説明

巻きおしぼり製造装置

【課題】巻きおしぼりの生産性を向上できると共に、煩雑なメンテナンス作業を不要にできる巻きおしぼり製造装置を提供すること。
【解決手段】延設リブ47eは、散水ケース43及び搬送コンベア51の間を通過するシート材Sの一部を押圧する。これにより、その延設リブ47eはシート材Sの搬送方向端部の一部にのみ接触するので、シート材Sは散水ケース43及び搬送コンベア51の間をスムーズに通過することができる。また、延設リブ47eは、シート材Sの一部を押圧するだけなので、搬送ベルト51aへのシート材Sの貼り付きを防止することができ、その分、巻きおしぼりMの生産性を向上できる。更に、延設リブ47eはローラのような回転部材ではないので、ゴミの蓄積が少なく、蓄積されたゴミを除去するという煩雑なメンテナンス作業を不要にできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻きおしぼり製造装置に関し、特に、巻きおしぼりの生産性を向上できると共に、煩雑なメンテナンス作業を不要にできる巻きおしぼり製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、紙や不織布からなるシート材からロール状の巻きおしぼりを製造する巻きおしぼり製造装置が知られている。例えば、特開2005−95273号公報(特許文献1)には、帯状のシート材Sを搬送する搬送ベルト51と、その搬送ベルト51により搬送されるシート材Sへ水を給水する噴射ポンプ83aと、その噴射ポンプ83aにより給水された水をシート材Sの幅方向へ散水する散水部42と、その散水部42により散水されたシート材Sを搬送ベルト51により搬送しつつその搬送ベルト51と共同して巻回し円柱状(ロール状)の巻きおしぼりMに成形する成形手段50とを備えた巻きおしぼり製造装置1が開示されている。かかる巻きおしぼり製造装置1の散水部42には、シート材Sの搬送方向と直交する方向に延設された円柱状の散水ローラ42aが設けられている。
【0003】
散水ローラ42aは、散水本体42bに開口形成された開口部に回転可能に軸支されると共に、搬送ベルト51に当接した状態にある。この状態で搬送ベルト51を回転させると、シート材Sは、散水ローラ42a及び搬送ベルト51により挟持されつつ、その散水ローラ42a及び搬送ベルト51の間を通過する。ここで、散水ローラ42a及び散水本体42bの開口部の間には若干の隙間が設けられており、散水ローラ42aがシート材Sの搬送に伴って回転することで、その隙間から散水本体42b内に貯留された水をシート材Sへ散水する。散水されたシート材Sは、搬送ベルト51により成形手段50へ搬送され、その成形手段50により巻回されて円柱状(ロール状)の巻きおしぼりMに成形される。
【特許文献1】特開2005−95273号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、搬送ベルト51により搬送されるシート材Sは、その搬送方向端部が散水ローラ42aに接触すると、捩れたり折れたりする場合がある。かかる場合、シート材Sは、散水ローラ42a及び搬送ベルト51の間を通過することができず、散水ローラ42aの手前で丸まり、巻きおしぼりMの成形に失敗するという問題点があった。
【0005】
また、シート材Sにおける最適な散水量は、シート材Sの厚さに応じて変化する。しかし、上述した巻きおしぼり製造装置1はシート材Sの厚さに応じて散水量を自動で調節する機能を備えておらず、搬送ベルト51上に多量の水が残る場合がある。ここで、シート材Sは、散水ローラ42a及び搬送ベルト51により幅方向全体に渡って挟持されることで、その散水ローラ42aにより搬送ベルト51へ向けて押圧される。よって、シート材Sは、搬送ベルト51により搬送されると、そのシート材S全体が散水ローラ42aにより搬送ベルト51へ向けて押圧されるので、搬送ベルト51に貼り付いてしまう。これにより、搬送ベルト51にシート材Sが貼り付いたまま回転し続けて、巻きおしぼりMの成形に失敗するという問題点があった。
【0006】
更に、散水ローラ42aは搬送ベルト51に当接しつつ回転するので、搬送ベルト51上のゴミが散水ローラ42aに付着する。付着したゴミが蓄積していくと、散水ローラ42aは、その外径がゴミにより大きくなって散水本体42bの開口部と接触し、また、その軸支された部分にゴミが詰まることで、回転しなくなる。よって、蓄積されたゴミを除去するという煩雑なメンテナンス作業が必要になるという問題点があった。
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、巻きおしぼりの生産性を向上できると共に、煩雑なメンテナンス作業を不要にできる巻きおしぼり製造装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために請求項1記載の巻きおしぼり製造装置は、帯状のシート材を搬送する搬送コンベアと、その搬送コンベアにより搬送されるシート材へ液体を給水する給水ポンプと、その給水ポンプにより給水されたシート材を前記搬送コンベアにより搬送しつつその搬送コンベアと共同して巻回しロール状の巻きおしぼりに成形する成形装置とを備えたものであり、前記給水ポンプに連結され前記搬送コンベアと対向して設けられると共に、その給水ポンプから給水された液体を散水する1又は複数の散水口を有し、その散水口から搬送コンベアにより搬送されるシート材の幅方向へ液体を散水する散水ケースと、その散水ケース及び搬送コンベアの間を通過するシート材の一部を押圧するため、その散水ケース及び搬送コンベアの間に設けられると共に、そのシート材の搬送方向に延設される1又は複数の延設リブとを備えている。
【0009】
請求項2記載の巻きおしぼり製造装置は、請求項1記載の巻きおしぼり製造装置において、前記延設リブは、前記搬送コンベア側を凸とした湾曲形状に形成されている。
【0010】
請求項3記載の巻きおしぼり製造装置は、請求項1又は2に記載の巻きおしぼり製造装置において、前記延設リブは複数設けられており、その複数の延設リブは、前記シート材の搬送方向と直交する方向視においてそれぞれ同形状に形成されると共に、そのシート材の搬送方向と直交する方向に配列されている。
【0011】
請求項4記載の巻きおしぼり製造装置は、請求項1から3のいずれかに記載の巻きおしぼり製造装置において、前記散水ケースの散水口は、重力方向へ向けられると共に、前記搬送コンベアと対向して設けられている。
【0012】
請求項5記載の巻きおしぼり製造装置は、請求項4記載の巻きおしぼり製造装置において、前記巻きおしぼり製造装置は、前記散水ケースの散水口からシート材へ散水される液体を加熱するヒータを備えている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の巻きおしぼり製造装置によれば、散水ケースは、給水ポンプに連結されると共に、搬送コンベアと対向して設けられた状態にある。この状態で搬送コンベアを回転させると、帯状のシート材は搬送コンベアにより搬送されて散水ケース及び搬送コンベアの間を通過する。このとき、シート材には、給水ポンプから散水ケースへ液体が給水されることで、散水ケースの散水口からシート材の幅方向へ液体が散水される。その後、散水されたシート材は搬送コンベアにより搬送され、成形装置はその搬送コンベアと共同してシート材を巻回しロール状の巻きおしぼりを成形する。
【0014】
ここで、散水ケース及び搬送コンベアの間にはシート材の搬送方向に延設された1又は複数の延設リブが設けられており、その延設リブは散水ケース及び搬送コンベアの間を通過するシート材の一部を押圧する。これにより、搬送されるシート材が延設リブと接触するとき、その延設リブはそのシート材の搬送方向端部の一部にのみ接触する。よって、延設リブとシート材の搬送方向端部との接触面積を減少させることができるので、散水ケース及び搬送コンベアの間を通過しようとするシート材への抵抗を軽減させることができる。従って、シート材は散水ケース及び搬送コンベアの間をスムーズに通過することができるので、延設リブの手前で丸まるという現象を抑制でき、その分、巻きおしぼりの生産性を向上できるという効果がある。
【0015】
また、延設リブは、シート材の一部を押圧するだけなので、搬送コンベアに多量の液体が残っていても、その搬送コンベアへのシート材の貼り付きを軽減することができる。従って、搬送コンベアにシート材が貼り付いたまま搬送コンベアが回転し続けるという現象を抑制でき、その分、巻きおしぼりの生産性を向上できるという効果がある。
【0016】
更に、延設リブはローラのような回転部材ではないので、ゴミの蓄積が少ない。よって、蓄積されたゴミを除去するという煩雑なメンテナンス作業を不要にできるという効果がある。
【0017】
請求項2記載の巻きおしぼり製造装置によれば、請求項1記載の巻きおしぼり製造装置の奏する効果に加え、延設リブは、搬送コンベア側を凸とした湾曲形状に形成されている。よって、シート材が入り込む延設リブ及び搬送コンベアの間は徐々に狭くなっていくので、シート材は延設リブ及び搬送コンベアの間をよりスムーズに通過することができるという効果がある。
【0018】
請求項3記載の巻きおしぼり製造装置によれば、請求項1又は2に記載の巻きおしぼり製造装置の奏する効果に加え、複数の延設リブは、シート材の搬送方向と直交する方向視においてそれぞれ同形状に形成され、且つシート材の搬送方向と直交する方向に配列されている。よって、シート材が搬送方向に対して斜行しようとする場合、延設リブはシート材の幅方向全体に渡ってシート材の斜行を規制することができる。従って、シート材を斜行させることなく巻回して、巻きおしぼりを成形できるという効果がある。
【0019】
請求項4記載の巻きおしぼり製造装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載の巻きおしぼり製造装置の奏する効果に加え、搬送コンベアと対向して設けられた散水ケースの散水口は、重力方向へ向けられている。
【0020】
ここで、散水ケースの散水口が水平方向へ向けられている場合、その散水口からシート材へ液体を散水するには、液体を勢いよく噴射しなければならない。よって、散水ケースの散水口から散水される液体の圧力を高めるため、その散水口を小さく形成しなければならず、その結果、散水口は目詰まりが生じ易くなる。これに対し、本請求項の巻きおしぼり製造装置によれば、搬送コンベアと対向して設けられた散水ケースの散水口は重力方向へ向けられているので、その散水口から散水された液体は、重力により散水口から搬送コンベアへ落下する。よって、散水のために液体の圧力を高める必要がないので、散水口を大きく形成することができる。従って、散水口の目詰まりを抑制できるという効果がある。
【0021】
また、散水口を大きく形成できるので、単位時間当たりの液体の散水量を増やすことができる。これにより、搬送コンベアを通常より速く回転させても、シート材への散水量を十分に確保することができる。よって、搬送コンベアを通常よりも速く回転させることができ、巻きおしぼりの成形時間を短縮できるので、その分、巻きおしぼりの生産性を向上できるという効果がある。
【0022】
更に、散水する液体の圧力を高める必要がないので、高性能の給水ポンプを設ける必要が無く、グレードの低い給水ポンプで十分となり、その分、装置コストを軽減できるという効果がある。
【0023】
請求項5記載の巻きおしぼり製造装置によれば、請求項4記載の巻きおしぼり製造装置の奏する効果に加え、巻きおしぼり製造装置に設けられたヒータは、散水ケースの散水口からシート材へ散水される液体を加熱する。
【0024】
ここで、延設リブに代替してローラを設ける場合、ヒータにより加熱された液体はローラを介してシート材へ散水される。その際、液体の熱はローラに伝導するので、シート材へ散水される液体の温度が下がる。よって、シート材へ散水される液体を所望の温度にするため、ヒータは液体を必要以上に加熱しなければならず、その分、消費電力が増大する。
【0025】
これに対し、本請求項の巻きおしぼり製造装置によれば、ローラに代替して延設リブを設けたので、ヒータにより加熱された液体を直接シート材へ散水することができる。よって、熱効率の低下を防止して、消費電力を小さくできるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態における巻きおしぼり製造装置1の外観斜視図である。巻きおしぼり製造装置1は、紙、不織布、化学繊維パルプ等からなるシート材Sを使用してロール状の巻きおしぼりM(図2参照)を製造するための装置である。まず、この図1を参照して巻きおしぼり製造装置1の外観構成について説明する。
【0027】
図1に示すように、巻きおしぼり製造装置1は、シート材Sを巻き回したタオルロールRを収納する本体2と、その本体2を閉封する上カバー3とを主に備えている。本体2は、巻きおしぼり製造装置1の骨格をなす部材であり、略箱状体の外観を有して構成されている。この本体2の上方(図1上側)は開口して形成されており、この開口された部分は上カバー3によって閉封される。上カバー3には一対の開閉軸3a,3aが形成されており、この開閉軸3a,3aは本体2に凹設された一対の凹溝2a,2aに回転可能に軸支される。
【0028】
本体2の前面側(図1左側)には、使用者が各種操作を行うための操作パネル4が設けられている。この操作パネル4には、巻きおしぼりMの製造開始を指示するスタートボタン4aなどの各種ボタンが設けられており、これらのボタンを押下して各種操作が行われる。また、操作パネル4には液晶ディスプレイ4bが設けられており、この液晶ディスプレイ4bには、巻きおしぼり製造装置1の設定状態や各種の操作メッセージ等が必要に応じて表示される。例えば、タオルロールRが終端に近づいた場合、液晶ディスプレイ4bには、タオルロールRの交換を指示するための警告メッセージが表示される。
【0029】
操作パネル4の下方(図1下側)には、製造された巻きおしぼりM(図2参照)を貯留する受け皿兼用蓋5が開閉可能に配設されている。巻きおしぼりMは、後述する本体2内の各種装置により製造され、受け皿兼用蓋5に貯留される(図2参照)。使用者は、受け皿兼用蓋5を手前に引いて、貯留された巻きおしぼりMを取り出す。
【0030】
本体2の開口された部分には、上記タオルロールRと、そのタオルロールRからシート材Sを本体2内へ引き込む搬送装置20と、その搬送装置20により引き込まれたシート材Sに湿り気を付与するための水を貯留する水タンクTが配設されている。
【0031】
タオルロールRは巻きおしぼりMの原料となるシート材Sの終端を中芯に接着してロール状に巻回したものであり、タオルロールRの側面には、後述する挿嵌部材Ra(図2参照)が挿嵌される。本体2には後述するタオルロールR及び挿嵌部材Raを収納する収納部10が設けられており、この収納部10を形成する収納室11には一対の凹状の案内溝13,13が形成されている。タオルロールRへ挿嵌された挿嵌部材Raは、この案内溝13内に挿入され、後述する保持溝12(図2参照)により回転可能に保持される。
【0032】
搬送装置20は、タオルロールRからシート材Sを引き出し、そのシート材Sを本体2内へ搬送するための装置である。この搬送装置20は、シート材Sを本体2の背面側へ向かって引き込むため、タオルロールRよりも本体2の背面側に配設されている。搬送装置20の入口部分は、シート材Sが通過する吸入口21とされている。吸入口21は、後述するカバー22及び対向部材26(図2参照)により形成されたシート材Sの入口である。
【0033】
タオルロールRの側面及びシート材Sに対向するそれぞれの側壁には、一対の第1ガイド部材15a,15a及び第2ガイド部材15b,15bがそれぞれ形成されている。ここで一般に、搬送装置20により搬送されるシート材Sが吸入口21の開口幅端部21aに接触すると、シート材Sは、折れ曲がりながら本体2内へ搬送される。シート材Sは、折れ曲がったままの状態で本体2内へ搬送されると、折れ重なって厚くなることで本体2内で詰まる。これを避けるため、吸入口21はシート材Sの幅よりも大きな幅を有して形成されている。
【0034】
しかし、シート材Sが搬送方向から斜行する場合、シート材Sは吸入口21の開口幅端部21aに接触してしまうので、これを防止(抑制)するために、第1ガイド部材15a,15a及び第2ガイド部材15b,15bは、吸入口21の開口幅端部21aよりも内側に形成されており、吸入口21を通過するシート材Sの搬送方向からの斜行をガイドする。
【0035】
次に、図2を参照して、巻きおしぼり製造装置1の内部構成について説明する。図2は、巻きおしぼり製造装置1の側断面図である。なお、理解を容易にするために、主要な構成のみを模式的に図示している。
【0036】
図2に示すように、巻きおしぼり製造装置1は、タオルロールRへ挿嵌された挿嵌部材Raを保持し収納する収納部10と、その収納部10で保持されたタオルロールRからシート材Sを本体2内へ搬送する搬送装置20と、その搬送装置20により本体2内へ搬送されたシート材Sを切断する切断装置30と、その切断装置30により切断されたシート材Sへ散水する散水装置40と、その散水装置40により散水されたシート材Sをロール状に成形する成形装置50とを主に備えている。巻きおしぼりMは、この成形装置50によりシート材Sがロール状に巻き込まれることにより製造される。
【0037】
収納部10は、タオルロールRと、そのタオルロールRへ挿嵌された挿嵌部材Raとを回転可能に保持するための部位であり、タオルロールR及び挿嵌部材Raを収納する収納室11と、その収納室11に収納されたタオルロールRへ挿嵌される挿嵌部材Raを保持する保持溝12と、その保持溝12から上方(図2上方)に向けて直線状に延設される案内溝13とを備えている。
【0038】
挿嵌部材Raは、収納室11とタオルロールRとを非接触にさせると共に、保持溝12に保持される部材である。挿嵌部材Raは、2つの対称な部材で構成されており、タオルロールRの両側面へそれぞれ挿嵌される。挿嵌部材Raは、タオルロールRの側面へ挿嵌される円筒状の直線部14aと、その直線部14aに連設されタオルロールRの軸心方向への移動を規制する円盤状の円盤部14bと、その円盤部14bに連設され保持溝12に保持される円筒状の被保持部14cとを備えている。
【0039】
保持溝12は、挿嵌部材Raの被保持部14cを回転可能に保持するものであり、収納室11の側壁(図2奥側及び手前側)に凹設されている。案内溝13は、タオルロールRへ挿嵌された両方の挿嵌部材Raの被保持部14cを収納室11の上方から保持溝12へ案内するものである。収納室11は、側面視略U字状に形成されると共に、上方(図2上方)が開口されて形成されている。タオルロールR及び挿嵌部材Raは、収納室11に形成された空間内に収納され、その収納室11の空間の上方から上カバー3により覆われる。
【0040】
搬送装置20は、収納室11に収納されたタオルロールRからシート材Sを引き出し、その引き出したシート材Sを本体2内へ搬送する装置である。搬送装置20は、タオルロールRからシート材Sを搬送する搬送ローラ23と、その搬送ローラ23と共にシート材Sを挟持するカバー22と、そのカバー22に対向して設けられる対向部材26とを主に備えている。搬送ローラ23は、搬送モータ(図示せず)により駆動される回転部材であり、シート材Sの搬送方向と直交する方向(図2紙面前後方向)に、6個並べて配設されている。この6個の搬送ローラ23の外周面には、ゴム製のリング状体25がそれぞれ周設されている。
【0041】
カバー22は、その下方に設けられる軸22aに揺動可能に軸支されると共に、ねじりばね(図示せず)により軸22aを中心として、図2における反時計回りへ付勢されている。これにより、カバー22は搬送ローラ23と共にシート材Sを挟持し、搬送ローラ23によるシート材Sの搬送を補助する。このカバー22において、搬送ローラ23とシート材Sを挟持する部分は、搬送ローラ23の外周に沿って円弧状に湾曲して形成され、また、搬送ローラ23とシート材Sを挟持する部分からは、その挟持部分から反搬送方向側(図2左側)へ延伸する延伸部22bが形成されている。延伸部22bには、後述する対向部材26へ向けて突出する突出部24が形成されている。
【0042】
対向部材26は、収納室11を形成する部材と連設されて形成されており、シート材Sの反搬送方向側(図2左側)は略水平に形成され、シート材Sの搬送方向側(図2右側)は円弧状に湾曲して形成されている。カバー22及び対向部材26は、タオルロールRから引き出されたシート材Sが通過する吸入口21を形成する。
【0043】
また、対向部材26には、その対向部材26を貫通する貫通孔26aが形成されている。貫通孔26aはシート材Sの搬送方向と直交する方向に6つ並べて形成されており、それぞれの貫通孔26aからは搬送ローラ23が吸入口21へ突出している。これにより、搬送ローラ23を図2における時計回りに回転させると、シート材Sは、タオルロールRから引き出され、吸入口21を通過して、切断装置30及び散水装置40へ搬送される。
【0044】
延伸部22bには、その延伸部22bから対向部材26へ向けて突出する突出部24が形成されている。突出部24は、タオルロールRから引き出されたシート材Sの搬送方向に延設されると共に、搬送ローラ23と非接触に構成されている。また、突出部24はシート材Sの搬送方向と直交する方向(図2紙面前後方向)に6個配列されている。6個の突出部24は、搬送ローラ23よりも反搬送方向側であって、6個の搬送ローラを通過する反搬送方向の延長線上にそれぞれ配設されている。突出部24は、シート材Sの一部を押圧することにより、シート材Sが搬送方向に対して斜行しようとする場合、そのシート材Sに食い込んでシート材Sの斜行を抑制するものである。
【0045】
突出部24同士の間には、吸入口21を通過するシート材Sの有無を検出する一対の検出センサ(図示せず)の一方が配設されている。検出センサは、発光素子及び受光素子(図示せず)を備えた周知の光学式センサである。このうち、発光素子は突出部24同士の間に穿設されたセンサ検出孔(図示せず)内に組み付けられており、受光素子は対向部材26に穿設されたセンサ検出孔(図示せず)内に組み付けられている。検出センサは、吸入口21を通じて発光及び受光を行い、吸入口21を通過するシート材Sの有無を検出する。
【0046】
切断装置30は、固定刃31と回転刃32とを主に備えている。固定刃31及び回転刃32は、シート材Sの幅方向(図2紙面前後方向)に延設されており、回転刃32は所定のタイミングで回転し、固定刃31と回転刃32との間に挟まれたシート材Sを所定寸法長で切断する。
【0047】
散水装置40は、水を貯留する水タンクTと、その水タンクTの水を給水する給水ポンプ83aと、その給水ポンプ83aにより給水される水を加熱するヒータ84aと、そのヒータ84aにより加熱された水をシート材Sに散水する散水ケース43とを主に備えている。水タンクTの給水口Tmは給水管41を介して給水ポンプ83aに連通されており、給水ポンプ83aは、送水ホース42を介してヒータ84a及び散水ケース43に接続されている。
【0048】
ここで、図3を参照して、散水ケース43の構成について説明する。図3は、散水ケース43を構成する部品を示す分解斜視図である。散水ケース43は、給水ホース42に連結された略円筒状の給水孔ケース44と、その給水孔ケース44に連結される長方形皿状の上散水ケース45と、その上散水ケース45から流入した水をシート材Sの幅方向に分散する散水口ケース46と、その散水口ケース46に固着される容器状の下散水ケース47とを主に備えている。
【0049】
給水孔ケース44は、給水ポンプ83aから給水ホース42(図2参照)を介して給水された水を受け入れる部品である。給水孔ケース44には、その中央から突出して形成された円筒状の装着パイプ44aが形成されている。ここで、給水ホース42は柔軟性の高いゴムで形成されると共に、給水ホース42の内径は、装着パイプ44aの外形よりも小さく形成されている。これにより、給水ホース42は、その一端の内径を広げて装着パイプ44aに装着され、装着パイプ44aに密着する。なお、装着パイプ44aの内側は、給水孔ケース44を貫通する貫通孔44cが形成されており、給水ホース42から給水された水を通過させる。
【0050】
給水孔ケース44の外面には、略円筒状のねじ孔44bが3つ形成されている。ねじ孔44bは、3個のねじN1により、パッキンPのねじ孔Pa及び上散水ケース45のねじ孔45eへそれぞれ螺嵌される。これにより、給水孔ケース44は、パッキンPを介して上散水ケース45に組み付けられる。なお、パッキンPは、リング状のゴムで形成されており、給水孔ケース44及び上散水ケース45の間からの水漏れを防止するものである。
【0051】
上散水ケース45は長方形皿状に形成されており、その中央部には円筒状の円筒部45aが形成されている。円筒部45aの上面外周には、上記ねじN1に螺嵌されるねじ孔45eが3つ形成されている。また、上散水ケース45の上面周縁にはフランジ状の周縁部45bが形成されており、この周縁部45bの上面四隅には、4つのねじ孔45fが形成されている。ねじ孔45fが4個のねじN2により下散水ケース47のねじ孔47cへそれぞれ螺嵌されることで、上散水ケース45は下散水ケース47に固着される。なお、上散水ケース45には、その下面から垂直に伸びる壁部45hが形成されている。壁部45hは、散水口ケース46の壁部46aに挿嵌されることで、その散水口ケース46を固定する。
【0052】
円筒部45aの内側には、円筒状の内円筒部45cが設けられている。内円筒部45cの内部は上散水ケース45を貫通しており、この内円筒部45cの内部へ略円柱状のT字ロッド48が挿入される。また、円筒部45a及び内円筒部45cの間には、コイルばねBが挿入される。
【0053】
T字ロッド48は、円柱状の軸部48bと、その軸部48bの一端(給水孔ケース44側)に形成されたフランジ状のフランジ部48aとを主に備えている。軸部48bは、内円筒部45cの内部を貫通すると共に、図3における上下方向へ移動可能に構成されている。フランジ部48aはコイルばねBの上端に当接し、このコイルばねBにより、給水孔ケース44の貫通孔44cへ向けて付勢される。これにより、フランジ部48aは、通常貫通孔44cを閉塞し、給水ホース42から給水された水を止める。一方、給水ポンプ83aに加圧された水圧がコイルばねBの付勢力よりも大きい場合、T字ロッド48は、その水圧により押圧され、内円筒部45cへ向けて移動する。これにより、貫通孔44cが開放され、給水ホース42から給水された水を通過させる。
【0054】
軸部48bの他端(散水口ケース46側)には、その外径よりも小径の溝を隔てて、略円錐状の爪部48cが形成されている(図4(b)参照)。爪部48cは、略円錐台形状の給水弁49に凹設された凹部49aへ圧入されることにより、給水弁49に取着される。
【0055】
給水弁49は、シリコンゴムにより形成されると共に、円筒部45a及び内円筒部45cの間の一部を貫通するノズル45g(図4(b)参照)を閉塞及び開放する部品である。即ち、給水弁49は、T字ロッド48が給水孔ケース44へ向けて付勢されることにより、ノズル45gの下面に合致して密着し、ノズル45gを閉塞する。一方、T字ロッド48が内円筒部45cへ向けて移動した場合、給水弁49は、そのT字ロッド48の移動に伴って散水口ケース46側へ移動する。これにより、給水弁49はノズル45gを開放し、給水ホース42から給水された水を図4(b)の紙面に対し前後方向に通過させる。
【0056】
散水口ケース46は、その外周から垂直に伸びる壁部46aを有し、その上方が開放された容器状に形成されると共に、その壁部46aの中央部は円筒状に形成されている。壁部46aは、上散水ケース45の壁部45hの形状よりも一回り小さな形状に構成されており、その上散水ケース45の壁部45hへ挿嵌される。このとき、壁部46aに形成された係合孔46cと、上散水ケース45の爪部(図示せず)とが係合することで、散水口ケース46は上散水ケース45に固定される。
【0057】
散水口ケース46の底板には、その底板を貫通する複数の散水口46bが一直線状に穿設されている。複数の散水口46bは、シート材Sの搬送方向と直交する方向に配列されており、給水ポンプから給水された水をシート材Sの幅方向全体に渡って分散し、その分散した水をシート材Sへ散水する。また、それぞれの散水口46bは重力方向へ向けられると共に、搬送コンベア51と対向して設けられる。これにより、散水口46bから水を噴射する必要がなくなるので、その散水口46bの直径を、水を噴射するタイプの散水口(図示せず)の直径よりも大きく形成することができる。
【0058】
下散水ケース47は、その上面が開放して形成された箱状の容器部47aと、その容器部47aの側面から突出し、本体2の側板に支持される支持軸47bとを主に備えている。容器部47aは、その上面四隅に形成されたねじ孔47cと上散水ケース45のねじ孔45fとがねじN2により螺嵌されて、上散水ケース45に組み付けられる。これにより、上散水ケース45及び下散水ケース47の間に空間が形成され、その空間には散水口ケース46及び給水弁49が収容される。支持軸47bは、本体2の側板に支持されることで、下散水ケース47の下面、及び散水口ケース46の散水口46bを搬送コンベア51と対向する位置に固定する部品である。下散水ケース47の下面には、散水口ケース46の散水口46bから散水される水を通過させるため、その下面を貫通する長方形状の開口部47dが形成されている。開口部47dには、4本の延設リブ47eが橋架して設けられている。
【0059】
続いて、図4を参照して下散水ケース47の延設リブ47eの詳細、及び散水ケース43の作用について説明する。図4(a)は、散水ケース43を組み立てたときの下面図であり、図4(b)は、図4(a)のIVb−IVb線に対応する散水ケース43の貫通孔44c及びノズル45gが閉塞された状態を示す断面図であり、図4(c)は、図4(a)のIVb−IVb線に対応する散水ケース43の貫通孔44c及びノズル45gが開放された状態を示す断面図である。まず、下散水ケース47の構成の詳細について説明する。
【0060】
図4(a)に示すように、下散水ケース47の下面には開口部47dが形成されている。延設リブ47eは、開口部47dの短手方向に延設されると共に、4本設けられている。延設リブ47eは、下散水ケース47の長手方向に配列されており、散水ケース43及び搬送コンベア51の間を通過するシート材Sの一部をそれぞれ押圧するものである。また、図4(b)に示すように、4本の延設リブ47dは、それぞれ同形状に形成されると共に、図4(b)における下側(搬送コンベア51側)を凸とした湾曲形状に形成されている。なお、下散水ケース47の支持軸47bが本体2の側板に支持された際には、開口部47dの短手方向がシート材Sの搬送方向となり、開口部47dの長手方向がシート材Sの幅方向となる。
【0061】
次に、散水ケース43の作用について説明する。図4(b)に示すように、給水ポンプ83aが作動しない場合、T字ロッド48は、コイルばねBにより給水孔ケース44の貫通孔44cへ向けて付勢されることで、貫通孔44cを閉塞する。このとき、T字ロッド48が給水孔ケース44へ向けて付勢されることで、給水弁49はノズル45gの下面に合致して密着し、ノズル45gを閉塞する(図4(b)の状態)。これにより、貫通孔44c及びノズル45gが閉塞されているので、給水ホース42(図2参照)内に残留する水は、散水口ケース46の散水口46bへ至らず、散水口46bから散水されない。
【0062】
一方、図4(b)及び(c)に示すように、給水ポンプ83aが作動すると、給水ホース42を介して給水孔ケース44の貫通孔44cへ水が給水される。給水される水の圧力が高くなると、その水はコイルばねBの付勢力に抗してT字ロッド48を図4(b)における下方へ押し下げ、貫通孔44cが開放される(図4(c)の状態)。また、T字ロッド48が押し下げられると、そのT字ロッド48と連結した給水弁49も図4(b)における下方へ押し下げられ、ノズル45gが開放される(図4(c)の状態)。
【0063】
これにより、図4(c)に示すように、給水ポンプ83aにより給水された水は、貫通孔44cを通過し、更にノズル45gを介して図4(c)の紙面に対し前後方向に通過し、散水口ケース46へ至る(図4(c)中矢印参照)。散水口ケース46に至った水は、複数の散水口46bによりシート材Sの幅方向へ分散されて落下し、開口部47dを通過してシート材Sへ散水される。よって、搬送コンベア51により搬送されるシート材Sに適度な湿り気を付与することができる。
【0064】
図2に戻る。成形装置50は、シート材Sを搬送する搬送コンベア51と、その搬送コンベア51の搬送ベルト51aと対向して配設されるカバー部材52と、そのカバー部材52の搬送方向側(図2左側)に配設される反転リング53とを主に備えている。搬送コンベア51の搬送ベルト51aは、複数の突起(図示せず)を外周面全域に有するゴム製の平ベルトであり、本体2に回転可能に軸支される一対の回転ローラ51b,51b間に架設されている。回転ローラ51b,51bは、コンベアモータ(図示せず)に連結されており、コンベアモータを回転させると、図2における反時計回りに回転し、搬送コンベア51はシート材Sを搬送する。散水ケース43を通過したシート材Sは、搬送コンベア51の搬送ベルト51aの回転により更に搬送される。搬送されるシート材Sはカバー部材52との対向面間においてシート材Sの先端に巻き込みの核が惹起され、そのシート材Sは、反転リング53により傾斜部材52bの下面側に保持されつつ、惹起された核を中心としてロール状に巻き込まれ、ロール状の巻きおしぼりMに成形される。そして、巻きおしぼりMの成形が終了したときに反転リング53の回転が停止され、巻きおしぼりMは、搬送コンベア51により搬送方向側(図2左側)へ向けて搬送され、受け皿兼用蓋5上に放出される。
【0065】
よって、本実施形態の巻きおしぼり製造装置1によれば、始動前において、シート材Sは、吸入口21を介して、カバー22及び搬送ローラ23により挟持された状態にある。また、散水ケース43は、給水ポンプ83aに連結されると共に、搬送コンベア51の搬送ベルト51aと対向して設けられた状態にある。この状態で、使用者によりスタートボタン4a(図1参照)が押下されると、搬送モータ(図示せず)が駆動して搬送ローラ23が回転する。すると、シート材Sは、タオルロールRから引き出され、吸入口21を通過して搬送ローラ23へ至り、本体2内へ搬送される。本体2内へ搬送されたシート材Sは、切断装置30により所定寸法長で切断され、搬送コンベア51へ至る。搬送コンベア51は、コンベアモータ(図示せず)の駆動により回転しており、シート材Sは搬送コンベア51により搬送されて散水ケース43及び搬送コンベア51の間を通過する。このとき、シート材Sには、給水ポンプ83aから散水ケース43へ水が給水されることで、散水ケース43の散水口46b(図4(c)参照)からシート材Sの幅方向へ水が散水される。その後、散水されたシート材Sは搬送コンベア51により搬送され、成形装置50はその搬送コンベア51と共同してシート材Sを巻回しロール状の巻きおしぼりMを成形する。
【0066】
ここで、延設リブ47e(図4(a)参照)は、散水ケース43及び搬送コンベア51の間を通過するシート材Sの一部を押圧する。これにより、シート材Sが延設リブ47eと接触するとき、その延設リブ47eはそのシート材Sの搬送方向端部の一部にのみ接触する。よって、延設リブ47eとシート材Sの搬送方向端部との接触面積を減少させることができるので、散水ケース43及び搬送コンベア51の間を通過しようとするシート材Sへの抵抗を軽減させることができる。従って、シート材Sは散水ケース43及び搬送コンベア51の間をスムーズに通過することができるので、延設リブ47eの手前で丸まるという現象を防止でき、その分、巻きおしぼりMの生産性を向上できる。
【0067】
また、延設リブ47eは、シート材Sの一部を押圧するだけなので、搬送コンベア51の搬送ベルト51aに多量の水が残っていても、その搬送ベルト51aへのシート材Sの貼り付きを防止することができる。従って、搬送ベルト51aにシート材Sが貼り付いたまま搬送ベルト51aが回転し続けるという現象を防止でき、その分、巻きおしぼりMの生産性を向上できる。更に、延設リブ47eはローラのような回転部材ではないので、ゴミの蓄積が少ない。よって、蓄積されたゴミを除去するという煩雑なメンテナンス作業を不要にできる。
【0068】
また、延設リブ47eは、搬送コンベア51側を凸とした湾曲形状に形成されている。よって、シート材Sが入り込む延設リブ47e及び搬送コンベア51の間は徐々に狭くなっていくので、シート材Sは延設リブ47e及び搬送コンベア51の間をよりスムーズに通過することができる。
【0069】
また、延設リブ47eは、それぞれ同形状に形成され、且つシート材Sの搬送方向と直交する方向に配列されている。よって、シート材Sが搬送方向に対して斜行しようとする場合、延設リブ47eはシート材Sの幅方向全体に渡ってシート材Sの斜行を規制することができる。従って、シート材Sを斜行させることなく巻回して、巻きおしぼりMを成形できる。
【0070】
また、散水ケース43の散水口46bは、重力方向(図2下方向)へ向けられている。ここで、散水口が水平方向へ向けられている場合、その散水口からシート材Sへ液体を散水するには、水を勢いよく噴射しなければならない。よって、散水口から散水される水の圧力を高めるため、その散水口を小さく形成しなければならず、その結果、散水口は目詰まりが生じ易くなる。これに対し、本実施形態の巻きおしぼり製造装置1によれば、搬送コンベア51と対向して設けられた散水ケース43の散水口46bは重力方向へ向けられているので、その散水口46bから散水された水は、重力により散水口46bから搬送コンベア51へ落下する。よって、散水のために液体の圧力を高める必要がないので、散水口46bを大きく形成することができる。従って、散水口46bの目詰まりを防止できる。
【0071】
また、散水口46bを大きく形成できるので、単位時間当たりの水の散水量を増やすことができる。これにより、搬送コンベア51を通常より速く回転させても、シート材Sへの散水量を十分に確保することができる。よって、搬送コンベア51を通常よりも速く回転させることができ、巻きおしぼりMの成形時間を短縮できるので、その分、巻きおしぼりMの生産性を向上できる。更に、散水する水の圧力を高める必要がないので、高性能の給水ポンプを設ける必要が無く、グレードの低い給水ポンプ83aで十分となり、その分、装置コストを軽減できる。
【0072】
また、ヒータ84aは、散水ケース43の散水口46bからシート材Sへ散水される水を加熱する。ここで、延設リブ47eに代替してローラを設ける場合、ヒータ84aにより加熱された水はローラを介してシート材Sへ散水される。その際、水の熱はローラに伝導するので、シート材Sへ散水される水の温度が下がる。よって、シート材Sへ散水される水を所望の温度にするため、ヒータ84aは水を必要以上に加熱しなければならず、その分、消費電力が増大する。これに対し、本実施形態の巻きおしぼり製造装置1によれば、ローラに代替して延設リブ47eを設けたので、ヒータ84aにより加熱された水を直接シート材Sへ散水することができる。よって、熱効率の低下を防止して、消費電力を小さくできる。
【0073】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
【0074】
上記実施形態では、延設リブ47eはそれぞれ同形状としたが、必ずしもこれに限られるものではなく、それぞれの幅が異なるものであっても良い。かかる場合においても、延設リブを、シート材Sの搬送方向と直交する方向視においてそれぞれ同形状に形成することにより、シート材Sの幅方向全体に渡ってシート材Sの斜行を規制することができる。
【0075】
また、上記実施形態では、延設リブ47eは、搬送コンベア51側を凸とする湾曲形状としたが、必ずしもこれに限られるものではなく、直線棒状に形成しても良い。かかる場合においても、シート材Sが直線棒状に形成された延設リブと接触するとき、その延設リブはシート材Sの搬送方向端部の一部にのみ接触する。よって、散水ケース43及び搬送コンベア51の間を通過しようとするシート材Sへの抵抗を軽減できるので、シート材Sは散水ケース43及び搬送コンベア51の間をスムーズに通過することができる。また、この直線棒状の延設リブはシート材Sの一部を押圧するだけなので、搬送コンベア51の搬送ベルト51aに多量の水が残っていても、その搬送ベルト51aへのシート材Sの貼り付きを防止することができる。更に、直線棒状の延設リブはローラのような回転部材ではないので、ゴミの蓄積が少なく、蓄積されたゴミを除去するという煩雑なメンテナンス作業を不要にできるのである。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の一実施形態における巻きおしぼり製造装置の外観斜視図である。
【図2】巻きおしぼり製造装置の側断面図である。
【図3】散水ケースを構成する部品を示す分解斜視図である。
【図4】(a)は、散水ケースを組み立てたときの下面図であり、(b)は、(a)のIVb−IVb線に対応する散水ケースの貫通孔及びノズルが閉塞された状態を示す断面図であり、(c)は、(a)のIVb−IVb線に対応する散水ケースの貫通孔及びノズルが開放された状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0077】
1 巻きおしぼり製造装置
43 散水ケース
46b 散水口
47e 延設リブ
50 成形装置
51 搬送コンベア
83a 給水ポンプ
84a ヒータ
S シート材
M 巻きおしぼり

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のシート材を搬送する搬送コンベアと、その搬送コンベアにより搬送されるシート材へ液体を給水する給水ポンプと、その給水ポンプにより給水されたシート材を前記搬送コンベアにより搬送しつつその搬送コンベアと共同して巻回しロール状の巻きおしぼりに成形する成形装置とを備えた巻きおしぼり製造装置において、
前記給水ポンプに連結され前記搬送コンベアと対向して設けられると共に、その給水ポンプから給水された液体を散水する1又は複数の散水口を有し、その散水口から搬送コンベアにより搬送されるシート材の幅方向へ液体を散水する散水ケースと、
その散水ケース及び搬送コンベアの間を通過するシート材の一部を押圧するため、その散水ケース及び搬送コンベアの間に設けられると共に、そのシート材の搬送方向に延設される1又は複数の延設リブとを備えていることを特徴とする巻きおしぼり製造装置。
【請求項2】
前記延設リブは、前記搬送コンベア側を凸とした湾曲形状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の巻きおしぼり製造装置。
【請求項3】
前記延設リブは複数設けられており、その複数の延設リブは、前記シート材の搬送方向と直交する方向視においてそれぞれ同形状に形成されると共に、そのシート材の搬送方向と直交する方向に配列されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の巻きおしぼり製造装置。
【請求項4】
前記散水ケースの散水口は、重力方向へ向けられると共に、前記搬送コンベアと対向して設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の巻きおしぼり製造装置。
【請求項5】
前記巻きおしぼり製造装置は、前記散水ケースの散水口からシート材へ散水される液体を加熱するヒータを備えていることを特徴とする請求項4記載の巻きおしぼり製造装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−244456(P2007−244456A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−68803(P2006−68803)
【出願日】平成18年3月14日(2006.3.14)
【出願人】(502135853)株式会社フジ電材 (3)
【Fターム(参考)】