説明

帯状装飾材及びその製造方法並びに装飾物

【課題】例えば厚手のタオル地、麻地或いはデニム等の布地を有効に利用することができるとともに、装飾効果を向上することができる帯状装飾材を提供する。
【解決手段】タオル地よりなる帯状の装飾材本体12の裏面に両面粘着テープ13の粘着剤層14を接着する。前記粘着剤層14に接着した剥離シート15を剥離して、帯状の帯状装飾材本体12を被装飾物の表面に例えば螺旋状に巻回することによりタオル地のバイル面が現れる意匠性に優れた装飾物を製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状装飾材及びその製造方法並びに装飾物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、厚手のタオル地、麻地或いはデニム等の布地は、製品として使用された後には、例えば、雑巾として再利用されるか焼却される。
帯状装飾材として、従来、低反発性の発泡樹脂(スポンジ)を帯状に形成した帯状材の片面に両面粘着テープを接着したものが提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記従来のスポンジ製の帯状装飾材は、単にスポンジを用いているのみであるため、室内の目張りとしての機能は有するが、各種の被装飾物に装着してもその表面の装飾効果は期待できないという問題があった。
【0004】
本発明は、例えば厚手のタオル地、麻地或いはデニム等の布地を有効に利用することができるとともに、装飾効果を向上することができる帯状装飾材及びその製造方法並びに装飾物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、装飾模様を有する帯状の布地の裏面に粘着剤層を形成し、該粘着剤層の表面に剥離可能な剥離シートを接着したことを要旨とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記帯状の布地は、デニム、タオル地、麻地、ジャガード、シャンタン、シルクツィード及びジャージーの各布地のなかから少なくとも一種類選択されたものであることを要旨とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、前記帯状の布地は、布地素材をバイアスカットしたものであることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、装飾模様を有する布地素材の表面に対し両面粘着テープの粘着剤層を接着する行程と、前記布地を両面粘着テープの幅と同じかそれよりも広い幅の帯状に切断する行程とを含むことを要旨とする。
【0008】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の帯状装飾材の粘着剤層から剥離シートを剥離して、帯状の布地を被装飾物の表面に対し環状又は螺旋状に巻回して接着したことを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、装飾模様を有する帯状の布地の裏面に粘着剤層を形成し、該粘着剤層の表面に剥離可能な剥離シートを接着したので、剥離シートを剥離して、被装飾物の表面に帯状の布地を粘着剤層により接着して装飾物を形成することができる。形成された装飾物の表面には、装飾模様が現れるので装飾効果を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した帯状装飾材及びその製造方法並びに装飾物の一実施形態を図1〜図5にしたがって説明する。
図1に示すように、この実施形態の帯状装飾材11は、装飾模様を有する厚手のタオル地よりなる帯状の布地としての帯状装飾材本体12の裏面に両面粘着テープ13を接着して形成されている。前記両面粘着テープ13は、図2に示すように帯状装飾材本体12の裏面に接着された粘着剤層14と、この粘着剤層14の表面(下面)に接着された剥離可能な帯状の剥離シート15とにより形成されている。粘着剤層14は、例えば厚み0.5〜1.0mmの公知のアクリル樹脂系粘着剤により形成されている。剥離シート15は、例えば表面に薄い厚さのシリコーン層を塗布した耐水紙により形成されている。
【0011】
前記帯状装飾材本体12は図2に示すようにタオル地特有の装飾模様としてのバイル面12aと裏地部12bとにより構成され、裏地部12bに前記粘着剤層14が接着され、バイル面12aが表面に表れているが、図1では、縦糸と緯糸が斜交する斜線で簡略化して表示されている。
【0012】
次に、上記の帯状装飾材11の製造方法について説明する。
図3に示すように、布地素材としての平面四角形状のタオル地12´を、その裏地部12bが上側になるように裁断台16の上面に載置する。次に、図4に示すように両面粘着テープ13の粘着剤層14をタオル地12´の裏地部12bに接着する。この両面粘着テープ13は、接着前においては、粘着剤層14の表裏両面に剥離シート15が接着されているので、一方の剥離シート15のみを剥離した後に、粘着剤層14をタオル地12´の裏地部12bに接着する。粘着テープ13の接着方向は、図3に示すようにタオル地12´の辺縁12cに対し45度傾斜するバイアス方向となっている。この粘着テープ13の傾斜角は例えば5度〜45度の範囲の任意の角度に設定してもよい。
【0013】
タオル地12´に粘着テープ13を接着した後、この粘着テープ13の左右両側のタオル地12´を図示しない鋏や裁断装置により前記タオル地12´を両面粘着テープ13の幅と同じかそれよりも広い幅の帯状に切断する。タオル地12´を両面粘着テープ13の両側縁に沿ってバイアスカットすることにより、図1に示す帯状装飾材11が製造される。
【0014】
次に、上記のように製造された帯状装飾材11を用いて、装飾物を製造する方法を説明する。
図5に示すように、飾り串31に対し被装飾物としての例えば卓球の中空状のボール32を図6に示すように複数箇所に嵌合する。このボール32の表面に対し、図5に示すように前記帯状装飾材11の剥離シート15を剥離した状態で、帯状装飾材本体12を粘着剤層14を用いて螺旋状に巻回し、球形状の装飾物33を形成する。なお、前記飾り串31の表面には、図6に示すように薄手の帯状の布地34が螺旋状に接着されている。
【0015】
上記実施形態の帯状装飾材11及びその製造方法並びに装飾物33によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、厚手のタオル地12´を用いて、帯状装飾材11を形成したので、この帯状装飾材11の帯状装飾材本体12を用いて例えば図5に示す球形状の装飾物33を形成した場合に、その外観を意匠性に優れた趣のあるものとすることができる。
【0016】
(2)上記実施形態では、タオル地12´に粘着テープ13をバイアス方向に接着した後、タオル地12´を両面粘着テープ13に沿ってバイアスカットして帯状装飾材11を形成した。このため、帯状の帯状装飾材本体12の表面の模様を例えば縦糸と緯糸が傾斜して交差する変化に富んだものとすることができ、その外観を一層意匠性に優れたものとすることができる。又、タオル地12´に例えば市松模様や縞模様が施されている場合にもバイアスカットにより帯状装飾材本体12の表面に趣のある模様が表れるので、それを用いて装飾物33を形成した場合に、その外観をさらに意匠性に優れた趣のあるものとすることができる。さらに、使用済みのタオル地を帯状の装飾材料として有効利用することができる。
【0017】
(3)上記実施形態では、タオル地12´をバイアスカットしたので、タオル地12´の辺縁と平行に該タオル地12´をカットする場合と比較して、帯状装飾材本体12の切断面(側端縁)の糸が解れ難くなり、帯状装飾材本体12の側端縁の形崩れを防止することができる。
【0018】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○図7に示すように、細長い円柱状の棒本体35に前記帯状装飾材11の帯状装飾材本体12を粘着剤層14を用いて螺旋状に巻回して装飾物としての棒36を形成してもよい。
【0019】
○図8に示すように、ガラス製の瓶本体37の表面に前記帯状装飾材11の帯状装飾材本体12を粘着剤層14を用いて螺旋状に巻回して装飾物としての瓶38を形成してもよい。
【0020】
○図9に示すように、花瓶本体39の表面に前記帯状装飾材11を粘着剤層14を用いて螺旋状に巻回して装飾物としての花瓶40を形成してもよい。
○前記帯状装飾材11の帯状装飾材本体12に代えて、デニム、麻地、ジャガード、シャンタン、シルクツィード及びジャージーの群のなかから少なくとも一種類選択されたものを用いてもよい。
【0021】
○帯状装飾材本体12として無模様の装飾性を有する布地を用いてもよい。この場合には、例えば色彩が赤、青、黄、緑、橙、白、紫或いは黒等の複数種の布地を用いて、複数種の帯状装飾材11を形成し、それらを組み合わせて趣のある装飾物を形成することができる。
【0022】
○単一の帯状装飾材11の帯状装飾材本体12として、複数種の色彩の布地を帯状装飾材11の長手方向に少なくとも一回繰り返して接続したものとしてもよい。又、後工程で染色して複数の色彩を施してもよい。
【0023】
○被装飾物として、例えば、物品を支持する支柱、机、椅子、テーブル、額縁、時計、電気スタンド、或いはその他の各種の被装飾物を用いてもよい。
○被装飾物に対し複数本の帯状装飾材本体12を互いに平行に接着してもよい。
【0024】
(定義)この明細書において、装飾模様を有する帯状の布地は、表面の色彩が単一の無模様の布地も含むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の帯状装飾材の一実施形態を示す一部省略斜視図。
【図2】帯状装飾材の拡大横断面図。
【図3】帯状装飾材の製造方法を説明するタオル地及び両面粘着テープの平面図。
【図4】図3の1−1線拡大断面図。
【図5】一つの装飾物を示す斜視図。
【図6】複数の装飾物を示す正面図。
【図7】装飾物の別例を示す正面図。
【図8】装飾物の別例を示す正面図。
【図9】装飾物の別例を示す正面図。
【符号の説明】
【0026】
11…帯状装飾材、12…帯状装飾材本体、12´…タオル地、13…両面粘着テープ、14…粘着剤層、15…剥離シート、33…装飾物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装飾模様を有する帯状の布地の裏面に粘着剤層を形成し、該粘着剤層の表面に剥離可能な剥離シートを接着したことを特徴とする帯状装飾材。
【請求項2】
請求項1において、前記帯状の布地は、デニム、タオル地、麻地、ジャガード、シャンタン、シルクツィード及びジャージーの各布地のなかから少なくとも一種類選択されたものであることを特徴とする帯状装飾材。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記帯状の布地は、布地素材をバイアスカットしたものであることを特徴とする帯状装飾材。
【請求項4】
装飾模様を有する布地素材の表面に対し両面粘着テープの粘着剤層を接着する行程と、
前記布地を両面粘着テープの幅と同じかそれよりも広い幅の帯状に切断する行程と
を含むことを特徴とする帯状装飾材の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の帯状装飾材の粘着剤層から剥離シートを剥離して、帯状の布地を被装飾物の表面に対し環状又は螺旋状に巻回して接着したことを特徴とする装飾物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−316378(P2006−316378A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−140092(P2005−140092)
【出願日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(505173913)
【Fターム(参考)】