説明

工事用シート屋根(ロープ巻きタイプ)

【課題】 簡単な構造で、しかも一人の労力で短時間で建築中の現場を覆う仮設屋根を開閉させる事が出来る仮設屋根を提供する。
【解決手段】 塩ビパイプにブルーシートを巻き付けた回転式シート巻取装置を足場の上部に載せ、回転式シート巻取装置の左右にパイプ回転装置を取付け、左右のパイプ回転装置に一巻きしたロープを引っ張る事により、ロープを引っ張った方向にブルーシートを広げたり巻き取ったりするように構成した工事用シート屋根を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠組壁工法住宅の建築中の現場を、雨や夏の直射日光から保護するための仮設屋根に関するものである。
【背景技術】
【0002】
枠組壁工法住宅の2階建て住宅を建築する(3階建て住宅も同様)場合においては、最初に基礎を構築し、つづいて1階床を施工してから1階外壁を組立て、つづいて2階床を施工してから2階外壁を組立て、最後に屋根を取付けるので、屋根を取付けられていない施工中の現場で雨が降った場合、1階や2階の床面(構造用合板)に雨水がたまり、梅雨等のように長期に渡って雨が降り続いた場合には、床の構造用合板を固定するために使用した釘の頭部分が錆び、釘の回りに黒いリングのような染みが出来て、お施主様から、床に水が溜まって木が腐り耐久性で問題が生ずるのではないか、といった苦情が多数寄せられていた。
【0003】
なお、このように大量の雨が降って、床面(構造用合板)に水溜まりが出来そうな場合には、上記のような問題が発生した為、雨の降る前にブルーシート等を床(構造用合板)の上に敷き、床や資材が濡れないように対応しているが、その後、ブルーシートに溜まった水を排水させるために作業員が現場に出向いて排水作業を行わなければならないため、多くの時間と労力を必要とし、コストアップの原因となっていた。
【0004】
また、雨の日においては、搬入した資材が濡れてしまい品質が低下する弊害が生ずるため、作業を中止せざるを得なかった。このため、梅雨等で、長期において工事が中断すると工期遅れの原因となり、お施主様との間でトラブルが生じた。
【0005】
さらに、夏季の日射の強い日においては、施工中の現場が外壁に囲まれ、さらに屋根が無いため、建築中の現場の室内が直射日光にさらされて高温となり、大工さん達の作業の妨げとなっていた。
【0006】
そのため、現在でも、真夏の日差しの強い日には、大工さんがブルーシートのハトメに紐を結び、足場の単管を利用して日陰を作って作業している姿が見受けられるが、日陰の範囲が狭く、ブルーシートを建築中の建物の上方に固定するのに時間を要するといった問題があった。さらに、ブルーシートが風にあおられて、バタバタと音が発生するため、近隣の家から苦情が寄せられる事もあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
直射日光の強い夏場や雨の日においては、現場に工事用の仮設屋根を設置して直射日光や雨を防げばよいが、しかしながら、従来においては、建物全体を簡単な構造で覆い、しかも、大工さんが一人で簡単に作業現場を覆う仮設屋根を架けたり巻き取ったりする事が可能な構造を有する仮設屋根は無かった。
【0008】
さらに、枠組壁工法住宅においては、床や外壁を施工する、建て方大工さんは、一人で作業を行うことが多いので、作業現場を覆う仮設屋根を架けたり巻き取ったりする作業を一人で簡単に行えるような構造である事が必要条件であった。
【0009】
本発明の課題は、この点に鑑みて、簡単な構造で、しかも一人の労力で、短時間で作業現場全体を覆う仮設屋根を、架けたり巻き取ったりする事が出来る仮設屋根を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、枠組壁工法住宅の足場を組立てる際に、足場左右の中央の単管を高く構成し、その高く構成した足場左右の単管の上端部を互いに支持ロープで結び、さらに、その支持ロープを跨いで複数本のガイドロープを、への字形になるように足場上部の単管に結び付け、複数本のガイドロープの上部の一端に、塩ビパイプにブルーシートを巻きつけた回転式シート巻取装置を載せ、続いてブルーシートの端のハトメに紐を結わえて単管に固定し、塩ビパイプの両端にパイプ回転装置を取付け、パイプ回転装置にはパイプ回転装置用ロープを一巻きして通し、そのパイプ回転装置用ロープを引張る事によりパイプ回転装置に巻き付けられたパイプ回転装置用ロープが塩ビパイプを回転させ、塩ビパイプに巻かれたブルーシートをパイプ回転装置用ロープを引張った方向に広げたり巻き取ったりする事を特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1の記載の装置に加え、パイプ回転用装置は、鋼板を逆さ台形状に加工したベース板に、パイプを挟むための開口部を開け、ベース板の前方の片側にはパイプ回転装置用ロープを引き込むためのローラーとパイプ回転装置用ロープの外れ止めを取付け、同様に、ベース板の後方の反対側にもパイプ回転装置用ロープを引き込むためのローラーとパイプ回転装置用ロープの外れ止めを取付け、さらにベース板のパイプを挟むための開口部には開口部の上部と左右下部に3個のナットを固定し、この固定した3個のナットのベース板を挟んで、左右方向に回転ローラーをボルトで取付け、さらに左右下部の2個のナットと、そのナットとローラーの間に、パイプ回転装置用ロープをガイドするためのガイド板を取付けた事を特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1と2の記載の装置に加え、回転式シート巻取装置の左右に取付けた、パイプ回転装置に巻き付けられたパイプ回転装置用ロープは、手動ウインチと滑車と支持ロープの上部を経由してループ状に構成され、手動ウインチを時計方向に回す場合と、反時計方向に回す場合でパイプ回転装置の進行方向が逆方向になるように構成した事を特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、枠組壁工法住宅の足場を組立てる際に、足場左右の中央の単管を高く構成し、その高く構成した足場左右の単管の上端部を互いに支持ロープで結び、さらに、その支持ロープを跨いで複数本のガイドロープを、への字形になるように足場上部の単管に結び付け、複数本のガイドロープの一端に、塩ビパイプにブルーシートを巻きつけた回転式シート巻取装置を載せ、続いてブルーシートの端のハトメに紐を結わえて単管に固定し、塩ビパイプの両端にパイプ回転装置を取付け、パイプ回転装置にはパイプ回転装置用ロープを一巻きして通し、そのパイプ回転装置用ロープを引張る事によりパイプ回転装置に巻き付けられたパイプ回転装置用ロープが塩ビパイプを回転させ、塩ビパイプに巻かれたブルーシートをパイプ回転装置用ロープを引張った方向に広げたり巻き取ったりする事により、雨の日でも施工中の現場の床が濡れる事が無くなり室内作業が可能になると共に、真夏の日照りが強い日中においてもブルーシートが日陰の役割をはたし、大工さんが快適に作業を進めることが可能となった。さらに、建物の大きさに応じて、長い塩ビパイプや、短い塩ビパイプを使用し、その塩ビパイプの長さに応じた大きさのブルーシートを回転式シート巻取装置に巻き付けて使用する事により、建物の大きさに応じた工事用シート屋根を容易に製作する事が出来るようになると共に、安価なブルーシートを使用し、さらに、塩ビパイプとパイプ回転装置は、再利用する事が可能となり、そのため大幅なコストダウンが可能となった。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、パイプ回転用装置は、鋼板を逆さ台形状に加工したベース板に、パイプを挟むための開口部を開け、ベース板の前方の片側にはパイプ回転装置用ロープを引き込むためのローラーとパイプ回転装置用ロープの外れ止めを取付け、同様に、ベース板の後方の反対側にもパイプ回転装置用ロープを引き込むためのローラーとパイプ回転装置用ロープの外れ止めを取付け、さらにベース板のパイプを挟むための開口部には開口部の上部と左右下部に3個のナットを固定し、この固定した3個のナットのベース板を挟んで、左右方向に回転ローラーをボルトで取付け、さらに左右下部の2個のナットと、そのナットとローラーの間に、パイプ回転装置用ロープをガイドするためのガイド板を取付けた事により、簡単な構造のパイプ回転用装置を用いてパイプ回転装置用ロープを引っ張ることにより、回転式シート巻取装置の塩ビパイプにパイプ回転装置用ロープが絡まることなく塩ビパイプがスムーズに回転し、容易に、塩ビパイプに巻かれたブルーシートをパイプ回転装置用ロープを引張った方向に広げたり巻き取ったりした事が出来るようになった。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、回転式シート巻取装置の左右に取付けた、パイプ回転装置に巻き付けられたパイプ回転装置用ロープは、手動ウインチと滑車と支持ロープの上部を経由してループ状に構成され、手動ウインチを時計方向に回す場合と、反時計方向に回す場合でパイプ回転装置の進行方向が逆方向になるように構成した事により、大工さんが一人で容易に作業現場を覆う工事用シート屋根を架けるたり巻き取ったりする事が可能となり、台風等の強風時においては、容易に工事用シート屋根をたたむ事が可能となった。
【実施例】
【0016】
以下、この発明の実施の形態について説明する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1及至図7には、この発明の実施の形態を示す。
【0018】
図1は、本件の発明に係る、回転式シート巻取装置8を住宅用足場1の上に載せた状態を斜視図で示す。
【0019】
基礎2の周囲には足場用単管28と足場クランプ23を使って住宅用足場1が設置され、足場左右の中央の、支え単管6と支え単管22の2本が上方に高く伸びて取付けられると共に、その高く伸びた支え単管6と支え単管22の上端部を互いに支持ロープ4で結び、さらに、その支持ロープ4を跨いで3本のガイドロープ7、ガイドロープ26、ガイドロープ27が、への字形になるように足場上部の足場用単管28に結び付けるように構成される。
【0020】
このように構成した3本のガイドロープ7、ガイドロープ26、ガイドロープ27の一端に、塩ビパイプにブルーシート9を巻き付けた回転式シート巻取装置8を載せると共に、ブルーシート9の端のハトメにゴムバンド11を結わえ、ゴムバンド11の先端部に取付けたフック12を足場用単管28に引っ掛けてブルーシート9の一端を足場用単管28に固定する。
【0021】
さらに回転式シート巻取装置8の塩ビパイプの両端に、それぞれ、パイプ回転装置10とパイプ回転装置19を取付け、一方のパイプ回転装置10には、パイプ回転装置10が挟み込んだ塩ビパイプにパイプ回転装置用ロープ5が一巻きされ、つづいてパイプ回転装置用ロープ5は支持ロープ4の上部を跨いで、ガイドロープ7の横の足場用単管28に取付けられた滑車3を経由し、続いて、パイプ回転装置用ロープ5は、パイプ回転装置10の下部の足場用単管28に取付けられた滑車14を経由し、さらに、回転式シート巻取装置8の下部の足場用単管28に取付けられた手動ウインチ16にパイプ回転装置用ロープ5を一巻きし、さらに、滑車14の上部の足場用単管28に取付けられた滑車13を経由してパイプ回転装置10に一巻きしたパイプ回転装置用ロープ5とループ状態となり、一本のロープとなるように構成される。なお、手動ウインチ16は、ロープを巻き取るために使用するのではなく、手動ウインチ16のローラー(図示せず)にパイプ回転装置用ロープ5を一巻きして手動ウインチ16のハンドル15を回す事により、パイプ回転装置用ロープ5が引っ張られて綱引きをするように使用する。その為には、手動ウインチ16のローラー(図示せず)に滑りにくいテープ等を巻いてローラー(図示せず)とテープ等が一体になるように密着させ、パイプ回転装置用ロープ5がローラー(図示せず)を回転させた際、滑りにくくする事が必要である。
【0022】
同様に、他方のパイプ回転装置19は、パイプ回転装置19が挟み込んだ塩ビパイプにパイプ回転装置用ロープ24が一巻きされ、つづいてパイプ回転装置用ロープ24は支持ロープ4の上部を跨いで、ガイドロープ26の横の足場用単管28に取付けられた滑車25を経由し、続いて、パイプ回転装置用ロープ24は、パイプ回転装置19の下部の足場用単管28に取付けられた滑車21を経由し、さらに、回転式シート巻取装置8の下部の足場用単管28に取付けられた手動ウインチ18にパイプ回転装置用ロープ24を一巻きして経由させ、さらに、滑車21の上部の足場用単管28に取付けられた滑車20を経由してパイプ回転装置19に一巻きしたパイプ回転装置用ロープ24とループ状態となり、一本のロープとなるように構成される。なお、手動ウインチ18は、ロープを巻き取るために使用するのではなく、手動ウインチ18のローラー(図示せず)にパイプ回転装置用ロープ24を一巻きして手動ウインチ18のハンドル17を回す事により、パイプ回転装置用ロープ24が引っ張られて綱引きをするように使用する。その為には、手動ウインチ18のローラー(図示せず)に滑りにくいテープ等を巻いてローラー(図示せず)とテープ等が一体になるように密着させ、パイプ回転装置用ロープ24がローラー(図示せず)を回転させた際、滑りにくくする事が必要である。なお、手動ウインチ16、手動ウインチ18は、1人の作業員が簡単に操作を行うため、図1に示した様に、2台を横並びにして設置することが望ましい。
【0023】
図2は、図1で説明した手動ウインチ16のハンドル15と手動ウインチ18のハンドル17を同時に回転させて、パイプ回転装置用ロープ5とパイプ回転装置用ロープ24を引っ張り、2台のパイプ回転装置10、パイプ回転装置19に一巻きしたパイプ回転装置用ロープ5、パイプ回転装置用ロープ24を、同時に引っ張る事により回転式シート巻取装置8が足場用単管28に固定された支持ロープ4側に引っ張られてブルーシート9が広がった状態を示す。なお、パイプ回転装置用ロープ5とパイプ回転装置用ロープ24を前記と逆方向に引っ張る(手動ウインチのハンドルを前記とは逆方向に回転させる)事により、回転式シート巻取装置8のブルーシート9が巻き取られ、図1で説明したような状態となる。
【0024】
図3は、パイプ回転装置40(図1で説明した、パイプ回転装置10、パイプ回転装置19と同一装置)の部品分解図を斜視図で示す。パイプ回転装置40のベース板41は、鋼板を逆台形形状に切断して、さらに強度を増すように上部をL形に曲げると共に、その逆台形形状の下部中央には、塩ビパイプを挟み込むための逆U字形の開口部を開け、逆U字形の下端部の下部59、下部64は丸く形成され、逆U字形の開口部の中央上部と左右下部には3個の穴(図示せず)と、その穴に対応して3個のナット60、ナット63、ナット65が同一面状に溶接で固定され、ベース板41の矢印で示したベース板前方向35の先端方向上部側にはガイドローラー38、ガイドローラー39を固定するための固定穴66、固定穴67が上下に段差を設けて開けられる。同様にして、ベース板41の矢印で示したベース板後方向34の上部側にはガイドローラー36、ガイドローラー37を固定するための固定穴61、固定穴62が上下に段差を設けて開けられる。
【0025】
つづいて、パイプ回転装置40のベース板41に取付ける部品について説明する。ベース板41の矢印で示したベース板前方向35の先端方向上部に開けられた固定穴67の右側には、回転自在な円形のローラー42と、ローラー42より外径の大きな丸形状の平座金のガイド円盤43と、そのローラー42とガイド円盤43を固定穴67に取付けるためのシャフト44で構成されたガイドローラー39が、シャフト44を固定穴67に挿入した後、シャフト44をベース板41に溶接して取付ける。この場合、ガイド円盤43の外径の大きさは、パイプ回転装置用ロープ5又はパイプ回転装置用ロープ24がローラー42から外れないように、ローラー42の外径より大きく構成する。
【0026】
さらに、ベース板41の前方の固定穴67より逆U字形の開口部寄りに開けられた固定穴66の右側には、回転自在な円形のローラー45と、L字形の形状をしたロープ外れ止め46と、そのローラー45とロープ外れ止め46を固定穴66に取付けるためのシャフト47で構成されたガイドローラー38が、シャフト47を固定穴66に挿入した後、シャフト47をベース板41に溶接して取付けられる。この場合、ロープ外れ止め46のL字形の形状は、パイプ回転装置用ロープがローラー45から外れないように考慮して高さと曲げ長さを決める事が望ましい。なお、ガイドローラー39に取付けられたローラー42の外径の寸法と、ガイドローラー38に取付けられたローラー45の外径の寸法は、ベース板41にガイドローラー39とガイドローラー38を取付け、ベース板41のL形に曲げた上面と平行になるようにローラー42の下面とローラー45の上面の間にパイプ回転装置用ロープ5又はパイプ回転装置用ロープ24を挿入した場合、ローラー42の下面とローラー45の上面がパイプ回転装置用ロープ5又はパイプ回転装置用ロープ24と接触する外径寸法となるような大きさとする。
【0027】
同様にして、ベース板41の矢印で示したベース板後方向34の後端方向上部に開けられた固定穴61の左側には、回転自在な円形のローラー73と、ローラー73より外径の大きな丸形状の平座金のガイド円盤74と、そのローラー73とガイド円盤74を固定穴61に取付けるためのシャフト72で構成されたガイドローラー36が、シャフト72を固定穴61に挿入した後、シャフト72をベース板41に溶接して取付ける。この場合、ガイド円盤74の外径の大きさは、パイプ回転装置用ロープ5又はパイプ回転装置用ロープ24がローラー73から外れないように、ローラー73の外径より大きく構成する。
【0028】
さらに、ベース板41の矢印で示したベース板後方向34の固定穴61より逆U字形の開口部寄りに開けられた固定穴62の左側には、回転自在な円形のローラー76と、L字形の形状をしたロープ外れ止め77と、そのローラー76とロープ外れ止め77を固定穴62に取付けるためのシャフト75で構成されたガイドローラー37が、シャフト75を固定穴62に挿入した後、シャフト75をベース板41に溶接して取付けられる。この場合、ロープ外れ止め77のL字形の形状は、パイプ回転装置用ロープ5又はパイプ回転装置用ロープ24がローラー76から外れないように考慮して高さと曲げ長さを決める事が望ましい。なお、ガイドローラー36に取付けられたローラー73の外径の寸法と、ガイドローラー37に取付けられたローラー76の外径の寸法は、ベース板41にガイドローラー36とガイドローラー37を取付け、ベース板41のL形に曲げた上面と平行になるようにローラー73の下面とローラー76の上面の間にパイプ回転装置用ロープ5又はパイプ回転装置用ロープ24を挿入した場合、ローラー73の下面とローラー76の上面がパイプ回転装置用ロープ5又はパイプ回転装置用ロープ24と接触する外径寸法となるような大きさとする。
【0029】
さらに、ベース板41のナット63に対して、ベース板前方向35の右側から回転自在な円形の回転ローラー48が長いボルト49を挿入されて固定されると共に、ナット63に挿入され、ベース板41の矢印で示したベース板前方向35の左側に突き出したボルト49に対して、ナット89と回転ローラー88と2個のナット87、ナット86が挿入され、2個のナット87、ナット86により、ベース板41に対して回転ローラー88が回転自在に取付けられる。なお、回転ローラー48と回転ローラー88は同一外径の製品を使用し、回転ローラー48と回転ローラー88の外径寸法は、パイプ回転装置40に嵌め込まれる塩ビパイプ(図6で説明する)の表面と多少の隙間を有する大きさとする。
【0030】
さらに、ベース板41のナット65に対して、ベース板前方向35の右側から回転自在な円形の回転ローラー51が長いボルト50を挿入されて固定されると共に、ナット65に挿入され、ベース板41の矢印で示したベース板前方向35の左側に突き出したボルト50に対して、ナット85と、平板鋼板を横向き凸形状に加工し、ボルト50を挿入するための長穴84と、先端部82はパイプ回転装置用ロープ5又はパイプ回転装置用ロープ24を誘導(ガイド)するために湾曲状に曲げられたガイド板83と、そのガイド板83を固定するためのナット81と、回転ローラー80と2個のナット79、ナット78が挿入され、2個のナット78、ナット79により、ベース板41に対して回転ローラー80がボルト50に対して回転自在に取付けられる。なお、回転ローラー80と回転ローラー51は同一外径の製品を使用し、回転ローラー80と回転ローラー51のローラーの外径寸法は、パイプ回転装置40に嵌め込まれる塩ビパイプ(図6で説明する)の表面と多少の隙間を有する大きさとする。
【0031】
さらに、ベース板41のナット60に対して、ベース板前方向35の右側から、平板鋼板を横向き凸形状に加工し、ボルト52を挿入するための長穴57と、先端部55はパイプ回転装置用ロープ5又はパイプ回転装置用ロープ24を誘導(ガイド)するために湾曲状に曲げられたガイド板56と、ナット54と回転ローラー53が長いボルト52が挿入されて固定されると共に、ナット60に挿入され、ベース板41の矢印で示したベース板前方向35の左側に突き出したボルト52に対して、ナット68と、回転ローラー69と2個のナット70、ナット71が挿入され、2個のナット70、ナット71により、ベース板41に対して回転ローラー69がボルト52に対して回転自在に取付けられる。なお、回転ローラー69と回転ローラー53は同一外径の製品を使用し、回転ローラー69と回転ローラー53のローラーの外径寸法は、パイプ回転装置40に嵌め込まれる塩ビパイプ(図6で説明する)の表面と多少の隙間を有する大きさとする。
【0032】
図4aは、図3で説明したパイプ回転装置40の部品をベース板41に組立てた状態を示す。回転ローラー51と回転ローラー80がベース板41の下部64より外側に出っ張るように構成されると共に、パイプ回転装置40が支持ロープ4を乗り越える際に、ベース板41の下部64が支持ロープ4に引っかからないように斜め形状で丸く形成され、パイプ回転装置40がスムーズに支持ロープ4を乗り越えるように構成されている。同様に、回転ローラー53と回転ローラー69(ベース板41に隠れて図示されていない)がベース板41の下部59より外側に出っ張るように構成されると共に、パイプ回転装置40が支持ロープ4を乗り越える際に、ベース板41の下部59が支持ロープ4に引っかからないように斜め形状で丸く形成され、パイプ回転装置40がスムーズに支持ロープ4を乗り越えるように構成されいてる。さらに、ガイド板56の先端部56とガイド板83の先端部82が、図4bで示すように塩ビパイプ90を挟み込むような位置に固定される。
【0033】
図4bは、図4aで説明したパイプ回転装置40に、塩ビパイプを挟み込んだ状態を示す。
【0034】
図5は、パイプ回転装置40を塩ビパイプ90に装着する方法について説明する。図5aで示すように、最初に塩ビパイプ90の外径より、少し内径の大きな約5cmの固定用塩ビパイプ94を用意し、塩ビパイプ端部93より塩ビパイプ90に挿入すると共に、固定用塩ビパイプ94を塩ビパイプ90に固定ネジ95で固定する際には、図4aで説明したベース板41の左右に取付けられた6個の回転ローラーに接触しないように、固定ネジ95の位置は固定用パイプ94の端の位置に固定する。
【0035】
このように、固定用塩ビパイプ94を塩ビパイプ90に取付けた後、図5bで示すようにパイプ回転装置40を塩ビパイプ端部93から挿入すると共に、つづいて、図5で示すように固定用塩ビパイプ94と同一形状の固定用塩ビパイプ96を塩ビパイプ端部93から挿入し、固定用塩ビパイプ94と固定用塩ビパイプ96の間に、パイプ回転装置40を配置するための約1cmの隙間98を空け、パイプ回転装置40に取付けられた6個の回転ローラーに接触しないように、固定用塩ビパイプ96の穴99に取付ける固定ネジ97の位置は固定用パイプ96の端の位置で固定する。なお、パイプ回転装置40は、図4で説明したボルト52、ボルト50を締め付けているナットを緩め、ガイド板56とガイド板83を回転させ、塩ビパイプ90を下方向から支えているガイド板56とガイド板83との支えを取り除く事により、パイプ回転装置40は塩ビパイプ90との契合が解除され、パイプ回転装置40を上方に持ち上げる事により、パイプ回転装置40を塩ビパイプ90から取外す事が可能となる。なお、ガイド板56とガイド板83に開けられたボルト挿入用の穴を長穴57、長穴84とした理由は、パイプ回転装置40を塩ビパイプ90に嵌め込んだ際の、パイプ回転装置40と塩ビパイプ90とのガタツキを調整するためである。
【0036】
図6は、回転式シート巻取装置8を斜視図で示す。回転式シート巻取装置8は図6aに示すように、塩ビパイプ90の両端に、図5で説明したように、固定用塩ビパイプ100と固定用塩ビパイプ102が、止めネジ101と止めネジ103で固定されると共に、図6bで示すように、固定用塩ビパイプ100と固定用塩ビパイプ102の間の塩ビパイプ90には、一端を塩ビパイプ90に固定したブルーシート9が巻き取られ、そのブルーシート9の、他端の複数のハトメ104にはゴムバンド11が取付けられ、ゴムバンド11の先端にはフック12が取付けられる。このようにしてブルーシート9が巻き取られた塩ビパイプ90の両端には、図6cで示すように、固定用塩ビパイプ100と固定用塩ビパイプ102の外側にパイプ回転装置109とパイプ回転装置105が嵌め込まれ、さらに、その外側には固定用塩ビパイプ108と固定用塩ビパイプ106が止めネジにより取付けられる。
【0037】
図7は、図6で説明した回転式シート巻取装置8のパイプ回転装置102とパイプ回転装置109に、パイプ回転装置用ロープ110(パイプ回転装置用ロープ5とパイプ回転装置用ロープ24と同一ロープ)を一巻きして通した状態を斜視図で示す。図7aは、パイプ回転装置40を一点鎖線の透明形状で表し、パイプ回転装置用ロープ110が、塩ビパイプ90に対して、どのような状態で一巻きされているかを示す。図7bは、図7aで説明したパイプ回転装置40にパイプ回転装置用ロープ110を一巻きした状態を実線で示す。パイプ回転装置用ロープ110は、図3で説明したガイドローラー39のローラー42の下部から挿入され、ガイドローラー38のローラー45の上部を通過した後、ナット63の下を通過し、塩ビパイプ90を巻き込むようにしてガイド板56の湾曲状に成形された先端部55にガイドされ、ベース板41のベース板前方向35の左側から塩ビパイプ90に一巻き巻かれ、ナット85の下を通過してガイドローラー37のローラー76の上部を通過した後、つづいてガイドローラー36のローラー73の下部を通過する。
【0038】
このようにパイプ回転装置40に一巻きされたパイプ回転装置用ロープ110を、引っ張ることにより、塩ビパイプ90が回転してパイプ回転装置用ロープ110を引っ張った方向にパイプ回転装置40を進め、図2で説明したように一端が足場用単管に固定された、回転式シート巻取装置のブルーシート9が住宅用足場1の上のガイドロープに沿って広げられる。なお、パイプ回転装置用ロープ110は、図2で説明したように3箇所の滑車と手動ウインチとパイプ回転装置40の間をループ状態になるように構成すると共に、パイプ回転装置用ロープ110は、たるみの無いように引っ張られた状態で取付けられる。なお、パイプ回転装置40を塩ビパイプの両端に取付け、別々の2本のパイプ回転装置用ロープでパイプ回転装置40を引っ張る理由は、パイプ回転装置40に一巻きされたパイプ回転装置用ロープ110を引っ張った場合、パイプ回転装置用ロープ110が一巻きした塩ビパイプ90との間で空滑りする場合があり、回転式シート巻取装置が傾く事なく進行させるため、塩ビパイプの両端にパイプ回転装置40を取付け、左右のパイプ回転装置40の進み具合に応じて、左右のパイプ回転装置用ロープ110を別々に引っ張り、回転式シート巻取装置のブルーシート9を一様に広げるため構成したものである。
【0039】
以上の実施の形態に基づいて、本発明に係る工事用シート屋根(ロープ巻きタイプ)について詳細に説明してきたが、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において各種の改変をなしても、本発明の技術的範囲に属するのはもちろんである。
【0040】
図1において、ブルーシート9の一端を固定するため、ブルーシート9のハトメにゴムバンド11を結わえ、ゴムバンド11の先端部にフック12を取付け、フック11を足場用単管28に引っ掛けてブルーシート9の一端を固定する、と説明したが、プルーシート9の一端を固定する方法は、これ以外に、ブルーシート9のハトメに紐を結わえて足場用単管に固定する事も、もちろん可能である。
【0041】
図1で説明した、支持ロープ4については、これ以外に塩ビパイプ等を使用して、塩ビパイプの両端を足場用単管に固定する事はもちろん可能である。
【0042】
図3において、ベース板41の形状に関して「鋼板を逆台形状に切断して強度を増すように上部をL形に曲げる」と説明したが、ベース板41の形状については、この形状に拘る事なく、例えばT形のような形状でも当然可能である。
【0043】
図3において、回転ローラーをベース板41の左右に3個づつ配置したと説明したが、回転ローラーの個数に関しては、この個数に拘ることなく増やすことも当然可能である。
【0044】
図6において、回転式シート巻取装置8にブルーシート9を巻付けているが、ブルーシート9と同様に防水効果のあるシートであれば、それを使用する事はもちろん可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】枠組壁工法住宅を建築する為の基礎と足場に、本発明の回転式シート巻取装置を設置した状態を斜視図で示す。
【図2】図1の回転式シート巻取装置を少し作動させて、少しブルーシートを広げた状態を斜視図で示す。
【図3】パイプ回転装置の部品分解図を斜視図で示す。
【図4】パイプ回転装置を斜視図で示す。
【図5】パイプ回転装置を塩ビパイプに装着した状態を斜視図で示す。
【図6】回転式シート巻取装置を斜視図で示す。
【図7】図5の、塩ビパイプに装着したパイプ回転装置にパイプ回転装置用ロープを装着した状態を斜視図で示す。
【符号の説明】
【0046】
1 住宅用足場
2 基礎
3 滑車
4 支持ロープ
5 パイプ回転装置用ロープ
6 支え単管
7 ガイドロープ
8 回転式シート巻取装置
9 ブルーシート
10 パイプ回転装置
11 ゴムバンド
12 フック
13 滑車
14 滑車
15 ハンドル
16 手動ウインチ
17 ハンドル
18 手動ウインチ
19 パイプ回転装置
20 滑車
21 滑車
22 支え単管
23 足場クランプ
24 パイプ回転装置用ロープ
25 滑車
26 ガイドロープ
27 ガイドロープ
28 足場用単管
34 ベース板後方向
35 ベース板前方向
36 ガイドローラー
37 ガイドローラー
38 ガイドローラー
39 ガイドローラー
40 パイプ回転装置
41 ベース板
42 ローラー
43 ガイド円盤
44 シャフト
45 ローラー
46 ロープ外れ止め
47 シャフト
48 回転ローラー
49 ボルト
50 ボルト
51 回転ローラー
52 ボルト
53 回転ローラー
54 ナット
55 先端部
56 ガイド板
57 長穴
58 パイプ受開口部
59 下部
60 ナット
61 固定穴
62 固定穴
63 ナット
64 下部
65 ナット
66 固定穴
67 固定穴
68 ナット
69 回転ローラー
70 ナット
71 ナット
72 シャフト
73 ローラー
74 ガイド円盤
75 シャフト
76 ローラー
77 ロープ外れ止め
78 ナット
79 ナット
80 回転ローラー
81 ナット
82 先端部
83 ガイド板
84 長穴
85 ナット
86 ナット
87 ナット
88 回転ローラー
89 ナット
90 塩ビパイプ
91 テーパー部
92 テーパー部
93 塩ビパイプ端部
94 固定用塩ビパイプ
95 止めネジ
96 固定用塩ビパイプ
97 止めネジ
98 隙間
99 穴
100 固定用塩ビパイプ
101 止めネジ
102 固定用塩ビパイプ
103 止めネジ
104 ハトメ
105 パイプ回転装置
106 固定用塩ビパイプ
107 止めネジ
108 固定用塩ビパイプ
109 パイプ回転装置
110 パイプ回転装置用ロープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠組壁工法住宅の足場を組立てる際に、足場左右の中央の単管を高く構成し、その高く構成した足場左右の単管の上端部を互いに支持ロープで結び、さらに、その支持ロープを跨いで複数本のガイドロープを、への字形になるように足場上部の単管に結び付け、複数本のガイドロープの一端に、塩ビパイプにブルーシートを巻きつけた回転式シート巻取装置を乗せ、続いてブルーシートの端のハトメに紐を結わえて単管に固定し、塩ビパイプの両端にパイプ回転装置を取付け、パイプ回転装置にはパイプ回転装置用ロープを一巻きして通し、そのパイプ回転装置用ロープを引張る事によりパイプ回転装置に巻き付けられたパイプ回転装置用ロープが塩ビパイプを回転させ、塩ビパイプに巻かれたブルーシートをパイプ回転装置用ロープを引張った方向に広げたり巻き取ったりする事を特徴とする工事用シート屋根(ロープ巻きタイプ)。
【請求項2】
パイプ回転用装置は、鋼板を逆さ台形状に加工したベース板に、パイプを挟むための開口部を開け、ベース板の前方の片側にはパイプ回転装置用ロープを引き込むためのローラーとパイプ回転装置用ロープの外れ止めを取付け、同様に、ベース板の後方の反対側にもパイプ回転装置用ロープを引き込むためのローラーとパイプ回転装置用ロープの外れ止めを取付け、さらにベース板のパイプを挟むための開口部には開口部の上部と左右下部に3個のナットを固定し、この固定した3個のナットのベース板を挟んで、左右方向に回転ローラーをボルトで取付け、さらに左右下部の2個のナットと、そのナットとローラーの間に、パイプ回転装置用ロープをガイドするためのガイド板を取付けた事を特徴とする請求項1に記載の工事用シート屋根(ロープ巻きタイプ)。
【請求項3】
回転式シート巻取装置の左右に取付けた、パイプ回転装置に巻き付けられたパイプ回転装置用ロープは、手動ウインチと滑車と支持ロープの上部を経由してループ状に構成され、手動ウインチを時計方向に回す場合と、反時計方向に回す場合でパイプ回転装置の進行方向が逆方向になるように構成した事を特徴とする請求項1と2に記載の工事用シート屋根(ロープ巻きタイプ)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−87613(P2013−87613A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237923(P2011−237923)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(504196492)株式会社 ▲高▼▲橋▼監理 (33)