説明

平屋

【課題】断熱のみでは無く、効率良く蓄熱及び蓄冷をし「恒温化」をすることができる平屋を提供する。
【解決手段】天井面の面積が壁52の総面積の1倍以上に構成され、天井53を上方から覆う屋根54の裏面を覆うように断熱材55を配置し、この断熱材55下方の天井空間K1には、天井面の面積の1倍以上の面積を有する蓄熱・蓄冷兼用パネル1を配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の恒温化を図った平屋に関する。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストア等の店舗の多くは、平屋建てであり、この種の平屋は、床、壁及び天井をグラスウール等の比較的安価な断熱材で断熱する断熱構造が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−84465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の平屋は、店舗内に冷蔵、冷凍、保温、加熱等を行うショーケースや空調設備があり、営業時間も長いことから、光熱費が高くなりがちである。このため、光熱費の低減及び省エネルギーの観点から、断熱のみではなく蓄熱、蓄冷パネルなどを併設して、所定温度領域の蓄熱及び蓄冷が臨まれる。
しかし、平屋の場合には、壁の総面積と比べて屋根の面積がかなり大きくなる。たとえば2階建て、3階建て以上の建屋では、一般的に、屋根下における壁の総面積と比べて屋根の面積が大きくなることなど有り得ない。
上記平屋のように、壁の総面積と比べて屋根の面積がかなり大きくなる場合、屋根からの太陽熱、冷熱等が、2階建て以上の建屋に比べて、天井裏を介して室内環境に大きく影響し、営業時間も長いコンビニエンスストア等の店舗では、より光熱費が高くなりがちとなるという問題があった。
近年開発される様々な建築用の断熱材料や断熱構造には、そのような性能がなく、室容積に対して屋根面が大きく、直射日光・放射冷却等の影響を受けやすい平屋の冷暖房に多くの費用を要している。
【0005】
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、断熱のみでは無く、効率良く蓄熱及び蓄冷をし「恒温化」をすることができる平屋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、床、壁及び天井を有する平屋において、天井面積が前記壁の総面積の1倍以上に構成され、前記天井を上方から覆う屋根の裏面を覆うように断熱材を配置し、この断熱材下方の天井空間には、前記天井面積の1倍以上の面積を有する蓄熱・蓄冷兼用パネルを配置したことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、上記構成において、前記天井には、金属製の枠体からなる吊り天井下地を吊り下げ、前記蓄熱・蓄冷兼用パネルを、前記吊り天井下地に接触させて支持したことを特徴とする。
また、本発明は、上記構成において、前記吊り天井下地は、横並びで水平に延出する複数の延出部材を有し、前記蓄熱・蓄冷兼用パネルを、前記延出部材に載せて水平支持、縦支持、或いは、斜めに支持したことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記構成において、前記縦支持又は斜めに支持した前記蓄熱・蓄冷兼用パネルは、少なくとも前記延出部材の並び方向に空気流通路を空けて配置されることを特徴とする。
また、本発明は、上記構成において、前記吊り天井下地の下面に天井板を取り付けたことを特徴とする。
また、本発明は、上記構成において、前記平屋の室内には、熱源と冷熱源とが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、平屋の天井面積が壁の総面積の1倍以上に構成され、天井を上方から覆う屋根の裏面を覆うように断熱材を配置し、この断熱材下方の天井空間には、天井面積の1倍以上の面積を有する蓄熱・蓄冷兼用パネルを配置したので、屋根からの太陽熱や冷熱等が天井裏を介して室内環境に大きく影響する平屋において、断熱のみでは無く、効率良く蓄熱及び蓄冷をし「恒温化」をすることができる。
また、天井には、金属製の枠体からなる吊り天井下地を吊り下げ、蓄熱・蓄冷兼用パネルを、吊り天井下地に接触させて支持したので、吊り天井下地を、蓄熱・蓄冷兼用パネル間及び蓄熱・蓄冷兼用パネルと室内空気との間で熱を伝達する熱伝達部材として機能させることができる。
また、吊り天井下地は、横並びで水平に延出する複数の延出部材を有し、蓄熱・蓄冷兼用パネルを、延出部材に載せて水平支持、縦支持、或いは、斜めに支持したので、蓄熱・蓄冷兼用パネルの取り付け作業が簡易である。
【0010】
また、縦支持又は斜めに支持した蓄熱・蓄冷兼用パネルは、少なくとも延出部材の並び方向に空気流通路を空けて配置されるので、蓄熱・蓄冷兼用パネルの蓄熱・蓄冷及び放熱・吸熱を円滑に行うことができる。
また、吊り天井下地の下面に天井板を取り付けたので、蓄熱・蓄冷兼用パネルを天井板に近接配置できる。このため、天井空間の高さが低い場合でも蓄熱・蓄冷兼用パネルを配置できると共に、蓄熱・蓄冷兼用パネルが天井板を介して室内との間で蓄熱・蓄冷及び放熱・吸熱を効率よく行うことができる。
また、平屋の室内には、熱源と冷熱源とが設けられているので、蓄熱・蓄冷兼用パネルが熱源からの熱を蓄熱して室温が低い場合に放熱する放熱機能、及び、冷熱源からの冷熱を蓄冷して室温が高い場合に吸熱する吸熱機能を適宜に作用させることができ、効果的に恒温化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態に係る店舗の平面図である。
【図2】(A)は、店舗奥行き方向における縦断面図であり、(B)は、店舗幅方向における縦断面図である。
【図3】店舗に配置される枠体の斜視図である。
【図4】枠体に周辺部品を取り付けて斜め下方から見た斜視図である。
【図5】枠体に周辺部品を取り付けて斜め上方から見た斜視図である。
【図6】蓄熱・蓄冷兼用パネルの構成を示す斜視図である。
【図7】蓄熱・蓄冷兼用パネルの縦断面図である。
【図8】蓄熱材の示差走査熱量測定の測定結果を示す図である。
【図9】蓄熱・蓄冷兼用パネルの潜熱及び放熱の特性を示す図である。
【図10】温度測定結果を示す図である。
【図11】(A)は、第2実施形態に係る店舗の店舗奥行き方向における縦断面図であり、(B)は、店舗幅方向における縦断面図である。
【図12】(A)は、第3実施形態に係る店舗の店舗奥行き方向における縦断面図であり、(B)は、店舗幅方向における縦断面図である。
【図13】(A)は変形例の説明に供する横型ブラインドの正面図、(B)は(A)の側断面図、(C)は開いたときの側断面図、(D)は収納したときの側断面図である。
【図14】(A)は変形例の説明に供する縦型ブラインドの正面図、(B)は(A)の側断面図、(C)は開いたときの横断面図、(D)は収納したときの横断面図である。
【図15】変形例に係る蓄熱・蓄冷兼用パネルの構成を示す斜視図である。
【図16】変形例に係る蓄熱・蓄冷兼用パネルの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るコンビニエンスストア(以下、店舗という)の平面図であり、図2(A)は、図1の店舗奥行き方向における縦断面図であり、図2(B)は、店舗幅方向(間口方向)における縦断面図である。
図1及び図2に示すように、店舗50は、1層の床51、壁52、天井53及び屋根54とで構成される平屋であり、本図では、総床面積が170平方mの標準的な広さのコンビニエンスストアを示している。なお、この店舗50は、幅(間口)Wが17400mm、奥行きDが9800mm、天井高さHが2620mmである。
【0013】
店舗50は、四方が壁52(52F,52L,52R,52B)で囲まれ、壁52で囲まれる室内空間(店舗50内)の床51には、冷蔵や冷凍を行う商品冷却用ケースCC1,CC2,保温を行う商品保温用ケースHC1、加熱調理を行う調理コーナー65、コピー機やATM設備等の機械設備66、書籍を置く書籍棚67及び商品を陳列する商品陳列棚68等が設けられる。また、室内空間には、レジカウンター71、事務室(バックヤードとも言う)72、倉庫73、トイレ74等が設けられる。
店舗50内では、商品冷却用ケースCC1,CC2は冷熱源となり、商品保温用ケースHC1、調理コーナー65及び機械設備66等は熱源となる。つまり、店舗50内は、冷熱源と熱源とが混在する室環境となっている。また、上記ケースCC1,CC2,HC1、機械設備66及び書籍棚67等は、壁際に配置され、壁52を室内側から覆う部材(壁覆い部材)となっている。この種の店舗は、一般に壁面の約4割が室内設備によって覆われている。
【0014】
図2に示すように、屋根54は、傾斜が殆どない屋根である。この屋根54は、ガルバリウム鋼板等の鋼板製の屋根材で形成されており、この屋根材の裏面全体を覆うようにグラスウール等の断熱材55が密着して設けられている。なお、本実施形態の屋根54は、店舗50の奥に向かって緩やかに下る下り傾斜の屋根(片流れ屋根)に形成されているが、傾斜が全く無い屋根(平屋根)であってもよい。なお、図2中、符号56は、屋根下で水平方向に延在する母屋である。
この屋根54の下方には、天井空間(屋根裏空間)K1を空けて金属製の枠体(吊り枠とも称する)81が吊り下げ支持されており、この枠体81に複数枚の天井板(天井下地材)57が取り付けられている。
【0015】
図3は枠体81の斜視図であり、図4は枠体81に周辺部品を取り付けて斜め下方から見た斜視図であり、図5は斜め上方から見た斜視図である。
この金属製の枠体81は、複数本の吊りボルト82を介して水平に支持された吊り天井下地であり、図3に示すように、屋根下に設けた吊り梁(不図示)に複数本の吊りボルト82の上部を固定し、これら吊りボルト82の下部に複数本の野縁受け83を平行に間隔を空けて固定し、この平行に配置した野縁受け83に複数本の野縁84を平行に間隔を空けて固定している。
野縁84は、野縁受け83に対して直交する方向に延在し、野縁受け83にクリップで固定されている。野縁受け83及び野縁84は、コの字断面或いは矩形断面(中空断面を含む)で直線状に延びる直線鋼製材が用いられ、アルミニウム合金等の金属材で形成されている。なお、この枠体81は、上記の構成に限らず、公知の天井下地構造を広く適用可能である。
【0016】
図4に示すように、天井板57は、所定サイズ(例えば、縦1800mm、横900mm、厚さ9mm)の公知の石膏ボード又は木質系合板で構成され、野縁84の下面にビス等の固定部材を介して固定される。
この天井板57は、床51から所定の高さ(天井高さH=2620mm)で水平に設けられ、枠体81の下面全体を覆うように取り付けられ、室内の天井面を構成する(図2参照)。この天井板57と屋根54との間の空間K1(図2参照)は、ほぼ同じ高さで延在しており、上面視で総床面に重なる空間となっている。
【0017】
図5に示すように、枠体81の上面には、蓄熱・蓄冷兼用パネル1が配置される。この蓄熱・蓄冷兼用パネル1は、野縁受け83同士のスパン(離間距離)と同じ幅を有する所定サイズ(例えば、長辺が900mm、短辺が520mm、厚さが10mm)の薄型矩形パネルに形成され、野縁84の上面に締結部材(本実施形態ではボルト)86で固定される。これによって、蓄熱・蓄冷兼用パネル1は、周縁全体を伝熱性を有する野縁受け83と野縁84とに接触した状態で固定される。
ここで、野縁84が、上方が開口するコの字断面の場合には野縁84に雌ねじ付きの台座(例えば、埋め込みナット)を設けておき、該台座に締結部材86を締結すればよく、野縁84が矩形断面の場合には、野縁84の上面に締結部材86を直接締結すればよい。また、これ以外の固定方法で蓄熱・蓄冷兼用パネル1を枠体81に固定してもよい。
【0018】
本実施形態では、図5に示すように、野縁受け83によって囲まれる矩形領域を上方から覆うように複数枚の蓄熱・蓄冷兼用パネル1を配置すると共に、図2(A)に示すように、室内に対向する天井面(天井板57に相当)だけでなく、壁52から外側に飛び出す部分(いわゆる軒)の天井面57Nにも蓄熱・蓄冷兼用パネル1を配置している。これによって、屋根54と対向する天井面全体に蓄熱・蓄冷兼用パネル1を敷設することができる。
【0019】
この店舗50では、図2に示すように、屋根54の裏には断熱材55が配置されるため、屋根54を介した直射日光・放射冷却等の熱影響を抑えることができるものの、従来以上に室内の恒温化を図ろうとすると、公知の断熱材では不十分である。
そこで、本構成では、屋根下の断熱材55の下方の天井空間K1に上記蓄熱・蓄冷兼用パネル1を配置することで、既存の構造を用いながら従来以上の室内の恒温化を図るようにしている。
【0020】
次に蓄熱・蓄冷兼用パネル1について説明する。
図6は、蓄熱・蓄冷兼用パネル1の構成を示す斜視図であり、図7は蓄熱・蓄冷兼用パネル1の縦断面図である。
蓄熱・蓄冷兼用パネル1は、内部に蓄熱材5が充填されたパネル状の構造体であり、上述のように、店舗50の天井53だけに配置されている。
蓄熱・蓄冷兼用パネル1は、板状の樹脂製で中空のパネル体8の表裏面を樹脂製の表面シート材9で覆って容器を形成し該容器に蓄熱材5を充填して構成されている。
【0021】
パネル体8は、底部に向かって縮径した所定の高さの円錐台形状(すり鉢状や円柱状でもよい)の凹部である袋状凹部13が千鳥格子状に設けられた2枚の樹脂製のパネル材2を、袋状凹部13の底部同士が当接するように重ね合わせて接合して形成されている。すなわち、パネル体8には、2枚のパネル材2の間に、胴部が括れた形状(いわゆる、砂時計形状)の多数の中空筒状体11が散在し、また、それぞれの中空筒状体11の間には互いに連通した隙間12が形成される。
【0022】
パネル体8にあっては、これらの中空筒状体11により剛性が高められ、また、軽量化が図られる。そして、このように剛性に優れ軽量なパネル体8を、袋状凹部13を予め設けた2枚のパネル材を貼り合わせるだけで簡単に製作できる。
上記表面シート材9は、パネル体8の縁部の隙間12を封止して、パネル体8を容器とするものであり、この表面シート材9には、樹脂製の硬質シートが用いられている。この表面シート材9には、例えばPP(ポリプロピレン)やPET(ポリエチレンテレフタラート)や塩化ビニール、スチロール等の硬質な熱可塑性の樹脂材が好適に用いられる。
蓄熱材5には、固相−液相の間で状態を変化させて蓄熱する各種の潜熱型のものが使用される。特に、本実施形態では、吸熱ピークP1の温度が放熱ピークP2の温度に対して約10℃の高くなる特性を有した蓄熱材5が用いられている。
【0023】
図8は、蓄熱材5の示差走査熱量測定(Differential scanning calorimetry:DSC)の測定結果を示す図である。なお、この測定は、例えば、蓄熱材5をマイナス(−)70℃から短時間(約15分)でプラス(+)70℃に急速加熱した後、短時間(約15分)でマイナス(−)70℃に急速冷却した急速急冷時の測定結果を示している。また、同図において、「TEMP」は温度の時間変化(TIME/min)を示し、「DSC」は熱流(Heat Flow / mW)の時間変化を示す。
この図に示すように、蓄熱材5は、マイナス(−)70℃からプラス(+)70℃に加熱される過程では約35.8℃に吸熱ピークP1が出現し、プラス(+)70℃からマイナス(−)70℃に冷却される過程では約25.8℃に放熱ピークP2が出現する。
この図8に示す熱特性を有する蓄熱材5は、例えば硫酸ナトリウム10水塩を主成分とし、食塩水及び水分を吸収した樹脂材を添加することで得られる。また、図9は、蓄熱・蓄冷兼用パネルの潜熱及び放熱の特性の一例を示している。
【0024】
発明者等の実験結果によれば、この蓄熱・蓄冷兼用パネル1を店舗50に使用することで、夏季においては、昼間の緩やかな外気温上昇に伴って外気温が所定温度(例えば28℃位)を超え始めた付近から、この外気温が蓄熱材5に蓄熱され、冷房をせずとも(又は弱い冷房能力でも)、外気温による室内温度の上昇が抑えられることを確認できた。このとき、この蓄熱・蓄冷兼用パネル1は、屋根54と天井板57との間で、天井面の全域に配置されているため、日差しで高熱となる屋根54から室内への熱移動を効果的に抑えることができ、太陽熱による室内温度の上昇を効率よく抑えることができる。
また、室内を冷房した際には、室内温度(室温)が緩やかに低下して所定温度(例えば23℃位)を下回り始めた付近から、蓄熱材5が放熱し、この輻射熱が天井板57を介して室内に伝わり、冷房による室内の冷え過ぎが防止されることを確認できた。すなわち、この蓄熱・蓄冷兼用パネル1を用いることで、夏季においては、冷房を使用せずとも日中の外気温の温度上昇に比して室内温度の上昇を積極的に抑えることができ、また、冷房を使用した場合でも冷房による過度の冷え過ぎを防止した快適な室温が維持される。
【0025】
一方、冬季においては、室内の熱が外気に伝熱されることなく天井板57を介して蓄熱・蓄冷兼用パネル1に蓄熱され、さらに、日中の外気の温度も蓄熱・蓄冷兼用パネル1に蓄熱され、そして室内の温度低下に伴って蓄熱・蓄冷兼用パネル1が放熱するため、外気の温度低下に比して室内の温度低下が抑えられることを確認できた。
さらに、蓄熱・蓄冷兼用パネル1は、店舗50内の熱源(商品保温用ケースHC1や調理コーナー65等)からの熱を蓄熱すると共に、冷熱源(商品冷却用ケースCC1,CC2)からの冷熱を蓄冷するので、室温が低いと(例えば23℃以下だと)放熱し、室温が高いと吸熱する、といったように周囲温度に応じて放熱と吸熱とを適宜に行う。これによって、室内の熱源及び冷熱源を利用して室内の温度変化を抑えることができる。
また、蓄熱・蓄冷兼用パネル1と屋根54との間には、断熱材55が配置されるので、このパネル1の放熱・吸熱が、屋根54の温度変化に対しては殆ど作用せず、室内に対して効率よく作用させることができる。このようにして、電気料金を抑えつつ快適な室温を維持することができる。
【0026】
蓄熱・蓄冷兼用パネル1は、厚さが10mm程度に構成される。この蓄熱・蓄冷兼用パネル1の厚さ方向には多数の中空筒状体11が散在することから、この中空筒状体11の表面を伝って空気の熱が蓄熱・蓄冷兼用パネル1の深部(厚さ方向)にまで到達する。このため、空気と蓄熱材5との間の蓄熱、放熱が円滑に行われることとなり、蓄熱・蓄冷兼用パネル1の熱交換効率が高められる。
【0027】
一般に、建物の壁や天井に用いる蓄熱体は、外気温の変動に対して熱応答性が良すぎると、例えば冷房時の室内において、外気の温度によって暖められた蓄熱体の表面と室内の温度との間に温度差が生じ、この蓄熱体の表面に結露が生じる。
これに対して、本実施形態の蓄熱・蓄冷兼用パネル1では、図7に示すように、中空筒状体11が蓄熱材5の中に散在する中空構造であるため、これら中空筒状体11が蓄熱材5の中を熱が伝わる際の抵抗として寄与し、中空筒状体11がない場合に比べて蓄熱材5の熱応答性(外気温度に対する蓄熱及び放熱の持続時間)が緩やかになる。これにより、室内の温度が外気温及び室内温度の急激な変動に追従することがなく、快適な温度域を中心として緩やかに室温を変化させることができる。
【0028】
本構成の店舗50は、床面積が約170平方mであり、壁52の高さが約2.6mであり、壁52の総面積SAは、(2.6×17.4(幅)×2)+(2.6×9.8(奥行き)×2)=141平方mとなる。
天井面の面積SBは、床面積とほぼ一致するため、天井面の面積SB>壁52の総面積SAとなる。
つまり、天井面の面積SBが壁52の総面積SAの1倍以上に構成され、この天井面の全域に蓄熱・蓄冷兼用パネル1を配置しているため、蓄熱・蓄冷兼用パネル1の総面積が天井面の面積SBの1倍となり、壁52の総面積SAよりも広くすることができる。このように蓄熱・蓄冷兼用パネル1の総面積を壁52の総面積SAよりも広くすることで、2階建て以上の建屋に比べて太陽熱や冷熱等が室温に影響し易い平屋においても、太陽熱や冷熱の影響を蓄熱及び蓄冷により効率よく抑え、かつ、放熱及び吸熱により店舗50内の室温を十分に快適な室温に維持することができる。
また、蓄熱・蓄冷兼用パネル1が天井53に配置されるため、天井53からの放熱及び吸熱が、室内設備(ケースCC1,CC2,HC1、機械設備66、書籍棚67及び商品陳列棚68等)によって遮られることがなく、仮に壁52に蓄熱・蓄冷兼用パネル1を配置した場合に比して、効率よく室温を調整することができる。
【0029】
図10は、本店舗50の温度測定結果を示している。図10中、符号Tで示す実線は、外気温度(外気温)を示し、符号A1で示す波線は、本実施形態の平屋構造における室内中心の室温を示し、符号A2で示す波線は、本実施形態の平屋構造における壁際の室温を示している。
また、符号Bで示す一点鎖線は、第1比較例での室温を示し、符号Cで示す二点鎖線は、第2比較例での室温を示している。第1比較例は、断熱材55のみで蓄熱・蓄冷兼用パネル1を配置しない構成であり、第2比較例は、蓄熱・蓄冷兼用パネル1のみで断熱材55を配置しない構成である。
なお、この実験は、約20分の1のモデルを利用して行い、外気温Tを午前9時に50℃に向けて加熱開始し、午後9時半(21時半)から15℃に向けて冷却開始した際の24時間の温度推移を示している。
【0030】
この図に示すように、午前9時の時点では、外気温T、室温A1,A2、B及びCが同じ温度(17℃)であり、外気温Tが上昇して50℃に達した時点(21時半)では、室温B,Cが約47〜50℃まで上昇するのに対し、室温A1,A2は約35℃までしか上昇していない。すなわち、約11時間半の間に渡って、室温A1,A2の温度上昇カーブは室温B,Cと比べて格段に緩い傾斜となっており、室温Aの温度上昇を抑え、快適な室温を長く維持する冷房効果が得られることが判る。ここで、室温B,Cに着目すると、数℃の違いはあるものの、同傾向の温度上昇カーブとなっており、断熱材55と蓄熱・蓄冷兼用パネル1とのいずれか一方だけでは十分な冷房効果を得られないことが判る。
【0031】
なお、図10には示していないが、断熱材55と蓄熱・蓄冷兼用パネル1との位置を置き換えた場合にも十分な冷房効果を得ることができなかった。その理由は、位置を置き換えると、蓄熱・蓄冷兼用パネル1の室内への放熱・吸熱が、断熱材55によって遮られるからだと考えられる。また、室温A1,A2がほぼ同じ温度カーブを描いていることからも、蓄熱・蓄冷兼用パネル1の放熱・吸熱が室温に効果的に影響を及ぼしていることが明らかである。
このように、天井53にて断熱材55の下方にて蓄熱・蓄冷兼用パネル1を配置する構成が、快適室温を長く維持するのに最も効果的であることが判る。
【0032】
一方、外気温Tが50℃から20℃以下に大きく下降した場合(21時半〜)、室温B,Cは50℃近傍温度から3時間半(21時半〜1時)後に30℃以下に低下し、その4時間後(5時)には20℃以下に低下するのに対し、室温A1,A2は、約35℃から11時間半(21時半〜9時)経過した後でも約27℃までしか下降していない。すなわち、室温A1,A2の温度下降カーブについても、室温B,Cと比べて格段に緩い傾斜となっており、室温A1,A2の温度下降を抑え、快適な室温を長く維持する暖房効果が得られることが判る。
この場合も、室温B,Cに着目すると、数度程度の違いはあるものの、ほぼ似た温度下降カーブとなっており、断熱材と蓄熱・蓄冷兼用パネルとのいずれか一方だけでは十分な冷房効果を得られないことが判る。このようにして本構成では、快適室温を長く維持する冷房効果及び暖房効果が得られることが判る。
【0033】
以上説明したように、本店舗50では、天井面の面積SBが壁52の総面積SAの1倍以上に構成され、天井53を上方から覆う屋根54の裏面を覆うように断熱材55を配置し、この断熱材55下方の天井空間K1には、天井面の面積SBの1倍の面積を有する蓄熱・蓄冷兼用パネル1を配置したので、屋根からの太陽熱や冷熱等が、2階建て以上の建屋に比べて、天井裏を介して室内環境に大きく影響する平屋において、断熱のみでは無く、効率良く蓄熱及び蓄冷をし「恒温化」をすることができる。したがって、光熱費の低減及び省エネルギー化に優れた平屋を実現することができる。
しかも、蓄熱・蓄冷兼用パネル1が配置される店舗50は、熱源と冷熱源とが混在する室空間であるため、蓄熱・蓄冷兼用パネル1が熱源からの熱を蓄熱して室温が低い場合に放熱する放熱機能、及び、冷熱源からの冷熱を蓄冷して室温が高い場合に吸熱する吸熱機能を適宜に作用させることができ、この種の店舗を効果的に「恒温化」することができる。
【0034】
また、本構成では、蓄熱・蓄冷兼用パネル1を、天井板57を取り付ける吊り天井下地である枠体81に取り付けるので、蓄熱・蓄冷兼用パネル1を取り付けるための専用の部品を別途設ける必要がなく、取り付け作業も簡易である。
しかも、この枠体81は、伝熱性を有する金属製であり、蓄熱・蓄冷兼用パネル1を、伝熱性を有する野縁受け83及び野縁84に接触させて支持したので、野縁受け83及び野縁84を、蓄熱・蓄冷兼用パネル1間及び蓄熱・蓄冷兼用パネル1と室内空気との間で熱を伝達する熱伝達部材として機能させることができる。このため、蓄熱・蓄冷兼用パネル1への蓄熱・蓄冷、及び、蓄熱・蓄冷兼用パネル1からの放熱・吸熱を効率よく、かつ、迅速に行うことができ、より「恒温化」を図ることができる。
【0035】
また、蓄熱・蓄冷兼用パネル1は、横並びで水平に延出する複数の延出部材である各野縁84に載せられるので、蓄熱・蓄冷兼用パネル1を水平かつ十分な支持強度で支持できると共に、複数の野縁84と確実に接触し、蓄熱・蓄冷及び放熱・吸熱を効果的に行うことができる。
また、蓄熱・蓄冷兼用パネル1は、各野縁84に載せられ、各野縁84の下面に天井板57が取り付けられるので、蓄熱・蓄冷兼用パネル1を天井板57に近接配置できる。このため、天井空間K1の高さが低い場合でも蓄熱・蓄冷兼用パネル1を配置できると共に、蓄熱・蓄冷兼用パネル1が天井板57を介して室内との間で蓄熱・蓄冷及び放熱・吸熱を効率よく行うことができる。
【0036】
なお、本実施形態では、天井面の面積SBの1倍の面積を覆うように蓄熱・蓄冷兼用パネル1を配置する場合を説明したが、蓄熱・蓄冷兼用パネル1をより多く配置すれば、より「恒温化」できることは明らかである。つまり、天井面の面積SBの1倍以上の面積を覆うように蓄熱・蓄冷兼用パネル1を配置すれば、「恒温化」することが可能である。
【0037】
ここで、発明者等が調べたところ、壁52の高さが2.5m〜3.0の場合、この種の店舗50の床面積が100平方mを下回ると、天井面の面積SB>壁52の総面積SAとならない場合が生じ、十分な効果が得られなくなり、床面積が100平方mを超えると、天井面の面積SB>壁52の総面積SAとなり、十分な効果が得られた。
特に、床面積が100平方m〜300平方mの範囲、より望ましくは、150平方m〜180平方mの範囲で、消費電力を約3分の1にする効果を得ることができることを実験で確認した。
したがって、床面積が上記範囲で、天井面の面積SBが壁52の総面積SAの1倍以上に構成され、天井面の面積SBの1倍以上の面積を覆うように蓄熱・蓄冷兼用パネル1を配置することで、十分に「恒温化」できることが判った。
【0038】
<第2実施形態>
図11(A)(B)は、第2実施形態に係る店舗50の縦断面図である。この店舗50は、天井板がなく、室内が屋根54まで開口した平屋であり、いわゆる屋根裏のない建物である。
図11(A)(B)に示すように、この店舗50には、複数本の吊りボルト82を介して金属製の枠体(吊り天井下地)81が吊り下げ支持され、この枠体81に複数枚の蓄熱・蓄冷兼用パネル1が配置される。
蓄熱・蓄冷兼用パネル1は、枠体81の野縁84の上面に不図示の締結部材を介して鉛直方向に沿って固定され、水平方向に間隔を空けて設けられる。これによって、複数の蓄熱・蓄冷兼用パネル1が、天井53に縦支持されると共に天井面の面積SBの1倍以上の面積を有することができる。なお、壁52から外側に飛び出す部分(いわゆる軒)の天井面57Nには、第1実施形態と同様に、蓄熱・蓄冷兼用パネル1が水平に配置される。
【0039】
本構成においても、天井面の面積SBの1倍以上の面積を有する多数枚の蓄熱・蓄冷兼用パネル1が配置されるので、第1実施形態と同様に、屋根54からの太陽熱や冷熱等が天井裏を介して室内環境に大きく影響する平屋において、断熱のみでは無く、効率良く蓄熱及び蓄冷をし「恒温化」をすることができる等の各種の効果を奏する。
また、蓄熱・蓄冷兼用パネル1は、各野縁84の上面に縦支持されることによって、野縁84の並び方向に一定の間隔LKを空けて平行に配置される。この間隔LKは、室内空気を蓄熱・蓄冷兼用パネル1間に円滑に流す空気流通路として機能するので、蓄熱・蓄冷兼用パネル1間を室内空気が円滑に流れ、蓄熱・蓄冷兼用パネル1と室内空気との熱交換を円滑に行うことができる。
【0040】
すなわち、店舗50内の熱源や冷熱源或いは空調設備の空調により店舗50内には空気の流れが生じ、蓄熱・蓄冷兼用パネル1は、特にこの空気の上下方向の流れ(対流)を妨げないので、蓄熱・蓄冷兼用パネル1の蓄熱・蓄冷及び放熱・吸熱を円滑に行うことができ、効率よく「恒温化」をすることができる。
また、蓄熱・蓄冷兼用パネル1を、各野縁84及び野縁受け83に接触させて支持しており、枠体81を蓄熱・蓄冷兼用パネル1間及び蓄熱・蓄冷兼用パネル1と室内空気との間で熱を伝達する熱伝達部材として機能させることができる。
【0041】
さらに、蓄熱・蓄冷兼用パネル1が屋根54下に間隔LKを空けて均等に配置されており、屋根54を介した直射日光・放射冷却等の熱影響を、断熱材55だけでなく、蓄熱・蓄冷兼用パネル1の蓄熱・蓄冷によっても均等に抑えることができる。
また、この蓄熱・蓄冷兼用パネル1が天井53に配置されるため、これら蓄熱・蓄冷兼用パネル1を天井53のデザイン部品に兼用することもできる。この場合、蓄熱・蓄冷兼用パネル1の表面に着色、模様等のデザイン処理を施してもよいが、特にデザイン処理を施さなくても蓄熱・蓄冷兼用パネル1によりシンプルな天井デザインを付与させることができる。したがって、天井材を省略してコスト低減を図りつつ、蓄熱・蓄冷兼用パネル1により天井デザインと室内の恒温化とを両立した平屋を提供することができる。
なお、本実施形態では、蓄熱・蓄冷兼用パネル1を全ての野縁84に縦支持する場合を示したが、更に、蓄熱・蓄冷兼用パネル1を野縁84に水平支持してもよい。要は、蓄熱・蓄冷兼用パネル1を十分に配置可能であれば、縦支持や水平支持を適宜に選択すればよく、レイアウト自由度も高い。
【0042】
<第3実施形態>
図12(A)(B)は、第3実施形態に係る店舗50の縦断面図である。この店舗50は、第2実施形態と同様に、屋根裏のない建物である。この第3実施形態では、店舗50に複数本の吊りボルト82を介して金属製の枠体(吊り天井下地)81を吊り下げ支持し、この枠体81に、蓄熱・蓄冷兼用パネル1を側面視で斜めに支持し、水平方向に間隔を空けて配置している。
このように蓄熱・蓄冷兼用パネル1を斜めに支持した場合、同サイズのパネルを縦支持する場合よりもパネル配置に必要な上下寸法を小さくできる。このため、斜め支持の場合、縦支持では配置できない大型の蓄熱・蓄冷兼用パネル1を配置することができ、天井53(屋根54の下)の限られた空間内に、より大型サイズの蓄熱・蓄冷兼用パネル1を配置することが可能になる。例えば、幅が450mm、長さが900mm、厚さが10mmの蓄熱・蓄冷兼用パネル1を50mm〜100mm程度の間隔で配置した場合、設置面積1平方mあたり8平方mの蓄熱・蓄冷兼用パネル1、つまり、8倍の表面積を有する蓄熱・蓄冷兼用パネル1を配置可能である。
従って、屋根54からの太陽熱や冷熱等が天井裏を介して室内環境に大きく影響する平屋において、断熱のみでは無く、効率良く蓄熱及び蓄冷をし「恒温化」をすることができる、といった上記各実施形態で得られる効果を、より効率よく得ることができる。
【0043】
また、図12(A)(B)に示すように、蓄熱・蓄冷兼用パネル1は、その上端が屋根54から下方に離れた位置に配置され、これによって、隣接する蓄熱・蓄冷兼用パネル1の間に形成される空間、及び、蓄熱・蓄冷兼用パネル1と屋根54との間の空間とによって、図中矢印で示すように、空気の対流経路を形成することができる。この空気の対流によって、蓄熱・蓄冷兼用パネル1と室内空気との熱交換を円滑に行うことが可能である。
さらに、複数の蓄熱・蓄冷兼用パネル1を斜めに支持するので、屋根54の裏面を蓄熱・蓄冷兼用パネル1で覆うことでき、室内から屋根54の裏面を見えないようにすることができ、この蓄熱・蓄冷兼用パネル1を天井53のデザイン部品に兼用することができる。
なお、本実施形態では、斜めに支持される蓄熱・蓄冷兼用パネル1の下端を、枠体81の野縁84に支持し、上端を、野縁84上方にて吊りボルト82間に掛け渡した架橋部材84Aに支持しているが、この支持構造に限らず、他の支持構造を適用してもよい。
【0044】
上述した各実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形及び応用が可能であることは勿論である。
例えば、店舗50の窓の内側を覆うブラインドを、複数枚の蓄熱・蓄冷兼用パネル1で構成し、これによって、天井面の面積の1倍以上の面積を有する蓄熱・蓄冷兼用パネル1を配置してもよい。
図13は横型ブラインドに構成した場合を示しており、図13(A)は横型ブラインドの正面図、図13(B)は側断面図、図13(C)は開いたときの側断面図、図13(D)は収納したときの側断面図である。横型ブラインドの各ルーバーが蓄熱・蓄冷兼用パネル1で構成され、蓄熱・蓄冷兼用パネル1の各々は、例えば100mm×1800mm×10mmの横長ルーバーとして使用され、チェーン或いは紐からなる連結体91で連結され、手動、或いはモーター等の動力源を用いて各ルーバーが回転等し、ブラインド操作(図13(B)〜図13(D)参照)が可能である。
また、図14は縦型ブラインドに構成した場合を示しており、図14(A)は縦型ブラインドの正面図、図14(B)は横断面図、図14(C)は開いたときの横断面図、図14(D)は収納したときの横断面図である。蓄熱・蓄冷兼用パネル1の各々は、縦型ブラインドの縦長ルーバーを構成し、ルーバー下部等に設けられる連結体91で連結され、手動、或いはモーター等の動力源を用いて各ルーバーが回転等し、ブラインド操作(図14(B)〜図14(D)参照)が可能である。
【0045】
また、上述の各実施形態において、図15及び図16に示すように、蓄熱・蓄冷兼用パネル1を、袋状凹部13が設けられた1枚の樹脂製のパネル材2で構成しても良い。この場合、パネル材2の表裏面を樹脂製の表面シート材9で覆って容器を形成し該容器に蓄熱材5を充填すればよい。
また、上述した各実施形態において、中空筒状体11を構成する袋状凹部13の断面形状をカップ状としたが、これに限らず、円錐状や筒状(円柱や多角柱)にしても良い。また、中空筒状体11の内部が仕切られずに蓄熱・蓄冷兼用パネル1の表裏に貫通していてもよい。また、本発明は、コンビニエンスストア以外の平屋に適用してもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 蓄熱・蓄冷兼用パネル
2 パネル材
5 蓄熱材
11 中空筒状体
12 隙間
13 袋状凹部
50 店舗(平屋)
51 床
52,52F,52L,52R,52B 壁
53 天井
54 屋根
55 断熱材
57 天井板(天井下地材)
65 調理コーナー(熱源)
66 機械設備(熱源)
67 書籍棚
68 商品陳列棚
81 枠体(吊り天井下地)
82 吊りボルト
83 野縁受け
84 野縁(延出部材)
86 締結部材
CC1,CC2 商品冷却用ケース(冷熱源)
HC1 商品保温用ケース
K1 天井空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床、壁及び天井を有する平屋において、
天井面積が前記壁の総面積の1倍以上に構成され、前記天井を上方から覆う屋根の裏面を覆うように断熱材を配置し、この断熱材下方の天井空間には、前記天井面積の1倍以上の面積を有する蓄熱・蓄冷兼用パネルを配置したことを特徴とする平屋。
【請求項2】
前記天井には、金属製の枠体からなる吊り天井下地を吊り下げ、
前記蓄熱・蓄冷兼用パネルを、前記吊り天井下地に接触させて支持したことを特徴とする請求項1に記載の平屋。
【請求項3】
前記吊り天井下地は、横並びで水平に延出する複数の延出部材を有し、
前記蓄熱・蓄冷兼用パネルを、前記延出部材に載せて水平支持、縦支持、或いは、斜めに支持したことを特徴とする請求項2に記載の平屋。
【請求項4】
前記縦支持又は斜めに支持した前記蓄熱・蓄冷兼用パネルは、少なくとも前記延出部材の並び方向に空気流通路を空けて配置されることを特徴とする請求項3に記載の平屋。
【請求項5】
前記吊り天井下地の下面に天井板を取り付けたことを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の平屋。
【請求項6】
前記平屋の室内には、熱源と冷熱源とが設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の平屋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−149413(P2012−149413A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7670(P2011−7670)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(508189441)ナサコア株式会社 (11)