説明

履物

【課題】履物の内部に備えられている内部空間部と、内部空間部と履物の外部とを連通する笛孔とを備えていて、履物が踏みつけられることにより笛孔を介して内部空間部内の空気が外部に放出され、履物が踏みつけられていた状態が解放されることにより笛孔を介して外部から内部空間部内に空気が吸入されることによって音を発生する履物からの音の発生を履物を履いている者の意思によって任意に制御する。
【解決手段】履物の外壁に溝条が刻設されており、溝条の中間部分に溝条に装入される紐条体の基端が取り付けられている。紐条体の基端が取り付けられている溝条の中間部分によって区分される溝条の一方の側と他方の側とにおける一方の側の溝条の先端側に笛孔が連通して開口している。紐条体を溝条の一方の側に装入することにより笛孔の開口が閉鎖され、紐条体を溝条の他方の側に装入することにより笛孔の開口が開放される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、履物の内部に備えられている内部空間部と、当該内部空間部と履物の外部とを連通する笛孔とを備えていて、履物が踏みつけられることにより前記笛孔を介して内部空間部内の空気が外部に放出され、履物が踏みつけられていた状態が解放されることにより前記笛孔を介して外部から内部空間部内に空気が吸入されることによって音を発生する履物に関する。特に、前記の履物において音の発生を使用者が任意に制御できる履物に関する。
【背景技術】
【0002】
履物の内部に備えられている内部空間部と、当該内部空間部と履物の外部とを連通する笛孔とを備えていて、履物が踏みつけられることにより前記笛孔を介して内部空間部内の空気が外部に放出され、履物が踏みつけられていた状態が解放されることにより前記笛孔を介して外部から内部空間部内に空気が吸入されることによって音を発生する履物については従来から種々の提案がされている(例えば、特許文献1)
しかし、従来から知られていた前記のような履物において、音の発生を使用者の意思により、任意に制御する提案は従来存在しなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭47−1362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、空気圧を利用して笛音を出す履物において、音の発生を使用者の意思により任意に制御可能にすることを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、この発明が提案する履物は以下の通りのものである。
【0006】
請求項1記載の発明は、
履物の内部に備えられている内部空間部と、当該内部空間部と履物の外部とを連通する笛孔とを備えていて、履物が踏みつけられることにより、前記笛孔を介して前記内部空間部内の空気が外部に放出され、履物が踏みつけられていた状態が解放されることにより前記笛孔を介して外部から前記内部空間部内に空気が吸入されることによって音を発生する履物において、
前記履物の外壁に溝条が刻設されており、
前記溝条の中間部分に前記溝条に装入される紐条体の基端が取り付けられていて、
前記紐条体の基端が取り付けられている前記溝条の中間部分によって区分される前記溝条の一方の側と他方の側とにおける当該一方の側の溝条の先端側に前記笛孔が連通して開口しており、
前記紐条体を前記溝条の前記一方の側に装入することにより前記笛孔の開口が閉鎖され、
前記紐条体を前記溝条の前記他方の側に装入することにより前記笛孔の開口が開放される
ことを特徴とする履物である。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、空気圧を利用して笛音を出す履物において、音の発生を使用者の意思により任意に制御することが可能になる。しかも、このような制御を極めて簡単な構造、低コストで実現することができる。
【0008】
これにより、履物を履いている子供などが公園などのように音を発生しても良い場所では自由に音を発生させ、静かにすることが要求される図書館などにおいては簡単に音が出ないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)は、音の発生が抑制されているときの本発明の履物の一例を説明する一部を省略した断面図、(b)は、音の発生が可能になっているときの本発明の履物の一例を説明する一部を省略した断面図。
【図2】(a)は、音の発生が可能になっているときの本発明の履物における笛孔の周囲の一例を説明する斜視図、(b)は、音の発生が抑制されているときの本発明の履物における笛孔の周囲の一例を説明する斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。
【0011】
本発明の履物1は内部に内部空間部2を備えている。また、内部空間部2と履物1の外部とを連通する笛孔3を備えている。
【0012】
履物1が踏みつけられることにより、図1(a)、(b)中、矢印4で示す方向から内部空間部2が圧縮される。これによって、笛孔3を介して内部空間部2内の空気が矢印6で示すように外部に放出される。一方、履物1が踏みつけられていた状態が解放されることにより、矢印5で示すように、内部空間部2の圧縮状態が解放される。これによって、笛孔3を介して履物1の外部から内部空間部2内に矢印7で示すように空気が吸入される。履物1は、このように、笛孔3を介しての内部空間部2内への履物1外部からの空気の流入、内部空間部2内から履物1外部への空気の放出という空気圧の利用によって音を発生するものである。
【0013】
本発明の履物1の外壁20には溝条9が刻設されている(図2(a)、図2(b))。この溝条9の中間部分に溝条9に装入される紐条体8の基端8bが取り付けられており、紐条体8の基端8bが取り付けられている溝条9の中間部分によって溝条9の一方の側9aと溝条9の他方の側9bとが区分されている。
【0014】
笛孔3は溝条9の一方の側9aにおける溝条9の先端側に連通して開口している(図2(a))。
【0015】
紐条体8を、図2(b)図示のように、溝条9の一方の側9aに装入することにより笛孔3の開口が閉鎖される(図1(a))。この状態では、履物1に矢印4方向の力が加えられて内部空間2が圧縮されても笛孔3を介して内部空間部2内の空気が外部に放出されることはなく、また、矢印5で示すように、内部空間部2の圧縮状態が解放されても笛孔3を介して履物1の外部から内部空間部2内に空気が吸入されることがなくなる。そこで、笛孔3を介した空気の放出、吸入による履物1からの音の発生はなくなる。
【0016】
一方、紐条体8を、溝条9の他方の側9bに装入することにより、図2(a)図示のように、笛孔3の開口が開放される(図1(b))。この状態では、履物1に矢印4方向の力が加えられて内部空間2が圧縮されると、笛孔3を介して矢印6のように内部空間部2内の空気が外部に放出され、また、矢印5で示すように、内部空間部2の圧縮状態が解放されると、矢印7で示すように、笛孔3を介して履物1の外部から内部空間部2内に空気が吸入される。これによって、笛孔3を介した空気の放出、吸入により、履物1から音を発生させることができる。
【0017】
紐条体8は溝条9に装入されるものであるので、溝条9の一方の側9a、溝条9の他方の側9bのどちらに紐条体8が装入される場合であっても、図1(a)図示のように、溝条9の外側に紐条体8が突出することはなく、履物1から音が発生可能な時でも、履物1からの音の発生が抑制されているときでも紐条体8の先端8a側が履物1の外壁20より外側において自由解放状態になる事態は生じない。そこで、図2(a)、図1(b)図示のように、紐条体8を、溝条9の他方の側9bに装入し、笛孔3の開口を開放して履物1から音が発生するようにして遊んでいるような場合にも、紐条体8が邪魔になることはない。
【0018】
紐条体8は、上述したように、溝条9の中間部分に取り付けられている基端8bを支点として、図2(b)、図1(a)図示のように、溝条9の一方の側9aに装入される、あるいは、図2(a)、図1(b)図示のように、溝条9の他方の側9bに装入されることを可能にするものであれば、種々の材質、部材により構成することができる。例えば、合成樹脂製にすることができる。
【0019】
この結果、本発明の履物1によれば、履物1を履いている子供などが公園などのように音を発生しても良い場所では自由に音を発生させ、静かにすることが要求される図書館などにおいては笛孔3の開口を塞いで音が出ないようにすることができる。
【0020】
本発明によれば、履物1の内部に備えられている内部空間部2及び、内部空間部2と履物1の外部を連通する笛孔3を備えていて、履物1が踏みつけられることにより笛孔3を介して内部空間部2内の空気が外部に放出され、履物1が踏みつけられていた状態が解放されることにより笛孔3を介して外部から内部空間部2内に空気が吸入されることによって音を発生する従来公知の履物に対して、履物1の外壁20に溝条9を刻設し、溝条9に装入される紐条体8の基端8bを溝条9の中間部分に取り付け、紐条体8の基端8bが取り付けられている溝条9の中間部分によって区分される溝条9の一方の側9aにおける溝条9の先端側に笛孔9連通させて開口させるという簡単な構成で、音の発生を、履物1を履いている者の意思で自由に制御することが可能になる。
【0021】
しかも、紐条体8は合成樹脂で形成することができ、低コストでこのような改良を行うことができる。
【0022】
なお、本発明の履物1において、図2(a)、(b)図示のように、溝条9の両端に幅広部10a、10bを形成しておき、紐条体8が溝条9に装入された際に、紐条体8の先端8aがこの幅広部10a、10bに装入されるようにすることができる。このようにすれば、図2(a)図示の状態から図2(b)図示の状態に、あるいはその反対にするときに、幅広部10a、10b内に存在している紐条体8の先端8aを摘まんで移動させることができるので有利である。
【0023】
以上、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々の形態に変更可能である。
【符号の説明】
【0024】
1 履物
2 内部空間部
3 笛孔
8 紐条体
9 溝条
20 履物の外壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物の内部に備えられている内部空間部と、当該内部空間部と履物の外部とを連通する笛孔とを備えていて、履物が踏みつけられることにより、前記笛孔を介して内部空間部内の空気が外部に放出され、履物が踏みつけられていた状態が解放されることにより前記笛孔を介して外部から内部空間部内に空気が吸入されることによって音を発生する履物において、
前記履物の外壁に溝条が刻設されており、
前記溝条の中間部分に前記溝条に装入される紐条体の基端が取り付けられていて、
前記紐条体の基端が取り付けられている前記溝条の中間部分によって区分される前記溝条の一方の側と他方の側とにおける当該一方の側の溝条の先端側に前記笛孔が連通して開口しており、
前記紐条体を前記溝条の前記一方の側に装入することにより前記笛孔の開口が閉鎖され、
前記紐条体を前記溝条の前記他方の側に装入することにより前記笛孔の開口が開放される
ことを特徴とする履物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−147624(P2011−147624A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11540(P2010−11540)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(510020952)株式会社未来 (1)
【Fターム(参考)】