説明

巻取機

【課題】 回転入力軸の直下の軌道上の障害を回避し得る一方、高い操作性で操作ロッドを操作することができる巻取機を提供する。
【解決手段】 回転入力軸5は、ヒンジ部6で一方向へ揺動可能に支持してあり、これによって筐体2の両側方向へ揺動することが禁止され、ヒンジ部6が二つ折状態では、巻き取り・巻き戻し作業中であっても、回転入力軸5及び第2軸42は互いに同心軸上の姿勢になっており、操作ロッド49の重量により、当該操作ロッド49及び回転入力軸5は鉛直方向の姿勢になっている。一方、ビニルハウスの正面近傍に障害が存在する場合、鉛直方向の操作ロッド49をビニルハウスから離隔する方向へ傾斜させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シート状部材を巻き取るための巻取機に関する。
【背景技術】
【0002】
農業用のビニルハウスでは、農作物その他、生育させる植物に応じてハウス内の温度や湿度を適切に調整するため、ビニルハウスの屋根部の適宜部分に換気用開口部を設けるとともに、この換気用開口部を開閉自在に被覆するシート材、及び該シート材を巻き取るための巻取機等を備えたハウス換気装置を設けている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
図13は、従来の巻取機の使用様態を説明する説明図であり、図中、101は蒲鉾状のビニルハウス100の屋根部である。屋根部101は、複数のアーチ形状の屋根用パイプ102,102,…を、ビニルハウス100の長手方向へ適宜の間隔を隔てて立設し、これら屋根用パイプ102,102,…の上をシート材で覆ってなり、屋根用パイプ102,102,…はビニルハウス100の長手方向へ配設した複数条のパイプに連結固定してある。屋根部101の略中央領域には、ビニルハウス100内を換気するための換気用開口部103が設けてあり、この換気用開口部103は、当該換気用開口部103より広い開閉用シート材105によって被覆し得るようにしてある。開閉用シート材105の上縁部は、換気用開口部103近傍のパイプに固定具(図示せず)を用いて固定してあり、開閉用シート材105の下縁部は、ビニルハウス100の長手方向へ配した開閉用ロッド50に固定具(図示せず)を用いて固定してある。
【0004】
開閉用ロッド50の一端側はビニルハウス100の正面(妻面)から適宜長だけ延出させてあり、この開閉用ロッド50の一端に、開閉用シート材105を巻き取る巻取機110が連結固定してある。
【0005】
巻取機110は正面視が倒立滑車外縁形をなした立体殻形状の筐体112を備えており、筐体112の底面中央から、正逆方向の回転駆動力が与えられる回転入力軸115が、筐体112の底面と直交するように突出させてある。そして、回転入力軸115には、カップリング部118を介して操作ロッド49が、回転入力軸115の中心軸周りに360°回動自在に連結してある。
【0006】
このカップリング部118は、端寸円筒状のカップリング筒部材119を備えており、該カップリング筒部材119の内径は、前述した回転入力軸115の外径及び操作ロッド49の外径より少し大きくしてある。カップリング筒部材119の一端近傍には回転入力軸115に連結するための第1ボルトが、カップリング筒部材119を直径方向へ貫通する様態で着脱可能に取付けてあり、カップリング筒部材119の他端近傍には操作ロッド49を固定するための第2ボルトが、カップリング筒部材119の周方向の対向する位置に、両第2ボルトの脚部が周壁を貫通する様態で緊緩可能に螺着してある。
【0007】
前述した回転入力軸115の先端近傍には、縦断面視が鼓形状をなし回転入力軸115を貫通する貫通孔が、回転入力軸115の中心軸と直交する方向へ開設してある。そして、第1ボルトを外した状態でカップリング筒部材119の一端を回転入力軸115の先端部に外嵌させた後、第1ボルトを回転入力軸115の貫通孔内を貫通させるようにカップリング筒部材119に取付けることによって、カップリング筒部材119が回転入力軸115に連結してある。このカップリング筒部材119の他端部に操作ロッド49の先端部を内嵌させ、両第2ボルトを螺入させることによって、操作ロッド49がカップリング筒部材119に連結してある。
【0008】
このとき、回転入力軸115に開設した貫通孔は縦断面視が鼓形状をなしているため、カップリング筒部材119と回転入力軸115とを連結する第1ボルトの両端は、貫通孔の中央を支点に回転運動をし得、従ってカップリング筒部材119は、その中心軸が回転入力軸115の中心軸と交わる姿勢で、回転入力軸115の中心軸周りに360°回転し得るようになっている。
【0009】
そして、操作ロッド49からカップリング部118を介して縦軸たる回転入力軸115に与えられた回転駆動は、筐体112内に配設されたベベルギアを介して、回転入力軸115と直交する方向へ配設した横軸たる回転出力軸に伝えられるようになっている。
【0010】
ところで、前述した回転入力軸115は二重筒構造になっており、両筒間内に配設したストッパ用バネ部材の作用によって、回転入力軸115に与えられた回転駆動は円筒状の回転出力軸に伝えられるが、回転出力軸に与えられる回転駆動は回転入力軸115に伝えられないようになっている。
【0011】
一方、回転出力軸の先端部は、前述した筐体112の背面上部中央から、筐体112の背面と直交するように突出させてあり、回転出力軸の先端部に、前述した開閉用ロッド50の一端部が内嵌固定してある。そして、巻取機110は、回転出力軸の回転駆動によって開閉用ロッド50を正逆回転させることによって、開閉用ロッド50及び巻取機110を屋根用パイプ102,102,…上で、ビニルハウス100の長手方向と直交する方向へ移動させつつ、開閉用ロッド50の周りに開閉用シート材105を巻き取り又は開閉用ロッドの周りから開閉用シート材105を巻き戻らせて、換気用開口部103を開閉していた。
【0012】
ところで、回転入力軸115の先端に操作ロッド49の先端を直接連結固定した場合、操作ロッド49は回転入力軸115の直下以外の軌道を通ることができないため、当該軌道下に、例えば溝といった障害が存在すると、ユーザは、換気用開口部103を開閉するとき、前記障害を回避しつつ操作ロッド49を操作しなければならず、開閉作業に困難を来たす。しかし、前述した如く回転入力軸115と操作ロッド49とをカップリング部118を介して連結した場合、前記軌道下に障害が存在する場合であっても、ユーザは、カップリング部118によって操作ロッド49をビニルハウス100から離隔する方向へ傾斜させることによって、前記障害から離れた位置で操作ロッド49を操作することができる。
【0013】
【特許文献1】特開平8−172933号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、このような従来の巻取機にあっては次のような問題があった。すなわち、巻取機110によって開閉用ロッド50の周りに開閉用シート材105を巻き取らせた場合、この開閉用シート材105が巻き戻ろうとする力が開閉用ロッド50を介して巻取機110に作用して、開閉用ロッド50の中心軸周りに巻取機110が回転しようとするが、巻取機110に連結した操作ロッド49が巻取機110の回転を阻止するように作用するため、巻取機110は、両作用が均衡する姿勢、つまり回転入力軸115の先端が鉛直方向からビニルハウス100の幅方向の中央側へ適宜角度だけ回動した姿勢に保持される。
【0015】
一方、操作ロッド49はカップリング部118を介して巻取機110に連結してあるので、巻取機110の姿勢に拘らず、略鉛直方向の姿勢を保持している。従って、操作ロッド49を回転操作する場合、操作ロッド49の中心軸と回転入力軸115の中心軸とが交わった状態で行なわなければならないため、操作ロッド49から回転入力軸115へ回転駆動力を円滑に伝えることが困難であり、操作ロッド49を回転させる際の操作性が低い。
【0016】
しかしながら、回転入力軸115の直下の軌道上に障害が存在する場合、これを回避し得ることも重要である。
【0017】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであって、回転入力軸の直下の軌道上の障害を回避し得る一方、高い操作性で操作ロッドを操作することができる巻取機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1記載の本発明は、回転駆動力が与えられる筒状の回転入力軸と、この回転入力軸と交わる方向へ配設され、巻取対象を巻き取る巻取軸が連結される回転出力軸と、前記回転入力軸に与えられた回転駆動力を前記回転出力軸に伝達する伝達手段とを備える巻取機において、前記回転出力軸の長手方向であって、回転出力軸の巻取軸を連結させる端部から離隔する方向へ揺動し得るように前記回転入力軸を支持する支持手段を備え、前記伝達手段は、前記回転出力軸の外周面に設けた第1傘歯車と、この第1傘歯車に噛合させた第2傘歯車と、第2傘歯車を回転させる回転軸とを具備し、この回転軸の先端部は前記回転入力軸内に挿入してあり、当該先端部に回転軸の軸長方向へ長い貫通孔が開設してあり、この貫通孔内を前記軸長方向へ摺動可能に挿通させた連結ピンによって回転軸と回転入力軸とが連結してあることを特徴とする。
【0019】
請求項2記載の本発明は、前記支持手段は、前記回転軸の周囲の回転出力軸の前記端部とは反対側の位置に、回転軸の軸長方向と交わる方向へ配設した枢軸部と、この枢軸部に揺動自在に支持され、枢軸部の軸長方向と交わる方向へ長い長穴が設けてある環状の第1支持部とを具備しており、この長孔に前記回転入力軸の一端部を内嵌させて、支持部によって回転入力軸を前記長孔の長手方向へ摺動自在に支持させてあることを特徴とする。
【0020】
請求項3記載の本発明は、前記支持手段は、前記回転軸の周囲の回転出力軸の前記端部とは反対側の位置に、回転軸の軸長方向と交わる方向へ配設した枢軸部と、この枢軸部に揺動自在に支持され、前記回転入力軸を支持する第1支持部と、前記枢軸部を支持する第2支持部と、この第2支持部を前記枢軸部の軸長方向と交わる方向へ摺動自在に支持する第3支持部とを具備することを特徴とする。
【0021】
請求項4記載の本発明は、回転駆動力が与えられる筒状の回転入力軸と、この回転入力軸と交わる方向へ配設され、巻取対象を巻き取る巻取軸が連結される回転出力軸と、前記回転入力軸に与えられた回転駆動力を前記回転出力軸に伝達する伝達手段とを備える巻取機において、前記回転出力軸の長手方向であって、回転出力軸の巻取軸を連結させる端部から離隔する方向へ揺動し得るように前記回転入力軸を支持する支持手段を備え、前記伝達手段は、前記回転出力軸の外周面に設けた第1傘歯車と、この第1傘歯車に噛合させた第2傘歯車と、第2傘歯車を回転させる回転軸と、前記回転入力軸内に、当該回転入力軸の内周面との間に適宜の間隙が生じるように内嵌してあり、回転入力軸と前記回転軸との間を連絡する連絡軸とを具備し、前記回転軸の先端部及び連結軸の基端部は、互いに一方向へ揺動自在に遊嵌してあり、前記回転入力軸は内部に、前記一方向とは異なる他方向へ延設した溝状の嵌合部を具備し、この嵌合部内に前記連絡軸の先端が前記他方向へ摺動自在であって、当該他方向へ揺動自在に遊嵌してあることを特徴とする。
【0022】
請求項5記載の本発明は、前記支持手段は、前記回転軸の周囲の回転出力軸の前記端部とは反対側の位置に、回転軸の軸長方向と交わる方向へ配設した枢軸部と、この枢軸部に揺動自在に支持され、前記回転入力軸を支持する板状の第1支持部と、前記枢軸部を支持する箱蓋状の第2支持部とを具備し、前記第1支持部は第2支持部内に遊嵌してあり、前記枢軸部は第1支持部の前記第2支持部の天井に臨む部分に配設してあることを特徴とする。
【0023】
請求項6記載の本発明は、前記支持手段は、回転入力軸の揺動を適宜の位置で停止させるストッパを更に具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
請求項1記載の本発明では、回転駆動力が与えられる筒状の回転入力軸と、この回転入力軸と交わる方向へ配設され、巻取対象を巻き取る巻取軸が連結される回転出力軸と、前記回転入力軸に与えられた回転駆動力を前記回転出力軸に伝達する伝達手段とを備える巻取機において、前記回転出力軸の長手方向であって、回転出力軸の巻取軸を連結させる端部から離隔する方向へ揺動し得るように前記回転入力軸を支持する支持手段を備え、前記伝達手段は、前記回転出力軸の外周面に設けた第1傘歯車と、この第1傘歯車に噛合させた第2傘歯車と、第2傘歯車を回転させる回転軸とを具備し、この回転軸の先端部は前記回転入力軸内に挿入してあり、当該先端部に回転軸の軸長方向へ長い貫通孔が開設してあり、この貫通孔内を前記軸長方向へ摺動可能に挿通させた連結ピンによって回転軸と回転入力軸とが連結してある。回転入力軸は支持部材によって、例えば、巻取機の裏面側に巻取軸を連結するようにした場合は巻取機の両側方へ揺動することが禁止されるため、高い操作性で操作ロッドを操作することができる。
【0025】
一方、回転入力軸は支持部材によって、回転出力軸の巻取軸を連結させる端部から離隔する方向、例えば、巻取機の裏面側に巻取軸を連結するようにした場合は巻取機の正面側へ揺動し得るようになしてあるため、回転入力軸の直下の軌道上に障害が存在する場合、回転入力軸と伝達手段の回転軸とを連結する連結ピンを、回転軸に設けた貫通孔内を当該回転軸の軸長方向へ摺動させつつ、回転入力軸を巻取機の正面側へ揺動させることによって、前記障害を容易に回避することができる。
【0026】
ところで、伝達手段は、回転出力軸の外周面に設けた第1傘歯車に第2傘歯車を噛合させ、この第2傘歯車を回転軸で回転させるようにしてあるため、構成が簡単であり、部品コスト及び組立てコストが廉価である。
【0027】
請求項2記載の本発明では、前記支持手段は、前記回転軸の周囲の回転出力軸の前記端部とは反対側の位置に、回転軸の軸長方向と交わる方向へ配設した枢軸部と、この枢軸部に揺動自在に支持され、枢軸部の軸長方向と交わる方向へ長い長穴が設けてある環状の第1支持部とを具備しており、この長孔に前記回転入力軸の一端部を内嵌させて、支持部によって回転入力軸を前記長孔の長手方向へ摺動自在に支持させてあるため、筒状の回転入力軸の回転軸との連結部分の直径を可及的に小さくすることができ、当該部分のスリム化を図ることができ、回転入力軸を軽量化して、材料コストを低減することができる。更に、回転軸の先端が回転入力軸の内面に当接することが防止され、回転入力軸を揺動させた場合であっても、操作ロッドを操作する際に負荷が増大することが可及的に抑制される。
【0028】
請求項3記載の本発明では、前記支持手段は、前記回転軸の周囲の回転出力軸の前記端部とは反対側の位置に、回転軸の軸長方向と交わる方向へ配設した枢軸部と、この枢軸部に揺動自在に支持され、前記回転入力軸を支持する第1支持部と、前記枢軸部を支持する第2支持部と、この第2支持部を前記枢軸部の軸長方向と交わる方向へ摺動自在に支持する第3支持部とを具備するため、筒状の回転入力軸の回転軸との連結部分の直径を可及的に小さくすることができ、当該部分のスリム化を図ることができ、回転入力軸を軽量化して、材料コストを低減することができる。更に、回転軸の先端が回転入力軸の内面に当接することが防止され、回転入力軸を揺動させた場合であっても、操作ロッドを操作する際に負荷が増大することが可及的に抑制される。
【0029】
請求項4記載の本発明では、回転駆動力が与えられる筒状の回転入力軸と、この回転入力軸と交わる方向へ配設され、巻取対象を巻き取る巻取軸が連結される回転出力軸と、前記回転入力軸に与えられた回転駆動力を前記回転出力軸に伝達する伝達手段とを備える巻取機において、回転出力軸の長手方向であって、回転出力軸の巻取軸を連結させる端部から離隔する方向へ揺動し得るように前記回転入力軸を支持する支持手段を備え、前記伝達手段は、前記回転出力軸の外周面に設けた第1傘歯車と、この第1傘歯車に噛合させた第2傘歯車と、第2傘歯車を回転させる回転軸と、前記回転入力軸内に、当該回転入力軸の内周面との間に適宜の間隙が生じるように内嵌してあり、回転入力軸と前記回転軸との間を連絡する連絡軸とを具備し、前記回転軸の先端部及び連結軸の基端部は、互いに一方向へ揺動自在に遊嵌してあり、前記回転入力軸は内部に、前記一方向とは異なる他方向へ延設した溝状の嵌合部を具備し、この嵌合部内に前記連絡軸の先端が前記他方向へ摺動自在であって、当該他方向へ揺動自在に遊嵌してある。従って、前同様、回転入力軸は支持部材によって、例えば、巻取機の裏面側に巻取軸を連結するようにした場合は巻取機の両側方へ揺動することが禁止されるため、高い操作性で操作ロッドを操作することができる。
【0030】
一方、回転入力軸は支持部材によって、回転出力軸の巻取軸を連結させる端部から離隔する方向、例えば、巻取機の裏面側に巻取軸を連結するようにした場合は巻取機の正面側へ揺動し得るようになしてあるため、回転入力軸の直下の軌道上に障害が存在する場合、回転入力軸と伝達手段の回転軸とを連結する連結ピンを、回転軸に設けた貫通孔内を当該回転軸の軸長方向へ摺動させつつ、回転入力軸を巻取機の正面側へ揺動させることによって、前記障害を容易に回避することができる。
【0031】
ところで、伝達手段は、回転出力軸の外周面に設けた第1傘歯車に第2傘歯車を噛合させ、この第2傘歯車を回転軸で回転させるようにしてあるため、構成が簡単であり、部品コスト及び組立てコストが廉価である。
【0032】
また、伝達手段は、回転入力軸内に、当該回転入力軸の内周面との間に所要の間隙が生じるように内嵌してあり、回転入力軸と前記回転軸との間を連絡する連絡軸とを具備し、回転軸の先端部及び連結軸の基端部は、互いに一方向へ揺動自在に遊嵌してあり、回転入力軸は内部に、前記一方向とは異なる他方向へ延設した溝状の嵌合部を具備し、この嵌合部内に前記連絡軸の先端が前記他方向へ摺動自在であって、当該他方向へ揺動自在に遊嵌してあるため、回転入力軸の回転角度に拘らず、支持部材によって回転入力軸を揺動させ、その状態で回転入力軸に与えた回転駆動力を伝達手段の連絡軸に与えることができる。
【0033】
連絡軸及び回転入力軸は鋳造により製造することができ、連絡軸と回転軸、及び連絡軸と回転入力軸とは互いに遊嵌させてあるため、部品コスト及び組立てコストを更に低減することができる。
【0034】
請求項5記載の本発明では、支持手段は、前記回転軸の周囲の回転出力軸の前記端部とは反対側の位置に、回転軸の軸長方向と交わる方向へ配設した枢軸部と、この枢軸部に揺動自在に支持され、前記回転入力軸を支持する板状の第1支持部と、前記枢軸部を支持する箱蓋状の第2支持部とを具備し、前記第1支持部は第2支持部内に遊嵌してあり、枢軸部は第1支持部の前記第2支持部の天井に臨む部分に配設してあるため、枢軸部、回転入力軸の端部及びこの回転入力軸の端部に内嵌した連絡部が第2支持部材によって覆われ、内部へ雨水等が浸入することが防止される。
【0035】
請求項6記載の本発明で、支持手段は、回転入力軸の揺動を適宜の位置で停止させるストッパを更に具備するため、第1支持部材に過剰な負担をかけずに、第1支持部材及び回転入力軸の揺動を停止させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明に係る巻取機は、回転駆動力が与えられる筒状の回転入力軸と、この回転入力軸と交わる方向へ配設され、巻取対象を巻き取る巻取軸が連結される回転出力軸と、前記回転入力軸に与えられた回転駆動力を前記回転出力軸に伝達する伝達手段とを備えており、更に、回転出力軸の長手方向であって、回転出力軸の巻取軸を連結させる端部から離隔する方向へ揺動し得るように前記回転入力軸を支持する支持手段を備えている。また、前述した伝達手段は、前記回転出力軸の外周面に設けた第1傘歯車と、この第1傘歯車に噛合させた第2傘歯車と、第2傘歯車を回転させる回転軸とを具備している。そして、この回転軸の先端部は前記回転入力軸内に挿入してあり、当該先端部に回転軸の軸長方向へ長い貫通孔が開設してあり、この貫通孔内を前記軸長方向へ摺動可能に挿通させた連結ピンによって回転軸と回転入力軸が連結してある。
【0037】
この支持手段は、回転軸の周囲の回転出力軸の前記端部とは反対側の位置に、回転軸の軸長方向と交わる方向へ配設した枢軸部と、この枢軸部に揺動自在に支持され、枢軸部の軸長方向と交わる方向へ長い長穴が設けてある環状の第1支持部とを具備しており、この長孔に前記回転入力軸の一端部を内嵌させて、支持部によって回転入力軸を前記長孔の長手方向へ摺動自在に支持させてある。
【0038】
一方、支持手段は、回転軸の周囲の回転出力軸の前記端部とは反対側の位置に、回転軸の軸長方向と交わる方向へ配設した枢軸部と、この枢軸部に揺動自在に支持され、前記回転入力軸を支持する第1支持部と、前記枢軸部を支持する第2支持部と、この第2支持部を前記枢軸部の軸長方向と交わる方向へ摺動自在に支持する第3支持部とを具備して構成してもよい。
【0039】
また、回転駆動力が与えられる筒状の回転入力軸と、この回転入力軸と交わる方向へ配設され、巻取対象を巻き取る巻取軸が連結される回転出力軸と、前記回転入力軸に与えられた回転駆動力を前記回転出力軸に伝達する伝達手段と、前記回転出力軸の長手方向であって、回転出力軸の巻取軸を連結させる端部から離隔する方向へ揺動し得るように前記回転入力軸を支持する支持手段を備え、前記伝達手段は、前記回転出力軸の外周面に設けた第1傘歯車と、この第1傘歯車に噛合させた第2傘歯車と、第2傘歯車を回転させる回転軸と、前記回転入力軸内に、当該回転入力軸の内周面との間に所要の間隙が生じるように内嵌してあり、回転入力軸と前記回転軸との間を連絡する連絡軸とを具備し、前記回転軸の先端部及び連結軸の基端部は、互いに一方向へ揺動自在に遊嵌してあり、前記回転入力軸は内部に、前記一方向とは異なる他方向へ延設した溝状の嵌合部を具備し、この嵌合部内に前記連絡軸の先端が前記他方向へ摺動自在であって、当該他方向へ揺動自在に遊嵌してある。
【0040】
この支持手段は、前記回転軸の周囲の回転出力軸の前記端部とは反対側の位置に、回転軸の軸長方向と交わる方向へ配設した枢軸部と、この枢軸部に揺動自在に支持され、前記回転入力軸を支持する板状の第1支持部と、前記枢軸部を支持する箱蓋状の第2支持部とを具備し、前記第1支持部は第2支持部内に遊嵌してあり、前記枢軸部は第1支持部の前記第2支持部の天井に臨む部分に配設してある。
【0041】
一方、支持手段は、回転入力軸の揺動を適宜の位置で停止させるストッパを更に具備してもよい。
【0042】
以下、本発明の一実施例について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施例1)
【0043】
図5は、実施例1に係る巻取機の使用様態を説明する説明図であり、図中、101は蒲鉾状のビニルハウス100の屋根部である。屋根部101は、複数のアーチ形状の屋根用パイプ102(102,…)を、ビニルハウス100の長手方向へ適宜の間隔を隔てて立設し、これら屋根用パイプ102(102,…)の上をシート材で覆ってなり、屋根用パイプ102(102,…)はビニルハウス100の長手方向へ配設した複数条のパイプに連結固定してある。屋根部101の適宜部分には、後述する換気用開口部が設けてあり、この換気用開口部は、当該換気用開口部より広い開閉用シート材105によって被覆してある。開閉用シート材105の上縁部は、換気用開口部近傍のパイプに固定具を用いて固定してあり、開閉用シート材105の下縁部は、ビニルハウス100の長手方向へ配した開閉用ロッドに固定具(共に図示せず)を用いて固定してある。
【0044】
開閉用ロッドの一端側はビニルハウス100の正面(妻面)から適宜長だけ延出させてあり、この開閉用ロッドの一端は、開閉用シート材105を巻き取る巻取機1の筐体2の背面に開設した孔にその一端を嵌合させた筒状の回転出力軸に挿嵌固定してある。巻取機1には、回転出力軸に回転駆動力を伝える回転入力軸5が設けてある。この回転入力軸5の先端部は筐体2の底部から突出させてあり、該回転入力軸5の先端には操作ロッド49の先端が着脱可能に連結してある。そして、ユーザが操作ロッド49を正逆回転すると、これに連結した巻取機1の回転入力軸5の回転駆動力は回転出力軸7に伝えられ、回転出力軸7の回転駆動によって開閉用ロッドが正逆回転されて、開閉用ロッド及び巻取機1が、屋根用パイプ102,102,…上でビニルハウス100の長手方向と直交する方向へ移動しつつ、開閉用ロッドに開閉用シート材105を巻き取らせ又は開閉用ロッドから開閉用シート材105を巻き戻らさせ、換気用開口部を開閉する。
【0045】
図1は、本発明の一例を示す巻取機の外観斜視図であり、図中、2は後述する巻取機本体を内蔵する樹脂製の筐体である。筐体2は、正面視が縦断バルーン形をなした厚板殻形状をなしており、筐体2の正裏面であって筐体2の円弧状縁部に臨む部分の幅方向の中央位置には、筐体2の正裏面を貫通する貫通孔がそれぞれ開設してある。両貫通孔内には、回転出力軸7の両端部がそれぞれ嵌合させてあり、この回転出力軸7内に開閉用ロッド50の一端部が、筐体2の裏面側から挿入してある。
【0046】
また、筐体2の底部には、筒状の回転入力軸5が前記回転出力軸7と直交する姿勢で垂下してあり、回転入力軸5はヒンジ部6によって回転出力軸7の開閉用ロッド50が挿入された側の端部から離隔する方向へ揺動可能に、筐体2内の巻取機本体に連結してある。回転入力軸5の先端部には周面に固定用螺子53(53)を螺着させた第1リング51が外嵌してあり、回転入力軸5に内嵌させた操作ロッド49の先端部を内嵌させ、固定用螺子53(53)を回転入力軸5内へ螺入させることによって操作ロッド49を連結固定するようにしてある。
【0047】
図2は図1に示した巻取機の内部構成を示す斜視図であり、図3は図1に示した巻取機の側断面図である。なお、両図中、図1に示した部分に対応する部分には同じ番号を付してある。両図に示した如く、巻取機本体3は、正面視が略矩形U字状の基台33を備えており、基台33の両側部34,34にそれぞれ矩形状の切欠きを設けて基台33を軽量にしてある。そして、基台33の正裏面側縁部にはそれぞれ側壁部36,36の一端部が、基台33の底部35から僅かに距離を隔てて内嵌固定してある。
【0048】
両側壁部36,36の他端部間には前述した回転出力軸7が、両側壁部36,36を貫通する様態で回転自在に架設してあり、回転出力軸7の一側壁部36の内面に対向する位置の外周面には第1傘歯車31が、回転出力軸7の中心軸と同心状に一体成形してある。
【0049】
この回転出力軸7の先端部には、固定螺子73(73)を螺着した第2リング72が外嵌してあり、回転出力軸7内に開閉用ロッド50の一端部を挿入し、固定螺子73(73)を回転出力軸7内へ螺入することによって、開閉用ロッド50が回転出力軸7に連結固定してある。
【0050】
一方、両側壁部36,36間には板状の中間部材38が、第1傘歯車31の外周縁から基台33の底部35側へ適宜距離を隔てて、当該底部35と平行に架設してあり、中間部材38の中央上には、第1傘歯車31に噛合させた円錐台筒形の第2傘歯車32が正逆回転可能に配設してある。基台33の底部35と中間部材38との間には、回転入力軸5に与えられた回転力を第2傘歯車32に伝えるが、第2傘歯車32に加えられた回転力は回転入力軸5には伝えない、所謂一方向クラッチ43を内蔵する中間軸40が、第2傘歯車32の中心軸と同軸上に介装してある。
【0051】
この中間軸40の一端から第1軸41が突出させてあり、第1軸41は中間部材38を貫通して第2傘歯車32に内嵌させ、当該第2傘歯車32を回転可能に支持させてある。一方、中間軸40の他端からは第2軸42が突出させてある。
【0052】
ところで、ヒンジ部6は、前記基台33の底部35より広い面積を有する矩形状の第1及び第2支持部61,62の一側縁を枢軸部63で回動自在に軸支してなり、枢軸部63を筐体2の正面側に配して、第2支持部62の外面が前記基台33の底部35裏面に当接するように固定してある。この基台33及び第2支持部62の固定部分は、前述した筐体2で覆ってある。そして、前記第2軸42は、基台33の底部35、第2支持部62、筐体2、及び第1支持部61を貫通して、2つ折り状態のヒンジ部6の第1支持部61から適宜寸法だけ突出させてある。この第2軸42の先端部に、当該第2軸42を貫通し、第2軸42の軸長方向へ長い貫通孔44が開設してある。
【0053】
一方、第1支持部61の略中央には、枢軸部63の軸長方向と直交する方向へ長い長孔64が開設してあり、該長孔64には回転入力軸5のヘッド部54が回転自在に貫通させてある。
【0054】
ヘッド部54の内径は、回転入力軸5の他の部分の内径より大きくしてあり、ヘッド部54の外径は、前記長孔64の短径より僅かに小さくしてある。ヘッド部54の開口端部近傍の部分の肉厚寸法は、ヘッド部54の他の部分の肉厚寸法より大きくしてあり、この厚肉部55の外径は、前記長孔64の短径より大きくしてある。また、ヘッド部54の外周面であって前記厚肉部55から適宜距離を隔てた位置には、環状のストッパ部材56が外嵌固定してあり、このストッパ部材56と前記厚肉部55との間に長孔64を位置させて、ヘッド部54が長孔64から抜出するのを防止してある。
【0055】
また、ヘッド部54の内径は、第2軸42の外径より適宜寸法だけ大きくしてあり、このヘッド部54内に前記第2軸42の先端部が挿入してある。前述したヘッド部54の厚肉部55の周面には、棒状の連結ピン8の両端をそれぞれ内嵌させる嵌合孔が、周方向へ180°位置を異ならせて対向開設してあり、第2軸42の貫通孔44内を第2軸42の軸長方向へ摺動自在に挿通させた連結ピン8の両端を前記両嵌合孔に内嵌させることによって、回転入力軸5と第2軸42とが連結してある。
【0056】
これによって、操作ロッド49を操作して回転入力軸5に与えられた正逆回転力が第2軸42、第1軸41、第2傘歯車32、第1傘歯車31、及び回転出力軸7に伝えられ、回転出力軸7に連結された開閉用ロッド50が正逆回転される。一方、開閉用ロッド50には巻き戻り力が加えられるが、一方向クラッチ43の作用により前述した如く第2軸42及び回転入力軸5には伝えられない。
【0057】
ところで、回転入力軸5は前述した如くヒンジ部6で巻取機本体3の基台33に連結してある一方、連結ピン8が第2軸42の貫通孔44内を第2軸42の軸長方向へ摺動自在に挿通させてあるため、回転入力軸5は筐体2の正面側へ、連結ピン8が第2軸42の貫通孔44の基端側に当接するまで揺動させることができる。
【0058】
一方、回転入力軸5は、ヒンジ部6で前述したように一方向へ揺動可能に支持されているため、筐体2の両側方向へ揺動することが禁止され、ヒンジ部6が二つ折状態では、巻き上げ・巻き戻し作業中であっても、回転入力軸5及び第2軸42は互いに同軸上の姿勢になっており、この回転入力軸5に連結した操作ロッド49を高い操作性で操作することができる。
【0059】
ところで、前述したヘッド部54の直径は可及的に小さくしてあり、そのため回転入力軸5を揺動させた場合、連結ピン8が第2軸42の貫通孔44の基端側に当接する前に、第2軸42の先端がヘッド部54の内面に当接してしまう場合がある。
【0060】
図4は、図3に示した巻取機のIV−IV線による断面図であり、第1支持部61の長孔64とヘッド部54とを示している。なお、図中、図3に示した部分に対応する部分には同じ番号を付してある。図4に示した如く、第1支持部61の長孔64はその長軸が、ヒンジ部6の枢軸部63の軸長方向と直交する方向にしてあり、ヘッド部54は長孔64の長軸方向へ所要寸法以上、摺動し得るようになっている。
【0061】
従って、回転入力軸5を揺動させて、連結ピン8が第2軸42の貫通孔44の基端側に当接する前に、第2軸42の先端がヘッド部54の内面に当接する場合、ヘッド部54を枢軸部63から離隔する方向へ摺動させて、連結ピン8が第2軸42の貫通孔44の基端側に当接するまで回転入力軸5を揺動させることができる。これによって、第2軸42の先端がヘッド部54の内面に当接することが防止され、回転入力軸5を揺動させた場合であっても、操作ロッド49を操作する際に負荷が増大することを可及的に抑制している。
【0062】
一方、強度を要するヘッド部54の直径を可及的に小さくしてスリム化することができるので、ヘッド部54を軽量化することができ、材料コストを低減することができる。
【0063】
図6は、図1及び図2に示した巻取機を配設したビニルハウスの模式的部分側面図である。なお、図中、図1から図3の各図に示した部分に対応する部分には同じ番号が付してある。
【0064】
図6に示した如く、ビニルハウス100の屋根部101に設けた換気用開口部103を開閉する開閉用シート材105の下縁部は開閉用ロッド50に固定してあり、開閉用ロッド50のビニルハウス100正面から突出した端部を、巻取機1の背面から突出した回転出力軸7内に挿入し、回転出力軸7に外嵌した第2リング72の固定螺子を回転出力軸7内へ螺入させることによって、開閉用ロッド50が回転出力軸7に同軸上に連結固定してある。また、筐体2の底部に配設した回転入力軸5には、操作ロッド49の先端が前述した開閉用ロッド50と同様に連結固定してある。
【0065】
巻取機1は、前述した如く、操作ロッド49を介して回転入力軸5が正逆回転されると、この回転駆動力が回転出力軸7に伝えられ、回転出力軸7の回転駆動によって開閉用ロッド50が正逆回転されて、開閉用ロッド50及び巻取機1が、屋根用パイプ102,102,…上でビニルハウス100の長手方向と直交する方向へ移動しつつ、開閉用ロッド50に開閉用シート材105を巻き取らせ又は開閉用ロッド50から開閉用シート材105を巻き戻させて、換気用開口部103を開閉する。
【0066】
このとき、回転入力軸5は、ヒンジ部6で一方向へ揺動可能に支持されているため、筐体2の両側方向へ揺動することが禁止され、ヒンジ部6が二つ折状態では、巻き取り・巻き戻し作業中であっても、回転入力軸5及び第2軸42(図3参照)は互いに同心軸上の姿勢になっており、操作ロッド49の重量により、当該操作ロッド49及び回転入力軸5は鉛直方向の姿勢になっている。従って、操作ロッド49を高い操作性でスムーズに操作することができる。
【0067】
一方、ビニルハウス100の正面近傍に、例えば側溝いった障害が存在する場合、鉛直方向の操作ロッド49をビニルハウス100から離隔する方向へ傾斜させることによって、前記障害から離れた位置で操作ロッド49を操作することができる。
【0068】
なお、本実施例では、巻取機を換気用開口を開閉する開閉用シート材に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、シート材からなる内張りカーテンの開閉、遮光シート、カーテン用シートまたは防虫用シート等の展張、開口部の開閉用に適用し得ることはいうまでもない。
【0069】
また、本実施例では、ビニルハウス100の屋根部101に設けた換気用開口部103を開閉する開閉用シート材105の巻取りに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、ビニルハウス100の屋根部101から側部にわたる肩部に設けた換気用開口を開閉する開閉用シート材、及びビニルハウス100の側部の高所領域に設けた換気用開口を開閉する開閉用シート材の巻取りにも適用し得ることはいうまでもない。
(実施例2)
【0070】
図7は、実施例2に係る巻取機の要部構成を示す部分斜視図であり、ヒンジ部を摺動し得るようにしてある。なお、図中、図2に示した部分に対応する部分には同じ番号を付してその説明を省略する。
【0071】
図7に示した如く、ヒンジ部6の第1支持部61には、前述した長孔64(図4参照)に代えて、回転入力軸5のヘッド部54の外径より僅かに大きい内径の丸孔が開設してあり、回転入力軸5は、ヘッド部54を第1支持部61の丸孔に内嵌させて前述した如くストッパ部材56を外嵌固定することによって、回転自在に第1支持部61に支持されている。
【0072】
一方、ヒンジ部6の第2支持部62は羽子板形状をなしており、この第2支持部62の本体66の長さ寸法は、基台33の底部35の長さ寸法より所要寸法だけ長い寸法に、また本体66の幅寸法は、前記底部35の幅寸法より少し大きい寸法にしてある。本体66の両側縁であって、長さ方向の両端近傍の部分を除く中間部分には、帯状の切欠き67,67が設けてあり、本体66の両切欠き67,67の間の幅寸法は、前記底部35の幅寸法より少し小さく、両切欠き67,67の間の長さ寸法は基台33の側部34,34の幅寸法より所定長さだけ長くしてある。また、本体66の略中央には、枢軸部63の軸長方向と直交する方向へ長い長孔68が開設してあり、長孔68の短径は前述した第2軸42(図3参照)の外径より僅かに大きくしてある。
【0073】
第2支持部62は、基台33の底部35と前記両側壁部36,36との間の間隙内に、前述した両切欠き67,67を基台33の両側部34,34に遊嵌させて、基台33の長さ方向へ摺動自在に支持されており、従って、基台33の底部35及び両側壁部36,36はヒンジ部6を介して回転入力軸5を支持する第3支持部69として機能している。
【0074】
このような巻取機にあっては、前同様、回転入力軸5は、ヒンジ部6で一方向へ揺動可能に支持されているため、巻取機の両側方向へ揺動することが禁止され、ヒンジ部6が二つ折状態では、巻き取り・巻き戻し作業中であっても、回転入力軸5及び第2軸42(図3参照)は互いに同心軸上の姿勢になっており、操作ロッド49の重量により、当該操作ロッド49及び回転入力軸5は鉛直方向の姿勢に保持され、操作ロッド49を高い操作性でスムーズに操作することができる。
【0075】
一方、ビニルハウスの正面近傍に、例えば側溝いった障害が存在する場合、鉛直方向の操作ロッド49をビニルハウスから離隔する方向へ傾斜させることによって、前記障害から離れた位置で操作ロッド49を操作することができる。
【0076】
このとき、回転入力軸5を揺動させて、連結ピン8が第2軸42の貫通孔44(いずれも図3参照)の基端側に当接する前に、第2軸42の先端がヘッド部54の内面に当接する場合、第2支持部62を摺動させることによって、前同様、ヘッド部54を枢軸部63から離隔させ、連結ピン8が第2軸42の貫通孔の基端側に当接するまで回転入力軸5を揺動させることができる。これによって、第2軸42の先端がヘッド部54の内面に当接することが防止され、回転入力軸5を揺動させた場合であっても、操作ロッド49を操作する際に負荷が増大することを可及的に抑制している。
【0077】
一方、強度を要するヘッド部54の直径を可及的に小さくしてスリム化することができるので、ヘッド部54を軽量化することができ、材料コストを低減することができる。
【0078】
なお、本実施例では、第2支持部62を摺動自在に支持することによって、ヒンジ部を摺動し得るようにした場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、枢軸部63を摺動自在に支持する構造にしてもよい。
(実施例3)
【0079】
図8は、実施例3に係る巻取機の内部構造を示す斜視図であり、前述した中間軸と回転入力軸との連結構造をより簡単にしてある。また、図9は、図8に示した巻取機の側断面図であり、図中、6aはヒンジ部である。図10は、図8に示した巻取機の側断面図であり、ヒンジ部6aが開いた状態を示している。また、図11は、図9に示した巻取機のX−X線による断面図であり、図12は、図9に示した巻取機のXI−XI線による断面図である。なお、これら図8〜図12中、図1〜図4に示した部分に対応する部分には同じ番号を付してその説明を省略する。
【0080】
図8〜図12に示した如く、ヒンジ部6aは、有天無底の箱蓋状の第2支持部62aの底部開口内に、平面視が当該底部開口と略同じ形状の第1支持部61aを、揺動自在に遊嵌支持して構成してある。すなわち、第2支持部62aは、矩形の天井部621の周縁に枠状の袴部622を垂下してなり、袴部622の前記回転出力軸7の端部とは反対側の角部は、その深さを外側に位置するに従って浅くしてテーパ状に成形してある。この天井部621の中央には開口623が開設してあり、この開口623内を、前述した第2軸42の中間部が挿通させてある。
【0081】
この、第2軸42の先端部には、適宜厚さの帯板体の両角部を円弧状に成形して、後述する連絡軸45に設けられた溝状の凹部45aに遊嵌させる凸部42aが設けてあり、この凸部42aを連絡軸45の凹部45a内に遊嵌させて、連絡軸45が第2軸42に凹部45aの溝長方向へ揺動自在である一方、凸部42及び凹部45aが係合して、連絡軸45に与えられた回転駆動力によって第2軸42が回転されるように連結されている。
【0082】
一方、第1支持部61aは、板状部材の略中央に開口612を開設してなり、この開口612内を、回転入力軸5の一端部が貫通している。回転入力軸5は、円筒の一端に外側へ肉厚を大きくしたリム部56aが設けてあり、第1支持部61aの開口612に回転入力軸5を挿通させた場合、前記リム部56aが第1支持部61aの開口612の周囲に当接して、回転入力軸5が第1支持部61aに垂下支持されている。
【0083】
ところで、回転入力軸5の軸長方向の中途位置には、円筒の内側へ肉厚を大きくした中間厚肉部59が設けてあり、中間厚肉部59の中央部の径方向には、平面視が略長方形溝状に開設した嵌合部59aが設けてある。
【0084】
前述した連絡部45は、円柱体の基端に側面視が矩形U字溝状の凹部45aを直径方向の全領域に亘って設けてなり、前記円柱体の先端には台形板状の嵌入部45bが、その下底を円柱体の端面中央の位置に立設してある。そして、回転入力軸5内に装入された連絡部45は、この嵌入部45bを回転入力軸5の嵌合部59a内に遊嵌してあり、これによって、連絡部45は、嵌合部59aの長手方向へ摺動自在及び揺動自在である一方、嵌入部45b及び嵌合部59aが係合して、回転入力軸5に与えられた回転駆動力によって回転されるように連結されている。
【0085】
ここで、回転入力軸5の前記リム部56a側の端から中間肉厚部59までの寸法は、連絡部45の円柱体の長さ寸法と略同じにしてあり、連絡部45の外径は回転入力軸5の内径より小さくして、連絡部45外周面と回転入力軸5の内周面との間に適宜の間隙が形成してある。従って、回転入力軸5内に装入された連絡部45は、回転入力軸5によって回転入力軸5の直径方向へ摺動自在及び揺動自在に支持されている。
【0086】
前述した連絡部45の前記凹部45aは、連絡部45の嵌入部45bが回転入力軸5の嵌合部59a内に遊嵌された場合、当該嵌合部59aの長手方向と直交する方向になるようにしてあり、これによって、回転入力軸5の回転角度に拘らず、第1支持部61aによって回転入力軸5を一方向へ揺動させ、その状態で、回転入力軸5に与えられた回転駆動力を連絡部45及び第2軸42へ伝えることができる。
【0087】
ところで、第1支持部61aの前記回転出力軸7の開閉用ロッド50連結側端部と反対側の縁部から適宜の距離を隔てた位置には、枢軸部63aを構成する筒状の軸受部631が当該縁部と平行に突設してあり、軸受部631内には支持軸632がその両端を軸受部631から突出させた様態で挿入してある。また、第1支持部61aの前記第2支持部62aの天井部621に対向する側であって、前記開口612の周囲には、前記回転出力軸5の連結端部とは反対側の部分が開放したコ字状の凸部611が立設してあり、この凸部611及び前記軸受部631によって、回転入力軸5のリム部56aを囲繞して、当該リム部56aがその中心軸からずれないようにしてある。
【0088】
また、第2支持部62aの袴部622であって前記支持軸632の両端に対向する位置には、貫通孔が開設してあり、支持軸632の両端部を両貫通孔から外へ貫通させてナットをそれぞれ螺着することによって、第1支持部61aが第2支持部62aに、当該第1支持部61aが回転出力軸7の連結側端部から離隔する方向へ揺動自在に支持されている。
【0089】
一方、第2支持部62aの前記回転入力軸5側の縁近傍の位置には、前記支持軸632周りに揺動された第1支持部61aの縁部が当接する矩形U字状のストッパ60が、第2支持部62aの袴部622の下縁から適宜距離を隔てた位置まで垂下してあり、当該ストッパ60の両端部は、第2支持部62aの袴部622に螺子止してある。
【0090】
このような巻取機にあっては、前同様、回転入力軸5は、ヒンジ部6aで回転入力軸7から離隔する一方向へ揺動可能に支持されているため、巻取機の両側方向へ揺動することが禁止され、ヒンジ部6aが二つ折状態では、巻き取り・巻き戻し作業中であっても、回転入力軸5及び第2軸42は互いに同心軸上の姿勢になっており、操作ロッド49の重量により、当該操作ロッド49及び回転入力軸5は鉛直方向の姿勢に保持され、操作ロッド49を高い操作性でスムーズに操作することができる。
【0091】
一方、ビニルハウスの正面近傍に、例えば側溝いった障害が存在する場合、鉛直方向の操作ロッド49をビニルハウスから離隔する方向へ傾斜させることによって、前記障害から離れた位置で操作ロッド49を操作することができる。
【0092】
このとき、回転入力軸5内に装入された連絡部45が、回転入力軸5によって回転入力軸5の直径方向へ摺動自在及び揺動自在に支持されており、連絡部45の摺動方向と直交する方向に配した連絡部45の凹部45aに第2軸42の凸部42aが揺動自在に遊嵌してあるため、回転入力軸5を揺動させた場合であっても、操作ロッド49を操作する際に負荷が増大することを可及的に抑制している。
【0093】
一方、回転入力軸5並びに連絡部45及び第2軸42の構造が比較的簡単であるので、各部品の製造に要するコストが低いのに加え、組立てが容易である。
【0094】
また、箱蓋状の第2支持部42aによって、第1支持部41a、枢軸部63a、回転入力軸5のリム部56a、第2軸42、及び連絡部45が覆われているため、これらの内部に雨水又は埃等が浸入することが防止される。
【0095】
また、支持軸632周りに揺動された第1支持部61aは、その縁部がストッパ60に当接して停止するため、第1支持部61aの揺動を適宜の開度範囲内に容易に制限することができる一方、枢軸部63a及び第1支持部61aの枢軸部63a近傍の縁部等に過剰な負荷がかからず、機械的な寿命が延長される。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の一例を示す巻取機の外嵌斜視図である。
【図2】図1に示した巻取機の内部構造を示す斜視図である。
【図3】図1に示した巻取機の側断面図である。
【図4】図3に示した巻取機のIV−IV線による断面図である。
【図5】実施例1に係る巻取機の使用様態を説明する説明図である。
【図6】図1及び図2に示した巻取機を配設したビニルハウスの模式的部分側断面図である。
【図7】実施例2に係る巻取機の要部構成を示す部分斜視図である。
【図8】実施例3に係る巻取機の内部構造を示す斜視図である。
【図9】図8に示した巻取機の側断面図である。
【図10】図8に示した巻取機の側断面図である。
【図11】図9に示した巻取機のX−X線による断面図である。
【図12】図9に示した巻取機のXI−XI線による断面図である。
【図13】従来の巻取機の使用様態を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0097】
1 巻取機
3 巻取機本体
5 回転入力軸
6 ヒンジ部(支持手段)
7 回転出力軸
8 連結ピン
31 第1傘歯車
32 第2傘歯車
33 基台
40 中間軸(回転軸)
42 第2軸
43 一方向クラッチ
49 操作ロッド
54 ヘッド部
56 ストッパ部材
61 第1支持部
62 第2支持部
63 枢軸部
64 長孔
69 第3支持部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動力が与えられる筒状の回転入力軸と、この回転入力軸と交わる方向へ配設され、巻取対象を巻き取る巻取軸が連結される回転出力軸と、前記回転入力軸に与えられた回転駆動力を前記回転出力軸に伝達する伝達手段とを備える巻取機において、
前記回転出力軸の長手方向であって、回転出力軸の巻取軸を連結させる端部から離隔する方向へ揺動し得るように前記回転入力軸を支持する支持手段を備え、
前記伝達手段は、前記回転出力軸の外周面に設けた第1傘歯車と、この第1傘歯車に噛合させた第2傘歯車と、第2傘歯車を回転させる回転軸とを具備し、
この回転軸の先端部は前記回転入力軸内に挿入してあり、当該先端部に回転軸の軸長方向へ長い貫通孔が開設してあり、この貫通孔内を前記軸長方向へ摺動可能に挿通させた連結ピンによって回転軸と回転入力軸とが連結してあることを特徴とする巻取機。
【請求項2】
前記支持手段は、前記回転軸の周囲の回転出力軸の前記端部とは反対側の位置に、回転軸の軸長方向と交わる方向へ配設した枢軸部と、この枢軸部に揺動自在に支持され、枢軸部の軸長方向と交わる方向へ長い長穴が設けてある環状の第1支持部とを具備しており、
この長孔に前記回転入力軸の一端部を内嵌させて、支持部によって回転入力軸を前記長孔の長手方向へ摺動自在に支持させてある請求項1記載の巻取機。
【請求項3】
前記支持手段は、前記回転軸の周囲の回転出力軸の前記端部とは反対側の位置に、回転軸の軸長方向と交わる方向へ配設した枢軸部と、この枢軸部に揺動自在に支持され、前記回転入力軸を支持する第1支持部と、前記枢軸部を支持する第2支持部と、この第2支持部を前記枢軸部の軸長方向と交わる方向へ摺動自在に支持する第3支持部とを具備する請求項1記載の巻取機。
【請求項4】
回転駆動力が与えられる筒状の回転入力軸と、この回転入力軸と交わる方向へ配設され、巻取対象を巻き取る巻取軸が連結される回転出力軸と、前記回転入力軸に与えられた回転駆動力を前記回転出力軸に伝達する伝達手段とを備える巻取機において、
前記回転出力軸の長手方向であって、回転出力軸の巻取軸を連結させる端部から離隔する方向へ揺動し得るように前記回転入力軸を支持する支持手段を備え、
前記伝達手段は、前記回転出力軸の外周面に設けた第1傘歯車と、この第1傘歯車に噛合させた第2傘歯車と、第2傘歯車を回転させる回転軸と、前記回転入力軸内に、当該回転入力軸の内周面との間に適宜の間隙が生じるように内嵌してあり、回転入力軸と前記回転軸との間を連絡する連絡軸とを具備し、前記回転軸の先端部及び連結軸の基端部は、互いに一方向へ揺動自在に遊嵌してあり、
前記回転入力軸は内部に、前記一方向とは異なる他方向へ延設した溝状の嵌合部を具備し、この嵌合部内に前記連絡軸の先端が前記他方向へ摺動自在であって、当該他方向へ揺動自在に遊嵌してある
ことを特徴とする巻取機。
【請求項5】
前記支持手段は、前記回転軸の周囲の回転出力軸の前記端部とは反対側の位置に、回転軸の軸長方向と交わる方向へ配設した枢軸部と、この枢軸部に揺動自在に支持され、前記回転入力軸を支持する板状の第1支持部と、前記枢軸部を支持する箱蓋状の第2支持部とを具備し、
前記第1支持部は第2支持部内に遊嵌してあり、前記枢軸部は第1支持部の前記第2支持部の天井に臨む部分に配設してある請求項4記載の巻取機。
【請求項6】
前記支持手段は、回転入力軸の揺動を適宜の位置で停止させるストッパを更に具備する請求項4又は5記載の巻取機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−321655(P2006−321655A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−251534(P2005−251534)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(597088591)佐藤産業株式会社 (30)
【出願人】(503423317)
【Fターム(参考)】