説明

帯板材の接合構造

【課題】表面が面一に揃った帯板材を容易迅速に接合し、振動や衝撃により接合の緩みや外れを生じない。
【解決手段】複数の帯板材を並べて接合する帯板材の接合構造であって、上記複数の帯板材1、1の側端裏側に設けて突き合わせる一方と他方の突縁2と3は、一方の内面には凹部7を、他方の内面には上記凹部7へ係合する凸部11を形成され、また、両方の外側には上記挟持溝材の両方の側壁に対応する凹部8、9と12、13を形成されていて、上記挟持溝材4は、開口側が広がるコ字形とすることで、合わせた一方と他方の突縁2と3へ冠着して、側壁4a、4bの一方または両方をかしめると両側壁の内面に設けた凸部が上記突縁の凹部へ係合するように形成されていること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合する複数の帯板材を各々の側端裏側に設けた突縁を突き合わせて並べ、合わせた突縁へ挟持溝材を冠着して、この挟持溝材の側壁をかしめることで帯板材の接合を行う帯板材の接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、標識板や掲示板のような表面が平坦な大型の板状体は、大型の一枚板かあるいは小さな板材を接合した複合板によって構成されている。一枚板の場合、表面に凹凸がなくて、その上に印刷フィルム等を貼着しても一体の連続面であるから仕上がりが綺麗である。その反面、一枚板の強度は板厚によって確保される場合が多いから、高強度の板状体は単価が高くなる。これに対し、複合板の場合は、単価が廉価であるほか、強度も板厚ではなくリブ出しによって確保することができるから、全体としてのコストも低く抑えることができる。その反面、複合板は複数の板材を接合した構成であるから、隣り合う板材間に凹凸が出やすく、印刷物を貼ると、板材の境界に凹凸が生じ、印刷物自体が美しくても、その美しさが損なわれてしまうという問題がある。
【0003】
ところが、複合板には、上記欠点があるものの、コストが安く、大型の設備は不要であり、全体の大きさを自由に調整できる、アルミニウムであればアルマイト処理は形材の方が板材よりも経済的である等の利点があるという理由から、表面が平坦な大型の板材を形成するには、凹凸の少ない板状体の複合板が望まれている。
【0004】
従来、帯板材を接合する構造として、帯板材の一側端に略逆J形状をなす下はぜ部を形成し、他側端には前記したはぜの先端に略V形状をなす係止折曲片を付設した上はぜ部を形成して、両はぜ部を重ねて潰すことで帯板材を接合するものは、例えば特許文献1により知られており、また、接合する帯板材の一側端に第1の嵌合片を設け、他側端に第1の嵌合片を抱え込む第2の嵌合片を設けて、これら嵌合片を嵌合させた後、両社の当接部に設けた孔にねじを締めこんで、帯板材同士を密着させるようにするものは、例えば特許文献2により知られている。
【特許文献1】特開平3−221655号
【特許文献2】実公平7−17846号
【0005】
しかしながら、上記はぜ潰し継ぎによるものは、接合の際に帯板材の表面を揃えることができないため、表面に不可避的に段差を生ずるものであって、帯板材の接合表面が一枚板のように面一であることが要求される掲示パネル等の接合には使用できないものであり、また、第1、第2の嵌合体を嵌合して、ねじの締め込みで圧着するものは、ネジの締め込みに手数が掛る上に、十分な圧着力を得ることが困難であって、しかも、振動や衝撃によりねじの緩みが起こると接合部に隙間を生じ易い問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題点を解消し、表面が面一に揃った帯板材の強力な接合を容易かつ迅速に行うことができて、振動や衝撃により接合の緩みや外れを生ずることもない帯板材の接合構造を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、接合する複数の帯板材を各々の側端裏側に設けた突縁を突き合わせて並べ、合わせた突縁へ挟持溝材を冠着して、この挟持溝材の側壁をかしめることで帯板材の接合を行う帯板材の接合構造であって、上記複数の帯板材の側端裏側に設けて突き合わせる一方と他方の突縁は、一方の内面には凹部、他方の内面には上記凹部へ係合する凸部を形成され、また、両方の外側には上記挟持溝材の両方の側壁に対応する凹部を形成されていて、上記挟持溝材は、開口側が広がるコ字形とすることで、合わせた一方と他方の突縁へ冠着して、側壁の一方または両方をかしめると両側壁の内面に設けた凸部が上記突縁の凹部へ係合するように形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、接合する複数の帯板材を各々の側端裏側に設けた突縁の間へ中間体を挟むように並べ、中間体を挟む突縁へ挟持溝材を冠着して、この挟持溝材の側壁をかしめることで帯板材の接合を行う帯板材の接合構造であって、上記複数の帯板材の側端裏側に設けて中間体を挟ませる一方と他方の突縁は、中間体の両側に対応する両内面にそれぞれ凹部を形成され、挟持溝材の両側壁に対応する外側面に凹部を形成されていて、上記挟持溝材は、開口側が広がるコ字形として中央部に対抗する突縁に挟まれる中間体を設けることで、この中間体を一方と他方の突縁に挟ませて挟持溝材を突縁に冠着し、挟持溝材の側壁の一方または両方をかしめると、両側壁の内面に設けた凸部が上記突縁の凹部へ係合するように形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、上記挟持溝材の開口側が広がるコ字形を、挟持溝材の両方の側壁を先開きにして形成してあることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、上記挟持溝材の開口側が広がるコ字形を、挟持溝材の一方の側壁を先開きに傾かせ、他方の側壁を真っ直ぐに伸ばして形成し、かつ、真っ直に伸びる側壁は先端の外側に帯板材の裏側に設けた係止溝へ係合させる突起を形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、開口側が広がるコ字形に形成されている挟持溝材の底壁の外側に取付部材が付設されていることを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、上記帯板材の裏側へ斜面と段落部を有するかしめの戻り止めが
、一方と他方の突縁へ挟持溝材を冠着して側壁をかしめたとき、かしめた側壁の背面へ段落部が係合するように取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、接合する複数の帯板材を各々の側端裏側に設けた突縁を突き合わせて並べ、合せた突縁へ挟持溝材を冠着して、この挟持溝材の側壁をかしめると容易かつ迅速に帯板材を接合することができる。このように、挟持溝材のかしめによって合せた突縁を挟持させると隣り合う帯板材同士が密着して、しかも、突き合わされた突縁は一方に設けた凹凸部と他方に設けた凸凹部が嵌まり合って、両方の帯板材を正しく位置決めするので、一方と他方の帯板材の表面が面一に保持される。また、挟持溝材の両側壁の内側に形成される凸部は、側壁のかしめにより突縁の外側に形成される凹部へ係合し、挟持溝材が位置ずれや離脱を生じないようにして強力で安定した接合を保持する。従って、この接合構造で平面の帯板材を接合すれば、一枚板のような表面状態のボードを製作することができ、L形、円弧形、その他の帯板材を接合すれば、四角形や多角形、円形、楕円形等の筒体を製作することができて、これら製作品の大きさは帯板材の使用数を変えることで任意に変更することができる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、接合する複数の帯板材を各々の側端裏側に設けた突縁が挟持溝材に設けた中間体を挟むように並べて、中間体を挟んでいる両突縁へ挟持溝材を冠着し、この挟持溝材の側壁をかしめると容易かつ迅速に帯板材を接合することができる。このように、挟持溝材のかしめによって中間体を挟む突縁を挟持させると隣り合う帯板材同士が密着して、しかも、突き合わされた突縁に設けられる凹部へは中間体が嵌まり合って、両方の帯板材を正しく位置決めするので、一方と他方の帯板材の表面は密着して面一となる。また、挟持溝材の両側壁の内側に形成される凸部は、側壁のかしめにより突縁の外側に形成される凹部へ係合して、挟持溝材が位置ずれや離脱を生じないようにして強力で安定した接合を確保する。従って、この接合構造によって平面の帯板材を接合すれば、一枚板のような表面状態のボードを製作することができ、L形、円弧形、その他の帯板材を接合すれば、四角形や多角形、円形、楕円形等の筒体を製作することができて、これら製作品の大きさは帯板材の使用数を変えることで任意に変更することができる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、挟持溝材を両方の側壁を先開きとすることで開口側が広がるコ字形にしてあるから、挟持溝材の開口寸法が大きくなって両側には傾斜する案内面ができるので、2つが突き合わされたり、中間体を挟んだりしている突縁へ挟持溝材を冠着する操作を容易に確実に行なえる。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、挟持溝材を側壁の一方が先開きで、他方は真っ直ぐに伸び出すものとすることで開口側が広がるコ字形にしてあるから、開口寸法は狭くなって合わせた突縁への冠着は多少しにくくなるが、真っ直ぐな側壁の下端に設けた突起凸部が帯板材の裏側に設けた係止溝へ係合して、側壁のかしめを行うと側壁の凸部と突縁の凹部の圧嵌と突起凸部の係止溝への係合で強固で安定した接合が行なわれる。
【0017】
請求項5に係る発明によれば、挟持溝材の底壁の外側に取付部材が付設されているため、この取付部材で接合された帯板材を支持体へ取り付ければ、別の取付部材を用いて支持体へ取り付ける場合に比べて、経済的で作業性がよい。
【0018】
請求項6に係る発明によれば、斜面と段落部を有するかし目の戻り止めを帯板材の裏側へ取り付けてあるため、挟持溝材の側壁のかしめは斜面の作用で支障なく行われるが、かしめを終われば、その瞬間に側壁の背面へ段落部が係合して側壁を固定するから、かしめの戻りによって接合の緩みやずれ、外れ等を生ずることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に本発明に係る帯板材の接合構造の実施形態を図面について説明する。
【0020】
図1において符号A−1は、請求項1に係る発明を実施した第1例の帯板材の接合構造を示す。この帯板材の接合構造A−1は、接合する複数の帯板材1、1を各々の側端裏側に設けた突縁2と3を突き合わせて並べ、合わせた突縁2と3へ挟持溝材4を冠着して、この挟持溝材4の側壁4a、4bをかしめることで帯板材1、1の接合を行わせるものである。
【0021】
上記帯板材1は、これを接合して構成する製品によって、図3に示す平板形、図4に示すL形、図5に示す円弧形、その他の製品に適する形状を選定して、通常は両側端の裏側へ突縁2と3が突合せに適した角度で突出するようにアルミニウム等を押出し成形した形材を用いる。なお、帯板材1は接合して製作する製品によっては、端末に位置する帯板材は一方の突縁を必要としない場合があるので、これに応じた帯板材は片側だけに突縁を設ける。
【0022】
また、帯板材1は平板形の場合、大型になると裏側の巾方向の中央部に図3鎖線で示す通りの鉤型をなす1対のリブ5、5を対向して形成する。こうすると、帯板材1が補強されるため板厚をなるべく薄くして必要強度が得られるようにできる。また、上記鉤型をなす対向リブ5、5は、接合した帯板材1を支持体(図示せず)へ取り付ける部材としても利用できる。
【0023】
上記帯板材1の側端の裏側に設ける一方の突縁2は、接合の際に突き合わせる面(以後内側面と呼ぶ)の表面側と中央部に2つの凹部6と7を形成され、反対の面(以後外側面と呼ぶ)の裏面近くと中央部に2つの凹部8と9を形成されており、また、他方の突縁3は内側面に上記凹部6と7に係合する2つの凸部10と11を形成され、外側面の中央部には凹部12と13を突縁2の凹部8と9と同様に形成されている。
【0024】
上記挟持溝材4は、両側壁4a、4bと底壁4cとで開口側が広がるコ字形をなすようにアルミニウム等を押出し成形した型材であって、両方の側壁4a、4bを同様に先開きにすることでてハの字形をなすようにしてある。そして、一方の側壁4aは内側面に突縁2に形成した凹部8と9に係合する凸部14と15を形成され、底壁4cとの境部にはかしめの際に側壁4aが曲る位置を定める切込16を形成される。また、他方の側壁4bは内側面に突縁3に成した凹部12と13に係合する凸部17と18を形成され、底壁4cとの境部にはかしめの際に側壁4bが曲る位置を定める切込19を形成されている。
【0025】
更に、挟持溝材4における底壁4cの内側面には、挟持溝材4を突き合わせた突縁2と突縁3へ冠着したとき、突縁2と3の先端部を挟み入れて突縁の対応面が合わされるように案内する突起20を設けることが好ましいが、この突起20はなくても接合には影響しないので省略してもよい。
【0026】
図1、図2(a)(b)において符号21は、挟持溝材4の側壁4a、4bをかしめたとき、かしめの戻りを防止する戻り止めを示す。この戻り止め21は、段落部21aと斜面21bとを有して、挟持溝材4の側壁4a、4bをかしめたとき、その背面へ段落部21aが係合するように帯板材1の裏側へ付設される。このため、側壁4a、4bのかしめはその下端が斜面21bを滑ることで支障なく行われ、かしめを終ると下端が斜面21bを越えた瞬間に段落部21aが側壁4a、4bの斜面へ係合して戻り止めを行なう。
【0027】
上記構成の帯板材の接合構造A−1による帯板材の接合は、図2(a)に示す通り接合する一方の帯板材1の突縁2と、他方の帯板材1の突縁3とを対応させて、一方の突縁2に設けた凹部6と7へ、他方の突縁3に設けた凸部10と11を係合させて、両突縁2と3を図2(b)に示す通り突き合わせる。そして、突き合わせた突縁2と3へ両側壁4aと4bが先開きになっている挟持溝材4を図2(b)に示す通り冠着すると、底壁4cに設けた凸部20が突縁の上端に係合して挟持溝材4と突縁2、3を位置合わせする。そこで、挟持溝材4の先開きになっている両側壁4aと4bを図1に示す通り突縁2と3へかしめ付けると、側壁4aに設けた凸部14と15が突縁2の外側に設けた凹部8と9へ、側壁4bに設けた凸部17と18が突縁3の外側に設けた凹部12と13へ、また、突縁2の内側に設けた凹部6と7へ突縁3の内側に設けた凸部10と11がそれぞれ加圧係合されると戻り止め21が側壁4aと4bへ係合してかしめの戻りを阻止する。従って、帯板材1、1は端縁を密着されるともに、相互の表面をも揃えられて面一になって、この状態をかしめによる挟持力と各凹部及び凸部の係合によって持続され、接合の緩みやずれや外れ等を生ずることがない。
【0028】
図6(c)において符号A−2は、請求項1に係る発明を実施した第2例の帯板材の接合構造を示す。この帯板材の接合構造A−2は、基本的な構成は第1例の帯板材の接合構造A−1と同じである。しかし、帯板材の接合構造A−1においては、挟持溝材4の両方の側壁4aと4bを先開きにして、両者を閉じさせるように変形させてかしめを行うが、帯板材の接合構造A−2は、挟持溝材4の一方の側壁4aだけを先開きにして、他方の側壁4bは真っ直ぐ伸び出させ、かしめによって変形しないようにした点で構成が相違している。
【0029】
この帯板材の接合構造A−2は、挟持溝材4における側壁4a側の半分は帯板材の接合構造A−1と同一構造である。しかし、側壁4b側の半分は、側壁4bが真っ直ぐに伸び出して変形しないため構造が相違している。即ち、挟持溝材4の変形しない側壁4bに対応する突縁3はその外側に大きい一つの凹部22を形成され、側壁4bの内側に上記凹部22へ係合する1つの凸部23が形成されている。
【0030】
また、挟持溝材4の側壁4bは、先端の外側に突起24を形成し、この突起24を帯板材1の裏側に形成される係止溝25へ係合させることで、側壁4bがかしめによる凸部23と突縁3の凹部22との係合に加えて、係止溝25による突起24の係止を行われるため、挟持溝材4の固定が一層強力確実になる。
【0031】
上記構成の帯板材の接合構造A−2による帯板材の接合は、図6(a)に示す通り接合する一方の帯板材1の突縁2と、他方の帯板材1の突縁3とを対応させて、一方の突縁2に設けた凹部6と7へ、他方の突縁3に設けた凸部10と11を係合させて、両突縁2と3を図6(b)に示す通り突き合わせる。そして、挟持溝材4を図6(b)に一部分を鎖線で示すように傾けて、真っ直ぐに伸び出す側壁4bの先端に設けた突起24を帯板材の裏側に形成した係止溝25へ係合させ、挟持溝材4を底壁4cが水平になるように倒すと挟持溝材4が突き合わされた突縁2と3に図6(b)に示す通り冠着される。そこで、先開きになっている側壁4aと真っ直ぐで突縁3に当接している側壁4bとを挟圧してかしめを行うと、側壁4aに設けた凸部14と15が突縁2に設けた凹部8と9へ、側壁4bに設けた凸部23が突縁3に設けた凹部22へ係合し、突縁2に設けた凹部6と7へ突縁3に設けた凸部10と11が係合すると、かしめの戻り止め21が側壁4aに係合して側壁4aを固定する。従って、帯板材1、1は強い挟圧力を加えられて端縁を密着されるともに、相互の表面をも揃えられて面一になり、この状態をかしめによる挟持力と凹部と凸部の係合によって持続されて接合の緩みやずれや外れ等を生ずることがない。
【0032】
図7(c)において符号A−3は、請求項2に係る発明を実施した第1例の帯板材の接合構造を示す。この帯板材の接合構造A−3は、接合に帯板材1、1の側端裏側に設けた突縁2、3と、これら突縁2、3に冠着して側壁4a、4bをかしめ挟持溝材4を用いる点は請求項1に係る発明と同一である。しかし、帯板材1、1の側端裏側に設けた突縁2と突縁3を直接突き合わせることなく、中間体を挟ませて挟持溝材4の冠着と側壁4a、4bのかしめを行う点で請求項1に係る発明と相違するので、同一の部材については同一の符号を付すことで説明を省略して、異なる構造について以下に説明する。
【0033】
一方の帯板材1の側端裏側に設けた突縁2と、他方の帯板材1の側端裏側に設けた突縁3は、対応する内側に帯板材1の裏面側は浅く表面側が深くなる三角形の凹部26と27を形成され、外側には挟持溝材4における両側壁4a、4bの内面の先端に設けた凸部28と29を係合させる凹部30と31を形成し、これら凹部30と31の外側には帯板材1と1の裏側に付設されたかしめ戻り止め21が位置するものであって、両突縁2と3は対称形をなしていて高さが低く、これに合わせて挟持溝材4も高さが低く形成されるため接合構造全体が小型になっている。
【0034】
上記突縁2と3との間に挟む中間体32は、挟持溝材4の底壁4cの内面の中央部から垂下するよう付設されていて、突縁2に設けた凹部26と突縁3に設けた凹部27が合わさって形成するフラスコ形の空間に合う外形に形成され、この中間体32を突縁2と3に挟ませると、中間体32と凹部26と27との係合によって突縁2と3が位置ずれしないように確実に接合されて帯板材1、1の表面は面一となる。
【0035】
上記構成の帯板材の接合構造A−3による帯板材の接合は、図7(a)に示す通り接合する一方の帯板材1の突縁2と、他方の帯板材1の突縁3とを対応させて、両者の間へ上側から挟持溝材4の底壁4cに付設される中間体32を収まらせてから、突縁2と突縁3を接近させて凹部26と27で中間体32を図7(b)に示す通りに挟ませて、挟持溝材4の先開きになっている両側壁4aと4bを図7(c)に示す通り突縁2と3へかしめ付ける。すると、側壁4aと4bに設けた凸部28と29が突縁2と3に設けた凹部30と31へ、また、突縁2と3に設けた凹部26と27が中間体32へ圧着係合されると、戻り止め21が側壁4aと4bの戻りを阻止する。従って、帯板材1と1は端縁を密着されるともに、相互の表面をも揃えられて面一になって、この状態をかしめによる挟持力と凹部と中間体、凹部と凸部の係合によって持続され、接合の緩みやずれ、外れ等を生ずることがない。
【0036】
図8(a)(b)において符号A−4は、請求項2に係る発明を実施した第2例の帯板材の接合構造を示す。この帯板材の接合構造A−4は、上記帯板材の接合構造A−3においては、中間体32を挟む突縁2と3が表面側で接触していて中間体32を隠していた構造を、突縁2と突縁3の間から中間体32を覗かせることで、接合部に中間体32によってアクセントを付けるように変化させたものであって、図8(a)では中間体32を帯板材1と1の表面と揃うように覗かせてあり、図8(b)では帯板材1と1の表面よりも少し引き込むように覗かせてあるもので、この中間体32を付設する挟持溝材4と帯板材1と1とをアルマイト処理や塗装などで異なる色に着色して、中間体32を際立たせるようにする。なお、この帯板材の接合構造A−4による帯板材1と1の接合は、帯板材の接合構造A−3と同様に行われるのでこの説明を援用して説明は省略する。
【0037】
図9において符号A−5は、請求項2に係る発明を実施した第3例の帯板材の接合構造を示す。この帯板材の接合構造A−5は、2つの挟持溝材4が底壁4cを共有するように反対向きに組み合わされた形状に構成されているので、反対に向く2組の側壁4a、4bによって同時に2組の帯板材1と1を接合して空間を有する複層の複合板を簡単に製作することができる。
【0038】
この帯板材の接合構造A−5による2組の帯板材1、1の接合は、挟持溝材4を中央に置いて、先開きの2組の側壁4aと4bの間へ両側から帯板材1と1の側端裏側に設けた突縁2と3をそれぞれ挿嵌し、挟持溝材4の2組の側壁4aと4bに跨ってかしめ手段を掛け、この手段によって先開きの2組の側壁4aと4bをかしめれば、挟持溝材4を挟んでその両側に帯板材接合1と1が接合された複層の中空複合板が形成される。
【0039】
図10(c)において符号A−6は、請求項2に係る発明を実施した第4例の帯板材の接合構造を示す。この帯板材の接合構造A−6は、中間体32の形状を帯板材の接合構造A−3のフラスコ形に変えて十字架形としたものであって、中間体32と突縁2、3との関係が相違するだけで、他の構造は帯板材の接合構造A−1と同様であるから、以下に相違する点のみに付いて説明し、同一部分については帯板材の接合構造A−1と同一の符号を付して説明を省略する。
【0040】
帯板材の接合構造A−6では、一方の帯板材1の側端裏側に設けた突縁2と、他方の帯板材1の側端裏側に設けた突縁3は、対応する内側面の中央部に台形をなす凹部26と27を形成され、中間体32は挟持溝材4の底壁4cの内面の中央部から垂下して中央付近の両側に台形をなす凸部32aと32bを有して十字架形をなすように形成される。そして、中間体32に設けた凸部32aと32bと突縁2及び3に設けた凹部26と27は、挟持溝材4の側壁4aと4bをかしめると、凸部32aと32bが凹部26と27へ入り込んでもその先端は凹部26と27の底部へ当らずに離隔していて凸部と凹部の側面密着が確実に行われるようにする。
【0041】
この帯板材の接合構造A−6による帯板材1、1の接合は、上記した帯板材の接合構造A−3による帯板材1、1の接合と同様に行われるので、この部分の説明を援用して説明は省略する。
【0042】
本発明に係る帯板材の接合構造A−1〜A−6は、挟持溝材4の外側に取付部材を付設して置けば、接合構造本来の帯板材を接合する機能に加えて、接合した帯板材を支持体へ取り付ける機能も有することになって有効である。そこで、以下にこの取付部材を接合構造A−3とA−6の挟持溝材4に付設した例を図11、図12、図13に付いて説明する。
【0043】
図11は、帯板材の接合構造A−3に用いた挟持溝材4の底壁4cの中央部の外側に一部が上方へ開口する円孔33を有する取付部材34を長手方向へ形成したものであり、上記円孔33はタッピングビスやボルト35の捻じ込みに適しているので、例えば、図11に示す通り接合構造A−3の端末へ化粧板36を添えて、この化粧板36にタッピングビス35を通して円孔33へ締め込むこと、化粧板36にビス35を使うだけで接合構造の端末へ簡単に取り付けることができる。
【0044】
図12は、帯板材の接合構造A−3に用いる挟持溝材4の底壁4cの外側に底壁4cとでC形を形成する取付部材37を長手方向に設けたものである。この取付部材37はC形をなすため、開口38へ図12に示す通りボルト39の頭を支持させて、このボルト39を支持体40にあけた孔41へ通し、支持体の裏側へ出る部分へナット42を締め込めば、ボルト39を使うだけで帯板材を接合して形成した複合板製品を支持体40へ簡単に取り付けることができる。
【0045】
図13は、帯板材の接合構造A−4に用いる挟持溝材4の底壁4cの中央部に脚43付きのC形取付部材44を長手方向に付設したものである。この取付部材44は脚43によって挟持溝材4とは離隔しているため、開口45へ図13に示す通り座板46を介してボルト39を支持させ、このボルト39を支持体40にあけた孔41へ通して、支持体40の裏側へ出る部分にナット42を締め込めば、ボルト39を使うだけで帯板材を接合して形成した複合板製品を取付部材44によって支持体40から必要な距離だけ離隔するように取り付けることも簡単にできる。
【0046】
次に、本発明に係る帯板材の接合構造A−3による帯板材の接合で製作された製品例を図14、図15、図16について説明する。図14に示す複合板状製品47は、図7に示す平面帯板材1を接合構造A−3で接合することで製作したものであって、各帯板材1の側縁が密着して表面は面一になるため外観がよく、裏側には接合構造が一定した間隔で存在して補強作用を行うので軽量、安価で高い強度を有する。
【0047】
図15に示す複合板角筒製品48は、L形帯板材1を接合構造A−3で接合することで製作したものであって、各帯板材1の側縁が密着して内表面は面一になるため外観がよく、外側には接合構造が一定した間隔で存在して補強作用を行うので軽量、安価で高い強度を有する。
【0048】
図16に示す複合板円筒製品49は、円弧形帯板材1を接合構造A−3で接合することで製作したものであって、各帯板材1の側縁が密着して内表面は面一になるため外観がよく、外側には接合構造が一定した間隔で存在して補強作用を行うので軽量、安価で高い強度を有する。
【0049】
上記製品例は帯板材の接合構造A−3を使用した場合に付いて説明したが、他の帯板材の接合構造A−1〜A−6を用いても同様の製品が得られることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明に係る帯板材の接合構造は、平面、L形、円弧形、その他、各種の帯板材を一枚板のように接合して、平面、筒形、その他各種形状の複合板製品を製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】帯板材の接合構造の第1例で帯板材の接合を完了した説明図。
【図2】(a)(b)は、同上による帯板材の接合過程を示す説明図。
【図3】帯板材の接合構造で接合する平面帯板材の斜視図。
【図4】帯板材の接合構造で接合するL形帯板材の斜視図。
【図5】帯板材の接合構造で接合する円弧形帯板材の斜視図。
【図6】(a)(b)(c)は、帯板材の接合構造の第2例で帯板材を接合する過程と接合完了を示す説明図。
【図7】(a)(b)(c)は、帯板材の接合構造の第3例で帯板材を接合する過程と接合完了を示す説明図。
【図8】(a)(b)は、帯板材の接合構造の第4例で帯板材の接合を完了した説明図。
【図9】帯板材の接合構造の第5例で帯板材の接合を完了した説明図。
【図10】(a)(b)(c)は、帯板材の接合構造の第6例で帯板材を接合する過程と接合完了を示す説明図。
【図11】帯板材の接合構造に付設した取付部材で化粧板を取り付けた説明図。
【図12】帯板材の接合構造に付設した取付部材で接合した帯板材を支持体へ取り付けた説明図。
【図13】帯板材の接合構造に付設した取付部材で接合した帯板材を接合部から離隔させて支持体へ取り付けた説明図。
【図14】帯板材の接合構造で帯板材を接合して製作した複合平面板の説明図。
【図15】帯板材の接合構造で帯板材を接合して製作した複合板角筒の説明図。
【図16】帯板材の接合構造で帯板材を接合して製作した複合板円筒の説明図。
【符号の説明】
【0052】
A−1 帯板材の接合構造
1と1 接合する帯板材
2と3 突縁
4 挟持溝材
4aと4b 側壁
7、8、9、12、13 凹部
11、14、15、17、18 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合する複数の帯板材を各々の側端裏側に設けた突縁を突き合わせて並べ、合わせた突縁へ挟持溝材を冠着して、この挟持溝材の側壁をかしめることで帯板材の接合を行う帯板材の接合構造であって、
上記複数の帯板材の側端裏側に設けて突き合わせる一方と他方の突縁は、一方の内面には凹部、他方の内面には上記凹部へ係合する凸部を形成され、また、両方の外側には上記挟持溝材の両方の側壁に対応する凹部を形成されていて、
上記挟持溝材は、開口側が広がるコ字形とすることで、合わせた一方と他方の突縁へ冠着して、側壁の一方または両方をかしめると両側壁の内面に設けた凸部が上記突縁の凹部へ係合するように形成されている
ことを特徴とする帯板材の接合構造。
【請求項2】
接合する複数の帯板材を各々の側端裏側に設けた突縁の間へ中間体を挟むように並べ、合わせた突縁へ挟持溝材を冠着して、この挟持溝材の側壁をかしめることで帯板材の接合を行う帯板材の接合構造であって、
上記複数の帯板材の側端裏側に設けて中間体を挟ませる一方と他方の突縁は、中間体の両側に対応する内面にそれぞれ凹部を形成され、挟持溝材の両側壁に対応する両外側に凹部を形成されていて、
上記挟持溝材は、開口側が広がるコ字形として中央部には対向する突縁に挟まれる中間体を設けることで、この中間体を一方と他方の突縁に挟ませて突縁に挟持溝材を冠着し、挟持溝材の側壁の一方または両方をかしめると、両側壁の内面に設けた凸部が上記突縁の凹部へ係合するように形成されている
ことを特徴とする帯板材の接合構造。
【請求項3】
上記挟持溝材の開口側が広がるコ字形を、挟持溝材の両方の側壁を先開きにして形成してある
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の帯板材の接合構造。
【請求項4】
上記挟持溝材の開口側が広がるコ字形を、挟持溝材の一方の側壁を先開きに傾かせ、他方の側壁を真っ直ぐに伸ばして形成し、かつ、真っ直に伸びる側壁は先端の外側に帯板材の裏側に設けた係止溝へ係合させる突起を形成されている
ことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の帯板材の接合構造。
【請求項5】
開口側が広がるコ字形に形成されている挟持溝材の底壁の外側に取付部材が付設されている
ことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載の帯板材の接合構造。
【請求項6】
上記帯板材の裏側へ斜面と段落部を有するかしめの戻り止めが、一方と他方の突縁へ挟持溝材を冠着して側壁をかしめたとき、かしめた側壁の背面へ段落部が係合するように取り付けられている
ことを特徴する請求項1〜請求項5の何れかに記載の帯板材の接合構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−167865(P2007−167865A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−365139(P2005−365139)
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【出願人】(000250432)理研軽金属工業株式会社 (89)