説明

帯電装置、プロセスカートリッジおよび画像形成装置

【課題】 2つの帯電スリーブを備える磁気ブラシ方式の帯電装置において、磁性粒子のコート量を安定させること、磁性粒子のたまりを防止することである。
【解決手段】 第一および第二の磁性粒子担持体を有する磁気ブラシ方式の帯電装置において,磁性粒子の搬送方向上流側で層規制手段が近接する側の第一磁性粒子担持体を電子写真感光体移動の周方向への移動を規制し、および第二磁性粒子担持体が感光体方向の周方向への移動をある程度許容する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に用いる帯電装置、および前記帯電装置を備えるプロセスカートリッジ及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式や静電記録方式を用いた画像形成装置は数多く考案されている。ここでは図9を用いて概略構成ならびに動作について簡単に説明する。
【0003】
図9に示した画像形成装置において、コピー開始信号が入力されると感光体ドラム1001の表面がコロナ帯電装置1003により所定の電位になるように帯電される。一方、原稿台1010上におかれた原稿Gに対し原稿照射用ランプ、短焦点レンズアレイ、CCDセンサーが一体のユニット1009となって原稿を照射しながら走査することにより、その照明走査光の原稿面反射光が、短焦点レンズアレイによって結像されてCCDセンサーに入射される。CCDセンサーは受光部,転送部,出力部より構成されている。CCDセンサーに入射した光信号はCCD受光部において電荷信号に変換され、転送部でクロックパルスに同期して順次出力部へ転送された後、電荷信号は信号出力部において電圧信号に変換され、増幅,低インピーダンス化されてアナログ信号として外部に出力される。こうして得られたアナログ信号は周知の画像処理を行ってデジタル信号に変換されてプリンター部に転送される。プリンター部においては、上記の画像信号を受けてON,OFF発光されるLED露光手段1002により、感光ドラム1001の表面上に原稿画像に対応した静電潜像を形成する。
【0004】
次にこの静電潜像は、トナー粒子を収容した現像装置1004にて現像され、感光ドラム1001上にトナー像を得る。このようにして感光ドラム1001上に形成されたトナー像は、転写装置1007によって転写材上に静電転写される。その後転写材は、静電分離されて定着器1006へと搬送され、熱定着されて画像が出力される。
【0005】
一方、トナー像転写後の感光ドラム1001の表面は、クリーナー1005によって転写残りトナー等の付着汚染物の除去、必要に応じて像露光の光メモリを除去する前露光手段1008による露光を受けて繰り返し画像形成に使用される。
【0006】
上記のような画像形成過程、すなわち電子写真画像形成装置に用いられる感光体としては、有機感光体やアモルファスシリコン系感光体(以下、「a?Si系感光体」と称する。)などがよく用いられているが、前記a−Si系感光体は、表面硬度が高いこと、繰返し使用による劣化がほとんど認められないことなどから、高速複写機やレーザービームプリンタ(LBP)などの電子写真用感光体として用いられている。
【0007】
しかし、前記a−Si系感光体は、その製造方法として、ガスを高周波やマイクロ波でプラズマ化して固体化しアルミシリンダー上に堆積させて成膜するため、プラズマが均一でないと周方向に膜厚ムラや組成ムラができてしまうという問題がある。
【0008】
ここで、感光ドラムについて、a−Si系感光体を用いた場合、有機感光体に比べて帯電後の電位減衰が暗状態でも非常に大きく、更に像露光の光メモリーによる電位減衰が増大するために前周の光メモリーを消すための帯電前の前露光手段が必要となる。このため、帯電から現像間での電位減衰は非常に大きくなり、100〜200V程度の電位減衰が生じる。このとき前述の膜厚ムラにより、周方向について10〜20V程度の電位ムラが発生してしまっていた。
【0009】
このような電位ムラが生じると、静電容量の大きなa−Si系感光体は有機感光体に比べてコントラストも小さいため影響をより受けてしまい、濃度ムラも顕著になってしまう。
【0010】
このような問題点に対して、例えば感光体に対して複数回帯電を行うという方法が有効である。前述の光メモリーによる暗減衰の増大は複数帯電を行うことにより、第1の帯電で光メモリーを大幅に軽減できるため、第2の帯電を行った後には暗減衰を少なくすることが可能となる。これに伴い、電位ゴーストや電位ムラが大幅に良化される。
【0011】
前記感光体を帯電する方法としては、コロナ放電を用いたコロナ帯電方式、導電性ローラーを用い直接放電で帯電を行うローラー帯電方式、磁性粒子等により接触面積を充分に取り、電荷を感光体表面に直接注入することにより帯電を行う注入帯電方式などがある。中でも、コロナ帯電方式やローラー帯電方式は放電を用いるために感光体表面に放電生成物が付着しやすい。また特にa−Si系感光体を用いる場合a−Si感光体が非常に高い表面硬度を持ち、磨耗しにくく感光体表面に放電生成物が残存しやすいことから、高湿環境下等で水分の吸着等によって、静電潜像が形成された感光体表面上の電荷が面方向へ移動し、それに伴う画像流れ現象が発生しやすい。
【0012】
これに対して、前記注入帯電方式は放電を積極的に用いることはせずに、感光体表面に接触した部分から直接電荷を注入する帯電方式であるため、放電生成物が付着しにくい、さらに前記の画像流れといった現象は発生しにくいという特徴を持つ。
【0013】
この電荷注入帯電方式は、被帯電体への帯電がコロナ帯電装置を用いて行われるような放電現象を利用しないので、帯電に必要とされる印加帯電バイアスは所望する被帯電体表面電位分であり、オゾンの発生がない完全なオゾンレス、かつ低電力消費型帯電が可能となり、注目されてきている。
【0014】
上記のことから、感光体、特にa−Si系感光体への帯電の均一性に関しては、感光体に対して複数の帯電手段を配置し、かつ、画像流れや帯電安定性面から、感光体への帯電手段として磁気ブラシ注入帯電方式を用いる系が有利である。
【0015】
ここで、1回および2回の複数帯電を行う2つの帯電手段を用いること、その帯電手段として注入帯電方式を用いることが有用である。
【0016】
例えば図6に示すような構成の2つの磁気ブラシ帯電手段を備えたものが注入帯電方式の帯電装置として考えられる。
【0017】
磁気ブラシ帯電手段は、導電性の磁性粒子をマグネットあるいは、マグネットを内包するスリーブ上に磁気的に拘束させ、停止、あるいは、回転しながら感光体に接触させられている。これに電圧を印加することによって帯電が開始される。
【0018】
磁気ブラシ帯電手段は、被帯電体との接触性に優れ、安定した帯電を施すことが出来るという点から、帯電手段として好ましく用いられている。
【0019】
ここで、磁気ブラシ帯電手段を用いた2回注入帯電方式の帯電装置について、図6および図16を例に説明する。
【0020】
この図においては、後述の実施例においても同図を用いるが、この項では符号を括弧内のものとして説明する。
【0021】
帯電装置1030は、各々の内部に非回転の磁界発生手段である第1固定マグネット1033、第2固定マグネット1034が設けられ、磁性粒子担持体である回転自在の非磁性の帯電スリーブ1031、1032上に、層規制手段であるブレード1037によって図16の1035a部分で規制された、帯電用に最適化された磁性粒子1035が磁界によってブラシ状に形成されて、帯電スリーブ1031、1032の回転にともない磁性粒子35が搬送される。また、各スリーブ内の固定マグネット1033、1034の感光ドラム対向あるいは対向近傍位置1033a、1034aに磁界発生領域である磁極が配置され、磁性粒子のブラシが1035b、1035dの位置で穂立ちしている状態となって感光ドラムに接触している。この接触位置から帯電が行われる。
【0022】
なお、帯電スリーブと感光ドラムとの対向部における磁性粒子の搬送方向において上流側に位置する帯電スリーブを第一の帯電スリーブ、下流側に位置する帯電スリーブを第二の帯電スリーブと以下呼称する。第一の帯電スリーブと感光ドラムとの対向部よりも磁性粒子搬送方向上流側において磁性粒子規制部であるブレード1037が第一の帯電スリーブに近接して設けられている。
【0023】
また、各帯電スリーブ内の固定マグネット1033、1034の対向位置での磁界発生領域である磁極に工夫が成されている。一般に磁性粒子1035は、同極同士が並ぶ、すなわち反発極付近で各々第一帯電スリーブ1031表面および第二帯電スリーブ1032表面から離れようとする傾向がある。このことを利用し固定マグネット1033、1034の各々の対向位置の磁極を上下反発極を並べた上で、かつ第1固定マグネット側はS極、第2固定マグネット側はN極というように逆極性の反発極を対向させる。
【0024】
これにより磁性粒子は二つの帯電スリーブ1031、1032の間をすり抜けることなく第一帯電スリーブ1031から第二帯電スリーブ1032の表面へは図16中の第1受け渡し部1035cで、第二帯電スリーブ1032から第一帯電スリーブ1031へは第2受け渡し部1035eで受け渡される。
【0025】
上記帯電スリーブ1031、1032はともに電子写真感光体である感光ドラム1001の回転方向に対し逆方向に回転し、帯電スリーブ1031、1032に、それぞれ帯電電圧を印加することにより、磁性粒子1035から電荷が感光ドラム1001上に与えられ、帯電電圧に対応した電位に近い値に帯電される。
【0026】
帯電装置1030は、ブレード1037と第一帯電スリーブ1031との間隔を狭めることによって磁性粒子1035のコート量を減らし、摺擦力を減らし感光ドラム1001の寿命を延ばすことが出来る。それと同時に磁性粒子1035と感光ドラム1001との接触点が減少するために帯電装置の帯電能も低下するが、帯電能の低下分は複数回帯電することにより補うことができる。
【0027】
また、この帯電装置は画像形成装置内の感光体に対して精度よく所定の間隙を空け位置決めして配置させることが重要となる。なぜならば磁気ブラシの穂の摺擦の程度に帯電能力、感光体の削れ、磁性粒子のあふれなどにその間隙が大きく影響するからである。具体的には各磁性粒子担持体をと感光体を円筒状の感光ドラムで構成した際に帯電能と削れなどを考えると200〜500μmのギャップを±50μm以下程度の精度で管理した方がよい。
【0028】
ここで、このような複数帯電手段を用いた磁気ブラシ帯電装置の位置決めに関して、参考となる有用な文献などは無かった。しかしながら複数の現像手段を用いた現像装置の位置決めに関する文献がある。これらを参考にして複数帯電手段を用いた帯電装置の位置決めを考えることができる。
【0029】
従来の上記複数の現像手段を用いた現像装置の現像手段および感光体の位置決めには、2本の現像スリーブと感光ドラムを前後2つの側板の穴位置にて位置を決定するものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0030】
また、2本の現像スリーブの端部に備えられた現像スリーブよりも所定の間隙分直径の大きい回動可能なコロを備え、現像装置自体と片側の現像スリーブを加圧してコロ部にて感光ドラムに突き当てて間隙を決めるものがあり、磁性粒子規制板近傍の第一帯電スリーブとの間隔を決定する第一帯電スリーブを中心に回動するアーム状の部材を設け、第二帯電スリーブをそのアーム状の部材で支持し、現像装置本体を押圧するバネとは別に、アーム状の部材を別のバネで押圧するというものがある(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開平06−130799号公報(第6頁,図1,図2)
【特許文献2】特開2002−062731号公報(第4頁,図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
しかしながら上記特許文献の現像装置の構成を図6の帯電装置に応用した場合には各種の課題が生じる。そのことを以下より説明する。
【0032】
ここで、特許文献1記載の現像装置に関して、2本のスリーブ間隔と感光ドラムの各軸を側板の穴位置で決定するとしてある。この構成では各穴位置の精度によってドラムと各スリーブとの間隔より2本のスリーブ間隔が決定する。
【0033】
この構成を前述の磁気ブラシ帯電装置に適応した場合の課題は、第一帯電スリーブと第二帯電スリーブが磁気ブラシ帯電装置の枠体に支持されて取り付けられた場合には帯電スリーブの間隔が磁気ブラシ帯電装置の枠体によって決定しており、この場合、側板の穴位置に嵌め込む場合に、各穴の中心間隔と枠体で決まる帯電スリーブ間隔は厳密には一致しないため、帯電スリーブのたわみを生じ易い。さらに、基本的に帯電装置の枠体は樹脂材料、側板は金属の板材などで構成されることが多く、その材料間で線膨張係数が異なる場合がほとんどである。ここで基本的な設定温度からの偏差が生じると、枠体と側板での膨張あるいは収縮量が異なり、さらに帯電スリーブのたわみを生じやすい。
【0034】
ここで帯電スリーブにたわみが生じた場合の問題について考察する。
【0035】
図6上の第一帯電スリーブ1031側にたわみを生じた場合、第一帯電スリーブ1031とブレード1037との距離がその長手方向において変化する。すなわちブレード1037と第一帯電スリーブ1031との間に広い箇所、狭い箇所が生じる。
【0036】
この場合、第一帯電スリーブのコート量がその長手方向において変化する。さらに、前述したように第二帯電スリーブ1032上に保持される磁性粒子1035は、第一帯電スリーブ1031から対向する磁極によって受け渡されているため、第二帯電スリーブ1032上の磁性粒子1035のコート量も変わってしまう。よって例え第一帯電スリーブ1031側だけがたわんだとしても、第二帯電スリーブ1032の帯電性能に影響を及ぼす。このことは帯電装置1030全体の帯電電位の変化を引き起こす。
【0037】
以上の帯電電位の変化は帯電装置の設置と同時に生じるものであり、初期特性としての画像の感光ドラム長手方向での濃度変化を及ぼす。特にハーフトーン画像の場合の濃度変動が大きくなる。
【0038】
また、図6上の第二帯電スリーブ1032側にたわみを生じた場合を考えてみる。なお、図16は安定状態の磁性粒子の流れの状態を説明する図であり、図17は以下に説明する第二帯電スリーブ1032と感光ドラム1001の1035d部分での間隔が狭くなった部分での磁性粒子のたまりの状態を説明する図である。
【0039】
たわみが感光ドラム方向に凸の場合には、図16、17の1035dの第二帯電スリーブ1032が感光ドラム1001側との間隙位置をその中央付近で狭くなることを示し、その箇所では磁性粒子が通過しにくくなる。ここで第一帯電スリーブ1031から受け渡される磁性粒子と上記間隙位置1035dを通過すべき磁性粒子の量的均衡が崩れる。よって第一帯電スリーブ1031から第二帯電スリーブ1032に受け渡される第1受け渡し部1035cに磁性粒子がたまってしまう。特に図6の例のように感光ドラム1001が帯電スリーブと逆方向に回動する場合には、感光ドラム1001によって磁性粒子は基本的には押し戻される方向にあるため、磁性粒子は感光ドラム側の第1受け渡し部1035cに更にたまり易い傾向がある。
【0040】
この場合には磁性粒子のたまり箇所である第1受け渡し部1035cでの感光ドラム1001の削れが非常に大きくなる。このことは感光ドラムの膜厚を変化させ、同じ光量の露光が行われても、大きく削れが生じて膜厚の小さくなった場合、膜厚の小さくなった部分は高濃度となってしまう。これは前述の帯電電位の変化と比較して、感光ドラム長手方向で、長期的な濃度変動が起こることを示唆する。
【0041】
一方、特許文献2の現像装置の位置決め方法を図6の帯電装置に適用した場合について考えてみる。第一帯電スリーブ、第二帯電スリーブともに感光ドラムとの間隙を突き当てコロにて管理できるため、感光ドラムとの間隙を精密に管理できるように考えられる。
【0042】
しかしながらこの位置決め方法を図6の帯電装置に適用するには以下の課題が生じる。
【0043】
帯電装置自体をバネで押圧するが、基本的にバネの押圧方向以外の方向に移動し易い。
【0044】
帯電スリーブと感光ドラムの間隙を一定とはできるものの、帯電スリーブ内の固定マグネット(図6中1033、1034)の感光ドラム対向磁極1033aおよび1034aの感光ドラム上の周方向位置が不安定となる。この構成が帯電スリーブが2本で磁性粒子を受け渡す構成では、磁極1033aの位置が移動してしまうことになり、感光ドラム1001に対向する磁性粒子の穂立ちの位置が変化するため、その位置での磁性粒子による圧力が変化する。それにより、第一帯電スリーブ1033と感光ドラム1001の間隙を通り抜ける磁性粒子の量が変化し、第二帯電スリーブ1034に受け渡される磁性粒子の量がやはり変化する。そこで前述の特許文献1の場合と同様に第二帯電スリーブの磁性粒子のコート量が変化する。このことは第二帯電スリーブ1032の帯電性能に影響を及ぼす。このことは帯電装置1030全体の帯電電位の変化を引き起こす。
【0045】
以上の帯電電位の変化は帯電装置の設置直後から生じるものであり、初期特性としての画像の濃度変化を及ぼす。特にハーフトーン画像の場合の濃度変動が大きくなる傾向がある。これは特許文献1を応用した場合とは異なり、感光ドラム長手方向での変化では無く、画像全域に渡る所定濃度からの変化である。
【0046】
また、第一の帯電スリーブの位置が、規定の位置と比べて感光ドラムより離れるような場合においては、磁性粒子による圧力が少なくなるため、第一帯電スリーブ1031と感光ドラム1001との間隙をすり抜ける磁性粒子の量が大きくなる。そこで第一帯電スリーブ1031と第二帯電スリーブ1032と感光ドラム1001との空間1035cに磁性粒子のたまる量が大きくなり、この場合には磁性粒子のたまりでの感光ドラム1001の削れが非常に大きくなる。このことは特許文献1を適用した場合と同様に、感光ドラムの膜厚を変化させ、同じ光量の露光が行われても、大きく削れが生じて膜厚が小さくなった場合、膜厚が小さくなった部分は高濃度となってしまう。これは前記の帯電電位の変化と比較して、長期的な濃度変動が起こることを示唆する。この変動についても、特許文献1を応用した場合とは異なり、感光ドラム長手方向での変化では無く、画像全域に渡る所定濃度からの変化である。
【0047】
以上のように従来の技術を帯電装置に転用しても磁性粒子担持部材である帯電スリーブの磁性粒子コート量を安定させることが難しかった。また、磁性粒子の磁性粒子担持体である帯電スリーブ間の磁性粒子の受け渡し部における磁性粒子のたまりを抑えることが難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0048】
本出願に係る発明は上記課題を解決するためのものであって、
磁性粒子を担持する第一の磁性粒子担持体と、前記第一の磁性粒子担持体と前記被帯電体の対向部側における前記磁性粒子の搬送方向に対して下流側に位置し前記磁性粒子を担持する第二の磁性粒子担持体とを有し、前記磁性粒子は前記第一の磁性粒子担持体と前記第二の磁性粒子担持体とで共有して使用され、前記磁性粒子を被帯電体に接触させて前記被帯電体を帯電する帯電装置であって、
前記第一の磁性粒子担持体と前記被帯電体との対向部よりも前記磁性粒子の搬送方向上流側において前記第一の磁性粒子担持体上の磁性粒子の担持量を規制する規制部と、
前記第一の磁性粒子担持体を前記被帯電体の周方向に対して、移動を規制する第一の位置決め部と、
前記第二の磁性粒子担持体を前記被帯電体の周方向に対して、前記第一の磁性粒子担持体と前記第二の磁性粒子担持体とが所定の距離内となる範囲で移動を規制する第二の位置決め部を有する
ことを特徴とする帯電装置である。
【発明の効果】
【0049】
本出願に係る第1の発明によれば、磁性粒子担持部材のコート量を安定させることができる。
【0050】
また、磁性粒子の磁性粒子担持部材間の受け渡し部でのたまりを抑え、被帯電体の削れを抑えることができる。
【0051】
本出願請求項2に係る発明によれば、
第2の磁性粒子担持体と被帯電体との間隙をより精密に保持することができる。
【0052】
本出願請求項3に係る発明によれば、
第2の磁性粒子担持体と被帯電体との間隙を請求項2の発明に比較してより精密に保持することができる。
【0053】
本出願請求項4に係る発明によれば、
第一帯電スリーブと第二帯電スリーブとの間隙の経時的、瞬間的な変化に対しても磁性粒子のたまりを生じないようにすることができる。
【0054】
本出願請求項5に係る発明によれば、
各磁性粒子担持体と被帯電体との間隙を精密に保持することができる。
【0055】
本出願請求項6に係る発明によれば、
帯電装置を画像形成装置に組み込む際の組み立て易さを実現することができる。
【0056】
本出願請求項7に係る発明によれば、
磁性粒子担持体と被帯電体との間隙を精密に保持することができる。
【0057】
本出願請求項8に係る発明によれば、
各磁性粒子担持体の駆動のために大きなトルクが必要となる場合においても、磁性粒子担持体の位置精度を保持することができる。
【0058】
本出願請求項9に係る発明によれば、
磁性粒子担持体間の磁性粒子の受け渡しを簡便な方法で達成することができる。
【0059】
本出願請求項10に係る発明によれば、
請求項1〜9の帯電装置を備えたプロセスカートリッジにより、良好な画像を提供することができる。
【0060】
本出願請求項11に係る発明によれば、
請求項1〜9の帯電装置を備えた画像形成装置により、良好な画像を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
以下に本発明の実施例を図1〜図8、図16を用いて説明する。
【実施例1】
【0062】
図1は本発明の帯電装置における第一帯電スリーブおよび第二帯電スリーブの位置決め構成を説明する図、図2は帯電装置および電子写真感光体である感光ドラムをユニットを組み立てる前の図、図3は組み立てた後の帯電装置および感光ドラムの状態を示す図、図4は第一帯電スリーブおよび第二帯電スリーブを位置決め部に押圧する手段を説明する図、図5は他の押圧手段を説明する図、図6および図16は帯電装置内の磁性粒子の挙動の説明をする図である。図6、図16の構成は背景技術で述べた2本磁気ブラシ帯電手段を用いた帯電装置の構成ではあるが、磁性粒子の基本的な挙動は同様のため、同じ図を用いて説明を行う。ただし、符号は括弧内の符号では無く、1、31などの括弧の無い符号で説明する。図7は帯電スリーブを駆動するギア列の構成を説明する図であり、図8は本実施例の帯電装置を備えた画像形成装置を説明する図である。
【0063】
2本の磁気ブラシ帯電手段を用いた帯電装置の構成および帯電作用の概要については背景技術の項で述べた帯電装置と同様のためこれを省略する。
【0064】
図8の画像形成装置についても本発明の磁気ブラシ帯電装置を備えたものであり、その基本動作は背景技術の項で述べた通りでありこれを省略する。
【0065】
まず、図1,図2,図3,図4,図5を用いて本発明の帯電装置の第一帯電スリーブおよび第二帯電スリーブの位置決め方法について説明する。
【0066】
図1,図2,図3において,1は被帯電体であり像担持体でもある電子写真感光体であるネガ極性のa−Si系感光ドラム、30は磁気ブラシ帯電手段を2つ備えた注入帯電方式の帯電装置、31は第1の磁性粒子担持体である第一帯電スリーブ、32は第2の磁性粒子担持体である第二帯電スリーブ、40および45は感光ドラム1と第一および第二帯電スリーブをそれぞれの端部において同時に位置決めする部材であり感光ドラムを保持する部材でもある位置決め部材、41,46は第一帯電スリーブに取り付けられた端部位置決めコロ、42は第二帯電スリーブに取り付けられた端部位置決めコロである。ここで、本実施例の帯電装置30は位置決め部材40を内包しており、位置決め部材40には感光ドラム1の他、図1,図2,図3には不図示ではあるが、図8中に記載される現像装置4、クリーニング装置5、前露光装置8などを設置でき、それらを設置していわゆるプロセスカートリッジを構成している。
【0067】
感光ドラム1の回転方向は図1中の円弧状の矢印方向であり、40a,45aが第一帯電スリーブを感光ドラム回転の下流方向への移動を規制する部分である位置決め部、40b、45bが第一帯電スリーブを感光ドラム回転の上流方向への移動を規制する部分である。即ち、第一の帯電スリーブは感光ドラムの周方向への移動の規制は、第一の位置決め部である40a,45a,40b,45bによりされる。
【0068】
40c,45cは第二帯電スリーブ表面の感光ドラム1と第二帯電スリーブ32との間隙を決める、第二帯電スリーブが電子写真感光体方向への移動を規制する部分である位置決め部、40d,45dは第二帯電スリーブ32が第一帯電スリーブ31に所定距離以内に保持する部分であって近接することを制限する近接ストッパ部、40e,45eは第二帯電スリーブ32が第一帯電スリーブ31と所定距離以内に保持する部分であって離間することを制限する離間ストッパ部、40f,45fは感光ドラム1が保持される軸受部である。したがって、第二帯電スリーブの感光ドラムへの周方向への移動は、第二の位置決め部である40d,45d,40e,45eによりされる。
【0069】
また図4,図5において、51および52はそれぞれ第一帯電スリーブ端部位置決めコロ41および第二帯電スリーブ位置決めコロ42を位置決め部材40上の位置決め部に押圧するための押圧部材であり、61および63はそれぞれ第一帯電スリーブ端部位置決めコロ41および第二帯電スリーブ位置決めコロ42を位置決め部材40上の各位置決め部に押圧するための押圧部材の別形態であり、押圧力を与えるものとして圧縮バネ62および64が設けられている。図に示されるように位置決め部材の位置決め部分は感光ドラム1の存在する方向と逆方向について開放された形状になっている。そのため後述するように帯電装置の組み立てを容易に行なうことができる。
【0070】
以下に本実施例の動作について説明する。
【0071】
図2において、枠体36の軸受部36a、36bに第一帯電スリーブ31および第二帯電スリーブ32が取り付けられている。
【0072】
図6にしめされるように、磁性粒子の搬送方向は感光ドラムの回転方向とは逆方向になっている。ここで第一帯電スリーブ31上の磁性粒子は、感光体ドラム1と第一の帯電スリーブ31との対向部35bより磁性粒子の搬送方向上流側の位置において、磁性粒子の層規制手段である非磁性あるいは磁性のブレード37によりコート量を規制される。一方第二帯電スリーブ32は、各スリーブに内包される固定マグネット33,34の図16中35c部分の対向極によって第一帯電スリーブ31から磁性粒子を受け渡される。この際に第一帯電スリーブ31から第二帯電スリーブ32に受け渡される磁性粒子は第二帯電スリーブ32から第一帯電スリーブ31に図16中35e部分で戻る磁性粒子よりも感光ドラム1近傍に位置されるように構成されている。
【0073】
図2において、帯電装置30を支持部材40に取り付ける際は第一帯電スリーブ31端部に取り付けられたコロ41,46を位置決め部40a,45aにそれぞれ載せるように、一方第二帯電スリーブ32端部に取り付けられたコロ42、および不図示の対向側コロを位置決め部40c,45cに載せるようにして帯電装置30を構成する。また、図4のように前記の4つのコロは各位置決め面に完全に接触する状態とするように、押圧部材51および52、さらに不図示の対向側の押圧部材によって押圧される。押圧は不図示のネジなどで押圧部材を位置決め部材40に固定することで成される。この際に第一帯電スリーブ31は位置決め部40a,40b,45a,45bにより感光ドラム1の回転方向の下流方向Aおよび上流方向Bに移動することが無く位置決めされる。
【0074】
また、第二帯電スリーブ32は位置決め面40c,45cの垂直方向に移動すること無く位置決めされるとともに位置決め部40c,45cは感光ドラムの周方向にはある程度自由度を持っている。これらのことは、特許文献1にあるような側板の穴位置で2つのスリーブ間隔を決定する構成よりも、組み付け作業が一方向からできるうえ、ユニットを載せてから押圧部材を固定するだけでよく組立て性に優れている。さらに、第一帯電スリーブ31と第二帯電スリーブ32との間隔が枠体36で決定されているが、この枠体36の2つのスリーブ間隔、すなわち軸受部の間隔に多少のズレがあっても本実施例の構成であれば許容ができ、組立てること自体によってどちらかのスリーブがたわんでしまう、ということが無い。
【0075】
ここで、背景技術で述べた先行技術の現像装置の構成を帯電装置に適応した場合との比較を行ってみた。
【0076】
本実施例の効果の一つとして、枠体36の熱変形に対する磁性粒子の挙動について述べる。
【0077】
一般的な電子写真方式の画像形成装置内には多くの熱源がある。特に露光装置およびその発光制御のためのドライバー素子、または感光ドラム1の帯電電位を安定させるためのヒータ、あるいは定着器などがある。また、これらによって、帯電装置30周辺温度が設定温度から変化する場合がある。設定温度より上昇した場合のことを考えた際に、枠体36はその温度差分膨張するため、第一帯電スリーブおよび第二帯電スリーブの間隔が広がってしまう。ここで、支持部材40と枠体36を構成する材質は、支持部材40が金属材料、枠体36は樹脂材料で構成している。(具体的な数値に関しては後述する。)このように、支持部材40と枠体36との熱膨張係数が異なる材質を用いた場合に、背景技術の項で前述した特許文献1の構成をこの帯電装置に応用した場合、側板と枠体の熱膨張係数の差を吸収できず、少なくとも第一帯電スリーブか第二帯電スリーブのどちらかにたわみを生じてしまう。
【0078】
本実施例の構成では、第一帯電スリーブ31は図1中AおよびBの方向への移動が抑えられ、第二帯電スリーブ32はB方向に移動可能なため、設定温度から雰囲気温度が上昇した場合にも、スリーブのたわみなどを生じることが無い。このスリーブのたわみが生じた際の問題点は発明が解決しようとする課題の項において前述した通りである。
【0079】
図6上の第一帯電スリーブ31側にたわみを生じた場合、第一帯電スリーブ31と感光ドラム1との間隙を通過する磁性粒子35の量が変化し、それがゆえに第二帯電スリーブ32上の磁性粒子35のコート量自体が変わってしまう。よって例え第一帯電スリーブ31側だけが感光ドラムとの間隙を変えた場合にも第二帯電スリーブ32の帯電性能に影響を及ぼす。このことは帯電装置30全体の帯電電位の変化を引き起こす。以上の帯電電位の変化は帯電装置の設置直後から生じるものであり、初期特性としての画像の濃度変化を及ぼす。特にハーフトーン画像の場合の濃度変動が大きくなる。
【0080】
また、図6上の第二帯電スリーブ側にたわみを生じた場合、第一帯電スリーブ31から第二帯電スリーブ32に受け渡される部分である図16中35c部に磁性粒子がたまってしまう。その磁性粒子のたまりにより感光ドラム1の削れが非常に大きくなる。このことは感光ドラムの膜厚を変化させ、同じ光量の露光が行われても、大きく削れが生じて膜厚の小さくなった場合、膜厚の小さくなった部分は感光ドラム上の露光電位の絶対値が大きくなり、画像形成装置の出力画像としては高濃度となってしまう。これは前期の帯電電位の変化と比較して、長期的な濃度変動が起こる。
【0081】
一方、設定温度より低くなった場合の枠体36の熱収縮による帯電スリーブのたわみにも同様の効果があることは明らかである。
【0082】
また、この第二帯電スリーブの移動に関して、ある所定範囲内で移動させることが好ましい。なぜならば受け渡し状態の安定性を図るために、2つの帯電スリーブをより近接させた場合には、帯電スリーブ間の間隙が、例えば300〜500μm程度の場合がある。
【0083】
この場合、スリーブ間隙が大きく振れると受け渡し状態の安定が図れなくなる。そこで、図1、図2中に示すように、2つのスリーブが近づく場合でも離間していく場合においても、ある制限範囲を設け、支持部材40上のストッパ部40dで過剰な近接を抑え、もう一方のストッパ部40eで過剰な離間を抑える。これらのストッパ部を設けることにより、第二帯電スリーブの過剰な移動を抑え、受け渡し状態の安定化を図っている。
【0084】
また、規制ブレード37により磁性粒子量を規制される第一の帯電スリーブ側は感光ドラムの周方向への移動がない。したがって、第一の帯電スリーブ内のマグネットの磁極の位置が感光ドラムに対してずれないため、磁性粒子を第一の帯電スリーブと感光ドラムとのニップ部に安定して供給することができ帯電性を十分に得ることができる。なお、第一の帯電スリーブから磁性粒子を受け渡される第二の帯電スリーブ側は枠体36の熱膨張により多少周方向へ動くことになるが、第一の帯電スリーブより安定した磁性粒子の供給がされているため帯電性に影響を与えない。
【0085】
ここで、具体的な数値を挙げて示す。枠体を線膨張係数8.0×10−5/℃のABS樹脂で構成し、第一および第二帯電スリーブの直径をφ16mmとし、スリーブ間隔を1mmとした場合に、設定温度から30℃上昇した場合、両スリーブ間で最大約70μm変位する。ここで、最大値と呼称した値は第二帯電スリーブを枠体36に保持する軸受け部36bにおいて、第一帯電スリーブに近い部分、遠い部分で変位に差があるためであり、上記最大値は軸受け部36bの第一帯電スリーブから遠い部分の変位であり、この部分に第二帯電スリーブが倣った場合の値である。
【0086】
この枠体の変形に対して特許文献1の構成を適用した場合において、側板を線膨張係数1.16×10−5/℃の電気亜鉛めっき鋼板で構成した際には穴位置間の変位は約7μmとなる。すなわち上記枠体変形との差が63μmであり、この変形差は吸収しきれずに2つのスリーブの少なくとも一方がたわんでしまう。第一帯電スリーブがたわんだ場合には規制ブレード37との間隔がスリーブ長手方向で変化するため、コート量が変化する。あるいは第二帯電スリーブがたわんだ場合には第二帯電スリーブと感光ドラムの間隙あるいは第一帯電スリーブとの間隙が変化することで、第二帯電スリーブのコート量が変化する。これらのコート量変化に対する問題点は上述した通りである。なお、これらの変形量の算出に関しては、実際に用いた帯電装置内の各部の形状を有限要素解析による変形シミュレーションを用いた。
【0087】
また、本実施例のさらなる効果として、第一帯電スリーブ31の感光ドラム1への対向極の周方向の位置の安定化が挙げられる。
【0088】
本発明が解決しようとする課題の項で述べたように、
特許文献2の現像装置の位置決め方法を図6の帯電装置に適用した場合の問題点として
帯電スリーブ内の固定マグネット33の感光ドラム対向磁極33a感光ドラム上の周方向位置が不安定となり、結果として第二帯電スリーブの磁性粒子のコート量が変化する。このことは第二帯電スリーブ32の帯電性能に影響を及ぼす。このことは帯電装置30全体の帯電電位の変化を引き起こし、初期特性としての画像の濃度変化を及ぼす。特にハーフトーン画像の場合の濃度変動が大きくなる。
【0089】
また、磁極33aの位置が移動することで、第一帯電スリーブ31と第二帯電スリーブ32と感光ドラム1との空間35cに磁性粒子のたまる量が大きくなり、感光ドラム1の削れが非常に大きくなる。これは感光ドラムの膜厚を変化させ、同じ光量の露光が行われても、大きく削れが生じて膜厚の小さくなった場合、膜厚の小さくなった部分は高濃度となってしまう。これは前述の帯電電位の変化と比較して、長期的な濃度変動が起こる。
【0090】
この従来の現像装置を今回の帯電装置に応用した場合の問題点についても、本実施例の帯電装置で解決ができた。図1中のAおよびB方向(感光ドラムの周方向)に第一帯電スリーブ31が移動することが位置決め部40a,40b,45a,45bで規制され,第一帯電スリーブ内固定マグネット33の感光ドラム対向極33aの周方向位置が安定していることで、第二帯電スリーブコート量が安定して初期特性としての画像の濃度変動を抑え、かつ2つのスリーブと感光ドラムとの空間での磁性粒子のたまりが抑えられることで長期的な濃度変動をも抑えることができる。
【0091】
ここで、たまりが生じた場合のドラム削れについてデータを示す。
【0092】
磁性粒子としては、平均粒径が10〜100μm、飽和磁化が20〜250emu/cm、抵抗が10〜1010Ω・cmのものが好ましい。帯電能を良くするには、できるだけ抵抗の低いものを用いる方が良いが、感光ドラムにピンホールのような絶縁の欠陥が存在することを考慮すると10Ω・cm以上のものを用いることが好ましい。本実施例では、フェライト表面を酸化、還元処理して抵抗調整を行い、更にカップリング処理を施し、平均粒径が25μm、飽和磁化が200emu/cm、抵抗が5×10Ω・cmのものを磁性粒子として用いた。
【0093】
本実施例では、純粋に帯電装置による削れのみを抽出するため、図6の感光ドラム1の周りは、磁気ブラシ帯電装置30および前露光ランプ8のみとし、他は除去した。
【0094】
前露光ランプには波長660nmのLEDを用い、前露光用電源81で20Vの電圧を印加することによって、約370Lux.sec.の光量で感光ドラム1を露光させた。
【0095】
感光ドラム1の直径はφ80mm、回転速度は表面周速で400mm/secであり、第一帯電スリーブ31、第二帯電スリーブ32とも直径はφ16mmで、表面をアランダム#180でブラスト処理したものを用いた。帯電スリーブ31、32と感光ドラム1との間隙は約340μm、帯電スリーブ32と磁性部材の規制ブレード37との間隙は約600μmとなるように設定した。なお、ブレード37は非磁性でもよいが、その場合にはブレードに対向する位置近くに固定マグネット33の極位置を配置せずに、磁性粒子の穂が寝ている個所で規制する方がよく、この場合には帯電スリーブ32とブレード37の間隔は約250μm程度にした方がよい。
【0096】
帯電枠体内には、磁性粒子を100g投入した。帯電時には、第一帯電スリーブ31には帯電バイアス装置36によって、直流電圧−600V、交流電圧300Vpp、周波数1kHzの帯電バイアスを印加し、第二帯電スリーブ32には、直流電圧−500V、交流電圧300Vpp、周波数1kHzの帯電バイアスを印加した。
【0097】
このとき、上記回転速度の組み合わせにおいて、各々の帯電スリーブの磁性粒子担持量は、約65[mg/cm]であった。
【0098】
以上の条件において、A4用紙で70000枚相当の空回転耐久を行い、その前後での感光ドラム1の表層膜厚の差をドラム磨耗量として求めた。ただし、色々な構成での評価が可能なように削れ量は10000枚当たりの磨耗量として示す。
【0099】
ドラム表層膜厚には干渉膜厚計(大塚電子株式会社製)を用い、感光ドラムの長手方向についてドラム中央部から両端に向けて4cmおきに7点で膜厚測定を行った。
【0100】
ここで、本実施例の位置決め方法を用いた場合と、特許文献2の方式の両スリーブを突き当てコロによる方式で位置決めをした場合とでドラム削れ量を比較してみた。
【0101】
上記実験によって得られた結果を長手方向に平均した場合、本実施例の場合は感光ドラム削れ量は約6Å/10000枚であった。これに対して両スリーブ突き当てコロ構成の場合は値にバラつきがあり、大きい場合は約39Å/10000枚に達する場合もあった。このドラム削れ量は、露光電位に影響を与えることは前述した通りであり、長期的な濃度変動に直結する。
【0102】
また、この両コロ宛ての帯電装置を調査した結果、この削れ量が大きくなる原因は第一帯電スリーブと第二帯電スリーブとの間に磁性粒子のたまりが生じたためであった。よって、本実施例の構成においては磁性粒子のたまりが無く感光ドラムの削れも少ない。そのため、本実施例の帯電装置を備えた画像形成装置において長期的な濃度変動を抑えることができた。
【0103】
なお、本実施例の帯電装置の2つの帯電スリーブを駆動する手段について図7を用いて説明する。
【0104】
図7は第一および第二帯電スリーブを駆動するギア列を説明する図である。
【0105】
図7において、81は第一帯電スリーブに取り付けられてともに回転する第一スリーブギア、82は第二帯電スリーブに取り付けられてともに回転する第二スリーブギア、83は第一スリーブギアおよび第二スリーブギアを同時に回転させる帯電装置に設けられる第一アイドラギア、84は第一アイドラギアを回転させる帯電装置に設けられる第二アイドラギア、85は画像形成装置から帯電装置に駆動を伝達するための駆動入力ギアである。第一スリーブギア81、第二スリーブギア82、第一アイドラギア83、第二アイドラギア84等の駆動部は枠体36に設けられている。そして、駆動入力ギア85は枠体36の外部に設けられている。ここで、各スリーブ径を同一として、各スリーブ周速を同一とするため、第一スリーブギア81および第二スリーブギア82の歯数を同一とした。
【0106】
駆動するトルクについて述べると、規制ブレードが近接される第一帯電スリーブ31の駆動トルクの方が第二帯電スリーブのそれよりも大きい。特に規制ブレードを非磁性のものとし、第一帯電スリーブ31に近接させる場合には磁性ブレードで規制する場合よりも大きくなる。その場合、駆動の伝達によって帯電装置30が受ける力も大きくなるため、画像形成装置本体側からの駆動伝達方向を工夫する必要がある。
【0107】
そこで、帯電装置自体を感光ドラム方向に押し下げる、すなわち各磁性粒子担持体を位置決め部材に押し付けるように設定し、第一帯電スリーブの駆動に大きなトルクが必要になった際にも帯電装置自体の位置の安定を図った。具体的には、図7に示すように、2つのスリーブの中心軸を結んだ線L1に対して垂直な線を二つのスリーブの中心から引いた時に、当該二つの垂線L2、L3の間に駆動入力ギア85と帯電装置側の被入力側のギアである第二アイドラギア84が噛み合う位置fを存在するようにする。そして、その噛み合い位置で第二アイドラギア84に働く駆動力が図7中の矢印Fのように感光ドラム1側に作用するようにした。
【0108】
ここで、帯電装置の重要な特性である、各スリーブと感光ドラム1との間隙の保証について述べる。この間隙の保証は上記支持部材40,45の各支持面と感光ドラム支持部40f,45fの加工精度で保証することで可能であるが、より精密な位置決めが必要な場合、所定の間隙となるように、各帯電スリーブに取り付けられるコロの径を変更することもできる。この場合、コロの径は±10μm程度で成型あるいは切削可能であり、間隙をより精密に保証できる。さらにこの変形例として、支持部材40,45と各スリーブを受ける面、例えばV字形状である40aと40b,および45aと45bを別体化し、支持部材の感光ドラム支持部40f,45fとの位置調整を行うことでも精密な間隙の保証が可能となる。この場合、帯電装置30を組み立てた状態で、例えばスリーブ表面と感光ドラム表面の実際の間隙を計測して調整を行ってもよく、あるいは、各支持部の面を3次元測定を行って間隙の値を予測して調整することも可能である。
【0109】
また、図1に示した感光ドラム1の回転方向は帯電装置の各スリーブの回転方向とは逆方向であり、発明が解決しようとする課題の項に述べたように、この場合には磁性粒子のたまりが生じ易い傾向があり、本実施例のたまり防止の効果はより明確となる。しかし、感光ドラム回転方向が帯電スリーブと順方向、つまり図1の矢印とは逆の方向を向いていても、コート安定効果および組立て性に関する効果は全く同等である。
【0110】
また、前述でa−Si感光ドラムを説明上用いているが、有機感光体であっても本実施例の帯電装置を用いることも可能である。
【0111】
また、各帯電スリーブ端部に設けられたコロを位置決め面に接触させる押圧手段としては図5に示すような押圧部61,63と圧縮バネ62,64で構成してもよい。この場合には図4に示すように押圧部材をネジ止めする場合に比較して押圧力を調整し易いという利点がある。
【0112】
以上述べたように、本実施例の帯電装置においては、
良好な組立て性を達成し、
磁性粒子規制ブレード側の第一帯電スリーブを感光ドラム移動方向の上流側へも下流側へも移動を抑制し、第二帯電スリーブに自由度を持たせたために、磁性粒子コート量を安定させ、初期特性としても、長期使用時の特性としても濃度変動を抑えることができる。
【0113】
また、各スリーブ駆動に大きなトルクが必要となる場合においても各帯電スリーブと感光ドラムとの間隙を精密に保証できる。
【実施例2】
【0114】
以下に本発明の第二の実施例を図10、図11を用いて説明する。
【0115】
本実施例は第一の実施例に比較して、第二帯電スリーブの感光ドラムとの間隙を決定する位置決め部が異なる。この位置決め部以外の構成は第一および第二の実施例ともに同様であるため、第一の実施例と同様な動作、効果については説明を省略する。
【0116】
図10および図11は本発明の帯電装置における第一帯電スリーブおよび第二帯電スリーブの位置決め構成を説明する図である。
【0117】
まず、図10を用いて本発明の帯電装置の第一および第二帯電スリーブの位置決め方法について説明する。これらの図では位置決め部は図面手前側の各スリーブ端部についてのみ図示してあるが、図面奥側の端部の位置決め部についても同等であるためこの説明を省略する。
【0118】
図10において、101は感光ドラム、130は帯電装置、131は第一帯電スリーブ、132は第二帯電スリーブ、140は感光ドラム101と帯電装置130を図上手前側の端部において同時に位置決めする位置決め部材である。また、141は第一帯電スリーブに取り付けられた端部位置決めコロ、142は第二帯電スリーブに取り付けられた端部位置決めコロである。140a,140bは第一帯電スリーブの位置決め部、140cは第二帯電スリーブ132の感光ドラム101との間隙を決める位置決め部、140dは第二帯電スリーブ132が第一帯電スリーブ131に所定距離以内に近接することを制限する近接ストッパ部、140eは第二帯電スリーブ132が第一帯電スリーブ131と所定距離以上に離間することを制限する離間ストッパ部、140fは感光ドラム101が保持される軸受部である。
【0119】
以下に本実施例の動作について説明する。
【0120】
ここで第一帯電スリーブ131と第二帯電スリーブ132の磁性粒子の規制および受け渡し状態などは第一の実施例と同様である。
【0121】
第一の実施例と異なる部分として、140cの第二帯電スリーブ132と感光ドラム101の間隙を決定する位置決め部が異なる。ここで、位置決め部140cはコロ142が突き当たる平面で構成されることは第一の実施例と同様であるが、この面の成す角度が、第二帯電スリーブ132と感光ドラム101の最近接位置での感光ドラム表面の接線方向と平行である。言い換えれば、第二帯電スリーブ132と感光ドラム101の最近接位置での各中心を結ぶ直線と位置決め部140cの面が垂直である。
【0122】
また、この最近接位置を第二帯電スリーブの設定温度での基準位置とする。ここで、第一の実施例に挙げた第一帯電スリーブと第二帯電スリーブの距離が変化する際に第二帯電スリーブが基準位置から移動することで、第一の実施例に比較して第二帯電スリーブ132と感光ドラム101の間隙の変化を微小にできる。このことは第二帯電スリーブの帯電能力の安定性が高いことを示し、第一の実施例に比較して画像の濃度安定を図ることができる。
【0123】
さらにこの第二帯電スリーブの感光ドラムとの間隙保証構成に関しての変形例を図11に示す。
【0124】
図11は、図10同様に位置決め部は図面手前側の各スリーブ端部についてのみ図示してあるが、図面奥側の端部の位置決め部についても同等であるためこの説明を省略する。
【0125】
図11において、201は感光ドラム、230は帯電装置、231は第一帯電スリーブ、232は第二帯電スリーブ、240は感光ドラム201と帯電装置230を図上手前側の端部において同時に位置決めする位置決め部材である。また、241は第一帯電スリーブに取り付けられた端部位置決めコロ、242は第二帯電スリーブに取り付けられた端部位置決めコロである。240a,240bは第一帯電スリーブの位置決め部、240cは第二帯電スリーブ232の感光ドラム201との間隙を決める位置決め部、240dは第二帯電スリーブ232が第一帯電スリーブ231に所定距離以内に近接することを制限する近接ストッパ部、240eは第二帯電スリーブ232が第一帯電スリーブ231と所定距離以上に離間することを制限する離間ストッパ部、240fは感光ドラム201が保持される軸受部である。
【0126】
図10と異なる部分として、240cの第二帯電スリーブ232と感光ドラム201の間隙を決定する位置決め部が異なる。ここで、位置決め部240cはコロ242が突き当たる円筒面で構成される。かつこの円筒面は感光ドラム201を取り付けた際に感光ドラム201表面と同心で間隙Dを成すように形成されている。
【0127】
ここで、第一帯電スリーブと第二帯電スリーブの距離が変化する際に、第一の実施例に比較して第二帯電スリーブ132と感光ドラム101の図11中の間隙dに変化が無い。このことは第二帯電スリーブの帯電能力の安定性が高いことを示し、第一の実施例および図10の構成に比較してさらに画像の濃度安定を図ることができる。
【0128】
円筒面を精度よく形成するには、位置決め部240を樹脂成型で作成する、あるいはアルミニウムなどをダイキャスト成型する、あるいはアルミニウムなどの金属材料を押し出し成型で作成するなどの手法が考えられ、十分に実現可能である。
【0129】
また、ここで、電子写真感光体が円筒状で無く、感光体ベルトの場合には感光体ベルトの第二帯電スリーブへの対向部位の形状に沿った等間隔で位置決め部を決定することでこの変形例の効果を達成できる。
【0130】
以上述べたように、本実施例の帯電装置においては、第一の実施例の効果に加えて、第二帯電スリーブの感光ドラムとの間隙をより精度よく保持できるために、帯電性能自体の安定化すなわち初期特性としての濃度変動をより抑えることができる。
【実施例3】
【0131】
以下に本発明の第三の実施例を図12、図13を用いて説明する。
【0132】
本実施例は第一の実施例に比較して、第二帯電スリーブの第一帯電スリーブに対する過剰な移動を規制するストッパ部を帯電装置の枠体内に設けたことを特徴としている。
【0133】
このストッパ部以外の構成は第一および第二の実施例ともに同様であるため、第一の実施例と同様な動作、効果については説明を省略する。
【0134】
図12は本実施例の帯電装置における第一帯電スリーブおよび第ニ帯電スリーブの位置決め構成を説明する図であり、図13は帯電装置内の帯電スリーブが取り付けられた枠体の構成を示す図である。
【0135】
図12、図13において、301は感光ドラム、330は帯電装置、331は第一帯電スリーブ、332は第二帯電スリーブ、340は感光ドラム301と帯電装置330を図上手前側の端部において同時に位置決めする位置決め部材である。また、341は第一帯電スリーブに取り付けられた端部位置決めコロ、342は第二帯電スリーブに取り付けられた端部位置決めコロである。340a,340bは第一帯電スリーブの位置決め部、340cは第二帯電スリーブ332の感光ドラム301との間隙を決める位置決め部である。
【0136】
また、336は第一帯電スリーブ331および第二帯電スリーブ332が取り付けられる枠体であり、336dは第二帯電スリーブ332が第一帯電スリーブ331に所定距離以内に近接することを制限する近接ストッパ部、336eは第二帯電スリーブ332が第一帯電スリーブ331と所定距離以上に離間することを制限する離間ストッパ部であり、338は第二帯電スリーブ332を枠体上保持される軸受け部336bごと近接ストッパ部方向に押圧する圧縮バネである。
【0137】
また本実施例では第二帯電スリーブ332の基準位置は圧縮バネ338で押圧されて近接ストッパ部336dで規制された位置としており、これ以上第二帯電スリーブが近接しないように形成されている。
【0138】
また、340fは感光ドラム301が保持される軸受部である。
【0139】
この第二帯電スリーブの移動に関して、ある所定範囲内で移動させることが好ましいことは第一の実施例においても述べた。この近接・離間を防止するストッパ部を枠体内に設けることで枠体内での第二帯電スリーブの移動の自由度を与えるものである。
【0140】
本実施例の動作としては、例えば熱変形あるいは衝撃などにより、第一帯電スリーブと、磁性粒子規制部材との間隙が経時的あるいは瞬間的に大きくなった場合、第一帯電スリーブ上の磁性粒子のコート量が増え、第一帯電スリーブと感光ドラムの間をすり抜けた磁性粒子が感光ドラムと2つのスリーブの間でのたまりが生じようとする。その際に磁性粒子による2つのスリーブおよび感光ドラムに対する圧力が高まる。この3者のうち、第二帯電スリーブが圧縮バネで加圧されているため、第二帯電スリーブのみが第一帯電スリーブとの離間方向に移動する。このことで磁性粒子のたまりを防止する。また、このコート量増加が解消されたまり部の磁性粒子の圧力が低下し、第二帯電スリーブ332は圧縮バネ338の押圧により基準位置に戻る。
【0141】
この一連の第二帯電スリーブの移動に関して、第二帯電スリーブと感光ドラム301との間隙の保証は位置決め部340cとコロ342の接触状態が不図示の押圧手段で保たれることで行われている。
【0142】
以上述べたように、本実施例の効果として、第一の実施例に付加して、第二帯電スリーブと第一帯電スリーブの間隙の経時的、瞬間的な変化に対しても磁性粒子のたまりを生じず、感光ドラムの削れを抑えることで出力画像の濃度変動を抑えることができる。
【実施例4】
【0143】
以下に本発明の第四の実施例を図14、図15を用いて説明する。
【0144】
本実施例は第一の実施例に比較して、第二帯電スリーブの感光ドラムに対する間隙の保持を感光ドラムに対する突き当てコロで行ったことを特徴としている。
【0145】
この突き当てコロ以外の構成は第一の実施例と同様であるため、第一の実施例と同様な動作、効果については説明を省略する。
【0146】
図14は本実施例の帯電装置における第一帯電スリーブおよび第二帯電スリーブの位置決め構成を説明する図であり、図15は帯電装置および電子写真感光体である感光ドラムの組立て後の状態を示す図である。
【0147】
図14、図15において、401は感光ドラム、430は帯電装置、431は第一帯電スリーブ、432は第二帯電スリーブ、440は感光ドラム401と帯電装置430を図上手前側の端部において同時に位置決めする位置決め部材である。また、441は第一帯電スリーブに取り付けられた端部位置決めコロ、442は第二帯電スリーブに取り付けられた端部位置決めコロである。440a,440bは第一帯電スリーブの位置決め部、451は第二帯電スリーブの端部でかつ上記コロ432よりも枠体436側に設けられた感光ドラムに対する突き当てコロである。
【0148】
なお、図15は感光ドラム401と突き当てコロ451との接触状態を示すために支持部材440と第一帯電スリーブ431の一部を省略して示してある。
【0149】
また、436は第一帯電スリーブ431および第二帯電スリーブ432が取り付けられる枠体であり、440dは第二帯電スリーブ432が第一帯電スリーブ431に所定距離以内に近接することを制限する近接ストッパ部、440eは第二帯電スリーブ432が第一帯電スリーブ431と所定距離以上に離間することを制限する離間ストッパ部である。
【0150】
また、440fは感光ドラム401が保持される軸受部である。
【0151】
ここで本実施例の帯電装置の動作について説明する。
【0152】
図14、15において、帯電装置430を支持部材440に取り付ける際は第一帯電スリーブ431端部に取り付けられたコロ441、446を位置決め面440a、445aにそれぞれ載せるように、一方、第二帯電スリーブ432端部に取り付けられた突き当てコロ451(対向する突き当てコロは不図示)を感光ドラム401表面に接触するように設置する。ここで突き当てコロ451は第二帯電スリーブの表面経、例えばφ16mmよりも所望のスリーブと感光ドラム間の間隔分直径が大きいコロとする。例えば上記間隔を340μmにしたい場合は直径φ16.68mmの突き当てコロを用いる。
【0153】
また、前記の4つのコロを位置決め面および感光ドラムに完全に接触する状態とするよう、不図示の押圧部材によって押圧される。この際に第一帯電スリーブ431側のコロの押圧部材と第二帯電スリーブの突き当てコロのための押圧部材を別とし、第二帯電スリーブの突き当てコロの押圧のために枠体436全体を例えば圧縮バネによって押圧してもよい。これは両方のスリーブを突き当てコロで位置決めする特許文献2に比較して、第一帯電スリーブ内固定マグネットの位置は動くことが無いため、感光ドラム対向極の移動によるコート量変化は生じない。
【0154】
また、第二帯電スリーブにはストッパ用コロ442も設けられており、ストッパ部440d、440eによって過剰な移動が規制されることは第一の実施例と同様である。
【0155】
本実施例特有の効果としては、第一帯電スリーブの移動を規制することによって第一の実施例と同様な効果があるとともに、第二帯電スリーブ表面と感光ドラムとの間隙をより精密に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】実施例1の位置決め部を説明する図
【図2】実施例1の帯電装置が組み立てられる前の状態を説明する図
【図3】実施例1の帯電装置が組み立てられた後の状態を説明する図
【図4】実施例1の押圧手段を説明する図
【図5】実施例1の他の押圧手段を説明する図
【図6】磁性粒子の流れを説明する図
【図7】実施例1の駆動系を説明する図
【図8】本発明の画像形成装置を示す図
【図9】従来の画像形成装置を示す図
【図10】実施例2の位置決め部を説明する図
【図11】実施例2の位置決め部の変形例を説明する図
【図12】実施例3の位置決め部を説明する図
【図13】実施例3の帯電部を説明する図
【図14】実施例4の位置決め部を説明する図
【図15】実施例4の帯電装置が組み立てられた後の状態を説明する図
【図16】磁性粒子の流れを説明する図
【図17】磁性粒子の流れを説明する図
【符号の説明】
【0157】
1,101,201,301,401,1001 感光ドラム
31,131,231,331,431,1031 第一帯電スリーブ
32,132,232,332,432,1032 第二帯電スリーブ
40,140,240,340,440 支持部材
35,1035 磁性粒子
37,337 ブレード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性粒子を担持する第一の磁性粒子担持体と、前記第一の磁性粒子担持体と前記被帯電体の対向部側における前記磁性粒子の搬送方向に対して下流側に位置し前記磁性粒子を担持する第二の磁性粒子担持体とを有し、前記磁性粒子は前記第一の磁性粒子担持体と前記第二の磁性粒子担持体とで共有して使用され、前記磁性粒子を被帯電体に接触させて前記被帯電体を帯電する帯電装置であって、
前記第一の磁性粒子担持体と前記被帯電体との対向部よりも前記磁性粒子の搬送方向上流側において前記第一の磁性粒子担持体上の磁性粒子の担持量を規制する規制部と、
前記第一の磁性粒子担持体を前記被帯電体の周方向に対して、移動を規制する第一の位置決め部と、
前記第二の磁性粒子担持体を前記被帯電体の周方向に対して、前記第一の磁性粒子担持体と前記第二の磁性粒子担持体とが所定の距離内となる範囲で移動を規制する第二の位置決め部を有する
ことを特徴とする帯電装置。
【請求項2】
前記第二の磁性粒子担持体は、前記第二の磁性粒子担持体と前記被帯電体との最近接位置における前記被帯電体の接線と平行方向に移動可能であることを特徴とする請求項1記載の帯電装置。
【請求項3】
前記第二の磁性粒子担持体は、前記第二の磁性粒子担持体と前記被帯電体とが常に所定の距離を保つように移動可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の帯電装置。
【請求項4】
前記第二の位置決め部は、前記第二の磁性粒子担持体を支持する枠体に存在していることを特徴とする請求項に1乃至3いずれかに記載の帯電装置。
【請求項5】
前記第一の位置決め部と前記第二の位置決め部は、前記被帯電体を保持する被帯電体保持部材に存在していることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の帯電装置。
【請求項6】
前記第一の位置決め部の形状と前記第二の位置決め部の形状は、前記被帯電体が存在する方向とは逆方向が開放された形状であることを特徴とする請求項5に記載の帯電装置。
【請求項7】
前記第二の磁性粒子担持体と前記被帯電体との間隙保持は、前記第二の磁性粒子担持体に設けられた突き当て部が前記被帯電体に接触することで行なわれることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の帯電装置。
【請求項8】
前記第一の磁性粒子担持体及び前記第二の磁性粒子担持体を回転させる共通の駆動部を前記第一の磁性粒子担持体及び前記第二の磁性粒子担持体を保持する枠体に備え、
前記枠体の外部から前記駆動部に伝達される駆動力の力の向きが、被帯電体の方向を向いていることを特徴とする請求項1乃至7いずれか記載の帯電装置。
【請求項9】
前記第一の磁性粒子担持体の内部及び、前記第二の磁性粒子担持体の内部にそれぞれ磁界発生手段を有し、
前記第一の磁性粒子担持体と前記第二の磁性粒子担持体の対向する部分において、それぞれの前記磁界発生手段の磁極は逆極性であることを特徴とする請求項1乃至8いずれか記載の帯電装置。
【請求項10】
前記被帯電体は像担持体であり、前記像担持体と請求項1乃至9のいずれかに記載の帯電装置を備え、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジ。
【請求項11】
請求項1乃至9いずれか記載の帯電装置を備え、前記被帯電体は像担持体であることを特徴とする画像形成装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性粒子を担持する第一の磁性粒子担持体と、前記第一の磁性粒子担持体と前記被帯電体の対向部側における前記磁性粒子の搬送方向に対して下流側に位置し前記磁性粒子を担持する第二の磁性粒子担持体とを有し、前記磁性粒子は前記第一の磁性粒子担持体と前記第二の磁性粒子担持体とで共有して使用され、前記磁性粒子を被帯電体に接触させて前記被帯電体を帯電する帯電装置であって、
前記第一の磁性粒子担持体と前記被帯電体との対向部よりも前記磁性粒子の搬送方向上流側において前記第一の磁性粒子担持体上の磁性粒子の担持量を規制する規制部と、
前記第一の磁性粒子担持体を前記被帯電体の周方向に対して、移動を規制する第一の位置決め部と、
前記第二の磁性粒子担持体を前記被帯電体の周方向に対して移動可能にするが、前記被帯電体の当接方向に対しては移動を規制するする第二の位置決め部を有する
ことを特徴とする帯電装置。
【請求項2】
前記第二の磁性粒子担持体は、前記第二の磁性粒子担持体と前記被帯電体との最近接位置における前記被帯電体の接線と平行方向に移動可能であることを特徴とする請求項1記載の帯電装置。
【請求項3】
前記第二の磁性粒子担持体は、前記第二の磁性粒子担持体と前記被帯電体とが常に所定の距離を保つように移動可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の帯電装置。
【請求項4】
前記第二の磁性粒子担持体が前記第一の磁性粒子担持体方向に近接しないようにする位置決め部の方向に前記第二の磁性粒子担持体を押圧する押圧部材を有することを特徴とする請求項に1乃至3いずれかに記載の帯電装置。
【請求項5】
前記第一の位置決め部と前記第二の位置決め部は、前記被帯電体を保持する被帯電体保持部材に存在していることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の帯電装置。
【請求項6】
前記第一の位置決め部の形状と前記第二の位置決め部の形状は、前記被帯電体が存在する方向とは逆方向が開放された形状であることを特徴とする請求項5に記載の帯電装置。
【請求項7】
前記第二の磁性粒子担持体と前記被帯電体との間隙保持は、前記第二の磁性粒子担持体に設けられた突き当て部が前記被帯電体に接触することで行なわれることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の帯電装置。
【請求項8】
前記第一の磁性粒子担持体及び前記第二の磁性粒子担持体を回転させる共通の駆動部を前記第一の磁性粒子担持体及び前記第二の磁性粒子担持体を保持する枠体に備え、
前記枠体の外部から前記駆動部に伝達される駆動力の力の向きが、被帯電体の方向を向いていることを特徴とする請求項1乃至7いずれか記載の帯電装置。
【請求項9】
前記第一の磁性粒子担持体の内部及び、前記第二の磁性粒子担持体の内部にそれぞれ磁界発生手段を有し、
前記第一の磁性粒子担持体と前記第二の磁性粒子担持体の対向する部分において、それぞれの前記磁界発生手段の磁極は逆極性であることを特徴とする請求項1乃至8いずれか記載の帯電装置。
【請求項10】
請求項1記載の帯電装置において、
前記第一の磁性粒子担持体と、前記第二の磁性粒子担持体は同一の枠体に支持されていることを特徴とする。
【請求項11】
請求項1記載の帯電装置において、
前記第一の位置決め部は、前記第一の磁性粒子担持体を前記被帯電体の当接方向に対して動かないように規制をする。
【請求項12】
前記被帯電体は像担持体であり、前記像担持体と請求項1乃至9のいずれかに記載の帯電装置を備え、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジ。
【請求項13】
請求項1乃至9いずれか記載の帯電装置を備え、前記被帯電体は像担持体であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2006−162961(P2006−162961A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−354185(P2004−354185)
【出願日】平成16年12月7日(2004.12.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】