説明

履物用静止摩擦デバイス

履物に装着するための着脱可能な静止摩擦デバイス(10)は、外周バンド(12)と、外周バンドの内側に配置されたつま先側胴体部材(14)と、外周バンドの内側に配置された踵側胴体部材(16)と、つま先側胴体部材と外周バンドとの間および踵側胴体部材と外周バンドとの間に延在し、それによってつま先側胴体部材および踵側胴体部材と外周バンドとを接続する複数の弾性接続ストランド(18)とを含む。本発明の一形態によれば、接続ストランドの少なくともいくつかが非直線の形状を有する。本発明の他の態様によれば、つま先側胴体部材および踵側胴体部材が滑らないトレッドの形状(28)を有し地面と噛み合う外底表面(20)を含んでおり、つま先側胴体部材および踵側胴体部材が対疲労のトレッド(30)の形状を有し履物と係合する表面(26)をさらに含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、履物用静止摩擦デバイスに係り、特に、潜在的に滑らかで滑りやすい表面を横断するときに着用者に静止摩擦を向上させるために従来の靴やブーツに装着されることを目的とした着脱可能な静止摩擦デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ドレスシューズ、ワークブーツや運動靴までも含む従来の履物(footwear)の多くのタイプは、滑りやすかったり濡れた表面の上では着用者に適切な静止摩擦を提供していない。このため、そのような滑りやすかったり濡れた表面上を横断しようとするときには怪我をするおそれがある。
【0003】
最近の統計によれば、転落は、米国における故意によるものではない怪我・死亡の原因の第2位であり、1312億ドルを超える労働関連災害を伴っている。このため、雇用者や他の事業者に対するスリップ転倒の賠償請求の増加のために、室内の静止摩擦デバイスの市場が急速に増大している。そのような静止摩擦デバイスの潜在的な市場の例としては、例えば、保管業、倉庫、ファーストフードチェーンのレストランや洗車場を含んでいる。この要求を満たすために、現在の市場ではいくつかの滑らない(non-slip)履物のデザインがある。しかしながら、そのような履物に装着されることを目的とした静止摩擦デバイスは、扱いにくく、履物に装着することが難しく、履物に装着しておく能力の信頼性が低い傾向にある。このため、役立つ場合であっても、靴に静止摩擦デバイスを装着する従業員のコンプライアンスは低下している。相当量の立ち作業をしなければならない従業員の対疲労目的に提供されるゴムマットもリスクのあるエリアの全域に取り付けられるが、一般的に非常にコストがかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
滑らない履物およびゴムマットの両者の高コストで効果のない使用のために、企業は、従業員にとって魅力がありコスト効果のある代替品を探しており、それによってそのような物品の利用が増大する。このため、経済的で、種々の履物に適合し、対疲労に対する問題にも対処できるユーザフレンドリーな滑らない履物を提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これらおよび他の目的は、本発明の着脱可能な静止摩擦デバイスにより達成される。本発明の1つの態様によれば、静止摩擦デバイスは、外周バンドと、前記外周バンドの内側に配置されたつま先側胴体部材と、前記外周バンドの内側に配置された踵側胴体部材と、前記つま先側胴体部材と前記外周バンドとの間および前記踵側胴体部材と前記外周バンドとの間に延在し、それによって前記つま先側胴体部材および踵側胴体部材を前記外周バンドに接続する複数の弾性接続ストランドと、を含む。本発明の好ましい態様では、前記接続ストランドの少なくともいくつかが非直線の形状を有する。
【0006】
本発明の他の態様では、着脱可能な静止摩擦デバイスは、履物に装着するために提供され、前記履物はつま先部、踵部および対向する側部を有している。前記静止摩擦デバイスは、外周バンドと、前記外周バンドの内側に配置されたつま先側胴体部材と、前記外周バンドの内側に配置された踵側胴体部材と、前記つま先側胴体部材と前記外周バンドとの間および前記踵側胴体部材と前記外周バンドとの間に延在し、それによって前記つま先側胴体部材および踵側胴体部材を前記外周バンドに接続する複数の弾性接続ストランドと、を含む。好ましい態様では、前記つま先側胴体部材および前記踵側胴体部材は滑らないトレッドの形状を有し地面と噛み合う外底表面を含んでおり、前記つま先側胴体部材および前記踵側胴体部材は対疲労のトレッドの形状を有し履物に係合する表面も含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明のこれらおよび他の目的、特徴、並びに、利点は、添付された図面とともに、以下の詳細な説明を読むことで、当業者にとって一層明確となる。
【0008】
【図1】本発明の好ましい形態による履物用静止摩擦デバイスの底面後側から見た斜視図である。
【図2】図1に示された静止摩擦デバイスの底面前側から見た斜視図である。
【図3】図1に示された静止摩擦デバイスの上面後側から見た斜視図である。
【図4】図1に示された静止摩擦デバイスの上面前側から見た斜視図である。
【図5】図1に示された静止摩擦デバイスの底面図である。
【図6】図1に示された静止摩擦デバイスの平面図である。
【図7】図1に示された静止摩擦デバイスを従来の履物に装着したときの側立面図である。
【図8】図1に示された静止摩擦デバイスを従来の履物に装着したときの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1〜図6に示すように、本発明の好ましい形態の履物用静止摩擦デバイスは、通常参照符号10で示される。静止摩擦デバイス10は、外周バンド12、つま先側胴体すなわちつま先側胴体部材14、踵側胴体すなわち踵側胴体部材16および複数の弾性接続ストランド(strand、ひも)18を含む、通常平面状のデバイスであり、それら全てが、好ましくは、一体にまたは一部材として成型されている。静止摩擦デバイスは、好ましくは、例えば、ゴム、PVC、5−10ゴム等のフレキシブルで弾性を有するエラストマ材、つまり、対スリップ性および対オイル性の材料から形成(例えば、成型)されている。詳細を後述するように、外周バンド12は異なる履物の形状に適合可能であり、静止摩擦デバイス10は着用者により履物に静止摩擦デバイスを着脱可能に装着するために非平面状に容易に引き伸ばされうる。
【0010】
静止摩擦デバイス10は、装着されたときに、滑らかで滑りやすい地面側に面する下側表面20と、静止摩擦デバイス10が装着された履物側に面する上側表面22とを含む。このため、つま先側胴体(forefoot pod)14および踵側胴体(heel pod)16の両者の下側表面は、種々の運動靴または滑らないトレッドのパターンや形状(non-slip
tread pattern or configuration)に見られるように、好ましくは、複数の円柱状エレメント(要素材)32、出っ張り(nub、こぶ)、他の突起状の滑り止め等の滑らないトレッドのデザイン28を利用した地面と噛み合う外底24を有している。本発明の好ましい形態では、つま先側胴体14および踵側胴体16の両者の上側表面は、立っていることによる足の疲労を低減することを助けるための他のトレッドの形状ももちろん可能であるが、ヘリンボーン(herringbone、ニシンの骨、矢筈模様)パターン34等の対疲労のトレッド30を含み履物に係合する表面26を有している。つま先側胴体および踵側胴体14、16の地面と噛み合う外底表面24は、静止摩擦デバイス10が好適に適用可能なように、履物に係合する表面26と同じように、または、異なるように構成されていてもよい。また更に、つま先側胴体14および踵側胴体16は、提供されるべき望ましいタイプの静止摩擦により、地面と噛み合う外底表面および/または履物に係合する表面26に異なるトレッドの形状を有していてもよい。
【0011】
外周バンド12は、平面状で、通常丸い前部すなわちつま先部12a、通常丸い後部すなわち踵部12b、並びに、つま先部12aおよび踵部12bを相互連結する通常直線状の2つの側部12c、12dを有する長円状を有している。つま先部12aは、好ましくは、つま先が着用者につまずき、および/または、転落を生じさせないように、テーパ状に形成されている。踵部12bは、後述するように、好ましくは、静止摩擦デバイス10を従来の履物に装着するときにユーザを補助するために、踵タブ36として設けられる僅かな延出部を含んでいる。
【0012】
複数の接続ストランド18は、つま先側胴体14および踵側胴体16の側部および/または中間部を外周バンド12に好ましく接続する単一ストランドエレメント38、並びに、つま先側胴体14の前側および踵側胴体16の後側を外周バンド12に好ましく接続する複合ストランドエレメント40を含んでいる。特に、つま先側胴体14は、好ましくは、つま先側胴体14のそれぞれ横側を外周バンド12に接続する2つの前方ストランドエレメント38a、および、つま先側胴体14のそれぞれ最後部の角部を外周バンド12に接続する2つの後方ストランドエレメント38bを含んでいる。踵側胴体16は、好ましくは、踵側胴体16のそれぞれ最前方の角部を外周バンド12に接続する2つの前方ストランドエレメント38cを含んでいる。単一ストランド38b、38cは、例えば、図5および図6に示すように、好ましくは、静止摩擦デバイス10が装着されたときにつま先側胴体14および踵側胴体16間を引き伸ばすことを許容するように、幾分非直線または曲がりくねった形状を有している。すなわち、つま先側胴体14が着用者の足のつま先側の足下に配置され、踵側胴体16が着用者の足の踵側の足下に配置されることが好ましい。この自己位置付けを確保するために、ストランド38a、38b、38cは、特に、つま先側胴体および踵側胴体間に長手方向の大きな伸長力つまり伸長を許容するような寸法を有している。静止摩擦デバイス10は、外周バンドを形成する材料が弾性を有することと相俟って、非直線ストランドが種々のサイズの履物に適応するためにバンド12が容易に引き伸ばされることを可能にする寸法であり、好ましくは、女性用のサイズ6から男性用のサイズ13に対応可能な寸法である。
【0013】
複合ストランドエレメント40は、好ましくは、つま先側胴体14の前側および踵側胴体16の後側を、曲がりくねったストランド、弓状ストランドおよび直線状ストランドのオープンネットワークを介して、外周バンド12に接続している。特に、本発明の好適な形態では、弓状ストランド40aが、複数の開口42が形成された枠(組み)を形成するように、複数の曲がりくねったストランド40bおよび直線状ストランド40cが断続的に配置されており、それにより摩擦デバイス10の製造コストおよび全体の重量を低減させている。複合ストランドエレメントの他の形態も、当業者が容易に判断できるように、もちろん可能である。
【0014】
図7および図8に示すように、静止摩擦デバイス10は、履物44に装着される状態で示されている。概観されるように、外周バンド12は、履物44のつま先、側部および踵を囲むように引き伸ばされている。すなわち、丸い前部であるつま先部12aは履物44のつま先部に引き伸ばされており、通常丸い後部12bは踵タブ36の補助で履物44の踵部に引き伸ばされており、通常直線状の2つの側部12c、12dは履物44の上側の両側に沿って伸びており、これにより履物44を囲んでいる。さらに、曲がりくねった単一ストランドエレメント38b、38cは、履物44のつま先および踵に対して、すなわち、着用者の足に対して、つま先側胴体14および踵側胴体16が適正な位置となることが要求されさらに伸びるため、実質的に直線状となる。
【0015】
本発明を本発明の特定の形態について説明したが、これは、本発明が特定の形態に限定されるというよりむしろ、本発明の範囲から離れることなく示され記載された特定の実施形態でなされうる種々の代替、変更、変化、削除、置換、省略および発展があるように、実例として開示することを目的としたものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物に装着するための着脱可能な静止摩擦デバイスにおいて、
外周バンドと、
前記外周バンドの内側に配置されたつま先側胴体部材と、
前記外周バンドの内側に配置された踵側胴体部材と、
前記つま先側胴体部材と前記外周バンドとの間および前記踵側胴体部材と前記外周バンドとの間に延在し、それによって前記つま先側胴体部材および踵側胴体部材を前記外周バンドに接続する複数の弾性接続ストランドと、
を備え、
前記接続ストランドの少なくともいくつかが非直線の形状を有することを特徴とする静止摩擦デバイス。
【請求項2】
前記少なくともいくつかの接続ストランドは、曲がりくねった形状を有することを特徴とする請求項1に記載の静止摩擦デバイス。
【請求項3】
前記つま先側胴体部材および前記踵側胴体部材は、滑らないトレッドの形状を有し地面と噛み合う外底表面を含むことを特徴とする請求項1に記載の静止摩擦デバイス。
【請求項4】
前記地面と噛み合う外底は、複数の円柱状エレメントを含むことを特徴とする請求項3に記載の静止摩擦デバイス。
【請求項5】
前記つま先側胴体部材および前記踵側胴体部材は、履物に係合する表面を含むことを特徴とする請求項1に記載の静止摩擦デバイス。
【請求項6】
前記履物に係合する表面は、対疲労のトレッドの形状を含むことを特徴とする請求項5に記載の静止摩擦デバイス。
【請求項7】
前記対疲労のトレッドの形状は、ヘリンボーンのトレッドのパターンを有することを特徴とする請求項6に記載の静止摩擦デバイス。
【請求項8】
前記非直線の形状を有する少なくともいくつかの接続ストランドは、複数の単一ストランドエレメントを含むことを特徴とする請求項1に記載の静止摩擦デバイス。
【請求項9】
前記複数の接続ストランドは、複数の複合ストランドエレメントを含むことを特徴とする請求項1に記載の静止摩擦デバイス。
【請求項10】
前記複数の複合ストランドエレメントは、曲がりくねった接続部材、弓状接続部材および直線状接続部材のオープンネットワークを有することを特徴とする請求項9に記載の静止摩擦デバイス。
【請求項11】
エラストマ材から形成されていることを特徴とする請求項1に記載の静止摩擦デバイス。
【請求項12】
履物に装着するための着脱可能な静止摩擦デバイスであって、前記履物はつま先部、踵部および対向する側部を有する静止摩擦デバイスにおいて、
外周バンドと、
前記外周バンドの内側に配置されたつま先側胴体部材と、
前記外周バンドの内側に配置された踵側胴体部材と、
前記つま先側胴体部材と前記外周バンドとの間および前記踵側胴体部材と前記外周バンドとの間に延在し、それによって前記つま先側胴体部材および踵側胴体部材を前記外周バンドに接続する複数の弾性接続ストランドと、
を備え、
前記つま先側胴体部材および前記踵側胴体部材は滑らないトレッドの形状を有し地面と噛み合う外底表面を含んでおり、
前記つま先側胴体部材および前記踵側胴体部材は対疲労のトレッドの形状を有し履物に係合する表面を含むことを特徴とする静止摩擦デバイス。
【請求項13】
前記地面と噛み合う外底表面は、複数の円柱状エレメントを有することを特徴とする請求項12に記載の静止摩擦デバイス。
【請求項14】
前記対疲労のトレッドの形状は、ヘリンボーンのトレッドのパターンを含むことを特徴とする請求項12に記載の静止摩擦デバイス。
【請求項15】
エラストマ材から形成されていることを特徴とする請求項12に記載の静止摩擦デバイス。
【請求項16】
前記外周バンドは、前記履物の前記つま先部、踵部および対向する側部を囲むように伸ばすことができることを特徴とする請求項12に記載の静止摩擦デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−501722(P2012−501722A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526041(P2011−526041)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際出願番号】PCT/US2009/004960
【国際公開番号】WO2010/027465
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(511057951)
【Fターム(参考)】