説明

巻き取り用駆動装置、並びに、巻き取り装置

【課題】本発明は、巻回物の停止位置を容易に設定でき、さらに設定した停止位置がずれない巻き取り用駆動装置、並びに、巻き取り装置であって、内外を連通する電線の数が少なくて足る構成を提供することを目的とした。
【解決手段】巻き取り装置1は、本体部40と外部の直流電源とを電気的に繋ぐ2本の電気供給用電線23とを有した巻き取り用駆動装置2と、巻き取りドラム21を有している。電気供給用電線23は、中途に極性切換スイッチ33が設けられ、このスイッチ33を操作することで駆動用モータ7の回転方向を変更可能である。また、本体部40には運転モードを切り換え可能な運転モード切換えスイッチ17が設けられ、停止位置設定モードにおいて、回転検知部で検知した回転数を記憶部に記憶させ、通常動作モードにおいて当該回転数がフィードバックされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテンやブラインド等を巻き取る巻き取り装置及びその駆動装置に関するものである。即ち本発明は、筒体に内蔵された駆動用モータの回転を制御できる巻き取り用駆動装置、並びに、巻き取り装置に関するもので、特には、回転する筒体の停止位置を容易に設定可能なものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、カーテン等の巻回物を昇降させる巻き取り装置には、コイルバネの巻き取り機構を利用した手動式のもののほか、モータの駆動力を利用した自動式のものがある。自動式の巻き取り装置には、巻回物の巻き取り上限値(開放状態)や巻き出し下限値(遮蔽状態)の設定が可能なものがある。
【0003】
特許文献1には、巻回物の停止位置を設定可能な調整ボックスが備えられており、その調整ボックスに巻回物を巻き取る巻き取り軸が挿通され、その巻き取り軸の回転に連動して動作するドグが調整ボックス内に配された巻き取り装置が開示されている。この巻き取り装置では、ドグがリミットスイッチに当接することで、巻回物の巻き取り動作を停止させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−20541号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の巻き取り装置は、巻回物の巻き取り上限値や巻き出し下限値の設定が煩わしい上、巻回物の設定した停止位置がずれる場合があった。
【0006】
具体的に説明すると、特許文献1の巻き取り装置は、調整ボックス内に配されたリミットスイッチの位置を調整することで巻回物の停止位置を決定する。また、リミットスイッチの位置を調整するためには、調整ボックスの外部に配された調整つまみを回す必要がある。そのため、外部に設けられた調整つまみを回すことで、目視できないリミットスイッチの位置決めをする必要がある。従って、巻回物を停止させたい位置に設定するためには、調整つまみを回した後に、モータを駆動して巻回物の位置を確認する必要があり、設定作業が煩わしい。特に、巻き取り装置を高所に配する場合は、脚立などに上り高所での作業となるため、時間を要して煩わしく、且つ危険を伴う作業が必要であった。
【0007】
また、このような物理的機構を利用した制御の巻き取り装置は、部材点数が多く、組み立ての際の部材間の調整が煩雑となる。加えて特許文献1では、調整つまみが何らかの原因でゆるんで回転したり、リミットスイッチの固定が不安定となると、調整つまみの位置が当初の位置からずれ、巻回物の停止位置もずれる問題があった。そのため従来技術の巻き取り装置では、停止位置がずれる度に再設定の必要があった。
【0008】
またモータを内蔵した巻き取り装置は、装置の内外を連通する信号線等の数が多いという不満があった。
即ちモータを内蔵した巻き取り装置は、カーテンやブラインド等を繰り出す動作と巻き取る動作を行う必要があり、装置内のモータは、正回転と逆回転が可能でなければならない。そのため、回転方向を指示するための信号線が必要であり、この信号線が、装置の内外を連通する。
さらに装置内のモータに給電する給電線が必須であるから、モータを内蔵した巻き取り装置は、給電用の電線と信号線とを必要とし、両者が装置の内外を連通する構造となる。
さらに巻回物の巻き取り上限値や巻き出し下限値の設定が可能な構成とすると、設定用の信号線を装置の内外に連通させる必要が生じ、さらに電線の数が増加してしまう。
【0009】
そこで本発明は、上述した従来技術の問題に鑑み、巻回物の停止位置を容易に設定でき、さらに設定した停止位置がずれない巻き取り用駆動装置、並びに、巻き取り装置であって、内外を連通する電線の数が少なくて足る構成を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、本体部と、当該本体部と外部の直流電源とを電気的につなぐ2本の電気供給用電線とを有し、前記本体部は筒体と駆動用モータと制御装置を有し、筒体内に駆動用モータと制御装置とが内蔵され、電気供給用電線から直流電流の供給を受けて前記駆動用モータが回転し、当該駆動用モータの回転力が筒体に伝導されて筒体が回転する巻き取り用駆動装置であって、電気供給用電線の中途に極性切換スイッチが設けられ、前記極性切換スイッチを操作することによって電気供給用電線を流れる直流電流の極性を変化させて駆動用モータの回転方向を変更可能であり、前記制御装置は、前記駆動用モータの回転数に関する情報を直接的又は間接的に検知する回転数検知手段と、当該回転数検知手段により検知された情報を記憶する記憶手段とを含み、且つ前記制御装置によって停止位置設定モード運転と通常動作モード運転とが選択的に行われ、本体部には運転モード切換えスイッチが設けられ、運転モード切換えスイッチを切り換えることによって停止位置設定モード運転と通常動作モード運転とに切換えられ、停止位置設定モード運転時においては、前記回転数検知手段により検知された情報が記憶手段に記憶され、通常動作モード運転時においては、駆動用モータを回転させると前記記憶手段に記憶された情報に基づいて駆動用モータが停止することを特徴とする巻き取り用駆動装置である。
【0011】
また請求項2に記載の発明は、別途用意の巻き取りドラム内に収納される巻き取り用駆動装置であって、本体部と、当該本体部と外部の直流電源とを電気的につなぐ2本の電気供給用電線とを有し、前記本体部は前記ドラムに収納される筒体と、駆動用モータと、出力部材と制御装置とを有し、筒体内に駆動用モータと制御装置とが内蔵され、電気供給用電線から直流電流の供給を受けて前記駆動用モータが回転し、駆動用モータの回転力が出力部材に伝導されて出力部材が回転するものであり、電気供給用電線の中途に極性切換スイッチが設けられ、前記極性切換スイッチを操作することによって電気供給用電線を流れる直流電流の極性を変化させて駆動用モータの回転方向を変更可能であり、前記制御装置は、前記駆動用モータの回転数に関する情報を直接的又は間接的に検知する回転数検知手段と、当該回転数検知手段により検知された情報を記憶する記憶手段とを含み、且つ前記制御装置によって停止位置設定モード運転と通常動作モード運転とが選択的に行われ、本体部には運転モード切換えスイッチが設けられ、運転モード切換えスイッチを切り換えることによって停止位置設定モード運転と通常動作モード運転とに切換えられ、停止位置設定モード運転時においては、前記回転数検知手段により検知された情報が記憶手段に記憶され、通常動作モード運転時においては、駆動用モータを回転させると前記記憶手段に記憶された情報に基づいて駆動用モータが停止することを特徴とする巻き取り用駆動装置である。
【0012】
請求項1及び2に記載の巻き取り用駆動装置は、筒体内に駆動用モータの回転数に関する情報を直接的又は間接的に検知する回転数検知手段と、その回転数に関する情報を記憶する記憶手段とが内蔵されている。ここで「直接的」とは駆動用モータの回転数を直に計測する場合を指し、例えばモータの回転軸に回転数検知センサーを取り付ける様な場合である。
一方「間接的」とは駆動用モータの回転が伝導される筒体や出力部材等に回転数検知センサーが取付けられている場合である。
このように駆動用モータの回転数を直接的あるいは間接的に検知をすることで、回転が伝導される筒体や出力部材の回転数が特定され、巻回物の末端の位置が特定される。逆に巻回物の末端を特定の位置に至らしめるのに要する駆動用モータの回転数が特定される。
本発明の巻き取り用駆動装置では、停止位置設定モード運転において人為的に駆動用モータに通電して回転させ、人為的に駆動用モータを停止する。
そしてこの間の駆動用モータの回転数等を回転数検知手段で検知し、検知された回転数等を記憶手段に記憶させる。
これにより、巻回物の末端を特定の位置に至らしめるための駆動用モータの回転数等が記憶手段に記憶される。以上の一連の行為によって設定が完了する。
本発明の巻き取り用駆動装置では、運転モードを通常動作モードに変更して日常の運転を行う。
通常動作モード運転時においては、駆動用モータを回転させると前記記憶手段に記憶された回転数で駆動用モータが停止する。そのため巻回物の末端が特定の位置に至ると駆動用モータが停止する。
本発明の巻き取り用駆動装置は、物理的機構により筒体又は出力部材の停止位置を設定するわけではないため、煩雑な部材構成を必要とせず、単純な部材構成で筒体等の停止位置が制御できる。それに伴い、筒体等の停止位置の設定作業においては、煩わしい作業が伴わない。そして、停止位置設定モード運転で設定された筒体等の停止位置は、通常動作モード運転にフィードバックされるため、実用性の高い巻き取り用駆動装置を提供できる。
また本発明の巻き取り用駆動装置は、外部の直流電源を利用して筒体内の駆動モータを回転させるものであり、本体部と外部の直流電源とを電気的につなぐ2本の電気供給用電線とを有している。そして電気供給用電線から直流電流の供給を受けて前記駆動用モータが回転する。ここで本発明の巻き取り用駆動装置では、電気供給用電線の中途に極性切換スイッチが設けられ、前記極性切換スイッチを操作することによって電気供給用電線を流れる直流電流の極性を変化させて駆動用モータの回転方向を変えることができる。
そのため本発明の巻き取り用駆動装置では、回転方向を指示するための信号線が不要であり、装置の内外を連通する電線の数が少ない。
【0013】
請求項3に記載の発明は、人為的な操作又は人為的な操作で生成される信号により駆動用モータを回転させるスイッチが本体部に取り付けられており、停止位置設定モード運転時においては、前記スイッチを操作して駆動用モータを回転させた後に駆動用モータを停止することにより、前記回転数検知手段により検知された情報が記憶手段に記憶されることを特徴とする請求項1又は2に記載の巻き取り用駆動装置である。
【0014】
本発明の巻き取り用駆動装置では、駆動用モータを回転させるスイッチを操作して停止位置の設定を行う。また本発明では、駆動用モータを回転させるスイッチが、巻き取り用駆動装置の本体部に設けられているから、停止位置設定用の信号線を挿通させる必要がない。
【0015】
請求項4に記載の発明は、停止位置設定モード運転時においては、人為的に駆動用モータに通電して駆動用モータを回転させた後に人為的に電力の供給を停止する操作を実行することにより、前記回転数検知手段により検知された情報が記憶手段に記憶されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の巻き取り用駆動装置である。
【0016】
本発明の巻き取り用駆動装置では、停止位置設定モード運転において人為的に駆動用モータに通電して回転させ、人為的に電力供給を停止する。具体的には、巻回物の末端が所定の位置に至った時に人為的に電力供給を停止することとなる。
また人為的に電力の供給を停止することを契機として回転数検知手段により検知された情報を記憶手段に記憶するので、契機を作るための信号線が不要である。
【0017】
請求項5に記載の発明は、筒体内に電池又はコンデンサーを内蔵し、停止位置設定モード運転時においては、電池又はコンデンサーを電源として回転数検知手段により検知された情報が記憶手段に記憶されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の巻き取り用駆動装置である。
【0018】
本発明の巻き取り用駆動装置では、筒体内に電池又はコンデンサーを内蔵しているため、停止位置設定モード運転において、駆動用モータの電力供給を停止しても電池又はコンデンサーにより記憶手段に電力を供給することができ、停止位置設定モードで人為的に電力供給を停止しても、回転数が記憶される。
【0019】
請求項6に記載の発明は、駆動用モータは、正回転と逆回転とが可能であり、停止位置設定モード運転時においては、駆動用モータを正回転した場合と逆回転した場合の前記駆動用モータの回転数が前記回転数検知手段で検知され、それぞれの回転数が記憶手段に記憶され、通常動作モード運転時においては、駆動用モータを正回転させると前記記憶手段に記憶された正回転時の回転数で駆動用モータが停止し、駆動用モータを逆回転させると前記記憶手段に記憶された逆回転時の回転数で駆動用モータが停止することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の巻き取り用駆動装置である。
【0020】
本発明の巻き取り用駆動装置では、駆動用モータが正逆双方に回転可能であり、記憶手段がそれぞれの回転方向の回転数を記憶できる。
【0021】
請求項7に記載の発明は、停止位置設定モード運転時に駆動用モータを正回転と逆回転することが可能であり、正回転数と逆回転数を差し引きした回転数が記憶手段に記憶されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の巻き取り用駆動装置である。
【0022】
本発明の巻き取り用駆動装置では、停止位置設定モード運転時に駆動用モータを正回転と逆回転することが可能であるから、停止位置を微調整することができる。
【0023】
請求項8に記載の発明は、駆動用モータの停止位置を補正できる補正手段を有し、通常動作モード運転時において、停止位置設定モード運転時に記憶された回転数以上あるいは回転数以下の回転数で停止した場合、補正手段により記憶された回転数に補正されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の巻き取り用駆動装置である。
【0024】
本発明の巻き取り用駆動装置は、補正手段を有しており、通常動作モード運転において、停止位置設定モードで設定された回転数以上で回転が停止した場合、設定した回転数に補正される。即ち巻回物が持つ慣性によって、停止位置設定モードで設定された回転数を越えてモータが回転してしまう場合が想定されるが、本発明では補正手段により記憶された回転数に補正される。これにより、通常動作モード運転において、出力部材の停止位置が動作の度にずれて、停止位置が大きくずれることを防止できる。
【0025】
本発明の巻き取り用駆動装置は、回転方向を検知するために、回転数検知手段に2以上のホール素子が配されていることが推奨される(請求項9)。
【0026】
請求項10に記載の発明は、通常動作モード運転と停止位置設定モード運転の切り換えが可能なモード切換手段を有していることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の巻き取り用駆動装置である。
【0027】
本発明の巻き取り用駆動装置は、通常動作モードと停止位置設定モードの切り換えが可能なモード切換手段が配されているため、人為的にモード切換手段を切り換えない限り、停止位置が設定変更されることがない。言い換えれば、停止位置設定モードに切り換えるだけで、容易に停止位置を設定可能な状態とすることができるため、容易に設定を行うことができる。
【0028】
請求項11に記載の発明は、駆動用モータは、永久磁石とコイルを有し、人為的に電力の供給を停止したときに前記コイルが短絡されることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の巻き取り用駆動装置である。
【0029】
本発明の巻き取り用駆動装置では、人為的に電力の供給を停止したときにモータのコイルが短絡される。そのためコイル又は磁石が回転するとコイルに起電力が生じ、駆動用モータが電磁ブレーキとして機能する。
【0030】
請求項12に記載の発明は、人為的に電力の供給を停止したことを検知する電源認識手段を有し、人為的に電力の供給が停止されコイルが短絡されたときには電源認識手段とコイルとの間の通電が遮断されることを特徴とする請求項11に記載の巻き取り用駆動装置である。
【0031】
本発明では、人為的に電力の供給を停止したことを検知する電源認識手段を有するが、人為的に電力の供給を停止したときにモータのコイルが短絡させると、前記した様にコイルに起電力が生じ、電源認識手段が誤検知する懸念がある。そこで本発明では、人為的に電力の供給が停止されコイルが短絡されたときには電源認識手段とコイルとの間の通電を遮断し、電源認識手段の誤検知を防止することとした。
【0032】
本発明の巻き取り用駆動装置では、筒体が出力部材を兼ね、駆動用モータを回転させることによって筒体が回転する構成が推奨される(請求項13)。
【0033】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の巻き取り用駆動装置と、筒体に巻き付けられる巻回物を有することを特徴とする巻き取り装置である。
【0034】
本発明の巻き取り装置は、請求項13に記載の巻き取り用駆動装置と巻回物により構成されている。即ち、巻回物の停止位置を容易に設定でき、さらにその設定した停止位置をフィードバックできるため、実用性の高い巻き取り装置を提供できる。
【0035】
請求項15に記載の発明は、巻回物が巻き付けられる巻き取りドラムを有し、当該巻き取りドラム内に請求項1に記載の巻き取り用駆動装置が内蔵されていることを特徴とする巻き取り装置である。
【0036】
本発明の巻き取り装置は、巻回物と巻き取りドラムと巻き取りドラム内に内蔵された請求項1に記載の巻き取り用駆動装置により構成されている。即ち、巻回物の停止位置を容易に設定でき、さらにその設定した停止位置をフィードバックできるため、実用性の高い巻き取り装置を提供できる。さらに、巻き取りドラムの大きさを変えることで大きな巻回物を採用することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明の巻き取り装置並びに巻き取り用駆動装置では、停止位置設定モードにおいて、駆動用モータの電力供給を人為的に停止することで、駆動用モータの回転数を記憶させることができるため、出力部材の停止位置を容易に設定することができる。
また本発明の巻き取り装置並びに巻き取り用駆動装置では、筒体の内外を結ぶ電線は動力用の給電線だけで足る。そのため本発明の巻き取り装置並びに巻き取り用駆動装置は、外部配線が簡単である。
さらに本発明の巻き取り装置並びに巻き取り用駆動装置では、通常動作モードにおいて、回転数が補正されて停止するため、出力部材の停止位置がずれることがない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態に係る巻き取り装置を示す斜視図である。
【図2】図1の巻き取りドラムの内部を示す断面図である。
【図3】図2の筒体の内部を示す断面図である。
【図4】図2に示す回転磁石と固定磁石の関係を模式的に示すA−A断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る巻き取り装置の制御を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施形態に係る巻き取り装置の概略回路図であり、巻き取り装置に通電されている状態を示す。
【図7】本発明の実施形態に係る巻き取り装置の概略回路図であり、巻き取り装置に通電されていない状態を示す。
【図8】停止位置設定モード運転における巻き上げ上限値設定及び巻き下げ下限値設定のフローチャートである。
【図9】通常動作モード運転における制御を示すフローチャートである。
【図10】本発明の他の実施形態に係る巻き取り装置を示す斜視図である。
【図11】図10に示す実施形態に係る巻き取り装置の概略回路図である。
【図12】本発明のさらに他の実施形態に係る巻き取り装置図の概略回路図である。
【図13】本発明のさらに他の実施形態に係る巻き取り装置図の概略回路図である。
【図14】本発明のさらに他の実施形態に係る巻き取り装置図の概略回路図であり、駆動用モータを回転している状態を示す。
【図15】図14に示す実施形態に係る巻き取り装置図の概略回路図であり、駆動用モータの回転を停止した状態を示す。
【図16】本発明の巻き取り装置の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下に、本発明を実施するための好ましい実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、以下の実施形態は、巻き取りドラム21内に巻き取り用駆動装置2が内蔵された巻き取り装置1であり、当該巻き取り装置1は、巻き取り用駆動装置2によって巻き取りドラム21を回転させる構造であるが、巻き取りドラム21が筒体であることから、巻き取りドラム21と巻き取り用駆動装置2を合わせた構造(巻き取り装置1)についても請求項1に記載された巻き取り用駆動装置の構成要件を備えている。
【0040】
本実施形態の巻き取り装置1は、建物内の窓際に取り付けられ、カーテンやブラインド等の遮蔽体(巻回物)を開閉することで外部から窓に入射する光の全てあるいは一部を遮ったり、外部から部屋の様子が視認されないように外部と遮断できるものである。
即ち、本実施形態の巻き取り装置1は、図1,2に示す巻き取りドラム21と、巻き取りドラム21に内蔵される巻き取り用駆動装置2(図3)とを有し、巻き取りドラム21にカーテン等の巻回物3が巻き付けられており、さらにこれらの全体を覆うボックス体22を備えたものである。
【0041】
ボックス体22は、図1に示す様に、隣接する長手方向に延伸する2面(下面及び裏面)が開放された金属あるいは樹脂等で構成された筐体であり、巻き取りドラム21の全体及び巻き取りドラム21から突出する巻き取り用駆動装置2の一部が覆われる程度の大きさを有している。即ち、ボックス体22の長手方向長さ(水平方向長さ)は巻き取りドラム21の長手方向長さより長く、ボックス体22の奥行き長さ及び高さ(垂直方向長さ)は巻き取りドラム21の径より長い。なお、巻き取りドラム21には巻回物3が巻回されると、巻き取りドラム21と巻回物3を合わせた径が巻き取りドラム21の径以上となるため、ボックス体22の奥行き及び高さは当該合わせた径より長くする必要がある。
【0042】
巻き取りドラム21は、ローラ(筒体)で、巻回物3が巻回可能とされたものである。巻き取りドラム21には後述する巻き取り用駆動装置2が内蔵されており、図2に示すように両端に蓋部材10a,10bが配されている。蓋部材10aは、外径が巻き取りドラム21の内径と略同じ大きさで、ベアリング18を有しており、ベアリング18の内側に固定軸6aを挿通している。そのためベアリング18により、巻き取りドラム21は固定軸6aと相対的に回転することができる。言い換えると、巻き取りドラム21が回転しても、固定軸6aは回転することがない。
【0043】
蓋部材10bは、巻き取り用駆動装置2の蓋を共用するものであり、装着部31と突出部32を有し、装着部31の外周にベアリング20が配され、突出部32には開口部19a,19bと固定軸6bが配されている。開口部19a,19bは突出部32を形成する側面に設けられ、固定軸6bは突出部32を形成する当該側面と垂直な面に配されている。ベアリング20により巻き取りドラム21は蓋部材10bと相対的に回転することができる。言い換えると、巻き取りドラム21が回転しても、固定軸6bは回転することがない。なお、固定軸6a,6bは、巻き取りドラム21の中心軸上に配置されている。
【0044】
そして、固定軸6a,6bを建築構造物等に固定された金具14(図1)に配することで、巻き取りドラム21が窓枠等の固定される。従って、巻き取りドラム21が固定軸6に対して回転可能に固定されている。
【0045】
また前記した様に蓋部材10bは、巻き取り用駆動装置2の蓋を共用するものであり、先端側が巻き取り用駆動装置2の筒体5の一端に装着されている。そのため蓋部材10bは、巻き取り用駆動装置2の本体部40に付属する部材であり、巻き取り用駆動装置2の筒体5と一体のものである。
【0046】
図2に示す様に、蓋部材10bが有する開口部19aには後述する電気供給用電線23が挿通されている。本実施形態では、電気供給用電線23は、2本が一組となったものであり、電力供給用の2芯線である。本実施形態では、いわゆる信号線はない。
開口部19bの位置には運転モード切換スイッチ17が巻き取りドラム21の内側から外部方向に一部が突出した状態で配されている。即ち運転モード切換スイッチ17は巻き取り用駆動装置2の本体部40に設けられている。本実施形態に採用された運転モード切換スイッチ17は、上方停止位置設定モードと下方停止位置設定モードと通常動作モードが切り換え可能とされており、切換手段はスライド式あるいはプッシュ式としている。
【0047】
巻き取り用駆動装置2は、図2に示す様に、巻き取りドラム21に内蔵され、図3に示す様に駆動用モータ7と制御基板8と減速機9が内蔵されたローラ状の筒体5により構成されている。また、筒体5の一端から出力部材4が突出している。
【0048】
駆動用モータ7は、公知のブラシ48を有した直流モータが採用されており、図6の様に永久磁石50とコイル51によって構成されている。
本実施形態では、図3に示す様に、駆動用モータ7の回転軸11が両端部から突出し、その回転軸11の一方の端部には、図4に示す様な2極に着磁された回転磁石12が配され、回転磁石12の周囲を囲むように2極の固定磁石13が配されている。即ち、固定磁石13は、回転磁石12の外側且つ筒体5の内側に配置されている。この構成により、駆動用モータ7の回転に対して抵抗を与える。即ち回転磁石12及び固定磁石13によって、ブレーキ機能を果たすコギングブレーキ機能が形成される。なお、固定磁石13は筒体5の内壁に固定されている。
また回転磁石12が発生する磁界を後述する2個のホール素子16で検知することにより、駆動用モータ7の回転数をパルス信号として認識させることが可能となる。
【0049】
一方、駆動用モータ7の回転軸11の他方の端部には減速機9が配され、当該減速機9を介して出力部材4と接続されている。
減速機9は、公知の遊星ギア15により構成されており、遊星ギア15の中心に接続された回転軸11の回転を減速して出力部材4に伝導可能なものである。本実施形態の巻き取り用駆動装置2では、減速機9は略同じ構成を有した遊星ギア15が筒体5の軸方向に2段に並んで配されている。これにより、駆動用モータ7の回転を減速させて、その回転を安定して出力部材4に伝導させることが可能となる。
【0050】
出力部材4は、駆動用モータ7の回転力を巻き取りドラム21に伝導するもので、出力部材4の一部(内筒配置部35)が筒体5内部に配され、残部(外筒装着部36)が筒体5の外部に位置されている。具体的には、内筒配置部35は筒体5と非接触で減速機9と接続されているため、減速機9の回転により出力部材4と共に筒体5が回転することはない。即ち、出力部材4は回転しても、筒体5は回転しない。
【0051】
また、外筒装着部36は、筒体5より僅かに大きい外径を有しており、出力部材4が前記した巻き取りドラム21内部に配置されると、外筒装着部36が巻き取りドラム21の内部と嵌合状態となる。即ち、出力部材4と共に巻き取りドラム21は回転する。従って、出力部材4に駆動用モータ7の減速された回転が伝導されることで、巻き取りドラム21がその減速された速度で回転を行う。
【0052】
制御基板8は、略長方形の板状で、制御ICが搭載されている。制御基板8は、筒体5の中心軸近傍に位置し、さらに駆動用モータ7を挟んで減速機9と対向する位置に配され、駆動用モータ7と共に回転しないように筒体5に固定されている。また、制御基板8には、図2に示す様に、外部電源と接続可能な電気供給用電線23が接続されている。
また、電気供給用電線23の中途には、リモコンスイッチ(極性切換スイッチ)33が設けられている。リモコンスイッチ(極性切換スイッチ)33は、建屋の壁面に取り付けられる。また本実施形態では、電気供給用電線23は、直流電源43に接続されており、直流電源43から直流電流の供給を受ける。なお本実施形態では、直流電源43として、交流電源を直流電源に変換できるAC/DCアダプターが採用されている。
【0053】
リモコンスイッチ33は、巻き上げ位置33aと巻き下げ位置33bと通電停止位置33cを有し、筒体5に接続された巻回物3を垂直方向上下に移動可能なものである。リモコンスイッチ33は、電気供給用電線を流れる直流電流の極性を変化させる極性切換スイッチであり、駆動用モータ7を正回転あるいは逆回転させるものであり、さらに電力供給のオン/オフが可能なものである。
【0054】
また制御基板(制御装置)8は、回転磁石12に対向する位置に2個のホール素子16が設けられ、ホール素子16で受信した情報を処理できる構成を有している。即ち、制御基板8は、図5に示す様に、ホール素子16が受信した信号を検知する回転検知部25と、回転検知部25で検知した回転を記憶する記憶部(記憶手段)26と、回転検知部25で検知された回転数と記憶部26で記憶された回転数とを比較可能な比較補正部27と、比較補正部27で比較された信号を受信して駆動用モータ7を制御するモータ制御部28とを有している。
【0055】
ホール素子16は、駆動用モータ7の回転をパルス信号として回転検知部25に送信可能なもので、2個配することで位相が異なる2相のパルス信号が検知される。即ち、2個のホール素子16を設けることで、前記した回転磁石12の回転方向(正回転及び逆回転)を検知することが可能となる。従って、回転磁石12及び固定磁石13と2個のホール素子16と回転検知部25により、駆動用モータ7の回転数と回転方向を検知することができる。
【0056】
記憶部26は、回転検知部25で検知された回転数及び回転方向が記憶されるもので、上方停止位置設定モード運転と下方停止位置設定モード運転において記憶させることができる。即ち、記憶部26は、回転検知部25で検知された回転数を積算し、算出した回転数を回転方向と共に記憶する。
また、記憶部26は、運転モード切換えスイッチ17を操作されることで、役割が変わる。即ち、停止位置設定モードでは駆動用モータ7の回転数及び回転方向が記憶され、通常停止モードでは当該記憶された回転数及び回転方向の信号が発信される。
【0057】
即ち、停止位置設定モードにおいて駆動用モータ7の回転数と回転方向が記憶部26に記憶され、通常動作モードにおいて、駆動用モータ7は電源から供給される電力の極性に応じて回転するが、その際に駆動用モータ7は記憶部26に記憶された回転数だけ回転する。
なお、設定される駆動用モータ7の回転数を回転方向別に記憶するために、巻回物3の巻き上げ上限値(半時計周り,正回転)及び巻き下げ下限値(時計周り,逆回転)の設定を切り換え可能としている。
【0058】
さらに、記憶部26には蓄電部30が具備されている。蓄電部30は、電解コンデンサー24(図6)又は蓄電池が内蔵されている。蓄電部30は、外部電源の電力供給が持続されている間は常に蓄電され、外部電源の電力供給が停止された際に、瞬間的に放電する。即ち、リモコンスイッチ33が、通電停止位置33cにより電源がオフにされると、放電が実行される。
ここで、制御基板8は供給される電力の有無を認識可能な電源認識部29を有する。即ち、電源認識部29は、蓄電部30と接続され、電力供給が有るか否かの認識信号を送信可能としている。これにより、蓄電部30による速やかな放電が可能となる。
【0059】
比較補正部27は、回転検知部25と記憶部26が接続されており、通常動作モード運転時の回転数及び回転方向と、停止位置設定モードで記憶された回転数及び回転方向をそれぞれ比較できるものである。即ち、通常動作モード運転時においてホール素子16が受信した信号を回転検知部25が検知して、比較補正部27で記憶された停止位置までの回転数及び回転方向と比較する。そして比較補正部27で記憶された回転数に達したならば駆動用モータ7を停止させる信号を生成する。なお、通常動作モード運転において、駆動用モータ7には巻回物3の慣性作用や重力が働き、回転検知部25が検知した駆動用モータ7の回転数が記憶された回転数以上あるいは回転数以下と認識される場合があるが、比較補正部27が記憶した回転数及び回転方向に補正する信号を速やかに生成する。
【0060】
そして、比較補正部27で生成された信号がモータ制御部28に送信される。その結果、駆動用モータ7が僅かに回転する。これにより、本実施形態の巻き取り用駆動装置2に備えられた巻回物3の停止位置がずれることを防止できる。
即ち、モータ制御部28は、回転検知部25,記憶部26並びに比較補正部27で処理された信号を受信して駆動用モータ7に回転指令を出す。
【0061】
次に、本実施形態の巻き取り装置1の組み立て構造及び内外の電気配線について説明する。
【0062】
巻き取り装置1は、図1に示す様に、巻き取りドラム21に巻回物3を巻回させ、当該巻き取りドラム21の内部に巻き取り用駆動装置2を内蔵し、それらの複合体をボックス体4の内部に配置させ、巻き取りドラム21の両端に配された蓋部材10の固定軸6を建築構造物に取り付けられた金具14に固定して成るものである。また、蓋部材10bの突出部32に設けられた開口部19a,19bから2芯の電気供給用電線23が導出されている。即ち巻き取り装置1の本体部40から2本の電気供給用電線23が延びている。
さらに蓋部材10bの突出部32に運転モード切換スイッチ17が配されている。具体的には、開口部19aに電線23が挿通され、開口部19bに運転モード切換スイッチ17の一部が外部側に突出して配されている。
【0063】
筒体5の内部においては、図2に示す様に、蓋部材10a側から順番に出力部材4,減速機9,駆動用モータ7,固定磁石13及び回転磁石12,制御基板8が配置されている。具体的に順を追って説明すると、出力部材4は蓋部材10aから一定の間隔を空けて配されている。出力部材4は、外筒装着部36が巻き取りドラム21の所定の位置に装着されて配されており、内筒装着部35が巻き取り用駆動装置2側の筒体5の内部に非接触状態で位置して減速機9と接続されている。即ち、出力部材4は、巻き取りドラム21を一体的に回転させるものである。言い換えれば、出力部材4と筒体5は相対的に回転する。
【0064】
また、減速機9は筒体5の軸上に回転軸11が配され、回転軸11の一方の端部が出力部材4に接続され、他方の端部は駆動用モータ7を挟んで、2極の回転磁石12が配されている。そして回転磁石12は、2極の固定磁石により周囲が囲まれている。
【0065】
回転磁石12の近傍から蓋部材10b方向に延伸した形状を有する制御基板8が配されている。なお、制御基板8は、筒体5の中心軸と平行な配置である。制御基板8は、回転磁石12側に2個のホール素子16が配されている。即ち、ホール素子16は、回転磁石12から駆動用モータ7の回転に伴うパルス信号を受信できる。また、そのホール素子16と対向する側の制御基板8上には、運転モード切換スイッチ17が配置されている。運転モード切換スイッチ17の操作部は、蓋部材10bの開口部19bに配置されている。
【0066】
次に巻き取り装置1内外の電気配線に図6を参照しつつ説明する。
巻き取り装置1においては、巻き取り装置1の内外を連通するに2芯の電気供給用電線23だけが使用されている。そして巻き取り用駆動装置2の内部において、2芯の電気供給用電線23が制御基板8の電源認識部に接続されている。また2芯の電気供給用電線23は、切換えリレー52,53を介して、駆動用モータ7のブラシ48に接続されている。
切換えリレー52,53は、ブラシ48と2芯の電気供給用電線23を接続する回路と、2個のブラシ48間を短絡する回路に切り換えるものである。
即ち、リレー52及びリレー53は、それぞれ3個の接点A,B,Cを持つ。そして接点Aと接点Bを接続する状態と、接点Aと接点Cを接続する状態とを切り換えることができる。
【0067】
本実施形態では、リレー52及びリレー53の接点Aは、それぞれ駆動用モータ7のブラシ48に接続されている。
またリレー52の接点Bには、2芯の電気供給用電線23の一方の芯線23aが接続されている。同様にリレー53の接点Bには、2芯の電気供給用電線23の他方の芯線23bが接続されている。さらにリレー52及びリレー53の接点C同士は、導通している。
【0068】
本実施形態では、制御基板8の電源認識部29が、正常電圧の供給を検知している場合に、切換えリレー52,53が、ブラシ48と2芯の電気供給用電線23を接続する回路を開く。
一方、制御基板8の電源認識部29が、正常電圧の供給を検知しなくなると、切換えリレー52,53が切り換わり、ブラシ48と2芯の電気供給用電線23を接続する回路を閉じ、駆動用モータ7のコイル51を短絡する。
【0069】
巻き取り装置1の外部に目を移すと、2芯の電気供給用電線23は、リモコンスイッチ33を介して直流電源60に接続されている。
リモコンスイッチ33は、両切り構造の切換えスイッチであり、2個のスイッチ62,63が連動するものである。
2個のスイッチ62,63は、いずれも接点A,B,C,Dを持ち、接点Aと他の接点B,C,Dを選択的に接続することができる。
【0070】
そしてスイッチ62の接点Aには、直流電源60の陰極側が接続され、スイッチ63の接点Bには、直流電源60の陽極側が接続されている。
またスイッチ62の接点Bとスイッチ63の接点Dは、電気供給用電線23の一方の芯線23aに接続されている。スイッチ62の接点Dとスイッチ63の接点Bは、電気供給用電線23の他方の芯線23bに接続されている。
【0071】
前記した様に2個のスイッチ62,63が連動するものであるから、リモコンスイッチ33を切り換えることによって直流電源60の極性と、芯線23a,23bの接続関係が逆転し、駆動用モータ7に印加される電気の極性が変化する。
またリモコンスイッチ33をニュートラルにすることによって巻き取り装置1に供給される電流が遮断される。
リモコンスイッチ33は、前記した様に巻き上げ位置33aと巻き下げ位置33bと通電停止位置33cを有しており、各位置に合わせることによってスイッチの内部で2個のスイッチ62,63が連動して切り換わる。
【0072】
本実施形態の巻き取り装置1では、停止位置設定モードで設定された巻回物3の停止位置を、通常動作モード運転の際にフィードバックし、所定の停止位置に停止する制御を可能としている。
【0073】
次に本実施形態の巻き取り装置1における停止位置設定モード運転及び通常動作モード運転について、図8のフローチャートを参照しながら説明する。
【0074】
本実施形態の巻き取り装置1は、各モードにおいて、人為的な作業が必要となる。即ち、停止位置設定モードにおいては、リモコンスイッチ33の各スイッチを操作して、巻回物3を所望の位置に合わせ、当該所望の位置でリモコンスイッチ33を通電停止位置33cにして電力の供給を停止させることで設定が行われる。
また通常動作モードにおいては、リモコンスイッチ33を操作することで、停止位置設定モードで記憶された停止位置で駆動用モータ7の回転を停止させることを可能としている。以下、これらの制御について説明する。
【0075】
(停止位置設定)
本実施形態の巻き取り装置1において、停止位置の設定を行う場合には、先にリモコンスイッチ33を通電停止位置33cにして制御基板8や駆動用モータ7への給電を停止した状態で、運転モード切換スイッチ17の切換を行う。
即ち、本実施形態の巻き取り装置1の回路では、制御基板8や駆動用モータ7に通電されると運転モードに関わらず駆動用モータ7が回転してしまい、正確な停止位置の設定ができない。
【0076】
本実施形態の巻き取り装置1では、ステップ1,2,3で、運転モード切換スイッチ17の設定状態が確認される。
即ちステップ1,2,3では、運転モード切換スイッチ17が上方停止位置設定モードであるか、下方停止位置設定モードであるか、通常運転モードであるかが判定される。運転モード切換スイッチ17が上方停止位置設定モードであるならば、ステップ4で、制御基板8に対する通電を待つ。
作業者が、リモコンスイッチ33を操作し、リモコンスイッチ33を巻き上げ位置33a又は巻き下げ位置33bにすれば、巻き取り用駆動装置2内の制御基板8に通電される。
【0077】
そして制御基板8の電源認識部29が、正常電圧の供給を検知すると、切換えリレー52,53が、ブラシ48と2芯の電気供給用電線23を接続する回路を開く。
その結果、図6に示すような、直流電源60から駆動モータ7に電力を供給する回路が開き、駆動モータ7が回転する。
駆動モータ7の回転方向は、リモコンスイッチ33の切換え位置によって決定される。即ち本実施形態では、リモコンスイッチ33によって、直流電源60の極と、電気供給用電線23の2芯23a,23bの接続関係を変換しており、リモコンスイッチ33によって、巻き取り用駆動装置2内に供給される直流電流の向きが変わる。
一方、本実施形態では、電源認識部29が、正常電圧の供給を検知すると、切換えリレー52,53が切り換わり、ブラシ48と2芯の電気供給用電線23を接続する回路を開くから、リモコンスイッチ33に決定される電流の向きによって駆動モータ7の回転方向が決まり、リモコンスイッチ33を巻き上げ位置33aに操作すれば、駆動モータ7は正方向に回転し、巻き下げ位置33bに操作すれば駆動モータ7は逆方向に回転する(ステップ5)。
【0078】
そして、リモコンスイッチ33の切換え位置が維持される限り駆動モータ7が回転を続ける。
その結果、巻き取りドラム21に巻き付けられたカーテン等が繰り出し、あるいは巻き取られ、カーテン等の末端の位置が昇降する。このとき、制御基板8の回転検知部25により駆動モータ7の回転数が検知されている。回転数の検知は、正方向にA回転、逆方向にB回転という様に、回転方向と共に検知される。
【0079】
作業者は、カーテン等の末端が適度の高さになったならば、リモコンスイッチ33を操作し、リモコンスイッチ33を通電停止位置33cに設定する。その結果、巻き取り用駆動装置2に対する給電が停止され、当然に駆動モータ7が停止する。また本実施形態では、巻き取り用駆動装置2に対する給電が停止され、制御基板8の電源認識部29が、正常電圧の供給を検知しなくなると、切換えリレー52,53が切り換わり、駆動用モータ7のコイル51を短絡する。
そのため、コイル又は磁石が回転するとフレミングの右手の法則に従って、コイル51に起電力が生じ、フレミングの右手の法則に従ってコイル51の回転の制動力が掛かる。その結果、駆動用モータ7が電磁ブレーキとして機能し、カーテン等が過度に移動することを阻止する。
【0080】
またコイル又は磁石が回転すると、コイル51に起電力が生るが、切換えリレー52,53がブラシ48と2芯の電気供給用電線23を接続する回路を閉じているので、コイル51の起電力が制御基板8の電源認識部29側に回り込むことはない。そのため電源認識部29が誤動作することはない。
【0081】
そして、リモコンスイッチ33が人為的に操作されて巻き取り用駆動装置2に対する給電が停止されると(ステップ6)、電源認識部29により電源の供給が遮断されたことが認識され、これを契機として駆動モータ7の回転数が記憶部26に記憶される(ステップ7,8)。このとき、既に巻き取り用駆動装置2に供給される電流は遮断されているが、本実施形態では蓄電部30を備えるため、蓄電部30が放電する電力によって記憶部26に対する記憶が行われる。即ち蓄電部30が放電して(ステップ7)駆動予モータ7の回転数が記憶部26に記憶される(ステップ8)。即ち、巻回物3の停止位置が記憶され、設定が一旦完了する(ステップ9)。
【0082】
ただし、リモコンスイッチ33の操作を誤る等の原因で、巻回物3の末端を希望する位置に停止することができなかった場合は、再度、リモコンスイッチ33を操作して、リモコンスイッチ33を巻き上げ位置33a又は巻き下げ位置33bにすれば、巻き取り用駆動装置2内の制御基板8に通電が再開し、ステップ4以降の動作が繰り返され、実質的に設定のやり直しを行うことができる。
【0083】
以上は、上方停止位置を設定する場合について説明し、運転モード切換スイッチ17が上方停止位置設定モードである場合の動作について説明したが、下方停止位置を設定する場合も同様である。
下方停止位置を設定する場合は、運転モード切換スイッチ17を下方停止位置設定モードに切り換える。
そして運転モード切換スイッチ17が下方停止位置設定モードであるならば、ステップ9で制御基板8に対する通電を待つ。
【0084】
そして制御基板8の電源認識部29が、正常電圧の供給を検知すると、切換えリレー52,53が、ブラシ48と2芯の電気供給用電線23を接続する回路を開き、駆動モータ7が回転する(ステップ10)。
【0085】
作業者は、カーテン等の末端が程よい高さまで下がったならば、作業者は、リモコンスイッチ33を通電停止位置33cに設定し、その結果、巻き取り用駆動装置2に対する給電が停止され、当然に駆動モータ7が停止すると共に、蓄電部30の放電を動力源として駆動モータ7の回転数が記憶部26に記憶される(ステップ12,13)。
【0086】
上記した、巻き上げ上限値設定及び巻き下げ下限値設定が完了した後に、手動で運転モード切換スイッチ17を通常動作モード運転に切り換えると、記憶部26の書き換えができない状態となり、上下限の設定が確定する。
そして日常の巻き上げ動作や巻き下げ動作の際に、記憶部26に記憶された回転数がフィードバックされる。即ち、通常動作モード運転において、リモコンスイッチ33を巻き上げ位置33aにすると、巻き上げ上限値設定の停止位置で停止し、リモコンスイッチ33を巻き下げ位置33bにすると、巻き下げ下限値設定の停止位置で停止する。以下、通常動作モードにおける駆動用モータの制御について説明する。
【0087】
まず、図9のフローチャートに従って、ステップ1で通常動作モードに切り換えられているかが確認される。通常動作モードが確認されると、ステップ1,2で、巻き取り用駆動装置2に対する通電を待つと共に、電流の方向から駆動モータ7を巻き上げ方向に回転させるか、巻き下げ方向に回転させるかを確認する。具体的には、電源認識部29が、電気供給用電線23の2芯23a,23bの内、いずれがプラスでいずれがマイナスであるかを検知する。
いずれにしても、作業者が、リモコンスイッチ33を操作し、リモコンスイッチ33を巻き上げ位置33a又は巻き下げ位置33bにすれば、巻き取り用駆動装置2内の制御基板8に通電され、駆動モータ7が、電流の方向に従って所定の方向に回転する。
【0088】
なお通常動作モードにおいても、先に説明した停止位置設定モードと同様に、制御基板8の電源認識部29が、正常電圧の供給を検知すると、切換えリレー52,53が、ブラシ48と2芯の電気供給用電線23を接続する回路を開く。
その結果、図6に示すような、直流電源60から駆動モータ7に電力を供給する回路が開き、駆動モータ7が回転する。
駆動モータ7の回転方向は、リモコンスイッチ33で決定される電流の向きによって決まり、リモコンスイッチ33を巻き上げ位置33aに操作すれば、駆動モータ7は正方向に回転し、巻き下げ位置33bに操作すれば駆動モータ7は逆方向に回転する(ステップ3,8)。
【0089】
ここで、巻回物3が、例えば巻き上げられている間は、回転検知部25により巻き上げの回転数が検知され、比較検知部27により当該回転数と巻き上げ上限値設定の際に記憶された回転数が比較される(ステップ4)。そして、双方の回転数が一致した時点で駆動用モータ7の回転が停止される(ステップ5)。
より具体的には、切換えリレー52,53が切り換わり、ブラシ48と2芯の電気供給用電線23を接続する回路を閉じて駆動モータ7に供給される電流を遮断する。加えて駆動用モータ7のコイル51を短絡する。
その結果、コイルの回転に制動力が掛かり、カーテン等の過度の移動を阻止する。
【0090】
巻回物3が、例えば巻き下げられる場合も同様であり、回転検知部25により巻き下げの回転数が検知され、比較検知部27により当該回転数と巻き下げ下限値設定の際に記憶された回転数が比較される(ステップ9)。そして、双方の回転数が一致した時点で駆動用モータ7の回転が停止される(ステップ10)。
【0091】
ここで、通常動作モード運転では、前記した様に記憶部26の回転数がフィードバックされ、記憶された回転数で駆動用モータ7の回転が停止する制御がされる。しかしながら、巻回物3の慣性作用や重み等の影響により、記憶された回転数以下あるいは回転数以上に回転する場合がある。そこで、本実施形態の巻き取り用駆動装置2を具備した巻き取り装置1は、そのような場合であっても回転数が補正されるため、停止位置がずれることがない。
【0092】
即ち、ステップ4あるいはステップ9において、巻き上げ回転数あるいは巻き下げ回転数が記憶された回転数と異なる回転数であると確認されると、巻き上げ回転数あるいは巻き下げ回転数が記憶された回転数より多いかが確認される(ステップ11,14)。ステップ3を通過した場合は、ステップ11で記憶された回転数より多いと確認されると、停止位置より巻き上げ過ぎとなり、僅かに巻き下げ制御が実行される(ステップ12)。逆に、ステップ11で記憶された回転数より少ないと確認されると、さらに巻き上げ制御が実行される(ステップ13)。そして、前記したステップ4、5を経て停止する。
【0093】
一方、ステップ8を通過した場合は、ステップ14で記憶された回転数より多いと確認されると、停止位置より巻き下げ過ぎとなり、僅かに巻き上げ制御が実行される(ステップ15)。逆に、ステップ14で記憶された回転数より少ないと確認されると、さらに巻き下げ制御が実行される(ステップ16)。そして、ステップ4,5を経て停止する。
【0094】
また、通常動作モード運転においては、前記した制御の様に、巻き上げあるいは巻き下げ動作中の回転数と、記憶部26に記憶された回転数とを常時確認して回転数の補正制御を実行する構成を示したが、本発明はこの構成に限定されるわけではない。例えば、通常動作モードにおいて、リモコンスイッチ33の巻き上げスイッチ33aあるいは巻き下げスイッチ33bを人為的に押した瞬間に、記憶部26に記憶された回転数だけ回転させる指令を送り、当該回転を停止させる。そして、停止した際に、比較補正部27が、停止に至った駆動用モータ7の回転数と停止位置設定モードで記憶された駆動用モータ7の回転数とを比較する。そして、回転数を比較した際に、誤差が生じていれば補正する信号を生成して実行する構成であっても構わない。
【0095】
前記した様に、通常動作モード運転では、記憶部26の回転数がフィードバックされるが、巻回物3の慣性作用や重み等の影響により、記憶された回転数以下あるいは回転数以上に回転する場合がある。そこで、本発明では、制御基板8が比較補正部27を具備しているため、駆動用モータ7の回転数を補正することができる。即ち、前記したように、比較補正部27は回転検知部25及び記憶部26が接続されているため、比較補正部27は回転検知部25により検知される駆動用モータ7の回転数をパルス信号として受信すると共に、記憶部25に記憶された回転数と比較することができる。これにより、前記理由により駆動用モータ7の回転数がずれた場合は、記憶部25に記憶された回転数に補正されて停止する。
【0096】
本発明の巻き取り装置1に備わった巻き取り用駆動装置2は、筒体5に内蔵された制御基板8により巻回物3の停止位置が設定可能なため、煩雑な部材構成を必要とせず、単純な部材構成で出力部材の停止位置が制御できる。即ち、本実施形態の巻き取り装置1は、運転モード切換スイッチ17を停止位置設定モードに切り換えて、巻回物3を停止させたい位置で電源スイッチ33cをオフにすることで、容易に巻き上げ上限値及び巻き下げ下限値を設定することができるため、煩わしい操作を要することなく容易に設定を行うことができる。これにより、高所に当該巻き取り装置1を取り付ける場合であっても、高所では運転モード切換スイッチ17を切り換えるだけであるため、危険を伴うことがない。さらに、通常動作モードにおいて、設定された駆動用モータ7の回転数がフィードバックされる際に、設定された駆動用モータ7の回転数以上あるいは回転数以下の回転で停止した場合であっても、比較補正部27により設定された回転数に補正されるため、巻回物3の停止位置がずれることがない。
【0097】
上記した実施形態では、リモコンスイッチ33を使用して巻き上げ位置33a及び巻き下げ位置33bの設定を行ったが、設定の際に使用するスイッチを別途設けてもよい。
図10は、設定用のスイッチを別途設けた例を示す巻き取り装置の斜視図である。また図11は、その回路を示す。
なお、先の実施形態と同一の部材には同一の番号を付して重複した説明を省略する。
図10に示す巻き取り装置70についても先の実施形態と同様に、巻き取りドラム21内に巻き取り用駆動装置2が内蔵されて巻き取り装置1が構成されている。本実施形態で採用する巻き取り用駆動装置70では、蓋部材10bに、設定用のスイッチ71が設けられている。即ち巻き取り用駆動装置70の本体部40に設定用のスイッチ71が取り付けられている。
設定用のスイッチ71は、機械的に接点の断続が維持される構造のボタンスイッチであり、押すごとにオンオフが切り換わる。
【0098】
設定用のスイッチ71は、図10の様に、巻き取り用駆動装置2の電力の導入部に挿入されており、設定用のスイッチ71がオフ状態になると、制御基板8の電源認識部29及び駆動モータ7に対する電力の供給が停止される。
【0099】
本実施形態においては、建屋の壁面に設けられたリモコンスイッチ33についても機械的に接点の断続が維持される構造のものが採用されている。即ち、図10に示すように3個のボタン60a,60b,60cを備え、このボタンを押すことによってリモコンスイッチ33は、巻き上げ位置と巻き下げ位置と通電停止位置となるが、一旦ボタンを押すと、ボタンが機械的に自己保持され、他のボタンを押すまでその状態が解除されない。
即ち、一旦、巻き上げ用のボタン60aを押すと、接点は巻き上げ方向に通電する状態が維持され、通電停止用のボタン60cを押すと、この状態が解消する。
【0100】
以下、巻き取り装置70における停止位置設定の手順を、前掲の図8のフローチャートを参照しつつ説明する。
巻き取り装置70の停止位置設定を行う場合は、設定用のスイッチ71をオン状態にしておく。
そして先の場合と同様、リモコンスイッチ33を通電停止位置60cにして制御基板8や駆動用モータ7への給電を停止した状態で、運転モード切換スイッチ17の切換を行う。
【0101】
ステップ1,2,3では、運転モード切換スイッチ17の設定状態を確認し、例えば運転モード切換スイッチ17が上方停止位置設定モードであるならば、ステップ4で、制御基板8に対する通電を待つ。
作業者が、リモコンスイッチ33を操作し、リモコンスイッチ33を巻き上げ位置60a又は巻き下げ位置60bにすれば、巻き取り用駆動装置2内の制御基板8に通電され、先の実施形態と同様に、切換えリレー52,53が、ブラシ48と2芯の電気供給用電線23を接続する回路を開き、直流電源60から駆動モータ7に電力を供給する回路が開いて、駆動モータ7が回転する。
その結果、巻き取りドラム21に巻き付けられたカーテン等が繰り出し、あるいは巻き取られ、カーテン等の末端の位置が昇降する。このとき、制御基板8の回転検知部25により駆動モータ7の回転数が検知されている。回転数の検知は、正方向にA回転、逆方向にB回転という様に、回転方向と共に検知される。
【0102】
作業者は、カーテン等の末端が概ね目標とする高さになったならば、リモコンスイッチ33を操作することなく、巻き取り装置70に設けられた設定用のスイッチ71を一回だけ押圧する。
前記した様に、設定用のスイッチ71は、押すごとにオンオフが切り換わるから、これを一回だけ押圧することにより、接点が切断状態となり、制御基板8の電源認識部29及び駆動モータ7に対する電力の供給が停止される。
その結果、駆動モータ7が停止し、駆動モータ7の回転数が記憶部26に記憶される(ステップ7,8)。このとき、既に巻き取り用駆動装置2に供給される電流は遮断されているが、本実施形態では蓄電部30を備えるため、蓄電部30が放電する電力によって記憶部26に対する記憶が行われる。即ち、蓄電部30が放電して(ステップ7)、駆動モータ7の回転数が記憶部26に記憶される(ステップ8)。即ち、巻回物3の停止位置が記憶され、設定が一旦完了する(ステップ9)。
【0103】
続いて、設定用のスイッチ71を2回押し、巻回物3の末端の高さを微調整する方法について説明する。
図8のステップ5あるいはステップ10の状態で、設定用のスイッチ71を1回押す。このとき、リモコンスイッチ33は、巻き上げ位置又は巻き下げ位置に自己保持されているから、リモコンスイッチ33は、通電される状態で待機している。
そしてこの状態で、設定用のスイッチ71を再度押すと、設定用のスイッチ71の接点が繋がり、制御基板8の電源認識部29及び駆動モータ7に対する電力の供給が再開される。なお、この二度目の押圧は、押圧の間、電力供給が一定間隔でオン/オフされる所謂インチング動作が実行される。
そして、二度目の押圧が解除されると、電源認識部29及び駆動モータ7に対する電力の供給が遮断され、蓄電部30が放電して(ステップ7)駆動モータ7の回転数が記憶部26に記憶される(ステップ8)。
即ち、設定用のスイッチ71を2回押すことにより、図8のフローチャートが示すステップ4以降の動作が繰り返され、実質的に設定のやり直しが行われる。即ち、蓄電部30が放電して(ステップ7)、駆動モータ7の回転数が記憶部26に修正記憶される(ステップ8)。
以後、この作業を繰り返し、巻回物3の末端の高さが所望の位置に到達したところで設定作業を終える。
【0104】
図11に示す実施形態では、設定用のスイッチ71を巻き取り用駆動装置2の電力の導入部に挿入し、設定用のスイッチ71がオフ状態になると、制御基板8の電源認識部29及び駆動モータ7に対する電力の供給が停止される構成としたが、図12に示すように設定スイッチ72の位置を変更し、設定スイッチ72で駆動モータ7だけをオンオフする構成を採用することもできる。
【0105】
図12に示す巻き取り用駆動装置2についても、設定スイッチ72を押して設定位置の微調整を行う点で先の実施形態と同一であるが、先の実施形態では、設定スイッチ72がオフになる度に回転数が記憶部26に修正記憶されていたのに対し、本実施形態では、最後にリモコンスイッチ33を通電停止位置とすることによって記憶部26にデータが記憶される。
【0106】
本実施形態においては、設定スイッチ72で駆動モータ7だけをオンオフする構成であり、リモコンスイッチ33が通電状態であるならば、電源認識部29は常に電力を検知しており、設定スイッチ72がオフとなっても記憶部26に対する記憶動作は実行されない。
一方、設定スイッチ72をオン状態とすれば、駆動モータ7は、リモコンスイッチ33を経由した電力供給を受けるから、駆動モータ7は、リモコンスイッチ33の切換え位置に応じた方向に回転する。
【0107】
そのため、本実施形態の回路構成を採用すると、設定スイッチ72をオンするごとに少しずつ駆動モータ7を駆動させることができる。そして所望の停止位置となったら、リモコンスイッチ33を通電停止位置とする。その結果、電源認識部29に対する電力供給が停止し、記憶部26にデータが記憶される。
【0108】
また、さらに設定スイッチ72に代えて、あるいは設定スイッチ72に加えて、駆動モータ7だけに電力を供給する部位にリモコンスイッチ33と同様の切換え機能を備えたスイッチを設けると、設定作業の際に駆動モータ7を正逆双方に回転させることができる。
即ち、この構成によると、停止位置設定モード運転時に駆動用モータを正回転と逆回転することが可能である。また記憶部26には、正回転数と逆回転数を差し引きした回転数が記憶される。
【0109】
上記した各実施形態では、駆動モータ7に電力を供給する回路にリレーを2個(リレー52,53)設けたが、図13に示す回路の様に、一個のリレー73で、ブラシ48と2芯の電気供給用電線23を接続する回路と、2個のブラシ48間を短絡する回路に切り換えるものであってもよい。
【0110】
また上記した実施形態は、いずれも電源の供給が遮断されたことを契機として駆動モータ7の回転数が記憶部26に記憶されたが、別途設けたスイッチで制御基板8に信号を送り、この信号に基づいて制御基板8が切換えリレー52,53を動作させて駆動モータ7を動作し、駆動モータ7の停止と同時に駆動モータ7の回転数を記憶部26に記憶させてもよい。
【0111】
即ち図14、図15に示す回路では、制御基板8にモータ動作スイッチ45が接続されている。モータ動作スイッチ45は、押す等の動作を行っている際だけがオン状態となり、作業者が手を離すとオフ状態となる。モータ動作スイッチ45の物理的な取り付け位置は、前記した図10に示す巻き取り装置70と同一であり、蓋部材10bに、モータ動作スイッチ45が設けられている。
また制御基板8は、モータ動作スイッチ45がオン状態となると、図14の様に、パルス的に一定の短時間だけ切換えリレー52,53を切り換え、パルス的に一定の短時間だけ、ブラシ48と2芯の電気供給用電線23を接続する回路を開く。そのため、モータ動作スイッチ45を一回押すと、一定の回転角度だけ駆動モータ7が回転し、巻き取りドラム21に巻き付けられたカーテン等が少しだけ繰り出され、又は少しだけ巻き取られる。
またモータ動作スイッチ45を押しつづけると、ブラシ48と2芯の電気供給用電線23を接続する回路を開いた状態が維持され、駆動モータ7はその間回転を続け、巻き取りドラム21に巻き付けられたカーテン等が連続的に繰り出され、又は連続的に巻き取られる。
モータ動作スイッチ45を離すと、切換えリレー52,53が切り換わり、ブラシ48と2芯の電気供給用電線23を接続する回路を閉じ、駆動用モータ7のコイル51を短絡して駆動モータ7が停止する(図15)。
【0112】
一旦モータ動作スイッチ45をオンにし、その後、切換えリレー52,53が図15の様に切り換わり、ブラシ48と2芯の電気供給用電線23を接続する回路を閉じて駆動用モータ7のコイル51を短絡すると、これを契機として駆動モータ7の回転数が記憶部26に記憶される。
【0113】
なお本実施形態においては、巻き取り用駆動装置2に供給される電流は維持されたままであるから、駆動モータ7の回転数を記憶部26に記憶する際に要する電力は、外部の直流電源43から供給される。
【0114】
上記実施形態では、出力部材4により巻き取りドラム21に回転を伝導する構成を示したが、本発明はこれに限定されるわけではなく、図16に示す様に、筒体自体が出力部材を兼ねる構成であっても構わない。
【0115】
上記実施形態では、ホール素子16を回転磁石12近傍に配して、駆動用モータ7の回転を直接検知する構成を示したが、本発明はこれに限定されるわけではない。例えば、遊星ギア15や筒体5の回転が検知できる位置に配して、駆動用モータ7の回転を間接的に検知する構成であっても構わない。
【0116】
上記実施形態では、運転モード切換スイッチ17を蓋部材10に形成された開口19に配する構成を示したが、本発明はこれに限定されるわけではない。例えば、リモコンにより容易にモード切換が可能な構成としても良い。具体的には、図示しないが、筒体5の外部に信号受信可能な信号受信部を設け、信号発信器により信号を発信して非接触でモード切換が可能な構成である。
【0117】
上記実施形態では、ホール素子16を2個設ける構成を示したが、本発明はこれに限定されるわけではなく、3個以上設ける構成であっても構わない。
【0118】
上記実施形態では、回転磁石12を2極に着磁された構成を示したが、本発明はこれに限定されるわけではなく、4極以上であっても構わない。
【0119】
上記実施形態では、駆動用モータ7にブラシ48を有した直流モータが採用された構成を示したが、本発明はこれに限定されるわけではなく、ブラシレスモータを採用した構成であっても構わない。
【符号の説明】
【0120】
1 巻き取り装置
2 巻き取り用駆動装置
3 巻回物
4 出力部材
5 筒体
7 駆動用モータ
8 制御基板(制御装置)
16 ホール素子
17 運転モード切換スイッチ(モード切換手段)
21 巻き取りドラム
23 電気供給用電線
25 回転検知部(回転数検知手段)
26 記憶部(記憶手段)
27 比較補正部(補正手段)
30 蓄電部(コンデンサー)
33 リモコンスイッチ(極性切換スイッチ)
40 本体部
45 モータ動作スイッチ
51 コイル
52 リレー
53 リレー
71 設定用のスイッチ
73 リレー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、当該本体部と外部の直流電源とを電気的につなぐ2本の電気供給用電線とを有し、前記本体部は筒体と駆動用モータと制御装置を有し、筒体内に駆動用モータと制御装置とが内蔵され、電気供給用電線から直流電流の供給を受けて前記駆動用モータが回転し、当該駆動用モータの回転力が筒体に伝導されて筒体が回転する巻き取り用駆動装置であって、
電気供給用電線の中途に極性切換スイッチが設けられ、前記極性切換スイッチを操作することによって電気供給用電線を流れる直流電流の極性を変化させて駆動用モータの回転方向を変更可能であり、
前記制御装置は、前記駆動用モータの回転数に関する情報を直接的又は間接的に検知する回転数検知手段と、当該回転数検知手段により検知された情報を記憶する記憶手段とを含み、且つ前記制御装置によって停止位置設定モード運転と通常動作モード運転とが選択的に行われ、
本体部には運転モード切換えスイッチが設けられ、運転モード切換えスイッチを切り換えることによって停止位置設定モード運転と通常動作モード運転とに切換えられ、
停止位置設定モード運転時においては、前記回転数検知手段により検知された情報が記憶手段に記憶され、
通常動作モード運転時においては、駆動用モータを回転させると前記記憶手段に記憶された情報に基づいて駆動用モータが停止することを特徴とする巻き取り用駆動装置。
【請求項2】
別途用意の巻き取りドラム内に収納される巻き取り用駆動装置であって、本体部と、当該本体部と外部の直流電源とを電気的につなぐ2本の電気供給用電線とを有し、前記本体部は前記ドラムに収納される筒体と、駆動用モータと、出力部材と制御装置とを有し、筒体内に駆動用モータと制御装置とが内蔵され、電気供給用電線から直流電流の供給を受けて前記駆動用モータが回転し、駆動用モータの回転力が出力部材に伝導されて出力部材が回転するものであり、
電気供給用電線の中途に極性切換スイッチが設けられ、前記極性切換スイッチを操作することによって電気供給用電線を流れる直流電流の極性を変化させて駆動用モータの回転方向を変更可能であり、
前記制御装置は、前記駆動用モータの回転数に関する情報を直接的又は間接的に検知する回転数検知手段と、当該回転数検知手段により検知された情報を記憶する記憶手段とを含み、且つ前記制御装置によって停止位置設定モード運転と通常動作モード運転とが選択的に行われ、
本体部には運転モード切換えスイッチが設けられ、運転モード切換えスイッチを切り換えることによって停止位置設定モード運転と通常動作モード運転とに切換えられ、
停止位置設定モード運転時においては、前記回転数検知手段により検知された情報が記憶手段に記憶され、
通常動作モード運転時においては、駆動用モータを回転させると前記記憶手段に記憶された情報に基づいて駆動用モータが停止することを特徴とする巻き取り用駆動装置。
【請求項3】
人為的な操作又は人為的な操作で生成される信号により駆動用モータを回転させるスイッチが本体部に取り付けられており、停止位置設定モード運転時においては、前記スイッチを操作して駆動用モータを回転させた後に駆動用モータを停止することにより、前記回転数検知手段により検知された情報が記憶手段に記憶されることを特徴とする請求項1又は2に記載の巻き取り用駆動装置。
【請求項4】
停止位置設定モード運転時においては、人為的に駆動用モータに通電して駆動用モータを回転させた後に人為的に電力の供給を停止する操作を実行することにより、前記回転数検知手段により検知された情報が記憶手段に記憶されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の巻き取り用駆動装置。
【請求項5】
筒体内に電池又はコンデンサーを内蔵し、
停止位置設定モード運転時においては、電池又はコンデンサーを電源として回転数検知手段により検知された情報が記憶手段に記憶されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の巻き取り用駆動装置。
【請求項6】
駆動用モータは、正回転と逆回転とが可能であり、
停止位置設定モード運転時においては、駆動用モータを正回転した場合と逆回転した場合の前記駆動用モータの回転数が前記回転数検知手段で検知され、それぞれの回転数が記憶手段に記憶され、
通常動作モード運転時においては、駆動用モータを正回転させると前記記憶手段に記憶された正回転時の回転数で駆動用モータが停止し、駆動用モータを逆回転させると前記記憶手段に記憶された逆回転時の回転数で駆動用モータが停止することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の巻き取り用駆動装置。
【請求項7】
停止位置設定モード運転時に駆動用モータを正回転と逆回転することが可能であり、正回転数と逆回転数を差し引きした回転数が記憶手段に記憶されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の巻き取り用駆動装置。
【請求項8】
駆動用モータの停止位置を補正できる補正手段を有し、
通常動作モード運転時において、停止位置設定モード運転時に記憶された回転数以上あるいは回転数以下の回転数で停止した場合、補正手段により記憶された回転数に補正されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の巻き取り用駆動装置。
【請求項9】
回転数検知手段は、2以上のホール素子を有し、回転方向を検知可能であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の巻き取り用駆動装置。
【請求項10】
通常動作モード運転と停止位置設定モード運転の切り換えが可能なモード切換手段を有していることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の巻き取り用駆動装置。
【請求項11】
駆動用モータは、永久磁石とコイルを有し、人為的に電力の供給を停止したときに前記コイルが短絡されることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の巻き取り用駆動装置。
【請求項12】
人為的に電力の供給を停止したことを検知する電源認識手段を有し、人為的に電力の供給が停止されコイルが短絡されたときには電源認識手段とコイルとの間の通電が遮断されることを特徴とする請求項11に記載の巻き取り用駆動装置。
【請求項13】
筒体が出力部材を兼ね、駆動用モータを回転させることによって筒体が回転することを特徴とする請求項2乃至12のいずれかに記載の巻き取り用駆動装置。
【請求項14】
請求項13に記載の巻き取り用駆動装置と、筒体に巻き付けられる巻回物を有することを特徴とする巻き取り装置。
【請求項15】
巻回物が巻き付けられる巻き取りドラムを有し、
当該巻き取りドラム内に請求項1に記載の巻き取り用駆動装置が内蔵されていることを特徴とする巻き取り装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate