説明

岸壁給電システム

【課題】 埠頭及び着岸中の船舶に、一般陸上送電路から、荷役作業を妨げることなく、電力を安価でかつ迅速に供給する方法と設備を提供すること。
【解決手段】 岸壁給電方法の概要は、一般陸上高圧送電線路から海底電力ケーブル1を用いて海底に布設して給電する方法、又はダクタイル鋳鉄製コンジット100、或いはダクタイル鋳鉄水道管110を用いて埠頭上にケーブル布設して給電する方法と、コンテナ化した発電設備一式を埠頭の端に設置してダクタイル鋳鉄製コンジット100、或いはダクタイル鋳鉄水道管110を用いて埠頭縁に沿ってケーブル布設して給電する岸壁給電システム。
上記システムは、既に開発されて一般化しているオープンな監視制御方式であるMODBUSとLONWORKSを、コンテナ化した電力供給設備や本発明である機器に採用し、異なる製造者間の設備を統合して運用できる岸壁給電システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般陸上送電線路から埠頭及び船舶へ電力を供給するための岸壁給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大気汚染を防止するため、船舶が着岸中に排出する二酸化炭素、窒素酸化物、硫黄酸化物、粒子状物質等の大気汚染物質を削減することが求められている。これらの汚染物質の主たる排出源は、着岸中に船舶で運転されている発電機用原動機であることが知られている。
【0003】
そこで、大気汚染物質を削減するため、船舶の発電機に代わって陸上から電力を供給する方法が考案されていて、送電ケーブルを埠頭に埋設して、一般の陸上送電線路から電力を供給する方法や、大気汚染物質の排出が少ない発電機を、埠頭に設置して電力を供給する方法が考案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、埠頭及び船舶に電力を供給する目的で、電力ケーブルを埠頭に埋設する工事は、重車両用の強固な舗装面を掘削することになり、長期間の工事が要求される。これでは、費用がかかるうえに長期間荷役作業を妨げる。
それでは、ガスエンジンのような大気汚染物質の排出が少ない原動機で駆動される発電機を埠頭に設置すれば、それらの設備が埠頭の広い範囲を占有することになり荷役作業の妨げになる。
さらに、これらの陸上からの電力供給設備は、製造業者が独自の監視制御方式で設備を製造するため、異なる製造業者間の設備を接続して運用することができない。
【0005】
本発明は、このような事情に基づいてなされたもので、埠頭及び船舶への電力ケーブルの布設を、迅速かつ安価に施工すること、或いは発電設備を、荷役作業を妨げない場所に設置できる環境を用意すること、異なる製造業者間の設備を統合できる監視制御プロトコルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、一般陸上送電線路から埠頭及び着岸中の船舶まで、電力を供給する方法であって、
本発明による海底電力ケーブル用機器を用いて、これらの機器及び海底電力ケーブルを、船舶からの投錨によるケーブル損傷の危険がない岸壁に沿った處で、ケーブルを海底に埋設しない状態で布設して給電する岸壁給電システムが提供される。
海底に設置する機材には、海洋生成物の付着を防止する塗料を塗布するのが好ましい。
【0007】
上記海底ケーブルの布設が困難な場所では、本発明によるダクタイル鋳鉄製コンジット、或いは汎用のダクタイル鋳鉄水道管を設置する金具を用いて、埠頭面上の荷役を妨げない埠頭の縁に設置し、管内に布設した電力ケーブルによって給電する岸壁給電システムが提供される。
【0008】
前記海底電力ケーブル用機器に関連する電力供給装置、或いは埠頭に設置する発電設備一式にインターネットにも接続できるオープンな監視制御システムを用い、将来的には、船舶の電力供給設備と、陸上の電力供給設備を統合して監視制御できる岸壁給電システムが提供される。
【発明の効果】
【0009】
海底電力ケーブルは、埠頭埋設工事と比較して、安価にかつ短期間で布設できるうえ、荷役を妨げることなく施工できる。
ケーブルの損傷の危険がない場所に布設するため、ケーブルを海底に埋設する必要がないので、容易にケーブルを引き上げて点検や海底の浚渫作業に対処できる。
工事費を低く抑え、埠頭での荷役を妨げない施設を建設することで、現在滞っている船舶給電を推し進め、環境の改善に寄与できる。
【0010】
歩道兼用ダクタイル鋳鉄コンジットは、埠頭上の工事を容易にするだけでなく、一般的な商業地区や住宅街での高圧送電ケーブルを地中化するとき、歩道代わりに設置できるので、地中埋設方式よりは、安価で容易に施工できる。
【0011】
監視制御に用いるオープン・システムは、インターネットによる遠隔監視制御に止まらず、異なる製造者間の設備でも相互に接続できるため、製造者の参入が容易で、イニシャル・コスト及び運転コストの低減にもなる。また、将来的には、船舶側の電源設備と統合して運用することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】 岸壁給電全般を説明するための系統図である。
【図2】 (a)電源周波数50Hz地区の陸上送電線路から港湾地区までの送電実施形態を示す図である。(b)岸壁での海底電力ケーブルによる送電実施形態を示す図である。
【図3】 海底電力ケーブルを分岐するための分岐箱の(a)平面図、(b)断面図である。
【図4】 海底電力ケーブルから船舶に電力ケーブルを接続するための断路器付ケーブル端筒の(a)保管形態を示す正面断面図と、(b)前記の図4(a)においてα−α’側から見る、断路器付ケーブル端筒を保護容器に入れた保管形態を示す側面断面図である。
【図5】 上記と同様に、図4(a)においてα−α’側から見る断路器付ケーブル端筒を、負荷に(a)接続作業中の側面断面図と、(b)接続が完了して負荷に通電中の側面断面図である。
【図6】 歩道、或いは車止めの代用になるダクタイル鋳鉄製コンジットの姿図である。
【図7】 上記ダクタイル鋳鉄製コンジットの(a)断面図、(b)正面図である。
【図8】 上記ダクタイル鋳鉄製コンジットを接続した様子を示す接続部分拡大図である。
【図9】 上記ダクタイル鋳鉄製コンジットを(a)歩道兼用とし車道の側に横方向に3連結したときの断面図と、(b)車止め兼用として埠頭端で横方向に2連結したときの断面図と、(c)水道管に使用されているダクタイル鋳鉄水道管を車止め兼用のコンジットとして2連結したときの断面図である。
【図10】 電力ケーブルをダクタイル鋳鉄製コンジットから分岐するための横型分岐箱の(a)平面図と、(b)断面図である。
【図11】 電力ケーブルをダクタイル鋳鉄製コンジットから分岐するための縦型分岐箱の(a)平面図と、(b)断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の好ましい実施形態を、図を参照しながら説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
図1で、岸壁給電方法の概要を示す。すなわち、一般陸上高圧送電線路から海底ケーブル1を用いて海底に布設して給電する方法、又は歩道兼用ダクタイル鋳鉄製コンジット100、或いはダクタイル鋳鉄水道管110を用いて埠頭上にケーブル布設して給電する方法と、コンテナ化した発電設備一式を埠頭の端に設置して、歩道兼用ダクタイル鋳鉄製コンジット100、或いはダクタイル鋳鉄水道管110を用いて埠頭縁に沿ってケーブル布設して給電する方法である。
前記のコンテナ化した発電設備とは、発電コンテナ、燃料コンテナ、冷却装置コンテナ、熱回収コンテナ等で、荷役作業を妨げない船舶から離れた場所に設置する。
なお、前記発電設備からのケーブル布設が埠頭上では困難であれば、海底ケーブルを用いてもよい。
陸上一般送電線路、或いは前記の発電設備で発電された電力は、船舶の近傍に送電後、本発明の断路器付ケーブル端筒4に接続し、船舶側電力設備と系統連系するための、既に開発されている変圧器及び配電盤設備のコンテナを電気的に介して船舶に給電される。
前記発電設備は、発電コストを低減するため、熱回収コンテナを備えているが、本発明の主要目的は、給電であるので、熱エネルギーの利用方法についての説明は省略する。
【0014】
上記のようにコンテナ化した設備の一部は、既に開発されているが、設備の監視制御システムは、製造者独自の方式が採用されているのが一般的で、異なる製造者間の設備を統合して運用することができない。
本発明は、電力供給方法に関わる設備の監視制御方法を含む。よって、既に開発されて一般化しているオープンな監視制御方式であるMODBUSとLONWORKSをコンテナ化した電力供給設備や本発明の機器に採用し、異なる製造業者間の設備を統合して運用できる設備を提供する。
また、MODBUSとLONWORKSはインターネット・プロトコルを採用しているので、そのままインターネットに接続でき、遠隔地でも監視制御できし、将来的には、船舶側の設備もオープン・システムにすることで、船舶側と陸上側を統合して運用し、現在、陸上電力供給システムで計画されているスマートグリッドに組み込むことも可能となる。
【0015】
図2(a)では、関東地区の港湾地区にアクセスする様子を表している。架空線路400からケーブルを地上に配線するため、保護管500を介して、本発明であるダクタイル鋳鉄製コンジット100に導入する。
船舶の電気周波数である60Hzに変換するため、東日本のような50Hz地区では周波数変換設備600を必要とする。そこで、ダクタイル鋳鉄製コンジット100に布設された電力ケーブルは、周波数変換設備600を介して60Hzに変換され、ダクタイル鋳鉄製コンジット100、或いはダクタイル鋳鉄水道管110を経て埠頭、或いは海底に配線される。
【0016】
海底に配線された電力ケーブルは、図2(b)に示すように、岸壁に沿って海底に布設した海底電力ケーブル1から分岐箱3を用いて埠頭への電力ケーブル2を分岐する。船舶に要求されるのは60Hz交流三相3線式電源である。分岐箱3では高圧の三相三線電力ケーブルを分岐し埠頭への取り出しと、次の分岐箱への送り出しを行う。
海底電力ケーブル1及び分岐箱3は、整備点検を容易にするため耐食性の金具5、ワイヤ6、ブイ7を備えており、ワイヤ6の両端は岸壁の金具5と分岐箱3の金具5に接続することで、必要なときに埠頭に引き上げることができる。ワイヤ6を引き揚げ作業中に落水させることも考慮して、ブイ7をワイヤ6に接続する。埠頭への電力ケーブル2は、断路器付ケーブル端筒4を保護筒4sに入れた状態で取付ける。取付け場所は、埠頭の荷役作業に支障のない場所、例えば岸壁の防舷材と防舷材の間である。
【0017】
海底ケーブルは事前に接地を取り、ケーブル外装に接続して布設する。そこで、付属機器にはボンディングを取る(ボンディングケーブルの図面は省略する)。分岐箱等の海中にあるもの、或いは海水を浴びる虞のあるものは銅の混入したペイントを用いて塗装し海洋生成物を防除するのが好ましい。
【0018】
図3から図11までの図面で、本発明の給電装置に用いる付属機器について説明する。
図3の分岐箱3は機械的な衝撃と、海水による腐食から保護するため耐食性に優れた、例えばSUSのような金属を使用する。
図3で、分岐箱3の内部を説明する。海底電力ケーブル1からの各相のケーブルは、それぞれ、分岐箱挿入部のブッシング3bで分岐箱3に固定し、さらに絶縁材製の下部補強盤1b、及び上部補強盤1cで補強された端子盤1aにボルト1aで固定し、接続を確実にする。内部は絶縁を確実にするため絶縁と防水を兼ねた樹脂を充填する。
【0019】
図4を参照して、断路器付ケーブル端筒4が開路して待機している状態を説明する。断路器付ケーブル端筒4は、使用するまで岸壁に取付けられている。そこで、波浪にさらされるため水密保護筒4sに入れた状態で岸壁の金具5に取付ける。水密保護筒4s内のステイ4uと水密保護筒4sのケーブル導入口で断路器付ケーブル端筒4を固定している。また、岸壁から引き上げるとき落水することもあるため、図2(b)に示すように、ケーブル2にはブイ7を、ワイヤ6を用いて取付ける。
【0020】
断路器付ケーブル端筒4は上部のケーブル端部分と、下部の断路器部分の2つからなる構造である。船舶給電用のコンテナに接続する上部ケーブル端2a部分は、下部の断路器胴4dに取付けられたアーム4b上端のスクリューネジを有するハンドル4aで、ケーブル端2aを保護する保護筒4cを、締め付けて固定する。そして、このアーム4bは、アーム取付け金具4qを枢軸として回転することで保護筒4cの取付け取外しを容易にしている。
アーム4bは、アーム4iを取付けるための支点4tを有し、その支点4tとアーム4iとアーム4i先端のローラ4jによって、アーム4bの作動がローラ4jのローラ・ガイド4k介して、このローラ・ガイド4kを有するスライディングプレート4eを、図面上で上下に駆動する機構を形成する。
スライディングプレート4eが安定してスライドするよう、スライディングプレートとレール嵌合部拡大図に示すように、スライドプレート4eの左端はT字型で、このT字型が嵌る形状のレール4fに嵌合しているため、レール4fを安定して移動できる。
図4は、断路器付ケーブル端筒4を使用する前の待機状態で、水密保護筒4sに収まっている。この状態では、前記のローラ4jはローラ・ガイド4kの左端に位置していて、スライディングプレート4eを上部に引き上げている。その結果、スライディングプレート4eが有する2つ目のローラ・ガイド4nが、断路器を開閉するブレード4gに接続する絶縁アーム4pと絶縁アーム4rで形成されるアーム機構端末のローラ4mを上部に引き上げて、ブレード4gを開いている。
【0021】
図5を参照して、断路器付ケーブル端筒4のケーブル接続から通電までの作業を説明する。
断路器付ケーブル端筒4を船舶側に接続する作業は、保護筒4cを取外した状態で行う。このときアーム4bは、図4(b)の直立状態から図5(a)のようにアーム取付け金具4qを枢軸に回転して水平位置にある。
支点4tに接続されるアーム4iの先端に取付けてあるローラ4jは、ローラ・ガイド4kの右端まで移動して行き止まり、その後はスライディングプレート4eを押し下げる。そのため、ローラ・ガイド4nを移動するローラ4mは、ローラ・ガイド4nの下端AからBの位置に移動し、行き止まりの状態になる。
前記のBの位置はローラ4mが嵌り込む形状になっている。このときローラ4jは、ローラ・ガイド4kの右端に押しつけられているため、ローラ4mとローラ4jとで、アーム4bに関連して形成されるリンク機構と、絶縁アーム4pに関連して形成されるリンク機構の作動を固定している。
この状態でのブレード4gは、断路器を開いていて、さらに、船舶側への電気設備の遮断器は、開路状態にあるので、電源側の海底電力ケーブルに接続される断路器付ケーブル端筒4下端の端子4hは活電状態ではあるが、前記のケーブルを接続する作業が安全にできる。
【0022】
上記の接続作業が完了すると、ローラ・ガイド4nのBに位置する溝に嵌り込んだローラ4mを手動で外し、ローラ・ガイド4nの左端に、アーム4bを調節しながら押しつけ、さらにアーム4bを押し下げることでローラ4mは、ローラ・ガイド4nの上端であるC位置に押しつけられる。この一連の動作で、ブレード4gは、端子4hに嵌り込み、断路器が閉路する。
最後に、ハンドル4aを、止め板4xで止まるまで、ねじ込み、アーム4bを固定する。すなわち、通電中に断路器を開路する事故を防ぐ機構である。
スライディングプレート4e、レール4f、アーム4i、ローラ4j、ローラ4mなどのリンク機構は、断路器筒4dの外側にあるが、ブレード4gは、断路器筒4dの内側に位置する。絶縁アーム4rと絶縁アーム4pは、Θ−Θ’断面に示す如く断路器筒4dと外側機構の中間にあって、ブレード4gを駆動する力を伝えている。前記外側の機構と内側の機構の中間部分は、切れ目を有するラバー等の柔軟な絶縁材でカバーされるのが好ましい。
【0023】
図6は、ダクタイル鋳鉄コンジット100の基本形で単管の姿図である。単管は、必要に応じて、横方向に連結して本数を増加することができる。そのため、歩道として使用することや車止めとして使用することが出来る。基本的なダクタイル鋳鉄製コンジット100の単管の寸法は、150mm x 150mm x 3000mmで、道路の縁石の寸法に合わせている。ただし、新しい設備であるため一般道路に用いる場合は、経済産業省の認可が必要である。
【0024】
図6及び図7を参照して、ダクタイル鋳鉄製コンジット100の設置について説明する。丈夫で腐食し難いダクタイル鋳鉄の表面処理を荒仕上げとすることで滑りに難くなり、歩道、或いは車両止めとして使用できるよう、断面が角形で、横方向にも連結して幅を広げることが出来るよう、連結金具を取付ける金具取付け溝10aが3ヵ所ある。
また、長さ方向に延長できるよう、コンジットの一部が飛び出て、先端に引っ掛けるための接続爪10bと、この爪を引っ掛ける接続溝10cを持つ。
連結金具を本体100に固定するためと、水を地中に浸透するためのドレン孔を兼ねる、連結金具取付け孔10nを3ヵ所有する。
【0025】
図8にダクタイル鋳鉄製コンジット100を延長するため接続した状態を示す。先端の接続爪10bが挿入される側には下部に接続溝10cが切ってある。接続爪10bと接続溝10cが、接続した状態を保持するため、上部に弾力性のスペーサー10dと、Oリング10fとを挿入前に取付け、接続爪10bを有する先端を押し込む。
接続爪10bと接続溝10cが嵌合した状態を、スペーサー10dの弾力とダクタイル鋳鉄製コンジット100の重量で保持する。
Oリング10fは、歩道兼用ダクタイル鋳鉄製コンジット100内部に水やゴミの進入を防ぐ。
【0026】
ダクタイル鋳鉄製コンジット100を設置工事する際、現場で長さを調節するには、ダクタイル鋳鉄製コンジット100を必要な長さに切断し、内部に、グラインダーで溝10cを削り出すことで長さ調整が出来る。
歩道兼用ダクタイル鋳鉄コンジット100の接続を解除するときは、片方を強制的に持ち上げて、上部のスペーサー10dと、Oリング10fを圧縮した状態で引き抜く。
【0027】
図9(a)のダクタイル鋳鉄製コンジット100を車道の側に横方向に3連結したときの断面図は、本発明のダクタイル鋳鉄製コンジット100を、一般の地区で採用した例を示す。
ダクタイル鋳鉄製コンジット100を横方向に増設するには、連結金具10eを用い、ダクタイル鋳鉄製コンジット100底部の接続ボルト10k、及び接続ナット10mで連結金具10eを固定する。同様にダクタイル鋳鉄製コンジット100の側面も連結金具10eを相互に結合する連結ボルト10iと連結ナット10jを用いて連結する。連結金具10eはアンカー10hにて地面に固定することができる。
【0028】
図9(b)では、埠頭でダクタイル鋳鉄製コンジット100を2連結で使用する例を示す。埠頭の縁に車止めとして兼用して用いることで、電力ケーブルを荷役の妨げにならない場所に布設できる。
なお、ダクタイル鋳鉄製コンジット100下部の連結金具取付け孔10nは、接続ボルト10k、及び接続ナット10mを取付けた状態でも隙間があり、水の地中浸透用ドレン孔を兼ねる。
接続ボルト10kの頭部の形状と、連結金具取付け孔10nの形状は四角形で、孔とボルト頭部の形状と寸法の関係を示す図から、点線の円は角型の連結金具取付け孔10nの対角線の寸法で、接続ボルト10kの頭部の4角形の1辺の寸法より大きい。したがって、接続ボルト10kの頭部を外部から連結金具取付け孔10nに挿入し取付けることができる。
【0029】
図9(c)では、上記ダクタイル鋳鉄製コンジット100に代えて、大量生産されている汎用のダクタイル鋳鉄水道管110で代用した例を示す。下部の連結金具は前述の連結金具10eを用いるが、上部の連結金具10sは専用の器具で、円管押え材10rを用いてダクタイル鋳鉄水道管110を固定する。
【0030】
図10、及び図11は、それぞれケーブルを分岐するための分岐箱を示す。横型ダクタイル鋳鉄製接続箱200と縦型ダクタイル鋳鉄製接続箱300は、現場の状況に応じて採用する。例えば、図9(a)に示す3連結したダクタイル鋳鉄製コンジット100を分岐する場合は、縦型ダクタイル鋳鉄製接続箱300を3連結して用いる。
横型ダクタイル鋳鉄製接続箱200と縦型ダクタイル鋳鉄製接続箱300は、ダクタイル鋳鉄製コンジット100に接続して管路を延長するための接続爪10bを有する。
【符号の説明】
【0031】
1 海底電力ケーブル
2 分岐電力ケーブル
2a ケーブル端
3 分岐箱
4 断路器付ケーブル端筒
4b アーム
4c 保護筒
4d 断路器筒
4e スライディングプレート
4g ブレード
4h 端子
4i アーム
4j ローラ
4k ローラ・ガイド
4m ローラ
4n ローラ・ガイド
4p 絶縁アーム
4r 絶縁アーム
4s 水密保護筒
A 断路器付ケーブル端筒接続前のローラ位置
B 断路器付ケーブル端筒接続作業中のローラ位置
C 断路器付ケーブル端筒接続完了時のローラ位置
5 金具
6 ワイヤ
7 ブイ
100 ダクタイル鋳鉄コンジット
10a 連結金具取付け溝
10b 接続爪
10c 接続溝
10e 連結金具
10h アンカー
10r 円管押え材
10s 連結金具
110 ダクタイル鋳鉄水道管
200 横型ダクタイル鋳鉄製接続箱
300 縦型ダクタイル鋳鉄製接続箱
400 送電線
500 保護管
600 周波数変換装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電ケーブルを一般陸上送電線路から埠頭及び着岸中の船舶に電力を供給する方法であって、
海底電力ケーブルを分岐する装置と、接続する装置と、岸壁に固定するための器具で構成される海底電力ケーブル用機器に、海洋生成物の付着を防止する塗料を塗布する。そして、これらを布設する場所は、船舶からの投錨によるケーブル損傷の危険がない岸壁に沿った処で、電力ケーブルを、海底に埋設しない方法で給電することを特徴とする岸壁給電システム。
【請求項2】
上記海底電力ケーブルの布設が困難な場所では、ダクタイル鋳鉄製コンジット、或いは汎用のダクタイル鋳鉄水道管を設置する金具を用いて埠頭面上の荷役を妨げない埠頭の縁に設置し、管内に布設した電力ケーブルによって給電することを特徴とする岸壁給電システム。
【請求項3】
前記海底電力ケーブル用機器に関連する電力供給装置、或いは埠頭に設置する発電設備一式に、インターネットにも接続できるオープンな監視制御システムを用いることを特徴とする請求項1及び2に記載の岸壁給電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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