説明

工事用シート屋根

【課題】 簡単な構造で、しかも一人の労力で短時間で作業現場全体を覆う仮設屋根を上下させる事が出来る仮設屋根を提供する。
【解決手段】 枠組壁工法住宅の足場上部の四隅に滑車を取付け、工事用屋根フレームを施工現場の足場内部で組立て、さらに工事用屋根フレームの上面にブルーシートを被せると共に、工事用屋根フレームの四隅に取付けられた吊上げ用のフックに各々ロープを取付け、その4本のロープを足場上部の四隅の滑車を経由させて1台の手動ウインチに巻き付け、工事用屋根フレームを上下させるように構成した工事用シート屋根を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠組壁工法住宅の建築中の現場を、雨や夏の直射日光から保護するための仮設屋根に関するものである。
【背景技術】
【0002】
枠組壁工法住宅の2階建て住宅を建築する(3階建て住宅も同様)場合においては、最初に基礎を構築し、つづいて1階床を施工してから1階外壁を組立て、つづいて2階床を施工してから2階外壁を組立て、最後に屋根を取付けるので、屋根を取付けられていない施工中の現場で雨が降った場合、1階や2階の床面(構造用合板)に雨水がたまり、梅雨等のように長期に渡って雨が降り続いた場合には、床の構造用合板を固定するために使用した釘の頭部分が錆び、釘の回りに黒いリングのような染みが出来て、お施主様から、床に水が溜まって木が腐り耐久性で問題が生ずるのではないか、といった苦情が多数寄せられていた。
【0003】
なお、このように大量の雨が降って、床面(構造用合板)に水溜まりが出来そうな場合には、上記のような問題が発生した為、雨の降る前にブルーシート等を床(構造用合板)の上に敷き、床や資材が濡れないように対応しているが、その後、ブルーシートに溜まった水を排水させるために作業員が現場に出向いて排水作業を行わなければならないため、多くの時間と労力を必要とし、コストアップの原因となっていた。
【0004】
また、雨の日においては、搬入した資材が濡れてしまい品質が低下する弊害が生ずるため、作業を中止せざるを得なかった。このため、梅雨等で、長期において工事が中断すると工期遅れの原因となり、お施主様との間でトラブルが生じた。
【0005】
さらに、夏季の日射の強い日においては、施工中の現場が外壁に囲まれ、さらに屋根が無いため、建築中の現場の室内が直射日光にさらされて高温となり、大工さん達の作業の妨げとなっていた。
【0006】
そのため、現在でも、真夏の日差しの強い日には、大工さんがブルーシートのハトメに紐を結び、足場の単管を利用して日陰を作って作業している姿が見受けられるが、日陰の範囲が狭く、ブルーシートを建築中の建物の上方に固定するのに時間を要するといった問題があった。さらに、ブルーシートが風にあおられて、バタバタと音が発生するため、近隣の家から苦情が寄せられる事もあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
直射日光の強い夏場や雨の日においては、現場に工事用の仮設屋根を設置して直射日光や雨を防げばよいが、しかしながら、従来においては、建物全体を簡単な構造で覆い、しかも、大工さんが簡単に仮設屋根を上下させるような構造を有する仮設屋根は無かった。
【0008】
さらに、枠組壁工法住宅においては、床や外壁を施工する、建て方大工さんは、一人で作業を行うことが多いので、1階床を施工した後、1階の外壁を組立て、つづいて2階の床を施工した後、2階の外壁を組立てるといった、下層階より上層階に順次作業を進めて行く上で、工事用の仮設屋根を工事階数に応じて上に移動させる作業を一人で簡単に行えるような構造である事が必要条件であった。
【0009】
本発明の課題は、この点に鑑みて、簡単な構造で、しかも一人の労力で短時間で作業現場全体を覆う仮設屋根を上下させる事が出来る仮設屋根を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、枠組壁工法住宅の足場上部の四隅に滑車を取付け、工事用屋根フレームを施工現場の足場内部で組立て、その工事用屋根フレームの四隅に吊上げ用のフックを取付け、さらに工事用屋根フレームの上にブルーシートを被せると共に、このように構成した工事用屋根フレームの四隅に取付けられた吊上げ用のフックに各々ロープを取付け、その4本のロープを足場上部の四隅に取付けた滑車を経由させて1台の手動ウインチに巻き付け、その手動ウインチのハンドルを回すことにより、工事用屋根フレームを上下させるように構成した事を特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、工事用屋根フレームは、両側が山形トラス構造の鋼材で構成されると共に、その山形トラス構造の鋼材を両端各々1本の梁鋼材と中央部1本の梁鋼材で切妻屋根形状に結合させた事を特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、強風時には、ブルーシートが被せられた工事用屋根フレームを降ろして、建築途中の躯体の上に載せ、工事用屋根フレームの四隅のフックに取付けた固定用ロープで工事用屋根フレームを足場に固定した事を特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、工事用屋根フレームの上に被せるブルーシートのハトメに、ゴムバンドと先端にフックを取付け、そのフックを足場の単管に引っ掛けて工事用屋根フレームを固定した事を特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、枠組壁工法住宅の足場上部の四隅に滑車を取付け、工事用屋根フレームを施工現場の足場内部で組立て、その工事用屋根フレームの四隅に吊上げ用のフックを取付け、さらに工事用屋根フレームの上面にブルーシートを被せると共に、このように構成した工事用屋根フレームの四隅に取付けられた吊上げ用のフックに各々ロープを取付け、その4本のロープを足場上部の四隅の滑車を経由させて1台の手動ウインチに巻き付け、その手動ウインチのハンドルを回すことにより、工事用屋根フレームを上下させるように構成した事により、雨の日でも、施工中の現場の床が濡れる事が無くなり室内作業が可能となると共に、建て方大工さんが一人で1階から2階、3階へと床、外壁を連続して施工する場合でも、工事用屋根フレームを一人で容易に上昇させる事が出来るようになり、真夏の日照りが強い日中においてもブルーシートが日陰の役割をはたし、大工さんが快適に作業を進めることが可能となった。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、工事用屋根フレームを、両側が山形トラス構造の鋼材で構成すると共に、その山形トラス構造の鋼材を両端各々1本の梁鋼材と中央部1本の梁鋼材で切妻屋根形状に結合した事により、軽く、構造的にも強い工事用屋根フレームを作る事が可能となり、施工現場への搬入や組立てが容易になったばかりでなく、施工中の現場で、ブルーシートを被せた工事用屋根フレームを上層階に移動させようとする場合においても一人の力で容易に動作させる事が可能となった。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、強風時においては、ブルーシートが被せられた工事用屋根フレームを降ろして、建築途中の躯体の上に被せ、工事用屋根フレームの四隅のフックに取付けた固定用ロープで工事用屋根フレームを足場に固定した事により、台風等の強風時においても、施工中の室内を雨から守る事が出来るようになると共に、強風時においても工事用屋根フレームからブルーシートを取外す手間も必要無くなり、多くの時間と労力の無駄を無くす事が可能となった。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、工事用屋根フレームの上に被せるブルーシートのハトメに、ゴムバンドと先端にフックを取付け、そのフックを足場の単管に引っ掛けてブルーシートを固定する事により、工事用屋根フレームを上層階に移動する場合においても、足場の単管に引っ掛けて固定したブルーシートのフックを足場の単管から取外し、工事用屋根フレームを上層階に移動し、さらに移動した上層階でブルーシートのフックを足場の単管に引っ掛けて工事用屋根フレームを固定する事により、簡単な作業で効率よく工事用屋根フレームを上層階に移動して固定する事が可能となった。
【実施例1】
【0018】
以下、この発明の実施の形態1について説明する。
[発明の実施の形態1]
【0019】
図1及至図6には、この発明の実施の形態1を示す。
【0020】
図1は、枠組壁工法住宅を施工する際の基礎と足場の斜視図である。基礎3の周囲に足場用単管2と足場クランプ8を使って住宅用足場1が設置され、さらに住宅用足場1の上部の四隅には、足場を補強するため、筋かい4、筋かい5、筋かい6、筋かい7が足場クランプ8により取付けられる。
【0021】
図2と図3は、工事用屋根フレーム11と、工事用屋根フレーム11の構成部品図、さらに工事用屋根フレーム11にブルーシート28を被せた状態を斜視図で示す。図2aは工事用屋根フレーム11を組立てた状態を斜視図で示す。図2bは工事用屋根フレーム11にブルーシート28を被せた状態を斜視図で示す。図3bは図2aで示した工事用屋根フレーム11の構成部品を分解した分解図を斜視図で示す。
【0022】
図2aで示したように、工事用屋根フレーム11は、両端が山形トラス構造で構成されると共に、その山形トラス構造の鋼材を両端各々1本の梁鋼材と中央部1本の梁鋼材で切妻屋根形状に結合し、工事用屋根フレーム11の四隅には、工事用屋根フレーム11を持ち上げる際に使用する4本の吊上げフック13、吊上げフック18、吊上げフック20、吊上げフック26が取付けられる。このように構成された工事用屋根フレーム11の部材の詳細を、図3bの分解図で示す。工事用屋根フレーム11の両端に配置する片方の山形トラスは、斜材トラスフレーム37と斜材トラスフレーム40、柱材トラスフレーム46、下部トラスフレーム43、下部トラスフレーム49で構成され、斜材トラスフレーム37には21mm角の角パイプを使い、その両端を潰して平板状とし、結合用の穴36(2箇所)、穴38(2箇所)が開けられる。また、斜材トラスフレーム40にも21mm角の角パイプが使われ、その両端を潰して平板状とし、結合用の穴39(2箇所)、穴41(2箇所)が開けられる。さらに柱材トラスフレーム46にも21mm角の角パイプが使われ、その両端を潰して平板状とし、固定用の穴45、穴47が開けられる。さらに下部トラスフレーム43には14mm角の角パイプが使われ、その両端を潰して平板状とし、結合用の穴42、穴44が開けられる。さらに下部トラスフレーム49には14mm角の角パイプが使われ、その両端を潰して平板状とし、結合用の穴48、穴(図示せず)が開けられる。
【0023】
同様に、もう一方の山形トラスは、斜材トラスフレーム53と斜材トラスフレーム57、柱材トラスフレーム63、下部トラスフレーム60、下部トラスフレーム66で構成され、斜材トラスフレーム53には21mm角の角パイプを使い、その両端を潰して平板状とし、結合用の穴52(2箇所)、穴54(2箇所)が開けられる。また、斜材トラスフレーム57にも21mm角の角パイプが使われ、その両端を潰して平板状とし、結合用の穴56(2箇所)、穴58(2箇所)が開けられる。さらに柱材トラスフレーム63にも21mm角の角パイプが使われ、その両端を潰して平板状とし、結合用の穴62、穴64が開けられる。さらに下部トラスフレーム60には14mm角の角パイプが使われ、その両端を潰して平板状とし、結合用の穴59、穴61が開けられる。さらに下部トラスフレーム66には14mm角の角パイプが使われ、その両端を潰して平板状とし、結合用の穴65、穴67が開けられる。
【0024】
また、両端の山形トラスを結合するためのフレームは、袖梁フレーム50、袖梁フレーム69、中央梁フレーム71で構成され、袖梁フレーム50は50mm×20mmの角形鋼管を使い、その両端を潰して平板状のL型形状とし、結合用の穴51(2箇所)、穴(図示せず2箇所)が開けられる。また、袖梁フレーム69にも50mm×20mmの角形鋼管を使い、その両端を潰して平板状のL型形状とし、結合用の穴68(2箇所)、穴70(2箇所)が開けられる。さらに、中央梁フレーム71にも50mm×20mmの角形鋼管を使い、その両端を潰して平板状とし、結合用の穴55(2箇所)、穴(図示せず2箇所)が開けられる。
【0025】
つづいて、図3bの分解図で説明した各部材が、どのように結合されるか説明する。工事用屋根フレーム結合部72は、図3aで示すように、斜材トラスフレーム53と斜材トラスフレーム57、柱材トラスフレーム63、中央梁フレーム71にそれぞれ開けられた穴54(2箇所)、穴55(2箇所)、穴56(2箇所)、穴62に対してボルト76(2本)が挿入されナット75(2本)により固定される。同様にして、斜材トラスフレーム37と斜材トラスフレーム40、柱材トラスフレーム46、中央梁フレーム71にそれぞれ開けられた穴38(2箇所)、穴39(2箇所)、穴(図示せず2箇所)、穴47にボルトが挿入されナットにより固定される。
【0026】
さらに、工事用屋根フレーム接合部73は、図3cで示すように、柱材トラスフレーム63と下部トラスフレーム60、下部トラスフレーム66に開けられた穴61、穴64、穴65に対してボルト78が挿入されナット77により固定される。同様にして、柱材トラスフレーム46と下部トラスフレーム43、下部トラスフレーム49に開けられた穴45、穴44、穴48に対してボルトが挿入されナットにより固定される。
【0027】
さらに、工事用屋根フレーム結合部74は、図3dで示すように、斜材トラスフレーム53と下部トラスフレーム66、袖梁フレーム50に開けられた穴67、穴51(2箇所)、穴52(2箇所)に対してボルト80(2本)が挿入されナット79により固定される。その他の、図2aで示したように、工事用屋根フレーム11の角部12、角部19、角部27についても、図3dの工事用屋根フレーム結合部74と同様に結合される。
【0028】
なお、このように構成された工事用屋根フレーム11にブルーシート28を被せて工事用シート屋根を作る場合、図2aで示すように、ブルーシート28を強風から保護すると同時に工事用屋根フレーム11にブルーシート28を被せやすくするため、工事用屋根フレーム11の袖梁フレーム50に、2本のロープ9、ロープ10のそれぞれの端を結ぶと共に、その2本のロープは中央梁フレーム71を跨ぐようにして袖梁フレーム69に結び付けられる。さらに、図2bで示すように、工事用屋根フレーム11に被せたブルーシート28の上にも2本のロープ32、ロープ33を架けて、そのロープ先端のゴムバンド34に取付けられたフック35を足場用単管2に引っ掛ける事により、ブルーシート28の下部の2本のロープ9、ロープ10と上部の2本のロープ32、ロープ33がブルーシート28を挟み込むような形となり、強風からブルーシート28を保護すると共に、強風によりブルーシート28が風にあおられて、バタバタと音が発生するといった問題も無くなる。また、図2aで示したように、工事用屋根フレーム11の角部6箇所(角部12、角部16、角部19、角部21、角部23、角部27)が突き出ているため、その部分がブルーシートに穴を開けてしまう事がある。その為、図2aに示したように、工事用屋根フレーム11の角部6箇所に塩化ビニール製の約20〜30cm角の保護シート14、保護シート15、保護シート17、保護シート22、保護シート24、保護シート25を被せて保護シートを工事用屋根フレーム11にガムテープ等で固定し、ブルーシート28を工事用屋根フレーム11の角部から保護するようにする事が必要である。
【0029】
図2bは、工事用屋根フレーム11の上にブルーシート28を被せた状態を示す。ブルーシート28に開けられた複数のハトメ29には、複数のゴムバンド30が取付けられ、そのゴムバンド30の先端にはフック31が取付けられる。
【0030】
図4は、工事用屋根フレーム11の四隅に取付けた吊上げフックにロープを固定し、そのロープを足場上部の四隅に取付けた滑車を経由させて、1台の手動ウインチにロープを巻き付け、その手動ウインチのハンドルを回す事により、工事用屋根フレーム11を上下させる構造を斜視図で分かりやすく示す。
【0031】
工事用屋根フレーム11に取付けた吊上げフック13にロープ91を固定すると共に、そのロープ91を足場上部に取付けた滑車85を経由させ、さらに手動ウインチ100と滑車85との間に設けた滑車90(足場用単管2に取付けたロープ引き回し用の滑車)を経由させて手動ウインチ100に巻き付ける。同様にして、工事用屋根フレーム11に取付けた吊上げフック26にロープ104を固定すると共に、そのロープ104を足場上部に取付けた滑車88を経由させ、さらに手動ウインチ100と滑車88との間に設けた滑車90を経由させて手動ウインチ100に巻き付ける。このように滑車90に対して2本のロープ91、ロープ104を経由させ、2本のロープを手動ウインチ100に巻き付けるようにする。さらに、工事用屋根フレーム11に取付けた吊上げフック18にロープ94を取付けると共に、そのロープ94を足場上部に取付けた滑車86を経由させ、さらに手動ウインチ100と滑車86の間に設けた滑車89を(足場用単管2に取付けたロープ引き回し用の滑車)経由させて手動ウインチ100に巻き付ける。さらに、工事用屋根フレーム11に取付けた吊上げフック20にロープ99を取付けると共に、そのロープ99を足場上部に取付けた滑車87を経由させ、さらに手動ウインチ100と滑車87の間に設けた滑車89を経由させて手動ウインチ100に巻き付ける。このように滑車89に対して2本のロープ94、ロープ99を経由させ、2本のロープを手動ウインチ100に巻き付けるようにする。
【0032】
このように構成された1台の手動ウインチ100のハンドル101を、手で回す事により、ロープ91、ロープ94、ロープ99、ロープ104の4本のロープを同じ長さ巻き取る事が可能となり、工事用屋根フレーム11が傾くことなく水平状態を保ったまま上昇させる事が可能となる。尚、工事用屋根フレーム11を降下させる場合は、手動ウインチ100のハンドル101を空回りしないように手で押え、手動ウインチ100に取付けられているストッパー(図示せず)を解除し、ハンドル101を回す事により工事用屋根フレーム11を自重の重さで降下させる事が出来る。
【0033】
さらに、図4の工事用屋根フレーム11の吊上げフック13、吊上げフック18、吊上げフック20、吊上げフック26には、それぞれに固定ロープ92(2本)、固定ロープ96(2本)、固定ロープ98(2本)、固定ロープ103(2本)が取付けられ、強風等で工事用屋根フレーム11が揺れて足場にぶつかるのを防ぐため、固定ロープ92(2本)、固定ロープ96(2本)、固定ロープ98(2本)、固定ロープ103(2本)を足場用単管2に縛り付け工事用屋根フレーム11の揺れを抑えるようにする。また、台風等の強風の場合には、工事用屋根フレーム11を降ろして建築途中の外壁(図示せず)や施工中の床(図示せず)の上部に乗せて、固定ロープ92(2本)、固定ロープ96(2本)、固定ロープ98(2本)、固定ロープ103(2本)を足場用単管2に取付けて固定し、工事用屋根フレーム11が強風により飛ばされないようにする。
【0034】
図5は、図4で説明した工事用屋根フレーム11を、図1で説明した住宅用足場1に実装した状態を斜視図で示す。
【0035】
工事用屋根フレーム11を住宅用足場1に実装する場合には、図3bで説明した工事用屋根フレーム11の各部材を住宅用足場1の内部で組立てると共に、足場用単管2に取付けられた、筋かい4、筋かい5、筋かい6、筋かい7に対して、それぞれ滑車85、滑車86、滑車87、滑車88を取付け、さらに滑車87と滑車88の下側の足場用単管2に滑車89、滑車90を取付け、滑車89と滑車90の2個の滑車の、概ね中間部分の足場用単管2に、手動ウインチ100がボルトとナットにより固定される。
【0036】
図5で示すように、ロープ91、ロープ104が、それぞれ滑車85、滑車88を経由した後、その2本のロープ91、ロープ104が1個の滑車90を経由し、手動ウインチ100に巻き取る仕組みと、同様に、ロープ94、ロープ99が、滑車86、滑車87を経由した後、その2本のロープ94、ロープ99が1個の滑車89を経由し、手動ウインチ100に巻き取られる仕組みに関しては、図4の説明と同一である。
【0037】
図6は、図5で説明した工事用屋根フレーム11の上にブルーシート28を被せ、手動ウインチ100のハンドル101を回して工事用屋根フレーム11を上昇させた状態を示す。この図6では、ブルーシート28のハトメ29に取りつけられたゴムバンド30とフック31は、足場用単管2に引っ掛けて固定されていないが、工事用屋根フレーム11を定位置(例えば、2階の床を施工する場合は、2階の外壁の上部位置)まで移動した後は、フック31を足場単管2に引っ掛けて工事用屋根フレーム11を固定させる。
【実施例2】
【0038】
以下、この発明の実施の形態2について説明する。
[発明の実施の形態2]
【0039】
図7は、この発明の実施の形態2を示す。上記発明の実施の形態1では、図4において工事用屋根フレーム11を上下させるためのロープを、工事用屋根フレーム11の四隅に取付けた吊上げフック13、吊上げフック18、吊上げフック20、吊上げフック26にそれぞれ一本づつ取付け、その4本のロープを足場上部の四隅の足場用単管2に固定した筋かい4、筋かい5、筋かい6、筋かい7に取付けられた滑車85、滑車86、滑車87、滑車88を経由させて1台の手動ウインチ100に巻き付け、その手動ウインチ100のハンドル101を回す事により工事用屋根フレーム11を上下させていたのに対して、この発明の実施の形態2では、図7で示すように、工事用屋根フレーム11に取付けられている4本の吊上げフックの内の、手動ウインチ116とは反対側の2本の吊上げフック13、吊上げフック18に、それぞれロープ119、ロープ121を固定し、さらに吊上げフック20、吊上げフック26に滑車114、滑車120を取付け、吊上げフック13に固定された1本のロープ119は、足場用単管2の筋かい4に取付けられた滑車110を経由した後、さらに滑車120、滑車113、滑車118(足場用単管2に取付けたロープ引き回し用の滑車)を順番に経由して手動ウインチ116に巻き付けられる。同様にして、吊上げフック18に固定された1本のロープ121は、足場用単管2の筋かい5に取付けられた滑車111を経由した後、さらにロープ121は滑車114、滑車112、滑車115(足場用単管2に取付けたロープ引き回し用の滑車)を順番に経由して手動ウインチ116に巻き付けられる。
【0040】
このように手動ウインチ116に巻き付けられた2本のロープ119、ロープ121は、手動ウインチ116のハンドル117を回す事により、ロープ119、ロープ121を同じ長さ巻き取る事が可能となり、工事用屋根フレーム11を傾くことなく水平状態を保ったまま上昇させる事が可能となる。尚、工事用屋根フレーム11を降下させる場合は、手動ウインチ116のハンドル117を空回りしないように手で押え、手動ウインチ116に取付けられているストッパー(図示せず)を解除する事により、ハンドル117を回して工事用屋根フレーム11を自重の重さで降下させる事が出来る。その他の住宅用足場1の構造や、工事用屋根フレーム11の構造、ブルーシート28の取付け方法は、この発明の実施の形態1と同様である。
【0041】
以上の実施の形態に基づいて、本発明に係る工事用シート屋根について詳細に説明してきたが、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において各種の改変をなしても、本発明の技術的範囲に属するのはもちろんである。
【0042】
図2において、工事用屋根フレームの上に被せる防水用のシートを、ブルーシートと記載したが、ブルーシート以外にも、安くて、防水性のあるシートを使う事は可能である。
【0043】
図4から図7においては、手動ウインチを記載したが、もちろん、電動式の電動ウインチを使用する事も可能である。
【0044】
図3において、工事用フレームは角パイプの鋼材を使用すると説明したが、もちろんアルミ角パイプを使用する事も可能である。
【0045】
図3の説明で、袖梁フレーム、中央梁フレーム、斜材トラスフレーム、柱材トラスフレーム、下部トラスフレームで使用する角パイプの寸法を記したが、これは工事用屋根フレームに被せるブルーシートのサイズが縦横10mの場合の寸法であり、建築する住宅の大きさにより工事用屋根フレームの大きさは異なる為、当然、建築する住宅の大きさにより、工事用屋根フレームに使用するフレームの鋼材のサイズも変化する。
【0046】
図3で説明した工事用屋根フレームを構成する山形トラスに関して、図3では、現場で複数の部材を組立てて山形トラスを製作しているが、それ以外にも、複数のサイズの異なる山形トラスを工場で組立てて工場に保管しておき、建築する住宅の大きさに応じて、使用する大きさの山形トラスを現場に搬入し、現場にて3本の梁フレームを結合させて、工事用屋根フレームを完成させる事も可能である。さらに、山形トラスを工場で2分割して製作し現場に搬入した後、現場で組立てる事も可能である。この場合、山形トラスに使う鋼材は角パイプに限定せず、丸パイプ等を使用して溶接で製作する事も、もちろん可能である。
【0047】
強風時には、ブルーシートが被せられた工事用屋根フレームを降ろして、建築途中の躯体の上に載せ、工事用屋根フレームの四隅のフックに取付けた固定用ロープで工事用屋根フレームを足場に固定する、と記載したが。四隅のフックに取付けられた固定ロープを固定する場所は足場に限定せず、建築中の基礎や建物躯体に金物を取付けて、その金物に固定ロープを固定することも、もちろん可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】住宅を建築する為の、基礎と足場を斜視図で示す。
【図2】工事用の仮設屋根を構成する、工事用屋根フレームと、その工事用屋根フレームにブルーシートを装着した状態を斜視図で示す。
【図3】工事用屋根フレームの分解図を斜視図で示す。
【図4】工事用屋根フレームを住宅用足場の滑車にロープで取付け、ロープと滑車により上下動作を行う為の構造図を斜視図で示す。
【図5】住宅用足場の中に、工事用屋根フレームを設置した状態を斜視図で示す。
【図6】前記、図5の工事用屋根フレームにブルーシートを掛けて、工事用屋根フレームを上に持ち上げた状態を斜視図で示す。
【図7】工事用屋根フレームを住宅用足場の滑車にロープで取付け、ロープと滑車により上下動作を行う為の構造図を斜視図で示す。
【符号の説明】
【0049】
1 住宅用足場
2 足場用単管
3 基礎
4 筋かい
5 筋かい
6 筋かい
7 筋かい
8 足場クランプ
9 ロープ
10 ロープ
11 工事用屋根フレーム
12 角部
13 吊上げフック
14 保護シート(塩ビシート)
15 保護シート(塩ビシート)
16 角部
17 保護シート(塩ビシート)
18 吊上げフック
19 角部
20 吊上げフック
21 角部
22 保護シート(塩ビシート)
23 角部
24 保護シート(塩ビシート)
25 保護シート(塩ビシート)
26 吊上げフック
27 角部
28 ブルーシート
29 ハトメ
30 ゴムバンド
31 フック
32 ロープ
33 ロープ
34 ゴムバンド
35 フック
36 穴
37 斜材トラスフレーム
38 穴
39 穴
40 斜材トラスフレーム
41 穴
42 穴
43 下部トラスフレーム
44 穴
45 穴
46 柱材トラスフレーム
47 穴
48 穴
49 下部トラスフレーム
50 袖梁フレーム
51 穴
52 穴
53 斜材トラスフレーム
54 穴
55 穴
56 穴
57 斜材トラスフレーム
58 穴
59 穴
60 下部トラスフレーム
61 穴
62 穴
63 柱材トラスフレーム
64 穴
65 穴
66 下部トラスフレーム
67 穴
68 穴
69 袖梁フレーム
70 穴
71 中央梁フレーム
72 工事用屋根フレーム結合部
73 工事用屋根フレーム結合部
74 工事用屋根フレーム結合部
75 ナット
76 ボルト
77 ナット
78 ボルト
79 ナット
80 ボルト
85 滑車
86 滑車
87 滑車
88 滑車
89 滑車
90 滑車
91 ロープ
92 固定用ロープ
94 ロープ
96 固定用ロープ
98 固定用ロープ
99 ロープ
100 手動ウインチ
101 ハンドル
103 固定用ロープ
104 ロープ
110 滑車
111 滑車
112 滑車
113 滑車
114 滑車
115 滑車
116 手動ウインチ
117 ハンドル
118 滑車
119 ロープ
120 滑車
121 ロープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠組壁工法住宅の足場上部の四隅に滑車を取付け、工事用屋根フレームを施工現場の足場内部で組立て、その工事用屋根フレームの四隅に吊上げ用のフックを取付け、さらに工事用屋根フレームの上にブルーシートを被せると共に、このように構成した工事用屋根フレームの四隅に取付けられた吊上げ用のフックに各々ロープを取付け、その4本のロープを足場上部の四隅に取付けた滑車を経由させて1台の手動ウインチに巻き付け、その手動ウインチのハンドルを回すことにより、工事用屋根フレームを上下させるように構成した事を特徴とする工事用シート屋根。
【請求項2】
工事用屋根フレームは、両側が山形トラス構造の鋼材で構成されると共に、その山形トラス構造の鋼材を両端各々1本の梁鋼材と中央部1本の梁鋼材で切妻屋根形状に結合させた事を特徴とする請求項1に記載の工事用シート屋根。
【請求項3】
強風時には、ブルーシートが被せられた工事用屋根フレームを降ろして、建築途中の躯体の上に載せ、工事用屋根フレームの四隅のフックに取付けた固定用ロープで工事用屋根フレームを足場に固定した事を特徴とする請求項1に記載の工事用シート屋根。
【請求項4】
工事用屋根フレームの上に被せるブルーシートのハトメに、ゴムバンドと先端にフックを取付け、そのフックを足場の単管に引っ掛けて工事用屋根フレームを固定した事を特徴とする請求項1に記載の工事用シート屋根。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−36306(P2013−36306A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179939(P2011−179939)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(504196492)株式会社 ▲高▼▲橋▼監理 (33)