説明

布巻取り機の巻取りロッド構造

【課題】 巻取りロッドを簡易に抜き取ることができる上、布を巻取る際に布の位置がずれることを防ぎ、巻取りロッドにより布を安定的に巻取ることが可能な布巻取り機の巻取りロッド構造を提供する。
【解決手段】 布巻取り機の巻取りロッド構造は、布巻取り機10の巻取りロッド20により布を巻取る。巻取りロッド20は、両端部に向かうに従い増大する外径を有し、第1のハーフロッド21および第2のハーフロッド22を有する。第1のハーフロッド21および第2のハーフロッド22の端部には、互いに係着させることが可能な第1の位置決め部と第2の位置決め部とが設けられている。巻取りロッド20の第1のハーフロッド21および第2のハーフロッド22は、第1の位置決め部および第2の位置決め部により位置決めされる。。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布巻取り機の巻取りロッド構造に関し、特に、丸編み機に応用する布巻取り機の巻取りロッド構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、布巻取り機は丸編み機の下方に設置される。この丸編み機により編まれた布は、布巻取り機の巻取りロッドにより巻取られる。特許文献1〜特許文献3で開示されている実用新案登録は、巻取りロッドが円柱体からなり、巻取り工程が完了した後に巻取りロッドを簡便に取り出すことができるように、一般に円柱体である巻取りロッドの外径が一方の端部から他方の端部にかけて次第に増大されているという共通点を有する。しかし、布の巻取り工程を行う場合、巻取りロッドの表面と布との間の摩擦力が不足しないように、円柱体の巻取りロッドの表面を非平滑面または滑り止め面に形成しなければならなかった。また、この円柱体の巻取りロッドは、外径が次第に増大された態様からなるが、表面が非平滑面または滑り止め面からなるため、巻取りロッドと布との間の摩擦力が増大し、巻取りロッドを抜き取ることが困難となることがあった。
【0003】
また、布を巻き取ったり巻取りロッドを抜き取ったりすることが困難であるという上述の問題点を解決するため、特許文献4および特許文献5の発明も開示されている。特許文献4および特許文献5で開示されている巻取りロッドは、外径が一方の端部から他方の端部にかけて次第に増大する円柱体構造からなる。巻取りロッドの外壁は、複数の平面で構成された多角形状であるため、巻取りロッドはその外壁の角を利用して布を巻取る際の摩擦力を高めることができる。そのため、滑り止め面を設ける必要がなく、その表面を平滑面に形成してもよい。これにより、巻取りロッドへ簡便に布を巻取ることができる上、巻取りロッドを取り出す際に生じる摩擦抵抗力を低減させることもできる。
【0004】
多角形状の巻取りロッドは、円柱体構造の巻取りロッドが有する問題点を解決することができるが、巻取りロッドの形状が多角形または円柱体であっても、使用する際、以下(1)および(2)の欠点があった。
【0005】
(1)巻取りロッドと布との接触面積は、巻取りロッドが長いため大きかった。そのため、巻取りロッドと布との間に生じる摩擦力が増大し、巻取りロッドを取り出すのに必要な時間と労力が余計にかかる上、布の中央部分が一緒に引き出されてしまう虞があった。
(2)巻取りロッドの外径が端部に向かうに従い増大しているため、布巻取り機の巻取りロッドにより布を巻取る際、巻取りロッド上の布の位置が布巻取り機の回転力によりずれ、布巻取り機の回転により布全体が飛び出す虞があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】台湾実用新案登録第348770号公報
【特許文献2】台湾実用新案登録第307018号公報
【特許文献3】台湾実用新案登録第303921号公報
【特許文献4】台湾特許第296293号公報
【特許文献5】台湾特許第248485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、従来技術の問題点を解決し、巻取りロッドを簡易に抜き取ることができる上、布を巻取る際に布の位置がずれることを防ぎ、巻取りロッドにより布を安定的に巻取ることが可能な布巻取り機の巻取りロッド構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は次のような構成を有する。
請求項1に記載の発明は、布巻取り機(10)の巻取りロッド(20)により布(30)を巻取る布巻取り機の巻取りロッド構造であって、前記巻取りロッド(20)は、両端部に向かうに従い増大する外径を有し、第1のハーフロッド(21)および第2のハーフロッド(22)を有し、前記第1のハーフロッド(21)および前記第2のハーフロッド(22)の端部には、互いに係着させることが可能な第1の位置決め部(211)と第2の位置決め部(221)とが設けられ、前記巻取りロッド(20)の前記第1のハーフロッド(21)および前記第2のハーフロッド(22)は、前記第1の位置決め部(211)および前記第2の位置決め部(221)により位置決めされる布巻取り機の巻取りロッド構造。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の布巻取り機の巻取りロッド構造において、前記第1の位置決め部(211)および前記第2の位置決め部(221)は、互いに係着可能な凸柱と凹部との組み合わせからなる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の布巻取り機の巻取りロッド構造において、前記第1のハーフロッド(21)および前記第2のハーフロッド(22)の外壁は平滑面からなる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1または3に記載の布巻取り機の巻取りロッド構造において、前記第1のハーフロッド(21)および前記第2のハーフロッド(22)の外壁は、複数の平面で構成された多辺形構造からなる。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の布巻取り機の巻取りロッド構造において、前記第1のハーフロッド(21)と前記第2のハーフロッド(22)とは長さが同じである。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の布巻取り機の巻取りロッド構造において、前記第1のハーフロッド(21)の外径は、前記第1の位置決め部(211)が設けられた一方の端部から他方の端部にかけて増大し、前記第2のハーフロッド(22)の外径は、前記第2の位置決め部(221)が設けられた一方の端部から他方の端部にかけて増大する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の布巻取り機の巻取りロッド構造は、従来技術の問題点を解決し、巻取りロッドの取出しに必要な時間を減らし、作業効率を高めることができる上、布の巻取り工程の品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態による布巻取り機を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態による巻取りロッドを示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態による巻取りロッドを示す分解斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態による巻取りロッドを示す断面図である。
【図5A】本発明の一実施形態による巻取りロッドを使用するときの状態を示す模式図である。
【図5B】本発明の一実施形態による巻取りロッドを使用するときの状態を示す模式図である。
【図5C】本発明の一実施形態による巻取りロッドを使用するときの状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1〜図4を参照する。図1〜図4に示すように、本発明の一実施形態による布巻取り機は、布巻取り機10上に設けられた巻取りロッド20により布を巻取る。この巻取りロッド20は、同じ長さの第1のハーフロッド21および第2のハーフロッド22から構成される。第1のハーフロッド21および第2のハーフロッド22の端部には、互いに係着させることが可能な第1の位置決め部211と第2の位置決め部221とがそれぞれ設けられている。このように、巻取りロッド20は、第1の位置決め部211および第2の位置決め部221により位置決めされて組み立てられる第1のハーフロッド21および第2のハーフロッド22から構成される。巻取りロッド20の外径は、両端に向かうに従い増大する(即ち、第1のハーフロッド21は、第1の位置決め部211が設けられた一方の端部から布巻取り機10に装着される他方の端部へ向かうに従い外径が増大し、第2のハーフロッド22は、第2の位置決め部221が設けられた一方の端部から布巻取り機10に装着される他方の端部へ向かうに従い外径が増大する。)。つまり、本実施形態の第1の位置決め部211および第2の位置決め部221は、互いに係着させることが可能な凸柱および凹部からなる。
【0018】
本実施形態の第1のハーフロッド21および第2のハーフロッド22は、外壁が複数の平面で構成される多角形構造からなり、布を巻付けるのに都合が良いように、巻取りロッド20の外壁が多角形で形成されている。そのため、巻取りロッド20には、表面に滑り止め面を設ける必要がない上、巻取りロッド20と布との間の接触摩擦力を減らして巻取りロッド20を簡便に取り出すことができるように、第1のハーフロッド21および第2のハーフロッド22の外壁を平滑面で構成してもよい。さらに、巻取りロッド20の両端は、巻き取った後に布の位置がずれることを防ぎ、布を安定的に巻き取ることができるように外径を大きくしてもよい。
【0019】
図5A〜図5Cに示すように、布の巻取り工程を行った後に巻取りロッド20を抜き取る場合、まず、第2の位置決め部221である凹部から、第1の位置決め部211である凸柱を外して第1のハーフロッド21を抜き取るが、この際、凸柱の外径が第1のハーフロッド21の外径よりも小さいため空隙が設けられ、接触により生じる摩擦抵抗を減らすことができる。そのため、第1のハーフロッド21を取り出した後、第2のハーフロッド22を取り出すと、巻取りロッド20の取り出しを完了させることができる。
【0020】
上述したことから分かるように、本実施形態の布巻取り機の巻取りロッド20構造は、第1のハーフロッド21と第2のハーフロッド22とに分離可能な巻取りロッド20からなる。巻取りロッド20を取り出す場合、第1のハーフロッド21および第2のハーフロッド22をそれぞれ布30の両端から取り出す。第1のハーフロッド21および第2のハーフロッド22のそれぞれの長さは巻取りロッド20の約半分であるため、各ハーフロッド21,22が布30に接触される面積が小さく、巻取りロッド20を簡便に取り出すことができる。さらに、巻取りロッド20の外径は、両端に向かうに従い大きくなっている。そのため、巻取りロッド20により布巻取り工程を行う際、布30の位置を巻取りロッド20の中央部分に制限してずれることを防ぎ、巻取りロッド20を安定的に巻取ることができる。
【0021】
上述したことから分かるように、本発明の布巻取り機の巻取りロッド構造は、従来技術と異なり以下(1)および(2)の長所を有する。
(1)巻取りロッド20を取り出すのに必要な時間が少ないため、作業効率を高めることができる。
(2)布の巻取り工程の品質を向上させることができる。
【0022】
当該分野の技術を熟知する者が理解できるように、本発明の好適な実施形態を前述の通り開示したが、これらは決して本発明を限定するものではない。本発明の主旨と領域を脱しない範囲内で各種の変更や修正を加えることができる。従って、本発明の特許請求の範囲は、このような変更や修正を含めて広く解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0023】
10 布巻取り機
20 巻取りロッド
21 第1のハーフロッド
22 第2のハーフロッド
211 第1の位置決め部
221 第2の位置決め部
30 布

【特許請求の範囲】
【請求項1】
布巻取り機(10)の巻取りロッド(20)により布(30)を巻取る布巻取り機の巻取りロッド構造であって、
前記巻取りロッド(20)は、両端部に向かうに従い増大する外径を有し、第1のハーフロッド(21)および第2のハーフロッド(22)を有し、前記第1のハーフロッド(21)および前記第2のハーフロッド(22)の端部には、互いに係着させることが可能な第1の位置決め部(211)と第2の位置決め部(221)とが設けられ、前記巻取りロッド(20)の前記第1のハーフロッド(21)および前記第2のハーフロッド(22)は、前記第1の位置決め部(211)および前記第2の位置決め部(221)により位置決めされることを特徴とする、布巻取り機の巻取りロッド構造。
【請求項2】
請求項1に記載の布巻取り機の巻取りロッド構造において、前記第1の位置決め部(211)および前記第2の位置決め部(221)は、互いに係着可能な凸柱と凹部との組み合わせからなることを特徴とする、布巻取り機の巻取りロッド構造。
【請求項3】
請求項1に記載の布巻取り機の巻取りロッド構造において、前記第1のハーフロッド(21)および前記第2のハーフロッド(22)の外壁は平滑面からなることを特徴とする、布巻取り機の巻取りロッド構造。
【請求項4】
請求項1または3に記載の布巻取り機の巻取りロッド構造において、前記第1のハーフロッド(21)および前記第2のハーフロッド(22)の外壁は、複数の平面で構成された多辺形構造からなることを特徴とする、布巻取り機の巻取りロッド構造。
【請求項5】
請求項1に記載の布巻取り機の巻取りロッド構造において、前記第1のハーフロッド(21)と前記第2のハーフロッド(22)とは長さが同じであることを特徴とする、布巻取り機の巻取りロッド構造。
【請求項6】
請求項1に記載の布巻取り機の巻取りロッド構造において、前記第1のハーフロッド(21)の外径は、前記第1の位置決め部(211)が設けられた一方の端部から他方の端部にかけて増大し、
前記第2のハーフロッド(22)の外径は、前記第2の位置決め部(221)が設けられた一方の端部から他方の端部にかけて増大することを特徴とする、布巻取り機の巻取りロッド構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate