた状態に収納しているような場合には、所望の履物を取り出そうとした時に、この履物に隣接する履物に接触してしまい、履物の上下配置状態が不測に崩れてしまうといった問題点があった。
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3093262号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、左右一対の履物を上下方向に安定的に配置することができ、履物の収納場所の省スペース化を図ることができる履物収納用部材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の履物収納用部材は、左右一対の履物のうちの何れか一方の履物を載置するための下側履物載置部材と、上記下側履物載置部材の上方に位置し且つ他方の履物を載置するための上側履物載置部材とからなり、上記上下履物載置部材はその後端部において回動自在に接続されていると共に、上記上側履物載置部材を上記下側履物載置部材に対して傾斜状態に保持可能に構成されていることを特徴とする。
【0008】
又、上記履物収納用部材において、下側履物載置部材に、その上下面間に亘って貫通する貫通孔を形成していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の履物収納用部材は、左右一対の履物のうちの何れか一方の履物を載置するための下側履物載置部材と、上記下側履物載置部材の上方に位置し且つ他方の履物を載置するための上側履物載置部材とからなり、上記上下履物載置部材はその後端部において回動自在に接続されていると共に、上記上側履物載置部材を上記下側履物載置部材に対して傾斜状態に保持可能に構成されていることを特徴とするので、左右一対の履物を上下方向に重ね合わせた状態にして省スペース化を図ることができる。
【0010】
しかも、下側履物載置部材に対して上側履物載置部材を上下方向に起伏回動させることによって、上下履物載置部材の対向面間に形成された空間部を拡大或いは縮小させることができ、様々な高さを有する履物を確実に収納することができる。
【0011】
そして、上下履物載置部材の対向面間に形成された空間部を、下側履物載置部材上に載置する履物を収納できる程度の最小限の高さに調整することによって、左右一対の履物をできるだけ高さが低くなるようにして収納しておくことができる。
【0012】
更に、上記履物収納用部材において、下側履物載置部材に、その上下間に亘って貫通する貫通孔を形成していることを特徴とするので、下側履物載置部材上に載置した履物、特に、履物の底に付着した水分などを貫通孔を通じて外部に放出することができ、履物を状態良く上下に重ね合わせた状態に配設しておくことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の履物収納用部材の一例を図面を参照しつつ説明する。履物収納用部材Aの下側履物載置部材1の下側履物載置部11は、図1〜3に示したように、左右一対の履物のうちの何れか一方の履物S1を載置可能な大きさを有する平面略縦長長方形状に形成されており、上面を履物載置面1aに形成している。なお、下側履物載置部11には、その上下面間に亘って貫通する複数個の貫通孔11a が貫設されていると共に、履物載置面1a上には、その前後方向に一定間隔毎に、履物載置面1aの幅方向に指向した滑り止め用突条部11b が複数本、突設されている。
【0014】
そして、下側履物載置部11の後端部両側縁のそれぞれには、上方に向かって下側連結板部12、12が突設されており、この下側連結板部12、12の外面中央部に円環状突部12a 、12a が突設されている。なお、下側連結板部12、12の後側角部は突円弧状面12b に形成されている。
【0015】
又、下側履物載置部材1の上方には上側履物載置部材2が下側履物載置部材1に対して起伏回動自在に配設されている。この上側履物載置部材2の上側履物載置部21は、下側履物載置部11と同様に、左右一対の履物のうちの他方の履物S2を載置可能な大きさを有する平面略縦長長方形状に形成されており、上面を履物載置面2aに形成していると共に、上側履物載置部21の上面後端部の中央部には、その幅方向に延びる一定高さの履物受止片21a が突設され、上側履物載置部材2の履物載置面2a上に載置した履物S2の爪先部或いは踵部を上記履物受止片21a に当接、受止させるように構成している。なお、履物載置面2a上には、その前後方向に一定間隔毎に、履物載置面2aの幅方向に指向した滑り止め用突条部2bが複数本、突設されている。
【0016】
そして、上側履物載置部21の後端部両側縁のそれぞれには、下方に向かって上側連結板部22、22が突設されており、この上側連結板部22、22には内外面間に亘って貫通する側面円形状の貫通孔22a 、22a が貫設されている。なお、上側連結板部22、22の下半部22b は突円弧状に形成されている。
【0017】
図4に示したように、上側履物載置部材2における上側連結板部22、22の貫通孔22a 、22a 内に、下側履物載置部材1における下側連結板部12、12の円環状突部12a 、12a を回動自在に嵌め込むことによって、上側履物載置部材2の後端部を下側履物載置部材1の後端部に起伏回動自在に枢着させている。
【0018】
上述のように、上側履物載置部材2は下側履物載置部材1に対して起伏回動自在に接続されており、上側履物載置部材2が下側履物載置部材1に対して所望角度に傾斜した傾斜状態に保持できるように構成されている。
【0019】
具体的には、下側履物載置部11の後端縁には、下側連結板部12、12の対向端縁同士を連結し且つ下側連結板部12、12よりも高さの低い係止板部13が上方に向かって突設されており、この係止板部13の上半部は後方に向かって膨出されて下側連結板部12、12の突円弧状面12b に沿った突円弧状に湾曲していると共に、この突円弧状に湾曲した係止板部13の上端部外面中央部には、上下方向に所定間隔毎に断面V字状の係止突条部13a 、13a ・・・が突設されている。
【0020】
なお、上記係止板部13の下半部には、その前後面間に亘って貫通した正面横長長方形状の貫通孔13b が貫設されており、この貫通孔13b を通じて通気可能に構成されている。そして、履物収納用部材Aを下駄箱内に収納したような場合には、この貫通孔13b 内に指先を引っ掛けて履物収納用部材Aを下駄箱内から容易に取り出すことができる。
【0021】
更に、上側履物載置部21の後端部は、下側履物載置部材1の係止板部13における上半部の突円弧面に沿った状態に下方に向かって突円弧状に屈曲形成されていると共に、上側履物載置部21の後端縁中央部には後方に向かって操作片21b が突設されている。そして、上側履物載置部21の後端部には、操作片21b の両側近傍部における上側履物載置部11の後端縁に開口する直条のスリット部21d 、21d が二本、前方に向かって平行に形成されており、このスリット部21d 、21d によって挟まれた上側履物載置部21の後端部を前後方向に弾性変形可能な可動部21e に形成している。
【0022】
そして、上側履物載置部21の後端縁には、下側履物載置部材1の係止板部13に向かって、係止突条部13a 、13a ・・・に係脱自在に係止可能な係止片21c が突設されており、この係止片21c を下側履物載置部材1の係止突条部13a 、13a ・・・の任意の係止突条部13a 、13a ・・・に係脱自在に係止させることによって、上側履物載置部材2を下側履物載置部材1に対して任意の所望角度に傾斜した状態に安定的に保持可能に構成されている。
【0023】
更に、下側履物載置部材1の係止突条部13a の上端面を後方における斜め下方に傾斜した傾斜面として、上側履物部材1の係止片21c が上方から下方に向かって乗り越え可能な滑り面131aに形成している一方、下側履物載置部材1の係止突条部13a の下端面も後方における斜め下方に傾斜した傾斜面として、上側履物部材1の係止片21c を係止させる係止面132aに形成している。
【0024】
そして、下側履物載置部材1に対する上側履物載置部材2の傾斜角度を大きくする、即ち、上側履物載置部材2を下側履物載置部材1に対して上方に向かって回動変位させるには、上側履物載置部材2を下側履物載置部材1の円環状突部12a を中心にして下側履物載置部材1に対して上方に変位させる。
【0025】
すると、上側履物載置部材2の係止片21c が下側履物載置部材1の係止突条部13a の滑り面131a上を摺動して係止突条部13a を乗り越え、この乗り越えた係止突条部13a の係止面132aに上側履物載置部材2の係止片21c が係止した状態となって、上側履物載置部材2が下側履物載置部材1に対して所定角度に傾斜した状態に保持される。そして、上側履物載置部材2を下側履物載置部材1に対して更に上方に向かって回動させて更に傾斜した状態にしたい場合には、上述の要領で、上側履物載置部材2を下側履物載置部材1の円環状突部12a を中心にして下側履物載置部材1に対して起立する方向に更に回動変位させて、上側履物載置部材2の係止片21c を下側履物載置部材1における更に下方の係止突条部13a の係止面132aに係脱自在に係止させればよい。
【0026】
逆に、下側履物載置部材1に対する上側履物載置部材2の傾斜角度を小さくする、即ち、上側履物載置部材2を下側履物載置部材1に対して下方に向かって回動変位させるには、上側履物載置部材2の操作片21b を後方に向かって引っ張ることによって、上側履物載置部21の可動部21e を後方に向かって弾性復元可能に変形させ、上側履物載置部材2の係止片21cと下側履物載置部材1の係止突条部13a の係止面132aとの係止状態を解除する。
【0027】
しかる後、この解除状態を維持したまま、上側履物載置部材2を下側履物載置部材1の円環状突部12a を中心にして下方に向かって回動変位させることによって、上側履物載置部材2を下側履物載置部材1に対して所望角度に傾斜した状態とした上で、上側履物載置部材2の操作片21b への引っ張り力を解除して上側履物載置部材2の可動部21e を元の状態に復元させて、上側履物載置部材2の係止片21c を下側履物載置部材1の所望の係止突条部13a の係止面132aに係脱自在に係止させることによって、上側履物載置部材2を下側履物載置部材1に対して任意の所望角度に傾斜した状態に安定的に保持させることができる。
【0028】
次に、上記履物収納用部材Aの使用要領について説明する。先ず、下側履物載置部材1の下側履物載置部11と上側履物載置部材2の上側履物載置部21との対向面間に形成された空間部3内に、左右一対の履物S1、S2のうちのいずれか一方の履物S1が収納できるように、下側履物載置部材1に対する上側履物載置部材2の傾斜角度を上述の要領で調整する。
【0029】
しかる後、図5に示したように、下側履物載置部材1の履物載置面1a上に一方の履物S1を載置すると共に、上側履物載置部材2の履物載置面2a上に他方の履物S2を載置することによって、左右一対の履物S1、S2を上下方向に重ね合わせて省スペース化した状態に安定的に配設することができ、この状態のまま、左右一対の履物S1、S2を下駄箱内に収納し或いは玄関の床面上に配設することによって省スペース化を図りつつ整然と履物S1、S2を配列することができる。
【0030】
このように、上記履物収納用部材Aによれば、履物S1、S2の高さに応じて、下側履物載置部材1に対する上側履物載置部材2の傾斜角度を任意に変化させて、上下履物載置部材1、2の履物載置部11、12の対向面間に形成された空間部3の大きさを調整することができ、様々な高さを有する履物S1、S2を効率よく収納することができる。
【0031】
そして、下側履物載置部材1の履物載置部11には多数の貫通孔11a が形成されているので、この貫通孔11a を通じて、下側履物載置部材1の履物載置部11上に載置した履物S1に付着した水分を逃がすことができる。
【0032】
更に、下側履物載置部材1の係止板部13の下半部にも貫通孔13b が貫設されており、この貫通孔13b を通じても、下側履物載置部材1の履物載置部11上に載置した履物S1に付着した水分を逃がすことができる。
【0033】
又、上記履物収納用部材Aは、下側履物載置部材1に対する上側履物載置部材2の傾斜角度を任意に変化させることができるので、上側履物載置部材2の下側履物載置部材1に対する傾斜角度を大きくすることによって、上下履物載置部材1、2の上下履物載置部11、12の対向面間に形成された空間部3を大きくして、上下履物載置部材1、2の上下履物載置部11、12の対向面の掃除を容易なものとし、履物S1、S2を履物収納用部材A内に清潔な状態に載置しておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の履物収納用部材を示した斜視図である。
【図2】本発明の履物収納用部材を示した分解斜視図である。
【図3】本発明の履物収納用部材を示した縦断面図である。
【図4】本発明の履物収納用部材を示した縦断面図である。
【図5】本発明の履物収納用部材の使用要領を示した縦断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 下側履物載置部材
1a 履物載置面
11 下側履物載置部
11a 貫通孔
12 下側連結板部
12a 円環状突部
13 係止板部
13a 係止突条部
13b 貫通孔
2 上側履物載置部材
2a 履物載置面
21 上側履物載置部
21a 履物受止片
21b 操作片
21c 係止片
21d スリット部
21e 可動部
22 上側連結板部
22a 貫通孔
3 空間部
A 履物収納用部材
S1、S2 履物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の履物のうちの何れか一方の履物を載置するための下側履物載置部材と、上記下側履物載置部材の上方に位置し且つ他方の履物を載置するための上側履物載置部材とからなり、上記上下履物載置部材はその後端部において回動自在に接続されていると共に、上記上側履物載置部材を上記下側履物載置部材に対して傾斜状態に保持可能に構成されていることを特徴とする履物収納用部材。
【請求項2】
下側履物載置部材に、その上下面間に亘って貫通する貫通孔を形成していることを特徴とする請求項1に記載の履物収納用部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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