履物
【課題】必要に応じて足裏に当たる突起部材の位置を任意に変更できる履物を提供する。
【解決手段】人の足Fを載せる履物底部12上に配置され、該履物底部上面121より上方に突出して履物底部12上に足を載せた際に足裏の一部を刺激する突起部材16と、履物底部12上に足を載せた際の足裏に突起部材16が当たる位置を調整するように該突起部材16の履物底部12上の配置位置を変更可能とした位置変更手段18と、を有することを特徴とする履物10から構成される。位置変更手段18を介して突起部材16の配置位置を自由に設定して、足裏の好みに応じた部分を良好に刺激して健康増進を図ることができる。
【解決手段】人の足Fを載せる履物底部12上に配置され、該履物底部上面121より上方に突出して履物底部12上に足を載せた際に足裏の一部を刺激する突起部材16と、履物底部12上に足を載せた際の足裏に突起部材16が当たる位置を調整するように該突起部材16の履物底部12上の配置位置を変更可能とした位置変更手段18と、を有することを特徴とする履物10から構成される。位置変更手段18を介して突起部材16の配置位置を自由に設定して、足裏の好みに応じた部分を良好に刺激して健康増進を図ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足に履いた状態で足裏のつぼ等を刺激できる履物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、足裏のつぼ等を刺激することにより健康増進や維持を図ることが知られており、手指による足裏のマッサージや青竹踏み等のマッサージ器具を利用した足裏の刺激や、靴、スリッパ等の履物の足を載せる内底の土踏まずに相当する部分に突起を形成した構造の健康履物が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。特に、履物に足裏を刺激する突起を形成したものは、家事や仕事等を含む日常生活の中で、歩行や作業等を行いながら簡便に足裏を刺激することができる。
【0003】
【特許文献1】特開2003−230404号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
足裏のつぼの位置は個人差があるとともに、例えば体調等によっても刺激したい場所が異なってくる。しかしながら、従来の健康履物では、突起が常に同じ場所に設けられているので、常に足裏の同じ場所しか刺激を与えることができなかった。よって、自分の好みの位置を微調整しながら足裏を刺激することができず、健康増進、維持効果も限られてしまって大きな効果を得にくく、実用性が劣るものであった。また、履物に突起を複数個設けたものもあるが、常に足裏の同じ場所しか刺激を与えることができず、微調整しながら刺激することができなかった。
【0005】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、必要に応じて足裏に当たる突起部材の位置を変更しながら足裏を刺激できる履物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、人の足Fを載せる履物底部12上に配置され、該履物底部上面121より上方に突出して履物底部12上に足を載せた際に足裏の一部を刺激する突起部材16と、履物底部12上に足を載せた際の足裏に突起部材16が当たる位置を調整するように該突起部材16の履物底部12上の配置位置を変更可能とした位置変更手段18と、を有することを特徴とする履物10から構成される。突起部材16は、足Fからかかる荷重に抗して変形しにくいようにある程度硬質であればよく、プラスチック等の合成樹脂、金属、磁石、木等その他任意の素材でもよいが、足裏に当たる感じや重量等を考慮して設計される。また、硬質ゴム等のように若干の弾性を有する素材でも良い。また、例えば硬質プラスチックや金属等の硬質の心材の周りをゴム等で覆って突起部材を構成してもよい。
【0007】
また、位置変更手段18は、突起部材16を履物底部12上で前後方向の任意の位置にスライド移動させるスライド機構26を含むこととしてもよい。スライド機構26は、例えば該突起部材16の底部上の任意の配置位置でロック、解除できるロック機構を備えてもよい。
【0008】
また、スライド機構26は、履物底部12上の横幅方向両側に対向して設置されるとともに前後に向けて長く設けられた1対のガイドレール28と、突起部材16の横幅方向両側に設けられ、1対のガイドレール28に案内されてスライド移動する被ガイド部24と、を備えたこととしてもよい。ガイドレール28は、例えば、履物の底部12や拘束部14と一体的に設けられていると良い。被ガイド部24は別途設けたものを突起部材16の両側に取付けても良く、突起部材16と一体的に形成されてもよい。
【0009】
また、履物は、履物底部12と、履物底部12に載せる足の甲から踵にかけて被覆するように形成された被覆部14aと、を含む靴からなり、被覆部14aの内側にスライド機構26が設けられ、被覆部14aには、該被覆部14aの一部を開閉し、開いた状態で内側のスライド機構26を介した突起部材16のスライド操作を行うとともに、閉鎖保持機構を有する開閉部34が設けられたこととしてもよい。靴は、例えば、スリップオンタイプ、靴紐や面ファスナで締めるタイプ、スニーカー、運動靴、ブーツ、上履き等その他任意のものでもよい。開閉部34の位置は任意でもよいが、例えば靴の左右側方に設けると該開閉部の開閉操作及び突起部材16のスライド操作を行ないやすく使い勝手がよい。開閉部34は任意の構造でよく、例えば、ボタン、フック、バックル、面ファスナ、スライドファスナ等を含む構成など、手による開閉操作で開閉できるとともに、開閉操作時以外は閉じた状態を保持できる構成であればよい。また、開閉部34は、被覆部14aに設けた開口を蓋で開閉し、閉鎖状態で蓋をボタン等の固定手段で留める構成でもよい。
【0010】
また、被ガイド部24は、ガイドレール28に設けられる長孔30を横に貫通した状態で該長孔30に沿って案内される軸部材22からなり、軸部材22の貫通先端部側を突起部材のスライド移動の操作部(32)としたこととしてもよい。操作部(32)は、一方の被ガイド部24側に設けられていてもよく、両方の被ガイド部24に設けられていても良い。
【0011】
また、開閉部34は、スライドファスナ36を含むこととしてもよい。スライドファスナ36は、スライダ36aが1個のタイプのファスナでも良く、2個設けられたタイプのファスナでもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の履物によれば、人の足を載せる履物底部上に配置され、該履物底部上面より上方に突出して履物底部上に足を載せた際に足裏の一部を刺激する突起部材と、履物底部上に足を載せた際の足裏に突起部材が当たる位置を調整するように該突起部材の履物底部上の配置位置を変更可能とした位置変更手段と、を有することから、足裏を刺激する突起部材を位置変更手段を介して任意の位置に変更させて、例えば装着者の好みや体調等に応じて足裏を刺激する位置を自由に調整でき、実用的で効果的に健康増進、健康維持効果を期待できる。
【0013】
また、位置変更手段は、突起部材を履物底部上で前後方向の任意の位置にスライド移動させるスライド機構を含む構成とすることにより、突起部材を底部上でスライド移動させて該突起部材の配置位置の変更を簡便な操作で確実に行うことができる。また、スライド機構によるものなので足を軽く載せた状態でも突起部材の位置変更を実現でき、足裏に当たる位置を確認しながら正確に位置変更を行え、足裏の所望の位置に正確に刺激を与えることができる。
【0014】
また、スライド機構は、履物底部上の横幅方向両側に対向して設置されるとともに前後に向けて長く設けられた1対のガイドレールと、突起部材の横幅方向両側に設けられ、1対のガイドレールに案内されてスライド移動する被ガイド部と、を備えた構成とすることにより、突起部材をスムーズにかつ安定して移動させうるスライド機構を簡単な構成で具現でき、低コストで履物を製造できる。さらに、履物を足に履いた際にスライド機構を構成する部材等が足裏に当たりにくく、装着時及び歩行時等に突起部材による刺激以外の違和感を感じたり、足を怪我したりするのを良好に防止でき、安全に利用できる。
【0015】
また、履物は、履物底部と、履物底部に載せる足の甲から踵にかけて被覆するように形成された被覆部と、を含む靴からなり、被覆部の内側にスライド機構が設けられ、被覆部には、該被覆部の一部を開閉し、開いた状態で内側のスライド機構を介した突起部材のスライド操作を行うとともに、閉鎖保持機構を有する開閉部が設けられた構成とすることにより、特に履物が靴の場合に、履物を足に履いた通常時ではスライド機構を外部から見えないように被覆部により被覆して見栄えが良く意匠感を保持できるとともに、開閉部を開くことでスライド機構が被覆部で覆う構成でも突起部材のスライド移動操作を行える。また、例えば、狭い履き口から被覆部内側に手を入れて手探りで突起部材を操作するよりも、開閉部を設けたことで突起部材の位置を確認しながら正確な操作を行え、使い勝手がよい。
【0016】
また、被ガイド部は、ガイドレールに設けられる長孔を横に貫通した状態で該長孔に沿って案内される軸部材からなり、軸部材の貫通先端部側を突起部材のスライド移動の操作部とした構成とすることにより、底部上の横側位置に突起部材の操作部が設置されるので、手で操作部を摘みやすくスライド操作を簡単に行なうことができる。また、例えば底部に足を軽く載せた状態でも横から操作部を介して突起部材をスライド移動させることができ、足裏に突起部材が当たる位置を確認しながら調整を行うことができ、使い勝手がよい。また、足裏に直接接しない部分に突起部材の操作部を形成するので、足裏に接する突起部材本体部分を手で触って操作するよりも比較的衛生である。
【0017】
また、開閉部は、スライドファスナを含む構成とすることにより、開閉部を簡単な構造で具体的に実現できるとともに、開閉部の開閉操作を簡単、スムーズかつ短時間で行えるうえ、閉鎖状態での見かけもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下添付図面を参照しつつ本発明の履物について説明する。本発明の履物は、例えば、靴、サンダル、スリッパ、下駄等の足に履く履物であり、履物底部上に足裏を刺激する突起部材を有し、該突起部材の底部上の配置位置を任意に変更できるものである。図1ないし図5は、本発明の投入口の履物の一実施形態を示している。本実施形態において、履物10は、図1、図2に示すように、人の足を載せる底部12と、底部12に載せた足を拘束する拘束部14と、を含み、さらに、底部12上に配置される突起部材16と、該突起部材16の配置位置を変更可能とする位置変更手段18と、を含む。本実施形態では、例えば、足を底部12に留める拘束部14が、底部12上に載せる足Fの甲から踵にかけて被覆するように形成された被覆部14aからなり、履物10は、底部12と、被覆部14aと、を含む靴からなる。図4にも示すように、底部12は、いわゆる靴底であり、例えば、ゴムや合成樹脂等で形成され、底部上面121側を人の足を載せる載面とし、足の輪郭形状以上の大きさで一方に長く略平坦な足載せ台部からなる。被覆部14aは、例えば、天然皮革、人工皮革や布や合成樹脂等の生地からなり、底部12の全周から上に向けて足の略全体を包むように形成されつつ足Fを挿入するための履き口20が形成されている。なお、被覆部に紐や面ファスナ等を設けて、締める力を調整できる靴でもよい。
【0019】
図1、図3、図4に示すように、突起部材16は、底部12上に配置され、該底部上面121より上方に突出して、履物を履いた状態で人が体重をかけた際に反作用で足裏を押圧し、足裏の一部例えば、ツボを刺激する押圧手段である。突起部材16は、例えばある程度硬質なゴムや合成樹脂等からなり、底部上面121に配置されて突出高さが例えば数mmから数cm程度に設定されている。本実施形態では、突起部材16は、履物10の前後方向(足の長さ方向)には小幅で、横幅方向(足の幅方向)には長い棒状のブロック体からなる。突起部材16は、底部上面に接する下面側が平面に形成されて該底部上に安定的に載置できるとともに、足裏に当たる上方側は角がない上に凸の曲面形状に形成されている。突起部材16は、例えば、長手方向(横幅方向)の長さが履物の幅よりやや短く設定されており、足を載せた際に該足幅方向を横切るように足裏に当たる。また突起部材16は、長手方向に向けて同一の断面形状となっている。突起部材16には、長手方向に向けて略中心位置を貫通しつつ、長手両端部から左右に突出させた軸部材22が一体的に設けられている。軸部材22は、例えばプラスチック等の合成樹脂や木、金属等の硬質素材から形成された断面円形の杆部材からなる。軸部材22の両端部側は、後述のガイドレール28にガイドされる被ガイド部24を構成している。なお、突起部材16の下面側と底部上面121とには、ある程度の摩擦を生じるように設けられており、例えば、底部上に足を載せて上方(斜め上方向を含む)側から底部に向けて圧力がかかる状態では動きにくいとともに、突起部材に手で横方向に力を加えた際には該突起部材のスライド移動を行えるようになっている。なお、突起部材16は任意の形状でよく、例えば、横幅方向の一端側から他端側に向けて次第に突出高さが高くなる構成、中央部の突出高さが高く両側が低くなる構成、凹凸を繰り返した構成等、横幅方向に形状が変化する形態でもよい。また、突起部材16の横幅長さが、例えば、履物の横幅の半分や1/3程度で、足幅よりも短いブロック体形状に設けられていても。また、突起部材は、棒状形状に限らず、扁平板状、扁平の山なり曲面形状、半球体、楕円球体状その他足裏を押して刺激できるような任意の立体形状でもよい。
【0020】
位置変更手段18は、足裏の突起部材16が当たる位置を調整できるように突起部材16の底部12上の配置位置を任意に変更可能とする手段である。これにより、例えば、個人の好み、体調等に応じて日毎や時間毎等、任意に突起部材16の位置を移動させて、所望の足裏の位置を刺激することができ、使い勝手がよく高い健康増進、維持効果を図ることができる。図1、図3、図4、図5に示すように、本実施形態では、位置変更手段18は、突起部材16を底部12上でスライド移動させるスライド機構26を含む。すなわち、位置変更手段18は、常に突起部材16を底部上面121に保持しつつ、該突起部材16の下面側を底部上面に当接摺動させながらその配置位置を変更させうる。基本的には、位置変更手段は突起部材を底部上の任意の位置に着脱自在に設置できる構成としてもよいが、スライド機構の構成とすることにより位置変更をスムーズに行え操作性がよい。スライド機構26は、被覆部14aの内側(被覆部で囲まれる底部上の空間内部)に設けられており、通常時は該被覆部14aに覆われて外部からはスライド機構26が見えないようになっている。なお、後述のように被覆部14aには開閉部34が形成されており、該開閉部34を開いた状態で被覆部14a内部に設けられるスライド機構26を介した突起部材16のスライド操作を行うことができる。本実施形態では、スライド機構26は、突起部材16を少なくとも履物の前後方向にスライド移動させうるようになっている。突起部材16を履物の横幅方向にスライド移動させるように構成されていてもよい。
【0021】
本実施形態では、スライド機構26は、底部12上に設置される1対のガイドレール28と、突起部材16に設けられてガイドレールに案内される被ガイド部24と、を含む。1対のガイドレール28は、履物10の前後方向に長く設けられており、底部12の横幅方向両側であって被覆部14a内面に近接した位置に互いに対向して設置されている。すなわち、1対のガイドレール28は、その対向間部分に突起部材16を配置し、該突起部材16の横幅方向両側(長手方向の両端側)をガイドする。ガイドレール28は、例えば、プラスチック等の硬質合成樹脂で形成された履物10の前後方向に向けて長くかつ上下方向にある程度の高さを有した帯板状部材からなり、該帯板状部材の板面を横方向に向けるとともに底部12に下部を埋め込ませて立設された状態で一体的に固定されている。ガイドレール28は、横幅方向の厚みすなわち帯板状部材の厚みが小幅で設定されており、足に当たりにくくなっている。ガイドレール28の前後方向の長さは、例えば、履物の全長(前後方向長さ)の約7割程度に設定されている。ガイドレール28の上下高さの中間位置には、例えば、横幅方向すなわち板面を貫通する方向に穿孔され、その長手方向(履物の前後方向に)に沿って直線スリット状に長い長孔30が形成されている。突起部材16に設けられる被ガイド部24は、本実施形態では、突起部材16を長手方向に貫通しつつ、該両側から突設された軸部材22の突出両端部から構成されている。軸部材22は、その径が長孔30の上下幅と略同じ大きさで設けられており、ガイドレール28の長孔30を貫通した状態で、該長孔30の孔縁に直線的にガイドされてスライド移動する。これにより、図5に示すように、突起部材16を足の足指側寄りの位置PFから踵側寄りの位置PHまでの範囲を自由に移動させて、その範囲内の任意の位置に配置できるようになっている。軸部材22の貫通先端側には、例えば、軸部材22より径が大きいすなわち長孔30の上下幅よりも大きい円柱形状に設けられた摘み部32が設けられている。該摘み部32と突起部材16との間にガイドレール28が挟装されるように配置されている。摘み部32は突起部材16のスライド操作用の操作部であり、被覆部14aに設けられた開閉部34を開いた状態で横側から手でつまんで軸部材22と一体的に突起部材16をスライド操作することができる。これにより、例えば狭い靴の履き口20から手を入れて操作するよりもスライド操作の操作性を向上させうる。なお、摘み部32が長孔の上下幅より大きく形成されていることから、軸部材22がガイドレール28から脱係するのを防止できる。なお、ガイドレール28に直接足が当たらないように布や皮革等のカバー部材で被覆して、長孔30に対応するカバー部材の部分に同形状の長孔を形成することとしてもよい。また、ガイドレール28と突起部材16の被ガイド部24の構成は上記の構成に限らず、例えば、軸部材をボルトで形成し、摘み部を蝶ナット等で形成して、任意の位置で固定できる構成や、被ガイド部を車輪状に形成しそれをガイドするガイドレールの構成や、ガイドレールに長溝を設けるとともに被ガイド部を該長溝に嵌合状に係合させてスライド移動させる構成など任意の構成でもよい。又、例えばガイドレール側に互いに離隔して並列される複数の溝や孔を形成し、被ガイド部に該溝や孔に係止されるように進退するフックやピン等を設けて、突起部材の所定の位置でロックされるように構成してもよい。
【0022】
図2、図3、図4に示すように、被覆部14aの両横側方には該被覆部の一部を開閉する開閉部34が設けられている。開閉部34は、開いた状態では被覆部14aの内側と外側とを連通し、外部側から被覆部14aの内側に設けられるスライド機構26を介した突起部材16のスライド操作すなわち、摘み部34による突起部材16のスライド操作を行える。一方、閉じた状態では、その閉鎖状態を保持する閉鎖保持機構を構成し、足を被覆する被覆部14aと一体的になり、スライド機構を被覆する。本実施形態では、開口部34は、ガイドレール28の設置位置に対応して設けられており、開口部34を開くと即座にガイドレール28及び突起部材16の操作部となる摘み部32が現れるようになっている。開口部34とガイドレールとが直近位置に設けられているといえる。なお、開口部34の位置では、被覆部14aは外部側に膨出した形状となっており、その内側の摘み部32の配置空間及びスライド空間を確保している。開口部34は、例えば、被覆部14aの横側面に前後長手方向に長いスリット状の開口を形成し、該開口にスライドファスナ36を取り付けて構成されている。スライドファスナ36は、スライダ36aの引き手を摘んで前後にスライドさせることにより、開口縁にテープを介して取り付けられたエレメントを互いに噛み合せ又は離脱させて、簡便に開閉することができるとともに、閉鎖状態ではエレメントの歯が噛みあって閉鎖保持機構を構成しうる。なお、本実施形態では、開閉部34は被覆部14aの両側面に設けられているが、いずれか一方に設けてもよい。
【0023】
次に、本実施形態に係る履物10の作用について説明する。まず、被覆部14aの両横側面の開閉部34のスライドファスナ36を開く。該開閉部34の開いた開口部分を介して被覆部14aの内部に手を入れて摘み部32を摘み、前方又は後方に突起部材16をスライド移動させて、所望の位置、例えば、図5上では足の前後中間の土踏まずに相当する位置PAに設定する。その後に開閉部34のスライドファスナ36を閉じる。開閉部を介して突起部材の位置変更操作を行えるので、特に靴の場合に狭い履き口20から被覆部14a内部に手を入れて手探りで突起部材16をスライド操作するよりも操作性が良い。なお、この突起部材16の位置変更操作は、履物を履く前に行ってもよく、履いた状態でも例えば底部に体重をあまりかけないようにしながら行うこともできる。特に、履いた状態で突起部材16の位置変更を行うことにより、足裏の突起部材16が当たる位置を確認しながら正確な位置調整を行える。また、突起部材16を所望の位置に設定した後に、被覆部14a内に足を入れる際に突起部材がずれるのを防止できる。上記のように突起部材16の位置を調整した後に、履物10を足に履いた状態で歩行や運動等を行いながら突起部材16による足裏の刺激を行って健康増進、維持等を図ることができる。また、足裏に突起部材が当たる位置を変更したくなった場合には、上記同様に開閉部34を開いて、被覆部内部に手を入れ摘み部32を操作して、例えば、図5の2点鎖線に示すように、前方に移動させて足指寄りの位置PFや、後方に移動させて踵側寄りの位置PHに設定することができる。このようにして、装着者の好み、体調等に応じて足裏の刺激する場所を自由に変更することができ、実用的であり良好に健康増進等を図ることができる。なお、図6に示すように、必要に応じて底部及び突起部材の上に、例えば中敷36を敷設してもよい。中敷36は、突起部材16の突出に応じて撓むようになっている。
【0024】
次に、図7を参照しつつ第2の実施形態を説明する。第1実施形態と同一部材には同一符号を付しその詳細な説明を省略する。図7に示すように、この実施形態では、履物10aは例えばサンダルからなり、拘束部14は底部12上に載せた足の甲の位置を留めるように横幅方向にアーチ状に設けられたバンド部14bからなる。すなわち、この実施形態では、履物10aは足を包まない構造であり、突起部材16及びスライド機構26も常に外部に露出した形態となっている。突起部材16のスライド操作を比較的簡単に行なえる。この実施形態に係る履物10aにおいても装着者の好み、体調等に応じて突起部材16の位置を任意に変更させて足裏の所望の位置を刺激でき、実用的でかつ良好に健康維持等を図ることができる等の第1実施形態同様の作用効果を奏することができる。
【0025】
なお、履物は上述した第1、第2実施形態のような靴(10)、サンダル(10a)の形態に限らず、例えば、下駄や草履のように緒で足を拘束するタイプのものや、スリッパ、地下足袋等その他任意の外履き用履物、内履き用履物の形態とすることができ、該履物の形態に応じて、スライド機構の構造等を適宜変更される。
【0026】
以上説明した本発明の履物は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の履物は、例えば、靴、サンダル、下駄、スリッパ等、室内履き用の履物、外履き用の履物に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る履物の一部切り欠き斜視図である。
【図2】図1の履物の一部切り欠き側面図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】図2のB−B線断面図である。
【図5】図1のC−C線断面図である。
【図6】図1の履物に中敷を敷いた例の説明図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る履物の斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
10、10a 履物
12 底部
14a 被覆部
16 突起部材
18 位置変更手段
22 軸部材
24 被ガイド部
26 スライド機構
28 ガイドレール
30 長孔
32 摘み部
34 開閉部
36 スライドファスナ
【技術分野】
【0001】
本発明は、足に履いた状態で足裏のつぼ等を刺激できる履物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、足裏のつぼ等を刺激することにより健康増進や維持を図ることが知られており、手指による足裏のマッサージや青竹踏み等のマッサージ器具を利用した足裏の刺激や、靴、スリッパ等の履物の足を載せる内底の土踏まずに相当する部分に突起を形成した構造の健康履物が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。特に、履物に足裏を刺激する突起を形成したものは、家事や仕事等を含む日常生活の中で、歩行や作業等を行いながら簡便に足裏を刺激することができる。
【0003】
【特許文献1】特開2003−230404号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
足裏のつぼの位置は個人差があるとともに、例えば体調等によっても刺激したい場所が異なってくる。しかしながら、従来の健康履物では、突起が常に同じ場所に設けられているので、常に足裏の同じ場所しか刺激を与えることができなかった。よって、自分の好みの位置を微調整しながら足裏を刺激することができず、健康増進、維持効果も限られてしまって大きな効果を得にくく、実用性が劣るものであった。また、履物に突起を複数個設けたものもあるが、常に足裏の同じ場所しか刺激を与えることができず、微調整しながら刺激することができなかった。
【0005】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、必要に応じて足裏に当たる突起部材の位置を変更しながら足裏を刺激できる履物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、人の足Fを載せる履物底部12上に配置され、該履物底部上面121より上方に突出して履物底部12上に足を載せた際に足裏の一部を刺激する突起部材16と、履物底部12上に足を載せた際の足裏に突起部材16が当たる位置を調整するように該突起部材16の履物底部12上の配置位置を変更可能とした位置変更手段18と、を有することを特徴とする履物10から構成される。突起部材16は、足Fからかかる荷重に抗して変形しにくいようにある程度硬質であればよく、プラスチック等の合成樹脂、金属、磁石、木等その他任意の素材でもよいが、足裏に当たる感じや重量等を考慮して設計される。また、硬質ゴム等のように若干の弾性を有する素材でも良い。また、例えば硬質プラスチックや金属等の硬質の心材の周りをゴム等で覆って突起部材を構成してもよい。
【0007】
また、位置変更手段18は、突起部材16を履物底部12上で前後方向の任意の位置にスライド移動させるスライド機構26を含むこととしてもよい。スライド機構26は、例えば該突起部材16の底部上の任意の配置位置でロック、解除できるロック機構を備えてもよい。
【0008】
また、スライド機構26は、履物底部12上の横幅方向両側に対向して設置されるとともに前後に向けて長く設けられた1対のガイドレール28と、突起部材16の横幅方向両側に設けられ、1対のガイドレール28に案内されてスライド移動する被ガイド部24と、を備えたこととしてもよい。ガイドレール28は、例えば、履物の底部12や拘束部14と一体的に設けられていると良い。被ガイド部24は別途設けたものを突起部材16の両側に取付けても良く、突起部材16と一体的に形成されてもよい。
【0009】
また、履物は、履物底部12と、履物底部12に載せる足の甲から踵にかけて被覆するように形成された被覆部14aと、を含む靴からなり、被覆部14aの内側にスライド機構26が設けられ、被覆部14aには、該被覆部14aの一部を開閉し、開いた状態で内側のスライド機構26を介した突起部材16のスライド操作を行うとともに、閉鎖保持機構を有する開閉部34が設けられたこととしてもよい。靴は、例えば、スリップオンタイプ、靴紐や面ファスナで締めるタイプ、スニーカー、運動靴、ブーツ、上履き等その他任意のものでもよい。開閉部34の位置は任意でもよいが、例えば靴の左右側方に設けると該開閉部の開閉操作及び突起部材16のスライド操作を行ないやすく使い勝手がよい。開閉部34は任意の構造でよく、例えば、ボタン、フック、バックル、面ファスナ、スライドファスナ等を含む構成など、手による開閉操作で開閉できるとともに、開閉操作時以外は閉じた状態を保持できる構成であればよい。また、開閉部34は、被覆部14aに設けた開口を蓋で開閉し、閉鎖状態で蓋をボタン等の固定手段で留める構成でもよい。
【0010】
また、被ガイド部24は、ガイドレール28に設けられる長孔30を横に貫通した状態で該長孔30に沿って案内される軸部材22からなり、軸部材22の貫通先端部側を突起部材のスライド移動の操作部(32)としたこととしてもよい。操作部(32)は、一方の被ガイド部24側に設けられていてもよく、両方の被ガイド部24に設けられていても良い。
【0011】
また、開閉部34は、スライドファスナ36を含むこととしてもよい。スライドファスナ36は、スライダ36aが1個のタイプのファスナでも良く、2個設けられたタイプのファスナでもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の履物によれば、人の足を載せる履物底部上に配置され、該履物底部上面より上方に突出して履物底部上に足を載せた際に足裏の一部を刺激する突起部材と、履物底部上に足を載せた際の足裏に突起部材が当たる位置を調整するように該突起部材の履物底部上の配置位置を変更可能とした位置変更手段と、を有することから、足裏を刺激する突起部材を位置変更手段を介して任意の位置に変更させて、例えば装着者の好みや体調等に応じて足裏を刺激する位置を自由に調整でき、実用的で効果的に健康増進、健康維持効果を期待できる。
【0013】
また、位置変更手段は、突起部材を履物底部上で前後方向の任意の位置にスライド移動させるスライド機構を含む構成とすることにより、突起部材を底部上でスライド移動させて該突起部材の配置位置の変更を簡便な操作で確実に行うことができる。また、スライド機構によるものなので足を軽く載せた状態でも突起部材の位置変更を実現でき、足裏に当たる位置を確認しながら正確に位置変更を行え、足裏の所望の位置に正確に刺激を与えることができる。
【0014】
また、スライド機構は、履物底部上の横幅方向両側に対向して設置されるとともに前後に向けて長く設けられた1対のガイドレールと、突起部材の横幅方向両側に設けられ、1対のガイドレールに案内されてスライド移動する被ガイド部と、を備えた構成とすることにより、突起部材をスムーズにかつ安定して移動させうるスライド機構を簡単な構成で具現でき、低コストで履物を製造できる。さらに、履物を足に履いた際にスライド機構を構成する部材等が足裏に当たりにくく、装着時及び歩行時等に突起部材による刺激以外の違和感を感じたり、足を怪我したりするのを良好に防止でき、安全に利用できる。
【0015】
また、履物は、履物底部と、履物底部に載せる足の甲から踵にかけて被覆するように形成された被覆部と、を含む靴からなり、被覆部の内側にスライド機構が設けられ、被覆部には、該被覆部の一部を開閉し、開いた状態で内側のスライド機構を介した突起部材のスライド操作を行うとともに、閉鎖保持機構を有する開閉部が設けられた構成とすることにより、特に履物が靴の場合に、履物を足に履いた通常時ではスライド機構を外部から見えないように被覆部により被覆して見栄えが良く意匠感を保持できるとともに、開閉部を開くことでスライド機構が被覆部で覆う構成でも突起部材のスライド移動操作を行える。また、例えば、狭い履き口から被覆部内側に手を入れて手探りで突起部材を操作するよりも、開閉部を設けたことで突起部材の位置を確認しながら正確な操作を行え、使い勝手がよい。
【0016】
また、被ガイド部は、ガイドレールに設けられる長孔を横に貫通した状態で該長孔に沿って案内される軸部材からなり、軸部材の貫通先端部側を突起部材のスライド移動の操作部とした構成とすることにより、底部上の横側位置に突起部材の操作部が設置されるので、手で操作部を摘みやすくスライド操作を簡単に行なうことができる。また、例えば底部に足を軽く載せた状態でも横から操作部を介して突起部材をスライド移動させることができ、足裏に突起部材が当たる位置を確認しながら調整を行うことができ、使い勝手がよい。また、足裏に直接接しない部分に突起部材の操作部を形成するので、足裏に接する突起部材本体部分を手で触って操作するよりも比較的衛生である。
【0017】
また、開閉部は、スライドファスナを含む構成とすることにより、開閉部を簡単な構造で具体的に実現できるとともに、開閉部の開閉操作を簡単、スムーズかつ短時間で行えるうえ、閉鎖状態での見かけもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下添付図面を参照しつつ本発明の履物について説明する。本発明の履物は、例えば、靴、サンダル、スリッパ、下駄等の足に履く履物であり、履物底部上に足裏を刺激する突起部材を有し、該突起部材の底部上の配置位置を任意に変更できるものである。図1ないし図5は、本発明の投入口の履物の一実施形態を示している。本実施形態において、履物10は、図1、図2に示すように、人の足を載せる底部12と、底部12に載せた足を拘束する拘束部14と、を含み、さらに、底部12上に配置される突起部材16と、該突起部材16の配置位置を変更可能とする位置変更手段18と、を含む。本実施形態では、例えば、足を底部12に留める拘束部14が、底部12上に載せる足Fの甲から踵にかけて被覆するように形成された被覆部14aからなり、履物10は、底部12と、被覆部14aと、を含む靴からなる。図4にも示すように、底部12は、いわゆる靴底であり、例えば、ゴムや合成樹脂等で形成され、底部上面121側を人の足を載せる載面とし、足の輪郭形状以上の大きさで一方に長く略平坦な足載せ台部からなる。被覆部14aは、例えば、天然皮革、人工皮革や布や合成樹脂等の生地からなり、底部12の全周から上に向けて足の略全体を包むように形成されつつ足Fを挿入するための履き口20が形成されている。なお、被覆部に紐や面ファスナ等を設けて、締める力を調整できる靴でもよい。
【0019】
図1、図3、図4に示すように、突起部材16は、底部12上に配置され、該底部上面121より上方に突出して、履物を履いた状態で人が体重をかけた際に反作用で足裏を押圧し、足裏の一部例えば、ツボを刺激する押圧手段である。突起部材16は、例えばある程度硬質なゴムや合成樹脂等からなり、底部上面121に配置されて突出高さが例えば数mmから数cm程度に設定されている。本実施形態では、突起部材16は、履物10の前後方向(足の長さ方向)には小幅で、横幅方向(足の幅方向)には長い棒状のブロック体からなる。突起部材16は、底部上面に接する下面側が平面に形成されて該底部上に安定的に載置できるとともに、足裏に当たる上方側は角がない上に凸の曲面形状に形成されている。突起部材16は、例えば、長手方向(横幅方向)の長さが履物の幅よりやや短く設定されており、足を載せた際に該足幅方向を横切るように足裏に当たる。また突起部材16は、長手方向に向けて同一の断面形状となっている。突起部材16には、長手方向に向けて略中心位置を貫通しつつ、長手両端部から左右に突出させた軸部材22が一体的に設けられている。軸部材22は、例えばプラスチック等の合成樹脂や木、金属等の硬質素材から形成された断面円形の杆部材からなる。軸部材22の両端部側は、後述のガイドレール28にガイドされる被ガイド部24を構成している。なお、突起部材16の下面側と底部上面121とには、ある程度の摩擦を生じるように設けられており、例えば、底部上に足を載せて上方(斜め上方向を含む)側から底部に向けて圧力がかかる状態では動きにくいとともに、突起部材に手で横方向に力を加えた際には該突起部材のスライド移動を行えるようになっている。なお、突起部材16は任意の形状でよく、例えば、横幅方向の一端側から他端側に向けて次第に突出高さが高くなる構成、中央部の突出高さが高く両側が低くなる構成、凹凸を繰り返した構成等、横幅方向に形状が変化する形態でもよい。また、突起部材16の横幅長さが、例えば、履物の横幅の半分や1/3程度で、足幅よりも短いブロック体形状に設けられていても。また、突起部材は、棒状形状に限らず、扁平板状、扁平の山なり曲面形状、半球体、楕円球体状その他足裏を押して刺激できるような任意の立体形状でもよい。
【0020】
位置変更手段18は、足裏の突起部材16が当たる位置を調整できるように突起部材16の底部12上の配置位置を任意に変更可能とする手段である。これにより、例えば、個人の好み、体調等に応じて日毎や時間毎等、任意に突起部材16の位置を移動させて、所望の足裏の位置を刺激することができ、使い勝手がよく高い健康増進、維持効果を図ることができる。図1、図3、図4、図5に示すように、本実施形態では、位置変更手段18は、突起部材16を底部12上でスライド移動させるスライド機構26を含む。すなわち、位置変更手段18は、常に突起部材16を底部上面121に保持しつつ、該突起部材16の下面側を底部上面に当接摺動させながらその配置位置を変更させうる。基本的には、位置変更手段は突起部材を底部上の任意の位置に着脱自在に設置できる構成としてもよいが、スライド機構の構成とすることにより位置変更をスムーズに行え操作性がよい。スライド機構26は、被覆部14aの内側(被覆部で囲まれる底部上の空間内部)に設けられており、通常時は該被覆部14aに覆われて外部からはスライド機構26が見えないようになっている。なお、後述のように被覆部14aには開閉部34が形成されており、該開閉部34を開いた状態で被覆部14a内部に設けられるスライド機構26を介した突起部材16のスライド操作を行うことができる。本実施形態では、スライド機構26は、突起部材16を少なくとも履物の前後方向にスライド移動させうるようになっている。突起部材16を履物の横幅方向にスライド移動させるように構成されていてもよい。
【0021】
本実施形態では、スライド機構26は、底部12上に設置される1対のガイドレール28と、突起部材16に設けられてガイドレールに案内される被ガイド部24と、を含む。1対のガイドレール28は、履物10の前後方向に長く設けられており、底部12の横幅方向両側であって被覆部14a内面に近接した位置に互いに対向して設置されている。すなわち、1対のガイドレール28は、その対向間部分に突起部材16を配置し、該突起部材16の横幅方向両側(長手方向の両端側)をガイドする。ガイドレール28は、例えば、プラスチック等の硬質合成樹脂で形成された履物10の前後方向に向けて長くかつ上下方向にある程度の高さを有した帯板状部材からなり、該帯板状部材の板面を横方向に向けるとともに底部12に下部を埋め込ませて立設された状態で一体的に固定されている。ガイドレール28は、横幅方向の厚みすなわち帯板状部材の厚みが小幅で設定されており、足に当たりにくくなっている。ガイドレール28の前後方向の長さは、例えば、履物の全長(前後方向長さ)の約7割程度に設定されている。ガイドレール28の上下高さの中間位置には、例えば、横幅方向すなわち板面を貫通する方向に穿孔され、その長手方向(履物の前後方向に)に沿って直線スリット状に長い長孔30が形成されている。突起部材16に設けられる被ガイド部24は、本実施形態では、突起部材16を長手方向に貫通しつつ、該両側から突設された軸部材22の突出両端部から構成されている。軸部材22は、その径が長孔30の上下幅と略同じ大きさで設けられており、ガイドレール28の長孔30を貫通した状態で、該長孔30の孔縁に直線的にガイドされてスライド移動する。これにより、図5に示すように、突起部材16を足の足指側寄りの位置PFから踵側寄りの位置PHまでの範囲を自由に移動させて、その範囲内の任意の位置に配置できるようになっている。軸部材22の貫通先端側には、例えば、軸部材22より径が大きいすなわち長孔30の上下幅よりも大きい円柱形状に設けられた摘み部32が設けられている。該摘み部32と突起部材16との間にガイドレール28が挟装されるように配置されている。摘み部32は突起部材16のスライド操作用の操作部であり、被覆部14aに設けられた開閉部34を開いた状態で横側から手でつまんで軸部材22と一体的に突起部材16をスライド操作することができる。これにより、例えば狭い靴の履き口20から手を入れて操作するよりもスライド操作の操作性を向上させうる。なお、摘み部32が長孔の上下幅より大きく形成されていることから、軸部材22がガイドレール28から脱係するのを防止できる。なお、ガイドレール28に直接足が当たらないように布や皮革等のカバー部材で被覆して、長孔30に対応するカバー部材の部分に同形状の長孔を形成することとしてもよい。また、ガイドレール28と突起部材16の被ガイド部24の構成は上記の構成に限らず、例えば、軸部材をボルトで形成し、摘み部を蝶ナット等で形成して、任意の位置で固定できる構成や、被ガイド部を車輪状に形成しそれをガイドするガイドレールの構成や、ガイドレールに長溝を設けるとともに被ガイド部を該長溝に嵌合状に係合させてスライド移動させる構成など任意の構成でもよい。又、例えばガイドレール側に互いに離隔して並列される複数の溝や孔を形成し、被ガイド部に該溝や孔に係止されるように進退するフックやピン等を設けて、突起部材の所定の位置でロックされるように構成してもよい。
【0022】
図2、図3、図4に示すように、被覆部14aの両横側方には該被覆部の一部を開閉する開閉部34が設けられている。開閉部34は、開いた状態では被覆部14aの内側と外側とを連通し、外部側から被覆部14aの内側に設けられるスライド機構26を介した突起部材16のスライド操作すなわち、摘み部34による突起部材16のスライド操作を行える。一方、閉じた状態では、その閉鎖状態を保持する閉鎖保持機構を構成し、足を被覆する被覆部14aと一体的になり、スライド機構を被覆する。本実施形態では、開口部34は、ガイドレール28の設置位置に対応して設けられており、開口部34を開くと即座にガイドレール28及び突起部材16の操作部となる摘み部32が現れるようになっている。開口部34とガイドレールとが直近位置に設けられているといえる。なお、開口部34の位置では、被覆部14aは外部側に膨出した形状となっており、その内側の摘み部32の配置空間及びスライド空間を確保している。開口部34は、例えば、被覆部14aの横側面に前後長手方向に長いスリット状の開口を形成し、該開口にスライドファスナ36を取り付けて構成されている。スライドファスナ36は、スライダ36aの引き手を摘んで前後にスライドさせることにより、開口縁にテープを介して取り付けられたエレメントを互いに噛み合せ又は離脱させて、簡便に開閉することができるとともに、閉鎖状態ではエレメントの歯が噛みあって閉鎖保持機構を構成しうる。なお、本実施形態では、開閉部34は被覆部14aの両側面に設けられているが、いずれか一方に設けてもよい。
【0023】
次に、本実施形態に係る履物10の作用について説明する。まず、被覆部14aの両横側面の開閉部34のスライドファスナ36を開く。該開閉部34の開いた開口部分を介して被覆部14aの内部に手を入れて摘み部32を摘み、前方又は後方に突起部材16をスライド移動させて、所望の位置、例えば、図5上では足の前後中間の土踏まずに相当する位置PAに設定する。その後に開閉部34のスライドファスナ36を閉じる。開閉部を介して突起部材の位置変更操作を行えるので、特に靴の場合に狭い履き口20から被覆部14a内部に手を入れて手探りで突起部材16をスライド操作するよりも操作性が良い。なお、この突起部材16の位置変更操作は、履物を履く前に行ってもよく、履いた状態でも例えば底部に体重をあまりかけないようにしながら行うこともできる。特に、履いた状態で突起部材16の位置変更を行うことにより、足裏の突起部材16が当たる位置を確認しながら正確な位置調整を行える。また、突起部材16を所望の位置に設定した後に、被覆部14a内に足を入れる際に突起部材がずれるのを防止できる。上記のように突起部材16の位置を調整した後に、履物10を足に履いた状態で歩行や運動等を行いながら突起部材16による足裏の刺激を行って健康増進、維持等を図ることができる。また、足裏に突起部材が当たる位置を変更したくなった場合には、上記同様に開閉部34を開いて、被覆部内部に手を入れ摘み部32を操作して、例えば、図5の2点鎖線に示すように、前方に移動させて足指寄りの位置PFや、後方に移動させて踵側寄りの位置PHに設定することができる。このようにして、装着者の好み、体調等に応じて足裏の刺激する場所を自由に変更することができ、実用的であり良好に健康増進等を図ることができる。なお、図6に示すように、必要に応じて底部及び突起部材の上に、例えば中敷36を敷設してもよい。中敷36は、突起部材16の突出に応じて撓むようになっている。
【0024】
次に、図7を参照しつつ第2の実施形態を説明する。第1実施形態と同一部材には同一符号を付しその詳細な説明を省略する。図7に示すように、この実施形態では、履物10aは例えばサンダルからなり、拘束部14は底部12上に載せた足の甲の位置を留めるように横幅方向にアーチ状に設けられたバンド部14bからなる。すなわち、この実施形態では、履物10aは足を包まない構造であり、突起部材16及びスライド機構26も常に外部に露出した形態となっている。突起部材16のスライド操作を比較的簡単に行なえる。この実施形態に係る履物10aにおいても装着者の好み、体調等に応じて突起部材16の位置を任意に変更させて足裏の所望の位置を刺激でき、実用的でかつ良好に健康維持等を図ることができる等の第1実施形態同様の作用効果を奏することができる。
【0025】
なお、履物は上述した第1、第2実施形態のような靴(10)、サンダル(10a)の形態に限らず、例えば、下駄や草履のように緒で足を拘束するタイプのものや、スリッパ、地下足袋等その他任意の外履き用履物、内履き用履物の形態とすることができ、該履物の形態に応じて、スライド機構の構造等を適宜変更される。
【0026】
以上説明した本発明の履物は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の履物は、例えば、靴、サンダル、下駄、スリッパ等、室内履き用の履物、外履き用の履物に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る履物の一部切り欠き斜視図である。
【図2】図1の履物の一部切り欠き側面図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】図2のB−B線断面図である。
【図5】図1のC−C線断面図である。
【図6】図1の履物に中敷を敷いた例の説明図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る履物の斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
10、10a 履物
12 底部
14a 被覆部
16 突起部材
18 位置変更手段
22 軸部材
24 被ガイド部
26 スライド機構
28 ガイドレール
30 長孔
32 摘み部
34 開閉部
36 スライドファスナ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の足を載せる履物底部上に配置され、該履物底部上面より上方に突出して履物底部上に足を載せた際に足裏の一部を刺激する突起部材と、
履物底部上に足を載せた際の足裏に突起部材が当たる位置を調整するように該突起部材の履物底部上の配置位置を変更可能とした位置変更手段と、を有することを特徴とする履物。
【請求項2】
位置変更手段は、突起部材を履物底部上で前後方向の任意の位置にスライド移動させるスライド機構を含む請求項1記載の履物。
【請求項3】
スライド機構は、履物底部上の横幅方向両側に対向して設置されるとともに前後に向けて長く設けられた1対のガイドレールと、
突起部材の横幅方向両側に設けられ、1対のガイドレールに案内されてスライド移動する被ガイド部と、を備えた請求項2記載の履物。
【請求項4】
履物は、履物底部と、履物底部に載せる足の甲から踵にかけて被覆するように形成された被覆部と、を含む靴からなり、
被覆部の内側にスライド機構が設けられ、
被覆部には、該被覆部の一部を開閉し、開いた状態で内側のスライド機構を介した突起部材のスライド操作を行うとともに、閉鎖保持機構を有する開閉部が設けられた請求項2または3記載の履物。
【請求項5】
被ガイド部は、ガイドレールに設けられる長孔を横に貫通した状態で該長孔に沿って案内される軸部材からなり、
軸部材の貫通先端部側を突起部材のスライド移動の操作部とした請求項3または4記載の履物。
【請求項6】
開閉部は、スライドファスナを含む請求項4または5記載の履物。
【請求項1】
人の足を載せる履物底部上に配置され、該履物底部上面より上方に突出して履物底部上に足を載せた際に足裏の一部を刺激する突起部材と、
履物底部上に足を載せた際の足裏に突起部材が当たる位置を調整するように該突起部材の履物底部上の配置位置を変更可能とした位置変更手段と、を有することを特徴とする履物。
【請求項2】
位置変更手段は、突起部材を履物底部上で前後方向の任意の位置にスライド移動させるスライド機構を含む請求項1記載の履物。
【請求項3】
スライド機構は、履物底部上の横幅方向両側に対向して設置されるとともに前後に向けて長く設けられた1対のガイドレールと、
突起部材の横幅方向両側に設けられ、1対のガイドレールに案内されてスライド移動する被ガイド部と、を備えた請求項2記載の履物。
【請求項4】
履物は、履物底部と、履物底部に載せる足の甲から踵にかけて被覆するように形成された被覆部と、を含む靴からなり、
被覆部の内側にスライド機構が設けられ、
被覆部には、該被覆部の一部を開閉し、開いた状態で内側のスライド機構を介した突起部材のスライド操作を行うとともに、閉鎖保持機構を有する開閉部が設けられた請求項2または3記載の履物。
【請求項5】
被ガイド部は、ガイドレールに設けられる長孔を横に貫通した状態で該長孔に沿って案内される軸部材からなり、
軸部材の貫通先端部側を突起部材のスライド移動の操作部とした請求項3または4記載の履物。
【請求項6】
開閉部は、スライドファスナを含む請求項4または5記載の履物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2009−247712(P2009−247712A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−100923(P2008−100923)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(307045434)
【出願人】(508109564)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(307045434)
【出願人】(508109564)
【Fターム(参考)】
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