説明

常温超音波抽出装置

本発明は、常温超音波抽出装置に係り、抽出槽に収容された蚕沙などの被抽出物から抽出される葉緑素などの抽出物が破壊される心配を払拭し易く、さらに、2つの前記抽出槽を用いて一層多量の葉緑素などの抽出物を抽出することができるだけではなく、人体に有害な物質であるオゾンなどが蚕沙などの被抽出物に混入する虞がなくなる他、これにより、蚕沙などの被抽出物からオゾンなどの有害物質を除去するための別途の精製工程を行うことが不要になるという効果がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抽出槽に収容された蚕沙などの被抽出物から抽出される葉緑素などの抽出物が破壊される心配を払拭し易く、さらに、2つの前記抽出槽を用いて一層多量の葉緑素などの抽出物を抽出することができるだけではなく、人体に有害な物質であるオゾンなどが蚕沙などの被抽出物に混入する虞がなくなる他、これにより、蚕沙などの被抽出物からオゾンなどの有害物質を除去するための別途の精製工程を行うことが不要になる常温超音波抽出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人体に有用な物質を含有する植物性または動物性の物質から人体に有用な物質のみを抽出するために一般的に採用される抽出方法としては、主として、高温の熱湯中に前記物質と抽出用の溶媒剤の双方を入れて沸騰した後、これを精製する方法が汎用されている。
【0003】
しかしながら、かような抽出方法の場合には、人体に有用な物質が、たんぱく質系成分であるか、あるいは、加熱時に変性若しくは破壊される物質である場合には、前記物質が高温で破壊されてしまうため、必ずしも好適な抽出方法であるとはいえない。この理由から、最近、常温における超音波を用いた抽出方法が提案されており、これに関する研究が盛んになされている。
【0004】
一方、近年、超音波を発生させるための振動子が直接的に抽出対象物に接触されるようにして、超音波照射の均一性を改善した超音波抽出装置(以下、「従来技術1」と称する。)及び超音波振動子において発生した超音波の強度を高めるための超音波抽出装置(以下、「従来技術2」と称する。)が提案されている。
【0005】
しかしながら、前記従来技術1および2は、振動子と抽出対象物とが直接的に接触するものであり、振動子において超音波が発生するとき、気泡とともに発生する人体に有害な物質であるオゾンなどが抽出対象物に混入して最終的な抽出物にも人体に有害な物質が存在してしまうという問題点があり、これを除去するために、別途の精製工程を行うことを余儀なくされるという問題点がある。
【0006】
上述の問題点を解消するために、最近には、常温で抽出工程を行うことができ、振動子と抽出対象物とが直接的に接触しないことから、超音波の発生時の不純物が抽出物に混入されることを防ぐ超音波抽出装置(以下、「従来技術3」と称する)が提案されている。
【0007】
しかしながら、前記従来技術3は、水タンクの内部の一方側に設けられた透過板と、前記水タンクの外部に露出されるように前記水タンクの一方側に設けられた振動子との間に収容された水などの超音波伝達物質が前記振動子から熱を受けて昇温する場合、昇温した前記超音波伝達物質の高温の熱が前記水タンクの内部に収容された被抽出物に伝導されて被抽出物から抽出される抽出物を破壊するだけではなく、これにより、抽出物の抽出量も低減してしまうという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上述した問題点を解消するためになされたものであり、その目的は、抽出槽に収容された蚕沙などの被抽出物から抽出される葉緑素などの抽出物が破壊される心配を払拭し易く、さらに、2つの前記抽出槽を用いて一層多量の葉緑素などの抽出物を抽出することができるだけではなく、人体に有害な物質であるオゾンなどが蚕沙などの被抽出物に混入する虞がなくなる他、これにより、蚕沙などの被抽出物からオゾンなどの有害物質を除去するための別途の精製工程を行うことが不要になる常温超音波抽出装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、2つの抽出槽と2つの前記抽出槽との間に設けられて2つの前記抽出槽内に超音波を発生させる超音波発生部を備え、前記超音波発生部は、内部に冷却水が収容される空間が設けられ、冷却水が流入及び排出される流入口及び排出口がそれぞれ形成される胴体と、前記胴体の空間内に設けられて超音波を発生させる振動子と、を備え、2つの前記抽出槽と、前記超音波発生部の胴体との間に透過板が設けられることを特徴とする常温超音波抽出装置を提供する。
【0010】
ここで、好ましくは、前記常温超音波抽出装置には、前記超音波発生部の胴体の内部に設けられた前記空間に収容された冷却水を前記流入口と排出口を介して強制的に循環させる循環ポンプが設けられる。
【0011】
さらに、好ましくは、前記超音波発生部の胴体の両側にそれぞれ一方及び他方の貫通口が形成され、2つの前記抽出槽のうちの前記抽出槽の他方側に他方の貫通口が形成され、2つの前記抽出槽のうちの前記抽出槽の一方側に一方の貫通口が形成され、前記超音波発生部の一方の貫通口と2つの前記抽出槽のうちの前記抽出槽の他方の貫通口との間、及び前記超音波発生部の他方の貫通口と2つの前記抽出槽のうちの前記抽出槽の一方の貫通口との間にそれぞれ前記透過板が設けられる。
【0012】
さらに、好ましくは、前記超音波発生部の振動子は、前記胴体の内部に設けられる前記空間の中心部に設けられる。
さらに、好ましくは、前記超音波発生部の振動子には、冷却水疎通口が形成される。
【0013】
加えて、前記常温超音波抽出装置には、2つの前記抽出槽の内部に収容された被抽出物及び溶媒を撹拌する撹拌部がそれぞれ設けられ、前記撹拌部は、2つの前記抽出槽の内部に回転自在にそれぞれ立設される回転軸と、前記回転軸と軸結合された状態で2つの前記抽出槽の上部にそれぞれ設けられて前記回転軸を回転させる駆動モーターと、前記回転軸に等間隔にて設けられ、前記駆動モーターによって回転する前記回転軸につれ回転する撹拌羽根と、を備える。
【0014】
さらに、好ましくは、前記超音波発生部の流入口は、前記胴体の下部の一方側に形成され、前記超音波発生部の排出口は、前記胴体の上部の他方側に形成される。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、超音波発生部の振動子から熱を受けた冷却水が超音波発生部の胴体の流入口及び排出口に流入及び排出されて循環されることから、前記冷却水から高温の熱が発生する心配を払拭することができ、これにより、抽出槽に収容された蚕沙などの被抽出物から抽出される葉緑素などの抽出物が前記冷却水の高温の熱によって破壊される心配をより一層容易に払拭することができる。さらに、2つの前記抽出槽を用いて一層多量の葉緑素などの抽出物を抽出することができるだけではなく、人体に有害な物質であるオゾンなどが蚕沙などの被抽出物に混入する虞がなくなる他、これにより、蚕沙などの被抽出物からオゾンなどの有害物質を除去するための別途の精製工程を行うことが不要になるという効果がある。
【0016】
また、循環ポンプを用いて前記超音波発生部の胴体の内部に設けられた空間に収容された前記冷却水を前記流入口と排出口を介して一層容易に強制循環させることができるだけではなく、これにより、前記振動子によって前記冷却水から高温の熱が発生する心配を一層容易に払拭することが可能になるという効果がある。
【0017】
さらに、前記超音波発生部の一方の貫通口と前記抽出槽の他方の貫通口との間、及び前記超音波発生部の他方の貫通口と前記抽出槽の一方の貫通口との間にそれぞれ設けられる透過板を介して前記超音波発生部の振動子が発生させた超音波を蚕沙などの被抽出物に一層容易に伝導することができ、とりわけ、人体に有害な物質であるオゾンなどが前記透過板を通過することができないので、蚕沙などの被抽出物にオゾンなどの有害物質が混入する心配を一層容易に払拭することが可能になるという効果がある。
【0018】
さらに、前記超音波発生部の振動子が前記胴体の内部に設けられる空間の中心部に設けられるので、2つの前記抽出槽に均一に超音波を伝達することができ、前記冷却水を用いた前記振動子の冷却効率も大幅に上がるという効果がある。
【0019】
加えて、前記超音波発生部の振動子に形成される冷却水疎通口を介して、前記空間の一方側の内部に収容された冷却水と、前記空間の他方側の内部に収容された冷却水とが一層円滑に熱交換され、その結果、前記振動子の冷却効率もより一層向上するという効果がある。
【0020】
そして、2つの前記抽出槽にそれぞれ設けられる撹拌部を用いて、2つの前記抽出槽の内部にそれぞれ収容された蚕沙などの被抽出物及びエタノールなどの溶媒を一層容易に撹拌することができ、これにより、蚕沙などの被抽出物からの葉緑素などの抽出物の抽出効率がより一層向上するという効果がある。
【0021】
さらに、前記超音波発生部の流入口が前記胴体の下部の一方側に形成され、前記超音波発生部の排出口が前記胴体の上部の他方側に形成されるので、前記空間の一方側の内部に収容された冷却水と、前記空間の他方側の内部に収容された冷却水とがより一層円滑に熱交換され、その結果、前記振動子の冷却効率もより一層向上するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の一実施形態による常温超音波抽出装置を概略的に示す構成図であり、
【図2】図2は、図1の抽出槽と超音波発生部を概略的に示す斜視図であり、
【図3】図3は、図1の抽出槽と超音波発生部の内部状態を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面に基づき、本発明の好適な実施形態を詳述する。もちろん、本発明の権利範囲は、後述する実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的要旨を逸脱しない範囲内において、当該技術分野における通常の知識を持った者によって種々に変形可能である。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態による常温超音波抽出装置を概略的に示す構成図であり、図2は、図1の抽出槽10、30と超音波発生部50を概略的に示す斜視図である。
【0025】
本発明の一実施形態による常温超音波抽出装置は、図1及び図2に示すように、大きく、2つの抽出槽10、30と、超音波発生部50と、を備えてなる。
まず、2つの前記抽出槽10、30の内部には、作業者によって蚕沙などの被抽出物とともにエタノールなどの溶媒が所定の高さまで収容される。
【0026】
2つの前記抽出槽10、30のうちの前記抽出槽10の上部の一方側には、前記抽出槽10の内部と連通される投入管12が立設されてもよい。
前記投入管12を介して、前記抽出槽10の内部に、蚕沙などの被抽出物とともにエタノールなどの溶媒が所定の高さまで収容されてもよい。
【0027】
前記抽出槽10の下部の中心部には、前記抽出槽10の内部と連通される排出管14が立設されてもよい。
前記排出管14を介して、前記抽出槽10の内部に収容された蚕沙などの被抽出物とともにエタノールなどの溶媒が外部に排出されてもよい。
【0028】
前記排出管14には、制御部(図示せず)の制御によって前記排出管14を開閉する開閉弁(図示せず)が設けられてもよい。
前記抽出槽10の他方の面には、前記超音波発生部50の一方の面に向かって水平に延びる他方の水平管16が形成されてもよい。
【0029】
前記他方の水平管16の外周縁には、環状の他方のフレンジ部161が立設されてもよい。
2つの前記抽出槽10、30のうちの前記抽出槽30の上部の他方側には、前記抽出槽30の内部と連通される投入管32が立設されてもよい。
【0030】
前記投入管32を介して、前記抽出槽30の内部に、蚕沙などの被抽出物とともにエタノールなどの溶媒が所定の高さまで収容されてもよい。
前記抽出槽30の下部の中心部には、前記抽出槽30の内部と連通される排出管34が立設されてもよい。
【0031】
前記排出管34を介して、前記抽出槽30の内部に収容された蚕沙などの被抽出物とともにエタノールなどの溶媒が外部に排出されてもよい。
前記排出管34には、制御部(図示せず)の制御によって前記排出管34を開閉する開閉弁(図示せず)が設けられてもよい。
【0032】
前記抽出槽30の一方の面には、前記超音波発生部50の他方の面に向かって水平に延びる一方の水平管36が形成されてもよい。
前記一方の水平管36の外周縁には、環状の一方のフレンジ部361が立設されてもよい。
【0033】
図3は、図1の抽出槽10、30と超音波発生部50の内部状態を概略的に示す断面図である。
次いで、前記超音波発生部50は、2つの前記抽出槽10、30の間に設けられて2つの前記抽出槽10、30内に超音波を発生させる。
前記超音波発生部50は、図3に示すように、胴体510と振動子530とを備えてなる。
【0034】
前記胴体510の内部には、水などの冷却水が収容される空間511が設けられる。
前記胴体510の下部には、前記空間511の下側と連通される流入管520が立設されてもよい。
【0035】
前記流入管520の内部には、前記空間511に水などの冷却水を流入させる流入口513が形成されてもよい。
前記胴体510の上部には、前記空間511の上側と連通される排出管540が立設されてもよい。
【0036】
前記排出管540の内部には、前記空間511に流入した水などの冷却水を排出する排出口515が形成されてもよい。
前記胴体510の一方側には、前記空間511の一方側と連通される一方の水平管550が、前記抽出槽10の他方の面に向かって水平に延設されてもよい。
【0037】
前記一方の水平管550の外周縁には、前記抽出槽10の他方のフレンジ部161にボルトによって締め付けられる環状の一方のフレンジ部551が立設されてもよい。
前記胴体510の他方側には、前記空間511の他方側と連通される他方の水平管570が、前記抽出槽30の一方の面に向かって水平に延設されてもよい。
【0038】
前記他方の水平管570の外周縁には、前記抽出槽30の一方のフレンジ部361にボルトによって締め付けられる環状の他方のフレンジ部571が立設されてもよい。
前記振動子530は、前記胴体510の空間511内に立設されて超音波を発生させる。
前記振動子530は、図1に示すように、公知の発振器3と電圧調整器5から電源を供給されて超音波を発生させる。
【0039】
次いで、図3に示すように、2つの前記抽出槽10、30と、前記超音波発生部50の胴体510との間には、前記振動子530が発生させた超音波を2つの前記抽出槽10、30の内部に収容された蚕沙などの被抽出物及び溶媒に伝達する透過板70が立設されてもよい。
前記透過板70は、特に問わないが、アルミニウム製などのフィルム状に形成されてもよく、より一層様々な材質から形成されてもよい。
【0040】
次いで、図3に示すように、前記超音波発生部50の胴体510の内部に設けられた前記空間511に収容された水などの冷却水を前記流入口513と排出口515を介して強制的に循環させる循環ポンプ90が設けられてもよい。
より具体的に、前記胴体510の流入管520と排出管540との間には、循環管590が設けられてもよい。
【0041】
前記循環管590の上端部は前記排出管540の上端部に固着されていてもよく、前記循環管590の下端部は前記流入管520の下端部に固着されていてもよい。
【0042】
前記循環ポンプ90は、前記循環管590と連通されるように前記循環管590の中心部に設けられた状態で、制御部(図示せず)の制御によって駆動されて、前記流入口513と排出口515を介して前記空間511に収容された水などの冷却水が前記循環管590と前記空間511を強制循環できるようにする。
【0043】
前記循環ポンプ90を用いて、前記超音波発生部50の胴体510の内部に設けられた前記空間511に収容された水などの前記冷却水を前記流入口513と排出口515を介してより一層容易に強制循環させることができ、これにより、前記振動子530によって水などの前記冷却水から高温の熱が発生する心配を一層容易に払拭することができるというメリットがある。
【0044】
次いで、前記超音波発生部50の胴体510の両側には、一方及び他方の貫通口512、514が形成されてもよい。
前記一方の貫通口512は、前記胴体510の一方の水平管550内に形成されてもよい。
【0045】
前記他方の貫通口514は、前記胴体510の他方の水平管570内に形成されてもよい。
次いで、2つの前記抽出槽10、30のうちの前記抽出槽10の他方側には、他方の貫通口111が形成されてもよい。
【0046】
前記他方の貫通口111は、前記抽出槽10の他方の水平管16内に形成されてもよい。
次いで、2つの前記抽出槽10、30のうちの前記抽出槽30の一方側には、一方の貫通口311が形成されてもよい。
前記一方の貫通口311は、前記抽出槽30の一方の水平管36内に形成されてもよい。
【0047】
次いで、前記超音波発生部50の一方の貫通口512と、2つの前記抽出槽10、30のうちの前記抽出槽10の他方の貫通口111との間には、前記透過板70が立設されてもよい。
【0048】
前記胴体510の空間511内に収容される冷却水が前記透過板70を通過して前記抽出槽10の内部に流入することを防ぐために、前記透過板70の上縁は、前記抽出槽10の他方のフレンジ部161の内周縁と前記超音波発生部50の一方のフレンジ部551の内周縁に気密性よく封止されてもよい。
【0049】
さらに、前記超音波発生部50の他方の貫通口514と、2つの前記抽出槽10、30のうちの前記抽出槽30の一方の貫通口311との間にも、前記透過板70が立設されてもよい。
【0050】
前記胴体510の空間511内に収容される冷却水が前記透過板70を通過して前記抽出槽30の内部に流入することを防ぐために、前記透過板70の上縁は、前記抽出槽30の一方のフレンジ部361の内周縁と前記超音波発生部50の他方のフレンジ部571の内周縁に気密性よく封止されてもよい。
【0051】
前記超音波発生部50の一方の貫通口512と前記抽出槽10の他方の貫通口111との間、及び前記超音波発生部50の他方の貫通口514と前記抽出槽30の一方の貫通口311との間にそれぞれ設けられる前記透過板70を介して、前記超音波発生部50の振動子が発生させた超音波を蚕沙などの被抽出物に一層容易に伝達することができ、とりわけ、人体に有害な物質であるオゾンなどが前記透過板70を通過することができないので、蚕沙などの被抽出物にオゾンなどの有害物質が混入する心配を一層容易に払拭することが可能になるというメリットがある。
【0052】
次いで、図3に示すように、前記超音波発生部50の振動子530は、前記胴体510の内部に設けられる前記空間511の中心部に立設されてもよい。
【0053】
前記超音波発生部50の振動子が前記胴体510の内部に設けられる前記空間511の中心部に立設されるため、2つの前記抽出槽10、30に均一に超音波を伝達することが可能になり、しかも、前記冷却水による前記振動子530の冷却効率も大幅に向上するというメリットがある。
【0054】
次いで、図3に示すように、前記超音波発生部50の振動子530には、両側が開放された冷却水疎通口531が上下方向に所定の間隔をあけて形成されてもよい。
【0055】
前記超音波発生部50の振動子530に形成される前記冷却水疎通口531を介して、前記空間511の一方側の内部に収容された冷却水と、前記空間511の他方側の内部に収容された冷却水とがより一層円滑に熱交換され、その結果、前記振動子530の冷却効率もなお一層向上するというメリットがある。
【0056】
次いで、図3に示すように、2つの前記抽出槽10、30には、その内部に収容された蚕沙などの被抽出物及びエタノールなどの溶媒を撹拌する撹拌部100がそれぞれ設けられてもよい。
【0057】
前記撹拌部100は、回転軸120と、駆動モーター140及び撹拌羽根160を備えていてもよい。
前記回転軸120は、2つの前記抽出槽10、30の内部に正逆転自在にそれぞれ立設されてもよい。
前記回転軸120の上端部は、2つの前記抽出槽10、30の上部にそれぞれ軸受が固定されてもよい。
【0058】
前記駆動モーター140は、2つの前記抽出槽10、30の上部の外部に露出されるように、前記回転軸120の上端部と軸結合された状態で、前記抽出槽10、30の上端部にボルトによって締め付けられた状態でそれぞれ立設されてもよい。
【0059】
前記駆動モーター140は、制御部(図示せず)の制御によって公知の発振器3と電圧調整器5から電源を供給されて前記回転軸120を正逆転させてもよい。
前記撹拌羽根160は、2つの前記抽出槽10、30の内部に位置するように、前記回転軸120の外周縁に上下方向に等間隔にて並設されてもよい。
【0060】
前記撹拌羽根160は、前記駆動モーター140によって正逆転する前記回転軸120につれて正逆転して、2つの前記抽出槽10、30の内部に収容された蚕沙などの被抽出物及びエタノールなどの溶媒を撹拌する。
【0061】
2つの前記抽出槽10、30にそれぞれ設けられる前記撹拌部100を介して、2つの前記抽出槽10、30の内部にそれぞれ収容された蚕沙などの被抽出物及びエタノールなどの溶媒を一層容易に撹拌することができ、これにより、蚕沙などの被抽出物からの葉緑素などの抽出物の抽出効率がなお一層向上するというメリットがある。
【0062】
次いで、図3に示すように、前記超音波発生部50の流入口513が内部に形成される前記流入管520は、前記胴体510の下部の一方側に立設され、前記超音波発生部50の排出口515が内部に形成される前記排出管540は、前記胴体510の上部の他方側に立設されてもよい。
【0063】
前記超音波発生部50の流入口513が内部に形成される前記流入管520が前記胴体510の下部の一方側に立設され、前記超音波発生部50の排出口515が内部に形成される前記排出管540が前記胴体510の上部の他方側に立設されるため、前記空間511の一方側の内部に収容された冷却水と、前記空間511の他方側の内部に収容された冷却水とがより一層円滑に熱交換され、その結果、前記振動子530の冷却効率もなお一層向上するというメリットがある。
【0064】
上述した構成を有する本発明は、前記超音波発生部50の振動子530から熱を受ける冷却水が前記超音波発生部50の胴体510の流入口513及び排出口515に流入及び排出されて循環するので、前記冷却水から高温の熱が発生する心配を払拭することができ、これにより、前記抽出槽10、30に収容された蚕沙などの被抽出物から抽出される葉緑素などの抽出物が前記冷却水の高温の熱によって破壊される心配を一層容易に払拭することが可能になる。
【0065】
また、2つの前記抽出槽を用いて一層多量の葉緑素などの抽出物を抽出することができるだけではなく、前記振動子530と蚕沙などの被抽出物が直接的に接触しないので、前記振動子530において超音波が発生するとき、人体に有害な物質であるオゾンなどが蚕沙などの被抽出物に混入する虞がなくなる他、これにより、蚕沙などの被抽出物からオゾンなどの有害物質を除去するための別途の精製工程を行うことが不要になるというメリットがある。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、超音波発生部の振動子から熱を受けた冷却水が超音波発生部の胴体の流入口及び排出口に流入及び排出されて循環されることから、前記冷却水から高温の熱が発生する心配を払拭することができ、これにより、抽出槽に収容された蚕沙などの被抽出物から抽出される葉緑素などの抽出物が前記冷却水の高温の熱によって破壊される心配をより一層容易に払拭することができる。さらに、2つの前記抽出槽を用いて一層多量の葉緑素などの抽出物を抽出することができるだけではなく、人体に有害な物質であるオゾンなどが蚕沙などの被抽出物に混入する虞がなくなる他、これにより、蚕沙などの被抽出物からオゾンなどの有害物質を除去するための別途の精製工程を行うことが不要になるという効果がある。
【0067】
また、循環ポンプを用いて前記超音波発生部の胴体の内部に設けられた空間に収容された前記冷却水を前記流入口と排出口を介して一層容易に強制循環させることができるだけではなく、これにより、前記振動子によって前記冷却水から高温の熱が発生する心配を一層容易に払拭することが可能になるという効果がある。
【0068】
さらに、前記超音波発生部の一方の貫通口と前記抽出槽の他方の貫通口との間、及び前記超音波発生部の他方の貫通口と前記抽出槽の一方の貫通口との間にそれぞれ設けられる透過板を介して前記超音波発生部の振動子が発生させた超音波を蚕沙などの被抽出物に一層容易に伝導することができ、とりわけ、人体に有害な物質であるオゾンなどが前記透過板を通過することができないので、蚕沙などの被抽出物にオゾンなどの有害物質が混入する心配を一層容易に払拭することが可能になるという効果がある。
【0069】
さらに、前記超音波発生部の振動子が前記胴体の内部に設けられる空間の中心部に設けられるので、2つの前記抽出槽に均一に超音波を伝達することができ、前記冷却水を用いた前記振動子の冷却効率も大幅に上がるという効果がある。
【0070】
加えて、前記超音波発生部の振動子に形成される冷却水疎通口を介して、前記空間の一方側の内部に収容された冷却水と、前記空間の他方側の内部に収容された冷却水とが一層円滑に熱交換され、その結果、前記振動子の冷却効率もより一層向上するという効果がある。
【0071】
そして、2つの前記抽出槽にそれぞれ設けられる撹拌部を用いて、2つの前記抽出槽の内部にそれぞれ収容された蚕沙などの被抽出物及びエタノールなどの溶媒を一層容易に撹拌することができ、これにより、蚕沙などの被抽出物からの葉緑素などの抽出物の抽出効率がより一層向上するという効果がある。
【0072】
さらに、前記超音波発生部の流入口が前記胴体の下部の一方側に形成され、前記超音波発生部の排出口が前記胴体の上部の他方側に形成されるので、前記空間の一方側の内部に収容された冷却水と、前記空間の他方側の内部に収容された冷却水とがより一層円滑に熱交換され、その結果、前記振動子の冷却効率もより一層向上するという効果がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの抽出槽(10、30)と2つの前記抽出槽(10、30)との間に設けられて2つの前記抽出槽(10、30)内に超音波を発生させる超音波発生部(50)を備え、
前記超音波発生部(50)は、内部に冷却水が収容される空間(511)が設けられ、冷却水が流入及び排出される流入口(513)及び排出口(515)がそれぞれ形成される胴体(510)と、前記胴体(510)の空間(511)内に設けられて超音波を発生させる振動子(530)と、を備え、
2つの前記抽出槽(10、30)と、前記超音波発生部(50)の胴体(510)との間に透過板(70)が設けられることを特徴とする常温超音波抽出装置。
【請求項2】
前記超音波発生部(50)の胴体(510)の内部に設けられた前記空間(511)に収容された冷却水を前記流入口(513)と排出口(515)を介して強制的に循環させる循環ポンプ(90)が設けられることを特徴とする請求項1に記載の常温超音波抽出装置。
【請求項3】
前記超音波発生部(50)の胴体(510)の両側にそれぞれ一方及び他方の貫通口(512、514)が形成され、
2つの前記抽出槽(10、30)のうちの前記抽出槽(10)の他方側に他方の貫通口(111)が形成され、
2つの前記抽出槽(10、30)のうちの前記抽出槽(30)の一方側に一方の貫通口(311)が形成され、
前記超音波発生部(50)の一方の貫通口(512)と2つの前記抽出槽(10、30)のうちの前記抽出槽(10)の他方の貫通口(111)との間、及び前記超音波発生部(50)の他方の貫通口(514)と2つの前記抽出槽(10、30)のうちの前記抽出槽(30)の一方の貫通口(311)との間にそれぞれ前記透過板(70)が設けられることを特徴とする請求項1に記載の常温超音波抽出装置。
【請求項4】
前記超音波発生部(50)の振動子(530)は、前記胴体(510)の内部に設けられる前記空間(511)の中心部に設けられることを特徴とする請求項1に記載の常温超音波抽出装置。
【請求項5】
前記超音波発生部(50)の振動子(530)には、冷却水疎通口(531)が形成されることを特徴とする請求項1に記載の常温超音波抽出装置。
【請求項6】
2つの前記抽出槽(10、30)の内部に収容された被抽出物及び溶媒を撹拌する撹拌部(100)がそれぞれ設けられ、
前記撹拌部(100)は、2つの前記抽出槽(10、30)の内部に回転自在にそれぞれ立設される回転軸(120)と、
前記回転軸(120)と軸結合された状態で2つの前記抽出槽(10、30)の上部にそれぞれ設けられて前記回転軸(120)を回転させる駆動モーター(140)と、
前記回転軸(120)に等間隔にて設けられ、前記駆動モーター(140)によって回転する前記回転軸(120)につれ回転する撹拌羽根(160)と、を備えてなることを特徴とする請求項1に記載の常温超音波抽出装置。
【請求項7】
前記超音波発生部(50)の流入口(513)は、前記胴体(510)の下部の一方側に形成され、前記超音波発生部(50)の排出口(515)は、前記胴体(510)の上部の他方側に形成されることを特徴とする請求項1に記載の常温超音波抽出装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−528715(P2012−528715A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513891(P2012−513891)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【国際出願番号】PCT/KR2011/002976
【国際公開番号】WO2011/136514
【国際公開日】平成23年11月3日(2011.11.3)
【出願人】(511291119)エイチ アール エフ シー シーオー., エルティーディー. (1)
【氏名又は名称原語表記】HRFC CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】688−2 Myeongdoek−ri, Janggye−myeon Jangsu−gun, Jeollabuk−do, 597−843 KOREA
【Fターム(参考)】