説明

履物用ヒール

本体部(1)と細長い支持部分(1a)とを含み、剛性の強化芯(2)が埋設され、かつ概ね切頭円錐形の断面を備えたステム(茎)状構造を有している履物用ヒールである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に履物の分野、特に女性の履物、更には特に履物用ヒール、特に所謂スチレットヒールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
履物の分野において知られているように、スチレットヒールは高さ/断面比(height/section ratio)が大きいことを特徴とする、基本的には女性の履物用ハイヒールの一タイプである。全てのハイヒールはそれらを強化するための適当な手段を必要とするが、このことはスチレットヒールの場合それらがすらっとしているためせん断応力および曲げに対する抵抗性を不十分にさせることを鑑みれば絶対不可欠である。通常、全般的にハイヒール、そして特にスチレットヒールの機械的強度を増大させるためには、それらを剛性の、一般的には金属材料製の芯によって強化することが通例である。これらの強化用芯の例が例えば英国特許第2012557号および同第2063645号に示されている。これらの場合においては、強化用芯は長方形の帯片を曲げることによって得られるので、長手方向のスリットを有している鋼の管状部材からつくられる。前記の管状強化部材はヒールが射出成形されるときにヒールの中に埋設され、次いで前記管状部材内に軸部を強制的に係合せしめたヒールチップによって仕上げられる。
【0003】
ハイヒール特有の場合、強化芯区分を特に小さくする必要があるという事実のために、双方とも満足させる必要のある軽量性と抵抗性に対する要件が深刻な制約を受ける。このことは、ハイヒールのすらっとさは失われるが強化芯区分を大きくさせること、あるいはヒールの軽量性にマイナスに作用するが例えば鋼のような高抵抗性材料を使用することのいずれかを行なわなければ、ISO規格のEN−ISO.19956/4に規定されている抵抗性の条件に対処するものは現在市販されているハイヒールではどれ一つとしてないことを明白に意味している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、高度の軽量性と、同時にせん断や曲げ応力に対する機械的抵抗性を有している履物用ヒール、特にスチレットヒールを提供することである。
【0005】
本発明の別の目的は疲労強度に関してEN−ISO 19956/04の要件に対処する、前述のタイプのヒールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これらの目的は、本体部と中に剛性の強化芯が埋設されている細長い支持部分とからなる、本発明による履物用ヒールによって達成される。本発明によれば、前記芯は概ね切頭円錐形の断面を有するステム(茎)状構造を有している。更に、強化芯はERGAL 7075からつくられることが好ましい。
【0007】
添付図面を参照して、例示的で非限定的な実施例についての以下の説明によって本発明を以下詳細に説明する。
【0008】
前述の図面を参照すれば、従来の方法で射出成形することによって得られるスチレットヒールの本体部が1で、射出成形製造工程の間にヒールの細長い支持部分1aに包含される強化芯が2で指示されている。
【0009】
前記強化芯2はより大きな断面の頭部4で終わっている概ね切頭円錐形区分を備えたステム部3からなる。前記ステム部3は従来のサイズのスチレットヒール中へ埋設できるようにする適当な長さと区分を有している。
【0010】
前記芯2は、円錐度が極めて小さい第一のステム部分5aを備えたステム部3の下端3aから展開して、より大きな円錐度の第二のステム5bへ連接されている。頭部4は前記ステム部3の上端3bから延在する。
【0011】
円錐度の異なるステム部分5aと5bとが、芯2のステム部3に沿って外部応力が集中しうる危険な部分が何ら存在しないようにするために不連続となることなく接合されることが極めて重要である。このために、強化芯の円錐度は最下方区分を備えた端部である下端3aから増大していくことが好ましい。
【0012】
本発明の好適実施例において、前記ステム部3の外形は該ステム部3の下端3aを上端3bに連接する円弧の形状である。特に前記円弧は前記ステム部の下端にその縁部において交錯する、該ステム部の下端3aに対して垂直の線に概ね接している。ステム部3の色々な高さに対して下端3aの半径と上端3bの半径との間で同じ比率を保つためには、前記ステム部の円弧状外形の曲率半径は該ステム部の高さとの相関関係で増大させる必要がある。
【0013】
本発明の重要な特徴によれば、強化芯2の前述の形状によって、かつ特にERGAL 7075として知られるアルミニューム合金のような適度の抵抗性と軽量性を備えた金属材料を使用することによって最適な結果が得られる。同等の機械的特性と軽量性を有する材料も代替的に使用しうることは明白である。
【0014】
前述のISO規格に基づいて実行されたハイヒールに関する試験は特に、抵抗閾値が14,000回のストローク以上であるべきと規定している繰り返しせん断疲労抵抗試験に関しては抵抗性の要件は見事に満足されることを示した。
【0015】
本開示の検討に基づけば本発明に対する各種の修正や変更を認めることができる。これらの変更とか追加は特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲と精神に含まれるべきものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による履物用ヒールの部分的に破断した断面図である。
【図2】図1に示すヒールの強化芯の斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体(1)と中に剛性の強化芯(2)が埋設される細長い支持部分(1a)とからなる履物用ヒールであって、前記強化芯が概ね切頭円錐形の断面を有するステム(茎)状構造を有していることを特徴とする履物用ヒール。
【請求項2】
前記強化芯(2)がERGAL 7075からつくられていることを特徴とする請求項1に記載の履物用ヒール。
【請求項3】
前記強化芯(2)が下端(3a)と上端(3b)を備えたステム部(3)からなり、前記下端(3a)には孔(7)が形成されており、該孔にヒールチップ(6)の軸部(6a)が強制係合されており、前記上端(3b)には前記強化芯をヒールの本体部中へ固定するための大きくした頭部(4)が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の履物用ヒール。
【請求項4】
前記ステム部(3)の円錐度が前記下端(3a)から間断なく増大していることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の履物用ヒール。
【請求項5】
前記ステム部(3)の外形が前記下端(3a)を前記上端(3b)に連接している円弧の形状であることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の履物用ヒール。
【請求項6】
前記円弧が前記下端(3a)にその縁部において交錯し、ステム部(3)の前記下端(3a)に対して垂直の線に概ね接することを特徴とする請求項5に記載の履物用ヒール。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−526596(P2009−526596A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554913(P2008−554913)
【出願日】平成18年6月6日(2006.6.6)
【国際出願番号】PCT/IT2006/000419
【国際公開番号】WO2007/094021
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(504451483)サルヴァトーレ フェラガモ イタリア ソシエタ ペル アチオニ (2)
【Fターム(参考)】