説明

帯形経糸のためのヘドル

【課題】帯形経糸を織るのに適したヘドルを提供する。
【解決手段】平らな帯形経糸(36)のためのヘドル(1)が糸鳩目(7)を具備し、好ましくはその幅は高さより大きい。このタイプの糸鳩目(7)は帯形経糸(36)の変形、特に杼口形成の際側面の圧縮を防ぐ。さらに、本発明のヘドル(1)は、経糸の延びる方向に対してヘドル(1)のボディ(3)の厚さより長い糸ガイド面を具備すると好ましい。これらの手段の結果、ヘドル(1)及び経糸(36)の磨耗が減少する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯の形状で具体化された経糸を処理するように設計されたヘドル(綜絖)に関する。
【背景技術】
【0002】
シェッド形成(杼口形成)のための少なくとも1つの、原則として多数の織シャフト(weaving shaft)を有する織機により織物が作られる。それぞれの織シャフトは、垂直に配置された側面支持部と上側及び下側横断バー(いわゆるシャフトバー)とからなる実質的に長方形フレームである。シャフトバーは、大部分が長方形断面を有する細長いスチールレールであるヘドル保持レールを保持する。スチールレールはヘドルを保持するように設計される。それぞれのヘドルは、上側及び下側スチールレールにヘドルを通すための端鳩目を備えている。ヘドルボディは端鳩目の間に延びる。糸鳩目は、経糸がガイドされるほぼ中央に設けられる。シャフトバーが上下に運動する場合、ヘドルの糸鳩目を通って延びる全ての経糸が経糸の束から出て上又は下に運動し、それで織杼口(weaving shed)が作り出される。
【0003】
特許文献1は、平坦なスチールストリップから作られたこのタイプのヘドルを開示する。スチールストリップの平坦側面は経糸方向に向いている。糸鳩目を作るために、ヘドルはこの領域で圧縮され、穴が開けられる。このようにして作られる糸鳩目は、水平方向に測定した幅を超える垂直方向に測定した高さを有し、糸鳩目は経糸の運動方向に向いている。
【0004】
特許文献2も、経糸の運動方向に向いた糸鳩目を有するヘドルを開示する。ヘドルは、平行に重なって位置した2枚の薄層のシートメタルからなる。糸鳩目の領域では、シートメタルストリップは互いから離れて湾曲している。ヘドルは縦方向に捩れており、それで糸鳩目は端鳩目と交差する方向に向いている。
【0005】
ここで示されたヘドルは基本的に丸い糸を処理するように設計される。しかしながら、最近、帯形の繊維配置を処理する要求が益々満たされなければならない。しばしば、ポリエステル、アラミド又は炭素繊維で構成される帯形糸配置が処理されなければならず、例えばストレスの高い複合構造を強化するために繊維を作るのに使用される。帯形繊維配置が織り作業の間帯形状を維持し、例えば織物平面に平行に向いていることがしばしば要求される。
【0006】
【特許文献1】FR394156
【特許文献2】DE−PS22996
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これに基づいて、本発明の目的は、帯形経糸を織るのに適したヘドルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1に従うヘドル及び請求項2に従うヘドルにより解決される。
【0009】
請求項1に記載の本発明に従うヘドルは、経糸方向に見て高さより幅広い、糸鳩目を備えたヘドルボディを具備している。ここで、糸鳩目の形状はここでは経糸であると考えられる対応する経糸群又は経糸の形状にほぼ適合する。糸鳩目の幅は、それぞれのヘドルのために意図された帯形経糸の幅より少なくとも数十ミリメートル大きい。結局、平坦な帯形経糸は糸鳩目を通って妨げられずに延び、ほとんど縦の遊びなしで糸鳩目内を確実にガイドされる。
【0010】
この手段とは無関係に、請求項2に従い、上側及び下側エッジの糸鳩目に上側入口及び/又は糸出口側面において丸まった糸ガイド面を具備すると有利である。ここで、経糸方向に延びる糸ガイド面の長さは同じ方向に測定するヘドルボディの厚さより大きい。ヘドルボディは比較的薄く具体化でき、例えば十分に強いスチールで構成される。繊細な糸を損傷しかねない鋭いエッジが糸鳩目に結果として形成する恐れは本発明に従う糸ガイド面により防がれる。従って、ヘドルの厚さは最小に減らされ、ヘドルの重量が減少し、従って高い動作速度を実現しつつ材料コストも減らすことができる。
【0011】
ヘドルは、経糸と交差して位置するように、すなわちヘドルの平坦側面が2本のヘドル保持レールを有する1つの平面又は少なくともこれらと共に極めて0°に近い鋭角を取り囲む平面内に位置するように、少なくとも糸鳩目の領域において捩れていると好ましい。結局、糸鳩目の開口方向が経糸の移動方向に基本的に一致することが実現される。従って、糸鳩目のための必要な開口幅は最小に維持される。
【0012】
例えば、杼口を形成するために、第1織シャフトは下方に最下位置まで移動し、第2織シャフトは上方に上側位置まで移動する。両方の織シャフトは本発明に従うヘドルを具備し、経糸はそれらの糸鳩目を通って延びる。第1織シャフトの下側位置への移動と第2織シャフトの上側位置への移動の結果、第1織シャフトの経糸と第2織シャフトの経糸が共にいわゆる織杼口を形成する。第1織シャフトの経糸は下側領域にある第1織シャフトのヘドルの糸鳩目を通って延びる。ここで、第2織シャフトの経糸は上側領域にある第2織シャフトのヘドルの糸鳩目を通って延び、これにより織杼口が形成される。この織杼口に緯糸を通した結果、2つの織シャフトは位置を変える。第1織シャフトは上方に移動するのに対し、同時に第2織シャフトは下方に移動する。ヘドルは位置を変え、従ってヘドルの糸鳩目を通って延びる経糸又は経糸束の位置も変わる。経糸の位置の変化の際、第2織シャフトの経糸は第1織シャフトの隣接ヘドルの外側エッジの近くをスライドする。反対に、第1織シャフトの糸鳩目を通る経糸は第2織シャフトの隣接ヘドルの外側エッジの近くを通る。
【0013】
本発明に従うヘドルの糸鳩目は経糸の横断方向に向いているので、ヘドルの外側エッジと糸鳩目の間の領域は極めて小さく具体化することができ、これにより位置変化の間、隣接織シャフトの隣接ヘドルの経糸帯のために十分なスペースが得られ、それは隣接織シャフトのヘドルのエッジに妨げられず通る。従って、位置変化の間糸鳩目を損傷する恐れが大きく減少し、さらにしっかり編まれた織物部材が製造される。同様にしっかり編まれた織物を形成するために、ヘドルボディは糸鳩目の領域で僅かな角度で位置決めされる。ここで、糸鳩目の開口角度は、請求項3に記載された平面に対して僅か数度の鋭角で傾いている。
【0014】
ヘドルボディは、少なくとも糸鳩目において経糸の横方向に向いたバンド形材料(例えば、スチールバンド)で構成されると好ましい。糸鳩目と端鳩目の回転角度は、前記の条件及び利点の実現を可能にする90°であると好ましい。
【0015】
端鳩目はヘドルボディに連結した別個の要素としても具体化される。しかしながら、それはヘドルボディと一体形成されると、すなわち、ヘドルボディと同じ材料で構成され、このボディに継目なく滑らかに移行すると好ましい。従って、ヘドルは単純な型打ちボディ(打ち抜きボディ)として製造される。端鳩目は任意にO形、C形又はJ形でもよく、又は将来開発される形状を有してもよい。
【0016】
平らな材料から捩じらずにヘドルを製造することも可能である。ここで、端鳩目は突出部により形成され、突出部はヘドルボディに取り付けられ、平坦側面の上に突出する。突出部は、例えばヘドルボディから切り抜かれ側面の外側に曲げられた突片の形状を有する。さらに、突出部はヘドルボディの平坦側面に後で取り付けられる要素でもよい。これら要素は例えばレーザー溶接で取り付けられても、シートメタルブラケットの形状でリベット締めされてもよい。溶接継目はヘドルボディの縦方向に延びても、交差して延びてもよい。溶接継目が縦方向に向いたバージョンはこのようにして形成された端鳩目にとって特に高い安定性が生じる。
【0017】
ある好ましい実施形態は糸ガイド面のデザインに特別に注目する。ここで、これらのガイド面は糸鳩目の外側に曲がったプレートの形状を有する。ある好ましい実施形態の自由に突出したプレートは外側に曲がり、これにより糸鳩目に対して少なくとも110°の角度を形成する。結局、損傷を受けやすい脆い糸を織るのにも使用できる、十分に寸法決めされた糸ガイド面が得られる。
【0018】
特に強力に接着された又は磨耗性の糸の処理のために、糸ガイド面は、ヘドルボディに結合された別個の要素上に具体化されると有利であり、従って糸鳩目の上側及び/又は下側エッジを形成する。特別な要素は硬化鋼、プラスチック又はセラミック材料で構成され、接着、溶接又ははんだ付けによりヘドルボディに結合される。合金又はセラミック材料を使用することで、アラミド繊維で構成されるバンドなどの特に強力なバンドを織ることができる。さらに、別な要素は糸鳩目の側面エッジの少なくとも一部を保護する部分を具備できる。これは、当該要素を、端にディスク又はプレートを具備したピンとして具体化することで実現される。さらには、ヘドルが糸鳩目の領域に、例えば窒化チタン又は異なるタイプの機械的耐性材料で構成された耐性材料保持部を具備すると有利である。硬質合金要素が糸ガイド面を形成するために用いられる場合、この保持部は硬質合金要素に制限される。
【0019】
本発明に従うヘドルの極めてコスト効率の良い実施形態のために、当該要素は糸鳩目の上側及び下側エッジの上に明確に突出する。当該要素は小さい薄片として具体化される。これらはヘドルボディの平坦側面に配置され、丸みを帯びたエッジを有する。これら薄片はヘドルボディの前面及び裏面の平坦面に取り付けられ、それらの位置に基づいて、ヘドルの縦方向における糸鳩目の高さを決定する。この手段により、様々な高さの糸鳩目が、一様に型打ちされたヘドルボディ上に実現され、それで様々な帯形経糸のためにそれぞれのヘドルが備えられる。
【0020】
本発明の有利な実施形態のさらなる詳細は図面、明細書又は請求項のサブジェクトマターである。本発明の実施例は図面に示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は、さらに詳細には示されていない平坦な帯形経糸のためのヘドルを示す。ヘドル1は、織シャフトに位置した同一又は同様に具体化されたヘドルの群の一つである。織シャフトは織機に杼口を形成するために使用される。ヘドル1は2本のヘドル保持レール2,2’上に位置し、これらレールは互いに間隔を置いて配置され、織シャフトの上側及び下側シャフトバーに保持される。ヘドル1はシートスチールストリップからなる基体3を有する。図1における縦方向4は垂直に、従ってヘドル保持レール2,2’と直角に向いている。その端に、基体3から穿孔された開口により最も簡単なケースで形成された端鳩目5,6が設けられ、端鳩目は、対応して加えられた遊びを有するヘドル保持レール2,2’の断面に形状とサイズが一致する。端鳩目5,6の間に位置した領域に、基体3は経糸を保持するための糸鳩目7を具備する。特に図2に示されるように、糸鳩目7は基本的に長方形断面を有し、縦方向4に延びるその側面エッジ8,9は縦方向4と交差して延びるその上側及び下側エッジ10,11より短い。
【0022】
図1は、平らな、実質的に平坦な領域12が糸鳩目7を取り囲み、ヘドル保持レール2,2’で定められる平面とほぼ平行又はほぼ平面内に位置することを示す。このために、ヘドル1は領域12とそれぞれの端鳩目6,7の間、それぞれ位置13,14において、縦方向4の周りに90°捩れている。
【0023】
図1及び2は、ヘドルボディが、スチールなどの比較的薄くて平坦な金属の一体形成されたフレキシブルな型打ちされた部分であることを示す。端鳩目5,6はヘドルボディ3の構成要素である。しかしながら、ヘドルボディ3の幅は、少なくとも領域12において好ましくは全体として、糸鳩目7のために図2に示された幅Bより常に広い。糸鳩目7の両側には、ウェブ15,16は残ったままである。これらは、ヘドル1が形成される平坦部材の厚さより僅かに幅広いと好ましい。縦方向4に測定する糸鳩目7の高さHはその幅Bより明らかに小さい。しかしながら、糸鳩目7は楕円形状又は図2に示される長方形からずれる様々な形状を有してもよい。ここでその幅Bはそれぞれその高さHより大きい。
【0024】
上側及び下側エッジ10,11は、図2に示されるように、領域12の平坦面に直接接続する糸ガイド面17,18により形成されると好ましい。しかしながら、繊細な経糸36を保護するために移行部は丸みを帯びていてもよい。経糸36はそれぞれ個々の糸及び/又はストリップ(例えば、プラスチックバンド)でもよく、又は連結した又はしていない複数の糸からなってもよく、配列した糸、又は糸バンド36でもよい。
【0025】
これまで説明したヘドル1は以下のように動作する。
【0026】
図1の実施形態に示されるように、織機の操作及び織杼口を形成するために、複数のヘドル1が少なくとも2つの織シャフトのヘドル保持レール2,2’上に整列される。最も単純なケースでは、ヘドル1は同一に具体化される。それぞれの織シャフトにおいて、ヘドルは、経糸幅36に基本的に一致する距離を隔てている。杼口形成に使用される帯形経糸36は糸鳩目7を通って延びる。杼口形成のために、ヘドル保持レール2,2’により保持されたヘドル1を備えた2つの織シャフトは縦方向4に上下に移動する。このプロセスにおいて、糸鳩目7を通って延びる帯形経糸36は、緯糸を経糸に挿入するために使用される杼口を形成するために上部及び下部の方に変形することなく向きを変えられる。
【0027】
変形実施形態によれば、ヘドル1の領域12は端鳩目5,6に対して正確に90°回転していない。従って、第1・第2織シャフトは幾らか重なり、それによりより密な織物を作ることができる。この実施形態のために、経糸36から見た間隙幅(clear width)は平坦な経糸36の幅より少なくとも僅かに大きい。
【0028】
さらに、ヘドルボディ3に中心からずらして端鳩目5,6のために開口を型打ちするか、幾らか非対称に捩れ領域及び/又は回転領域13,14を曲げることで、ヘドル1を僅かに非対称的に具体化することも可能である。
【0029】
図3a及び3bはヘドル1の変形実施形態を示す。前記の説明は以下の修正及び完了を除いて当てはまる。糸鳩目7はやはり実質的に長方形のデザインを有する。しかしながら、図3aに示されるようにそれは初めにHの形状で型打ちされ、それで上側及び下側フラップ19,20が露出している。これらのフラップは互いに向かって延びる。次いで、図3bに示されるように、フラップ19,20は互いから離れて曲がっている。このプロセスでは、これらは同じ側面に向かって又は反対側の側面に向かって糸鳩目7から曲がってもよく、これにより楔形又は漏斗形糸鳩目が形成される。これらは明らかに90°を超える角度で曲がると好ましく、好ましい実施形態では110°〜150°の角度αが用いられる。ここで、フラップ19,20は糸の延びる方向又は経糸36の延びる方向と逆に向いてもよい。それぞれの場合に、図3bに示されるように、領域12の1つの平坦側面21から始まる糸ガイド面17,18が形成され、それぞれのフラップ19,20の露出した端部22,23までそれぞれ延びる。従って、測定すべき対応する長さはヘドルボディ3の厚さより大きい。この実施形態は、繊細だがそれほど磨耗しない材料からなる帯形経糸36により使用するのに特に適している。
【0030】
ここで、ヘドル1’及び以下に説明するヘドル1’が幅Bより小さい高さHを有する糸鳩目7を具備していることを指摘しておく。しかしながら、これらの実施形態のヘドル1’は例外なく幅Bより大きい高さHを有する糸鳩目7を具備してもよい。
【0031】
ヘドル1’の異なる実施形態が図4a,4bに示されている。この実施形態は、糸ガイド要素24,25を有する特別の特徴を備えている。これら要素は上部及び下部において糸鳩目7の縁を形成し、従って上側及び下側エッジを形成する。糸ガイド要素24,25は、例えばエッジ10,11に形成された対応する凹部26,27内に位置する円筒型ピンとして具体化される。これらの凹部はリング形である。糸ガイド要素24,25はヘドルボディ3の厚さより大きい直径を有すると好ましい。従って、糸ガイド要素24,25に具体化された糸ガイド面17,18の長さはヘドルボディ3の厚さより大きい。
【0032】
糸ガイド要素24,25は同一に具体化されると好ましく、図10aに示されるように、硬化鋼、合金、セラミック又は異なる耐磨耗性材料などの適切な材料で構成される。これらの要素は、ヘドルボディ3にはんだ付け、溶接又は接着される。糸ガイド要素24,25はさらにプラスチック材料からできてもよい。糸ガイド要素24,25のための材料の選択は糸鳩目7でガイドしなければならない経糸の種類に基づく。
【0033】
図5a,5bはヘドル1’の変形実施形態を示し、糸ガイド要素24,25は一部円筒形の、好ましくは半円断面を有する。この形状は糸ガイド要素24,25の位置決めと当該要素のヘドルボディ3への固定とをかなり簡単にする。他の点では、図4a,4bに従う実施例のための前記の説明は図5a,5bに従う実施形態に対応して当てはまる。
【0034】
図6a,6bはヘドル1’のまた別な変形実施形態を示す。この実施形態は基本的な円筒形状を有する糸ガイド要素24,25を有し、これら要素は糸鳩目7から離れた側面にヘドル3を収容するための溝をそれぞれ具備している。このようにして、糸ガイド要素24,25はヘドルボディ3に容易に固定して取り付けられる。ここで、接着、はんだ付け又は溶接により実現される材料−材料結合が好ましい。他の点では、前記の説明が当てはまる。
【0035】
図7a,7bは本発明に従うヘドル1’の異なる実施形態を示す。このヘドルのためのヘドルボディ3の特別な特徴は、それが平坦側面28に、糸鳩目7の上側エッジ10と下側エッジ11に重なる平坦なロッドの形状の糸ガイド要素24,25を具備している点である。従って、糸ガイド要素24,25の丸みを帯びたエッジにより形成された糸ガイド面17,18は糸鳩目7の間隙高さHの範囲を定める。
【0036】
図8a,8bに示されるように、対応する糸ガイド要素24a,25b,25a,25bがヘドルボディ3の両方の平坦側面21,28に取り付けられ、それにより部分面17a,17b,18a,18bにそれぞれ分割された糸ガイド面17,18が創出される。これらの糸ガイド面17,18の全幅はヘドルボディ3の厚さより大きい。ここで、この全幅は、部分面17a,17b及び/又は18a,18bの間のそれぞれの間隔を含む、個々の部分面17a,17b,18a,18bの幅であると理解されたい。
【0037】
図示されるように、図7a,7bに従う実施例の糸ガイド要素24,25並びに図8a,8bに示された実施形態のそれらは別個の要素として、又はそれに代えて平坦側面21及び/又は28にぴったりフィットするフレームの部分として具体化されてもよい。その場合のフレームは糸鳩目7の幾何学形状を決定する。しかしながら、別個の連結していない糸ガイド要素24,25を有する実施形態が好ましい。糸鳩目7の両側にあるウェブはフレキシブル又は弾性を有し、接着、はんだ付け又は溶接される要素は例えば障害物にならないし、セラミックの糸ガイド要素の破壊も引き起こさない。他方で、フレームタイプの糸ガイド要素を用いた解決法により、ヘドルボディ3の糸鳩目の領域が強化される。
【0038】
図9a,9bは異なる実施形態を示し、これは図8a,8bに示されたヘドルに基づいており、糸ガイド要素24a,24b,25a,25bの形状が前記実施形態と異なる。この場合、糸ガイド要素24a,24b,25a,25bは、図10aに示されるように円筒形ピンとして具体化される。これらは平坦側面21,28に取り付けられ、エッジ10,11の上に延びる。帯形経糸は、エッジ10,11に接触せずに糸ガイド要素24a,24b,25a,25bの上に延びる。
【0039】
前記の実施形態の糸ガイド要素24,25は端に緩衝要素29,30を備えた円筒形ピンとしても具体化される。ここで、これらの緩衝要素29,30は、例えばピンの円筒形中央部分の直径D0より大きい直径D1,D2を有するディスク形部分である。緩衝要素29,30は、平坦側面21,28の一方にヘドルボディ3を取り付け易くするように設計された平らな領域を一方の側面に具備する。
【0040】
図11は、前記の全ての実施形態に適するヘドル1のための端鳩目5の別な実施形態を示す。端鳩目5はヘドル保持レール2を取り囲むようにデザインされた突出部31,32を有し、これによりヘドル1がヘドル保持レール2に固定される。本実施形態のために、突出部31,32は、開口33を穿孔する際に型打ちされた角のある突片として具体化される。よって、突片はこの開口33から曲がり、端では互いに向かって角度が付けられており、突片はヘドル保持レール2の上に延びるフックを形成する。このタイプの実施形態は、ヘドルボディ3がヘドル保持レール2にぴったりフィットし、従って回転できないという利点を有する。ヘドル保持レール2を収容するための開口34はヘドル保持レール2に対してかなりの縦の遊びを有するが、他の点では僅かな遊びしか有しない。この開口は突出部31,32により定められる。
【0041】
図11に示される端鳩目5の実施形態は、例えば、上側突出部31が図12に概略的に示されるようにヘドルボディ3の対応して曲がった端部31’で取り替えられることにより、変更できる。また、突出部32は図12に従って、垂直に指向したエッジ35においてヘドルボディ3に連結した嵌合又は溶接されたシートメタル部分32’と取り替えられてもよい。シートメタル部分32’はヘドルボディ3のエッジ部分の上に曲がって形成されても、そこに別個に取り付けられてもよい。
【0042】
平らな帯形経糸36のためのヘドル1は、好ましくはその高さより大きい幅を有する糸鳩目7を具備する。このタイプの糸鳩目7は帯形経糸36の変形、特に杼口形成の際に側面が共に押されることを防ぐ。さらに、本発明に従うヘドル1は、長さが経糸37の延びる方向に対してヘドルボディ3の厚さより大きい糸ガイド面17,18を具備すると好ましい。この手段の結果、ヘドル1と経糸36の磨耗を減らすことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】ヘドルを有した織シャフトの詳細な斜視図である。
【図2】糸鳩目の詳細な斜視図を示す図1に従うヘドルの図である。
【図3】ヘドルの糸鳩目の変形実施形態であり、ヘドルの型打ちを上から見た図(図3a)と糸鳩目の完成後の縦断面図(図3b)である。
【図4】糸ガイド面を決定する要素を備えた糸鳩目の変形実施形態であり、上からの図(図4a)と縦断面図(図4b)である。
【図5】糸ガイド面を決定する要素を備えた糸鳩目の異なる実施形態であり、上からの図(図5a)と縦断面図(図5b)である。
【図6】糸ガイド面を決定するための確動係合した保持要素を備えた糸鳩目であり、上からの図(図6a)と縦断面図(図6b)である。
【図7】薄片として形成された糸ガイド面を形成するための要素を備えたヘドルの糸鳩目の変形実施形態であり、上からの図(図7a)と縦断面図(図7b)である。
【図8】幅広の糸保持面を備えたヘドルの実施形態であり、上からの図(図8a)と縦断面図(図8b)である。
【図9】糸鳩目に丸い糸ガイド要素を備えたヘドルの変形実施形態であり、上からの図(図9a)と縦断面図(図9b)である。
【図10a】図4a,図4b又は図9a,図9bに従うヘドルのための糸ガイド要素である。
【図10b】図4a,図4b又は図9a,図9bに従うヘドルのための糸ガイド要素である。
【図11】斜視図で示された、ヘドルボディが回転しない、端鳩目の変形実施形態を有する図1に従うヘドルである。
【図12】端鳩目の変形実施形態の概略図である。
【符号の説明】
【0044】
1 ヘドル
2,2’ ヘドル保持レール
3 基体
4 縦方向
5,6 端鳩目
7 糸鳩目
8,9,10,11 エッジ
12 領域
13,14 位置、回転位置
15,16 ウェブ
17,18 糸ガイド面
17a,17b,18a,18b 部分面
19,20 フラップ
21 平坦側面
22,23 端部
24,25,24a,24b,25a,25b 糸ガイド要素
26,27 凹部
28 平坦側面
29,30 端部の緩衝要素
31,32 突出部
31’ 端部
32’ シートメタル要素
33 開口
34 収容開口
35 エッジ
B 幅
H 高さ
D0,D1,D2 直径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯形経糸(36)のためのヘドル(1)であって、
少なくとも一方の端部に、ヘドル保持レール(2,2’)上に位置決めするための端鳩目(5,6)を具備した縦方向(4)に延びるヘドルボディ(3)と、
縦方向(4)と交差する方向、ヘドル保持レール(2,2’)と平行な方向に測定される幅(B)が縦方向(4)に測定される高さ(H)より大きい、ヘドルボディ(3)に設けられた糸鳩目(7)とを有することを特徴とするヘドル。
【請求項2】
帯形経糸(36)のためのヘドル(1)であって、
少なくとも一方の端部に、ヘドル保持レール(2,2’)上に位置決めするための端鳩目(5,6)を具備した縦方向(4)に延びるヘドルボディ(3)と、
上側エッジ(10)及び下側エッジ(11)を有する、ヘドルボディ(3)に設けられた糸鳩目(7)とを有し、
これらエッジは縦方向(4)に間隔を置いて位置し、
上側エッジ(10)と下側エッジ(11)が、糸入口側面及び/又は糸出口側面において丸みを帯びて具体化された糸ガイド面(17,18)を形成し、経糸(36)の移動方向に延びる糸ガイド面の長さが、糸鳩目(7)におけるヘドルボディ(3)の同じ方向に測定される厚さより大きいことを特徴とするヘドル。
【請求項3】
糸鳩目(7)が1つの平面内で開口方向を決定し、ヘドルボディ(3)の縦方向(4)と糸鳩目(7)を通って動く経糸(36)とにより定められることを特徴とする請求項1又は2に記載のヘドル。
【請求項4】
ヘドルボディ(3)がバンド形材料から成り、少なくともその糸鳩目(7)において、経糸(36)の横方向に指向していることを特徴とする請求項1又は2に記載のヘドル。
【請求項5】
ヘドルボディ(3)が端鳩目(5,6)と糸鳩目(7)の間で捩じれていることを特徴とする請求項4に記載のヘドル。
【請求項6】
端鳩目(5,6)がヘドルボディ(3)に連結した別個の要素であるか、ヘドルボディ(3)と一体の部材として形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のヘドル。
【請求項7】
ヘドルボディ(3)が、端鳩目(5,6)においてヘドル保持レール(2,2’)と平行に延びる平坦な材料で構成され、またヘドルボディ(3)に取り付けられた、平坦側面(21,28)の上に突出する突出部(31,32)によりそこに保持されることを特徴とする請求項1又は2に記載のヘドル。
【請求項8】
糸鳩目(7)から曲がったフラップ(19,20)が糸ガイド面(17,18)を形成することを特徴とする請求項2に記載のヘドル。
【請求項9】
糸ガイド面(17,18)が、ヘドルボディ(3)に連結した糸ガイド要素(24,25)上に形成されることを特徴とする請求項2に記載のヘドル。
【請求項10】
少なくとも1つの糸ガイド面(17,18)が、糸ガイド要素(24a,24b;25a,25b)の1つにそれぞれ具体化された2つの部分面(17a,17b;18a,18b)に分かれていることを特徴とする請求項9に記載のヘドル。
【請求項11】
糸ガイド要素(24,25)が、プラスチック、硬質合金又はセラミック材料から構成されることを特徴とする請求項9に記載のヘドル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10a】
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【図10b】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−154405(P2007−154405A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−328234(P2006−328234)
【出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【出願人】(598132646)グロツ・ベッケルト コマンディートゲゼルシャフト (77)