説明

巻き上げ機の組合せ

本発明は、巻き上げ機(1)と、サイドフランジ(4)を備えた梁(3)に沿って移動するように配されたトロリ(2)とを含み、このトロリは、梁の両側に配されて車輪(6)を備える2つのトロリフランジ(5)を含んでいて、それによって梁のサイドフランジに沿って移動し、さらに、巻き上げ機を梁の下のトロリフランジに固定して、トロリフランジの間の相互の距離を調整する固定調整手段(7、8、9)を含む巻き上げ機の組合せに関するもので、固定調整手段は、巻き上げ機(1)とトロリフランジ(5)との間の支持用摺動連結器(7、8)と、トロリフランジ(5)の間に接続された調整棒(9)とを含み、調整棒の摺動方向および摺動連結器は梁に対して横向きである。


【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明は、巻き上げ機と、サイドフランジを備えた梁に沿って移動するように配されたトロリとを含み、このトロリは、梁の両側に配されて車輪を備える2つのトロリフランジを含んでいて、それによって梁のサイドフランジに沿って移動し、さらに、巻き上げ機を梁の下のトロリフランジに固定し、トロリフランジ間の相互の距離を調整する固定調整手段を含む巻き上げ機の組合せに関するものである。
【0002】
従来、1本の高架桁または吊り梁に沿って走行し、そこから下向きに吊り下げる多様な巻き上げ機の組合せが知られていて、これらの巻き上げ機の組合せは一般的にチェーン巻き上げ機である。一般に、フランジ付きのI字型プロフィールが梁の役割を果たす。より長い支承距離またはより重い荷重に関する場合、使用する梁は、そこから突出するフランジを備えた箱型または筒型の構造体でよい。
【0003】
多様な荷重および多様な荷重負荷能力のために、さまざまな幅の梁と、その協働に適した巻き上げ機の組合せとが必要となる。通常、さまざまな幅の梁は、それぞれの幅ごとに適したさまざまな巻き上げ機の組合せが必要であった。したがって、巻き上げ機の組合せは、多様ないわゆるクロスヘッドを用い、それにより巻き上げ機の組合せを該当する荷重に適合させることができた。
【0004】
また、さまざまな幅の梁を走行するように調整可能な巻き上げ機の組合せも知られている。
【0005】
調整可能な巻き上げ機の組合せは、ドイツ実用新案公報第8715497U号にて知られ、ここで巻き上げ機はトロリフランジにボルトで直接固定されている。固定ボルトに関連して、座金は、フランジ間の相互距離の調整に用いることができる。
【0006】
先の公報に相当する構造体が、米国特許公報第1,858,895A号に開示され、それは同様にして、トロリフランジの固定ねじに関連して調整部品を含んでいる。
【0007】
米国特許公報第3,261,477A号により、トロリフランジをピンで直に固定することが知られ、それはフランジ間の距離を調整する調整用ノッチを含んでいる。
【0008】
英国特許公報第1,307,677A号は、前述の公報におけるものと大部分が同様である方式を開示しているが、この場合、巻き上げ機を固定するために、巻き上げ機および固定フランジの双方が、梁に対して垂直であり固定ボルト用に設けられた複数の隣接する打ち抜き穴を含み、フランジのさまざまな固定点の選択を可能にしている。
【0009】
公知の調整可能な巻き上げ機の組合せの問題として、調整範囲はかなり大まかで、緩やかでしかも比較的限られていて、また、調整部品のねじを緩めるので調整を行うのが大変困難であるという事実があり、それに加えて、調整を行っている間には巻き上げ機を別個に支持しなければならない。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、上述の欠点を解消し、できるだけ簡単で、正確かつ使いやすい固定調整機構を提供することを目的とする。これは本発明による巻き上げ機の組合せによって実現でき、それは、固定調整手段が、巻き上げ機とトロリフランジとの間の支持用摺動連結器と、トロリフランジ間に接続された調整棒とを含み、調整棒および摺動連結器の摺動方向が梁に対して横向きであることを特徴とする。
【0011】
本発明の好適な実施例において、支持用摺動連結器は、巻き上げ機の前側および後ろ側に設けられた溝と、トロリフランジに設けられて、巻き上げ機の溝にて延長および把持して、溝と摺動可能に協働するクランプとを含み、調整棒は、それがトロリフランジに対して回転するのを防止する固定手段を付加的に備えるねじ付き棒である。
【0012】
このように、本発明は、相互に接続される部品の相互把持に基づくもので、調整棒を使用することにより把持点を相互に適切で適正な位置へと摺動することができ、同時にそれはトロリフランジと相互に接続する。
【0013】
本発明の機構は非常に簡単なもので、その調整はいかなる段階もなく非常に正確である。また、巻き上げ機の組合せは、巻き上げ機とトロリとの間に余分な連結部品がなく非常に小型である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
以下に、本発明を、添付の図面を参照して、好適な実施例によってより詳細に説明する。
【図1】本発明に係る巻き上げ機の組合せの斜視図である。
【図2】図1の巻き上げ機の組合せの前面図である。
【図3】先の図の巻き上げ機の組合せの側面図である。
【発明の詳細な説明】
【0015】
図面を参照すると、それに示す本発明の効果的な巻き上げ機の組合せは、主要構成要素として巻き上げ機1およびトロリ2を含む。
【0016】
トロリ2は、サイドフランジ4を備えた桁または梁3(I字型梁)に沿って移動するように配され、トロリ3は、梁3の両側に配されて車輪6を備える2つのトロリフランジ5を含んでいて、車輪は梁3に対向するトロリフランジ5の内側に配置されてトロリフランジ5を支持し、それによってトロリ2全体が梁3のサイドフランジ4に沿って(その上面を)移動する。
【0017】
また本発明の組合せは、巻き上げ機1を梁3の下のトロリフランジ5に固定し、トロリフランジ5の間の相互の距離を調整して固定する固定調整手段を含む。
【0018】
固定調整手段は、巻き上げ機1とトロリフランジ5との間に設けられた支持用摺動連結器7、8と、トロリフランジ5の間に接続された調整棒9とを含み、調整棒9および摺動連結器7、8の摺動方向は梁3に対して横向きである。
【0019】
この好適な実施例では、支持用摺動連結器は、巻き上げ機1の前側および後ろ側に設けられた溝7と、トロリフランジ5に設けられて、巻き上げ機1の溝7にて延長および把持して、それに摺動可能に協働するクランプ8とを含む。クランプ8は、その総数が本例では4個であり、トロリフランジ5の前縁部10および後縁部11の下方縁部に設けられ、前記前縁部10および後縁部11は巻き上げ機1の前側および後ろ側と平行になるように曲げられている。これにより、クランプ8は十分な把持幅を有する。
【0020】
調整棒9はねじ付き棒であり、またその端部には、それがトロリフランジ5に対して回転するのを防止して、それを巻き上げ機1に不動に固定する固定手段12が設けられる。固定手段12は、巻き上げ機1の端部に配される。
【0021】
また図では、モータ13と、トロリ2の側部にてトロリ2を駆動する制御ユニット14とを示す。巻き上げ機1自体およびそれに含まれて吊り鉤15を昇降させる駆動機構は、従来技術であり、本発明とは関係がないので、ここでは詳述しない。
【0022】
上述の本発明の説明は、本発明の基本的な概念を例証するためのものに過ぎない。しかしながら、当業者であればその細部を添付の特許請求の範囲の範囲内において変更可能である。したがって、前述の摺動連結器は、たとえば、巻き上げ機に配された摺動棒とトロリフランジに配された開口部とを用いて実現することができ、摺動棒はたとえ本方式が図に明示されていなくても移動可能である。また、巻き上げ機の前側および後ろ側に、そこから突出するフランジを設けることもできる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻き上げ機(1)と、
サイドフランジ(4)を備えた梁(3)に沿って移動するように配されたトロリ(2)とを含み、該トロリ(2)は、前記梁(3)の両側に配されて車輪(6)を備える2つのトロリフランジ(5)を含んでいて、それによって前記梁の前記サイドフランジ(4)に沿って移動し、さらに、
前記巻き上げ機(1)を前記梁(3)の下の前記トロリフランジ(5)に固定し、該トロリフランジ(5)の間の相互の距離を調整する固定調整手段(7、8、9)を含む巻き上げ機の組合せにおいて、
前記固定調整手段は、前記巻き上げ機(1)と前記トロリフランジ(5)との間の支持用摺動連結器(7、8)と、トロリフランジ(5)の間に接続された調整棒(9)とを含み、該調整棒(9)および前記摺動連結器(7、8)の摺動方向は前記梁(3)に対して横向きであることを特徴とする巻き上げ機の組合せ。
【請求項2】
請求項1に記載の巻き上げ機の組合せにおいて、前記支持用摺動連結器は、前記巻き上げ機(1)の前側および後ろ側に設けられた溝(7)と、前記トロリフランジ(5)に設けられて、前記巻き上げ機(1)の前記溝(7)にて延長および把持し、前記溝(7)に摺動可能に協働するクランプ(8)とを含むことを特徴とする巻き上げ機の組合せ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の巻き上げ機の組合せにおいて、前記調整棒(9)は、それが前記トロリフランジ(5)に対して回転するのを防止して、それを前記巻き上げ機(1)に不動に固定する固定手段(12)を付加的に備えたねじ付き棒であることを特徴とする巻き上げ機の組合せ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−525882(P2011−525882A)
【公表日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515500(P2011−515500)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【国際出願番号】PCT/FI2009/050561
【国際公開番号】WO2009/156587
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(510051679)コネクレーンズ ピーエルシー (7)
【氏名又は名称原語表記】KONECRANES PLC