説明

工具で操作する溝式ラッチ

構造体において第1の部材を第2の部材に対して解除可能にラッチ固定または保持するためのラッチ機構。このラッチ機構は、ボルト組立体と、取付けブラケットと、ロッキングトリガーとを含む。ラッチ機構はまた、ボルト組立体をラッチ固定状態またはロック状態に保持するために回転可能なロッキングカムも含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本特許出願は、35U.S.C.119(e)に基づき、2008年1月31日に出願された米国仮出願第61/025294号の優先権を主張する。当該関連仮出願の記載内容は、米国特許商標庁に最初から提出されたものとして全ての情報を含めて本明細書の記載として援用する。
【0002】
本発明の記載は、構造体において第1の部材を第2の部材に対して解除可能にラッチ固定または保持するラッチ機構に関する。このラッチ機構は、ボルト組立体、取付けブラケットおよびロッキングトリガーを含む。このラッチ機構はまた、ボルト組立体をラッチ固定状態またはロック状態に保持する回転可能なロッキングカムも含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国仮出願第61/025294号明細書
【発明の概要】
【0004】
本発明の開示内容は、添付図面を参照して以下に記載される。それらの添付図面は限定する意図のない例としてのみ与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】構造体に取付けたラッチ組立体を構造体の上方から見た斜視図である。
【図2】ラッチを閉じた位置および開いた位置で示す側立面図である。
【図3】頂平面図である。
【図4】分解斜視図である。
【図5】図3の線5−5に沿う横断面図である。
【図6】ブラケットに対して回転されるボルトを下方から見て示すラッチ組立体の斜視図である。
【図7】ラッチング機構の伸長したフィンガー部分および湾曲した全体的に角度を付されたロッキングカム溝を示しているラッチ組立体から取外されたカムの拡大立面図である。
【図8】ロッキングカムのロック位置またはロック解除位置を示す図7の線8−8に沿う横断面図である。
【図9】構造体に取付けた図1に示すラッチ組立体を、構造体の下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書の記載例は、開示範囲をどのようにも限定しないものとして構成された実施例を示している。この開示の付随的な特徴は、この開示の実施に現在のところ最良と考えられる形態を例示した図示実施例の以下の詳細な説明を考慮することで、当業者には明白となるであろう。
【0007】
この開示はさまざまな形態の実施例で行うことができ、実施例が図面に示され、本明細書で詳細に説明されるが、この説明は開示内容の原理を例示するものと捉えるべきで、開示内容のすべてが以下の説明に記載されるか図示される構造体および構成要素の配置の詳細とする、すなわち限定することは、意図するところでない。
【実施例1】
【0008】
図1および図9に示すように、航空機の構造に使用されるような構造体において第1の部材24を第2の部材28に対してラッチ固定するように構成されたラッチ機構20が開示されている。このラッチ機構20は、それ自体(ラッチ20)を第1の部材24に取付ける一対のブラケット32,34を含む。ブラケット32,34の間を伸長されて固定されたピン44およびブッシュ48に対し、ボルト組立体40が枢動可能に担持される。図2に示されるように、また図1および図9を参照すれば、ブラケット32,34で組立体が固定されている第1の部材24を第2の部材28から係合解除できるようにするために、この組立体はピン44の回りを枢動することができる。
【0009】
図1〜図9を参照すれば、トリガー50とブッシュ58とを通して伸長するピン54により、トリガー50はボルト40に担持される。第2のピン60がトリガー50を通して伸長して、トリガー50に組み合わされてボルト40に作用する偏倚ばね64を保持する。付加ピン66,68はブラケット32,34の間に係合されて伸長する。ピン66はトリガー50のフック端部70が係合できるように位置決めされる。ピン68は偏倚ばね74を通して伸長し、このばね74は、ピン68を取付けているブラケット32,34の下方へ伸長する部分76,78に保持される。偏倚ばね74はボルト40に当接し、ボルト40を上方すなわち開かれた位置へ向けて押圧する。
【0010】
図面を参照すれば、大体円筒形のロッキングカム80がボルト40に担持され、ボルト40の穴84を通して伸長される。カム80は、ブッシュ58と、カム80の本体に形成された対応する溝すなわちノッチ130との干渉係合によって、穴84内に保持される。戻しばね94はカム80の上部98の周りに位置決めされ、第1の端部がカム80の上部98に取付けられる。第2の端部はボルト40に取付けられて軸線方向の回転戻りを与える。
【0011】
カム80の上部98は、穴84および対応するトリガー50の開口100から伸長する。このことが、トリガー50の表面と大体同一面であるカムの駆動開口102に工具でアクセスできるようにする。工具でカムヘッドの駆動開口102に係合することで、カム80を回転させることができ、これによりカムの伸長するフィンガー104をピン66に対してロッキングまたはロッキング解除させることができる。ボルト40に一体のカム80および対応するピン66を含むこのロッキング構造79は、駆動開口102に工具を係合させない限り、ラッチ20が開閉されることを防止する。このことは、従来技術の設計に比べて、悪戯や人的な誤操作(ラッチをロック解除状態にしたままにする)に対するラッチング機構の防御性を一層高める。
【0012】
使用において、組み立てられたラッチ機構20は第1の部材24上に保持される。これは、ボルト40の伸長部分110と、そこに取付けられた調整可能なねじ付きストップ部分112との、第2の部材28に対するラッチング作用を与える。換言すれば、図1、図5および図9を参照して閉じたラッチ状態では、ラッチの主要部分114は第1の部材24に取付けられ、伸長部分110および調整可能な本体112は第2の部材28の対応する下面に係合する。ブラケット32,34の伸長部分122はブラケット32,34を第1の部材24に取付けるための取付け箇所を形成する。図1、図5および図9は、トリガー50がボルトの伸長リップ124に係合する閉じられたロック固定状態を示す。トリガーの突出部分128はリップ124の下側に係合されている。たとえトリガーが作動されたとしても、カム80が工具により「ロック解除」状態に回転されていなければ、ラッチは開かれない。カム80がロック解除状態へ回転されたとき、フック70をピン66から係合解除するようにトリガーが作動されていなければ、ラッチは開かない。カム80の駆動開口102のある端部は開口100および対応するボルトの開口22を通して伸長する。
【0013】
図6に示されるように、ボルト40はブラケット32,34に相対的にピン44の周りに回転されている。この図面で見られるように、伸長または突出したフィンガー104は「ロッキング」位置で示されている。このロッキング位置は、フィンガー104をピン66へ向ける。留意すべきは、カム80はピン66からボルトをロック解除するために90゜回転されていることだ。また、図6にはリップ124のエッジの下側にトリガー50の突出部分128の係合した状態が示されている。
【0014】
図7を参照すれば、ラッチ機構20の伸長するフィンガー部分104と、ロッキングカム30の湾曲した全体的に角度の付いた溝130が拡大両面図で示されている。この図面は、ロッキングカム80の突出または伸長するフィンガー104を示す。また、角度を付いた溝130も示されている。角度を付いた溝130はロック部分134とロック解除部分136とを含む。図4を参照すれば、軸受58は溝130に係合する。カム80の大体90゜の回転により、軸受58は、ロック部分34をボルト40の長手方向軸線に大体平行に伸長するフィンガー104に係合させるか、または、フィンガーが大体90゜回転されてボルト40の長手方向軸線に大体直角とされた状態においてロック解除部分136に沿って伸長することになる。この湾曲したエッジはピン66の下側にフィンガーを容易に係合させる働きがある。同様に、フィンガー104の内側の屈曲は湾曲エッジを備えることになる。
【0015】
ラッチ機構20は、航空機におけるドアやハッチのように2つの本体24,28を固定するのに役立つ。ラッチ機構20は、カム80の駆動開口102に係合させるような工具を必要とする。カム80は、ブラケット34,32の部分78,76を通して伸長するピン44で担持されたブッシュ48にフィンガー104を係合させる方法のロッキング構造を与える。言葉で言えば「ロッキング解除状態」150および「ロッキング状態」152という表示がラッチ面に備えられ、ラッチが「ロッキング状態」(152)または「ロッキング解除状態」(150)の何れにあるかを示すために指標154を含む。指標154は示された状態152,150と整合している。この表示および積極的に向きを与えられロッキング構造104,48は、そうでなければ機体のラッチが固定されて飛行準備がなされているものと地上作業員に誤った認識を与えかねない「フォールスポジティブ」指示を防止する。比較的連続的なボルト40は組立状態において十分な強度を有し、最小限の機構部材でラッチ機構20に関連する重量を最小限に抑える。
【0016】
使用において、ラッチ20を解除するために、工具をカム80の駆動開口102に挿入して1/4回転させることが不可欠である。その後、トリガー50が押圧されてフック70をピン66から係合解除させねばならない。このような操作が、ボルト40をロック状態から解放または係合解除する。一旦ロック解除されたならば、ボルト40はピンまたは枢動点44の周りに図6に示す位置へ枢動される(図2に示す回転を参照)。この回転が、調整可能なストップ112をドアフレームまたは第2の部材28から係合解除する。留意すべきは、カム80はばね94によるばね力を負荷されていることである。ばね94の一端は穴84に係合し、ばねの他端はカム80の上部98と係合する。
【0017】
説明したようにラッチ機構に取付けられたコイルばね94は、そのカムを「ロック」状態となるようにばね付勢するように構造されている。ロック状態にカムをばね付勢することは、振動に耐えてラッチをロック状態に保持し、また、ラッチが開かれたときですらボルト40の長手方向軸線に大体平行となるようにカム80がフィンガー104を回転させるように助成する。このことが安全性を与えており、カム80のフィンガー104はピン66に向かうときの妨害となり、また、ラッチの開かれている状態を表示する。したがって、地上作業員は工具を使用してカム80を適切な方向へ向けてフィンガー104をピン66の下側に係合させ、カムを「ロッキング状態」152に戻さねばならない。さらに、ボルト40は、少なくともカム80の箇所において、カム80がピン66に向買うときの妨害となるときに鮮明な色が表示されるような色合いを与えてフラグとすることができる。この色合いは、地上作業員にラッチ20を完全に閉じなければならないことを付加的に表示する。また、ラッチ解除状態では、トリガー50のフック70はピン66の上に乗り、係合解除またはロック解除状態であることをさらに表示する。
【0018】
この開示は例示実施例について説明したが、本願はあらゆる変形例、使用方法、またはその一般的な原理に基づく適用例を包含することを意図している。当業者には、以下の特許請求の範囲に示す開示の精神および範囲から逸脱することなくさまざまな変形例や等価装置を考案できるものと考えられる。さらに、本願は、関連する技術範囲内での公知または通例の実施で得られる本開示に基づくそれらの発展形を包含することを意図している。
【符号の説明】
【0019】
20 ラッチ機構
22 開口
24 第1の部材
28 第2の部材
30 ロッキングカム
32,34 ブラケット
40 ボルト組立体
44 ピン
48 ブッシュ
50 トリガー
54 ピン
58 ブッシュ
60 第2のピン
64 偏倚ばね
66,68 ピン
70 フック端部
74 偏倚ばね
76,78 部分
80 カム
84 穴
94 戻しばね
100 開口
102 駆動開口
104 フィンガー
110 伸長部分
112 ストップ部分
114 主要部分
122 伸長部分
124 伸長リップ
128 突出部分
130 溝すなわちノッチ
134 ロック部分
136 ロック解除部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造体において第1の部材を第2の部材に対して解除可能にラッチ固定または保持するためのラッチ機構であって、
取付けブラケットと、
取付けブラケットに作動可能に担持されたボルト組立体と、
ボルト組立体に作動可能に担持されたロッキングトリガーと、
ラッチ固定状態にボルト組立体を保持するためにボルト組立体に担持された回転可能なロッキングカムとを含むラッチ機構。
【請求項2】
構造体において第1の部材を第2の部材に対して解除可能にラッチ固定または保持するためのラッチ機構の作動方法であって、
第1の構造体に取付けるための取付けブラケットをラッチ機構に備え、
取付けブラケットに作動可能に担持されるボルト組立体を備え、
ボルト組立体に作動可能に担持されるロッキングトリガーを備え、
ラッチ固定状態にボルト組立体を保持するためにボルト組立体に担持される回転可能なロッキングカムを備え、
閉じた状態となるようにボルト組立体を回転し、
ロック解除状態となるようにカムを回転し、
ボルト組立体のピンにカムを係合させ、
ロック状態と成るようにカムを回転させる諸段階を含む方法。
【請求項3】
航空機構造における第1の部材を航空機構造における第2の部材に対して解除可能にラッチ固定または保持するラッチ機構であって、
ラッチ機構を第1の部材に取付ける取付けブラケットと、
取付けブラケットに回転可能に担持されたボルト組立体と、
第2の部材に対して選択的に係合できるボルト組立体の先端と、
ボルト組立体に作動可能に担持されたロッキングトリガーと、
ボルト組立体をラッチ固定状態に保持して第1の部材を第2の部材に対して閉じるために、ボルト組立体に担持された回転可能なロッキングカムとを含む、航空機構造に組付けられたラッチ機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−510865(P2011−510865A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545257(P2010−545257)
【出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/032884
【国際公開番号】WO2009/100030
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(500458402)ハートウエル コーポレイション (2)