説明

島設備の台間装置

【課題】高さ方向に十分幅広いエアカーテンを形成することができ、煙草の煙等の遮断効果を十分に発揮し得る島設備の台間装置を提供する。
【解決手段】エアカーテンを形成可能な島設備の台間装置1において、装置本体2と、装置本体2内で上下方向に延びた回転軸Lを中心に回転可能に配設されるとともに、側面に送風のための羽根3aが形成された略円筒状のファン部材3と、ファン部材3を回転駆動させるためのモータ4と、装置本体2の背面2b及び側面2cで開口し、ファン部材3の回転駆動により当該装置本体2内に空気を吸入し得る吸入口5a、5bと、装置本体2の前面2a側で上下方向に延びて開口し、ファン部材3の回転駆動により吸入口5a、5bから吸入した空気を吐出させることにより前方に向かって送風し得る吐出口6とを具備したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、島設備の隣接する遊技機間に設置され、前方に向かって送風することによりエアカーテンを形成可能な島設備の台間装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、パチンコ店内に設置された島設備には、複数の遊技機(パチンコ遊技機やスロットマシン等)が並設されており、その隣接する遊技機間には台間装置が設置されている。然るに、遊技者の煙草の煙等が隣接した遊技機の遊技者に至ってしまうのを抑制すべく、従来より、前方に送風するファン等を設け、当該ファン等を駆動させることによりエアカーテンを形成可能な台間装置が提案されるに至っている。
【0003】
例えば、特許文献1で開示されているように、台間装置内にファン等の送風機を配設するとともに、装置本体の前面側に空気の吸入口及び吐出口がそれぞれ形成され、当該送風機を駆動させることにより前方(遊技者側)に向かって吐出口から送風してエアカーテンを形成し得るようになっていた。かかるエアカーテンにより、隣の遊技機まで煙草の煙等が至ってしまうのを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−118327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の島設備の台間装置においては、装置本体の前面側に空気の吸入口及び吐出口がそれぞれ形成されていたので、吐出口の上下寸法を大きく設定することができず、十分な大きさのエアカーテンを形成するのが困難であるという問題があった。即ち、エアカーテンは、空気の流れで壁を形成して煙草等の煙を遮断するものであるため、吐出口を上下方向に大きく形成して上下方向に幅広いエアカーテンを形成するのが好ましいのであるが、従来のものにおいては、装置本体の前面側には、吐出口の他、空気の吸入口も形成する必要があり、当該吐出口の上下方向に対する十分な寸法を採ることが困難とされていたのである。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、高さ方向に十分幅広いエアカーテンを形成することができ、煙草の煙等の遮断効果を十分に発揮し得る島設備の台間装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、島設備の隣接する遊技機間に設置され、前方に向かって送風することによりエアカーテンを形成可能な島設備の台間装置において、前記島設備における遊技機の側方近傍に設置可能とされた装置本体と、該装置本体内で上下方向に延びた回転軸を中心に回転可能に配設されるとともに、側面に送風のための羽根が形成された略円筒状のファン部材と、該ファン部材を回転軸を中心として回転駆動させるためのモータと、前記装置本体の側面、上面、下面又は背面で開口し、前記ファン部材の回転駆動により当該装置本体内に空気を吸入し得る吸入口と、前記装置本体の前面側で上下方向に延びて開口し、前記ファン部材の回転駆動により前記吸入口から吸入した空気を吐出させることにより前方に向かって送風し得る吐出口とを具備したことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の島設備の台間装置において、前記ファン部材とモータとを組み付けた送風ユニットを具備し、当該送風ユニットを前記装置本体内において上下方向に複数並設させたことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の島設備の台間装置において、前記装置本体には、前記ファン部材の駆動をオン・オフ操作するための又は当該ファン部材の回転速度を任意に調整するための操作手段が形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、装置本体内で上下方向に延びた回転軸を中心に回転可能に配設されるとともに側面に送風のための羽根が形成された略円筒状のファン部材を有し、且つ、吸入口が装置本体の側面、上面、下面又は背面で開口し、吐出口が当該装置本体の前面側で上下方向に延びて開口したので、高さ方向に十分幅広いエアカーテンを形成することができ、煙草の煙等の遮断効果を十分に発揮し得る。
【0011】
請求項2の発明によれば、ファン部材とモータとを組み付けた送風ユニットを具備し、当該送風ユニットを装置本体内において上下方向に複数並設させたので、高さ方向に十分幅広いエアカーテンを形成することができるとともに、装置本体内のレイアウトの自由度を向上させることができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、装置本体には、ファン部材の駆動をオン・オフ操作するための又は当該ファン部材の回転速度を任意に調整するための操作手段が形成されたので、遊技者や遊技店の従業員等が必要に応じてファン部材を駆動させ或いは当該ファン部材の回転速度を使用状況に応じて調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る島設備の台間装置を示す正面図
【図2】同台間装置の内部構成を示す側面図
【図3】同台間装置を示す背面図
【図4】同台間装置を示す斜視図
【図5】同台間装置におけるファン部材及びモータを示す拡大図
【図6】同台間装置が設置される島設備全体を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る島設備の台間装置は、図6に示すように、パチンコ遊技店における島設備Sの隣接するパチンコ遊技機P間に設置され、前方(同図中手前側)に向かって送風することによりエアカーテンを形成可能なものであり、図1〜5に示すように、装置本体2と、ファン部材3と、モータ4と、吸入口5a、5bと、吐出口6とを有して構成されている。
【0015】
装置本体2は、台間装置1の筐体を成すもので全体として上下に細長い箱型形状とされており、島設備Sにおけるパチンコ遊技機Pの側方近傍に設置可能とされるとともに内部に種々構成要素が収容されている。かかる装置本体2は、上下寸法がパチンコ遊技機Pの高さ寸法と略同一とされており、その前面2aを島設備Sの前方に臨ませつつ背面2b及び側面2c(上面及び下面も同様)を島設備S内に臨ませて固定されるようになっている。
【0016】
本実施形態に係る装置本体2には、ロック部材13a及び該ロック部材13aを揺動動作させるプッシュソレノイド15や種々駆動機構等を具備したロック機構13が配設されており、隣接するパチンコ遊技機Pの前面枠前方までロック部材13aが揺動することにより当該パチンコ遊技機Pに対する開閉動作を規制し得るようになっている。尚、本実施形態においては、ロック部材13aが装置本体2の略中央(中央の高さの位置)に形成されているが、他の位置に形成されたものとしてもよい。
【0017】
また、装置本体2には、その前面2a上部に操作手段7(後で詳述する)、表示灯9及び噴出口10が形成されている。表示灯9は、複数個のLEDで形成され、ファン部材3の駆動状態(モータ4の駆動状態)やロック機構13の作動状態を点灯表示し得るようになっている。噴出口10は、静電霧化微粒子水発生装置11(図2参照)で生じた帯電微粒子水を前方(遊技者側)に噴霧させるための開口である。当該静電霧化微粒子水発生装置11は、背面2bに設けたノズル11aから水を供給することにより、この水を静電霧化作用で帯電微粒子水とするためのものであり、これにより、遊技者近傍の空気が清浄化されたり加湿されて、快適な遊技空間が得られるようになっている。
【0018】
更に、装置本体2内には、上下2つの仕切板12が配設されており、それぞれの仕切板12には検知センサ14が配設されている。かかる検知センサ14は、例えば光センサ等の非接触式センサ(若しくはマイクロスイッチ等の接触式センサであってもよい)で構成されており、パチンコ遊技機Pの前枠の開閉状態を検知して不正開放を防止し得るようになっている。
【0019】
ファン部材3は、所謂クロスフローファンと称されるファンから成り、図5に示すように、装置本体2内で上下方向に延びた回転軸Lを中心に回転可能に配設されるとともに、側面に送風のための羽根3aが形成された略円筒状のものから成る。かかるファン部材3は、フレームFにおいて回転自在に取り付けられており、当該フレームFの上部にはモータ4が形成されている。
【0020】
当該モータ4は、ファン部材3を回転軸Lを中心として回転駆動させるための駆動源である。而して、本実施形態においては、ファン部材3とモータ4とを同一フレームFに組み付けて一体とすることにより送風ユニットYを構成しており、当該送風ユニットYが装置本体2内において上下方向に複数(本実施形態においては3つ)並設されている。尚、本実施形態においては、短い上下寸法の送風ユニットYが2つ、長い上下寸法の送風ユニットYが1つそれぞれ上下に並べられているが、全て同一の上下寸法とされた送風ユニットYを複数配設するようにしてもよい。即ち、装置本体2に形成された吸入口5a、5b及び吐出口6の形成位置や他の構成要素の配設関係に応じて送風ユニットYを任意の位置で配設することができるのである。
【0021】
吸入口5aは、装置本体2の背面2bで開口し、ファン部材3の回転駆動により当該装置本体2内に空気を吸入し得るものであり、同様に、吸入口5bは、装置本体2の側面2cで開口し、ファン部材3の回転駆動により当該装置本体2内に空気を吸入し得るものである。然るに、本実施形態においては、吸入口5aは、装置本体2の背面2b及び側面2cに形成されているが、前面2a以外の他の面(装置本体2の上面又は下面)に形成するようにしてもよい。尚、図2中符号16は吸入口5aを覆った活性炭フィルタを示しており、当該吸入口5aから吸入される空気を濾過して浄化し得るようになっている。
【0022】
吐出口6は、装置本体2の前面2a側で上下方向に延びてスリット状に開口し、ファン部材3の回転駆動により吸入口5a、5bから吸入した空気を吐出させることにより前方に向かって送風し得るものであり、かかる送風により隣接するパチンコ遊技機P間において所謂エアカーテンを形成することができる。即ち、本実施形態においては、吸入口5a、5bが装置本体2の背面2b又は側面2cに形成されているため、吐出口6を装置本体2の前面2aにおける広い範囲に亘って形成させることができ、エアカーテンの高さ方向(上下方向)の幅(空気の流れで形成される壁の高さ)を大きく設定することができるのである。
【0023】
更に、装置本体2の前面2a上部には、ファン部材3の駆動をオン・オフ操作(即ち、モータ4のオン・オフ操作)するための又は当該ファン部材3の回転速度を任意に調整するための操作手段7が配設されている。具体的には、かかる操作手段7は、押圧操作及び回転操作が可能な操作摘みから成り、押圧操作によりファン部材3が回転駆動開始又は停止されるとともに、回転操作により可変抵抗器8(図2参照)を作用させてモータ4に送られる電流を変化させ、当該ファン部材3を任意の回転速度に調整し得るようになっている。
【0024】
上記実施形態によれば、装置本体2内で上下方向に延びた回転軸Lを中心に回転可能に配設されるとともに側面に送風のための羽根3aが形成された略円筒状のファン部材3を有し、且つ、吸入口5a、5bが装置本体2の背面2b及び側面2cで開口し、吐出口6が当該装置本体2の前面2a側で上下方向に延びて開口したので、高さ方向に十分幅広いエアカーテンを形成することができ、煙草の煙等の遮断効果を十分に発揮し得る。
【0025】
また、ファン部材3とモータ4とを組み付けた送風ユニットYを具備し、当該送風ユニットYを装置本体2内において上下方向に複数並設させたので、高さ方向に十分幅広いエアカーテンを形成することができるとともに、装置本体2内のレイアウトの自由度を向上させることができる。即ち、送風ユニットYを上下方向に複数並設させる構成とすることにより、吸入口5a、5b及び吐出口6の形成位置や他の構成要素の配設関係に応じて送風ユニットYを任意の位置で配設することができ、レイアウトの自由度を向上させ得るのである。
【0026】
更に、装置本体2には、ファン部材3の駆動をオン・オフ操作するための又は当該ファン部材3の回転速度を任意に調整するための操作手段7が形成されたので、遊技者や遊技店の従業員等が必要に応じてファン部材3を駆動させ或いは当該ファン部材3の回転速度を使用状況に応じて調整することができる。尚、本実施形態に係る操作手段7は、押圧操作及び回転操作が可能な操作摘みで構成されているが、他の形態の操作手段(例えば、ファン部材3の駆動をオン・オフ操作するための操作手段と、当該ファン部材3の回転速度を任意に調整するための操作手段とを別個に配設したもの)としてもよい。
【0027】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばロック機構13、操作手段7、表示灯9及び静電霧化微粒子水発生装置11等を具備しないもの(即ち、専らエアカーテンを形成する台間装置等)としてもよく、更には他の機能が付加されたもの(例えば、プリペイドカード投入口等が形成された台間装置等)としてもよい。尚、ロック機構13を具備しないものとした場合、装置本体2の前面2aに形成されるべき吐出口6を上下方向に更に延ばすことができる。また、本実施形態においては、パチンコ遊技機Pが並設された島設備Sに適用されているが、スロットマシン等他の遊技機が並設された島設備に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
島設備における遊技機の側方近傍に設置可能とされた装置本体と、該装置本体内で上下方向に延びた回転軸を中心に回転可能に配設されるとともに、側面に送風のための羽根が形成された略円筒状のファン部材と、ファン部材を回転軸を中心として回転駆動させるためのモータと、装置本体の側面、上面、下面又は背面で開口し、ファン部材の回転駆動により当該装置本体内に空気を吸入し得る吸入口と、装置本体の前面側で上下方向に延びて開口し、ファン部材の回転駆動により前記吸入口から吸入した空気を吐出させることにより前方に向かって送風し得る吐出口とを具備した島設備の台間装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用できる。
【符号の説明】
【0029】
1 台間装置
2 装置本体
3 ファン部材
3a 羽根
4 モータ
5a、5b 吸入口
6 吐出口
7 操作手段
8 可変抵抗器
9 表示灯
10 噴出口
11 静電霧化微粒子水発生装置
12 仕切板
13 ロック機構
14 検知センサ
15 プッシュソレノイド
16 活性炭フィルタ
Y 送風ユニット
S 島設備

【特許請求の範囲】
【請求項1】
島設備の隣接する遊技機間に設置され、前方に向かって送風することによりエアカーテンを形成可能な島設備の台間装置において、
前記島設備における遊技機の側方近傍に設置可能とされた装置本体と、
該装置本体内で上下方向に延びた回転軸を中心に回転可能に配設されるとともに、側面に送風のための羽根が形成された略円筒状のファン部材と、
該ファン部材を回転軸を中心として回転駆動させるためのモータと、
前記装置本体の側面、上面、下面又は背面で開口し、前記ファン部材の回転駆動により当該装置本体内に空気を吸入し得る吸入口と、
前記装置本体の前面側で上下方向に延びて開口し、前記ファン部材の回転駆動により前記吸入口から吸入した空気を吐出させることにより前方に向かって送風し得る吐出口と、
を具備したことを特徴とする島設備の台間装置。
【請求項2】
前記ファン部材とモータとを組み付けた送風ユニットを具備し、当該送風ユニットを前記装置本体内において上下方向に複数並設させたことを特徴とする請求項1記載の島設備の台間装置。
【請求項3】
前記装置本体には、前記ファン部材の駆動をオン・オフ操作するための又は当該ファン部材の回転速度を任意に調整するための操作手段が形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の島設備の台間装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−30818(P2011−30818A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−180335(P2009−180335)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【出願人】(000161806)京楽産業.株式会社 (4,820)
【Fターム(参考)】