説明

巻き衣類

【課題】
着脱性の改善と装着感の向上を図るとともに、デザイン性にも優れた巻き衣類を提供する。
【解決手段】
巻き衣類10は、帯状の本体12と、その両端のリング14A及び14Bにより構成される。本体12は、着用者20のバストを上下で覆うことができる幅に設定されるとともに、着用時に、バスト位置にほぼ1周半程度巻き付けられる長さとなっている。前記本体12とリング14A,14Bは、伸縮性のある生地で形成されており、それらの継ぎ目部分も、幅方向に伸縮性がもたせられている。巻き衣類10は、一方のリング14Aを一方の肩(例えば右肩22A)に掛け、本体12を着用者20の正面右側から左側へわたし、更に背中26側を回した後、他方の端部側を再度正面に引き出して、リング14Bを他方の肩(例えば左肩22B)に掛けることにより、着用者20の正面で交差した状態で着用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者のバスト部分を覆う巻き衣類に関し、更に具体的には、着脱性の改善と装着感の向上に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的なブラジャーは、バストカップ部分を有し、背中側又は正面側に設けられたホックの掛け外しにより着脱を行うが、通常はバストの形を整えることを目的として作られているため、着脱の容易性や快適な装着感が得られないものもある。このほか、女性が着用するものとして、重ね着をしないことで着用感の向上を図るようなブラジャー一体型のキャミソールや、以下の特許文献1及び2に示すようなスポーツに適したブラジャーなど各種のものがある。
【特許文献1】特開平9−296308号公報
【特許文献2】特開2000−220005公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した特許文献1及び2に記載の技術を含め、従来のスポーツ用ブラジャーは、バストを固定するため伸縮性を有する生地で全体が一体物として構成されており、ホックなどの留め具が設けられていない。また、伸縮性を有する生地を用いているため、非着用時には、全体のサイズが着用時よりも小さめ(きつめ)である場合が多い。従って、着用時には、頭から被らなければならないが、一体構造の小さめのブラジャーを被るのは着脱性に優れているとは言いがたい。特に、汗をかいた後などに外すときは、体にはりついて容易ではない。また、肩紐に相当する部分がベルト状に幅広であったり、背中側を覆う面積が広かったりするなど、デザイン性にも欠けるという不都合がある。
【0004】
本発明は、以上の点に着目したもので、その目的は、着脱性の改善と装着感の向上を図るとともに、デザイン性にも優れた巻き衣類を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、本発明の巻き衣類は、少なくともバストを上下に覆う幅を有するとともに、着用者の正面又は背中側で交差ないし重なるように、前記着用者のバスト位置に巻き付けられる帯状の本体,該本体の両端側に設けられており、前記着用者の肩に掛けるリング部,を備えるとともに、前記本体が、着用時において、前記着用者のバスト位置にほぼ1周半以上巻き付け可能な長さを有することを特徴とする。
【0006】
他の発明の巻き衣類は、少なくともバストを上下に覆う幅を有するとともに、着用者の正面又は背中側で交差ないし重なるように、前記着用者のバスト位置に巻き付けられる帯状の本体,該本体の一方の端部側に設けられており、前記着用者の肩に掛けるリング部,前記本体が、前記着用者のバスト位置に巻き付けられた状態で、該本体の他方の端部側を本体に留める留め具,を備えるとともに、前記本体が、着用時において、前記着用者のバスト位置にほぼ1周半以上巻き付け可能な長さを有することを特徴とする。
【0007】
主要な形態の一つは、前記本体が、伸縮性を有することを特徴とする。他の形態は、前記リング部が、伸縮性を有することを特徴とする。更に他の形態は、前記本体とリング部の接続部ないし継ぎ目が、前記本体の幅方向に伸縮可能であることを特徴とする。更に他の形態は、前記リング部が、前記本体から着脱可能であることを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、少なくともバストを上下に覆う幅を有する帯状の本体を、着用者の正面又は背中側で交差ないし重なるように、前記着用者のバスト位置にほぼ1周半以上巻き付け、(1)前記本体の両端に設けたリング部を着用者の肩に掛ける,あるいは、(2)本体の一端に設けたリング部を着用者の肩に掛け、他端側を留め具で本体に留めることとした。このため、着脱性及び装着感に優れるとともに、デザイン性の向上も図ることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0010】
最初に、図1〜図4を参照しながら、本発明の実施例1を説明する。図1は、本実施例の使用状態の一例を示す図であり、(A)は正面側から見た図,(B)は背中側から見た図である。図2は、本実施例の全体構造を示す図,図3は、本実施例の着用手順の一例を示す図である。図4は、本実施例の使用状態の他の例を示す図である。本実施例は、本発明の巻き衣類を、アウター感覚で着用でき、着用者の身体にフィットして快適な使用感を得ることができるブラジャーとして適用したものである。なお、ここでは、ブラジャーと表現したが、キャミソールやトップスなど、他の表現とすることを妨げるものではない。
【0011】
図1に示すように、本実施例の巻き衣類10は、着用者20のバスト位置に、正面側で交差するように巻き付けて使用されるものである。前記巻き衣類10は、図2に示すように、帯状の本体12と、該本体12の両端部12A及び12B側にそれぞれ設けられた環状のリング14A及び14Bにより構成されている。前記本体12及びリング14A,14Bとしては、フィット感を高めたり、適応サイズに余裕を持たせたりするという観点から、例えば、伸縮性を有する生地を用いると都合がよい。なお、伸縮性を有する生地とは、伸縮性のある編み方(リブ編み等)をしたものや、伸縮性のある糸を使用した生地,その双方を組み合わせたものなどである。また、前記生地の素材としては、公知の各種の天然繊維(シルクや綿など)や合成繊維(アクリル,レーヨン,ナイロン,ポリウレタン,ポリエステルなど)が利用可能であり、必要に応じてそれらの使い分けや併用を行うようにしてよい。例えば、シルクを混合して高級感や肌触りの感触を高めたり、綿を混合して吸湿性を高めたりするなどである。
【0012】
前記本体12は、着用者20のバスト24を少なくとも上下方向で覆うことができる幅に設定されている。また、本体12の長さは、着用したときに、着用者20のバスト位置に、ほぼ1周半程度巻き付けることができる長さに設定されている。すなわち、伸縮性を有する生地を使用した場合、非着用時には、着用時の長さよりも短くなる。
【0013】
一方、前記リング14A及び14Bは、本体12と同様に伸縮性のある生地で環状に形成されており、着用者の腕に通して右肩22Aや左肩22Bに掛けることができるサイズに形成されている。リング14A及び14Bの幅は、図示の例では、通常のブラジャーの肩紐程度となっているが、必要に応じて細くしてもよいし、幅広としてもよい。このようなリング14A,14Bは、前記本体12の端部12A及び12Bに、例えば、縫製などにより取り付けられる。このとき、端部12A及び12Bとの接続部分(ないし継ぎ目)は、本体12の幅方向に伸縮性を有するように形成されているため、着用者20の体にフィットして快適な装着感が得られる。このような継ぎ目部分の伸縮性は、例えば、公知のリンキングなどの手法により実現可能である。
【0014】
次に、図3も参照して、本実施例の作用を説明する。まず、図3(A)に示すように、巻き衣類10の一方の端部側のリング14を、着用者20の一方の肩(図示の例では右肩22A)に掛ける。そして、本体12を、バスト24の右側から左側へわたし、更に、図3(B)に示すように、背中26側を回して、図3(C)に示すように、本体の他方の端部12B側(リング14B側)を、右側で背中26から正面側にもってくる。最後に、図3(D)に示すように、他方のリング14Bを、正面側から着用者20の他方の肩(図示の例では左肩22B)に掛けると、本体12が着用者20の正面側で交差した状態でバスト24を覆うことができる。上述した着用動作中は、本体12の伸縮性の強さに応じて、引っ張りながら本体12を巻き付けて着用する。このようにして着用した巻き衣類10は、本体12及びリング14A及び14Bが伸縮性を有しているため、着用者20の体にフィットし、快適な装着感を得ることができる。また、上述した動作を逆に行えば、巻き衣類10を簡単に取り外すことができる。
【0015】
なお、図4に示す他の使用例のように、本体12が着用者20の背中26側で交差し、正面部分で横方向に直線状になるように着用してもよい。この場合は、前記図3(A)で右肩22Aにリング14Aを掛けたあと、本体12をまず背中26側に回してから正面側にもってくる。そして、最後に、他方のリング14Bを背中側から左肩22Bに掛けると、背中26側で交差した状態で着用することができる。
【0016】
このように、実施例1によれば、次のような効果がある。
(1)両端にリング14A及び14Bを設けた帯状の本体12を、着用者20のバスト位置に巻き付け、正面側又は背中側で交差させた状態で、前記リング14A及び14Bを右肩22A及び左肩22Bに掛けることとしたので、着脱が容易であるとともに、デザイン性にも優れている。
(2)本体12やリング14A,14Bを、伸縮性の生地で形成するとともに、これらの継ぎ目部分にも伸縮性を持たせることとしたので、着用者20の体にフィットし、快適な装着感が得られる。また、伸縮性があるため、適用サイズに余裕がある。
(3)非着用時には平面状に畳めるため、収納や携帯にも都合がよい。
【実施例2】
【0017】
次に、図5を参照しながら、本発明の実施例2を説明する。図5は、本実施例の使用状態を示す図であり、(A)は着用者の側方から見た図,(B)は正面から見た図である。なお、上述した実施例1と同一ないし対応する構成要素には同一の符号を用いることとする。前記実施例1は、帯状の本体の両端に環状のリングを設けた例であるが、本実施例の巻き衣類30は、帯状の本体32の一方の端部にのみ、上述した実施例と同様のリング34が設けられた構造となっている。本実施例では、リング34が設けられていない側の端部は、留め具36で本体32に留められている。なお、本実施例の巻き衣類30を構成する素材は、上述した実施例1と同様のものが利用される。
【0018】
前記巻き衣類30を着用する場合には、一方の肩(図示の例では左肩22B)に前記リング34を掛け、本体32をバスト24の左側から右側へわたした後、背中26側を回して再度正面側に引き出す。そして、引き出した端部を、斜め掛けになっている本体32の内側に巻き込んで、適宜位置で留め具36によって留めるようにする。もちろん、端部を内側に巻き込まずに、表に重ねるように巻き付けて留めるようにしてもよい。本実施例の効果・作用は、上述した実施例1と同様であるが、本実施例では、一方の端部にリングが設けられていないため、サイズ調整が更に容易になるという効果も得られる。
【0019】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例の形状,サイズ,素材は一例であり、同様の効果を奏するように適宜変更してよい。例えば、前記実施例では、本体12及び32の幅をほぼ均一としたが、部分的に増減するなど、必要に応じて適宜変更可能である。また、前記実施例では、本体の長さを、着用者20のバスト位置にほぼ1周半程度巻き付けることができる長さに設定したが、これも一例であり、2周や3周以上巻き付けられる長さにするようにしてもよい。
【0020】
(2)色や模様についても一例であり、図6に示す巻き衣類40のように、本体42に模様を設けるようにするなど、必要に応じて適宜変更してよい。また、本体の表裏を異なる色としたり、表裏で異なる模様を設けたりすることにより、リバーシブルで着用することが可能である。
【0021】
(3)前記実施例で示した着用例も一例であり、同様の効果を適宜変更するようにしてもよい。例えば、前記実施例1では、リング14Aを右肩22Aに掛けてから着用することとしたが、左肩22Bに掛けてからであってもよい。また、前記実施例2では、着用者20の右サイドで留め具36を用いることとしたが、これも一例であり、左サイドで留めるようにしてもよい。
【0022】
(4)前記実施例では、リング14A,14B,34を、縫製などにより本体12や32に一体に取り付けることとしたが、リングを着脱可能な構成とし、他のリングと付け替えできるようにしてもよい。また、前記実施例では、予め環状に形成されたリングを本体に取り付けることとしたが、着用時にリング状になっていればよく、例えば、紐の端部同士を結んで輪にするような構成としてもよい。
【0023】
(5)前記実施例では、本体の端部にリングを設けることとしたが、端部から所定の間隔をおいた位置にリングを取り付けることにより、端部の余った部分が、着用時にフリルのようになり、装飾性を高めることができる。
【0024】
(6)本発明の巻き衣類は、インナー,アウターのいずれとしても適用可能である。もちろん、他の衣類と合わせて着用することを妨げるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明によれば、少なくともバストを上下に覆う幅を有する帯状の本体を、着用者の正面又は背中側で交差ないし重なるように、前記着用者のバスト位置にほぼ1周半以上巻き付ける。そして、(1)前記本体の両端に設けたリング部を着用者の肩に掛ける,あるいは、(2)本体の一端に設けたリング部を着用者の肩に掛け、他端側を留め具で本体に留めることとした。このため、着脱性,装着感,デザイン性にも優れることから、バストを覆う衣類の用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例1の使用状態の一例を示す図である。
【図2】前記実施例1の全体構成を示す図である。
【図3】前記実施例1の着用手順の一例を示す図である。
【図4】前記実施例1の使用状態の他の例を示す図である。
【図5】本発明の実施例2の使用状態の一例を示すである。
【図6】本発明の他の実施例を示す図である。
【符号の説明】
【0027】
10:巻き衣類
12:本体
12A,12B:端部
14A,14B:リング
20:着用者
22A:右肩
22B:左肩
24:バスト
26:背中
30:巻き衣類
32:本体
34:リング
36:留め具
40:巻き衣類
42:本体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともバストを上下に覆う幅を有するとともに、着用者の正面又は背中側で交差ないし重なるように、前記着用者のバスト位置に巻き付けられる帯状の本体,
該本体の両端側に設けられており、前記着用者の肩に掛けるリング部,
を備えるとともに、
前記本体が、着用時において、前記着用者のバスト位置にほぼ1周半以上巻き付け可能な長さを有することを特徴とする巻き衣類。
【請求項2】
少なくともバストを上下に覆う幅を有するとともに、着用者の正面又は背中側で交差ないし重なるように、前記着用者のバスト位置に巻き付けられる帯状の本体,
該本体の一方の端部側に設けられており、前記着用者の肩に掛けるリング部,
前記本体が、前記着用者のバスト位置に巻き付けられた状態で、該本体の他方の端部側を本体に留める留め具,
を備えるとともに、
前記本体が、着用時において、前記着用者のバスト位置にほぼ1周半以上巻き付け可能な長さを有することを特徴とする巻き衣類。
【請求項3】
前記本体が、伸縮性を有することを特徴とする請求項1又は2記載の巻き衣類。
【請求項4】
前記リング部が、伸縮性を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の巻き衣類。
【請求項5】
前記本体とリング部の接続部ないし継ぎ目が、前記本体の幅方向に伸縮可能であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の巻き衣類。
【請求項6】
前記リング部が、前記本体から着脱可能であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の巻き衣類。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−225789(P2006−225789A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−40078(P2005−40078)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(505059824)有限会社 FIELE (1)
【Fターム(参考)】