説明

岩盤浴用シェル及び岩盤浴装置

【課題】入浴前後の入浴者の出入りをより円滑に行えるようにする。
【解決手段】シェル3のスライド扉13は、閉状態では頂部15から下り傾斜のスライドにより出入り口16を閉塞して、その自重をかけた状態で確実に出入り口16を閉塞する。開状態では、頂部15から他方側に向かう下り傾斜のスライドにより出入り口16を開放し、その自重をかけた状態で出入り口16の側へ戻らず確実に出入り口16を開放しておくことができる。この開閉時のスライドは何れも下り傾斜のスライドを経て行われることから、誰でも軽い操作でスライド扉13の開閉を行うことができ、大きな出入り口16を通じて楽に出入りすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は岩盤浴に用いる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
健康や美容への意識の高まりを受けて、岩盤から放射される遠赤外線やマイナスイオンの効能により健康維持や疲労回復を図る岩盤浴が注目されている。その一例として、カプセル方式の岩盤浴装置、すなわち岩盤浴床を内部に設置した下部と、蓋となる上部とを有し、下部の長手方向における一端側で蓋(上部)を蝶番にて接続した構造の岩盤浴装置が知られている(特許文献1)。
【特許文献1】実用新案登録第3107667号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
カプセル方式の岩盤浴装置は、部屋全体を例えば温度40℃前後、湿度70%以上の岩盤浴環境にする必要がなく、部屋全体に岩盤浴環境を作り出すことができない店舗や家庭であっても手軽に岩盤浴を行えるという優れた利点がある。
しかし入浴者がこれを利用する際には、大きな蓋(上部)を全体的に持ち上げて大きく斜め上方に開かなければならない。このため入浴者は、周辺の人や物とぶつからないように注意しながら大きな蓋を持ち上げなければならない。そして持ち上げた蓋にぶつからないよう注意しながら中に入り込み、徐々に腰を落としながら蝶番を回動軸として斜めに降りてくる蓋を支えつつ閉じなければならない。このことは入浴後に外へ出る時も同様であるが、特に女性やお年寄りといった入浴者にとっては大きな負担となってしまう。したがって入浴前後の出入りをより円滑に行えれば、女性やお年寄りといった入浴者にとって優しく、より一層使い勝手を高めることができる。
【0004】
以上のような従来技術を背景になされたのが本発明である。本発明の目的は入浴前後の出入りをより円滑に行える岩盤浴装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成すべく本発明は、次の特徴の岩盤浴用シェルと岩盤浴装置にて構成される。
【0006】
〔1〕岩盤浴用シェルは、長方形状の岩盤浴床を包囲するように取付けられ、岩盤浴床に横たわる入浴者を内部に収容するものであり、岩盤浴床の長手方向に沿って岩盤浴床の側面を覆う一対の側面部と、岩盤浴床の長手方向に沿って岩盤浴床の上方を覆うドーム状の湾曲面部とを備える。
そして湾曲面部は、その長手方向における一端から頂部側にかけて大きく開口する入浴者の出入り口と、閉状態では前記頂部から前記一端側に向かう下り傾斜のスライドにより出入り口を閉塞し、開状態では前記頂部から湾曲面部の他端側に向かう下り傾斜のスライドにより出入り口を開放するスライド扉とを備える。
〔2〕湾曲面部は、その頂部が前記他端側に位置しており、岩盤浴床に横たわる入浴者の頭側で天井高が高く、脚側で天井高が低くなる曲面形状となっている。
〔3〕岩盤浴装置は、長方形状の岩盤浴床と、前記岩盤浴用シェルとを備える。
〔4〕岩盤浴床が、横たわる入浴者の下半身に対して上半身を起こした状態で支持する登り勾配の傾斜支持面を有する。
〔5〕加湿空気をシェルの中に供給する加湿器を備える。
〔6〕酸素濃度の高い空気をシェルの中に供給する酸素供給装置又は芳香空気をシェルの中に供給する芳香器の少なくとも何れかを備える。
〔7〕岩盤浴床の上に敷く遮水シート及びこれを収容するホルダを岩盤浴用シェルの外部に備えており、岩盤浴用シェルがホルダから引き出した遮水シートを内部に取り込む導入開口を有する。
【発明の効果】
【0007】
以上の本発明は次の作用・効果による独自の創意を有するものである。
【0008】
〔1〕岩盤浴用シェルは、岩盤浴床の長手方向に沿って岩盤浴床の側面を覆う一対の側面部と、岩盤浴床の長手方向に沿って岩盤浴床の上方を覆うドーム状の湾曲面部と、を備えており、このうち湾曲面部はその長手方向における一端から頂部側にかけて大きく開口する入浴者の出入り口を備える。したがって入浴者は大きな出入り口を通じてシェルを出入りできるので、入浴前後の出入りを円滑に行うことができる。
またスライド扉をスライドさせて出入り口を開閉するため、蝶番を介して斜め上方に開く従来の岩盤浴装置とは異なり、周辺の人や物とぶつからないよう注意しながら出入り口を開く必要がない。
しかもスライド扉は、閉状態では前記頂部から前記一端側に向かう下り傾斜のスライドにより出入り口を閉塞するため、スライド扉の自重をかけるようにして確実に出入り口を閉塞できる。開状態においても、前記頂部から湾曲面部の他端側に向かう下り傾斜のスライドにより出入り口を開放するため、スライド扉の自重をかけて出入り口の側へ戻らないようにして確実に出入り口を開放しておくことができる。そして開閉時のスライドは、何れも下り傾斜のスライドを経て行われることから、誰でも軽い操作でスライド扉の開閉を行うことができる。
【0009】
〔2〕岩盤浴用シェルは、湾曲面部の頂部が前記他端側に位置しており、岩盤浴床に横たわる入浴者の頭側で天井高が高く、脚側で天井高が低くなる曲面形状となっている。このため横たわる入浴者の頭上における圧迫感がなく、リラックスした状態で岩盤浴を楽しむことができる。また寝たり起きたりする際にも、上半身を楽に起こすことができるので出入りを楽に行える。
【0010】
〔3〕岩盤浴装置は、長方形状の岩盤浴床と前記岩盤浴用シェルとを備えるので、前述した岩盤浴用シェルによる作用・効果を有する独自の岩盤浴装置を実現することができる。
【0011】
〔4〕岩盤浴装置は、岩盤浴床が横たわる入浴者の下半身に対して上半身を斜めに起こした状態で支持する登り勾配の傾斜支持面を有するので、入浴者は背筋をピンと伸ばした状態で横になるのではなく、傾斜支持面によって上半身を斜めに起こした状態で横になれるので楽な姿勢で岩盤浴を行える。
【0012】
〔5〕岩盤浴装置は、シェルの中に加湿空気を供給する加湿器を備えるので、入浴者の好みに応じて個別に湿度環境を調整することができる。
【0013】
〔6〕岩盤浴装置は、シェルの中に酸素濃度の高い空気を供給する酸素供給装置又は芳香空気を供給する芳香器の少なくとも何れかを備えるので、岩盤浴による効用だけでなく、高濃度酸素によるリラクゼーション効果や、心地よい香りによるリラクゼーション効果も同時に得られることから付加価値の高い岩盤浴を実現できる。
【0014】
〔7〕岩盤浴床の上に遮水シートを敷いて備える。このため入浴者の汗や皮脂が遮水シートに遮られて岩盤浴床に付着せず、多人数が使用する場合でも清潔な岩盤浴環境を実現できる。また、岩盤浴床が複数の岩盤をタイル状に配置したものであっても、遮水シートを敷けておけば岩盤どうしの目地の隙間に汗などの水分の浸入を防ぐことができるため、清潔な岩盤浴環境を実現できる。
【0015】
〔8〕岩盤浴床の上に敷く遮水シート及びこれを収容するホルダを岩盤浴用シェルの外部に備えており、岩盤浴用シェルがホルダから引き出した遮水シートを内部に取り込む導入開口を有する。遮水シートによる前述の作用・効果を有することに加えて、遮水シートを収容するホルダが岩盤浴用シェルの外部にあるため、使用しない遮水シートが常時高温多湿の岩盤浴環境に曝されることなく衛生的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお図1、図6に示す外観斜視図では線画の複雑化を避けるため細部については省略しているところがある。
【0017】
第1実施形態〔図1〜図4〕
[1]構成
岩盤浴装置1は図1でその概要を示すように、下側にあるベッド状の浴床部2と、上側にあるドーム状のシェル3とで構成される。浴床部2には、外枠4の内側に8つの岩盤5をタイル状に配置した長方形状の岩盤浴床6を設けてあり、ここに入浴者が横たわって岩盤浴を行う。岩盤5の裏面側には図示せぬ電熱ヒータが設置されており、これによって岩盤5が加熱されることで、その表面側へ温熱が伝達される。
【0018】
シェル3は、大別して岩盤浴床6の長手方向に沿って側面を覆う「側面部」としての一対の側板7と、岩盤浴床6の長手方向に沿って岩盤浴床6の上方を覆うドーム状の湾曲面部8とで構成される。
【0019】
各側板7は頂点が長手方向における一方側(後側)に偏在する異形半円形状の透明樹脂板で形成されている。各側板7は図2で示すように、2本の補強バー9の端部に固定されており、これによってシェル3が全体的に歪んだり倒れたりしないよう補強されている。10は通気口であり、ここから外気をシェル3の内部に取り込めるようにしている。また各側板7には、図2〜図4で示すように、湾曲面部8を構成する天板11を嵌め込んで固定する嵌合溝12と、湾曲面部8を構成するスライド扉13の長手方向に沿う両端部と係合する係合長溝14とが形成されている。
【0020】
湾曲面部8は前述の天板11とスライド扉13とで構成される。天板11は透明な樹脂板で形成されており、湾曲面部8の長手方向における後側端部から頂部15との間を常時閉塞するように、側板7の嵌合溝12に取付けて固定されている。この天板11によって閉塞されていない部分、すなわちスライド扉13によって開閉される部分が、入浴者の出入り口16になる。天板11における頂部15側の前側端部には当接棒17が取付けられている。スライド扉13は「折戸」のようになっている。すなわち長方形状の樹脂板13aの長手側面どうしを柔らかい可撓性の連結材13bにて繋げたもので、この連結材13bでの折れ曲がりによって湾曲形状の係合長溝14に沿って円滑にスライドできるようにしている。スライド扉13の前側端部には取っ手18が取付けてあり、ここを掴んでスライド扉13を開閉させるようにする。なお、以上のような構成のシェル3は固定金具19を介して浴床部2の外枠4に固定されている。
【0021】
[2]使用方法
岩盤浴装置1を使用するには、先ず図2で示すようにスライド扉13をスライドさせて出入り口16を開放する。このときスライド扉13は、ドーム状の湾曲面部8における下り勾配の曲面形状に沿って奥側(天板11の側)へスライドし、スライド扉13の後側端部13cが湾曲面部8の頂部15を超えて下り勾配に差し掛かると、次第にスライド扉13の自重が作用するので、軽いスライド操作で開くことができる。そしてスライド扉13の後側端部13cが係合長溝14の末端部14aと当接すると、スライドが停止して出入り口16を開く。こうしてスライド扉13は、その自重をかけた安定した状態で出入り口16を開放させることができる。
【0022】
次に、出入り口16から入浴者がシェル3の中に入り込み、図4で示すようにスライド扉13をスライドさせて出入り口16を閉塞する。このときスライド扉13は、ドーム状の湾曲面部8における下り勾配の曲面形状に沿って手前側(出入り口16の側)へスライドし、その長手中心が湾曲面部8の頂部15を超えて下り勾配に差し掛かると、自重が作用するようになるので、軽いスライド操作で閉じることができる。そしてスライド扉13の前側端部13dが浴床部2に接触すると、スライドが停止して出入り口16を閉じる。こうしてスライド扉13は、その自重をかけた安定した状態で出入り口16を確実に閉塞することができる。この後は閉塞したシェル3の内部で入浴者が岩盤浴を行う。
【0023】
[3]作用・効果
〔1〕シェル3は、岩盤浴床6の長手方向に沿って岩盤浴床6の側面を覆う一対の側板7と、岩盤浴床6の長手方向に沿って上方を覆うドーム状の湾曲面部8とを備えており、このうち湾曲面部8には、その長手方向における一端から頂部15側にかけて大きく開口する出入り口16を備える。したがって入浴者は大きな出入り口16を通じてシェル3を出入りできるので、入浴前後の出入りを円滑に行うことができる。
〔2〕出入り口16を開閉するスライド扉13は、湾曲面部8の曲面形状(係合長溝14)に沿ってスライドする。このため蝶番を介して斜め上方に開く従来の岩盤浴装置とは異なり、周辺の人や物とぶつからないよう注意しながら出入り口16を開く必要がない。
〔3〕スライド扉13は、閉状態では頂部15から出入り口16側に向かう係合長溝14の下り勾配に沿ってスライドして出入り口16を閉塞する。このためスライド扉13の自重をかけるようにして確実に出入り口16を閉塞できる。他方、開状態では湾曲面部8の頂部15を跨いで他端側に向かう係合長溝14の下り勾配に沿ってスライドし、係合長溝14の末端部14aにもたれて停止する。このためスライド扉13の自重をかけて出入り口16側へ戻らないようにして確実に出入り口16を開放しておくことができる。そして開閉時のスライドは、そのような何れも下り勾配の傾斜スライドを経て行われることから、誰でも軽い操作でスライド扉13を開閉することができる。
〔4〕シェル3は、湾曲面部8の頂部15が湾曲面部8の他端側(後側)、即ち岩盤浴床6に横たわる入浴者の頭側に位置しており、岩盤浴床6に横たわる入浴者の頭側で天井高が高く、脚側で天井高が低くなる曲面形状となっている。このため横たわる入浴者の頭上における圧迫感がなく、リラックスした状態で岩盤浴を楽しむことができる。また寝たり起きたりする際にも、上半身を楽に起こすことができるので出入りを楽に行える。
〔5〕シェル3は、側板7、天板11が透明な樹脂板であり、入浴者が中から外を見ることができることから、スライド扉13を閉じた状態であっても閉塞感がなく、心理的なストレス無く岩盤浴を楽しむことができる。また、スライド扉13は本実施形態では透明ではなく有色である。このため真っ正面から入浴している姿を他人に見られることが無いので、リラックスした状態で岩盤浴を楽しむことができる。
〔6〕岩盤浴装置1は、長方形状の岩盤浴床6と以上のような作用・効果を奏するシェル3を備えるので、前述したシェル3による作用・効果を有する独自の岩盤浴装置1を実現することができる。
【0024】
第2実施形態〔図5〕
[1]構成及び使用方法
第2実施形態は、第1実施形態の岩盤浴装置1に入浴者が寝たままでスライド扉13を開閉するための操作部材を備える例である。残余の構成及び作用・効果については第1実施形態と同様であるため重複説明を省略する。その操作部材は図5で示すように操作紐20及びガイド環21で構成される。操作紐20の一端はスライド扉13の前側端部13dに固定されており、他端にはつまみが取付けられている。ガイド環21は側板7の内面に固定されており、その内側には操作紐20が挿通される。
【0025】
[2]作用・効果
〔1〕本実施形態では、シェル3に入り込んで横たわった入浴者が操作紐20を頭の方へ引っ張るだけで、スライド扉13をスライドさせて出入り口16を開閉することができる。したがって入浴者が横たわっていても出入り口16を容易に開閉することができる利点がある。
なお、第2実施形態の操作部材(操作紐20及びガイド環21)は第3以降の実施形態に適用してもよい。
【0026】
第3実施形態〔図6〕
[1]構成及び使用方法
第3実施形態は、第1実施形態の岩盤浴装置1に、シェル3の中に加湿空気を供給する加湿器22を備える例である。残余の構成及び作用・効果については第1実施形態と同様であるため重複説明を省略する。加湿器22は本体22aとパイプ22bとで構成されており、パイプ22bは先端が側板7に設けた孔に差し込まれている。このように加湿器22によってシェル3の中に空気が送られるため、本実施形態の側板7には通気口10が設けられていない。
【0027】
[2]作用・効果
〔1〕本実施形態では、入浴者の好みに応じて岩盤浴装置1の内部の湿度環境を個別に調節することができるという利点がある。また加湿器22をシェル3の外部に備えるため、加湿器22に入浴者の汗や油が付着するといった衛生上の不都合を防ぐことができる。
なお、以上の加湿器22は第2実施形態に適用してもよい。
【0028】
第4実施形態〔図7〜図9〕
[1]構成及び使用方法
第4実施形態は第3実施形態の変形例であり、以下に説明する点を除き、他の構成及び作用・効果は第3実施形態と同様であるため重複説明を省略する。第4実施形態は、第3実施形態の岩盤浴装置1に遮水シート23を備える例である。このため本実施形態の外枠4には、多数枚の遮水シート23をロール巻きした状態で収容するホルダ24が取付けられている。遮水シート23は本実施形態では透明な樹脂シートであり、1回の岩盤浴で使用する1枚当たりの大きさは、幅が岩盤浴床6の幅よりも若干広く、また長さが岩盤浴床6を長手方向で覆うことができる長さとなっており、さらに厚みは例えば0.3mm程度とされている。本実施形態ではこのような多数枚の遮水シート23が長手方向でミシン目を介して連続してロール巻きされており、岩盤浴1回ごとにホルダ24から1枚分の遮水シート23を引き出して使用する。
このような遮水シート23をホルダ24から引き出してシェル3の中に導入できるようにするために、本実施形態のシェル3には導入開口25が設けられている。前述の実施形態では、天板11の後側端部が隙間無く岩盤浴床6と対向するようにする例を示したが、本実施形態では天板11の後側端部と岩盤浴床6との間に隙間d、つまり導入開口25が形成されるようにシェル3の内部にL字状に折り返されている。この折り返しは実際には嵌合溝12がそのように形成されていることで、そこに嵌め込んだ天板11が折り返されることになる。
遮水シート23をホルダ24から引き出し、導入開口25を通じてシェル3の中に引き込んだら、岩盤浴床6を覆うように敷く。その上にバスタオルなどを敷いて岩盤浴を行い、入浴を終えたら、使用済みの遮水シート23をミシン目で切断して廃棄する。次に岩盤浴を行うときには、新たに1回分の遮水シート23をホルダ24から引き出して岩盤浴床6の上に敷くようにする。
【0029】
[2]作用・効果
〔1〕本実施形態では岩盤浴床6の上に遮水シート23を敷くことができる。このため入浴者の汗や皮脂が遮水シート23で遮られて岩盤浴床6に付着せず、多人数が使用する場合でも清潔な岩盤浴環境を実現できる。
〔2〕岩盤浴床6は岩盤5をタイル状に配置したものであるが、遮水シート23を敷けば岩盤5どうしの目地の隙間に汗などの水分の浸入を防ぐことができるため、清潔な岩盤浴環境を実現できる。
〔3〕遮水シート23及びこれを収容するホルダ24をシェル3の外部に備えており、シェル3にホルダ24から引き出した遮水シート23を内部に取り込む導入開口25を有する。このため未使用の遮水シート23やホルダ24が常時高温多湿の岩盤浴環境に曝されることなく衛生的である。
【0030】
第5実施形態〔図10〕
[1]構成及び使用方法
第5実施形態は、第4実施形態の岩盤浴装置1の岩盤浴床6を変形した例である。残余の構成及び作用・効果については第4実施形態等と同様であるため重複説明を省略する。この実施形態の岩盤浴床6は、長手方向に沿ってフラットではなく、入浴者の下半身を受ける水平支持面26と、上半身を斜めに起こした状態で受ける登り勾配の傾斜支持面27を有するものとなっている。
【0031】
[2]作用・効果
〔1〕本実施形態では、入浴者が背筋をピンと伸ばした状態で横たわるのではなく、傾斜支持面27によって上半身を斜めに起こした状態で横たわることができるようになり楽な姿勢で岩盤浴を行うことができる。
【0032】
実施形態の細部変形例〔図11〕
以上の各実施形態は様々な変形例にて実施できるので、その一例を説明する。
【0033】
各実施形態ではシェル3をベッド型の浴床部2に設ける例を説明したが、浴床部2は必ずしもベッド型である必要はない。例えば既存の岩盤浴サロンにあるような部屋(浴室)の床面と一体となっている床型の岩盤浴床の上にシェル3を設置してもよい。
【0034】
岩盤浴装置1に加湿器20を備える例を示したが、これに加えてシェル3の中に酸素濃度の高い空気を供給する酸素供給装置又は芳香空気を供給する芳香器の少なくとも何れかを備えるものとすることができる。岩盤浴による効用だけでなく、高濃度酸素によるリラクゼーション効果や、心地よい香りによるリラクゼーション効果も同時に得られることから付加価値の高い岩盤浴を実現できる。
【0035】
シェル3の全体形状については例えば図11で示すような形状のものとすることができる。分図(A)は長くて平坦な頂部15を有し、隅丸長方箱形のシェルであり、分図(B)はシェルの長手方向における中間部分に頂部15がある山形のシェルである。これらは何れも前述の各実施形態と同様に天板11とスライド扉13とを備えるものとして構成することができる。
【0036】
第4実施形態ではロール巻きの遮水シート23とそれを保持するホルダ24を例示したが、ホルダ24を使用せずに1枚ごとに分かれている遮水シートをその都度敷くようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】第1実施形態の岩盤浴装置の概略を示す外観斜視図。
【図2】スライド扉を開いた図1の岩盤浴装置の側面図。
【図3】図1のSA-SA線断面図。
【図4】スライド扉を閉じた図1の岩盤浴装置の側面図。
【図5】第2実施形態の岩盤浴装置を示す図2相当の側面図。
【図6】第3実施形態の岩盤浴装置の概略を示す外観斜視図。
【図7】第4実施形態の岩盤浴装置を示す側面図。
【図8】図7の岩盤浴装置の要部拡大図。
【図9】遮水シートを敷いた第4実施形態の岩盤浴装置を示す側面図。
【図10】第5実施形態の岩盤浴装置を示す側面図。
【図11】岩盤浴用シェルの他の形状の実施形態を示す側面図。
【符号の説明】
【0038】
1 岩盤浴装置
2 浴床部
3 シェル
4 外枠
5 岩盤
6 岩盤浴床
7 側板(側面部)
8 湾曲面部
9 補強バー
10 通気口
11 天板(湾曲面部)
12 嵌合溝
13 スライド扉(湾曲面部)
13a 樹脂板
13b 連結材
13c 後側端部
13d 前側端部
14 係合長溝
14a 末端部
15 頂部
16 出入り口
17 当接棒
18 取っ手
19 固定金具
20 操作紐
21 ガイド環
22 加湿器
22a 本体
22b パイプ
23 遮水シート
24 ホルダ
25 導入開口
26 水平支持面
27 傾斜支持面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形状の岩盤浴床を包囲するように取付けられ、岩盤浴床に横たわる入浴者を内部に収容する岩盤浴用シェルにおいて、
岩盤浴床の長手方向に沿って岩盤浴床の側面を覆う一対の側面部と、岩盤浴床の長手方向に沿って岩盤浴床の上方を覆うドーム状の湾曲面部とを備えており、
湾曲面部は、その長手方向における一端から頂部側にかけて大きく開口する入浴者の出入り口と、閉状態では前記頂部から前記一端側に向かう下り傾斜のスライドにより出入り口を閉塞し、開状態では前記頂部から湾曲面部の他端側に向かう下り傾斜のスライドにより出入り口を開放するスライド扉とを備えることを特徴とする岩盤浴用シェル。
【請求項2】
湾曲面部は、その頂部が前記他端側に位置しており、岩盤浴床に横たわる入浴者の頭側で天井高が高く、脚側で天井高が低くなる曲面形状となっている請求項1記載の岩盤浴用シェル。
【請求項3】
長方形状の岩盤浴床と、請求項1又は請求項2記載の岩盤浴用シェルとを備える岩盤浴装置。
【請求項4】
岩盤浴床が、横たわる入浴者の下半身に対して上半身を斜めに起こした状態で支持する登り勾配の傾斜支持面を有する請求項3記載の岩盤浴装置。
【請求項5】
加湿空気をシェルの中に供給する加湿器を備える請求項3又は請求項4記載の岩盤浴装置。
【請求項6】
酸素濃度の高い空気をシェルの中に供給する酸素供給装置又は芳香空気をシェルの中に供給する芳香器の少なくとも何れかを備える請求項3〜請求項5何れか1項記載の岩盤浴装置。
【請求項7】
岩盤浴床の上に遮水シートを敷いて備える請求項3〜請求項6何れか1項記載の岩盤浴装置。
【請求項8】
岩盤浴床の上に敷く遮水シート及びこれを収容するホルダを岩盤浴用シェルの外部に備えており、岩盤浴用シェルが、ホルダから引き出した遮水シートを内部に取り込む導入開口を有する請求項3〜請求項6何れか1項記載の岩盤浴装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−140(P2009−140A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−160937(P2007−160937)
【出願日】平成19年6月19日(2007.6.19)
【出願人】(506331262)株式会社アイシン (2)
【Fターム(参考)】