履物製品とそのソール部材及びソールパッド
【課題】 ハイヒールなどのヒール段差が大きい靴を履いた場合であっても、人差し指、中指及び薬指における趾節骨と中足骨の接合部分56における局部的な圧迫を防止し、当該部位にマメやタコができないようにする。
【解決手段】 単層または多層からなるソール部材7において、足の人差し指、中指及び薬指における趾節骨と中足骨の接合部分56に対応する部分に配置された接地圧低減部9(凹部、孔部、弾性材等)が設けられている。また、接地圧低減部9が設けられた中敷用ソールパッド11、外付け用ソールパッド12を取り付けることによっても可能である。
【解決手段】 単層または多層からなるソール部材7において、足の人差し指、中指及び薬指における趾節骨と中足骨の接合部分56に対応する部分に配置された接地圧低減部9(凹部、孔部、弾性材等)が設けられている。また、接地圧低減部9が設けられた中敷用ソールパッド11、外付け用ソールパッド12を取り付けることによっても可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は靴のソール部材及びこの靴のソール部材を用いた履物製品に関する。
【背景技術】
【0002】
靴のソール部材には、インソール、ミッドソール、アウトソールが重ねられて多層構造からなるものや、インソールやミッドソールが省略されてアウトソール単層からなるものがある。ここで足の裏にできるマメやタコを防止すべく、インソールにエアクッションの各種クッション材を設けた靴底が提案されたり、本来の靴底とは別の中敷を取り付けるなどの対策が講じられている。
【0003】
ここで、図5に足の骨の模式図を示す。足は計26個の骨よりなり、基節骨・中節骨・末節骨よりなるつま先部の趾節骨(趾骨)51、5本の中足骨52、踵骨54・距骨55等からなる足根骨53がある。踵骨54は、体重負荷の中心的存在である。靴は、これらの足の構造・大きさや形状にフィットするように製造される。
【0004】
一方で、足が靴内部で前後左右にずれ、摩擦がおきるのが、マメやタコのできる原因の一つである。そこで、当該事項を防止すべく第1中足骨接地部及び第5中足骨接地部に対応するインソールの表面部に凹部を設けたり、第1中足骨接地部から第5中足骨接地部に渡る部分に対応するインソールの表面部分に凹部を設けた靴が既に提案されている。(特許文献1参照)
【0005】
【特許文献1】特開2000−93202号公報(図3及び図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通常人間が歩行する場合、図6(a)に示すように踵部から小指部つけ根部、さらに小指つけ根部から拇指つけ根部へ順次体重移動が行われる。つまり、踵骨又は距骨部分、小指の趾節骨と中足骨の接合部、拇指の趾節骨と中足骨の接合部の3点移動により体重が支えられる。
【0007】
しかし、例えば婦人用のハイヒールなどのヒール段差が大きい靴を履いた場合には、図6(b)に示すように踵部から人指しと中指のつけ根部への体重移動となることが多く、この場合には、踵骨又は距骨部分から人差し指、中指及び薬指における趾節骨と中足骨の接合部分56の2点移動により体重が支えられる。
かかる2点移動により体重移動がおこなれた場合に、従来のインソールでは人差し指、中指及び薬指における趾節骨と中足骨の接合部56に局部的な圧迫がかかることとなり、当該部位にマメやタコができる場合があった。
特に上述の特許文献1に記載のインソールでは、前後左右のずれ防止という観点から設けられている凹部がインソールの親指と小指の中足骨接地部に対応する部分であり、2点移動の体重移動となった場合に体重がかかる人差し指、中指及び薬指における趾節骨と中足骨の接合部56とは逆の部分である。したがって、上述の特許文献1に記載のインソールでは当該接合部56に局部的な圧迫がかかるのは避けられない。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑み、人差し指、中指及び薬指における趾節骨と中足骨の接合部分に局部的な圧迫がかかるのを防止し、当該部位にマメやタコができないようにすることを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく本発明は次の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明にかかる靴のソール部材は、アウトソールのみからなる単層構造、アウトソールにインソールを積層した二層構造またはアウトソールとインソールの間にミッドソールを介在させた多層構造のうちいずれかの構造になっている靴のソール部材において、前記各ソールの少なくとも一つに、足の人差し指、中指及び薬指における趾節骨と中足骨の接合部分に対応する部分に配置された接地圧低減部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、既製靴のソール部材の内面に足の人差し指、中指及び薬指における趾節骨と中足骨の接合部分に対応する部分に配置された接地圧低減部が設けられている中敷用ソールパッドを後付けで取り付けてもよい。
さらに、既製靴のアウトソールの接地面に、足の人差し指、中指及び薬指における趾節骨と中足骨の接合部分に対応する部分に配置された接地圧低減部が設けられている外付け用ソールパッドを後付けで取り付けてもよい。接地圧の低減は孔、凹部、弾性材等を設けることによって行う。
【0011】
なお、本文中におけるソール部材とは、アウトソールのみからなる単層構造、アウトソールにインソールを積層した二層構造またはアウトソールとインソールの間にミッドソールを介在させた多層構造のうちいずれかの構造になっている既製靴本来の靴底を意味し、中敷用ソールパッド及び外付け用ソールパッドとは、既製靴本来の靴底とは別に後付けで着脱自在に取り付け可能な靴底を意味する。
また、接地圧低減部を有するソール部材、中敷用ソールパッド及び外付け用ソールパッドのいずれか一つまたは二つ以上の部材によって、足の人指し指、中指及び薬指における趾節骨と中足骨の接合部分に対応する部分を保護してもよい。
このようにして、足の人指し部、中指及び薬指における趾節骨と中足骨の接合部分に対応する部分に接地圧低減部を設ければ、当該足の一部分のみに体重がかかることを防止できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明による靴を使用すれば、ハイヒールなどのヒール段差が大きい靴を履き、歩行時の体重移動が2点移動となるような場合であっても、足の人指し部、中指及び薬指における趾節骨と中足骨の接合部分に局部的な圧迫がかかるのを防ぐことができるので、3点移動の体重移動に矯正することができ、当該部位にマメやタコが発生するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の第1の実施形態にかかる靴が示された一部切欠斜視図であり、図2は第1の実施例にかかるインソール部材である。このハイヒール1はソール部材7の前方側(足のつま先側)の左右両端に亘って縁部に連なるアッパー2と、靴の土台を形成する足裏形状のインソール3、ミッドソール4、アウトソール5からなるソール部材7とソール部材7の後端部(足の踵部)から下方に突出するヒール6とを備えている。
【0014】
インソール3、ミッドソール4は、例えば、レザーボードやパルプボードなどの素材で構成され、アウトソール5は、例えば合成ゴム素材で構成されている。ソール部材7は、足裏形状に合う様に形成されており、接着剤による接着や縫製などによって互いに接合されている。
アッパー2は、本皮、合成皮革、樹脂及び布などからなるもので、足の甲を覆うように形成されている。このアッパー2はインソール3に接着剤や縫製などによって接合されており、アッパー2とインソール3とで足の甲を抱囲するようになっている。
ヒール6は、例えば、本皮や合成皮革などからなるヒール巻き8によって装飾されておりデザイン性の向上が図られている。
【0015】
図2においてはインソール3の底敷部3bに略菱形の孔を設けることに接地圧低減を行っている。この菱形の踵側頂点は、足囲計測線Xと靴の縦方向中央線Yとの交点となっており、菱形の踵側頂点とつま先側頂点を結ぶ対角線は、靴の縦方向中央線Yと略一致するようになっている。
接地圧低減部9は本実施形態のような略菱形に限ることなく、足の人差し指と中指と薬指の趾節骨と中足骨の接合部分(以下、中央接合部分という。)に対応する部分に設けられていれば、円形、楕円形など特に形状は問わない。また、接地圧低減は底敷部を載置することに限らず、インソール本体3aに直接、接地圧低減部を設けてもよい。
接地圧の低減はインソールの底敷部に孔(貫通孔)を設けることによって行っているが、凹部、弾性材等によって当該接合部分と靴との接地圧を低減してもよい。弾性材としては、発砲ウレタン樹脂、スポンジ、ゴムなど公知の衝撃吸収材が使用可能である。
図7は、中足骨パッド3cをインソール内部に介装した図面である。中足骨パッド3cは、中足骨で形成される足の横アーチが扁平化し中足骨が扇状に広がる開帳足を防止する機能を有する。開帳足はハイヒールなどの前足に体重がかかる靴を履いたときに発生しやすく、また接地圧低減部を設けることによって足の左右両端に体重がかかることとなるが、中足骨パッドがあることによって中足骨が支えられるので、足の横アーチが扁平化することなく開帳足の発生は抑制される。
【0016】
図8はアウトソール5に接地圧低減部9を設けた図面である。アウトソール5に略菱形の凹部を設けることによって接地圧の低減を行っている。この場合においても中央接合部分に設けられていれば、形状は特に問わない。
図2においては接地圧減圧部をインソールの底敷部、図8においてはアウトソールに接地圧減圧部を設けたが、ミッドソール、インソールとミッドソールの両方など、各ソール部材の少なくとも一つに設けられていればその機能を発揮する。
上記構成に係る本実施形態のハイヒール1によれば、足の中央接合部分に対応する部分に接地圧減圧部9が設けられているので、歩行時の体重移動が図6(b)に示す2点移動となる程度にヒール6が高い場合であっても、歩行時の体重移動を図6(a)に示す3点移動に矯正することができ、足の中央接合部分にマメやタコが発生するのを抑制することができる。
なお、本実施形態では3層構造からなるソール部材を例に挙げたが、その他、単層構造や2層、4層構造などにも適用可能である。
【0017】
図3(a)は本発明の第2の実施例に係る既製靴の内側に後付けで着脱自在に取り付け可能な中敷用ソールパッド11であって、足の中央接合部分に対応する部分56に接地圧低減部9を設けたものである。本実施例では中敷用ソールパッドのパッド本体11aに菱形部11b、二股部11cの切り込みを入れることにより接地圧低減を行っている。
この中敷用ソールパッド11を図3(b)に示すように既製靴のインソール3に取り付ければ、足の中央接合部分が圧迫されることなく歩行可能となる。本実施形態の中敷用ソールパッド11は二股部11cを有するので、インソール3の靴幅に合わせた取り付けが可能となっている。
本実施形態においても足の中央接合部分に接地圧低減部が設けられていれば、いかなる形状でもよい。
本実施形態に係るソールパッド11によれば、足の中央接合部分に対応する部分に接地圧減圧部9が設けられているので、第1実施形態の場合と同様の作用効果を奏するとともに、インソール3に後付けするだけで使用できるので、既製靴に対して簡単にマメやタコが発生するのを抑制する機能を付加することができる。
【0018】
図4(a)は本発明の第3の実施例にかかる既製靴の外側に後付けで着脱可能な外付け用ソールパッド12であって、足の中央接合部分に対応する部分に接地圧低減部9を設けたものである。本実施例では、パッド本体12aに穴部12bを設けることによって接地圧の低減を行っている。外付け用ソールパッド12の接地面には複数の波形からなる滑り止め防止加工が施されている。
図4(b)のように外付け用ソールパッド12をアウトソール5に後付けで取り付けることによっても、既製靴においても足の中央接合部分が圧迫されることなく歩行可能になる。
本実施形態に係るソールパッド12においても、足の中央接合部分に対応する部分に接地圧減圧部9が設けられているので、第1実施形態の場合と同様の作用効果を奏するとともに、アウトソール5に後付けするだけで使用できるので、既製靴に対して簡単にマメやタコが発生するのを抑制する機能を付加することができる。
【0019】
本実施例では靴として婦人用ハイヒールを例に挙げたが、ミュール、ブーツなど踵の高い各種履物製品に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施例にかかるソール構造を有する靴の一部切欠斜視図である。
【図2】第1の実施例にかかるインソールの構造を示した図面である。
【図3】(a)第2の実施例にかかる中敷用ソールパッドを示した図面である。
【技術分野】
【0001】
本発明は靴のソール部材及びこの靴のソール部材を用いた履物製品に関する。
【背景技術】
【0002】
靴のソール部材には、インソール、ミッドソール、アウトソールが重ねられて多層構造からなるものや、インソールやミッドソールが省略されてアウトソール単層からなるものがある。ここで足の裏にできるマメやタコを防止すべく、インソールにエアクッションの各種クッション材を設けた靴底が提案されたり、本来の靴底とは別の中敷を取り付けるなどの対策が講じられている。
【0003】
ここで、図5に足の骨の模式図を示す。足は計26個の骨よりなり、基節骨・中節骨・末節骨よりなるつま先部の趾節骨(趾骨)51、5本の中足骨52、踵骨54・距骨55等からなる足根骨53がある。踵骨54は、体重負荷の中心的存在である。靴は、これらの足の構造・大きさや形状にフィットするように製造される。
【0004】
一方で、足が靴内部で前後左右にずれ、摩擦がおきるのが、マメやタコのできる原因の一つである。そこで、当該事項を防止すべく第1中足骨接地部及び第5中足骨接地部に対応するインソールの表面部に凹部を設けたり、第1中足骨接地部から第5中足骨接地部に渡る部分に対応するインソールの表面部分に凹部を設けた靴が既に提案されている。(特許文献1参照)
【0005】
【特許文献1】特開2000−93202号公報(図3及び図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通常人間が歩行する場合、図6(a)に示すように踵部から小指部つけ根部、さらに小指つけ根部から拇指つけ根部へ順次体重移動が行われる。つまり、踵骨又は距骨部分、小指の趾節骨と中足骨の接合部、拇指の趾節骨と中足骨の接合部の3点移動により体重が支えられる。
【0007】
しかし、例えば婦人用のハイヒールなどのヒール段差が大きい靴を履いた場合には、図6(b)に示すように踵部から人指しと中指のつけ根部への体重移動となることが多く、この場合には、踵骨又は距骨部分から人差し指、中指及び薬指における趾節骨と中足骨の接合部分56の2点移動により体重が支えられる。
かかる2点移動により体重移動がおこなれた場合に、従来のインソールでは人差し指、中指及び薬指における趾節骨と中足骨の接合部56に局部的な圧迫がかかることとなり、当該部位にマメやタコができる場合があった。
特に上述の特許文献1に記載のインソールでは、前後左右のずれ防止という観点から設けられている凹部がインソールの親指と小指の中足骨接地部に対応する部分であり、2点移動の体重移動となった場合に体重がかかる人差し指、中指及び薬指における趾節骨と中足骨の接合部56とは逆の部分である。したがって、上述の特許文献1に記載のインソールでは当該接合部56に局部的な圧迫がかかるのは避けられない。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑み、人差し指、中指及び薬指における趾節骨と中足骨の接合部分に局部的な圧迫がかかるのを防止し、当該部位にマメやタコができないようにすることを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく本発明は次の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明にかかる靴のソール部材は、アウトソールのみからなる単層構造、アウトソールにインソールを積層した二層構造またはアウトソールとインソールの間にミッドソールを介在させた多層構造のうちいずれかの構造になっている靴のソール部材において、前記各ソールの少なくとも一つに、足の人差し指、中指及び薬指における趾節骨と中足骨の接合部分に対応する部分に配置された接地圧低減部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、既製靴のソール部材の内面に足の人差し指、中指及び薬指における趾節骨と中足骨の接合部分に対応する部分に配置された接地圧低減部が設けられている中敷用ソールパッドを後付けで取り付けてもよい。
さらに、既製靴のアウトソールの接地面に、足の人差し指、中指及び薬指における趾節骨と中足骨の接合部分に対応する部分に配置された接地圧低減部が設けられている外付け用ソールパッドを後付けで取り付けてもよい。接地圧の低減は孔、凹部、弾性材等を設けることによって行う。
【0011】
なお、本文中におけるソール部材とは、アウトソールのみからなる単層構造、アウトソールにインソールを積層した二層構造またはアウトソールとインソールの間にミッドソールを介在させた多層構造のうちいずれかの構造になっている既製靴本来の靴底を意味し、中敷用ソールパッド及び外付け用ソールパッドとは、既製靴本来の靴底とは別に後付けで着脱自在に取り付け可能な靴底を意味する。
また、接地圧低減部を有するソール部材、中敷用ソールパッド及び外付け用ソールパッドのいずれか一つまたは二つ以上の部材によって、足の人指し指、中指及び薬指における趾節骨と中足骨の接合部分に対応する部分を保護してもよい。
このようにして、足の人指し部、中指及び薬指における趾節骨と中足骨の接合部分に対応する部分に接地圧低減部を設ければ、当該足の一部分のみに体重がかかることを防止できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明による靴を使用すれば、ハイヒールなどのヒール段差が大きい靴を履き、歩行時の体重移動が2点移動となるような場合であっても、足の人指し部、中指及び薬指における趾節骨と中足骨の接合部分に局部的な圧迫がかかるのを防ぐことができるので、3点移動の体重移動に矯正することができ、当該部位にマメやタコが発生するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の第1の実施形態にかかる靴が示された一部切欠斜視図であり、図2は第1の実施例にかかるインソール部材である。このハイヒール1はソール部材7の前方側(足のつま先側)の左右両端に亘って縁部に連なるアッパー2と、靴の土台を形成する足裏形状のインソール3、ミッドソール4、アウトソール5からなるソール部材7とソール部材7の後端部(足の踵部)から下方に突出するヒール6とを備えている。
【0014】
インソール3、ミッドソール4は、例えば、レザーボードやパルプボードなどの素材で構成され、アウトソール5は、例えば合成ゴム素材で構成されている。ソール部材7は、足裏形状に合う様に形成されており、接着剤による接着や縫製などによって互いに接合されている。
アッパー2は、本皮、合成皮革、樹脂及び布などからなるもので、足の甲を覆うように形成されている。このアッパー2はインソール3に接着剤や縫製などによって接合されており、アッパー2とインソール3とで足の甲を抱囲するようになっている。
ヒール6は、例えば、本皮や合成皮革などからなるヒール巻き8によって装飾されておりデザイン性の向上が図られている。
【0015】
図2においてはインソール3の底敷部3bに略菱形の孔を設けることに接地圧低減を行っている。この菱形の踵側頂点は、足囲計測線Xと靴の縦方向中央線Yとの交点となっており、菱形の踵側頂点とつま先側頂点を結ぶ対角線は、靴の縦方向中央線Yと略一致するようになっている。
接地圧低減部9は本実施形態のような略菱形に限ることなく、足の人差し指と中指と薬指の趾節骨と中足骨の接合部分(以下、中央接合部分という。)に対応する部分に設けられていれば、円形、楕円形など特に形状は問わない。また、接地圧低減は底敷部を載置することに限らず、インソール本体3aに直接、接地圧低減部を設けてもよい。
接地圧の低減はインソールの底敷部に孔(貫通孔)を設けることによって行っているが、凹部、弾性材等によって当該接合部分と靴との接地圧を低減してもよい。弾性材としては、発砲ウレタン樹脂、スポンジ、ゴムなど公知の衝撃吸収材が使用可能である。
図7は、中足骨パッド3cをインソール内部に介装した図面である。中足骨パッド3cは、中足骨で形成される足の横アーチが扁平化し中足骨が扇状に広がる開帳足を防止する機能を有する。開帳足はハイヒールなどの前足に体重がかかる靴を履いたときに発生しやすく、また接地圧低減部を設けることによって足の左右両端に体重がかかることとなるが、中足骨パッドがあることによって中足骨が支えられるので、足の横アーチが扁平化することなく開帳足の発生は抑制される。
【0016】
図8はアウトソール5に接地圧低減部9を設けた図面である。アウトソール5に略菱形の凹部を設けることによって接地圧の低減を行っている。この場合においても中央接合部分に設けられていれば、形状は特に問わない。
図2においては接地圧減圧部をインソールの底敷部、図8においてはアウトソールに接地圧減圧部を設けたが、ミッドソール、インソールとミッドソールの両方など、各ソール部材の少なくとも一つに設けられていればその機能を発揮する。
上記構成に係る本実施形態のハイヒール1によれば、足の中央接合部分に対応する部分に接地圧減圧部9が設けられているので、歩行時の体重移動が図6(b)に示す2点移動となる程度にヒール6が高い場合であっても、歩行時の体重移動を図6(a)に示す3点移動に矯正することができ、足の中央接合部分にマメやタコが発生するのを抑制することができる。
なお、本実施形態では3層構造からなるソール部材を例に挙げたが、その他、単層構造や2層、4層構造などにも適用可能である。
【0017】
図3(a)は本発明の第2の実施例に係る既製靴の内側に後付けで着脱自在に取り付け可能な中敷用ソールパッド11であって、足の中央接合部分に対応する部分56に接地圧低減部9を設けたものである。本実施例では中敷用ソールパッドのパッド本体11aに菱形部11b、二股部11cの切り込みを入れることにより接地圧低減を行っている。
この中敷用ソールパッド11を図3(b)に示すように既製靴のインソール3に取り付ければ、足の中央接合部分が圧迫されることなく歩行可能となる。本実施形態の中敷用ソールパッド11は二股部11cを有するので、インソール3の靴幅に合わせた取り付けが可能となっている。
本実施形態においても足の中央接合部分に接地圧低減部が設けられていれば、いかなる形状でもよい。
本実施形態に係るソールパッド11によれば、足の中央接合部分に対応する部分に接地圧減圧部9が設けられているので、第1実施形態の場合と同様の作用効果を奏するとともに、インソール3に後付けするだけで使用できるので、既製靴に対して簡単にマメやタコが発生するのを抑制する機能を付加することができる。
【0018】
図4(a)は本発明の第3の実施例にかかる既製靴の外側に後付けで着脱可能な外付け用ソールパッド12であって、足の中央接合部分に対応する部分に接地圧低減部9を設けたものである。本実施例では、パッド本体12aに穴部12bを設けることによって接地圧の低減を行っている。外付け用ソールパッド12の接地面には複数の波形からなる滑り止め防止加工が施されている。
図4(b)のように外付け用ソールパッド12をアウトソール5に後付けで取り付けることによっても、既製靴においても足の中央接合部分が圧迫されることなく歩行可能になる。
本実施形態に係るソールパッド12においても、足の中央接合部分に対応する部分に接地圧減圧部9が設けられているので、第1実施形態の場合と同様の作用効果を奏するとともに、アウトソール5に後付けするだけで使用できるので、既製靴に対して簡単にマメやタコが発生するのを抑制する機能を付加することができる。
【0019】
本実施例では靴として婦人用ハイヒールを例に挙げたが、ミュール、ブーツなど踵の高い各種履物製品に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施例にかかるソール構造を有する靴の一部切欠斜視図である。
【図2】第1の実施例にかかるインソールの構造を示した図面である。
【図3】(a)第2の実施例にかかる中敷用ソールパッドを示した図面である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アウトソールのみからなる単層構造、アウトソールにインソールを積層した二層構造またはアウトソールとインソールの間にミッドソールを介在させた多層構造のうちいずれかの構造になっている靴のソール部材において、
前記各ソールの少なくとも一つに、足の人差し指、中指及び薬指における趾節骨と中足骨の接合部分に対応する部分に配置された接地圧低減部が設けられていることを特徴とする靴のソール部材。
【請求項2】
既製靴のソール部材の内面に後付けで着脱自在に取り付け可能なパッド本体よりなる中敷用ソールパッドにおいて、
前記パッド本体に、足の人差し指、中指及び薬指における趾節骨と中足骨の接合部分に対応する部分に配置された接地圧低減部が設けられていることを特徴とする中敷用ソールパッド。
【請求項3】
既製靴のソール部材の接地面に後付けで着脱自在に取り付け可能なパッド本体よりなる外付け用ソールパッドにおいて、
前記パッド本体に、足の人差し指、中指及び薬指における趾節骨と中足骨の接合部分に対応する部分に配置された接地圧低減部が設けられていることを特徴とする外付け用ソールパッド。
【請求項4】
ソール部材と、このソール部材の後端部から下方に突出するヒール部と、前記ソール部の縁部に連なるアッパーとを有する靴において、
次の(a)、(b)及び(c)のうちいずれか一つまたは二つ以上の部材に、足の人指し部、中指及び薬指における趾節骨と中足骨の接合部分に対応する部分に配置された接地圧低減部が設けられていることを特徴とする靴。(a)前記ソール部材。(b)同ソール部材の内面に後付けで着脱自在に取り付け可能な中敷用ソールパッド。
(c)同ソール部材の接地面に後付けで着脱自在に取り付け可能な外付け用ソールパッド。
【請求項1】
アウトソールのみからなる単層構造、アウトソールにインソールを積層した二層構造またはアウトソールとインソールの間にミッドソールを介在させた多層構造のうちいずれかの構造になっている靴のソール部材において、
前記各ソールの少なくとも一つに、足の人差し指、中指及び薬指における趾節骨と中足骨の接合部分に対応する部分に配置された接地圧低減部が設けられていることを特徴とする靴のソール部材。
【請求項2】
既製靴のソール部材の内面に後付けで着脱自在に取り付け可能なパッド本体よりなる中敷用ソールパッドにおいて、
前記パッド本体に、足の人差し指、中指及び薬指における趾節骨と中足骨の接合部分に対応する部分に配置された接地圧低減部が設けられていることを特徴とする中敷用ソールパッド。
【請求項3】
既製靴のソール部材の接地面に後付けで着脱自在に取り付け可能なパッド本体よりなる外付け用ソールパッドにおいて、
前記パッド本体に、足の人差し指、中指及び薬指における趾節骨と中足骨の接合部分に対応する部分に配置された接地圧低減部が設けられていることを特徴とする外付け用ソールパッド。
【請求項4】
ソール部材と、このソール部材の後端部から下方に突出するヒール部と、前記ソール部の縁部に連なるアッパーとを有する靴において、
次の(a)、(b)及び(c)のうちいずれか一つまたは二つ以上の部材に、足の人指し部、中指及び薬指における趾節骨と中足骨の接合部分に対応する部分に配置された接地圧低減部が設けられていることを特徴とする靴。(a)前記ソール部材。(b)同ソール部材の内面に後付けで着脱自在に取り付け可能な中敷用ソールパッド。
(c)同ソール部材の接地面に後付けで着脱自在に取り付け可能な外付け用ソールパッド。
【図3】(b)第2の実施例にかかる中敷用ソールパッドをインソールに取り付ける状態を示した図面である。
【図4】(a)第3の実施例にかかる外付け用ソールパッドを示した図面である。
【図5】(b)第3の実施例にかかる外付け用ソールパッドをアウトソールに取り付ける状態を示した図面である。
【図5】足の骨の模式図である。
【図6】(a)正常な歩行における体重移動を示した図面である。
【図6】(b)段差の高い靴を履いた場合の体重移動を示した図面である。
【図7】第1の実施例にかかるインソールに中足骨パッドを介装した図面である。
【図8】第1の実施例にかかるアウトソールの構造を示した図面である。
【符号の説明】
【0021】
1 ハイヒール
2 アッパー
3 インソール
3a インソール本体
3b 底敷き部
3c 中足骨パッド
4 ミッドソール
5 アウトソール
6 ヒール
7 ソール部材
8 ヒール巻き
9 接地圧低減部
11 中敷用ソールパッド
11a パッド本体
12 外付け用ソールパッド
12a パッド本体
51 趾節骨(趾骨)
52 中足骨
56 人差し指、中指及び薬指における趾節骨と中足骨の接合部分
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図4】(a)第3の実施例にかかる外付け用ソールパッドを示した図面である。
【図5】(b)第3の実施例にかかる外付け用ソールパッドをアウトソールに取り付ける状態を示した図面である。
【図5】足の骨の模式図である。
【図6】(a)正常な歩行における体重移動を示した図面である。
【図6】(b)段差の高い靴を履いた場合の体重移動を示した図面である。
【図7】第1の実施例にかかるインソールに中足骨パッドを介装した図面である。
【図8】第1の実施例にかかるアウトソールの構造を示した図面である。
【符号の説明】
【0021】
1 ハイヒール
2 アッパー
3 インソール
3a インソール本体
3b 底敷き部
3c 中足骨パッド
4 ミッドソール
5 アウトソール
6 ヒール
7 ソール部材
8 ヒール巻き
9 接地圧低減部
11 中敷用ソールパッド
11a パッド本体
12 外付け用ソールパッド
12a パッド本体
51 趾節骨(趾骨)
52 中足骨
56 人差し指、中指及び薬指における趾節骨と中足骨の接合部分
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2006−42983(P2006−42983A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−225687(P2004−225687)
【出願日】平成16年8月2日(2004.8.2)
【出願人】(502065192)株式会社ビクトリー (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月2日(2004.8.2)
【出願人】(502065192)株式会社ビクトリー (1)
【Fターム(参考)】
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