説明

嵩高パルプの製造法

【課題】紙にした時に、印刷適性を損なわず、嵩高性だけでなく、褪色性に優れた製紙用パルプの製造法を提供するものである。
【解決手段】晒化学パルプスラリー中に繊維間結合阻害剤を添加し、混合した後、繊維間結合阻害剤の融点以上まで加熱し、乾燥する嵩高パルプの製造法であり、好ましくは該晒化学パルプスラリーのカナダ標準濾水度(CSF)を300mL以上600mL以下の範囲にし、繊維間結合阻害剤を添加し、混合した後、該繊維間結合阻害剤の融点以上まで加熱し、乾燥する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、嵩高性に優れ、褪色性が改善された製紙用パルプの製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙は省資源や物流費の削減といった観点、環境保護運動の高まりといった社会的要求等から軽量化が望まれている。しかし、紙を軽量化すると紙厚が減少し、印刷物としては不透明度が下がり裏側の印刷が透けてしまい、読みにくくなるだけでなく紙の高級感も損なわれるといった問題があり、紙の厚さを維持した上での軽量化、すなわち嵩高化が要求されている。
【0003】
紙の嵩高化の方法としては、まず紙の主原料である木材パルプの検討が上げられる。グラインダーで木材を磨り潰す砕木パルプやリファイナーで木材を解繊して得られるサーモメカニカルパルプのような機械パルプは、繊維が剛直なため紙の嵩高化には効果的であり、特に砕木パルプは嵩高化への寄与が大きい。しかしながら、機械パルプはリグニンを多く含んでいるため経時による褪色が大きく、配合量は制限されてしまう。特に上質紙の場合には規格上の問題もあって機械パルプの配合は困難である。
【0004】
上質紙では化学漂白パルプが使用される。化学漂白パルプに用いる原料樹種により紙の密度は大きく影響を受け、木材繊維自体が粗大なものほど嵩高な紙が得られる。特開平10−204790号公報(特許文献1)には、LBKPの内にフタバガキ類のパルプを50〜100重%含有させることで柔軟性に優れた低密度書籍用紙を製造する方法が開示されている。しかし、現在の環境保護運動が高まる中で、特定の樹種を選択しパルプ化することは事実上困難である。
【0005】
通常、製紙用パルプは叩解処理を行い抄紙される。叩解処理によりパルプ繊維をフィブリル化、短繊維化することで、紙にした際の強度を高め、また平滑性や均一性(地合い)を付与している。しかし、叩解処理によって嵩は低下する傾向であるため、嵩高化には叩解処理を抑制することが好ましいが、叩解処理が不十分であれば、紙の強度や平滑性が低下してしまう。
【0006】
木材パルプ以外のパルプを用いて嵩高化する技術として、特開2003−278091号公報(特許文献2)には再生セルロース繊維であるリヨセルを紙に配合する方法が、特開平6−272189号公報(特許文献3)には三次元的に捲縮された合成パルプを使用する方法が開示されている。しかしながらこれらのパルプは木材パルプよりも価格が大幅に高いことから、汎用性のある印刷用紙への適用は難しい。
【0007】
製紙用パルプに付加処理を施すことで、紙にした際の嵩高性を向上する検討も行われている。特開平4−185792号公報(特許文献4)には架橋剤で架橋させた後、解繊したパルプを用いて嵩高化する技術が開示されているが、パルプのリサイクル性を低下させるため印刷用紙等の汎用性の高い紙への利用は困難である。特開平7−54293号公報(特許文献5)にはセルラーゼ、ヘミセルラーゼ等の多糖類分解酵素あるいはそれらを生産する微生物でパルプを処理することにより、嵩高に改質する技術が開示されている。しかし、この方法では酵素が高価でありコスト増となる。また、特開2002−294582号公報(特許文献6)には、pH2〜4の酸性下でパルプにせん断応力を付与することで嵩高に改質する技術が開示されている。この方法では、処理後にpHを調整する必要があり、特に中性紙に使用する場合は、中和薬品・洗浄水の使用等によりコスト増となる。
【0008】
抄紙時における嵩高化の方法としては、プレス工程でのプレス圧を低くする、紙に平滑性を付与させるカレンダー処理を抑えることが挙げられる。しかし、これらの方法だけでは、満足の行く嵩高性が得られないのが現状である。
【0009】
このようなパルプや抄紙時での対応の他に、抄紙原料に添加する填料や薬品からの嵩高化も検討されている。填料からの嵩高化の方法としては、嵩高填料を配合する方法が挙げられる。嵩高填料は無定形シリカや無定形シリケート、ゼオライト等の様に、填料粒子中にマイクロポーラスを有するものや、針状、柱状、イガグリ状炭酸カルシウム等の様にアスペクト比の高い填料、中空形態を呈す合成有機物カプセル等が挙げられ、粒子の嵩比重が小さいのが特徴である。嵩高填料の配合量を増加することで嵩高性は得られるものの、配合量の増加は紙の強度低下や紙粉を発生しやすくなるといった問題もある。
【0010】
近年では、抄紙原料に嵩高剤を添加し嵩高化する技術が行われている。嵩高剤には、親水基と疎水基を持つ化合物である界面活性剤が一般に用いられ、抄紙時に嵩高剤がパルプ繊維に定着し、繊維間結合間の距離を増すことで紙が嵩高化され、柔軟性が付与されると考えられている。しかし、抄紙時に嵩高剤を用いる場合、パルプ繊維に未定着の嵩高剤により抄紙系の発泡といった問題を生じるため、嵩高剤の添加量は制限される。また、抄紙原料の歩留が低い高速の抄紙機では、十分な嵩高効果を得るには添加量を増やさなければならず、嵩高剤のみでは十分な嵩高効果が得られないのが現状である。
【特許文献1】特開平10−204790号公報
【特許文献2】特開2003−278091号公報
【特許文献3】特開平6−272189号公報
【特許文献4】特開平4−185792号公報
【特許文献5】特開平7−54293号公報
【特許文献6】特開2002−294582号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、嵩高性に優れ、褪色性が改善された製紙用パルプの製造法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上記に鑑み鋭意研究した結果、本発明の嵩高パルプの製造法を発明するに至った。すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)晒化学パルプスラリー中に繊維間結合阻害剤を添加し混合した後、繊維間結合阻害剤の融点以上まで加熱して乾燥することを特徴とする嵩高パルプの製造法。
【0013】
(2)前記晒化学パルプスラリーのカナダ標準濾水度(CSF)を300mL以上600mL以下の範囲にし、繊維間結合阻害剤を添加した後、該繊維間結合阻害剤の融点以上まで加熱して乾燥することを特徴とする嵩高パルプの製造法。
【0014】
(3)(1)および(2)の方法で製造される嵩高パルプを配合した紙。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、嵩高性に優れ、褪色性が改善された製紙用パルプの製造法を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明では、鋭意検討した結果、繊維間結合阻害剤を含む晒化学パルプを抄き上げ、繊維間結合阻害剤の融点以上まで加熱して乾燥パルプシートを作ることで、嵩高性に優れ、褪色性が改善されたパルプが得られることを見出した。また、融点以上まで加熱することにより、繊維間結合阻害剤のパルプ繊維への被覆が促進されるとともに、一部は繊維内部に浸透することで、褪色性に優れるという晒化学パルプの特徴を持った嵩高効果の高いパルプが得られることがわかった。
【0017】
本発明で使用する繊維間結合阻害剤は、分子内に疎水基と親水基を持つ界面活性剤が好ましい。その例としては、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物、非イオン界面活性剤、油脂系非イオン界面活性剤、糖アルコール系非イオン界面活性剤、糖系非イオン界面活性剤、多価アルコール型非イオン界面活性剤、高級アルコール、脂肪酸ビスアマイド系、脂肪酸と多価アミンの縮合物、高級アルコールまたは高級脂肪酸のポリオキシアルキレン付加物、高級脂肪酸エステルのポリオキシアルキレン付加物、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物のポリオキシアルキレン付加物、脂肪酸ポリアミド、脂肪酸ポリアミドアミン、アルキレンオキサイドオリゴマー等が挙げられる。嵩高パルプを抄紙する際に使用する抄紙薬品の効果を阻害せず、紙の褪色性を悪化させない範囲で適宜選択される。
【0018】
本発明の嵩高パルプに使用する晒化学パルプとしては、広葉樹材或いは針葉樹材を原料として、クラフト蒸解法、ポリサルファイド蒸解法、亜硫酸塩蒸解法等の蒸解法により得られた未晒パルプを酸素脱リグニン処理し、その後、二酸化塩素、塩素、苛性ソーダ、次亜塩素酸塩、過酸化水素、オゾン、亜二チオン酸ソーダ、ハイドロサルファイト等を適宜添加し行われる多段漂白法により製造される。有機塩素化合物の排水への負荷などを考慮すると、塩素の代替として二酸化塩素、オゾンを最初に適用する塩素フリーの多段漂白法が好ましい。
【0019】
本発明では、鋭意検討した結果、カナダ標準濾水度(CSF)が300mL以上600mL以下の晒化学パルプスラリーに、繊維間結合阻害剤を添加した後、繊維間結合阻害剤の融点以上まで加熱して乾燥することにより、より大きな嵩高効果が得られることを見出した。CSFが600mLを超える場合、優れた嵩高性が得られず、また、300mLを下回る場合は、繊維間結合阻害剤を含有させて熱乾燥処理を施した嵩高パルプを配合して紙を抄造する際に、濾水性の低下が大きくなるため好ましくない。
木材パルプの濾水度は主に叩解処理により調整されるが、先に述べた様に、叩解処理を進めると嵩は通常低下する。しかしながら、叩解処理により繊維の外部及び内部フィブリル化が行われることで、繊維間結合阻害剤の定着が高まり、その後の加熱処理による繊維の被覆、浸透が促進されるために、嵩高効果に優れたパルプが得られるものと思われる。
【0020】
本発明の嵩高パルプを用いた紙を抄造する場合、求められる紙の特性に応じて、広葉樹材或いは針葉樹材を原料とした晒化学パルプや、楮、三椏、麻、ケナフ等を原料とする非木材パルプ、古紙を原料とする脱墨パルプ、マーセル化パルプ、カールドファイバー、合成パルプ等と配合して用いることも可能であるが、本発明の嵩高パルプは50質量%以上配合することで嵩だけでなく、印刷適性や褪色性に効果が大きくなる
【0021】
本発明では、必要に応じて填料を配合することが出来る。この場合の填料としては、特に限定するものではないが、一般に上質紙に用いられる各種の顔料、例えばカオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、タルク、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、無定形シリケート、ベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スメクタイト等の鉱物質顔料や、ポリスチレン系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂並びにそれらの微小中空粒子等の有機顔料が挙げられる。
【0022】
紙料中にはパルプ繊維や填料の他に、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、従来から使用されている各種のアニオン性、ノニオン性、カチオン性あるいは両性の歩留向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤や内添サイズ剤等の各種抄紙用内添助剤が必要に応じて適宜選択して使用することができる。さらに染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙用内添助剤も紙の用途に応じて適宜添加することができる。
【0023】
本発明の嵩高パルプを用いた紙の抄造は、公知の抄紙機、例えば長網式、円網式、短網式、ツインワイヤー式抄紙機によって製造される。
【0024】
本発明では、澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアマイド等の各種表面バインダーや、ロジン系サイズ剤、合成サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、中性サイズ剤等の表面サイズ剤、塩化ナトリウムや硫酸ナトリウム等の導電剤を、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、塗布または含浸することが出来る。
【0025】
本発明により褪色性が改善された嵩高パルプが得られることから、この嵩高パルプを用いることで、嵩高性に優れた上質系の印刷用紙、筆記用紙、事務用紙が得られる。特に本発明のパルプを用い書籍用紙とする場合には、クロス方向のクラーク剛度が下がり、頁がめくりやすくなるだけでなく、手触り感がよく、印刷適性にもすぐれているため好適である。また塗工用原紙に用いることで、嵩高な上質系塗工紙への利用も可能である。
【実施例】
【0026】
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。勿論、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。また例中の部及び%は特に断らない限り、重量部及び重量%を示す。
実施例及び比較例中の諸物性の評価方法は以下の通りである。
・融点:示差走査熱量計DSC22C(セイコーインスツル製)を用いて測定した。
・紙の密度:JIS P 8118により測定した。
・白色度:JIS P 8123に従ってパルプの白色度を測定した。
・熱褪色性:成紙を105℃で24時間褪色させ、褪色前後の白色度から下式に従いPC価を算出し、評価した。
PC価={(1−褪色後白色度)/(2×褪色後白色度)−(1−褪色前白色度)/(2×褪色前白色度)}×100
・光褪色性:32℃、相対湿度50%の条件で24時間、キセノンランプで照射し、褪色前後の白色度からPC価を算出し、評価した。
・印刷強度:RI印刷機(明製作所製)にてオフセットインキT13を用いて測定し、その結果を評価表示した。
◎:強度が高く、実用上問題なく、品質も優れている。
:強度が高く、実用上問題ない。
:強度がやや劣り、実用上問題ある。
×:強度が著しく劣り、実用上問題であり、品質も著しく劣っている。
【0027】
実施例1
カナダ標準濾水度(CSF)が600mL、白色度82.0%である広葉樹晒化学パルプ(LBKP)スラリーに繊維間結合阻害剤(商標:KB115、融点54℃、花王製)を対パルプ絶乾量100部当たり2部添加し、抄き上げマシンを用いて抄き上げたパルプシートを90℃で乾燥させて嵩高パルプを作製した。
上記嵩高パルプ50部とカナダ標準濾水度(CSF)が400mL、白色度81.5%であるLBKPを50部(対絶乾パルプ量100部)を配合したパルプスラリーに、軽質炭酸カルシウム(商標:TP121、奥多摩工業製)を紙重量当たり15部になるよう添加し、さらに絶乾パルプ量100部当たり、澱粉1.0部、アルキルケテンダイマー0.05部、及び硫酸バンドを0.5部となるように添加した紙料を、オントップ型抄紙機を用いて抄紙し、オンマシンのサイズプレスコーターにより酸化澱粉を4.0g/m、表面サイズ剤を0.08g/mとなるように塗布し、坪量が67.8g/m、密度0.57g/cm、王研式平滑度15秒の印刷用紙を得た。
【0028】
実施例2
カナダ標準濾水度(CSF)が400mL、白色度81.5%である広葉樹晒化学パルプ(LBKP)スラリーに繊維間結合阻害剤(商標:KB115、花王製)を対パルプ絶乾量100部当たり2部添加し、抄き上げマシンを用いて抄き上げたパルプシートを90℃で乾燥させて繊維間結合阻害剤を含有させて熱乾燥処理を施した嵩高パルプを作製した。
該繊維間結合阻害剤を含有させて熱乾燥処理を施した嵩高パルプ50部とカナダ標準濾水度(CSF)400mL、白色度81.5%であるLBKPを50部(対絶乾パルプ量100部)を配合したパルプスラリーを用いて、実施例1と同様の薬品処方、抄紙方法で抄造し、坪量が69.0g/m、密度0.58g/cm、王研式平滑度15秒の印刷用紙を得た。
【0029】
実施例3
カナダ標準濾水度(CSF)が600mL、白色度82.0%である広葉樹晒化学パルプ(LBKP)スラリーに繊維間結合阻害剤(商標:ハイソフターPX2、融点52℃、明成化学工業製)を対パルプ絶乾量100部当たり2部添加し、抄き上げマシンを用いて抄き上げたパルプシートを90℃で乾燥させて嵩高パルプを作製した。
該繊維間結合阻害剤を含有させて熱乾燥処理を施した嵩高パルプ50部とカナダ標準濾水度(CSF)400mL、白色度81.5%であるLBKPを50部(対絶乾パルプ量100部)を配合したパルプスラリーを用いて、実施例1と同様の薬品処方、抄紙方法で抄造し、坪量が70.8g/m、密度0.59g/cm、王研式平滑度15秒の印刷用紙を得た。
【0030】
実施例4
カナダ標準濾水度(CSF)700mL、白色度80.7%である針葉樹晒化学パルプ(NBKP)スラリーに(商標:KB115、花王製)を対パルプ絶乾量100部当たり2部添加し、抄き上げマシンを用いて抄き上げたパルプシートを90℃で乾燥させて繊維間結合阻害剤を含有させて熱乾燥処理を施した嵩高パルプを作製した。
該繊維間結合阻害剤を含有させて熱乾燥処理を施した嵩高パルプ50部とカナダ標準濾水度(CSF)400mL、白色度81.5%であるLBKPを50部(対絶乾パルプ量100部)を配合したパルプスラリーを用いて、実施例1と同様の薬品処方、抄紙方法で抄造し、坪量が73.2g/m、密度0.61g/cm、王研式平滑度15秒の印刷用紙を得た。
【0031】
比較例1
嵩高パルプを使用せず、カナダ標準濾水度(CSF)600mL、白色度82.0%であるLBKPを用いて、実施例1と同様の薬品処方、抄紙方法で抄造し、坪量が72.6g/m、密度0.61g/cm、王研式平滑度15秒の印刷用紙を得た。
【0032】
比較例2
CSF400mL、白色度75.6%の広葉樹BCTMP50部とカナダ標準濾水度(CSF)400mL、白色度81.5%であるLBKPを50部(対絶乾パルプ量100部)を配合したパルプスラリーを用いて、実施例1と同様の薬品処方、抄紙方法で抄造し、坪量が67.2g/m、密度0.56g/cm、王研式平滑度15秒の印刷用紙を得た。
【0033】
比較例3
CSF400mL、白色度75.6%の広葉樹BCTMP20部とカナダ標準濾水度(CSF)400mL、白色度81.5%であるLBKPを80部(対絶乾パルプ量100部)を配合したパルプスラリーを用いて、実施例1と同様の薬品処方、抄紙方法で抄造し、坪量が71.9g/m、密度0.60g/cm、王研式平滑度15秒の印刷用紙を得た。
【0034】
比較例4
嵩高パルプを使用せず、カナダ標準濾水度(CSF)400mL、白色度81.5%であるLBKPスラリー100部に繊維間結合剤を1部(商標:KB115、花王製)(対絶乾パルプ量100部)添加し、実施例1と同様の薬品処方、抄紙方法で抄造し、坪量が71.4g/m、密度0.60g/cm、王研式平滑度15秒の印刷用紙を得た。
【0035】
比較例5
嵩高パルプを使用せず、カナダ標準濾水度(CSF)400mL、白色度81.5%であるLBKPを用いて、実施例1と同様の薬品処方、抄紙方法で抄造し、坪量が75g/m、密度0.63g/cm、王研式平滑度15秒の印刷用紙を得た。
【0036】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
晒化学パルプスラリー中に繊維間結合阻害剤を添加し混合した後、繊維間結合阻害剤の融点以上まで加熱して乾燥することを特徴とする嵩高パルプの製造法。
【請求項2】
前記晒化学パルプスラリーのカナダ標準濾水度(CSF)を300mL以上600mL以下の範囲にし、繊維間結合阻害剤を添加した後、該繊維間結合阻害剤の融点以上まで加熱して乾燥することを特徴とする嵩高パルプの製造法。
【請求項3】
請求項1および請求項2の方法で製造される嵩高パルプを配合した紙。


【公開番号】特開2006−152509(P2006−152509A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−348124(P2004−348124)
【出願日】平成16年12月1日(2004.12.1)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】