工具容器
【課題】二つ割り構造を有効に活用した一体的構成でもって棒状工具を簡単に収容するように工夫を凝らしてなる工具容器を提供する。
【解決手段】工具容器は、二つ割り構成からなる前側ケーシング部材20及び後側ケーシング部材30を、筒体10に対し前後方向に傾動可能に、当該筒体10と合成樹脂材料により一体的に形成することで構成されている。
【解決手段】工具容器は、二つ割り構成からなる前側ケーシング部材20及び後側ケーシング部材30を、筒体10に対し前後方向に傾動可能に、当該筒体10と合成樹脂材料により一体的に形成することで構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドリルやエンドミル等の棒状工具を収容するに適した工具容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の工具容器においては、下記特許文献1に記載の工具ケースが提案されている。この工具ケースは、断面正方形状の下ケースと、この下ケースにその開口端部から嵌装される断面正方形状の上ケースとを備えている。
【0003】
しかして、棒状工具を上記工具容器に収容するにあたっては、棒状工具を下ケース内に挿入した後、下ケースの開口端部から露出する棒状工具の露出部位を包囲するようにして下ケースにその開口端部から上ケースを嵌装することとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−284267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記工具容器においては、下ケース及び上ケースが共に断面正方形状にて筒状に形成されている。このため、上述のように棒状工具を収容するにあたり、上ケースを下ケースに嵌装するには、上ケースの開口端部を下ケースの開口端部に同軸的に対向させなければならない。
【0006】
しかしながら、上ケース及び下ケースの各開口端部の開口形状は、相互に嵌め合わせ形状となっていることから、上述のような嵌装作業は面倒であるという不具合がある。
【0007】
そこで、本発明は、以上のようなことに対処するため、二つ割り構造を有効に活用した一体的構成でもって棒状工具を簡単に収容するように工夫を凝らしてなる工具容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題の解決にあたり、本発明に係る工具容器は、請求項1の記載によれば、
筒体(10)と、この筒体の周壁(11)の両対向壁部(11a、11b)からその各厚さ方向に傾動可能に延出されて互いに対向して棒状工具(D)を収容するケーシング(S)を筒体と共に構成し得るようにコ字状に形成してなる両ケーシング部材(20、30)とを備えて、
当該両ケーシング部材を、筒体と共に、合成樹脂材料でもって一体的に形成してなるものである。
【0009】
このように筒体及び両側ケーシング部材は、合成樹脂材料でもって、一体的に形成されている。従って、工具容器が、二つ割り構成からなる両側ケーシング部材を有効に活用して、単一の部品からなる工具容器として、まとまりよく構成され得る。
【0010】
ここで、両ケーシング部材は、棒状工具を収容するケーシングを筒体と共に構成し得るようにコ字状に形成されているから、両ケーシング部材を互いに離れる方向に傾動してケーシングを開いた状態にて、棒状工具をその把持部にて筒体内に挿入して、両ケーシング部材を互いに係合するように傾動させてケーシングを閉じることで、棒状工具は、ケーシング内に良好に収容され得る。
【0011】
なお、両ケーシング部材をその係合状態に適宜なファスナーによりロックするようにしておけば、ケーシングが開くこともない。
【0012】
また、本発明は、請求項2の記載によれば、請求項1に記載の工具容器において、
両ケーシング部材の各基端部(21、31)の少なくとも一方の基端部(21)から他方の基端部(31)に向けて棒状工具の把持部を保持すべく突出するように両ケーシング部材の上記少なくとも一方の基端部に上記合成樹脂材料により一体的に形成してなる保持部材(30e、30f、30k)を備えることを特徴とする。
【0013】
これによれば、保持部材が、両ケーシング部材の少なくとも一方の基端部に上記合成樹脂材料により一体的に形成されているから、当該保持部材が工具容器に付加されても、当該工具容器は、単一の部品からなる工具容器であることに変わりはない。
【0014】
ここで、棒状工具がその把持部にて保持部材により保持されるので、棒状工具が工具容器内に収容された状態において移動することもない。これにより、請求項1に記載の発明の作用効果をより一層向上し得る。
【0015】
また、本発明は、請求項3の記載によれば、請求項1または2に記載の工具容器において、
両ケーシング部材がその係合によりケーシングを構成するように互いに閉じたとき、当該両ケーシング部材をその係合状態にて解除可能にロックするように両ケーシング部材の少なくとも一方のケーシング部材に上記合成樹脂材料により一体的に形成してなるファスナー部材を備えることを特徴とする。
【0016】
これによれば、ファスナー部材が、両ケーシング部材の少なくとも一方のケーシング部材に上記合成樹脂材料により一体的に形成されているから、当該ファスナー部材が工具容器に付加されても、当該工具容器は、単一の部品からなる工具容器であることに変わりはない。
【0017】
ここで、ファスナー部材が、両ケーシング部材の係合状態を解除可能にロックして維持するので、棒状工具を工具容器内に良好に収容維持し得る。従って、請求項1或いは2に記載の発明の作用効果がより一層確実に達成され得る。
【0018】
また、本発明は、請求項4の記載によれば、請求項3に記載の工具容器において、
ファスナー部材は、
両ケーシング部材の一方のケーシング部材の先端部と上記合成樹脂材料により一体的に形成してなる被係合部(20e、20f)と、
両ケーシング部材をその係合状態にて解除可能にロックすべく上記被係合部に係合するように他方のケーシング部材の先端部に上記合成樹脂材料により一体的に形成してなる係合部(30g、30h)とを具備してなることを特徴とする。
【0019】
これによれば、両ケーシングが互いに係合した状態にて、ファスナー部材により、係合部を被係合部に係合させることでロックすれば、請求項3の記載の発明の作用効果がより一層確実に達成され得る。
【0020】
また、本発明は、請求項5の記載によれば、請求項4に記載の工具容器において、
上記被係合部は、一方のケーシング部材の先端部からその厚さ方向には撓み可能となるようにその延出方向に一体的に延出されており、
上記係合部は、上記被係合部に形成される貫通孔部(28a)内にその弾力に抗して係合可能なように形成されて他方のケーシング部材の先端部から延出されていることを特徴とする。
【0021】
これによれば、係合部を被係合部の貫通孔部内にその弾力に抗して係合させることで、ファスナーとしてのロック機能を良好に確保し得る。その結果、請求項4に記載の発明の作用効果がより一層向上され得る。
【0022】
また、本発明は、請求項6の記載によれば、請求項2〜5のいずれか1つに記載の工具容器において、
筒体は、横断面四角形状周壁を上記周壁として有してなり、
両ケーシング部材の一方のケーシング部材(20)は、
筒体の上記横断面四角形状周壁の両対向壁部の一方の対向壁部からその厚さ方向に傾動可能にかつ長手状に延出する一側傾動壁(20a)と、
この一側傾動壁の幅方向両側部から上記横断面四角形状周壁の上記対向壁部の他方の対向壁部側へL字状に屈曲して延出する一側両側壁(20b、20c、20g、20h)と、
上記一側傾動壁の延出端部側から上記横断面四角形状周壁の上記他方の対向壁部側へ延出するように上記一側傾動壁の延出端部側にその幅方向に形成されて上記一側傾動壁を底壁として上記一側両側壁と共にコ字状空所を構成する一側先端側壁(20d)とを備えており、
他方のケーシング部材(30)は、
筒体の上記横断面四角形状周壁の上記他方の対向壁部からその厚さ方向に傾動可能にかつ長手状に延出する他側傾動壁(30a)と、
この他側傾動壁の幅方向両側部側から上記一側両側壁側へL字状に屈曲して延出する他側両側壁(30b、30c、30i、30j)と、
上記他側傾動壁の延出端部側から上記一側先端側壁に対向可能に延出するように上記他側傾動壁の延出端部側にその幅方向に形成されて上記他側傾動壁を底壁として上記コ字状空所と共にケーシングを構成するようにコ字状空所を形成する他側先端側壁(30d)とを備えることを特徴とする。
【0023】
このように、一側ケーシング部材を一側傾動壁、一側両側壁及び一側先端側壁でもって上述のように構成し、かつ、他側ケーシング部材を他側傾動壁、他側両側壁及び他側先端側壁でもって上述のように構成することで、請求項2〜5のいずれか1つに記載の発明の作用効果をより一層具体的に達成することができる。
【0024】
また、本発明は、請求項7の記載によれば、請求項6に記載の工具容器において、
一方のケーシング部材(20)の上記一側両側壁のうちの一方の側壁(20b)は、
上記一側傾動壁の上記幅方向両側部の一方の幅方向側部からL字状に屈曲して延出する一側外壁部(22)と、
この一側外壁部にその内面に沿いその幅方向には上記一側傾動壁の上記一方の幅方向側部からL字状に屈曲して延出するとともに上記一側外壁部にその内面に沿いその長手方向には上記一側先端側壁の両幅方向端部の一方の幅方向端部から上記一側外壁部よりも所定長さだけ短い長さにて延出する一側内壁部(23)とを具備しており、
一方のケーシング部材の上記両側壁の他方の側壁(20c)は、
上記一側傾動壁の上記幅方向両側部の他方の幅方向側部からL字状に屈曲して延出する他側外壁部(24)と、
この他側外壁部にその内面に沿い上記一側傾動壁の上記他方の幅方向側部からL字状に屈曲して延出するとともに上記他側外壁部にその内面に沿いその長手方向には上記一側先端側壁の両幅方向端部の他方の幅方向端部から上記他側外壁部よりも所定長さだけ短い長さにて延出する他側内壁部(25)とを具備しており、
他方のケーシング部材の上記他側両側壁のうちの一方の側壁(30b)は、一側主壁部として、一方のケーシング部材の上記一側内壁部に対向可能に上記他側傾動壁の一側部から上記一側内壁部と同一の長さにて延出してなり、
他方のケーシング部材の上記他側両側壁のうちの他方の側壁(30c)は、他側主壁部として、一方のケーシング部材の上記他側内壁部に対向可能に上記他側傾動壁の他側部から上記他側内壁部と同一の長さにて延出してなり、
保持部材は、
上記他側傾動壁の上記基端部から上記一側傾動壁の上記基端部に向けて上記一側主壁部とその長手方向に並んで延出する一側副壁部(30e)と、
上記他側傾動壁の上記基端部から上記一側傾動壁の上記基端部に向けて上記他側主壁部とその長手方向に並んで延出されて上記一側副壁部とともに棒状工具の把持部を挟持する他側副壁部(30f)とを有しており、
上記ケーシングを閉じたとき、一方のケーシング部材が、上記一側及び他側の外壁部にて、その内側に上記一側及び他側の主壁部、上記他側先端側壁並びに上記一側及び他側の副壁部を位置させるように、他方のケーシング部材の上記他側傾動壁の上記幅方向両側部に係合するとともに、上記一側及び他側の内壁部並びに上記一側先端側壁にて、他方のケーシング部材の上記一側及び他側の主壁部並びに上記他側先端側壁に係合するように、上記一側及び他側の外壁部の間隔、上記他側両側壁の間隔、上記一側先端壁、上記一側及び他側の内壁部の上記一側傾動壁からの延出幅、並びに上記一側及び他側の主壁部の間隔及び上記他側傾動壁からの延出幅が設定されていることを特徴とする。
【0025】
これによれば、一側ケーシング部材の両一側内壁部及び一側先端側壁が、他側ケーシング部材の他側両側壁及び他側先端側壁に係合するとともに、一側ケーシング部材の両一側外壁部が、他側ケーシング部材の他側両側壁の各外面に沿い他側傾動壁に係合することで、両側ケーシング部材が、棒状工具の収容にあたり、二重構造壁を構成することとなる。しかも、保持部材が、上述のごとく、一側副壁部及び他側副壁部でもって構成されている。 その結果、棒状工具を移動不能に保持しかつ工具容器の強度を高めつつ、請求項6に記載の発明の作用効果を向上することができる。
【0026】
また、本発明は、請求項8の記載によれば、請求項6に記載の工具容器において、
一方のケーシング部材の上記一側両側壁のうちの一方の側壁(20b)は、
上記一側傾動壁の上記幅方向両側部の一方の幅方向側部からL字状に屈曲して延出する一側外壁部(22)と、
この一側外壁部にその内面に沿いその幅方向には上記一側傾動壁の上記一方の幅方向側部からL字状に屈曲して延出するとともに上記一側外壁部にその内面に沿いその長手方向に延出する一側内壁部(23a)とを具備しており、
一方のケーシング部材の上記両側壁の他方の側壁(20c)は、
上記一側傾動壁の上記幅方向両側部の他方の幅方向側部からL字状に屈曲して延出する他側外壁部(24)と、
この他側外壁部にその内面に沿いその幅方向には上記一側傾動壁の上記他方の幅方向側部からL字状に屈曲して延出するとともに上記他側外壁部にその内面に沿いその長手方向に上記一側先端側壁の両幅方向端部の他方の幅方向端部から延出する他側内壁部(25a)とを具備しており、
保持部材は、他方のケーシング部材の上記他側両側壁の間にて上記他側傾動壁の上記基端部上に一体的に形成されて、棒状工具の把持部を保持可能なように上記他側両側壁の各延出方向に開口する横断面凹状湾曲状内面部を有しており、
上記ケーシングを閉じたとき、一方のケーシング部材が、上記一側及び他側の外壁部にて、他方のケーシング部材の上記他側傾動壁の幅方向両側部に係合するとともに他方のケーシング部材が、上記他側両側壁及び上記他側先端壁にて、一方のケーシング部材の上記一側及び他側の外壁部の間に位置して上記一側及び他側の内壁部並びに上記一側先端側壁に係合するように、上記一側及び他側の外壁部の間隔、上記他側両側壁の間隔が設定されているとともに、上記一側及び他側の外壁部の各々の上記一側傾動壁の幅方向延出幅が、上記一側先端壁、上記一側及び他側の内壁部の各々の上記一側傾動壁からの延出幅と上記他側両側壁の各々の上記他側傾動壁からの延出幅との和となるように設定されていることを特徴とする。
【0027】
これによれば、一側ケーシング部材の両一側内壁部及び一側先端側壁が、他側ケーシング部材の他側両側壁及び他側先端側壁に係合するとともに、一側ケーシング部材の両一側外壁部が、他側ケーシング部材の他側両側壁の各外面に沿い他側傾動壁に係合することで、両側ケーシング部材が、棒状工具の収容にあたり、二重構造壁を構成することとなる。しかも、保持部材が、上述のごとく、棒状工具の把持部を保持可能なように上記他側両側壁の各延出方向に開口する横断面凹状湾曲状内面部を有している。
【0028】
その結果、保持部材によりその横断面凹状湾曲状内面部内にその弾力に抗して棒状工具を移動不能に保持しかつ工具容器の強度を高めつつ、請求項6に記載の発明の作用効果を向上することができる。
【0029】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る工具容器の第1実施形態を閉状態にて示す斜視図である。
【図2】図1の工具容器を、前後両側ケーシング部材を前後方向に傾動させた状態にて示す斜視図である。
【図3】図2の工具容器を、前後両側ケーシング部材を前後方向に傾動させた状態にて示す平面図である。
【図4】図3に示す工具容器を後側ケーシング部材の延出方向からみた端面図である。
【図5】図3の工具容器の背面図である。
【図6】図5の工具容器を後側ケーシング部材の延出方向からみた端面図である。
【図7】図5にて7−7線に沿う断面図である。
【図8】図3にて8−8線に沿う断面図である。
【図9】図3にて9−9線に沿う断面図である。
【図10】図2の工具容器を、筒体に棒状工具を挿入した状態にて示す斜視図である。
【図11】図10の工具容器を、後側ケーシング部材を筒体上に起立させた状態にて示す斜視図である。
【図12】本発明に係る工具容器の第2実施形態を閉状態にて示す斜視図である。
【図13】図12にてファスナーのロック解除状態にて工具容器の閉状態を示す斜視図である。
【図14】図13の工具容器を、前後両側ケーシング部材を前後方向に傾動させた状態にて示す斜視図である。
【図15】図13の工具容器を、前後両側ケーシング部材を前後方向に傾動させた状態にて示す斜視図である。
【図16】図15の工具容器の平面図である。
【図17】図15の工具容器の背面図である。
【図18】図16にて18−18線に沿う断面図である。
【図19】図16の工具容器を前側ケーシング部材の延出方向からみた端面図である。
【図20】図16の工具容器を後側ケーシング部材の延出方向からみた端面図である。
【図21】本発明に係る工具容器の第3実施形態を開状態にて示す斜視図である。
【図22】本発明に係る工具容器の第3実施形態を開状態にて示す斜視図である。
【図23】図21の工具容器の平面図である。
【図24】図23にて24−24線に沿う断面図である。
【図25】図21の工具容器を、棒状工具の筒体内への挿入状態にて、前側ケーシング部材及び後側ケーシング部材を互いに逆方向に傾動させた状態にて示す斜視図である。
【図26】本発明に係る工具容器の第4実施形態の要部を示す背面図である。
【図27】図26にて27−27線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の各実施形態を図面により説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明に係る工具容器の第1実施形態を示している。当該工具容器は、長手状のもので、この工具容器は、ドリルやエンドミル等の棒状工具を収容するために用いられる。なお、図1において、図示左斜め後方及び図示右斜め前方が、それぞれ、当該工具容器の前方及び後方に対応し、図示右斜め後方及び図示左斜め前方が、それぞれ、当該工具容器の左方及び右方に対応し、また、図示上方及び下方が、それぞれ、当該工具容器の上方及び下方に対応する。
【0032】
当該工具容器は、図1或いは図2にて示すごとく、直方体形状の筒体10及び前後両側ケーシング部材20、30でもって、一体的に構成されている。ここで、筒体10及び両側ケーシング部材20、30は、合成樹脂射出成形機(図示しない)による射出成形によって、例えば、白色透明のポリプロピレン(PP)を用いて、当該工具容器を構成するように一体的に形成されている。
【0033】
筒体10は、図3にて示すごとく、横断面正方形状の筒状周壁11を有しており、当該筒状周壁11は、前後左右の各側の対向壁部11a〜11dでもって、その軸方向に長手筒状に形成されている。この筒状周壁11は、その下端開口部にて、底壁12により閉塞されており、当該筒状周壁11は、その上端開口部(筒体10の開口部に相当)にて上方に開口している。
【0034】
また、当該筒体10は、前後左右各側の突出壁13を有しており、当該前後左右各側の突出壁13は、それぞれ、図3にて示すごとく、筒状周壁11の内部にて突出形成されている。
【0035】
ここで、当該前側後左右各側の突出壁13のうち、前後両側の突出壁13は、筒体10の筒状周壁11の前後左右各側の対向壁部11a〜11dのうち前後両側の対向壁部11a、11bの各内面幅方向中央部から互いに対向するように筒状周壁11の中央に向け突出形成されている。
【0036】
また、前側後左右各側の突出壁13のうち、左右両側の突出壁13は、筒状周壁11の左右両側の対向壁部11c、11dの各内面幅方向中央部から互いに対向するように筒状周壁11の中央に向け突出形成されている。
【0037】
このことは、前後両側及び左右両側の突出壁13が、筒状周壁11内にて、当該筒状周壁11の中心を基準として十字状に形成されていることを意味する。本第1実施形態では、各突出壁13の突出幅は、ともに、同一に設定されており、前後両側の突出壁13の対向間隔及び左右両側の突出壁13の対向間隔は、それぞれ、棒状工具の把持部の外径とほぼ等しい。なお、前後両側の突出壁13の対向間隔及び左右両側の突出壁13の対向間隔は、棒状工具の把持部の外径に合わせて適宜変更してもよい。これは、棒状工具の把持部を、その外径に応じて、前後左右の突出壁13によりその各対向部の間にて軸方向へ移動しにくい程度に保持するためである。
【0038】
前後両側ケーシング部材20、30は、その各対向開口部にて互いに係合して、ケーシングを構成するもので、前側ケーシング部材20は、図1〜図5のいずれかにて示すごとく、前側傾動壁20aと、左壁20b及び右壁20cと、先端側壁20dとを備えている。
【0039】
前側傾動壁20aは、細幅長手平板状に形成されており、この前側傾動壁20aは、図2、図3、図5及び図7のいずれかにて示すごとく、その基端部21にて、筒状周壁11の前側対向壁部11aの上端部と一体的に形成されて、当該基端部21から前後方向に傾動可能に延出している。このことは、前側傾動壁20aが、筒状周壁11の前側対向壁部11aに対し前後方向へ傾動可能となるように、当該前側対向壁部11aと一体的に形成されていることを意味する。
【0040】
ここで、当該前側傾動壁20aの基端部21と筒状周壁11の前側対向壁部11aの上端部との間の部位は、基端部21と前側対向壁部11aの上端部との境界部位をその内面側から外面近傍まで切り込むことで、薄く形成されて、前側傾動壁20aの筒状周壁11に対する前後方向への傾動を円滑にする前側ヒンジ部としての役割を果たす。但し、当該前側傾動壁20aの前後方向への傾動のうち後方への傾動は、上述の切り込みを前提に、前側傾動壁20aを筒状周壁11の前側対向壁部11aの上端部の直上に起立させる位置を限界とする。
【0041】
左壁20b及び右壁20cは、それぞれ、前側傾動壁20aの左右両側部からその内面方向へL字状に屈曲して一体的に延出されている。先端側壁20dは、前側傾動壁20aのうちその延出端部よりも内側部位にその幅方向に沿い一体的に形成されて、当該内側部位から前側傾動壁20aの内面方向へL字状に屈曲して延出されている。これにより、当該先端側壁20dは、後述する両内壁部23、25と一体となって、これら両内壁部23、25と共にコ字状となるように構成されている。なお、前側傾動壁20aの内面方向は、左壁20b、右壁20c及び先端側壁20dの各幅方向に相当する。また、先端側壁20dは、後述する内壁部23の延出幅に一致するように延出している。
【0042】
左壁20bは、図3或いは図4にて示すごとく、外壁部22及び内壁部23を有している。なお、本第1実施形態では、以下、外壁部22及び内壁部23は、それぞれ、左外壁部22及び左内壁部23ともいう。
【0043】
左外壁部22及び左内壁部23は、上述のごとく、左壁20bに相当することから、これら左外壁部22及び左内壁部23は、左壁20bと同様に前側傾動壁20aの左側部から当該前側傾動壁20aに直交してその内面方向へ一体的に延出されている。
【0044】
ここで、前側傾動壁20aの左側部は、左外縁部と、この左外縁部にその右側から沿う左内縁部とでもって構成されていることから、左外壁部22は、その幅方向(高さ方向)には、前側傾動壁20aの上記左外縁部からその内面方向へL字状に屈曲して一体的に延出されている。
【0045】
また、当該左外壁部22は、その長手方向には、前側傾動壁20aの筒状周壁11の前側対向壁部11aの上端部側から当該前側傾動壁20aの延出方向に沿い延出されている。換言すれば、当該左外壁部22は、その長手方向には、前側傾動壁20aのその長手方向基端部から長手方向延出端部にかけて延出されている。なお、左外壁部22の延出幅(左壁20bの幅方向(高さ方向)に沿う幅)は、左壁20bの延出幅と同一である。
【0046】
また、左内壁部23は、その幅方向(高さ方向)には、左外壁部22にその内側(右側)から沿うように前側傾動壁20aの上記左内縁部から当該前側傾動壁20aに直交してその内面方向へ一体的に延出されている。また、当該左内壁部23は、その長手方向には、左外壁部22にその内側から沿うように、先端側壁20dの左縁部から前側傾動壁20aの基端部21に向けて(当該前側傾動壁20aや左外壁部22とは逆の方向に向けて)、第1所定長さだけ、延出している(図3参照)。
【0047】
ここで、上記第1所定長さは、先端側壁20dと前側傾動壁20aの長手方向基端部21よりもその延出側の所定部位(以下、前側傾動壁所定部位ともいう)との間の長さに相当する。また、左内壁部23の延出幅(左外壁部22の幅方向(高さ方向)に沿う幅)は、左外壁部22の延出幅(延出高さ)の半分となっている。
【0048】
右壁20cは、図2、図3、図4及び図7のいずれかにて示すごとく、外壁部24及び内壁部25を有している。なお、本第1実施形態では、以下、外壁部24及び内壁部25は、右外壁部24及び右内壁部25ともいう。
【0049】
右外壁部24及び右内壁部25は、上述のごとく、右壁20cに相当することから、これら右外壁部24及び右内壁部25は、右壁20cと同様に前側傾動壁20aの右側部から当該前側傾動壁20aに直交してその内面方向へ一体的に延出されている。従って、右外壁部24及び右内壁部25は、それぞれ、左外壁部22及び左内壁部23に平行に対向している。
【0050】
ここで、前側傾動壁20aの右側部は、右外縁部と、この右外縁部にその左側から沿う右内縁部でもって構成されていることから、右外壁部24は、その幅方向(高さ方向)には、前側傾動壁20aの上記右外縁部から当該前側傾動壁20aに直交してその内面方向へ一体的に延出されている。また、当該右外壁部24は、その長手方向には、筒状周壁11の前側対向壁部11aの上端部側から前側傾動壁20aの延出方向に沿い延出されている。なお、右外壁部24の延出幅は、右壁20cの延出幅及び左外壁部22の延出幅と同一である。
【0051】
また、右内壁部25は、その幅方向(高さ方向)には、右外壁部24にその内側(左側)から沿うように前側傾動壁20aの上記右内縁部から当該前側傾動壁20aに直交してその内面方向へ一体的に延出されており、当該右内壁部25は、その長手方向には、右外壁部24にその左側から沿うように、先端側壁20dの右縁部から前側傾動壁20aの基端部21側に向けて(左内壁部23の延出方向と同一方向に向けて)、上記第1所定長さだけ、延出している(図3参照)。ここで、右内壁部25の延出幅は、左内壁部23の延出幅と同一である。
【0052】
また、当該前側ケーシング20は、図2或いは図3にて示すごとく、後述する係合部30gと共にファスナーを構成する被係合部20eを有しており、この被係合部20eは、前側ケーシング部材20の前側傾動壁20aの延出先端部及び先端側壁20dに形成されている。
【0053】
当該被係合部20eは、U字状ブロック部26と、操作部27とを備えており、U字状ブロック部26は、前側傾動壁20aの先端側壁20dからの長手方向延出端部及び先端側壁20dのうち左内壁部23及び右内壁部25の間に対する対応部の双方に一体的に形成されている。これにより、当該ブロック部26は、左外壁部22及び右外壁部24の間にて、先端側壁20dからの前側傾動壁20aの長手方向延出端部から前側傾動壁20aの内面側に向けて突出するとともに先端側壁20dから前側傾動壁20aの延出方向に突出するように形成されている。
【0054】
ここで、当該ブロック部26は、その前側傾動壁20aの内面側への突出端面から前側傾動壁20aの上記長手方向延出端部に向けて、前側傾動壁20aの長手方向において断面U字状となるように形成されている。これにより、当該ブロック部26は、その開口部26aにて、先端側壁20dの延出方向(高さ方向)に開口して、当該開口部26a内に後述する係合部30gの爪部33を係合させ得るようになっている。
【0055】
U字状ブロック部26は、隆起部26b(図7参照)を有しており、この隆起部26bは、U字状ブロック部26aの開口部26aのうち前側傾動壁20aの延出方向側の部位から前側傾動壁20aの延出方向とは逆方向に隆起するように形成されている。なお、ブロック部26の底部に貫通状に形成してなる孔部26cは、射出成形上必要とされる孔部である(図7参照)。
【0056】
操作部27は、連結部27aと、この連結部27aの両端部から前側傾動壁20aの延出先端部に向けL字状に屈曲して延出する両腕部27bとでもって、コ字状に構成されており、当該操作部27は、その連結部27a及び両腕部27bにて、ブロック部26から前側傾動壁20aの延出方向に突出するように一体的に形成されている。
【0057】
但し、連結部27aは、U字状ブロック部26の開口部26aのうち前側傾動壁20aの延出方向側の部位から前側傾動壁20aの延出方向に突出するように形成されている。両腕部27bは、連結部27aから前側傾動壁20aの長手方向延出先端部側へ延出するように、U字状ブロック部26の左右両縁部から前側傾動壁20aの延出方向に突出形成されており、当該両腕部27bは、連結部27a側から前側傾動壁20aの長手方向延出先端部側にかけて、先端側壁20dに近づくように傾斜状に形成されている。
【0058】
また、操作部27は、滑り止め部27cを有しており、この滑り止め部27cは、連結部27aからその左右方向に延在するように前側傾動壁20aの長手方向延出先端部とは反対側へ半円柱状に隆起形成されている。
【0059】
後側ケーシング部材30は、図1〜図3及び図5〜図7のいずれかにて示すごとく、後側傾動壁30aと、後述する副左壁部30e及び副右壁部30fと共に左壁及び右壁を構成する主左壁部30b及び主右壁部30cと、先端側壁30dとを備えている。
【0060】
後側傾動壁30aは、細幅長手平板状に形成されており、当該後側傾動壁30aは、前側ケーシング部材20の前側傾動壁20aに対向し得るように、その基端部31にて、筒状周壁11の後側対向壁部11bの上端部と一体的に形成されて、当該基端部31から前後方向に傾動可能に延出している。このことは、後側傾動壁30aが、筒状周壁11の後側対向壁部11bに対し前後方向へ傾動可能となるように、当該後側対向壁部11bと一体的に形成されていることを意味する。なお、後側傾動壁30aの延出長さは、前側傾動壁20aの延出長さと同一である。
【0061】
ここで、当該後側傾動壁30aの基端部31と筒状周壁11の後側対向壁部11bの上端部との間の部位は、基端部31と後側対向壁部11bの上端部との境界部位をその内面側から外面近傍まで切り込むことで、薄く形成されて、当該後側傾動壁30aの前後方向への傾動を円滑にする後側ヒンジ部としての役割を果たす。但し、当該後側傾動壁30aの前後方向への傾動のうち前方への傾動は、上述の切り込みを前提に、後側傾動壁30aを筒状周壁11の後側対向壁部11bの上端部の直上に起立させる位置を限界とする。
【0062】
主左壁部30bは、その幅方向(高さ方向)には、前側ケーシング部材20の左内壁部23に対向し得るように、後側傾動壁30aの左内縁部から当該後側傾動壁30aに直交してその内面方向へ一体的に延出されており、当該主左壁部30bは、その長手方向には、後側傾動壁30aの上記左内縁部に沿い当該後側傾動壁30aの長手方向延出先端部から基端部31に向けて延出している。但し、当該主左壁部30bは、その先端側壁30d(後述する)に対する対応部位から後側傾動壁30aの基端部31に向けて、第2所定長さだけ、延出している。
【0063】
ここで、上記第2所定長さは、先端側壁30dと筒状周壁11の後側対向壁部11bの上端部よりも後側傾動壁30aのうちその基端部31よりも延出側の所定部位(以下、後側傾動壁所定部位ともいう)との間の長さに相当する。また、後側傾動壁30aの左側部は、前側傾動壁20aの左外縁部及び左内縁部にそれぞれ対応する左外縁部及び左内縁部でもって構成されている。
【0064】
従って、上述した後側傾動壁30aの左内縁部は、後側傾動壁30aの左側部のうちの左内縁部に相当する。これに伴い、後側傾動壁30aの左外縁部は、主左壁部30bよりも左側へ延出している。また、当該後側傾動壁30aの左外縁部(以下、左外縁部Pともいう)は、その後側傾動壁30aの長手方向延出端側部位に対する対応部位から左側に所定幅だけさらに延出する部位にて、爪引っ掛け部P1として形成されている(図3参照)。なお、本第1実施形態において、上記後側傾動壁所定部位は、上記前側傾動壁所定部位に対応する。
【0065】
また、主右壁部30cは、その幅方向(高さ方向)には、前側ケーシング部材20の右内壁部25に対向し得るように、後側傾動壁30aの右内縁部から当該後側傾動壁30aに直交してその内面方向へ一体的に延出されており、当該主右壁部30cは、その長手方向には、後側傾動壁30aの右内縁部に沿い当該後側傾動壁30aの長手方向延出先端部から基端部31に向けて(後側傾動壁30aの延出方向とは逆の方向に向けて)延出している。但し、当該主右壁部30cは、その先端側壁30dに対する対応部位から後側傾動壁30aの基端部31に向けて、上記第2所定長さだけ、延出している。なお、上記後側傾動壁所定部位は、上述のごとく、上記前側傾動壁所定部位に対応するから、上記第2所定長さは上記第1所定長さと同一である。
【0066】
ここで、後側傾動壁30aの右側部は、前側傾動壁20aの右外縁部及び右内縁部にそれぞれ対応する右外縁部及び右内縁部でもって構成されている。従って、上述した後側傾動壁30aの右内縁部は、後側傾動壁30aの右側部のうちの右内縁部に相当する。これに伴い、後側傾動壁30aの右外縁部は、主右壁部30cよりも右側へ延出している。また、当該後側傾動壁30aの右外縁部(以下、右外縁部Qともいう)は、その後側傾動壁30aの延出端側部位に対する対応部位から右側に所定幅だけさらに延出する部位にて、爪引っ掛け部Q1として形成されている(図3参照)。
【0067】
なお、主左壁部30b及び主右壁部30cの各延出幅(各延出高さ)は、それぞれ、前側ケーシング部材20の左外壁部22及び右外壁部24の半分、換言すれば、左内壁部23及び右内壁部25の各延出幅(各延出高さ)と同一である。
【0068】
また、先端側壁30dは、前側ケーシング部材20の先端側壁20dに対向し得るように、後側傾動壁30aのうちその延出先端部よりも内側部位から当該後側傾動壁30aに直交してその内面方向へ一体的に延出されている。なお、先端側壁30dの延出幅(延出高さ)は、主左壁部30b及び主右壁部30cの各延出幅(各延出高さ)と同一である。
【0069】
さらに、当該後側ケーシング部材30は、図2或いは図3にて示すごとく、棒状工具Dの把持部をその上側部位にて保持する保持部材としての役割を果たす副左壁部30e及び副右壁部30fを備えている。副左壁部30eは、主左壁部30bと筒体10の筒状周壁11の左側対向壁部11cとの間に位置するように、後側傾動壁30aの基端部31の左側部からその内面方向へ延出されており、一方、副右壁部30fは、主右壁部30cと筒状周壁11の右側対向壁部11dとの間に位置するように、後側傾動壁30aの基端部31の右側部からその内面方向へ延出されている。
【0070】
詳細には、副左壁部30eは、後側傾動壁30aの基端部31において当該後側傾動壁30aの左側部のうち左内縁部及びその右側近傍部位の双方に対応する部位からその内面方向へ延出されている。一方、副右壁部30fは、後側傾動壁30aの基端部31において当該後側傾動壁30aの右側部のうち右内縁部及びその左側近傍部位の双方に対応する部位からその内面方向へ延出されている。
【0071】
ここで、副左壁部30e及び副右壁部30fは、それぞれ、その長手方向には、筒状周壁11の前側対向壁部11aの左右両端部から主左壁部30b及び主右壁部30cの各延出端部に向けて延出している。また、副左壁部30e及び副右壁部30fは、それぞれ、その幅方向には、前側ケーシング部材20の左外壁部22及び右外壁部24の各延出幅よりも幾分狭い幅にて延出している。
【0072】
従って、副左壁部30eは、主左壁部30b及びこの主左壁部30bに対向する左内壁部23とともに、左外壁部22にその内側(右側)から沿って位置し、当該左外壁部22と相まって二重壁構造を構成する。一方、副右壁部30fは、主右壁部30c及びこの主右壁部30cに対向する右内壁部25とともに、右外壁部24にその内側(左側)から沿って位置し、当該右外壁部24と相まって二重壁構造を構成する。
【0073】
また、副左壁部30e及び副右壁部30fの各延出形状は、図9にて示すごとく、縦断面楔状となっている。換言すれば、副左壁部30e及び副右壁部30fは、それぞれ、その延出基端部から延出先端部にかけて末すぼまり状に形成されている。従って、これら副左壁部30e及び副右壁部30fの各対向面の間隔は、当該副左壁部30e或いは副右壁部30fの延出基端部から延出先端部にかけて緩やかに広くなるように形成されている。
【0074】
これは、棒状工具の副左壁部30e及び副右壁部30fの間への挿入が、副左壁部30e及び副右壁部30fの弾力に抗して容易になされるようにするためである。従って、副左壁部30e及び副右壁部30fの各延出先端部間の間隔は、棒状工具の外径(例えば、最大外径)よりも幾分小さくなっている。
【0075】
これに伴い、副左壁部30e及び副右壁部30fの各延出基端部間の間隔は、上述の各延出先端部間の間隔よりも狭くなるが、この間隔は、副左壁部30e及び副右壁部30fの弾力に抗して棒状工具を副左壁部30e及び副右壁部30fの間に容易に挿入し得る程度である。なお、図9において、各符号32a、32bは、副左壁部30e及び副右壁部30fに形成してなる射出成形に必要な盗み部を示す。
【0076】
また、副左壁部30eは、その右側面幅方向中間部位(右側面高さ方向中間部位)にて、左側へ向けて緩やかな凹状断面となるように、幅方向(高さ方向)に沿い左挟持部33a(図9参照)として形成されている。一方、副右壁部30fは、その左側面幅方向中間部位(左側面高さ方向中間部位)にて、右側へ向けて緩やかな凹状断面となるように、幅方向(高さ方向)に沿い右挟持部33b(図9参照)として形成されている。これにより、左挟持部33a及び右挟持部33bは、その弾力により、その間に、棒状工具の把持部をその上側部位にて挟持する役割を果たす。
【0077】
以上のように構成のもと、前側ケーシング部材20の左内壁部23、右内壁部25及び先端側壁20dは、前側傾動壁20aを底壁としてコ字状空所を形成し、一方、後側ケーシング部材30の主左壁部30b及び副左壁部30eは、主右壁部30c及び副右壁部30f並びに先端側壁30dとともに、後側傾動壁30aを底壁としてコ字状空所を形成する。このことは、前側ケーシング部材20及び後側ケーシング部材30が、筒体10と共に、棒状工具を収容するためのケーシングS(図1参照)を構成することを意味する。
【0078】
また、後側ケーシング部材30は、図3、図5或いは図7にて示すごとく、前側ケーシング部材20の被係合部20eと係合するための係合部30gを備えている。この係合部30gは、ピン状爪部33を有しており、当該爪部33は、その軸方向両端部にて、先端側壁30dの延出端部から後側傾動壁30aの延出方向へ所定間隔をおいて、先端側壁30dの延出端部に平行となるように、主左壁部30b及び主右壁部30cの各延出端部上に一体的に形成されている。これにより、係合部30gは、爪部33にて、被係合部20eの開口部26a内に係合可能となっている。
【0079】
なお、逃がし孔部34が、図3にて示すごとく、当該爪部33と先端側壁30dの延出端部との間に形成されている。爪部33を被係合部20eの開口部26a内に係合させるにあたり、この逃がし孔部34は、その内部に当該開口部26aのうち先端側壁20d側部位を進入させて、爪部33の開口部26a内への係合を円滑にする役割を果たす。
【0080】
以上のように構成した本第1実施形態において、当該工具容器を構成する筒体10及び前後両側ケーシング部材20、30は、上述のごとく、共に、合成樹脂射出成形機による射出成形でもって、一体的に形成されている。従って、当該工具容器が、二つ割り構成からなる前後両側ケーシング部材20、30を有効に活用して、まとまりよくコンパクトに構成され得る。
【0081】
また、上述のように構成した当該工具容器が、例えば、図1にて示す状態にあるものとする。このとき、後側ケーシング部材30の先端側壁30d、主左壁部30b及び主右壁部30cが、それぞれ、前側ケーシング部材20の先端側壁20d、左内壁部23及び右内壁部25に係合するとともに、後側ケーシング部材30の副左壁部30e及び副右壁部30fが、左内壁部23及び右内壁部25と筒体10の周壁11の左側対向壁部11c及び右側対向壁部11dとの間にて前側ケーシング部材20の前側傾動壁20aの基端部21に狭隙を介して対向する。
【0082】
これにより、前側ケーシング部材20及び後側ケーシング部材30が、筒体10と共に、上述のごとく、ケーシングSを閉じている。なお、現段階では、棒状工具Dが当該工具容器内には収容されていないものとする。
【0083】
このとき、前側ケーシング部材20の先端側壁20d、左内壁部23及び右内壁部25が、その各延出端部にて構成するコ字状開口部にて、後側ケーシング部材30において先端側壁30d、主左壁部30b及び主右壁部30cの各延出端部にて構成されるコ字状開口部を閉じている。また、前側ケーシング部材30の左外壁部22が、後側ケーシング部材30の主左壁部30bにその外面(左側面)から摺接しながら後側ケーシング部材30の後側傾動壁30aの左壁部Pに一様に係合するとともに、前側ケーシング部材30の右外壁部23が、後側ケーシング部材30の主右壁部30cにその外面(右側面)から摺接しながら後側ケーシング部材30の後側傾動壁30aの右壁部Qに一様に係合している。なお、副左壁部30e及び副右壁部30fは、左外壁部22と右外壁部24との間に位置している。
【0084】
このことは、前側ケーシング部材20が、左右両壁20b、20cでもって、後側ケーシング部材30の主左壁部30b、主右壁部30c、副左壁部30e及び副右壁部30fとともに、上述した二重壁構造を構成していることを意味する。
【0085】
また、このような状態においては、後側ケーシング部材30の係合部30gは、前側ケーシング部材20の被係合部20eとの間にて次のように係合している。
【0086】
即ち、係合部30gの爪部33が、被係合部20eの開口部26a内に隆起部26bを介しその弾力に抗して係合されている。これにより、係合部30gは、被係合部20e内にしっかりと係合している。このことは、係合部30g及び被係合部20eが当ファスナとして前側ケーシング部材20と後側ケーシング部材30との間の係合状態を維持すべくロックする役割を果たすことを意味する。
【0087】
このような状態で準備されている当該工具容器内への棒状工具Dの収容は次のようになされる。まず、当該工具容器において、その後側ケーシング部材30及び前側ケーシング部材20がその長手方向にて互いに逆方向に向いた状態で上下に水平状に位置するように、筒体10を、例えば、右手で把持する。
【0088】
このような状態において、左手の人差し指を前側ケーシング部材20の前側傾動壁20aの延出側部位にその下方から当てるとともに、左手の親指を被係合部20eの操作部27の連結部27aに滑り止め部27cを介し上方から当てる。
【0089】
このように左手の人差し指を前側傾動壁20aの延出側部位にその下方から当てるとともに左手の親指を操作部27の連結部27aに滑り止め部27cを介し上方から当てた状態にて、左手の親指によりその下方の人差し指側に向けて操作部27の連結部27aを押さえ込む。このとき、この連結部27aが滑り止め部27cを介して押さえ込まれるため、左手の親指が連結部27aから滑って外れることなく当該連結部27aを確実に押さえ込むことができる。
【0090】
このような押さえ込みに伴い、操作部27がその弾力に抗して前側傾動壁20aの延出先端部を基準に撓み、ブロック部26が、その開口部26aをその弾力に抗して前側傾動壁20aの延出方向側へ開くように撓む。これにあわせて、右手の親指及び人差し指でもって後側ケーシング部材30をその延出端部側にて挟んで前側ケーシング部材20から離す方向に引っ張る。
【0091】
このとき、右手の親指及び人差し指の各爪を後側傾動壁30aの両爪引っ掛け部P1、Q1に引っ掛けるようにすることで、後側ケーシング部材30を前側ケーシング部材20から離す方向に確実に引っ張ることができる。
【0092】
以上のように、ブロック部26の開口部26aを開くのにあわせて、後側ケーシング部材30を前側ケーシング部材20から離す方向に引っ張ることで、係合部30gの爪部33をブロック部26の開口部26aから脱出させることができる。これにより、係合部30gの被係合部30eとの係合を解離することができる。このことは、係合部30g及び被係合部20eが、前側ケーシング部材20と後側ケーシング部材30との間の係合を解離すべく、ファスナーとしてのロックを解除する役割を果たすことを意味する。
【0093】
このように係合部30gの被係合部20eとの係合を解離した後は、筒体10を右手の親指と人差し指で把持した状態で、左手の指でもって前側ケーシング部材20及び後側ケーシング部材30を、それぞれ、筒体10の周壁11の前側対向壁部11a及び後側対向壁部11bに対し上記前側ヒンジ部及び後側ヒンジ部を基準として、互いに離れる方向に傾動させる。これにより、当該工具容器を、図10にて示すごとく、前側ケーシング部材20及び後側ケーシング部材30でもって開くことができる。
【0094】
このとき、当該工具容器が、上述のごとく、筒体10並びに二つ割り構成からなる前側ケーシング部材20及び後側ケーシング部材30でもって一体的に形成されているから、上述のように筒体10を基準に前側ケーシング部材20及び後側ケーシング部材30を傾動させるという簡単な操作でもって当該工具容器をコンパクトな形状を維持しつつ容易に開くことができる。
【0095】
しかして、このように当該工具容器を開いた状態において、筒体10をその上方に向けて開口するように右手の親指及び人差し指で把持して、左手の親指及び人差し指でもって棒状工具Dの把持部を把持しながら当該棒状工具Dをその下側部位から筒体10内に各突出壁13の突出端部の間に挿入する(図10参照)。これにより、当該棒状工具Dをその基端部側から筒体10内に収容することができる。このとき、当該棒状工具Dは、その先端部側にて、筒体10から延出した状態にある。
【0096】
このような段階において、右手の親指及び人差し指により筒体10を上方に向け開口させるように把持しながら、後側ケーシング部材30を、左手の指でもって、上述の傾動方向とは逆方向に傾動させて、筒体10の周壁11の後側対向壁部11b上に起立させる。
【0097】
このような起立過程において、棒状工具Dの先端側部位が、後側ケーシング部材30の主左壁部30bと主右壁部30cとの間に進入しつつ、当該棒状工具Dの把持部が、その上側部位にて、後側ケーシング部材30の副左壁部30e及び副右壁部30fの間にこれら副左壁部30e及び副右壁部30fの各弾力に抗して進入する。これに伴い、当該棒状工具Dの把持部が、その上側部位にて、副左壁部30eの左挟持部33a及び副右壁部30fの右挟持部33bによりその間に挟持される。
【0098】
ここで、副左壁部30e及び副右壁部30fの各対向面の間隔が、上述のように、当該副左壁部30e或いは副右壁部30fの延出基端部から延出先端部にかけて緩やかに広くなるように形成されている。従って、棒状工具Dの把持部の上側部位が後側ケーシング部材30の副左壁部30e及び副右壁部30fの間に円滑に進入し得る。
【0099】
また、副左壁部30eの左挟持部33a及び副右壁部30fの右挟持部33bは、上述したごとく、互い離れる方向に凹状に形成されている。従って、棒状工具Dの把持部が、その上側部位にて、左挟持部33a及び右挟持部33bによりその間にしっかりと保持され得る。
【0100】
以上により、工具容器Dは、その先端側部位にて、後側ケーシング部材30のコ字状空所内にしっかりと保持され得る(図11参照)。
【0101】
従って、このように棒状工具Dを収容してなる当該工具容器を動かしたりしても、棒状工具Dが、左壁部30e及び副右壁部30fによる挟持のもと、工具容器内にて移動したりすることもなく、しっかりと保持され得る。よって、後述のようにケーシングSを閉じても、棒状工具Dの軸方向先端部がケーシングSの内壁との衝突により破損することがない。
【0102】
然る後は、前側ケーシング部材20を、上述とは逆に、後側ケーシング部材30に向けて傾動させる。これに伴い、前側ケーシング部材20の左外壁部22が、後側ケーシング部材30の主左壁部30bにその外面(左面)に沿い摺接しながら後側傾動壁30aの左外縁部Pに向けて傾動するとともに、前側ケーシング部材20の右外壁部24が、後側ケーシング部材30の主右壁部30cにその外面(右面)に沿い摺接しながら後側傾動壁30aの右外縁部Qに向けて傾動する。
【0103】
これに伴い、前側ケーシング部材20の左内壁部23が後側ケーシング部材30の主左壁部30bに向けて傾動するとともに、前側ケーシング部材20の右内壁部25が後側ケーシング部材30の主右壁部30cに向けて傾動する。このとき、前側ケーシング部材20の前側傾動壁20aの基端部21が、後側ケーシング部材30の副左壁30e及び副右壁30fに向けて傾動する。
【0104】
このような前側ケーシング部材20の傾動に伴い、前側ケーシング部材20の左外壁部22及び右外壁部24が、後側ケーシング部材30の後側傾動壁30aの左外縁部P及び右外縁部Qに係合し、前側ケーシング部材20の左内壁部23及び右内壁部25がその各延出端部にて後側ケーシング部材30の後側ケーシング部材30の主左壁部30b及び主右壁部30cの各延出端部に係合し、かつ、前側ケーシング部材20の前側傾動壁20aの基端部21が、後側ケーシング部材30の副左壁30e及び副右壁30fの各延出端部に狭隙を介して対向する。
【0105】
また、このような段階においては、前側ケーシング部材20の後側ケーシング部材30への傾動にあわせて、後側ケーシング部材30の係合部30gが、その爪部33でもって、前側ケーシング部材20の被係合部20eの開口部26a内にその弾力に抗して係合する。
【0106】
これに伴い、前側ケーシング部材20において前側傾動壁20aを底壁として左内壁部23、右内壁部25及び先端側壁20dにより形成されるコ字状空所が、後側ケーシング部材30において後側傾動壁30aを底壁として主左壁部30b及び副左壁部30eからなる左壁、主右壁部30c及び副右壁部30fからなる右壁並びに先端側壁30dにより形成されるコ字状空所を閉じる。なお、係合部30gの爪部33が、上述のように被係合部20eの開口部26a内に係合する際には、当該爪部33が、隆起部26bの弾力に抗して進入した後は、当該隆起部26bがその弾力により原位置に戻るため、爪部33は、開口部26a内にしっかりと保持され得る。
【0107】
以上により、上述の前側及び後側の両ケーシング部材20、30が、筒体10と共に、棒状工具Dをしっかりと収容してケーシングSを閉じる。換言すると、当該工具容器によれば、前後両側ケーシング部材20、30からなる二つ割り構成を有効に活用して、棒状工具Dを移動不能に簡単に収容することができる。
【0108】
ここで、前側ケーシング部材20が、上述したごとく、左右両壁20b、20cでもって、後側ケーシング部材30の主左壁部30b、主右壁部30c、副左壁部30e及び副右壁部30fとともに、上述した二重壁構造を構成している。従って、このような二重壁構造のもとに、棒状工具DがケーシングS内にて密封されることとなる。その結果、棒状工具Dに油が付着していても、この油が当該工具容器から漏れ出ることがなく、また、異物が当該工具容器の外部からがケーシングS内に混入することもない。
【0109】
また、上述のような二重壁構造のもと、上述のごとく、前側ケーシング部材20の左外壁部22及び右外壁部24が、後側ケーシング部材30の後側傾動壁30aの左外縁部P及び右外縁部Qに係合し、前側ケーシング部材20の左内壁部23及び右内壁部25がその各延出端部にて後側ケーシング部材30の後側ケーシング部材30の主左壁部30b及び主右壁部30cの各延出端部に係合している。
【0110】
従って、当該工具容器は、外力によっては容易には変形しにくい強度を維持することとなる。その結果、当該工具容器がその前側傾動壁20a或いは後側傾動壁30aにて例えば作業台上に長手状に沿うように置かれた状態にて、当該工具容器を、その上側から下方に向けて指で押さえ込んでも、当該工具容器は潰れる等の変形を生じることなく上記外力に対し高い強度を確保し得る。
【0111】
また、上述のように工具容器内に収容した棒状工具Dを当該工具容器から取り出すにあたっては、前側ケーシング部材20及び後側ケーシング部材30を筒体10に対し上述と同様に互いに逆方向へ傾動させてケーシングSを開いた後に、棒状工具Dを筒体10から取り出せばよい。
【0112】
また、上述のごとく、当該工具容器が、筒体10、前側ケーシング部材20及び後側ケーシング部材30でもって一体的に構成されているので、ケーシングSを閉じたり開いたりする過程において、前側ケーシング部材20や後側ケーシング部材30が筒体10から外れたりすることもない。
(第2実施形態)
図12及び図13は、本発明に係る工具容器の第2実施形態を示している。この第2実施形態では、上記第1実施形態にて述べた後側ケーシング部材30において、後側傾動壁30aの左外縁部P及び右外縁部Qが、上記第1実施形態とは異なり、それぞれ、爪引っ掛け部P1及び爪引っ掛け部Q1を廃止された構成となっている。
【0113】
また、上記第1実施形態にて述べた前側ケーシング20及び後側ケーシング部材30が、上記第1実施形態とは異なり、それぞれ、被係合部20e及び係合部30gに代えて、被係合部20f及び係合部30hを設けた構成となっている。このことは、本第2実施形態では、前側ケーシング20及び後側ケーシング部材30が、上記第1実施形態とは異なり、被係合部20f及び係合部30hにて、ファスナーを構成することを意味する。
【0114】
なお、本第2実施形態においては、前側ケーシング部材20の左内壁部23及び右内壁部25の前側傾動壁20aからの各幅方向延出長さは、上記第1実施形態とは異なり小さくなっており、他側ケーシング部材30の左右両壁30b、30cの後側傾動壁30aからの各幅方向延出長さは、上記第1実施形態とは異なり大きくなっている。但し、前側ケーシング部材20の左外壁部22及び右外壁部24の前側傾動壁20aからの幅方向延出長さは、左内壁部23及び右内壁部25の前側傾動壁20aからの各々の幅方向延出長さと左右両壁30b、30cの後側傾動壁30aからの各々の幅方向延出長さとの和になっている。
【0115】
本第2実施形態において、左外縁部P及び右外縁部Qにおいて、それぞれ、爪引っ掛け部P1及び爪引っ掛け部Q1を廃止したのは以下の根拠に基づく。
【0116】
即ち、上記第1実施形態にて述べたように、後側傾動壁30aの左外縁部Pは主左壁部30bよりも左側へ延出しており、後側傾動壁30aの右外縁部Qは、主右壁部30cよりも右側へ延出している(図2及び図3或いは図14〜図16参照)。そこで、本第2実施形態では、これら左外縁部P及び右外縁部Qを、それぞれ、爪引っ掛け部P1及び爪引っ掛け部Q1として兼用することとしたことによる。
【0117】
被係合部20fは、図12〜図19のいずれかにて示すごとく、上記第1実施形態にて述べた前側ケーシング部材20の先端側壁20dに、上記第1実施形態にて述べた被係合部20eに代えて、当該被係合部20eの形成材料と同一の材料でもって、一体的に形成されている。但し、本第2実施形態においては、先端側壁20dは、上記第1実施形態とは異なり、前側傾動壁20aの延出端部からその内面方向へL字状に屈曲して延出して、両内壁部23、25と共にコ字状となるように構成されている。
【0118】
当該被係合部20fは、基部28及び操作部29により、くの字片状にかつ一体的に形成されている。基部28は、先端側壁20dの延出端部から一体的に延出されている。ここで、当該基部28の先端側壁20dの延出端部からの延出基部は、図18にて例示するごとく、薄肉状となるように薄く形成されている。これにより、当該基部28は、その厚さ方向(図18にて図示左右方向)に揺動可能となっている。
【0119】
また、当該基部28は、貫通孔部28aを有しており、この貫通孔部28aは、後述する係合部30hの爪部36を係合させるように、基部28の延出端部近傍に貫通状に形成されている。
【0120】
操作部29は、基部28の延出端部から前側傾動壁20aの裏面側(図18にて図示左側)へ折れ曲がるように延出されて、基部28と共に、被係合部20fを縦断面「くの字」状に構成している。
【0121】
一方、係合部30hは、図12〜図18及び図20のいずれかにて示すごとく、上記第1実施形態にて述べた後側ケーシング部材30の先端側壁30dに、上記第1実施形態にて述べた係合部30gに代えて、当該係合部30gの形成材料と同一の材料でもって、一体的に形成されている。但し、本第2実施形態においては、先端側壁30dは、上記第1実施形態とは異なり、先端側壁20dに対向し得るように、後側傾動壁30aの延出端部からその内面方向へL字状に屈曲して延出して、左右両側壁30b、30cと共にコ字状となるように構成されている。
【0122】
係合部30hは、基部35及び爪部36により、L字片状にかつ一体的に形成されている。基部35は、先端側壁30dの幅方向中間部位(高さ方向中間部位)から後側傾動壁30aの延出方向に沿い一体的に延出されている。また、爪部36は、基部35の延出端部から後側傾動壁30aの裏面側(図18にて図示左側)へL字状に屈曲して延出されている。
【0123】
ここで、係合部30hは、基部35及び爪部36を撓み不能にL字状に維持するように、厚く形成されており、爪部36は、被係合部20fの貫通孔部28a内にその弾力に抗して嵌装可能な外形形状に形成されている。これにより、係合部30hは、その爪部36にて、被係合部20fの貫通孔部28a内に係脱可能に係合するようになっている。その他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0124】
以上のように構成した本第2実施形態において、上記第1実施形態と同様に、工具容器が、棒状工具Dを収容することなく、閉じた状態にあれば、前側ケーシング部材20及び後側ケーシング部材30が、筒体10と共に、上述のごとく、ケーシングSを閉じている(図12参照)。ここで、係合部30hが被係合部20fに係合していれば、その爪部36にて、被係合部20fの貫通孔部28a内にその弾力に抗して係脱可能にしっかりと係合している。
【0125】
このような段階において、棒状工具Dを当該工具容器内に収容するにあたり、係合部30hの被係合部20fからの解離は次のようにして行う。
【0126】
即ち、上記第1実施形態にて述べたと同様に、後側ケーシング部材30及び前側ケーシング部材20を上下に水平状に位置するように、筒体10を、例えば、右手で把持した状態にて、左手の人差し指を前側ケーシング部材20の前側傾動壁20aの延出側部位にその下方から当てるとともに、左手の親指を被係合部20fの操作部29にその上方(後側ケーシング部材30側)から当てる。
【0127】
このような状態にて、被係合部20fの操作部29をその上方から押し下げると、被係合部20fが、貫通孔部28aにて、その弾力に抗して係合部30hの爪部36から下方へ脱出する。これにより、被係合部20fを係合部30hから解離させることができる。
【0128】
然る後、後側ケーシング部材30をその延出端部側にて右手の親指と人差し指で挟んで前側ケーシング部材20から離す方向に引っ張る。このとき、右手の親指及び人差し指の各爪を、上記第1実施形態とは異なり、後側傾動壁30aの左外縁部P及び右外縁部Qに引っ掛けるようにすることで、後側ケーシング部材30を前側ケーシング部材20から離す方向に確実に引っ張ることができる。この場合、左外縁部P及び右外縁部Qが、上記第1実施形態にて述べた爪引っ掛け部P1及び爪引っ掛け部Q1とは異なり、後側傾動壁30aの全長に亘り延在しているので、親指及び人差し指の各爪を引っ掛ける部位が広くなって便利である。
【0129】
以上のようにして、被係合部20fを係合部30hから解離した後、ケーシングS、ひいては当該工具容器を開くことができる。
【0130】
然る後、上記第1実施形態と同様に、棒状工具Dを筒体10内に挿入した後、後側ケーシング部材30を、筒体10の周壁11の後側対向壁部11b上に起立させるように、傾動させる。すると、棒状工具Dの把持部が、その上側部位にて、上記第1実施形態と同様に、後側ケーシング部材30の副左壁部30e及び副右壁部30fの間にて挟持される。これに伴い、上記第1実施形態と同様に、前側ケーシング部材20を、後側ケーシング部材30に向けて傾動させれば、ケーシングSが棒状工具Dを移動不能に収容した状態で閉じる。
【0131】
然る後、前側ケーシング部材20の被係合部20fを、その操作部29にて、後側ケーシング部材30の係合部30hに向けて押せば、係合部30hの爪部36が、被係合部20fの貫通孔部28a内にその弾力に抗して挿入される。これにより、係合部30h及び被係合部20fが、しっかりと係脱可能に係合部30hと係合して、前側ケーシング部材20及び後側ケーシング部材30をその係合状態にて解除可能にロックするように、当該係合部30hと共にファスナーとしての役割を果たす。その結果、棒状工具Dは、上記第1実施形態と同様に、当該工具容器内に移動不能にしっかりと保持収容され得る。
【0132】
また、このように収容した棒状工具Dを当該工具容器から取り出すにあたっては、上記ファスナーのロックを解除して前側ケーシング部材20及び後側ケーシング部材30を筒体10に対し上述と同様に互いに逆方向へ傾動させてケーシングSを開いた後に、棒状工具Dを筒体10から取り出せばよい。本第2実施形態におけるその他の作用効果は、上記第1実施形態と同様である。
(第3実施形態)
図21〜図25は、本発明に係る工具容器の第3実施形態を示している。この第3実施形態では、上記第2実施形態にて述べた前側ケーシング部材20において、左壁20b及び右壁20cに代えて、左壁20g及び右壁20hが採用された構成となっている。
【0133】
これに伴い、本第3実施形態における前側ケーシング部材20は、左壁20g及び右壁20h、並びに上記第2実施形態にて述べた前側傾動壁20a及び被係合部20fでもって構成されている(図21参照)。
【0134】
ここで、左壁20gは、図21〜図23のいずれかにて示すごとく、左内壁部23a及び上記第2実施形態にて述べた左外壁部22でもって構成されており、左内壁部23aは、上記第2実施形態にて述べた左内壁部23に代えて、左外壁部22の内面に沿いその長手方向全長に亘り、前側傾動壁20aの左縁部からL字状に屈曲して延出されている。なお、左内壁部23aの延出高さは、左内壁部23の延出高さと同一である。
【0135】
また、右壁20hは、図21〜図23のいずれかにて示すごとく、右内壁部25a及び上記第2実施形態にて述べた右外壁部24でもって構成されており、右内壁部25aは、上記第2実施形態にて述べた右内壁部25に代えて、右外壁部24の内面に沿いその長手方向全長に亘り、前側傾動壁20aの右縁部からL字状に屈曲して延出されている。なお、右内壁部25aの延出高さは、右内壁部25の延出高さと同一である。
【0136】
また、本第3実施形態では、上記第2実施形態にて述べた後側ケーシング部材30において、左壁を構成する主左壁部30b及び副左壁部30eに代えて、左壁30iが採用され、右壁を構成する主右壁部30c及び副右壁部30fに代えて、右壁30jが採用されている(図21参照)。
【0137】
これに伴い、本第3実施形態における後側ケーシング部材30は、左壁30i及び右壁30j、並びに上記第2実施形態にて述べた後側傾動壁30a及び係合部30hでもって構成されている(図21参照)。
【0138】
ここで、左壁30iは、図21〜図23のいずれかにて示すごとく、上記第2実施形態にて述べた主左壁部30b及び副左壁部30eに代えて、後側傾動壁30aの左縁部からその長手方向全長に亘りL字状に屈曲して延出されている。なお、左壁30iの延出高さは、主左壁部30bの延出高さと同一である。
【0139】
また、右壁30jは、図21〜図23のいずれかにて示すごとく、上記第2実施形態にて述べた主右壁部30c及び副右壁部30fに代えて、後側傾動壁30aの右縁部からその長手方向全長に亘り、L字状に屈曲して延出されている。なお、右壁30jの延出高さは、主右壁部30cの延出高さと同一である。その他の構成は、上記第2実施形態と同様である。
【0140】
このように構成した本第3実施形態において、棒状工具Dを当該工具容器内に収容するにあたっては、上記第2実施形態と同様に、係合部30hを被係合部20fから解離した状態にて前側ケーシング部材20及び後側ケーシング部材30を筒体10に対し互いに逆方向に傾動させる(図25参照)。
【0141】
このような状態にて、棒状工具Dの把持部をその下側部位にて筒体10内に挿入する。然る後、前側ケーシング部材20及び後側ケーシング部材30を筒体10上に直立するように傾動させれば、後側ケーシング部材30が、その左壁30i及び右壁30jにて、前側ケーシング部材20の左外壁部22及び右外壁部24の各内面に沿いこれら左外壁部22及び右外壁部24の間に進入するとともに、先端側壁30dにて、左外壁部22及び右外壁部24の各長手方向延出端部の間に進入する。
【0142】
このような進入に伴い、後側ケーシング部材30の左壁30i、右壁30j及び先端側壁30dが、それぞれ、前側ケーシング部材20の左内壁部23a、右内壁部25a及び先端側壁20dに当接して、当該工具容器を閉じる。然る後、上記第2実施形態と同様に係合部30hを被係合部20fに係合させれば、棒状工具Dが当該工具容器を閉じた状態にて当該工具容器内に収容保持され得る。
【0143】
ここで、本第3実施形態においては、上記第2実施形態にて述べたような副左壁部30e及び副右壁部30fに相当する構成が採用されていない。このため、上述のように工具容器内に収容された棒状工具Dは、当該工具容器内にて、移動可能となっているが、当該工具容器内の棒状工具Dに対する収容空間を棒状工具Dの外径や軸長に合わせて設定すれば、棒状工具Dの工具容器内での移動は実用上の支障は殆どない。なお、本第3実施形態におけるその他の作用効果は、上記第2実施形態と同様である。
(第4実施形態)
図26及び図27は、本発明に係る工具容器の第4実施形態の要部を示している。この第4実施形態では、上記第3実施形態にて述べた後側ケーシング部材30において、保持部材30kを付加的に設けた構成が採用されている。
【0144】
当該保持部材30kは、図27にて示すごとく、後側傾動壁30aの形成材料と同一の材料でもって、横断面円弧形状に形成されており、当該保持部材30kは、後側ケーシング部材30の左壁30i及び右壁30jの各基端部の間にて後側傾動壁30aの基端部31と一体的に形成されている。この形成は、当該保持部材30kの底部33cを後側傾動壁30aの基端部31と一体的に形成することでなされている。
【0145】
ここで、当該保持部材30kの内面は、円弧面状に形成されており、この保持部材30kの左右両側端部33dは、当該保持部材30kの内面の内径よりも狭い間隔にて、互いに対向するように形成されている。これにより、棒状工具Dの把持部をその上側部位にて保持部材30kの左右両側端部33dを介しその弾力に抗して保持部材30k内に同軸的に保持し得るようになっている。その他の構成は、上記第3実施形態と同様である。
【0146】
このように構成した本第4実施形態によれば、棒状工具Dを工具容器内に収容するにあたり、棒状工具Dを、上記第3実施形態と同様に、その把持部の下側部位にて筒体10内に挿入した後、後側ケーシング部材30を筒体10上に直立させるように傾動させる。すると、この傾動に伴い、棒状工具Dの把持部が、その上側部位にて、保持部材30k内にその左右両側端部33dを介し弾力に抗して同軸的に保持される。
【0147】
これにより、棒状工具Dは、上記第3実施形態にて述べたように工具容器内に収容されたとき保持部材30kにより移動不能に保持され得る。その他の構成は、上記第3実施形態と同様である。
【0148】
なお、本発明の実施にあたり、工具容器の形成材料は、上記各実施形態にて述べたポリプロピレンに限ることなく、各種の合成樹脂材料であってもよい。
【0149】
また、本発明の実施にあたり、後側ケーシング部材30の副左壁部30e及び副右壁部30fは、上記第1或いは第2の実施形態にて述べた構成に限ることなく、前側傾動壁20a及び後側傾動壁30aの各基端部21、31の少なくとも一方から他方に向けて、棒状工具Dの把持部を移動不能に保持し得るような保持部材として一体的に突出する構成としてもよい。なお、当該保持部材は、前側ケーシング部材20及び後側ケーシング部材30の少なくとも一方の構成の一部として把握してもよく、また、前側ケーシング部材20及び後側ケーシング部材30には含まれない概念として把握してもよい。
【0150】
また、本発明の実施にあたり、上記第1実施形態にて述べた前側ケーシング部材20の左内壁部23及び右内壁部25の前側傾動壁20aからの各幅方向延出長さ及び後側ケーシング部材30の左右両壁30b、30cの後側傾動壁30aからの各幅方向延出長さは、上記第1実施形態とは異なり、その双方の和において、前側ケーシング部材20の左外壁部22及び右外壁部24の前側傾動壁20aからの各幅方向延出長さになっておればよく、これにより、ケーシングSを密封状に閉じることができる。
【0151】
また、本発明の実施にあたり、上記第1或いは第2実施形態において、図27にて示す保持部材30kを、副左壁部30e及び副右壁部30fに代えて、主左壁部及び主右壁部と筒体10の開口端部との間にて、後側傾動壁30aの基端部上に一体的に形成するようにしてもよい。この場合、図27にて示す保持部材の左右方向長さは、副左壁部30e及び副右壁部30fの左右方向間隔に等しくすればよい。
【0152】
また、本発明の実施にあたり、上記第1或いは第2実施形態において、副左壁部30e及び副右壁部30fを廃止し、かつ、主左壁部30b及び主右壁部30cをその各長手方向において、後側傾動壁30aの基端部31にも亘るように延在させて、図27にて示す保持部材30kを主左壁部30b及び主右壁部30cの間にて後側傾動壁30aの基端部31上に一体的に形成するようにしてもよい。
【0153】
これによっても、上記第1或いは第2実施形態において、保持部材30kが、副左壁部30e及び副右壁部30fと同様に棒状工具Dの把持部を保持する役割を果たすことができる。
【0154】
また、本発明の実施にあたり、上記第1〜第4の実施形態のいずれかに採用してなる保持部材に代えて、前側壁部を、前側傾動壁20aの基端部21から後側傾動壁30aの基端部31に向けて突出形成し、後側壁部を、前側壁部に向けて後側傾動壁30aの基端部31から突出形成し、これら前側壁部及び後側壁部の各対向面を、棒状工具の把持部を移動不能に挟持し得る面状に形成するようにしてもよい。
【0155】
しかして、棒状工具をその把持部から筒体内に挿入して前側ケーシング部材20及び後側ケーシング30を互いに係合させたとき、前側壁部及び後側壁部が、双方の対向面の間に工具容器の把持部を前後方向から挟持して保持することとなる。これによっても、棒状工具を工具容器内に移動不能に保持することができる。なお、前側壁部及び後側壁部の各対向面は、例えば、棒状工具の把持部の外周面の前後両側部位を前後両側から押さえ込むような湾曲部分を有するように構成すればよい。
【0156】
また、本発明の実施にあたり、上記各実施形態にて述べた筒体10の内部構成は、棒状工具Dの把持部を上記各実施形態にて述べたように収容する空間を形成できる構成であれば、どのような構成であってもよい。
【0157】
また、本発明の実施にあたり、上記第2実施形態にて述べた被係合部20fは、その基部28にて、前側ケーシング部材20の左壁20b及び右壁20cの各延出端部からその延出方向に一体的に延出していてもよく、また、係合部30hは、後側ケーシング部材30の左壁30b及び右壁30cの各延出端部からその延出方向に一体的に延出していてもよい。
【0158】
また、本発明の実施にあたり、上記第1〜第4の実施形態のいずれかにおいて採用してなるファスナーに代えて、例えば、前側及び後側のケーシング部材の一方のケーシング部材の長手方向中間部位から帯状ファスナーを延出させて、一方のケーシング部材及び他方のケーシング部材を互いに係合させた状態で、帯状ファスナーを、当該一方のケーシング部材の長手方向中間部位及びこれに対する他方のケーシング部材の対応部位を被覆するようにその外周に沿い取り巻いて、他方のケーシング部材の対応部位に係脱可能にロックするようにしても、前側及び後側のケーシング部材の係合状態を良好に確保し得る。なお、帯状ファスナーは、一方のケーシング部材の長手方向中間部位から延出するように当該ケーシング部材と同一の形成材料により一体的に形成すればよい。
【0159】
また、本発明の実施にあたり、上記第2実施形態にて述べたファスナーにおいて、係合部30hは、上記第2実施形態とは異なり、爪部36を、例えば、基部35に対し屈曲することなく、当該基部35の延出方向へ、被係合部20fの貫通孔部28a内にその弾力に抗して係脱可能に係合させるように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0160】
D…棒状工具、10…筒体、11…周壁、11a、11b…前後両側対向壁部、
20…前側ケーシング部材、20a…前側傾動壁、20b、30b…左壁、
20c、30c…右壁、20d、30d…先端側壁、20e、20f…被係合部、22…左外壁部、23…左側内壁部、24…右側外壁部、25…右側内壁部、30…後側ケーシング部材、30a…後側傾動壁、30b…主左壁部、30c…主右壁部、30e…副左壁部、30f…副右壁部、30g、30h…係合部、30k…保持部材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドリルやエンドミル等の棒状工具を収容するに適した工具容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の工具容器においては、下記特許文献1に記載の工具ケースが提案されている。この工具ケースは、断面正方形状の下ケースと、この下ケースにその開口端部から嵌装される断面正方形状の上ケースとを備えている。
【0003】
しかして、棒状工具を上記工具容器に収容するにあたっては、棒状工具を下ケース内に挿入した後、下ケースの開口端部から露出する棒状工具の露出部位を包囲するようにして下ケースにその開口端部から上ケースを嵌装することとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−284267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記工具容器においては、下ケース及び上ケースが共に断面正方形状にて筒状に形成されている。このため、上述のように棒状工具を収容するにあたり、上ケースを下ケースに嵌装するには、上ケースの開口端部を下ケースの開口端部に同軸的に対向させなければならない。
【0006】
しかしながら、上ケース及び下ケースの各開口端部の開口形状は、相互に嵌め合わせ形状となっていることから、上述のような嵌装作業は面倒であるという不具合がある。
【0007】
そこで、本発明は、以上のようなことに対処するため、二つ割り構造を有効に活用した一体的構成でもって棒状工具を簡単に収容するように工夫を凝らしてなる工具容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題の解決にあたり、本発明に係る工具容器は、請求項1の記載によれば、
筒体(10)と、この筒体の周壁(11)の両対向壁部(11a、11b)からその各厚さ方向に傾動可能に延出されて互いに対向して棒状工具(D)を収容するケーシング(S)を筒体と共に構成し得るようにコ字状に形成してなる両ケーシング部材(20、30)とを備えて、
当該両ケーシング部材を、筒体と共に、合成樹脂材料でもって一体的に形成してなるものである。
【0009】
このように筒体及び両側ケーシング部材は、合成樹脂材料でもって、一体的に形成されている。従って、工具容器が、二つ割り構成からなる両側ケーシング部材を有効に活用して、単一の部品からなる工具容器として、まとまりよく構成され得る。
【0010】
ここで、両ケーシング部材は、棒状工具を収容するケーシングを筒体と共に構成し得るようにコ字状に形成されているから、両ケーシング部材を互いに離れる方向に傾動してケーシングを開いた状態にて、棒状工具をその把持部にて筒体内に挿入して、両ケーシング部材を互いに係合するように傾動させてケーシングを閉じることで、棒状工具は、ケーシング内に良好に収容され得る。
【0011】
なお、両ケーシング部材をその係合状態に適宜なファスナーによりロックするようにしておけば、ケーシングが開くこともない。
【0012】
また、本発明は、請求項2の記載によれば、請求項1に記載の工具容器において、
両ケーシング部材の各基端部(21、31)の少なくとも一方の基端部(21)から他方の基端部(31)に向けて棒状工具の把持部を保持すべく突出するように両ケーシング部材の上記少なくとも一方の基端部に上記合成樹脂材料により一体的に形成してなる保持部材(30e、30f、30k)を備えることを特徴とする。
【0013】
これによれば、保持部材が、両ケーシング部材の少なくとも一方の基端部に上記合成樹脂材料により一体的に形成されているから、当該保持部材が工具容器に付加されても、当該工具容器は、単一の部品からなる工具容器であることに変わりはない。
【0014】
ここで、棒状工具がその把持部にて保持部材により保持されるので、棒状工具が工具容器内に収容された状態において移動することもない。これにより、請求項1に記載の発明の作用効果をより一層向上し得る。
【0015】
また、本発明は、請求項3の記載によれば、請求項1または2に記載の工具容器において、
両ケーシング部材がその係合によりケーシングを構成するように互いに閉じたとき、当該両ケーシング部材をその係合状態にて解除可能にロックするように両ケーシング部材の少なくとも一方のケーシング部材に上記合成樹脂材料により一体的に形成してなるファスナー部材を備えることを特徴とする。
【0016】
これによれば、ファスナー部材が、両ケーシング部材の少なくとも一方のケーシング部材に上記合成樹脂材料により一体的に形成されているから、当該ファスナー部材が工具容器に付加されても、当該工具容器は、単一の部品からなる工具容器であることに変わりはない。
【0017】
ここで、ファスナー部材が、両ケーシング部材の係合状態を解除可能にロックして維持するので、棒状工具を工具容器内に良好に収容維持し得る。従って、請求項1或いは2に記載の発明の作用効果がより一層確実に達成され得る。
【0018】
また、本発明は、請求項4の記載によれば、請求項3に記載の工具容器において、
ファスナー部材は、
両ケーシング部材の一方のケーシング部材の先端部と上記合成樹脂材料により一体的に形成してなる被係合部(20e、20f)と、
両ケーシング部材をその係合状態にて解除可能にロックすべく上記被係合部に係合するように他方のケーシング部材の先端部に上記合成樹脂材料により一体的に形成してなる係合部(30g、30h)とを具備してなることを特徴とする。
【0019】
これによれば、両ケーシングが互いに係合した状態にて、ファスナー部材により、係合部を被係合部に係合させることでロックすれば、請求項3の記載の発明の作用効果がより一層確実に達成され得る。
【0020】
また、本発明は、請求項5の記載によれば、請求項4に記載の工具容器において、
上記被係合部は、一方のケーシング部材の先端部からその厚さ方向には撓み可能となるようにその延出方向に一体的に延出されており、
上記係合部は、上記被係合部に形成される貫通孔部(28a)内にその弾力に抗して係合可能なように形成されて他方のケーシング部材の先端部から延出されていることを特徴とする。
【0021】
これによれば、係合部を被係合部の貫通孔部内にその弾力に抗して係合させることで、ファスナーとしてのロック機能を良好に確保し得る。その結果、請求項4に記載の発明の作用効果がより一層向上され得る。
【0022】
また、本発明は、請求項6の記載によれば、請求項2〜5のいずれか1つに記載の工具容器において、
筒体は、横断面四角形状周壁を上記周壁として有してなり、
両ケーシング部材の一方のケーシング部材(20)は、
筒体の上記横断面四角形状周壁の両対向壁部の一方の対向壁部からその厚さ方向に傾動可能にかつ長手状に延出する一側傾動壁(20a)と、
この一側傾動壁の幅方向両側部から上記横断面四角形状周壁の上記対向壁部の他方の対向壁部側へL字状に屈曲して延出する一側両側壁(20b、20c、20g、20h)と、
上記一側傾動壁の延出端部側から上記横断面四角形状周壁の上記他方の対向壁部側へ延出するように上記一側傾動壁の延出端部側にその幅方向に形成されて上記一側傾動壁を底壁として上記一側両側壁と共にコ字状空所を構成する一側先端側壁(20d)とを備えており、
他方のケーシング部材(30)は、
筒体の上記横断面四角形状周壁の上記他方の対向壁部からその厚さ方向に傾動可能にかつ長手状に延出する他側傾動壁(30a)と、
この他側傾動壁の幅方向両側部側から上記一側両側壁側へL字状に屈曲して延出する他側両側壁(30b、30c、30i、30j)と、
上記他側傾動壁の延出端部側から上記一側先端側壁に対向可能に延出するように上記他側傾動壁の延出端部側にその幅方向に形成されて上記他側傾動壁を底壁として上記コ字状空所と共にケーシングを構成するようにコ字状空所を形成する他側先端側壁(30d)とを備えることを特徴とする。
【0023】
このように、一側ケーシング部材を一側傾動壁、一側両側壁及び一側先端側壁でもって上述のように構成し、かつ、他側ケーシング部材を他側傾動壁、他側両側壁及び他側先端側壁でもって上述のように構成することで、請求項2〜5のいずれか1つに記載の発明の作用効果をより一層具体的に達成することができる。
【0024】
また、本発明は、請求項7の記載によれば、請求項6に記載の工具容器において、
一方のケーシング部材(20)の上記一側両側壁のうちの一方の側壁(20b)は、
上記一側傾動壁の上記幅方向両側部の一方の幅方向側部からL字状に屈曲して延出する一側外壁部(22)と、
この一側外壁部にその内面に沿いその幅方向には上記一側傾動壁の上記一方の幅方向側部からL字状に屈曲して延出するとともに上記一側外壁部にその内面に沿いその長手方向には上記一側先端側壁の両幅方向端部の一方の幅方向端部から上記一側外壁部よりも所定長さだけ短い長さにて延出する一側内壁部(23)とを具備しており、
一方のケーシング部材の上記両側壁の他方の側壁(20c)は、
上記一側傾動壁の上記幅方向両側部の他方の幅方向側部からL字状に屈曲して延出する他側外壁部(24)と、
この他側外壁部にその内面に沿い上記一側傾動壁の上記他方の幅方向側部からL字状に屈曲して延出するとともに上記他側外壁部にその内面に沿いその長手方向には上記一側先端側壁の両幅方向端部の他方の幅方向端部から上記他側外壁部よりも所定長さだけ短い長さにて延出する他側内壁部(25)とを具備しており、
他方のケーシング部材の上記他側両側壁のうちの一方の側壁(30b)は、一側主壁部として、一方のケーシング部材の上記一側内壁部に対向可能に上記他側傾動壁の一側部から上記一側内壁部と同一の長さにて延出してなり、
他方のケーシング部材の上記他側両側壁のうちの他方の側壁(30c)は、他側主壁部として、一方のケーシング部材の上記他側内壁部に対向可能に上記他側傾動壁の他側部から上記他側内壁部と同一の長さにて延出してなり、
保持部材は、
上記他側傾動壁の上記基端部から上記一側傾動壁の上記基端部に向けて上記一側主壁部とその長手方向に並んで延出する一側副壁部(30e)と、
上記他側傾動壁の上記基端部から上記一側傾動壁の上記基端部に向けて上記他側主壁部とその長手方向に並んで延出されて上記一側副壁部とともに棒状工具の把持部を挟持する他側副壁部(30f)とを有しており、
上記ケーシングを閉じたとき、一方のケーシング部材が、上記一側及び他側の外壁部にて、その内側に上記一側及び他側の主壁部、上記他側先端側壁並びに上記一側及び他側の副壁部を位置させるように、他方のケーシング部材の上記他側傾動壁の上記幅方向両側部に係合するとともに、上記一側及び他側の内壁部並びに上記一側先端側壁にて、他方のケーシング部材の上記一側及び他側の主壁部並びに上記他側先端側壁に係合するように、上記一側及び他側の外壁部の間隔、上記他側両側壁の間隔、上記一側先端壁、上記一側及び他側の内壁部の上記一側傾動壁からの延出幅、並びに上記一側及び他側の主壁部の間隔及び上記他側傾動壁からの延出幅が設定されていることを特徴とする。
【0025】
これによれば、一側ケーシング部材の両一側内壁部及び一側先端側壁が、他側ケーシング部材の他側両側壁及び他側先端側壁に係合するとともに、一側ケーシング部材の両一側外壁部が、他側ケーシング部材の他側両側壁の各外面に沿い他側傾動壁に係合することで、両側ケーシング部材が、棒状工具の収容にあたり、二重構造壁を構成することとなる。しかも、保持部材が、上述のごとく、一側副壁部及び他側副壁部でもって構成されている。 その結果、棒状工具を移動不能に保持しかつ工具容器の強度を高めつつ、請求項6に記載の発明の作用効果を向上することができる。
【0026】
また、本発明は、請求項8の記載によれば、請求項6に記載の工具容器において、
一方のケーシング部材の上記一側両側壁のうちの一方の側壁(20b)は、
上記一側傾動壁の上記幅方向両側部の一方の幅方向側部からL字状に屈曲して延出する一側外壁部(22)と、
この一側外壁部にその内面に沿いその幅方向には上記一側傾動壁の上記一方の幅方向側部からL字状に屈曲して延出するとともに上記一側外壁部にその内面に沿いその長手方向に延出する一側内壁部(23a)とを具備しており、
一方のケーシング部材の上記両側壁の他方の側壁(20c)は、
上記一側傾動壁の上記幅方向両側部の他方の幅方向側部からL字状に屈曲して延出する他側外壁部(24)と、
この他側外壁部にその内面に沿いその幅方向には上記一側傾動壁の上記他方の幅方向側部からL字状に屈曲して延出するとともに上記他側外壁部にその内面に沿いその長手方向に上記一側先端側壁の両幅方向端部の他方の幅方向端部から延出する他側内壁部(25a)とを具備しており、
保持部材は、他方のケーシング部材の上記他側両側壁の間にて上記他側傾動壁の上記基端部上に一体的に形成されて、棒状工具の把持部を保持可能なように上記他側両側壁の各延出方向に開口する横断面凹状湾曲状内面部を有しており、
上記ケーシングを閉じたとき、一方のケーシング部材が、上記一側及び他側の外壁部にて、他方のケーシング部材の上記他側傾動壁の幅方向両側部に係合するとともに他方のケーシング部材が、上記他側両側壁及び上記他側先端壁にて、一方のケーシング部材の上記一側及び他側の外壁部の間に位置して上記一側及び他側の内壁部並びに上記一側先端側壁に係合するように、上記一側及び他側の外壁部の間隔、上記他側両側壁の間隔が設定されているとともに、上記一側及び他側の外壁部の各々の上記一側傾動壁の幅方向延出幅が、上記一側先端壁、上記一側及び他側の内壁部の各々の上記一側傾動壁からの延出幅と上記他側両側壁の各々の上記他側傾動壁からの延出幅との和となるように設定されていることを特徴とする。
【0027】
これによれば、一側ケーシング部材の両一側内壁部及び一側先端側壁が、他側ケーシング部材の他側両側壁及び他側先端側壁に係合するとともに、一側ケーシング部材の両一側外壁部が、他側ケーシング部材の他側両側壁の各外面に沿い他側傾動壁に係合することで、両側ケーシング部材が、棒状工具の収容にあたり、二重構造壁を構成することとなる。しかも、保持部材が、上述のごとく、棒状工具の把持部を保持可能なように上記他側両側壁の各延出方向に開口する横断面凹状湾曲状内面部を有している。
【0028】
その結果、保持部材によりその横断面凹状湾曲状内面部内にその弾力に抗して棒状工具を移動不能に保持しかつ工具容器の強度を高めつつ、請求項6に記載の発明の作用効果を向上することができる。
【0029】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る工具容器の第1実施形態を閉状態にて示す斜視図である。
【図2】図1の工具容器を、前後両側ケーシング部材を前後方向に傾動させた状態にて示す斜視図である。
【図3】図2の工具容器を、前後両側ケーシング部材を前後方向に傾動させた状態にて示す平面図である。
【図4】図3に示す工具容器を後側ケーシング部材の延出方向からみた端面図である。
【図5】図3の工具容器の背面図である。
【図6】図5の工具容器を後側ケーシング部材の延出方向からみた端面図である。
【図7】図5にて7−7線に沿う断面図である。
【図8】図3にて8−8線に沿う断面図である。
【図9】図3にて9−9線に沿う断面図である。
【図10】図2の工具容器を、筒体に棒状工具を挿入した状態にて示す斜視図である。
【図11】図10の工具容器を、後側ケーシング部材を筒体上に起立させた状態にて示す斜視図である。
【図12】本発明に係る工具容器の第2実施形態を閉状態にて示す斜視図である。
【図13】図12にてファスナーのロック解除状態にて工具容器の閉状態を示す斜視図である。
【図14】図13の工具容器を、前後両側ケーシング部材を前後方向に傾動させた状態にて示す斜視図である。
【図15】図13の工具容器を、前後両側ケーシング部材を前後方向に傾動させた状態にて示す斜視図である。
【図16】図15の工具容器の平面図である。
【図17】図15の工具容器の背面図である。
【図18】図16にて18−18線に沿う断面図である。
【図19】図16の工具容器を前側ケーシング部材の延出方向からみた端面図である。
【図20】図16の工具容器を後側ケーシング部材の延出方向からみた端面図である。
【図21】本発明に係る工具容器の第3実施形態を開状態にて示す斜視図である。
【図22】本発明に係る工具容器の第3実施形態を開状態にて示す斜視図である。
【図23】図21の工具容器の平面図である。
【図24】図23にて24−24線に沿う断面図である。
【図25】図21の工具容器を、棒状工具の筒体内への挿入状態にて、前側ケーシング部材及び後側ケーシング部材を互いに逆方向に傾動させた状態にて示す斜視図である。
【図26】本発明に係る工具容器の第4実施形態の要部を示す背面図である。
【図27】図26にて27−27線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の各実施形態を図面により説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明に係る工具容器の第1実施形態を示している。当該工具容器は、長手状のもので、この工具容器は、ドリルやエンドミル等の棒状工具を収容するために用いられる。なお、図1において、図示左斜め後方及び図示右斜め前方が、それぞれ、当該工具容器の前方及び後方に対応し、図示右斜め後方及び図示左斜め前方が、それぞれ、当該工具容器の左方及び右方に対応し、また、図示上方及び下方が、それぞれ、当該工具容器の上方及び下方に対応する。
【0032】
当該工具容器は、図1或いは図2にて示すごとく、直方体形状の筒体10及び前後両側ケーシング部材20、30でもって、一体的に構成されている。ここで、筒体10及び両側ケーシング部材20、30は、合成樹脂射出成形機(図示しない)による射出成形によって、例えば、白色透明のポリプロピレン(PP)を用いて、当該工具容器を構成するように一体的に形成されている。
【0033】
筒体10は、図3にて示すごとく、横断面正方形状の筒状周壁11を有しており、当該筒状周壁11は、前後左右の各側の対向壁部11a〜11dでもって、その軸方向に長手筒状に形成されている。この筒状周壁11は、その下端開口部にて、底壁12により閉塞されており、当該筒状周壁11は、その上端開口部(筒体10の開口部に相当)にて上方に開口している。
【0034】
また、当該筒体10は、前後左右各側の突出壁13を有しており、当該前後左右各側の突出壁13は、それぞれ、図3にて示すごとく、筒状周壁11の内部にて突出形成されている。
【0035】
ここで、当該前側後左右各側の突出壁13のうち、前後両側の突出壁13は、筒体10の筒状周壁11の前後左右各側の対向壁部11a〜11dのうち前後両側の対向壁部11a、11bの各内面幅方向中央部から互いに対向するように筒状周壁11の中央に向け突出形成されている。
【0036】
また、前側後左右各側の突出壁13のうち、左右両側の突出壁13は、筒状周壁11の左右両側の対向壁部11c、11dの各内面幅方向中央部から互いに対向するように筒状周壁11の中央に向け突出形成されている。
【0037】
このことは、前後両側及び左右両側の突出壁13が、筒状周壁11内にて、当該筒状周壁11の中心を基準として十字状に形成されていることを意味する。本第1実施形態では、各突出壁13の突出幅は、ともに、同一に設定されており、前後両側の突出壁13の対向間隔及び左右両側の突出壁13の対向間隔は、それぞれ、棒状工具の把持部の外径とほぼ等しい。なお、前後両側の突出壁13の対向間隔及び左右両側の突出壁13の対向間隔は、棒状工具の把持部の外径に合わせて適宜変更してもよい。これは、棒状工具の把持部を、その外径に応じて、前後左右の突出壁13によりその各対向部の間にて軸方向へ移動しにくい程度に保持するためである。
【0038】
前後両側ケーシング部材20、30は、その各対向開口部にて互いに係合して、ケーシングを構成するもので、前側ケーシング部材20は、図1〜図5のいずれかにて示すごとく、前側傾動壁20aと、左壁20b及び右壁20cと、先端側壁20dとを備えている。
【0039】
前側傾動壁20aは、細幅長手平板状に形成されており、この前側傾動壁20aは、図2、図3、図5及び図7のいずれかにて示すごとく、その基端部21にて、筒状周壁11の前側対向壁部11aの上端部と一体的に形成されて、当該基端部21から前後方向に傾動可能に延出している。このことは、前側傾動壁20aが、筒状周壁11の前側対向壁部11aに対し前後方向へ傾動可能となるように、当該前側対向壁部11aと一体的に形成されていることを意味する。
【0040】
ここで、当該前側傾動壁20aの基端部21と筒状周壁11の前側対向壁部11aの上端部との間の部位は、基端部21と前側対向壁部11aの上端部との境界部位をその内面側から外面近傍まで切り込むことで、薄く形成されて、前側傾動壁20aの筒状周壁11に対する前後方向への傾動を円滑にする前側ヒンジ部としての役割を果たす。但し、当該前側傾動壁20aの前後方向への傾動のうち後方への傾動は、上述の切り込みを前提に、前側傾動壁20aを筒状周壁11の前側対向壁部11aの上端部の直上に起立させる位置を限界とする。
【0041】
左壁20b及び右壁20cは、それぞれ、前側傾動壁20aの左右両側部からその内面方向へL字状に屈曲して一体的に延出されている。先端側壁20dは、前側傾動壁20aのうちその延出端部よりも内側部位にその幅方向に沿い一体的に形成されて、当該内側部位から前側傾動壁20aの内面方向へL字状に屈曲して延出されている。これにより、当該先端側壁20dは、後述する両内壁部23、25と一体となって、これら両内壁部23、25と共にコ字状となるように構成されている。なお、前側傾動壁20aの内面方向は、左壁20b、右壁20c及び先端側壁20dの各幅方向に相当する。また、先端側壁20dは、後述する内壁部23の延出幅に一致するように延出している。
【0042】
左壁20bは、図3或いは図4にて示すごとく、外壁部22及び内壁部23を有している。なお、本第1実施形態では、以下、外壁部22及び内壁部23は、それぞれ、左外壁部22及び左内壁部23ともいう。
【0043】
左外壁部22及び左内壁部23は、上述のごとく、左壁20bに相当することから、これら左外壁部22及び左内壁部23は、左壁20bと同様に前側傾動壁20aの左側部から当該前側傾動壁20aに直交してその内面方向へ一体的に延出されている。
【0044】
ここで、前側傾動壁20aの左側部は、左外縁部と、この左外縁部にその右側から沿う左内縁部とでもって構成されていることから、左外壁部22は、その幅方向(高さ方向)には、前側傾動壁20aの上記左外縁部からその内面方向へL字状に屈曲して一体的に延出されている。
【0045】
また、当該左外壁部22は、その長手方向には、前側傾動壁20aの筒状周壁11の前側対向壁部11aの上端部側から当該前側傾動壁20aの延出方向に沿い延出されている。換言すれば、当該左外壁部22は、その長手方向には、前側傾動壁20aのその長手方向基端部から長手方向延出端部にかけて延出されている。なお、左外壁部22の延出幅(左壁20bの幅方向(高さ方向)に沿う幅)は、左壁20bの延出幅と同一である。
【0046】
また、左内壁部23は、その幅方向(高さ方向)には、左外壁部22にその内側(右側)から沿うように前側傾動壁20aの上記左内縁部から当該前側傾動壁20aに直交してその内面方向へ一体的に延出されている。また、当該左内壁部23は、その長手方向には、左外壁部22にその内側から沿うように、先端側壁20dの左縁部から前側傾動壁20aの基端部21に向けて(当該前側傾動壁20aや左外壁部22とは逆の方向に向けて)、第1所定長さだけ、延出している(図3参照)。
【0047】
ここで、上記第1所定長さは、先端側壁20dと前側傾動壁20aの長手方向基端部21よりもその延出側の所定部位(以下、前側傾動壁所定部位ともいう)との間の長さに相当する。また、左内壁部23の延出幅(左外壁部22の幅方向(高さ方向)に沿う幅)は、左外壁部22の延出幅(延出高さ)の半分となっている。
【0048】
右壁20cは、図2、図3、図4及び図7のいずれかにて示すごとく、外壁部24及び内壁部25を有している。なお、本第1実施形態では、以下、外壁部24及び内壁部25は、右外壁部24及び右内壁部25ともいう。
【0049】
右外壁部24及び右内壁部25は、上述のごとく、右壁20cに相当することから、これら右外壁部24及び右内壁部25は、右壁20cと同様に前側傾動壁20aの右側部から当該前側傾動壁20aに直交してその内面方向へ一体的に延出されている。従って、右外壁部24及び右内壁部25は、それぞれ、左外壁部22及び左内壁部23に平行に対向している。
【0050】
ここで、前側傾動壁20aの右側部は、右外縁部と、この右外縁部にその左側から沿う右内縁部でもって構成されていることから、右外壁部24は、その幅方向(高さ方向)には、前側傾動壁20aの上記右外縁部から当該前側傾動壁20aに直交してその内面方向へ一体的に延出されている。また、当該右外壁部24は、その長手方向には、筒状周壁11の前側対向壁部11aの上端部側から前側傾動壁20aの延出方向に沿い延出されている。なお、右外壁部24の延出幅は、右壁20cの延出幅及び左外壁部22の延出幅と同一である。
【0051】
また、右内壁部25は、その幅方向(高さ方向)には、右外壁部24にその内側(左側)から沿うように前側傾動壁20aの上記右内縁部から当該前側傾動壁20aに直交してその内面方向へ一体的に延出されており、当該右内壁部25は、その長手方向には、右外壁部24にその左側から沿うように、先端側壁20dの右縁部から前側傾動壁20aの基端部21側に向けて(左内壁部23の延出方向と同一方向に向けて)、上記第1所定長さだけ、延出している(図3参照)。ここで、右内壁部25の延出幅は、左内壁部23の延出幅と同一である。
【0052】
また、当該前側ケーシング20は、図2或いは図3にて示すごとく、後述する係合部30gと共にファスナーを構成する被係合部20eを有しており、この被係合部20eは、前側ケーシング部材20の前側傾動壁20aの延出先端部及び先端側壁20dに形成されている。
【0053】
当該被係合部20eは、U字状ブロック部26と、操作部27とを備えており、U字状ブロック部26は、前側傾動壁20aの先端側壁20dからの長手方向延出端部及び先端側壁20dのうち左内壁部23及び右内壁部25の間に対する対応部の双方に一体的に形成されている。これにより、当該ブロック部26は、左外壁部22及び右外壁部24の間にて、先端側壁20dからの前側傾動壁20aの長手方向延出端部から前側傾動壁20aの内面側に向けて突出するとともに先端側壁20dから前側傾動壁20aの延出方向に突出するように形成されている。
【0054】
ここで、当該ブロック部26は、その前側傾動壁20aの内面側への突出端面から前側傾動壁20aの上記長手方向延出端部に向けて、前側傾動壁20aの長手方向において断面U字状となるように形成されている。これにより、当該ブロック部26は、その開口部26aにて、先端側壁20dの延出方向(高さ方向)に開口して、当該開口部26a内に後述する係合部30gの爪部33を係合させ得るようになっている。
【0055】
U字状ブロック部26は、隆起部26b(図7参照)を有しており、この隆起部26bは、U字状ブロック部26aの開口部26aのうち前側傾動壁20aの延出方向側の部位から前側傾動壁20aの延出方向とは逆方向に隆起するように形成されている。なお、ブロック部26の底部に貫通状に形成してなる孔部26cは、射出成形上必要とされる孔部である(図7参照)。
【0056】
操作部27は、連結部27aと、この連結部27aの両端部から前側傾動壁20aの延出先端部に向けL字状に屈曲して延出する両腕部27bとでもって、コ字状に構成されており、当該操作部27は、その連結部27a及び両腕部27bにて、ブロック部26から前側傾動壁20aの延出方向に突出するように一体的に形成されている。
【0057】
但し、連結部27aは、U字状ブロック部26の開口部26aのうち前側傾動壁20aの延出方向側の部位から前側傾動壁20aの延出方向に突出するように形成されている。両腕部27bは、連結部27aから前側傾動壁20aの長手方向延出先端部側へ延出するように、U字状ブロック部26の左右両縁部から前側傾動壁20aの延出方向に突出形成されており、当該両腕部27bは、連結部27a側から前側傾動壁20aの長手方向延出先端部側にかけて、先端側壁20dに近づくように傾斜状に形成されている。
【0058】
また、操作部27は、滑り止め部27cを有しており、この滑り止め部27cは、連結部27aからその左右方向に延在するように前側傾動壁20aの長手方向延出先端部とは反対側へ半円柱状に隆起形成されている。
【0059】
後側ケーシング部材30は、図1〜図3及び図5〜図7のいずれかにて示すごとく、後側傾動壁30aと、後述する副左壁部30e及び副右壁部30fと共に左壁及び右壁を構成する主左壁部30b及び主右壁部30cと、先端側壁30dとを備えている。
【0060】
後側傾動壁30aは、細幅長手平板状に形成されており、当該後側傾動壁30aは、前側ケーシング部材20の前側傾動壁20aに対向し得るように、その基端部31にて、筒状周壁11の後側対向壁部11bの上端部と一体的に形成されて、当該基端部31から前後方向に傾動可能に延出している。このことは、後側傾動壁30aが、筒状周壁11の後側対向壁部11bに対し前後方向へ傾動可能となるように、当該後側対向壁部11bと一体的に形成されていることを意味する。なお、後側傾動壁30aの延出長さは、前側傾動壁20aの延出長さと同一である。
【0061】
ここで、当該後側傾動壁30aの基端部31と筒状周壁11の後側対向壁部11bの上端部との間の部位は、基端部31と後側対向壁部11bの上端部との境界部位をその内面側から外面近傍まで切り込むことで、薄く形成されて、当該後側傾動壁30aの前後方向への傾動を円滑にする後側ヒンジ部としての役割を果たす。但し、当該後側傾動壁30aの前後方向への傾動のうち前方への傾動は、上述の切り込みを前提に、後側傾動壁30aを筒状周壁11の後側対向壁部11bの上端部の直上に起立させる位置を限界とする。
【0062】
主左壁部30bは、その幅方向(高さ方向)には、前側ケーシング部材20の左内壁部23に対向し得るように、後側傾動壁30aの左内縁部から当該後側傾動壁30aに直交してその内面方向へ一体的に延出されており、当該主左壁部30bは、その長手方向には、後側傾動壁30aの上記左内縁部に沿い当該後側傾動壁30aの長手方向延出先端部から基端部31に向けて延出している。但し、当該主左壁部30bは、その先端側壁30d(後述する)に対する対応部位から後側傾動壁30aの基端部31に向けて、第2所定長さだけ、延出している。
【0063】
ここで、上記第2所定長さは、先端側壁30dと筒状周壁11の後側対向壁部11bの上端部よりも後側傾動壁30aのうちその基端部31よりも延出側の所定部位(以下、後側傾動壁所定部位ともいう)との間の長さに相当する。また、後側傾動壁30aの左側部は、前側傾動壁20aの左外縁部及び左内縁部にそれぞれ対応する左外縁部及び左内縁部でもって構成されている。
【0064】
従って、上述した後側傾動壁30aの左内縁部は、後側傾動壁30aの左側部のうちの左内縁部に相当する。これに伴い、後側傾動壁30aの左外縁部は、主左壁部30bよりも左側へ延出している。また、当該後側傾動壁30aの左外縁部(以下、左外縁部Pともいう)は、その後側傾動壁30aの長手方向延出端側部位に対する対応部位から左側に所定幅だけさらに延出する部位にて、爪引っ掛け部P1として形成されている(図3参照)。なお、本第1実施形態において、上記後側傾動壁所定部位は、上記前側傾動壁所定部位に対応する。
【0065】
また、主右壁部30cは、その幅方向(高さ方向)には、前側ケーシング部材20の右内壁部25に対向し得るように、後側傾動壁30aの右内縁部から当該後側傾動壁30aに直交してその内面方向へ一体的に延出されており、当該主右壁部30cは、その長手方向には、後側傾動壁30aの右内縁部に沿い当該後側傾動壁30aの長手方向延出先端部から基端部31に向けて(後側傾動壁30aの延出方向とは逆の方向に向けて)延出している。但し、当該主右壁部30cは、その先端側壁30dに対する対応部位から後側傾動壁30aの基端部31に向けて、上記第2所定長さだけ、延出している。なお、上記後側傾動壁所定部位は、上述のごとく、上記前側傾動壁所定部位に対応するから、上記第2所定長さは上記第1所定長さと同一である。
【0066】
ここで、後側傾動壁30aの右側部は、前側傾動壁20aの右外縁部及び右内縁部にそれぞれ対応する右外縁部及び右内縁部でもって構成されている。従って、上述した後側傾動壁30aの右内縁部は、後側傾動壁30aの右側部のうちの右内縁部に相当する。これに伴い、後側傾動壁30aの右外縁部は、主右壁部30cよりも右側へ延出している。また、当該後側傾動壁30aの右外縁部(以下、右外縁部Qともいう)は、その後側傾動壁30aの延出端側部位に対する対応部位から右側に所定幅だけさらに延出する部位にて、爪引っ掛け部Q1として形成されている(図3参照)。
【0067】
なお、主左壁部30b及び主右壁部30cの各延出幅(各延出高さ)は、それぞれ、前側ケーシング部材20の左外壁部22及び右外壁部24の半分、換言すれば、左内壁部23及び右内壁部25の各延出幅(各延出高さ)と同一である。
【0068】
また、先端側壁30dは、前側ケーシング部材20の先端側壁20dに対向し得るように、後側傾動壁30aのうちその延出先端部よりも内側部位から当該後側傾動壁30aに直交してその内面方向へ一体的に延出されている。なお、先端側壁30dの延出幅(延出高さ)は、主左壁部30b及び主右壁部30cの各延出幅(各延出高さ)と同一である。
【0069】
さらに、当該後側ケーシング部材30は、図2或いは図3にて示すごとく、棒状工具Dの把持部をその上側部位にて保持する保持部材としての役割を果たす副左壁部30e及び副右壁部30fを備えている。副左壁部30eは、主左壁部30bと筒体10の筒状周壁11の左側対向壁部11cとの間に位置するように、後側傾動壁30aの基端部31の左側部からその内面方向へ延出されており、一方、副右壁部30fは、主右壁部30cと筒状周壁11の右側対向壁部11dとの間に位置するように、後側傾動壁30aの基端部31の右側部からその内面方向へ延出されている。
【0070】
詳細には、副左壁部30eは、後側傾動壁30aの基端部31において当該後側傾動壁30aの左側部のうち左内縁部及びその右側近傍部位の双方に対応する部位からその内面方向へ延出されている。一方、副右壁部30fは、後側傾動壁30aの基端部31において当該後側傾動壁30aの右側部のうち右内縁部及びその左側近傍部位の双方に対応する部位からその内面方向へ延出されている。
【0071】
ここで、副左壁部30e及び副右壁部30fは、それぞれ、その長手方向には、筒状周壁11の前側対向壁部11aの左右両端部から主左壁部30b及び主右壁部30cの各延出端部に向けて延出している。また、副左壁部30e及び副右壁部30fは、それぞれ、その幅方向には、前側ケーシング部材20の左外壁部22及び右外壁部24の各延出幅よりも幾分狭い幅にて延出している。
【0072】
従って、副左壁部30eは、主左壁部30b及びこの主左壁部30bに対向する左内壁部23とともに、左外壁部22にその内側(右側)から沿って位置し、当該左外壁部22と相まって二重壁構造を構成する。一方、副右壁部30fは、主右壁部30c及びこの主右壁部30cに対向する右内壁部25とともに、右外壁部24にその内側(左側)から沿って位置し、当該右外壁部24と相まって二重壁構造を構成する。
【0073】
また、副左壁部30e及び副右壁部30fの各延出形状は、図9にて示すごとく、縦断面楔状となっている。換言すれば、副左壁部30e及び副右壁部30fは、それぞれ、その延出基端部から延出先端部にかけて末すぼまり状に形成されている。従って、これら副左壁部30e及び副右壁部30fの各対向面の間隔は、当該副左壁部30e或いは副右壁部30fの延出基端部から延出先端部にかけて緩やかに広くなるように形成されている。
【0074】
これは、棒状工具の副左壁部30e及び副右壁部30fの間への挿入が、副左壁部30e及び副右壁部30fの弾力に抗して容易になされるようにするためである。従って、副左壁部30e及び副右壁部30fの各延出先端部間の間隔は、棒状工具の外径(例えば、最大外径)よりも幾分小さくなっている。
【0075】
これに伴い、副左壁部30e及び副右壁部30fの各延出基端部間の間隔は、上述の各延出先端部間の間隔よりも狭くなるが、この間隔は、副左壁部30e及び副右壁部30fの弾力に抗して棒状工具を副左壁部30e及び副右壁部30fの間に容易に挿入し得る程度である。なお、図9において、各符号32a、32bは、副左壁部30e及び副右壁部30fに形成してなる射出成形に必要な盗み部を示す。
【0076】
また、副左壁部30eは、その右側面幅方向中間部位(右側面高さ方向中間部位)にて、左側へ向けて緩やかな凹状断面となるように、幅方向(高さ方向)に沿い左挟持部33a(図9参照)として形成されている。一方、副右壁部30fは、その左側面幅方向中間部位(左側面高さ方向中間部位)にて、右側へ向けて緩やかな凹状断面となるように、幅方向(高さ方向)に沿い右挟持部33b(図9参照)として形成されている。これにより、左挟持部33a及び右挟持部33bは、その弾力により、その間に、棒状工具の把持部をその上側部位にて挟持する役割を果たす。
【0077】
以上のように構成のもと、前側ケーシング部材20の左内壁部23、右内壁部25及び先端側壁20dは、前側傾動壁20aを底壁としてコ字状空所を形成し、一方、後側ケーシング部材30の主左壁部30b及び副左壁部30eは、主右壁部30c及び副右壁部30f並びに先端側壁30dとともに、後側傾動壁30aを底壁としてコ字状空所を形成する。このことは、前側ケーシング部材20及び後側ケーシング部材30が、筒体10と共に、棒状工具を収容するためのケーシングS(図1参照)を構成することを意味する。
【0078】
また、後側ケーシング部材30は、図3、図5或いは図7にて示すごとく、前側ケーシング部材20の被係合部20eと係合するための係合部30gを備えている。この係合部30gは、ピン状爪部33を有しており、当該爪部33は、その軸方向両端部にて、先端側壁30dの延出端部から後側傾動壁30aの延出方向へ所定間隔をおいて、先端側壁30dの延出端部に平行となるように、主左壁部30b及び主右壁部30cの各延出端部上に一体的に形成されている。これにより、係合部30gは、爪部33にて、被係合部20eの開口部26a内に係合可能となっている。
【0079】
なお、逃がし孔部34が、図3にて示すごとく、当該爪部33と先端側壁30dの延出端部との間に形成されている。爪部33を被係合部20eの開口部26a内に係合させるにあたり、この逃がし孔部34は、その内部に当該開口部26aのうち先端側壁20d側部位を進入させて、爪部33の開口部26a内への係合を円滑にする役割を果たす。
【0080】
以上のように構成した本第1実施形態において、当該工具容器を構成する筒体10及び前後両側ケーシング部材20、30は、上述のごとく、共に、合成樹脂射出成形機による射出成形でもって、一体的に形成されている。従って、当該工具容器が、二つ割り構成からなる前後両側ケーシング部材20、30を有効に活用して、まとまりよくコンパクトに構成され得る。
【0081】
また、上述のように構成した当該工具容器が、例えば、図1にて示す状態にあるものとする。このとき、後側ケーシング部材30の先端側壁30d、主左壁部30b及び主右壁部30cが、それぞれ、前側ケーシング部材20の先端側壁20d、左内壁部23及び右内壁部25に係合するとともに、後側ケーシング部材30の副左壁部30e及び副右壁部30fが、左内壁部23及び右内壁部25と筒体10の周壁11の左側対向壁部11c及び右側対向壁部11dとの間にて前側ケーシング部材20の前側傾動壁20aの基端部21に狭隙を介して対向する。
【0082】
これにより、前側ケーシング部材20及び後側ケーシング部材30が、筒体10と共に、上述のごとく、ケーシングSを閉じている。なお、現段階では、棒状工具Dが当該工具容器内には収容されていないものとする。
【0083】
このとき、前側ケーシング部材20の先端側壁20d、左内壁部23及び右内壁部25が、その各延出端部にて構成するコ字状開口部にて、後側ケーシング部材30において先端側壁30d、主左壁部30b及び主右壁部30cの各延出端部にて構成されるコ字状開口部を閉じている。また、前側ケーシング部材30の左外壁部22が、後側ケーシング部材30の主左壁部30bにその外面(左側面)から摺接しながら後側ケーシング部材30の後側傾動壁30aの左壁部Pに一様に係合するとともに、前側ケーシング部材30の右外壁部23が、後側ケーシング部材30の主右壁部30cにその外面(右側面)から摺接しながら後側ケーシング部材30の後側傾動壁30aの右壁部Qに一様に係合している。なお、副左壁部30e及び副右壁部30fは、左外壁部22と右外壁部24との間に位置している。
【0084】
このことは、前側ケーシング部材20が、左右両壁20b、20cでもって、後側ケーシング部材30の主左壁部30b、主右壁部30c、副左壁部30e及び副右壁部30fとともに、上述した二重壁構造を構成していることを意味する。
【0085】
また、このような状態においては、後側ケーシング部材30の係合部30gは、前側ケーシング部材20の被係合部20eとの間にて次のように係合している。
【0086】
即ち、係合部30gの爪部33が、被係合部20eの開口部26a内に隆起部26bを介しその弾力に抗して係合されている。これにより、係合部30gは、被係合部20e内にしっかりと係合している。このことは、係合部30g及び被係合部20eが当ファスナとして前側ケーシング部材20と後側ケーシング部材30との間の係合状態を維持すべくロックする役割を果たすことを意味する。
【0087】
このような状態で準備されている当該工具容器内への棒状工具Dの収容は次のようになされる。まず、当該工具容器において、その後側ケーシング部材30及び前側ケーシング部材20がその長手方向にて互いに逆方向に向いた状態で上下に水平状に位置するように、筒体10を、例えば、右手で把持する。
【0088】
このような状態において、左手の人差し指を前側ケーシング部材20の前側傾動壁20aの延出側部位にその下方から当てるとともに、左手の親指を被係合部20eの操作部27の連結部27aに滑り止め部27cを介し上方から当てる。
【0089】
このように左手の人差し指を前側傾動壁20aの延出側部位にその下方から当てるとともに左手の親指を操作部27の連結部27aに滑り止め部27cを介し上方から当てた状態にて、左手の親指によりその下方の人差し指側に向けて操作部27の連結部27aを押さえ込む。このとき、この連結部27aが滑り止め部27cを介して押さえ込まれるため、左手の親指が連結部27aから滑って外れることなく当該連結部27aを確実に押さえ込むことができる。
【0090】
このような押さえ込みに伴い、操作部27がその弾力に抗して前側傾動壁20aの延出先端部を基準に撓み、ブロック部26が、その開口部26aをその弾力に抗して前側傾動壁20aの延出方向側へ開くように撓む。これにあわせて、右手の親指及び人差し指でもって後側ケーシング部材30をその延出端部側にて挟んで前側ケーシング部材20から離す方向に引っ張る。
【0091】
このとき、右手の親指及び人差し指の各爪を後側傾動壁30aの両爪引っ掛け部P1、Q1に引っ掛けるようにすることで、後側ケーシング部材30を前側ケーシング部材20から離す方向に確実に引っ張ることができる。
【0092】
以上のように、ブロック部26の開口部26aを開くのにあわせて、後側ケーシング部材30を前側ケーシング部材20から離す方向に引っ張ることで、係合部30gの爪部33をブロック部26の開口部26aから脱出させることができる。これにより、係合部30gの被係合部30eとの係合を解離することができる。このことは、係合部30g及び被係合部20eが、前側ケーシング部材20と後側ケーシング部材30との間の係合を解離すべく、ファスナーとしてのロックを解除する役割を果たすことを意味する。
【0093】
このように係合部30gの被係合部20eとの係合を解離した後は、筒体10を右手の親指と人差し指で把持した状態で、左手の指でもって前側ケーシング部材20及び後側ケーシング部材30を、それぞれ、筒体10の周壁11の前側対向壁部11a及び後側対向壁部11bに対し上記前側ヒンジ部及び後側ヒンジ部を基準として、互いに離れる方向に傾動させる。これにより、当該工具容器を、図10にて示すごとく、前側ケーシング部材20及び後側ケーシング部材30でもって開くことができる。
【0094】
このとき、当該工具容器が、上述のごとく、筒体10並びに二つ割り構成からなる前側ケーシング部材20及び後側ケーシング部材30でもって一体的に形成されているから、上述のように筒体10を基準に前側ケーシング部材20及び後側ケーシング部材30を傾動させるという簡単な操作でもって当該工具容器をコンパクトな形状を維持しつつ容易に開くことができる。
【0095】
しかして、このように当該工具容器を開いた状態において、筒体10をその上方に向けて開口するように右手の親指及び人差し指で把持して、左手の親指及び人差し指でもって棒状工具Dの把持部を把持しながら当該棒状工具Dをその下側部位から筒体10内に各突出壁13の突出端部の間に挿入する(図10参照)。これにより、当該棒状工具Dをその基端部側から筒体10内に収容することができる。このとき、当該棒状工具Dは、その先端部側にて、筒体10から延出した状態にある。
【0096】
このような段階において、右手の親指及び人差し指により筒体10を上方に向け開口させるように把持しながら、後側ケーシング部材30を、左手の指でもって、上述の傾動方向とは逆方向に傾動させて、筒体10の周壁11の後側対向壁部11b上に起立させる。
【0097】
このような起立過程において、棒状工具Dの先端側部位が、後側ケーシング部材30の主左壁部30bと主右壁部30cとの間に進入しつつ、当該棒状工具Dの把持部が、その上側部位にて、後側ケーシング部材30の副左壁部30e及び副右壁部30fの間にこれら副左壁部30e及び副右壁部30fの各弾力に抗して進入する。これに伴い、当該棒状工具Dの把持部が、その上側部位にて、副左壁部30eの左挟持部33a及び副右壁部30fの右挟持部33bによりその間に挟持される。
【0098】
ここで、副左壁部30e及び副右壁部30fの各対向面の間隔が、上述のように、当該副左壁部30e或いは副右壁部30fの延出基端部から延出先端部にかけて緩やかに広くなるように形成されている。従って、棒状工具Dの把持部の上側部位が後側ケーシング部材30の副左壁部30e及び副右壁部30fの間に円滑に進入し得る。
【0099】
また、副左壁部30eの左挟持部33a及び副右壁部30fの右挟持部33bは、上述したごとく、互い離れる方向に凹状に形成されている。従って、棒状工具Dの把持部が、その上側部位にて、左挟持部33a及び右挟持部33bによりその間にしっかりと保持され得る。
【0100】
以上により、工具容器Dは、その先端側部位にて、後側ケーシング部材30のコ字状空所内にしっかりと保持され得る(図11参照)。
【0101】
従って、このように棒状工具Dを収容してなる当該工具容器を動かしたりしても、棒状工具Dが、左壁部30e及び副右壁部30fによる挟持のもと、工具容器内にて移動したりすることもなく、しっかりと保持され得る。よって、後述のようにケーシングSを閉じても、棒状工具Dの軸方向先端部がケーシングSの内壁との衝突により破損することがない。
【0102】
然る後は、前側ケーシング部材20を、上述とは逆に、後側ケーシング部材30に向けて傾動させる。これに伴い、前側ケーシング部材20の左外壁部22が、後側ケーシング部材30の主左壁部30bにその外面(左面)に沿い摺接しながら後側傾動壁30aの左外縁部Pに向けて傾動するとともに、前側ケーシング部材20の右外壁部24が、後側ケーシング部材30の主右壁部30cにその外面(右面)に沿い摺接しながら後側傾動壁30aの右外縁部Qに向けて傾動する。
【0103】
これに伴い、前側ケーシング部材20の左内壁部23が後側ケーシング部材30の主左壁部30bに向けて傾動するとともに、前側ケーシング部材20の右内壁部25が後側ケーシング部材30の主右壁部30cに向けて傾動する。このとき、前側ケーシング部材20の前側傾動壁20aの基端部21が、後側ケーシング部材30の副左壁30e及び副右壁30fに向けて傾動する。
【0104】
このような前側ケーシング部材20の傾動に伴い、前側ケーシング部材20の左外壁部22及び右外壁部24が、後側ケーシング部材30の後側傾動壁30aの左外縁部P及び右外縁部Qに係合し、前側ケーシング部材20の左内壁部23及び右内壁部25がその各延出端部にて後側ケーシング部材30の後側ケーシング部材30の主左壁部30b及び主右壁部30cの各延出端部に係合し、かつ、前側ケーシング部材20の前側傾動壁20aの基端部21が、後側ケーシング部材30の副左壁30e及び副右壁30fの各延出端部に狭隙を介して対向する。
【0105】
また、このような段階においては、前側ケーシング部材20の後側ケーシング部材30への傾動にあわせて、後側ケーシング部材30の係合部30gが、その爪部33でもって、前側ケーシング部材20の被係合部20eの開口部26a内にその弾力に抗して係合する。
【0106】
これに伴い、前側ケーシング部材20において前側傾動壁20aを底壁として左内壁部23、右内壁部25及び先端側壁20dにより形成されるコ字状空所が、後側ケーシング部材30において後側傾動壁30aを底壁として主左壁部30b及び副左壁部30eからなる左壁、主右壁部30c及び副右壁部30fからなる右壁並びに先端側壁30dにより形成されるコ字状空所を閉じる。なお、係合部30gの爪部33が、上述のように被係合部20eの開口部26a内に係合する際には、当該爪部33が、隆起部26bの弾力に抗して進入した後は、当該隆起部26bがその弾力により原位置に戻るため、爪部33は、開口部26a内にしっかりと保持され得る。
【0107】
以上により、上述の前側及び後側の両ケーシング部材20、30が、筒体10と共に、棒状工具Dをしっかりと収容してケーシングSを閉じる。換言すると、当該工具容器によれば、前後両側ケーシング部材20、30からなる二つ割り構成を有効に活用して、棒状工具Dを移動不能に簡単に収容することができる。
【0108】
ここで、前側ケーシング部材20が、上述したごとく、左右両壁20b、20cでもって、後側ケーシング部材30の主左壁部30b、主右壁部30c、副左壁部30e及び副右壁部30fとともに、上述した二重壁構造を構成している。従って、このような二重壁構造のもとに、棒状工具DがケーシングS内にて密封されることとなる。その結果、棒状工具Dに油が付着していても、この油が当該工具容器から漏れ出ることがなく、また、異物が当該工具容器の外部からがケーシングS内に混入することもない。
【0109】
また、上述のような二重壁構造のもと、上述のごとく、前側ケーシング部材20の左外壁部22及び右外壁部24が、後側ケーシング部材30の後側傾動壁30aの左外縁部P及び右外縁部Qに係合し、前側ケーシング部材20の左内壁部23及び右内壁部25がその各延出端部にて後側ケーシング部材30の後側ケーシング部材30の主左壁部30b及び主右壁部30cの各延出端部に係合している。
【0110】
従って、当該工具容器は、外力によっては容易には変形しにくい強度を維持することとなる。その結果、当該工具容器がその前側傾動壁20a或いは後側傾動壁30aにて例えば作業台上に長手状に沿うように置かれた状態にて、当該工具容器を、その上側から下方に向けて指で押さえ込んでも、当該工具容器は潰れる等の変形を生じることなく上記外力に対し高い強度を確保し得る。
【0111】
また、上述のように工具容器内に収容した棒状工具Dを当該工具容器から取り出すにあたっては、前側ケーシング部材20及び後側ケーシング部材30を筒体10に対し上述と同様に互いに逆方向へ傾動させてケーシングSを開いた後に、棒状工具Dを筒体10から取り出せばよい。
【0112】
また、上述のごとく、当該工具容器が、筒体10、前側ケーシング部材20及び後側ケーシング部材30でもって一体的に構成されているので、ケーシングSを閉じたり開いたりする過程において、前側ケーシング部材20や後側ケーシング部材30が筒体10から外れたりすることもない。
(第2実施形態)
図12及び図13は、本発明に係る工具容器の第2実施形態を示している。この第2実施形態では、上記第1実施形態にて述べた後側ケーシング部材30において、後側傾動壁30aの左外縁部P及び右外縁部Qが、上記第1実施形態とは異なり、それぞれ、爪引っ掛け部P1及び爪引っ掛け部Q1を廃止された構成となっている。
【0113】
また、上記第1実施形態にて述べた前側ケーシング20及び後側ケーシング部材30が、上記第1実施形態とは異なり、それぞれ、被係合部20e及び係合部30gに代えて、被係合部20f及び係合部30hを設けた構成となっている。このことは、本第2実施形態では、前側ケーシング20及び後側ケーシング部材30が、上記第1実施形態とは異なり、被係合部20f及び係合部30hにて、ファスナーを構成することを意味する。
【0114】
なお、本第2実施形態においては、前側ケーシング部材20の左内壁部23及び右内壁部25の前側傾動壁20aからの各幅方向延出長さは、上記第1実施形態とは異なり小さくなっており、他側ケーシング部材30の左右両壁30b、30cの後側傾動壁30aからの各幅方向延出長さは、上記第1実施形態とは異なり大きくなっている。但し、前側ケーシング部材20の左外壁部22及び右外壁部24の前側傾動壁20aからの幅方向延出長さは、左内壁部23及び右内壁部25の前側傾動壁20aからの各々の幅方向延出長さと左右両壁30b、30cの後側傾動壁30aからの各々の幅方向延出長さとの和になっている。
【0115】
本第2実施形態において、左外縁部P及び右外縁部Qにおいて、それぞれ、爪引っ掛け部P1及び爪引っ掛け部Q1を廃止したのは以下の根拠に基づく。
【0116】
即ち、上記第1実施形態にて述べたように、後側傾動壁30aの左外縁部Pは主左壁部30bよりも左側へ延出しており、後側傾動壁30aの右外縁部Qは、主右壁部30cよりも右側へ延出している(図2及び図3或いは図14〜図16参照)。そこで、本第2実施形態では、これら左外縁部P及び右外縁部Qを、それぞれ、爪引っ掛け部P1及び爪引っ掛け部Q1として兼用することとしたことによる。
【0117】
被係合部20fは、図12〜図19のいずれかにて示すごとく、上記第1実施形態にて述べた前側ケーシング部材20の先端側壁20dに、上記第1実施形態にて述べた被係合部20eに代えて、当該被係合部20eの形成材料と同一の材料でもって、一体的に形成されている。但し、本第2実施形態においては、先端側壁20dは、上記第1実施形態とは異なり、前側傾動壁20aの延出端部からその内面方向へL字状に屈曲して延出して、両内壁部23、25と共にコ字状となるように構成されている。
【0118】
当該被係合部20fは、基部28及び操作部29により、くの字片状にかつ一体的に形成されている。基部28は、先端側壁20dの延出端部から一体的に延出されている。ここで、当該基部28の先端側壁20dの延出端部からの延出基部は、図18にて例示するごとく、薄肉状となるように薄く形成されている。これにより、当該基部28は、その厚さ方向(図18にて図示左右方向)に揺動可能となっている。
【0119】
また、当該基部28は、貫通孔部28aを有しており、この貫通孔部28aは、後述する係合部30hの爪部36を係合させるように、基部28の延出端部近傍に貫通状に形成されている。
【0120】
操作部29は、基部28の延出端部から前側傾動壁20aの裏面側(図18にて図示左側)へ折れ曲がるように延出されて、基部28と共に、被係合部20fを縦断面「くの字」状に構成している。
【0121】
一方、係合部30hは、図12〜図18及び図20のいずれかにて示すごとく、上記第1実施形態にて述べた後側ケーシング部材30の先端側壁30dに、上記第1実施形態にて述べた係合部30gに代えて、当該係合部30gの形成材料と同一の材料でもって、一体的に形成されている。但し、本第2実施形態においては、先端側壁30dは、上記第1実施形態とは異なり、先端側壁20dに対向し得るように、後側傾動壁30aの延出端部からその内面方向へL字状に屈曲して延出して、左右両側壁30b、30cと共にコ字状となるように構成されている。
【0122】
係合部30hは、基部35及び爪部36により、L字片状にかつ一体的に形成されている。基部35は、先端側壁30dの幅方向中間部位(高さ方向中間部位)から後側傾動壁30aの延出方向に沿い一体的に延出されている。また、爪部36は、基部35の延出端部から後側傾動壁30aの裏面側(図18にて図示左側)へL字状に屈曲して延出されている。
【0123】
ここで、係合部30hは、基部35及び爪部36を撓み不能にL字状に維持するように、厚く形成されており、爪部36は、被係合部20fの貫通孔部28a内にその弾力に抗して嵌装可能な外形形状に形成されている。これにより、係合部30hは、その爪部36にて、被係合部20fの貫通孔部28a内に係脱可能に係合するようになっている。その他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0124】
以上のように構成した本第2実施形態において、上記第1実施形態と同様に、工具容器が、棒状工具Dを収容することなく、閉じた状態にあれば、前側ケーシング部材20及び後側ケーシング部材30が、筒体10と共に、上述のごとく、ケーシングSを閉じている(図12参照)。ここで、係合部30hが被係合部20fに係合していれば、その爪部36にて、被係合部20fの貫通孔部28a内にその弾力に抗して係脱可能にしっかりと係合している。
【0125】
このような段階において、棒状工具Dを当該工具容器内に収容するにあたり、係合部30hの被係合部20fからの解離は次のようにして行う。
【0126】
即ち、上記第1実施形態にて述べたと同様に、後側ケーシング部材30及び前側ケーシング部材20を上下に水平状に位置するように、筒体10を、例えば、右手で把持した状態にて、左手の人差し指を前側ケーシング部材20の前側傾動壁20aの延出側部位にその下方から当てるとともに、左手の親指を被係合部20fの操作部29にその上方(後側ケーシング部材30側)から当てる。
【0127】
このような状態にて、被係合部20fの操作部29をその上方から押し下げると、被係合部20fが、貫通孔部28aにて、その弾力に抗して係合部30hの爪部36から下方へ脱出する。これにより、被係合部20fを係合部30hから解離させることができる。
【0128】
然る後、後側ケーシング部材30をその延出端部側にて右手の親指と人差し指で挟んで前側ケーシング部材20から離す方向に引っ張る。このとき、右手の親指及び人差し指の各爪を、上記第1実施形態とは異なり、後側傾動壁30aの左外縁部P及び右外縁部Qに引っ掛けるようにすることで、後側ケーシング部材30を前側ケーシング部材20から離す方向に確実に引っ張ることができる。この場合、左外縁部P及び右外縁部Qが、上記第1実施形態にて述べた爪引っ掛け部P1及び爪引っ掛け部Q1とは異なり、後側傾動壁30aの全長に亘り延在しているので、親指及び人差し指の各爪を引っ掛ける部位が広くなって便利である。
【0129】
以上のようにして、被係合部20fを係合部30hから解離した後、ケーシングS、ひいては当該工具容器を開くことができる。
【0130】
然る後、上記第1実施形態と同様に、棒状工具Dを筒体10内に挿入した後、後側ケーシング部材30を、筒体10の周壁11の後側対向壁部11b上に起立させるように、傾動させる。すると、棒状工具Dの把持部が、その上側部位にて、上記第1実施形態と同様に、後側ケーシング部材30の副左壁部30e及び副右壁部30fの間にて挟持される。これに伴い、上記第1実施形態と同様に、前側ケーシング部材20を、後側ケーシング部材30に向けて傾動させれば、ケーシングSが棒状工具Dを移動不能に収容した状態で閉じる。
【0131】
然る後、前側ケーシング部材20の被係合部20fを、その操作部29にて、後側ケーシング部材30の係合部30hに向けて押せば、係合部30hの爪部36が、被係合部20fの貫通孔部28a内にその弾力に抗して挿入される。これにより、係合部30h及び被係合部20fが、しっかりと係脱可能に係合部30hと係合して、前側ケーシング部材20及び後側ケーシング部材30をその係合状態にて解除可能にロックするように、当該係合部30hと共にファスナーとしての役割を果たす。その結果、棒状工具Dは、上記第1実施形態と同様に、当該工具容器内に移動不能にしっかりと保持収容され得る。
【0132】
また、このように収容した棒状工具Dを当該工具容器から取り出すにあたっては、上記ファスナーのロックを解除して前側ケーシング部材20及び後側ケーシング部材30を筒体10に対し上述と同様に互いに逆方向へ傾動させてケーシングSを開いた後に、棒状工具Dを筒体10から取り出せばよい。本第2実施形態におけるその他の作用効果は、上記第1実施形態と同様である。
(第3実施形態)
図21〜図25は、本発明に係る工具容器の第3実施形態を示している。この第3実施形態では、上記第2実施形態にて述べた前側ケーシング部材20において、左壁20b及び右壁20cに代えて、左壁20g及び右壁20hが採用された構成となっている。
【0133】
これに伴い、本第3実施形態における前側ケーシング部材20は、左壁20g及び右壁20h、並びに上記第2実施形態にて述べた前側傾動壁20a及び被係合部20fでもって構成されている(図21参照)。
【0134】
ここで、左壁20gは、図21〜図23のいずれかにて示すごとく、左内壁部23a及び上記第2実施形態にて述べた左外壁部22でもって構成されており、左内壁部23aは、上記第2実施形態にて述べた左内壁部23に代えて、左外壁部22の内面に沿いその長手方向全長に亘り、前側傾動壁20aの左縁部からL字状に屈曲して延出されている。なお、左内壁部23aの延出高さは、左内壁部23の延出高さと同一である。
【0135】
また、右壁20hは、図21〜図23のいずれかにて示すごとく、右内壁部25a及び上記第2実施形態にて述べた右外壁部24でもって構成されており、右内壁部25aは、上記第2実施形態にて述べた右内壁部25に代えて、右外壁部24の内面に沿いその長手方向全長に亘り、前側傾動壁20aの右縁部からL字状に屈曲して延出されている。なお、右内壁部25aの延出高さは、右内壁部25の延出高さと同一である。
【0136】
また、本第3実施形態では、上記第2実施形態にて述べた後側ケーシング部材30において、左壁を構成する主左壁部30b及び副左壁部30eに代えて、左壁30iが採用され、右壁を構成する主右壁部30c及び副右壁部30fに代えて、右壁30jが採用されている(図21参照)。
【0137】
これに伴い、本第3実施形態における後側ケーシング部材30は、左壁30i及び右壁30j、並びに上記第2実施形態にて述べた後側傾動壁30a及び係合部30hでもって構成されている(図21参照)。
【0138】
ここで、左壁30iは、図21〜図23のいずれかにて示すごとく、上記第2実施形態にて述べた主左壁部30b及び副左壁部30eに代えて、後側傾動壁30aの左縁部からその長手方向全長に亘りL字状に屈曲して延出されている。なお、左壁30iの延出高さは、主左壁部30bの延出高さと同一である。
【0139】
また、右壁30jは、図21〜図23のいずれかにて示すごとく、上記第2実施形態にて述べた主右壁部30c及び副右壁部30fに代えて、後側傾動壁30aの右縁部からその長手方向全長に亘り、L字状に屈曲して延出されている。なお、右壁30jの延出高さは、主右壁部30cの延出高さと同一である。その他の構成は、上記第2実施形態と同様である。
【0140】
このように構成した本第3実施形態において、棒状工具Dを当該工具容器内に収容するにあたっては、上記第2実施形態と同様に、係合部30hを被係合部20fから解離した状態にて前側ケーシング部材20及び後側ケーシング部材30を筒体10に対し互いに逆方向に傾動させる(図25参照)。
【0141】
このような状態にて、棒状工具Dの把持部をその下側部位にて筒体10内に挿入する。然る後、前側ケーシング部材20及び後側ケーシング部材30を筒体10上に直立するように傾動させれば、後側ケーシング部材30が、その左壁30i及び右壁30jにて、前側ケーシング部材20の左外壁部22及び右外壁部24の各内面に沿いこれら左外壁部22及び右外壁部24の間に進入するとともに、先端側壁30dにて、左外壁部22及び右外壁部24の各長手方向延出端部の間に進入する。
【0142】
このような進入に伴い、後側ケーシング部材30の左壁30i、右壁30j及び先端側壁30dが、それぞれ、前側ケーシング部材20の左内壁部23a、右内壁部25a及び先端側壁20dに当接して、当該工具容器を閉じる。然る後、上記第2実施形態と同様に係合部30hを被係合部20fに係合させれば、棒状工具Dが当該工具容器を閉じた状態にて当該工具容器内に収容保持され得る。
【0143】
ここで、本第3実施形態においては、上記第2実施形態にて述べたような副左壁部30e及び副右壁部30fに相当する構成が採用されていない。このため、上述のように工具容器内に収容された棒状工具Dは、当該工具容器内にて、移動可能となっているが、当該工具容器内の棒状工具Dに対する収容空間を棒状工具Dの外径や軸長に合わせて設定すれば、棒状工具Dの工具容器内での移動は実用上の支障は殆どない。なお、本第3実施形態におけるその他の作用効果は、上記第2実施形態と同様である。
(第4実施形態)
図26及び図27は、本発明に係る工具容器の第4実施形態の要部を示している。この第4実施形態では、上記第3実施形態にて述べた後側ケーシング部材30において、保持部材30kを付加的に設けた構成が採用されている。
【0144】
当該保持部材30kは、図27にて示すごとく、後側傾動壁30aの形成材料と同一の材料でもって、横断面円弧形状に形成されており、当該保持部材30kは、後側ケーシング部材30の左壁30i及び右壁30jの各基端部の間にて後側傾動壁30aの基端部31と一体的に形成されている。この形成は、当該保持部材30kの底部33cを後側傾動壁30aの基端部31と一体的に形成することでなされている。
【0145】
ここで、当該保持部材30kの内面は、円弧面状に形成されており、この保持部材30kの左右両側端部33dは、当該保持部材30kの内面の内径よりも狭い間隔にて、互いに対向するように形成されている。これにより、棒状工具Dの把持部をその上側部位にて保持部材30kの左右両側端部33dを介しその弾力に抗して保持部材30k内に同軸的に保持し得るようになっている。その他の構成は、上記第3実施形態と同様である。
【0146】
このように構成した本第4実施形態によれば、棒状工具Dを工具容器内に収容するにあたり、棒状工具Dを、上記第3実施形態と同様に、その把持部の下側部位にて筒体10内に挿入した後、後側ケーシング部材30を筒体10上に直立させるように傾動させる。すると、この傾動に伴い、棒状工具Dの把持部が、その上側部位にて、保持部材30k内にその左右両側端部33dを介し弾力に抗して同軸的に保持される。
【0147】
これにより、棒状工具Dは、上記第3実施形態にて述べたように工具容器内に収容されたとき保持部材30kにより移動不能に保持され得る。その他の構成は、上記第3実施形態と同様である。
【0148】
なお、本発明の実施にあたり、工具容器の形成材料は、上記各実施形態にて述べたポリプロピレンに限ることなく、各種の合成樹脂材料であってもよい。
【0149】
また、本発明の実施にあたり、後側ケーシング部材30の副左壁部30e及び副右壁部30fは、上記第1或いは第2の実施形態にて述べた構成に限ることなく、前側傾動壁20a及び後側傾動壁30aの各基端部21、31の少なくとも一方から他方に向けて、棒状工具Dの把持部を移動不能に保持し得るような保持部材として一体的に突出する構成としてもよい。なお、当該保持部材は、前側ケーシング部材20及び後側ケーシング部材30の少なくとも一方の構成の一部として把握してもよく、また、前側ケーシング部材20及び後側ケーシング部材30には含まれない概念として把握してもよい。
【0150】
また、本発明の実施にあたり、上記第1実施形態にて述べた前側ケーシング部材20の左内壁部23及び右内壁部25の前側傾動壁20aからの各幅方向延出長さ及び後側ケーシング部材30の左右両壁30b、30cの後側傾動壁30aからの各幅方向延出長さは、上記第1実施形態とは異なり、その双方の和において、前側ケーシング部材20の左外壁部22及び右外壁部24の前側傾動壁20aからの各幅方向延出長さになっておればよく、これにより、ケーシングSを密封状に閉じることができる。
【0151】
また、本発明の実施にあたり、上記第1或いは第2実施形態において、図27にて示す保持部材30kを、副左壁部30e及び副右壁部30fに代えて、主左壁部及び主右壁部と筒体10の開口端部との間にて、後側傾動壁30aの基端部上に一体的に形成するようにしてもよい。この場合、図27にて示す保持部材の左右方向長さは、副左壁部30e及び副右壁部30fの左右方向間隔に等しくすればよい。
【0152】
また、本発明の実施にあたり、上記第1或いは第2実施形態において、副左壁部30e及び副右壁部30fを廃止し、かつ、主左壁部30b及び主右壁部30cをその各長手方向において、後側傾動壁30aの基端部31にも亘るように延在させて、図27にて示す保持部材30kを主左壁部30b及び主右壁部30cの間にて後側傾動壁30aの基端部31上に一体的に形成するようにしてもよい。
【0153】
これによっても、上記第1或いは第2実施形態において、保持部材30kが、副左壁部30e及び副右壁部30fと同様に棒状工具Dの把持部を保持する役割を果たすことができる。
【0154】
また、本発明の実施にあたり、上記第1〜第4の実施形態のいずれかに採用してなる保持部材に代えて、前側壁部を、前側傾動壁20aの基端部21から後側傾動壁30aの基端部31に向けて突出形成し、後側壁部を、前側壁部に向けて後側傾動壁30aの基端部31から突出形成し、これら前側壁部及び後側壁部の各対向面を、棒状工具の把持部を移動不能に挟持し得る面状に形成するようにしてもよい。
【0155】
しかして、棒状工具をその把持部から筒体内に挿入して前側ケーシング部材20及び後側ケーシング30を互いに係合させたとき、前側壁部及び後側壁部が、双方の対向面の間に工具容器の把持部を前後方向から挟持して保持することとなる。これによっても、棒状工具を工具容器内に移動不能に保持することができる。なお、前側壁部及び後側壁部の各対向面は、例えば、棒状工具の把持部の外周面の前後両側部位を前後両側から押さえ込むような湾曲部分を有するように構成すればよい。
【0156】
また、本発明の実施にあたり、上記各実施形態にて述べた筒体10の内部構成は、棒状工具Dの把持部を上記各実施形態にて述べたように収容する空間を形成できる構成であれば、どのような構成であってもよい。
【0157】
また、本発明の実施にあたり、上記第2実施形態にて述べた被係合部20fは、その基部28にて、前側ケーシング部材20の左壁20b及び右壁20cの各延出端部からその延出方向に一体的に延出していてもよく、また、係合部30hは、後側ケーシング部材30の左壁30b及び右壁30cの各延出端部からその延出方向に一体的に延出していてもよい。
【0158】
また、本発明の実施にあたり、上記第1〜第4の実施形態のいずれかにおいて採用してなるファスナーに代えて、例えば、前側及び後側のケーシング部材の一方のケーシング部材の長手方向中間部位から帯状ファスナーを延出させて、一方のケーシング部材及び他方のケーシング部材を互いに係合させた状態で、帯状ファスナーを、当該一方のケーシング部材の長手方向中間部位及びこれに対する他方のケーシング部材の対応部位を被覆するようにその外周に沿い取り巻いて、他方のケーシング部材の対応部位に係脱可能にロックするようにしても、前側及び後側のケーシング部材の係合状態を良好に確保し得る。なお、帯状ファスナーは、一方のケーシング部材の長手方向中間部位から延出するように当該ケーシング部材と同一の形成材料により一体的に形成すればよい。
【0159】
また、本発明の実施にあたり、上記第2実施形態にて述べたファスナーにおいて、係合部30hは、上記第2実施形態とは異なり、爪部36を、例えば、基部35に対し屈曲することなく、当該基部35の延出方向へ、被係合部20fの貫通孔部28a内にその弾力に抗して係脱可能に係合させるように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0160】
D…棒状工具、10…筒体、11…周壁、11a、11b…前後両側対向壁部、
20…前側ケーシング部材、20a…前側傾動壁、20b、30b…左壁、
20c、30c…右壁、20d、30d…先端側壁、20e、20f…被係合部、22…左外壁部、23…左側内壁部、24…右側外壁部、25…右側内壁部、30…後側ケーシング部材、30a…後側傾動壁、30b…主左壁部、30c…主右壁部、30e…副左壁部、30f…副右壁部、30g、30h…係合部、30k…保持部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒体と、この筒体の周壁の両対向壁部からその各厚さ方向に傾動可能に延出されて互いに対向して棒状工具を収容するケーシングを前記筒体と共に構成し得るようにコ字状に形成してなる両ケーシング部材とを備えて、
当該両ケーシング部材を、前記筒体と共に、合成樹脂材料でもって一体的に形成してなる工具容器。
【請求項2】
前記両ケーシング部材の各基端部の少なくとも一方の基端部から他方の基端部に向けて前記棒状工具の把持部を保持すべく突出するように前記両ケーシング部材の前記少なくとも一方の基端部に前記合成樹脂材料により一体的に形成してなる保持部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の工具容器。
【請求項3】
前記両ケーシング部材がその係合により前記ケーシングを構成するように互いに閉じたとき、当該両ケーシング部材をその係合状態にて解除可能にロックするように前記両ケーシング部材の少なくとも一方のケーシング部材に前記合成樹脂材料により一体的に形成してなるファスナー部材を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の工具容器。
【請求項4】
前記ファスナー部材は、
前記両ケーシング部材の一方のケーシング部材の先端部と前記合成樹脂材料により一体的に形成してなる被係合部と、
前記両ケーシング部材をその係合状態にて解除可能にロックすべく前記被係合部に係合するように前記他方のケーシング部材の先端部に前記合成樹脂材料により一体的に形成してなる係合部とを具備してなることを特徴とする請求項3に記載の工具容器。
【請求項5】
前記被係合部は、前記一方のケーシング部材の先端部からその厚さ方向には撓み可能となるようにその延出方向に一体的に延出されており、
前記係合部は、前記被係合部に形成される貫通孔部内にその弾力に抗して係合可能なように形成されて前記他方のケーシング部材の先端部から延出されていることを特徴とする請求項4に記載の工具容器。
【請求項6】
前記筒体は、横断面四角形状周壁を前記周壁として有してなり、
前記両ケーシング部材の一方のケーシング部材は、
前記筒体の前記横断面四角形状周壁の両対向壁部の一方の対向壁部からその厚さ方向に傾動可能にかつ長手状に延出する一側傾動壁と、
この一側傾動壁の幅方向両側部から前記横断面四角形状周壁の前記両対向壁部の他方の対向壁部側へL字状に屈曲して延出する一側両側壁と、
前記一側傾動壁の延出端部側から前記横断面四角形状周壁の前記他方の対向壁部側へ延出するように前記一側傾動壁の延出端部側にその幅方向に形成されて前記一側傾動壁を底壁として前記一側両側壁と共にコ字状空所を構成する一側先端側壁とを備えており、
他方のケーシング部材は、
前記筒体の前記横断面四角形状周壁の前記他方の対向壁部からその厚さ方向に傾動可能にかつ長手状に延出する他側傾動壁と、
この他側傾動壁の幅方向両側部側から前記一側両側壁側へL字状に屈曲して延出する他側両側壁と、
前記他側傾動壁の延出端部側から前記一側先端側壁に対向可能に延出するように前記他側傾動壁の延出端部側にその幅方向に形成されて前記他側傾動壁を底壁として前記コ字状空所と共に前記ケーシングを構成するようにコ字状空所を形成する他側先端側壁とを備えることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1つに記載の工具容器。
【請求項7】
前記一方のケーシング部材(20)の前記一側両側壁のうちの一方の側壁(20b)は、
前記一側傾動壁の前記幅方向両側部の一方の幅方向側部からL字状に屈曲して延出する一側外壁部(22)と、
この一側外壁部にその内面に沿いその幅方向には前記一側傾動壁の前記一方の幅方向側部からL字状に屈曲して延出するとともに前記一側外壁部にその内面に沿いその長手方向には前記一側先端側壁の両幅方向端部の一方の幅方向端部から前記一側外壁部よりも所定長さだけ短い長さにて延出する一側内壁部(23)とを具備しており、
前記一方のケーシング部材の前記両側壁の他方の側壁(20c)は、
前記一側傾動壁の前記幅方向両側部の他方の幅方向側部からL字状に屈曲して延出する他側外壁部(24)と、
この他側外壁部にその内面に沿い前記一側傾動壁の前記他方の幅方向側部からL字状に屈曲して延出するとともに前記他側外壁部にその内面に沿いその長手方向には前記一側先端側壁の両幅方向端部の他方の幅方向端部から前記他側外壁部よりも所定長さだけ短い長さにて延出する他側内壁部(25)とを具備しており、
前記他方のケーシング部材の前記他側両側壁のうちの一方の側壁(30b)は、一側主壁部として、前記一方のケーシング部材の前記一側内壁部に対向可能に前記他側傾動壁の一側部から前記一側内壁部と同一の長さにて延出してなり、
前記他方のケーシング部材の前記他側両側壁のうちの他方の側壁(30c)は、他側主壁部として、前記一方のケーシング部材の前記他側内壁部に対向可能に前記他側傾動壁の他側部から前記他側内壁部と同一の長さにて延出してなり、
前記保持部材は、
前記他側傾動壁の前記基端部から前記一側傾動壁の前記基端部に向けて前記一側主壁部とその長手方向に並んで延出する一側副壁部(30e)と、
前記他側傾動壁の前記基端部から前記一側傾動壁の前記基端部に向けて前記他側主壁部とその長手方向に並んで延出されて前記一側副壁部とともに前記棒状工具の把持部を挟持する他側副壁部(30f)とを有しており、
前記ケーシングを閉じたとき、前記一方のケーシング部材が、前記一側及び他側の外壁部にて、その内側に前記一側及び他側の主壁部、前記他側先端側壁並びに前記一側及び他側の副壁部を位置させるように、前記他方のケーシング部材の前記他側傾動壁の前記幅方向両側部に係合するとともに、前記一側及び他側の内壁部並びに前記一側先端側壁にて、前記他方のケーシング部材の前記一側及び他側の主壁部並びに前記他側先端側壁に係合するように、前記一側及び他側の外壁部の間隔、前記他側両側壁の間隔、前記一側先端壁、前記一側及び他側の内壁部の前記一側傾動壁からの延出幅、並びに前記一側及び他側の主壁部の間隔及び前記他側傾動壁からの延出幅が設定されていることを特徴とする請求項6に記載の工具容器。
【請求項8】
前記一方のケーシング部材の前記一側両側壁のうちの一方の側壁(20b)は、
前記一側傾動壁の前記幅方向両側部の一方の幅方向側部からL字状に屈曲して延出する一側外壁部(22)と、
この一側外壁部にその内面に沿いその幅方向には前記一側傾動壁の前記一方の幅方向側部からL字状に屈曲して延出するとともに前記一側外壁部にその内面に沿いその長手方向に延出する一側内壁部(23a)とを具備しており、
前記一方のケーシング部材の前記両側壁の他方の側壁(20c)は、
前記一側傾動壁の前記幅方向両側部の他方の幅方向側部からL字状に屈曲して延出する他側外壁部(24)と、
この他側外壁部にその内面に沿いその幅方向には前記一側傾動壁の前記他方の幅方向側部からL字状に屈曲して延出するとともに前記他側外壁部にその内面に沿いその長手方向に前記一側先端側壁の両幅方向端部の他方の幅方向端部から延出する他側内壁部(25a)とを具備しており、
前記保持部材は、前記他方のケーシング部材の前記他側両側壁の間にて前記他側傾動壁の前記基端部上に一体的に形成されて、前記棒状工具の把持部を保持可能なように前記他側両側壁の各延出方向に開口する横断面凹状湾曲状内面部を有しており、
前記ケーシングを閉じたとき、前記一方のケーシング部材が、前記一側及び他側の外壁部にて、前記他方のケーシング部材の前記他側傾動壁の幅方向両側部に係合するとともに前記他方のケーシング部材が、前記他側両側壁及び前記他側先端壁にて、前記一方のケーシング部材の前記一側及び他側の外壁部の間に位置して前記一側及び他側の内壁部並びに前記一側先端側壁に係合するように、前記一側及び他側の外壁部の間隔、前記他側両側壁の間隔が設定されているとともに、前記一側及び他側の外壁部の各々の前記一側傾動壁の幅方向延出幅が、前記一側先端壁、前記一側及び他側の内壁部の各々の前記一側傾動壁からの延出幅と前記他側両側壁の各々の前記他側傾動壁からの延出幅との和となるように設定されていることを特徴とする請求項6に記載の工具容器。
【請求項1】
筒体と、この筒体の周壁の両対向壁部からその各厚さ方向に傾動可能に延出されて互いに対向して棒状工具を収容するケーシングを前記筒体と共に構成し得るようにコ字状に形成してなる両ケーシング部材とを備えて、
当該両ケーシング部材を、前記筒体と共に、合成樹脂材料でもって一体的に形成してなる工具容器。
【請求項2】
前記両ケーシング部材の各基端部の少なくとも一方の基端部から他方の基端部に向けて前記棒状工具の把持部を保持すべく突出するように前記両ケーシング部材の前記少なくとも一方の基端部に前記合成樹脂材料により一体的に形成してなる保持部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の工具容器。
【請求項3】
前記両ケーシング部材がその係合により前記ケーシングを構成するように互いに閉じたとき、当該両ケーシング部材をその係合状態にて解除可能にロックするように前記両ケーシング部材の少なくとも一方のケーシング部材に前記合成樹脂材料により一体的に形成してなるファスナー部材を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の工具容器。
【請求項4】
前記ファスナー部材は、
前記両ケーシング部材の一方のケーシング部材の先端部と前記合成樹脂材料により一体的に形成してなる被係合部と、
前記両ケーシング部材をその係合状態にて解除可能にロックすべく前記被係合部に係合するように前記他方のケーシング部材の先端部に前記合成樹脂材料により一体的に形成してなる係合部とを具備してなることを特徴とする請求項3に記載の工具容器。
【請求項5】
前記被係合部は、前記一方のケーシング部材の先端部からその厚さ方向には撓み可能となるようにその延出方向に一体的に延出されており、
前記係合部は、前記被係合部に形成される貫通孔部内にその弾力に抗して係合可能なように形成されて前記他方のケーシング部材の先端部から延出されていることを特徴とする請求項4に記載の工具容器。
【請求項6】
前記筒体は、横断面四角形状周壁を前記周壁として有してなり、
前記両ケーシング部材の一方のケーシング部材は、
前記筒体の前記横断面四角形状周壁の両対向壁部の一方の対向壁部からその厚さ方向に傾動可能にかつ長手状に延出する一側傾動壁と、
この一側傾動壁の幅方向両側部から前記横断面四角形状周壁の前記両対向壁部の他方の対向壁部側へL字状に屈曲して延出する一側両側壁と、
前記一側傾動壁の延出端部側から前記横断面四角形状周壁の前記他方の対向壁部側へ延出するように前記一側傾動壁の延出端部側にその幅方向に形成されて前記一側傾動壁を底壁として前記一側両側壁と共にコ字状空所を構成する一側先端側壁とを備えており、
他方のケーシング部材は、
前記筒体の前記横断面四角形状周壁の前記他方の対向壁部からその厚さ方向に傾動可能にかつ長手状に延出する他側傾動壁と、
この他側傾動壁の幅方向両側部側から前記一側両側壁側へL字状に屈曲して延出する他側両側壁と、
前記他側傾動壁の延出端部側から前記一側先端側壁に対向可能に延出するように前記他側傾動壁の延出端部側にその幅方向に形成されて前記他側傾動壁を底壁として前記コ字状空所と共に前記ケーシングを構成するようにコ字状空所を形成する他側先端側壁とを備えることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1つに記載の工具容器。
【請求項7】
前記一方のケーシング部材(20)の前記一側両側壁のうちの一方の側壁(20b)は、
前記一側傾動壁の前記幅方向両側部の一方の幅方向側部からL字状に屈曲して延出する一側外壁部(22)と、
この一側外壁部にその内面に沿いその幅方向には前記一側傾動壁の前記一方の幅方向側部からL字状に屈曲して延出するとともに前記一側外壁部にその内面に沿いその長手方向には前記一側先端側壁の両幅方向端部の一方の幅方向端部から前記一側外壁部よりも所定長さだけ短い長さにて延出する一側内壁部(23)とを具備しており、
前記一方のケーシング部材の前記両側壁の他方の側壁(20c)は、
前記一側傾動壁の前記幅方向両側部の他方の幅方向側部からL字状に屈曲して延出する他側外壁部(24)と、
この他側外壁部にその内面に沿い前記一側傾動壁の前記他方の幅方向側部からL字状に屈曲して延出するとともに前記他側外壁部にその内面に沿いその長手方向には前記一側先端側壁の両幅方向端部の他方の幅方向端部から前記他側外壁部よりも所定長さだけ短い長さにて延出する他側内壁部(25)とを具備しており、
前記他方のケーシング部材の前記他側両側壁のうちの一方の側壁(30b)は、一側主壁部として、前記一方のケーシング部材の前記一側内壁部に対向可能に前記他側傾動壁の一側部から前記一側内壁部と同一の長さにて延出してなり、
前記他方のケーシング部材の前記他側両側壁のうちの他方の側壁(30c)は、他側主壁部として、前記一方のケーシング部材の前記他側内壁部に対向可能に前記他側傾動壁の他側部から前記他側内壁部と同一の長さにて延出してなり、
前記保持部材は、
前記他側傾動壁の前記基端部から前記一側傾動壁の前記基端部に向けて前記一側主壁部とその長手方向に並んで延出する一側副壁部(30e)と、
前記他側傾動壁の前記基端部から前記一側傾動壁の前記基端部に向けて前記他側主壁部とその長手方向に並んで延出されて前記一側副壁部とともに前記棒状工具の把持部を挟持する他側副壁部(30f)とを有しており、
前記ケーシングを閉じたとき、前記一方のケーシング部材が、前記一側及び他側の外壁部にて、その内側に前記一側及び他側の主壁部、前記他側先端側壁並びに前記一側及び他側の副壁部を位置させるように、前記他方のケーシング部材の前記他側傾動壁の前記幅方向両側部に係合するとともに、前記一側及び他側の内壁部並びに前記一側先端側壁にて、前記他方のケーシング部材の前記一側及び他側の主壁部並びに前記他側先端側壁に係合するように、前記一側及び他側の外壁部の間隔、前記他側両側壁の間隔、前記一側先端壁、前記一側及び他側の内壁部の前記一側傾動壁からの延出幅、並びに前記一側及び他側の主壁部の間隔及び前記他側傾動壁からの延出幅が設定されていることを特徴とする請求項6に記載の工具容器。
【請求項8】
前記一方のケーシング部材の前記一側両側壁のうちの一方の側壁(20b)は、
前記一側傾動壁の前記幅方向両側部の一方の幅方向側部からL字状に屈曲して延出する一側外壁部(22)と、
この一側外壁部にその内面に沿いその幅方向には前記一側傾動壁の前記一方の幅方向側部からL字状に屈曲して延出するとともに前記一側外壁部にその内面に沿いその長手方向に延出する一側内壁部(23a)とを具備しており、
前記一方のケーシング部材の前記両側壁の他方の側壁(20c)は、
前記一側傾動壁の前記幅方向両側部の他方の幅方向側部からL字状に屈曲して延出する他側外壁部(24)と、
この他側外壁部にその内面に沿いその幅方向には前記一側傾動壁の前記他方の幅方向側部からL字状に屈曲して延出するとともに前記他側外壁部にその内面に沿いその長手方向に前記一側先端側壁の両幅方向端部の他方の幅方向端部から延出する他側内壁部(25a)とを具備しており、
前記保持部材は、前記他方のケーシング部材の前記他側両側壁の間にて前記他側傾動壁の前記基端部上に一体的に形成されて、前記棒状工具の把持部を保持可能なように前記他側両側壁の各延出方向に開口する横断面凹状湾曲状内面部を有しており、
前記ケーシングを閉じたとき、前記一方のケーシング部材が、前記一側及び他側の外壁部にて、前記他方のケーシング部材の前記他側傾動壁の幅方向両側部に係合するとともに前記他方のケーシング部材が、前記他側両側壁及び前記他側先端壁にて、前記一方のケーシング部材の前記一側及び他側の外壁部の間に位置して前記一側及び他側の内壁部並びに前記一側先端側壁に係合するように、前記一側及び他側の外壁部の間隔、前記他側両側壁の間隔が設定されているとともに、前記一側及び他側の外壁部の各々の前記一側傾動壁の幅方向延出幅が、前記一側先端壁、前記一側及び他側の内壁部の各々の前記一側傾動壁からの延出幅と前記他側両側壁の各々の前記他側傾動壁からの延出幅との和となるように設定されていることを特徴とする請求項6に記載の工具容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2013−10561(P2013−10561A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−19723(P2012−19723)
【出願日】平成24年2月1日(2012.2.1)
【出願人】(501298568)イトモル株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年2月1日(2012.2.1)
【出願人】(501298568)イトモル株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
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