説明

岩盤浴用個室ユニット

【課題】設置が簡単で効率良く暖めることができる岩盤浴用個室ユニットを提供する。
【解決手段】本発明は、床壁1と、床壁外周縁に沿って立設された周側壁によって囲まれた浴室10を備え、床壁1上に、遠赤外線、マイナスイオン、放射線等を放出する岩盤部材6が設けられた岩盤浴用個室ユニットを対象とする。浴室10の床壁上面を構成する床面パネル16の下側に、浴室10内を加熱する電熱式の床部発熱手段15が設けられるとともに、浴室10の周側壁内面を構成する内面パネル46の下部における室外側に、浴室10内を加熱する電熱式の側部発熱手段45が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、比較的小規模な温熱入浴設備として利用される岩盤浴用個室ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、疲労回復効果や健康増進効果を発揮するものとして、大量のお湯を使用しない岩盤浴等の温熱入浴がブームとなっている。
【0003】
岩盤浴を行うための設備としては、下記特許文献1に示す温熱入浴施設が周知である。この温熱入浴施設は、コンクリート壁によって囲まれた浴室を備え、床壁内に熱媒体循環パイプが設けられるとともに、浴室外には、循環パイプ内に熱水等の高温熱媒体を供給するための加熱ボイラーが設けられている。そして浴室内の床面上に岩盤鉱石を配置しておいて、加熱ボイラーから循環パイプ内に高温熱媒体を供給することにより、浴室内を床面から岩盤鉱石を介して加熱するようにしている。
【特許文献1】特開2000−350788号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の温熱入浴施設においては、床壁内に埋設した循環パイプ等の発熱手段から発生する熱によって、浴室内を暖めるものであるため、浴室内に供給される熱量が少なく、浴室内を効率良く暖めることができなかった。このため、浴室内を暖める時間が長くなったり、場合によっては浴室内を十分に暖めることができないという問題があった。さらに床面からの伝熱によって浴室内を暖めているため、浴室内に温度むらが生じ易く、快適な岩盤浴を行うことができないという問題も抱えている。
【0005】
また加熱ボイラーを設置したり、浴室の床壁に循環パイプを埋設するとなると、大がかりな工事が必要となり、簡単に設置することが困難であるという問題もあった。
【0006】
この発明は、上記従来技術の問題を解消し、簡単に設置することができる上さらに、浴室内を効率良く暖めることができて、快適な岩盤浴を行うことができる岩盤浴用個室ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、以下の構成を要旨としている。
【0008】
[1] 床壁と、床壁外周縁に沿って立設された周側壁によって囲まれた浴室を備え、前記床壁上に、遠赤外線、マイナスイオン、放射線等を放出する岩盤部材が設けられた岩盤浴用個室ユニットであって、
前記浴室の床壁上面を構成する床面パネルの下側に、浴室内を加熱する電熱式の床部発熱手段が設けられるとともに、
前記浴室の周側壁内面(室内側の面)を構成する内面パネルの下部における室外側に、浴室内を加熱する電熱式の側部発熱手段が設けられたことを特徴とする岩盤浴用個室ユニット。
【0009】
[1a] 前記床面パネルは、繊維強化プラスチック(FRP)によって構成される請求項1に記載の岩盤浴用個室ユニット。
【0010】
[1b] 前記内面パネルは、繊維強化プラスチック(FRP)によって構成される請求項1に記載の岩盤浴用個室ユニット。
【0011】
[1c] 前記周側壁の上端には、浴室の上面に配置される天井壁が設けられる請求項1に記載の岩盤浴用個室ユニット。
【0012】
[1d] 前記床壁、周側壁および天井壁は断熱性を有する請求項1cに記載の岩盤浴用個室ユニット。
【0013】
[2] 前記床面パネルは、炭素繊維強化プラスチック(CFPR)によって構成される前項1に記載の岩盤浴用個室ユニット。
【0014】
[3] 前記内面パネルは、炭素繊維強化プラスチック(CFPR)によって構成される前項1または2に記載の岩盤浴用個室ユニット。
【0015】
[4] 前記周側壁は、前記内面パネルの室外側に設けられた断熱材と、その断熱材の室外側に設けられた炭素繊維強化プラスチック製の外面パネルとを有し、前記側部発熱手段が前記内面パネルと前記断熱材との間に配置される前項3に記載の岩盤浴用個室ユニット。
【0016】
[4a] 前記床壁は、前記床面パネルの下面側に配置された床部断熱材を有し、前記床部発熱手段は、前記内面パネルと前記床部断熱材との間に配置される前項2に記載の岩盤浴用個室ユニット。
【0017】
[5] 前記側部発熱手段が、面状カーボンヒーターによって構成される前項1〜4のいずれかに記載の岩盤浴用個室ユニット。
【0018】
[5a] 前記面状カーボンヒーターが前記内面パネルに対接した状態に配置される前項5に記載の岩盤浴用個室ユニット。
【0019】
[5b] 前記床部発熱手段が、シーズヒーターによって構成される前項1〜4のいずれかに記載の岩盤浴用個室ユニット。
【0020】
[5c] 前記シーズヒーターが前記床面パネルに対接した状態に配置される前項5bに記載の岩盤浴用個室ユニット。
【0021】
[6] 前記周側壁は、平面視長方形に形成され、その長方形の長辺に相当する壁部に、前記側部発熱手段が設けられる前項1〜5のいずれかに記載の岩盤浴用個室ユニット。
【0022】
[6a] 長辺に相当する壁部が両側壁によって構成される前項6に記載の岩盤浴用個室ユニット。
【0023】
[6b] 長辺に相当する壁部の幅寸法が、短辺に相当する壁部の幅寸法に対し2倍に設定される前項6に記載の岩盤浴用個室ユニット。
【0024】
[7] 水が放出されるシャワーヘッドを有するシャワー装置が、前記浴室内に設けられる前項1〜6のいずれかに記載の岩盤浴用個室ユニット。
【0025】
[7a] 前記シャワーヘッドからお湯が放出されるよう構成される前項7に記載の岩盤浴用個室ユニット。
【0026】
[8] 岩盤部材は、板状に成形された岩盤プレートによって構成され、その岩盤プレートが前記床壁上に複数並べて配置される前項1〜7のいずれかに記載の岩盤浴用個室ユニット。
【0027】
[8a] 岩盤部材は、ブラックシリカによって構成される前項1〜8のいずれかに記載の岩盤浴用個室ユニット。
【発明の効果】
【0028】
上記発明[1]の岩盤浴用個室ユニットによれば、床部発熱手段によって浴室内を床面側から暖めると同時に、側部発熱手段によって浴室を周囲から暖めるようにしているため、短時間で浴室内に多くの熱を供給することができる。従って浴室内を効率良くスムーズに暖めることができる。さらに浴室内を周囲から暖めることができるため、浴室内をむらなく均等に暖めることができ、快適な岩盤浴を行うことができる。
【0029】
また本発明は、電熱式の発熱手段を使用しているため、加熱ボイラーの設置や熱媒体管の埋設作業等の大がかりで面倒な設置作業が不要となり、簡単に設置することができる。
【0030】
上記発明[2][3]の岩盤浴用個室ユニットによれば、床面パネルおよび内面パネルを、伝熱性に優れた炭素繊維補強プラスチック(CFRP)によって構成しているため、床部発熱手段および側部発熱手段から発生する熱を、効率良く浴室内に伝達できて、浴室内を一層効率良く暖めることができる。
【0031】
上記発明[4]の岩盤浴用個室ユニットによれば、周側壁を軽量かつ薄型に形成できるため、輸送や現場への搬入作業をスムーズに行うことができ、ひいては設置作業を一層簡単に行うことができる。
【0032】
上記発明[5]の岩盤浴用個室ユニットによれば、側部発熱手段を、全域にわたって均一に発熱する面状カーボンヒーターによって構成しているため、浴室内全域をより一層均等に暖めることができ、温度むらのない、より一層快適な温度環境を得ることができる。
【0033】
上記発明[6]の岩盤浴用個室ユニットによれば、平面視長方形に形成に形成された周側壁のうち、長辺に相当する壁部に側部発熱手段を配置しているため、広い範囲から浴室内を加熱することができ、浴室内に十分な熱量を確実に供給することができる。
【0034】
上記発明[7]の岩盤浴用個室ユニットによれば、浴室内にシャワー装置が設けられているため、必要に応じてシャワーを浴びることにより、より一層快適な入浴環境を得ることができる。
【0035】
上記発明[8]の岩盤浴用個室ユニットによれば、岩盤部材を体裁良く敷設することができ、所望の岩盤浴をより確実に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
図1はこの発明の実施形態である岩盤浴用個室ユニットを示す斜視図、図2は正面図、図3は側面断面図、図4は平面図、図5は水平断面図である。
【0037】
これらの図に示すように本実施形態の岩盤浴用個室ユニットは、床壁(1)と、周側壁(2)〜(4)と、天井壁(5)とによって前後左右上下が閉塞された浴室(10)を備えている。
【0038】
周側壁は、浴室(10)の前面に配置される前壁(2)と、後面に配置される後壁(3)と、左右両側面に配置される両側壁(4)(4)とを備えている。両側壁(4)(4)の前後長さ寸法(幅寸法)は、前壁(2)および後壁(3)の左右長さ寸法(幅寸法)より長く形成されており、浴室(10)が間口に比べて奥行きの長い平面視長方形に形成されている。具体的には、両側壁(4)(4)の幅寸法は、前後壁(2)(3)の幅寸法に対しほぼ2培に設定されている。
【0039】
図6に示すように床壁(1)は、前後方向に沿って配置される左右一対の脚部材(11)と、脚部材(11)上に設けられ、かつ左右方向に沿って配置される複数の補強桟(12)と、補強桟(12)上に設けられた補強板(13)と、補強板(13)上に設けられた断熱板(14)と、断熱板(14)上に設けられた床部ヒーター(15)と、床部ヒーター(15)上に設けられた床面パネル(16)とを備え、これらの外周が樹脂製のカバー(17)によって覆われている。
【0040】
脚部材(11)は、表面に保護層としての合成樹脂等がオーバーレイされた木質材によって構成されている。補強桟(12)は、角材によって構成されるとともに、補強板(13)は、合板によって構成されている。断熱板(14)は、石膏ボードによって構成されている。
【0041】
床部発熱手段を構成する床部ヒーター(15)は、アルミ箔上にコードヒーターが設けられたシーズヒーター等の電熱式のヒーターによって構成されている。さらに図5,6に示すようにこの床部ヒーター(15)には、温度検出器としてのサーミスター(151)や、温度調整用のサーモスタット(152)が設けられている。
【0042】
床面パネル(16)は、炭素繊維によって強化された炭素繊維強化プラスチック(CFRP)によって構成されている。CFRPは、伝熱性に優れているため、床部ヒーター(15)から発生する熱を効率良く浴室(10)内に伝達することができる。さらにCFRPは、高強度であるため、板厚を薄くすることができ、この点においても、伝熱性を向上させることができ、床部ヒーター(15)から発生する熱を、より一層効率良く浴室(10)内に伝達することができる。
【0043】
またCFRPは、防水性も備えているため、このCFRP製の床面パネル(16)によって、防水が図られて、例えば浴室(10)内の水分からヒーター(15)が保護されている。
【0044】
なお図5に示すように床壁(1)のコーナー部には、浴室(10)内の水を排出するための排水口(18)が設けられている。
【0045】
図5,6に示すように床壁(1)の床面パネル(16)上には、岩盤部材として、複数の岩盤プレート(6)が面状に並べられて敷設されている。この岩盤プレート(6)は、床壁(1)に対し、固定しても良いし、単に載置するだけでも良い。
【0046】
本実施形態において岩盤プレート(6)は、遠赤外線、マイナスイオン、放射線等を放出するブラックシリカ等の鉱石を含む部材が、プレート状(板状)に成形されたものによって構成されている。
【0047】
なお本発明においては、岩盤部材は、ブラックシリカに限定されるものではなく、他の鉱石を用いても良い。
【0048】
また本発明において、岩盤部材は、天然鉱石に限られることはなく、セメント、ガラス、煉瓦等を含むセラミックス等の陶器類も含まれるものである。
【0049】
前壁(2)および後壁(3)は、後述する複合板(20)(30)によって構成されるとともに、両側壁(4)(4)は、片側に2枚ずつ設けられた計4枚の複合板(40)…によって構成されている。
【0050】
また床壁(1)の前部両側には、前支柱(72)(72)が立設されるとともに、後部両側には、後支柱(73)(73)が立設されている。さらに床壁(1)の両側中間部には、両側中間支柱(74)(74)が立設されている。
【0051】
そして隣合う支柱(72)〜(74)の各間に、複合板(20)〜(40)がそれぞれ配置されて、各複合板(20)〜(40)の両側縁部が、対応する支柱(72)〜(74)にそれぞれ嵌着固定されることによって、各複合板(20)〜(40)が周囲4側面に立設状態に組み付けられて、前壁(2)、後壁(3)および両側壁(4)(4)が形成されている。
【0052】
なお床壁(1)の上面側には、外周縁部に沿って周溝が形成されており、この周溝内に上記各複合版(20)〜(40)の下端が嵌合されて固定されている。
【0053】
図7に示すように側壁(4)を構成する複合板(40)は、側壁(4)の内面(浴室内側の面)を構成する内面パネル(46)と、外面(浴室外側の面)を構成する外面パネル(47)と、内面パネル(46)および外面パネル(47)間に介在される断熱材(48)とを備えている。
【0054】
本実施形態において、側壁内面パネル(46)および外面パネル(47)は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)によって構成されるとともに、断熱材(48)は、ポリウレタンフォームによって構成されている。
【0055】
各側壁用複合板(40)の下部における内面パネル(46)の浴室(10)に対し外側(室外側)には、側部発熱手段として、側部ヒーター(45)が設けられている。本実施形態では、側部ヒーター(45)は、面状カーボンヒーターによって構成されている。
【0056】
また側部ヒーター(45)には、温度検出器としてのサーミスター(451)や、温度調整用のサーモスタット(452)が設けられている。
【0057】
なお側壁内面パネル(46)を構成するCFRPは既述したように、伝熱性に優れているため、側部ヒーター(45)から発生する熱を効率良く浴室(10)内に伝達することができる。さらにCFRPは上記と同様、高強度であるため、板厚を薄くすることができ、この点においても、伝熱性を向上させることができ、側部ヒーター(45)から発生する熱を、より一層効率良く浴室(10)内に伝達することができる。
【0058】
またCFRPは、防水性も備えているため、このCFRP製の側壁内面パネル(46)によって、防水が図られて、例えば浴室(10)内の水分から側部ヒーター(45)が保護されている。
【0059】
図1〜5に示すように、床壁(1)の前縁部に立設される前壁(2)には、使用者が出入するための出入口(21)が設けられており、この出入口(21)の一側縁(左側縁)に、中折れドア(22)の一側縁(左側縁)が回転自在に取り付けられている。この中折れドア(22)は、左右に並んで配置された2枚のドア板によって構成されており、両ドア板間(中心線部)が折れ曲がり自在に連結されている。
【0060】
そして図4,5に示すように、中折れドア(22)の中心線部を内側に折り曲げつつ、他側縁(右側縁)を左側にスライドさせることによって、中折れドア(22)が左側縁側に折り畳み状態に配置されて、出入口(21)が開放されるようになっている。またこの折り畳み状態(開放状態)から中折れドア(22)の右側縁を右側にスライドさせと、中折れドア(22)が展開されて、出入口(25)が水密状態に閉塞されるようになっている。
【0061】
図1,2に示すように中折れドア(22)には、のぞき窓(23)が設けられて、浴室(10)内から外部、または外部から浴室(10)内を視認できるようになっている。さらに中折れドア(26)には、中折れドア(22)を開閉操作するための把手(24)が設けられている。
【0062】
また前壁(2)は、上記側壁(4)と同様に、内面を構成するCFRP製の内面パネルと、外面を構成するCFRP製の外面パネルと、内外両パネル間に介在されたポリウレタンフォーム製の断熱材とを備えた複合板(20)によって構成されている。
【0063】
さらに中折れドア(21)を構成する2枚のドア板も、前壁と同様に、内面を構成するCFRP製の内面パネルと、外面を構成するCFRP製の外面パネルと、内外両パネル間に介在されたポリウレタンフォーム製の断熱材とを備えた複合板によって構成されている。
【0064】
床壁(1)の後縁部に立設される後壁(3)は、前壁(2)と同様、内面を構成するCFRP製の内面パネルと、外面を構成するCFRP製の外面パネルと、内外両パネル間に介在されたポリウレタンフォーム製の断熱材とを備えた複合板(30)によって構成されている。
【0065】
また周側壁(2)〜(4)の上端部には、天井壁(5)が組み付けられて、その天井壁(5)によって周側壁(2)〜(4)の上端開口部が閉塞される。
【0066】
なお天井壁(5)の下面側には、外周縁部に沿って周溝が形成されており、この周溝内に、上記周側壁(2)〜(4)を構成する複合板(20)〜(40)の上端が嵌合されて固定されている。
【0067】
天井壁(5)には、浴室(10)内の空気を換気するための換気口(51)や、浴室(10)内を照明するための室内灯(52)が設けられている。
【0068】
図3,5に示すように、浴室(10)内における後壁(3)と一側壁(4)とのコーナー部には、シャワー装置(8)が設けられている。シャワー装置(8)には、シャワーヘッド(81)が設けられており、所定の給水操作および給湯操作によって必要に応じて、シャワーヘッド(81)からお湯や水が噴出されるようになっている。
【0069】
図2に示すように、床壁(1)の前部には、床部ヒーター(15)および側部ヒーター(45)の駆動を制御する制御ユニット(9)が設けられている。さらに床壁(1)の前面側部には、床部ヒーター(15)および側部ヒーター(45)の電源のオン/オフを行うためのヒータースイッチや、床部ヒーター(15)および側部ヒーター(45)の温度調整を行うヒーターボリューム等を有する操作パネル(91)が設けられている。
【0070】
そして制御ユニット(9)は、サーミスター(151)(451)からの情報に基づいて、ヒーター(15)(45)の駆動を制御し、操作パネル(91)を介して予め設定されたヒーター温度(室温)に調整できるようになっている。
【0071】
また前壁(2)には、室内灯(52)の点灯/消灯を行うための室内灯スイッチ(92)が設けられている。
【0072】
以上の構成による本実施形態の岩盤浴用個室ユニットにおいて、岩盤浴(温熱入浴)を行う場合には、操作パネル(91)を介して、ヒーター電源をオンにしてヒーター温度を設定する。これにより床部ヒーター(15)および側部ヒーター(45)の温度が上昇して、熱が発生する。そして床部ヒーター(15)から発生した熱は、床面パネル(16)を介して、岩盤プレート(6)に伝達されて、岩盤プレート(6)が暖められるとともに、岩盤プレート(6)を介して浴室(10)内が暖められる。また側部ヒーター(45)から発生した熱は、側壁内面パネル(46)を介して、浴室(10)に伝達されて、浴室(10)内が暖められる。
【0073】
このように床部ヒーター(15)によって浴室(10)内が床面側から加熱されると同時に、側部ヒーター(45)によって浴室(10)内が両側方から加熱されるため、短時間で浴室(10)内に多くの熱を供給することができる。従って浴室(10)内を効率良くスムーズに暖めることができ、短時間で素早く浴室(10)内を所定の温度にまで暖めることができる。
【0074】
また本実施形態の岩盤浴用個室ユニットは、浴室(10)を、前後に長い平面視縦長の長方形に形成するとともに、その長方形の長辺に相当する両側壁(4)(4)に側部ヒーター(45)を配置しているため、長辺の部分から、つまり広い範囲から浴室(10)内が加熱される。このため、浴室(10)内に十分な熱量を確実に供給できて、浴室(10)内を、より一層短時間で素早く温めることができる。
【0075】
さらに浴室(10)内を、床面および両側面のほぼ全周から暖めるようにしているため、浴室(10)内全域を均等にバランス良く暖めることができ、温度むらや温度分布のバラツキがない良好な温度環境に調整することができ、快適な温熱入浴を確実に行うことができる。
【0076】
また本実施形態においては、床壁(1)の床面を構成する床面パネル(16)を、伝熱性に優れた炭素繊維補強プラスチック(CFRP)によって構成するとともに、その床面パネル(16)の下面に対接させて床部ヒーター(15)を配置しているため、床部ヒーター(15)から発生する熱を、高伝熱性の床面パネル(16)を介して効率良く浴室(10)内に伝達できて、浴室(10)内を一層効率良く暖めることができる。しかもCFRPは高強度であるため、床面パネル(16)として板厚の薄いものを使用することができ、この点においても、伝熱性をより一層向上できて、浴室(10)内をより一層効率良く暖めることができる。
【0077】
さらに側壁(4)においても、その内面を構成する内面パネル(46)をCFRPによって構成するとともに、内面パネル(46)の室外面に対接させて側部ヒーター(45)を配置しているため、側部ヒーター(45)から発生する熱を、高伝熱性の側壁内面パネル(46)を介して効率良く浴室(10)内に伝達できて、浴室(10)内をさらに効率良く暖めることができる。しかも上記と同様に、高強度の側壁内面パネル(46)として薄いものを使用でき、伝熱性をさらに向上できて、浴室(10)内をなお一層効率良く暖めることができる。
【0078】
またCFRPは、十分な防水性を備えるものであるため、CFRP製の床面パネル(15)および側壁内面パネル(46)を使用することによって、防水性も図ることができ、例えば床部ヒーター(15)および側部ヒーター(45)を、浴室(10)内の水分(高湿度雰囲気)から確実に保護することができる。
【0079】
さらに床面パネル(46)と、周側壁(2)〜(4)の内外面を構成する内外面パネルは、高強度のCFRPによって構成しているため、これらのパネルが波打つような不具合も防止でき、良好な美観を長期間維持することができ、十分な耐久性を得ることができる。
【0080】
また本実施形態においては、浴室(10)内にシャワー装置(8)を設けているため、岩盤浴中や岩盤浴終了後等、必要に応じてシャワーを浴びるこことができ、より一層快適な入浴環境を得ることができる。
【0081】
さらに本実施形態の岩盤浴用個室ユニットは、ヒーター(15)(45)として電熱式のものを使用しているため、加熱ボイラーを設置したり、加熱ボイラーから供給される熱水等の高温熱媒体を循環させるための熱媒体循環パイプを床壁内に埋設したりする等の大がかりで面倒な設置作業が不要となり、ユニットを組み立てるだけで簡単に設置することができる。なお組立後は、電源コードを接続するだけで岩盤浴を行うことができる。
【0082】
また本実施形態においては、側部ヒーター(45)を、ヒーター全域にわたって均一に発熱する面状カーボンヒーターによって構成しているため、浴室(10)内が側部ヒーター(45)の配設領域から均等に加熱される。従って浴室(10)内全域をより一層均等に暖めることができ、温度むらのない、より一層快適な温度環境を得ることができる。
【0083】
ところで、本実施形態の岩盤浴用個室ユニットは、ノックダウン方式によってコンパクトに梱包することができる。すなわち天井壁(5)は周側壁(2)〜(4)に対し着脱自在に組み付けられるとともに、周側壁(2)〜(4)を構成する複合板(20)〜(40)や支柱(72)〜(74)は、床壁(1)に対し着脱自在に組み付けられている。さらにシャワー装置(8)も取外可能に構成されている。従ってこれらの構成部材を分解し例えば、床壁(1)上に、複合板(20)〜(40)および支柱(72)〜(74)を重ね合わせるとともに、さらにそれらの上に天井壁(5)を重ね合わせることにより、コンパクトに積み重ねることができ、その状態で梱包することにより、梱包サイズを非常に小さくすることができる。このようにコンパクトに梱包できるため、輸送や、施工現場への搬入作業等を簡単に行うことができる。
【0084】
なお上記実施形態においては、側部ヒーター(45)を両側壁(4)に設ける場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明においては、前壁(2)に側部ヒーターを設けたり、後壁(3)に側部ヒーターを設けるようにしても良く、要は前壁(2)、後壁(3)および両側壁(4)(4)の少なくとも一部に、側部ヒーターを設けるようにすれば良い。もっとも本発明においては、熱効率性を考慮すると、側部ヒーターは上記実施形態のように両側壁(4)(4)に設けるのが好ましい。
【0085】
また上記実施形態においては、浴室(10)、換言すれば周側壁の平面視形状を前後方向に長い長方形に形成するようにしているが、本発明においては、周側壁の平面形状は特に限定されるものではない。例えば周側壁の平面視形状を左右方向が長い横長の長方形に形成するようにしても良い。この場合には、その長方形の長辺に相当する前後壁に側部ヒーターを配置するのが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0086】
この発明の岩盤浴用個室ユニットは、岩盤浴設備等の温熱入浴設備として適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】この発明の実施形態である岩盤浴用個室ユニットを示す斜視図である。
【図2】実施形態の岩盤浴用個室ユニットを示す正面図である。
【図3】実施形態の岩盤浴用個室ユニットを示す側面断面図である。
【図4】実施形態の岩盤浴用個室ユニットを示す平面図である。
【図5】実施形態の岩盤浴用個室ユニットを示す水平断面図である。
【図6】実施形態の岩盤浴用個室ユニットにおける床壁を示す断面図である。
【図7】実施形態の岩盤浴用個室ユニットにおける側壁を示す断面図である。
【符号の説明】
【0088】
1 床壁
15 床部ヒーター(床部発熱手段)
16 床面パネル
4 側壁(周側壁)
45 側部ヒーター(側部発熱手段、面状カーボンヒーター)
46 側壁内面パネル(内面パネル)
47 側壁外面(外面パネル)
48 断熱材
6 岩盤プレート(岩盤部材)
8 シャワー装置
81 シャワーヘッド
10 浴室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床壁と、床壁外周縁に沿って立設された周側壁によって囲まれた浴室を備え、前記床壁上に、遠赤外線、マイナスイオン、放射線等を放出する岩盤部材が設けられた岩盤浴用個室ユニットであって、
前記浴室の床壁上面を構成する床面パネルの下側に、浴室内を加熱する電熱式の床部発熱手段が設けられるとともに、
前記浴室の周側壁内面を構成する内面パネルの下部における室外側に、浴室内を加熱する電熱式の側部発熱手段が設けられたことを特徴とする岩盤浴用個室ユニット。
【請求項2】
前記床面パネルは、炭素繊維強化プラスチックによって構成される請求項1に記載の岩盤浴用個室ユニット。
【請求項3】
前記内面パネルは、炭素繊維強化プラスチックによって構成される請求項1または2に記載の岩盤浴用個室ユニット。
【請求項4】
前記周側壁は、前記内面パネルの室外側に設けられた断熱材と、その断熱材の室外側に設けられた炭素繊維強化プラスチック製の外面パネルとを有し、前記側部発熱手段が前記内面パネルと前記断熱材との間に配置される請求項3に記載の岩盤浴用個室ユニット。
【請求項5】
前記側部発熱手段が、面状カーボンヒーターによって構成される請求項1〜4のいずれかに記載の岩盤浴用個室ユニット。
【請求項6】
前記周側壁は、平面視長方形に形成され、その長方形の長辺に相当する壁部に、前記側部発熱手段が設けられる請求項1〜5のいずれかに記載の岩盤浴用個室ユニット。
【請求項7】
水が放出されるシャワーヘッドを有するシャワー装置が、前記浴室内に設けられる請求項1〜6のいずれかに記載の岩盤浴用個室ユニット。
【請求項8】
岩盤部材は、板状に成形された岩盤プレートによって構成され、その岩盤プレートが前記床壁上に複数並べて配置される請求項1〜7のいずれかに記載の岩盤浴用個室ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−95484(P2009−95484A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−270266(P2007−270266)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(507343774)アサヒ給湯産業株式会社 (1)
【出願人】(392015745)株式会社タニモト (4)
【Fターム(参考)】