説明

干潟の嵩上げ補修方法

【課題】水没した干潟を、浚渫土などの軟弱土を使用し、既存の干潟における生殖状況を大きく損なわずに嵩上げする。
【解決手段】 内部に嵩上げ土充填用袋10が収容される挿入ガイド11を使用し、該挿入ガイド11を、その内部に細長の嵩上げ土充填用袋10を収容して嵩上げ補修を行おうとする干潟の表面砂層5下の地盤内に挿入し、前記嵩上げ土充填用袋10の先端を地盤中に定着させた状態で挿入ガイド11を引き抜いて該嵩上げ土充填用袋を地盤中に残置させる工程を繰り返して所定の間隔を隔てて多数の嵩上げ土充填用袋10を表面砂層5下の地盤内に挿入し、その残置された各嵩上げ土充填用袋10内に、軟弱土16を圧入することにより表面砂層5をその下の地盤とともに上昇させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然又は人工の干潟が沈下した際に、これを嵩上げして干潟機能を回復させるための干潟の嵩上げ補修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境への意識の高まりにより水辺環境の保全が注目されており、海浜区域における人工干潟の開発がなされている。人工干潟は水底の浚渫土砂を有効利用できる点で注目され、各地で造成が計画され、実施されつつある。
【0003】
従来の人工干潟は、護岸の前方の水底に潜堤を築造し、この潜堤と護岸との間の水底の軟弱粘土層上に浚渫土を投入して護岸側が順次高くなるように埋立土砂層を造成し、その上に厚さが1m程度の表面砂層を砂撒きによって造成し、その表面砂層の表面が潮の干満によって水没したり露出したりする潮間帯となるように造成している。
【0004】
このような人工干潟は、造成される水底地盤が軟弱である場合が多く、また浚渫土を使用した埋立土砂層も軟弱である場合が多く、それらの上に表面砂層を載荷させるために、経時的に圧密沈下が生じ、人工干潟が常時水没した状態の部分が多くなって、干潟面積が減少するという問題がある。
【0005】
このような地盤沈下による干潟の減少を補修するため、従来は、沈下した部分の表面砂層の上に軽量の嵩上げ材や砂撒きによる嵩上げ層を造成する方法がとられている(例えば特許文献1)。
【0006】
しかし、このような表面砂層上面への嵩上げ層の積み上げは、表層には良質の砂が必要なため、新たに良質の砂を購入する必要があること、浅瀬に対する薄層の覆砂作業は多くの労力を必要とすること、表面砂層の厚みが増大するため再度の圧密沈下が生じること、古い表面砂層に生息している生物を死滅させること、等の問題があった。
【0007】
このような問題を生じさせず、しかも、処理に困っている浚渫土を使用して沈下を補修する方法として、人工干潟の造成時に、表面砂層の下にシート状の袋を敷設しておき、干潟が沈下した際に、この袋内に浚渫土を注入することによって袋を膨らませ、これによって表面砂層を上昇させる方法が開発されている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−336043号公報
【特許文献2】特開2005−281999号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した予め表面砂層の下にシート状の袋を敷設しておき、これに浚渫土などの軟弱土を充填することによって人工干潟を嵩上げする方法は、新規に人工干潟を造成する場合には効果的であるが、シート状袋が敷設されないで造成されている人工干潟や、天然の干潟の嵩上げ補修はできないという問題がある。
【0010】
本発明は上述の如き従来の問題に鑑み、人工、天然を問わず、水没しそうな干潟を、浚渫土などの軟弱土を使用し、干潟における既存生殖状況を大きく損なわずに施工できる干潟の嵩上げ補修方法の提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の如き従来の問題を解決し、所期の目的を達成するための請求項1に記載の発明の特徴は、内部に嵩上げ土充填用袋が収容される挿入ガイドを使用し、該挿入ガイドを、その内部に細長の嵩上げ土充填用袋を収容して嵩上げ補修を行おうとする干潟の表面砂層下の地盤内に挿入し、前記嵩上げ土充填用袋の先端を地盤中に定着させた状態で前記挿入ガイドを引き抜いて該嵩上げ土充填用袋を地盤中に残置させる工程を繰り返して所定の間隔を隔てて多数の嵩上げ土充填用袋を前記地盤内に挿入し、その残置された各嵩上げ土充填用袋内に、軟弱土を圧入することにより前記表面砂層をその下の地盤とともに上昇させる干潟の嵩上げ補修方法にある。
【0012】
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記干潟は、水底地盤上に適宜盛上げ造成した埋立土砂層の上に砂撒きによる表面砂層を設置した人工干潟であることにある。
【0013】
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の何れか1の請求項の構成に加え、 前記嵩上げ土充填用袋は、その先端に挿入地盤内で拡開する拡開爪を有するアンカー部材を固定し、該アンカー部材を前記挿入ガイドの下端より突出させた状態で該挿入ガイドとともに地盤中に挿入し、しかる後前記拡開爪を開くことにより地盤中に定着させ、しかる後挿入ガイドを引き抜くことによって地盤中に残置させることにある。
【0014】
請求項4に記載の発明の特徴は、請求項1〜3の何れか1の請求項の構成に加え、前記嵩上げ土充填用袋は、細長い矩形状をなし、その横幅が前記挿入ガイドの横幅より大きいものを使用し、これを幅方向が縮まる側にすぼめた状態で前記挿入ガイド内に収容して地盤中に挿入することにある。
【0015】
請求項5に記載の発明の特徴は、請求項1〜4の何れか1の請求項の構成に加え、前記嵩上げ土充填用袋に、その内部の中央に上端開口部から底部に至る縦流路と、該縦流路に連通させて該嵩上げ土充填用袋の両側縁部に至る多数の横分岐流路とからなる導入路部材を備えたことにある。
【発明の効果】
【0016】
上述の本発明に係る干潟の嵩上げ補修方法においては、内部に嵩上げ土充填用袋が収容される挿入ガイドを使用し、該挿入ガイドを、その内部に細長の嵩上げ土充填用袋を収容して嵩上げ補修を行おうとする干潟の表面砂層下の地盤内に挿入し、前記嵩上げ土充填用袋の先端を地盤中に定着させた状態で前記挿入ガイドを引き抜いて該嵩上げ土充填用袋を地盤中に残置させる工程を繰り返して所定の間隔を隔てて多数の嵩上げ土充填用袋を前記地盤内に挿入し、その残置された各嵩上げ土充填用袋内に、軟弱土を圧入することにより前記表面砂層をその下の地盤とともに上昇させることとしたことにより、表面砂層下の軟弱地盤の圧密により沈下が生じた際や、水位の上昇によって干潟が水没した場合に、新たな良質の砂材を購入することなく、浚渫土等の廃棄処理が必要な材料を使用し、低コストで表面砂層の嵩上げができるとともに既に生じている生物環境を維持したままの状態で嵩上げができる。
【0017】
しかも、その嵩上げ作業における嵩上げ土充填用袋の地盤内挿入には、ドレーン材の地盤内挿入のための装置が使用できるため、既存設備によって可能となり、低コストで容易にできる。
【0018】
また、嵩上げ土充填用袋の容量に余裕をもたせることによって、一回の嵩上げ土充填用袋挿入によって複数回の嵩上げも可能となる。
【0019】
更に、人工の干潟のみならず天然の干潟においても実施することができる。
【0020】
本発明においては、使用する前記嵩上げ土充填用袋の地盤中への残置を、その先端に挿入地盤内で拡開する拡開爪を有するアンカー部材を固定し、該アンカー部材を前記挿入ガイドの下端より突出させた状態で該挿入ガイドとともに地盤中に挿入し、しかる後前記拡開爪を開くことにより地盤中に定着させ、しかる後挿入ガイドを引き抜くことによって行うことにより、既存のドレーン材の地盤中挿入のための装置がそのまま使用でき、設備投資を少なくし、低コストで実施できる。
【0021】
本発明においては、使用する前記嵩上げ土充填用袋を、細長い矩形状をなし、その横幅が前記挿入ガイドの横幅より大きいものを使用し、これを幅方向が縮まる側にすぼめた状態で前記挿入ガイド内に収容して地盤中に挿入することにより、地盤中への嵩上げ土充填用袋の必要挿入力を小さくでき、作業がより容易となる。
【0022】
更に、本発明では、前記嵩上げ土充填用袋に、その内部の中央に上端開口部から底部に至る縦流路と、該縦流路に連通させて該嵩上げ土充填用袋の両側縁部に至る多数の横分岐流路とからなる導入路部材を備えることにより、嵩上げ土充填用袋内へ嵩上げ用土砂を注入する際に、嵩上げ土充填用袋の奥側への土砂の流入がスムーズになされ、袋内全域への充填が均一且つ確実になされる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(a)〜(d)は、本発明に係る干潟の嵩上げ補修方法を人工干潟に対して実施する例の概略工程を示す説明図である。
【図2】本発明方法に使用する嵩上げ土充填用袋の一例を示す平面図である。
【図3】本発明方法に使用する挿入ガイドの一例を示しており、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図4】本発明方法において、挿入ガイドに嵩上げ土充填用袋を装着した状態の側面図である。
【図5】(a)は、同上の挿入ガイドを地盤中に挿入した状態の正面図、(b)は、嵩上げ土充填用袋を地盤中に残置させる状態の正面図縦断面図である。
【図6】本発明方法に使用するアンカー部材の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に本発明の実施の形態を図面に示した実施例に基づいて説明する。
【0025】
先ず図1(a)〜(d)について、本発明に係る干潟の嵩上げ補修方法を人工干潟に対して実施する例の概略工程を説明する。図において符号1は護岸であり、2は護岸の前方の水底に築造した潜堤、4は潜堤2と護岸1との間の水底地盤3上に盛り上げ造成した埋立土砂層である。この埋立土砂層4の上面は陸側即ち護岸側1側が高くなるように傾斜されており、その上に砂撒きによる表面砂層5が造成されており、その表面が干潟を構成している。
【0026】
図1(a)は、埋立土砂層4の圧密によって表面砂層5が沈下した状態の干潟が示されており、この干潟の表面砂層5の下の地盤(本例では埋立土砂層4と水底地盤3)に嵩上げ土充填用袋10を収容した挿入ガイド11を挿入する。この挿入は図示の如く、海面に浮かべた作業船12上から陸側に向けて斜め下向きに挿入してもよく、陸側の作業車13から海側に向けて斜め下向きに挿入してもよく、両方向からの挿入を併用してもよい。
【0027】
次いで同図(b)に示すように、挿入ガイド11を引き抜くことによって、嵩上げ土充填用袋10を挿入ガイド11とともに挿入された位置に残置させる。この時、嵩上げ土充填用袋10の上端に予め連結した土砂圧入用ホース14を表面砂層5上に出しておく。
【0028】
この挿入ガイド11による挿入と、その引抜による残置とを繰り返して、所要数の嵩上げ土充填用袋10を所望の間隔を隔てて表面砂層5下の地盤に挿入する。
【0029】
次いで同図(c)に示すように、土運船15に積載した浚渫土などの軟弱土16をポンプ17により、各土砂圧入用ホース14を通じて各嵩上げ土充填用袋10内に圧入する。
【0030】
この圧入によって、同図(d)に示すように、嵩上げ土充填用袋10を膨張させ、その分だけ表面砂層5下の地盤を押し上げ、表面砂層5を上昇させる。
【0031】
尚、挿入ガイド11の挿入引き抜きは、その上端に固定した操作用ロッド18を介して行っている。
【0032】
次に上述した各工程の詳細及び使用する機器類について説明する。
【0033】
嵩上げ土充填用袋10としては、ジオテキスタイル等の透水性を有するシート状材を二重に折重ねて周囲をシールすることによって袋状にしたもの、或いは同シート状材を筒状に形成して端部を閉鎖シールすることによって袋状にしたものが使用できる。
【0034】
尚、シート状材は浚渫土に含まれるシルト成分は透過しない程度の透水性を有するものが好ましい。
【0035】
また、嵩上げ土充填用袋10内には、図2に示すようにその内部に、上端開口部から底部に至る縦流路20と、該縦流路20に連通させて該嵩上げ土充填用袋の両側縁部に至る多数の横分岐流路21とから構成される導入路部材22を挿入しておく。この導入路部材22は、例えば柔軟性のあるパイプやホースが使用できる。縦流路20及び横分岐流路21の各先端はそれぞれ開放されており、同各流路20,21の周壁には土砂が流出できる開口23が多数形成されている。
【0036】
このように嵩上げ土充填用袋10内に導入路部材22を備えることによって、土砂圧入用ホース14を通して土砂を注入する際に、嵩上げ土充填用袋10の奥側への土砂の流入がスムーズ且つ確実になされることとなる。
【0037】
導入路部材22の挿入は、嵩上げ土充填用袋10を挿入ガイド11にセットする際に行ってもよく、予め工場で嵩上げ土充填用袋10内に挿入しておいてもよい。
【0038】
挿入ガイド11は、軟弱地盤改良のための帯状ドレーン材を打設する際に使用するドレーン打設用マンドレルと同様の構造のものが使用でき、一例として図3に示すように、両縁に断面がコ字状のチャンネル材からなる縁部材25,25を互いに向き合わせて配置させ、そのコ字状の上縁間及び下縁管をフラットバーからなる横材26,26......によって梯子状に連結し、内部に細長矩形断面の嵩上げ土充填用袋収容空隙27が形成されたものが使用できる。ている。
【0039】
この例では、土充填用袋収容空隙27の上端部内面に上側が低いテーパ状をしたキャンバ28,28が固定され、図4に示すように、嵩上げ土充填用袋10を収容した状態でキャンバ28,28部分に上側から固定用棒29を挿入することによって該固定用棒29の重量によって嵩上げ土充填用袋10の上端が保持されるようにしている。
【0040】
この挿入ガイド11の長さは、嵩上げ土充填用袋10の長さと同程度の長さに形成され、地盤中への挿入に際しては、図5に示すように、操作用ロッド18を上端部に固定し、該操作用ロッド18を介して土中への挿入・引き出し操作を行う。尚、挿入深さが浅い場合には、その挿入深さに達する長さに形成したものを使用してもよい。
【0041】
挿入ガイド11の地盤中への押し込みは、杭打ち機が使用でき、図1に示すように、作業台船12や自走式走行手段を備えた作業車13上にリーダー31をその傾斜角度を調整可能に支持させ、該リーダー31に備えた圧入装置32に操作用ロッド18を固定し、圧入装置32をリーダー31に沿って移動させることによって、操作用ロッド先端に支持させた挿入ガイド11を所望の角度で地盤中に挿入する。
【0042】
挿入ガイド11に対する嵩上げ土充填用袋10の挿入に際しては、図4、図5に示すように、挿入ガイド11の下端下において、嵩上げ土充填用袋10の先端にアンカー部材35を固定する。このアンカー部材35は、挿入ガイド11の下端の幅及び厚さと略同形の長さ及び幅を有する本体部36と、該本体部36の両端に、図5(a)に示すように本体部36に対する直立上向きの閉じ状態aから、同図(b)に示す本体部26の延長方向側向きの開き状態bに回動できる拡開爪37が備えられている。また、この拡開爪37は閉じ状態aでは挿入ガイド11の幅内にあり、開き状態bでは先端が挿入ガイド11の両縁より外側に張り出される大きさに形成されている。
【0043】
拡開爪37は、挿入ガイド11内を通した操作ワイヤー38,38を引くことによって閉じ状態aから開き状態bに強制的に動作させることができるようになっている。
【0044】
この操作ガイド11による嵩上げ土充填用袋10の地盤中への挿入・残置作業は、挿入ガイド11内に嵩上げ土充填用袋10を挿入し、その下端にアンカー部材35の本体部36を、挟み込みやネジ止めなどの適宜手段によって固定する。このとき拡開爪37は閉じ状態aとしておく。
【0045】
また、嵩上げ土充填用袋10の上端に突出させている導入路部材22には、土砂圧入用ホース14を連結しておく。
【0046】
この状態で挿入ガイド11を地盤中の所定の挿入深さに達しするまで圧入する。圧入完了後、操作ワイヤー38を引き、拡開爪37開き状態aまで動作させる。これと同時に嵩上げ土充填用袋10の上端を固定している固定用棒29を上昇させて嵩上げ土充填用袋10の固定を解除させる。
【0047】
この状態で挿入ガイド11を地盤中から引き抜くと、アンカー部材35の拡開爪37が土中に食い込んで嵩上げ土充填用袋10の移動抵抗が大きいため、嵩上げ土充填用袋10を地盤中に残した状態で挿入ガイド11が引き抜かれ、土砂圧入用ホース14が表面砂層5上に導出される。
【0048】
このようにして所定数の嵩上げ土充填用袋10を地盤中に挿入した後、各土砂圧入用ホース14をポンプ17に連結し、土運船15上で浚渫土などの軟弱土16に必要に応じて加水攪拌し、スラリー化させた土砂スラリーを地盤中の嵩上げ土充填用袋10内に圧入する。圧入された土砂スラリーは、嵩上げ土充填用袋10が透水性を有するため、周囲の土圧によって水分が押し出され、周囲の土砂と同等の硬さに達した状態で安定化する。
【0049】
このようにして嵩上げ土充填用袋10内に充填された土砂の容積分だけ表面砂層5下の地盤表面が上昇し、表面砂層5が嵩上げされる。
【0050】
尚、上述の例では、嵩上げ土充填用袋10が平らに広げられた状態で収容される挿入ガイド11を使用しているが、挿入ガイド11の幅を嵩上げ土充填用袋10より小さくし、嵩上げ土充填用袋10の幅方向をしわ寄せたり、蛇腹状に畳んだりして、幅方向が縮まる側にすぼめた状態で収容できるようにしてもよい。
【0051】
更に挿入ガイドは、上述した断面矩形状にかぎることなく、例えば円筒状等の各種断面形状のものを使用してもよい。
【0052】
この干潟の嵩上げ補修方法によれば、既存の人工干潟や天然の干潟の嵩上げを、生物生殖環境の悪化をより少ない状態で容易に行うことができるとともに、航路補修の際など定期的に発生する浚渫土砂を干潟嵩上げ用として使用でき、浚渫土砂の有効利用も可能となる。
【符号の説明】
【0053】
a 閉じ状態
b 開き状態
1 護岸
2 潜堤
3 軟弱粘土層
4 埋立土砂層
5 表面砂層
10 嵩上げ土充填用袋
11 挿入ガイド
12 作業船
13 作業車
14 土砂圧入用ホース
15 土運船
16 軟弱土
17 ポンプ
18 操作用ロッド
20 縦流路
21 横分岐流路
22 導入路部材
23 開口
25 縁部材
26 横材
27 土充填用袋収容空隙
28 キャンバ
29 固定用棒
31 リーダー
32 圧入装置
35 アンカー部材
36 本体部
37 拡開爪
38 操作ワイヤー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に嵩上げ土充填用袋が収容される挿入ガイドを使用し、該挿入ガイドを、その内部に細長の嵩上げ土充填用袋を収容して嵩上げ補修を行おうとする干潟の表面砂層下の地盤内に挿入し、前記嵩上げ土充填用袋の先端を地盤中に定着させた状態で前記挿入ガイドを引き抜いて該嵩上げ土充填用袋を地盤中に残置させる工程を繰り返して所定の間隔を隔てて多数の嵩上げ土充填用袋を前記地盤内に挿入し、その残置された各嵩上げ土充填用袋内に、軟弱土を圧入することにより前記表面砂層をその下の地盤とともに上昇させることを特徴としてなる干潟の嵩上げ補修方法。
【請求項2】
前記干潟は、水底地盤上に適宜盛上げ造成した埋立土砂層の上に砂撒きによる表面砂層を設置した人工干潟である請求項1に記載の干潟の嵩上げ補修方法。
【請求項3】
前記嵩上げ土充填用袋は、その先端に挿入地盤内で拡開する拡開爪を有するアンカー部材を固定し、該アンカー部材を前記挿入ガイドの下端より突出させた状態で該挿入ガイドとともに地盤中に挿入し、しかる後前記拡開爪を開くことにより地盤中に定着させ、しかる後挿入ガイドを引き抜くことによって地盤中に残置させる請求項1又は2に記載の干潟の嵩上げ補修方法。
【請求項4】
前記嵩上げ土充填用袋は、細長い矩形状をなし、その横幅が前記挿入ガイドの横幅より大きいものを使用し、これを幅方向が縮まる側にすぼめた状態で前記挿入ガイド内に収容して地盤中に挿入する請求項1〜3の何れか1に記載の干潟の嵩上げ補修方法。
【請求項5】
前記嵩上げ土充填用袋に、その内部の中央に上端開口部から底部に至る縦流路と、該縦流路に連通させて該嵩上げ土充填用袋の両側縁部に至る多数の横分岐流路とからなる導入路部材を備えた請求項1〜4の何れか1に記載の干潟の嵩上げ補修方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−117245(P2011−117245A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277716(P2009−277716)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(000166627)五洋建設株式会社 (364)