説明

平板体の荷重受け構造、及び秤

【課題】強度の低下を抑えつつ材料効率を高めることのできる平板体の荷重受け構造を提供する。
【解決手段】体重計1が備えるフレーム4は、略矩形の平板体から構成されており、上面の左右の側部に荷重が加えられる。フレームの上面の前後左右の四隅には、ロードセル収容部43が開口している。ロードセル収容部43の底面には、ロードセルに取り付けられた脚部63を外部に突出させるための脚部挿通孔44が設けられている。フレーム4の上面に荷重が加えられると、各脚部挿通孔44から外部に露出した4つの脚部63で荷重が受けられる。フレーム4の左右の幅方向の中央部には、上面に配線固定凹部50及び肉抜凹部53が、また、下面に肉抜凹部54が、それぞれ備えられている。凹部50,53,54は、フレーム4の延伸方向に沿って、碁盤目状に交互に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板体の荷重受け構造、及び該荷重受け構造を備える秤に関する。
【背景技術】
【0002】
秤では、下記の特許文献1に示すように、カバーの裏面にスチール製の補強盆体を接合したり、補強盆体に補強板を前後方向に沿わせて設ける等して撓みを抑え、強度を高めている。補強盆体には、複数本のリブが前後方向に延設されている。しかしながら、補強盆体に補強板を取り付ける等の作業には手間がかかり、また、様々な方向への撓みを十分に抑えることができなかった。このため、平板体の一主面に格子状のリブを設けて補強板を構成することも考えられる。この補強構造によれば、様々な方向への撓みを抑えて、補強板の強度を高めることができる。
【0003】
【特許文献1】特開2001−141551号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記補強構造では、補強板の強度をより高めるために、リブの数を増やしたりリブを肉厚に形成することも考えられるが、リブの数を増やしたりリブを肉厚に形成する分、多くの材料を必要とし、重量の増加や材料効率の悪化を招く虞があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決することのできる平板体の荷重受け構造、及び秤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するために、本発明の平板体の荷重受け構造は、一主面で荷重を受ける平板体の荷重受け構造であって、前記平板体には、一主面に開口する一凹部と他主面に開口する他凹部とが、両前記主面の延伸方向に沿って、碁盤目状に交互に配設されていることを特徴とする。
また、本発明は、互いに隣り合う前記一凹部及び前記他凹部を隔てる各壁部の高さ方向の中央部に、前記一主面側及び前記他主面側に比べて肉薄に形成された薄肉部を設けたことを特徴とする。
また、本発明は、前記平板体は、前記他主面の複数の支持部を支持されて荷重を受け、前記一凹部及び前記他凹部を、各前記支持部間に備えていることを特徴とする。
また、本発明の秤は、一主面で荷重を受ける平板状のフレームと、前記フレームで受けた荷重を計測する計測手段とを備える秤であって、前記フレームが、上記何れかの平板体の荷重受け構造を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、材料効率の低減を抑えつつ、平板体の強度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の最良の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の体重計1を上方から見た斜視図である。また、図2は、体重計1を示す図であり、(a)は平面図,(b)は底面図,(c)は正面図である。
【0009】
図1及び図2に示すように、体重計1は、フレーム4(図5〜図7参照)の下側にベース3、上側にカバー2をそれぞれ被せて構成されており、扁平な略四角箱状の外観形状を有している。図1及び図2(a)に示すように、カバー2の上面の左右の幅方向の中央部には、操作・表示部11が設けられている。操作・表示部11は、略矩形の平面形状を有しており、前端部には表示窓11aが、また、前後方向の中央部から後端部にかけては操作部11bが、それぞれ備えられている。表示窓11aからは、内部に備えられた液晶表示パネルが視認される。液晶表示パネルは、体重計1に加えられた荷重の算出や液晶表示パネルの表示制御を行うための回路を搭載した図示しない表示基板と一体化されている。また、操作部11bにはスイッチが内蔵されており、操作部11bの押操作によりスイッチがON・OFFされる。
【0010】
また、上面の左右の側部には、被験者の左右の足の載置される載置部12が設けられている。載置部12は、上面の前端部から後端部にかけて略矩形状を呈して延びており、前端部及び後端部を電極板61で覆われている。電極板61は、被験者の左右の足と接触することにより、体脂肪率等の生体情報を取得するのに用いられる。また、図1及び図2(c)に示すように、後縁部には、操作部62が設けられている。操作部62にはスイッチが内蔵されており、操作部62の操作によりスイッチがON・OFFされる。
【0011】
図2(b)に示すように、体重計1の底面の4つの隅部には、脚部63が設けられている。体重計1は、これら4つの脚部63で載置面上に支持される。また、後縁部には、各操作部62の支持台64が取り付けられている。各操作部62は、上下方向に回動自在に、支持台64上に支持されている。また、支持台64より前方に位置する底面の後端部には、バッテリ箱65が設けられている。
【0012】
図3は、体重計1のベース3を示す図であり、(a)は平面図,(b)は底面図である。図3に示すように、ベース3は、四角盆状を呈しており、後述するフレーム4に備えられた膨出部56(図6参照)を外部に臨ませる円形の膨出部挿通口31が、底板部3aの4つの隅部に設けられている。また、後端部の左右の幅方向の中央部には、後述するフレーム4に取り付けられたバッテリ箱65を外部に臨ませるバッテリ交換口32が開口している。また、前端部の左右の幅方向の中央部の内面には、上述した表示基板を収容する基板収容部33が設けられている。基板収容部33は、略矩形の平面形状を有しており、底板部3aを肉薄にすることにより構成されている。
【0013】
また、膨出部挿通口31よりも外方に位置する底板部3aの四隅には、ネジ挿通孔34が設けられている。また、左右の幅方向の中央部には、前後方向の中央部に前後方向に並んで、2つのネジ挿通孔35が設けられている。また、後縁部には、支持台64(図2(b)参照)を外部に露出させるための矩形の切欠部36が設けられている。
【0014】
図4は、体重計1のカバー2を示す図であり、(a)は平面図,(b)は底面図である。図4に示すように、カバー2は、四角盆状を呈しており、天板部2aの上面には、左右の幅方向の中央部に位置して、操作・表示パネル取付部21が設けられている。操作・表示パネル取付部21に取り付けられる操作・表示パネル66(図1,図2(a)参照)は、液晶表示パネルを外部に臨ませる表示窓66aと、弾性を有した円形の複数のボタン66bとを備えた略矩形のパネルである。
【0015】
操作・表示パネル取付部21は、操作・表示パネル66とほぼ等しい略矩形の平面形状を有しており、前端部には表示部11(図1,図2(a)参照)を構成するレンズの嵌め込まれるレンズ嵌込孔21aが開口している。また、前後方向の中央部から後端部にかけては、図示しない操作パネルの取り付けられる操作パネル取付部21bが設けられている。操作パネルは、操作パネル取付部21bと操作・表示パネル66(図1,図2(a)参照)との間に介装される。操作パネルには、複数のスイッチと各スイッチに接続された配線とが備えられており、操作・表示パネル66のボタン66bの操作に応じて各スイッチがON・OFFする。操作パネル取付部21bには、操作パネルとカバー2の内側とでの配線接続を行うための挿通孔22が備えられている。
【0016】
また、天板部2aの上面の左右の側部には、前端部及び後端部に位置して、電極板61を収容する一対の電極板収容部23が設けられている。各電極板収容部23には、電極板61とカバー2の内側とでの配線接続を行うための挿通孔23aが備えられている。また、後縁部には、操作部62を外部に露出させるための矩形の切欠部24が設けられている。
【0017】
図4(b)に示すように、天板部2aの内面の四隅には、フレーム4に取り付けられた後述するロードセルが上方に撓んだ際の干渉を回避するための逃げ部25が設けられている。逃げ部25は、天板部2aを肉薄にすることにより構成されている。また、内面の後縁部には、操作部62の取り付けられる操作部取付部26が設けられている。操作部取付部26には、各操作部62ごとにスイッチが取り付けられる。各スイッチは、操作部62の操作に応じてON・OFFする。また、操作部取付部26の左右の両側には、支持台64(図2(b),(c)参照)をカバー2にネジ止めするためのネジ孔26aが設けられている。
【0018】
また、天板部2aの内面の左右の両側部には、前後の両側部に位置して、係合片20が設けられている。また、天板部2aの内面の前後及び左右の各縁部には、フレーム4を位置決めする位置決めリブ27が複数設けられている。また、各挿通孔23aの形成位置よりも左右の中央部寄りには、配線固定片23bが設けられている。配線固定片23bは、電極板61と表示基板とを接続する配線を固定するためのものである。また、逃げ部25よりも外方に位置する天板部2aの四隅には、ネジ孔28が設けられている。また、左右の幅方向の中央部には、前後方向の中央部に前後方向に並んで、2つのネジ孔29が設けられている。
【0019】
図5〜図7は、ベース3とカバー2との間に介装されるフレーム4を示す図である。図5(a)はフレーム4の平面図,(b)は(a)のA−A線での断面図である。また、図6(a)はフレーム4の底面図,(b)は正面図である。また、図7(a)は、図6(a)のB−B線,(b)はC−C線,(c)はD−D線での断面図である。
【0020】
フレーム4は、アルミニウム製の略方形の平板体から構成されている。フレーム4の前側面及び左右の各側面には、後述するロードセル収容部43に収容されるロードセルの備えた配線を固定する配線固定片41が設けられている。また、前端部の左右の中央部には、表示基板が備える液晶表示パネルの収容される基板収容口42が開口している。また、図5に示すように、上面の前後左右の四隅には、ロードセルを収容するロードセル収容部43が開口している。ロードセル収容部43は、略方形状を呈してフレーム4の上面に開口している。ロードセルは、体重計1に加えられた荷重を検知するためのものであり、可動部の下面に脚部63(図2(b)参照)を取り付けられている。
【0021】
フレーム4の前側隅部の各ロードセル収容部43は、底面の前縁部に一対のネジ孔43aを備えている。また、フレーム4の後側隅部の各ロードセル収容部43は、底面の後縁部に一対のネジ孔43aを備えている。ロードセル収容部43の底面の前後方向の中央部には、左右の両縁部に亘って脚部挿通孔44が形成されている。脚部挿通孔44からは、ロードセルに取り付けられた脚部63が、外部に突出する。
【0022】
また、フレーム4の左右の両側部には、前後方向の中央部に位置して、肉抜き孔45が設けられている。フレーム4の上面には、左右の肉抜き孔45同士を結ぶ配線逃し溝46が形成されている。配線逃し溝46は、肉抜き孔45の前端部及び後端部から左右の幅方向の中央部側に向けて延びており、フレーム4の左右の幅方向の中央部で連結されている。配線逃し溝46には、電極板61と表示基板とを接続する配線が収容される。配線逃し溝46には、配線挿通孔47が設けられている。配線挿通孔47は、配線逃し溝46に収容された配線を、フレーム4の上面側から下面側に通すための孔である。フレーム4の左右の両側部には、前後方向の両側部に位置して係合部55が設けられている。
【0023】
図6に示すように、フレーム4の下面の基板収容口42の周縁には、表示基板を取り付けるための基板取付部42aが設けられている。基板取付部42aには、複数のネジ孔42bが設けられている。また、フレーム4の下面では、ロードセル収容部43の底壁部が下方に膨出して膨出部56を構成している。脚部挿通孔44は、膨出部56の中央部に開口している。
【0024】
また、後縁部の左右の幅方向の中央部には、バッテリ箱65(図2参照)の収容されるバッテリ箱収容部48が開口している。バッテリ箱収容部48は、略矩形の開口形状を有している。バッテリ箱収容部48の前後の各縁部には、バッテリ箱65が備える係止片(不図示)を係止する係止部48aが設けられている。バッテリ箱収容部48の左縁部からは、基板収容口42に収容された表示基板とバッテリ箱65とを結ぶ配線を収容する配線収容溝49が延びている。配線収容溝49には、収容した配線を固定する挟持片50aを備えた配線固定凹部50が複数設けられている。また、左右の幅方向の中央部には、前後方向の中央部に前後に並んで、2つのネジ挿通孔58が設けられている。
【0025】
フレーム4の左側の一対のロードセル収容部43と右側の一対のロードセル収容部43との間には、上面に肉抜凹部53が、下面に肉抜凹部54が、それぞれ複数設けられている。図7に示すように、肉抜凹部53及び肉抜凹部54は、ほぼ等しい深さを有しており、略矩形の断面形状を呈している。肉抜凹部53は、一凹部を構成している。また、配線固定凹部50及び肉抜凹部54は、他凹部を構成している。一凹部及び他凹部は、フレーム4の上下の主面の延伸方向に沿って、碁盤目状に交互に配設されている。
【0026】
次に、上述した各構成部品を組み付けて、体重計1を組み立てる方法の一例について説明する。カバー2,ベース3,フレーム4同士の組付けの前に、まず、これらに必要な部品の組付けが行われる。カバー2の操作・表示パネル取付部21には、レンズ嵌込孔21aにレンズ(不図示)が嵌め込まれ、また、操作パネル取付部21bに操作パネル(不図示)が取り付けられ、その上から操作・表示パネル66(図1,図2(a)参照)が取り付けられる。操作パネルの配線は、挿通孔22からカバー2の内面側に導かれる。また、各電極板収容部23には、電極板61が取り付けられる。電極板61に接続された配線は、挿通孔23aからカバー2の内面側に導かれる。また、操作部取付部26には、支持台64に支持された操作部62と、スイッチ(不図示)とが取り付けられる。支持台64は、ネジ孔26aにネジ止めされて、カバー2に固定される。
【0027】
フレーム4の基板取付部42aには、各ネジ孔42bに螺子止めされて表示基板(不図示)が取り付けられる。また、フレーム4には、ロードセル収容部43にロードセル(不図示)が収容されると共に、バッテリ箱収容部48にバッテリ箱65(図2参照)が収容される。ロードセル収容部43に収容されたロードセル(不図示)は、底面のネジ孔43aに固定部をネジ止めされ、可動部の下面に取り付けられた脚部63(図2(b)参照)を、脚部挿通孔44から外部に臨ませる。ロードセルの歪みゲージに接続された配線は、フレーム4の左右の側面に沿わされて配線固定片41によりフレーム4に固定され、表示基板に接続される。
【0028】
また、バッテリ箱収容部48に収容されたバッテリ箱65(図2参照)は、バッテリ箱収容部48の係止部48aに係止片(不図示)を係止させて、フレーム4に固定される。また、バッテリ箱65から引き出された配線は、フレーム4の下面の配線収容溝49を通って基板取付部42aに引き込まれ、挟持片50aにより固定される。このようにして、カバー2,ベース3,フレーム4に必要な部品を組み付けた後、フレーム4にカバー2が被せられる。
【0029】
カバー2を被せられたフレーム4は、その上面をカバー2の下面に合わせて両面テープでカバー2に貼り付けられる。また、前後及び左右の各側面を位置決めリブ27に支持される。また、フレーム4は、各係合部55に係合片20が係合することにより、カバー2に固定される。また、挿通孔22からカバー2の内側に引き込まれた配線は、配線挿通孔47を通してフレーム4の上面側から下面側に導かれて表示基板(不図示)に接続される。また、挿通孔23aからカバー2の内側に引き込まれた配線は、配線固定片23bに固定され、配線逃し溝46から配線挿通孔47を通して表示基板に接続される。カバー2を被せられたフレーム4は、ベース3に収容される。ベース3に収容されたフレーム4は、その下面をベース2の上面に合わせて両面テープでベース3に貼り付けられる。
【0030】
フレーム4を収容したベース3の基板収容部33には、表示基板が収容される。また、フレーム4の膨出部56が、ベース3の膨出部挿通口31からベース3の下側に突出する。ネジ挿通孔34を挿通したネジをネジ孔28に螺着し、また、ネジ挿通孔35及びネジ挿通孔58を挿通したネジをネジ孔29に螺着することにより、カバー2と一体化されたフレーム4がベース3に固定され、これらが一体化される。
【0031】
次に、本実施形態の体重計1での計量時の動作について説明する。体重計1は、ベース3の膨出部挿通口31から外部を臨んだ脚部63により床面上に支持された状態で計量を行う。載置部12(図1参照)に被験者が左右の足を載置すると、フレーム4の上面の左右の両側部に、カバー2を介して荷重が加えられる。この荷重は、フレーム4の前後左右の四隅に取り付けられたロードセル(不図示)を介して各脚部63に伝達され、脚部63が床面から受ける反力によりロードセルに撓みが生じる。この撓みは、ロードセルの起歪部に貼り付けられた歪みゲージで検知され、フレーム4の左右の側面に沿わされた配線で接続された表示基板上の回路に入力され、液晶表示パネルに荷重が表示される。
【0032】
このようにして計量が行われる際には、各脚部63間に位置するフレーム4には、上面に加えられた荷重により撓みや塑性変形が生じる。
【0033】
撓みに対する強度確保には剛性を高めることが、また、塑性変形や破壊・破断に対する強度確保には耐久性を高めることが、それぞれ求められる。剛性確保には荷重受け方向である上下方向に沿ったフレーム4の縦断面の断面2次モーメントを大きくすることが好ましい。このためには、フレーム4の縦断面をその重心を挟んで上下方向に2分したときに、それぞれの重心がフレーム4の縦断面の重心から上下方向により離れて位置すること、つまり、フレーム4の縦断面の重心から上下方向のより離れた位置に多くの材料が配置される形状を、フレーム4の縦断面が有していることが望ましい。
【0034】
また、耐久性確保には、フレーム4に生じる応力を小さくすることが好ましく、このためには、フレーム4の縦断面の断面係数を大きくすることが望ましい。また、フレーム4の縦断面の重心から上下方向の最も離れた位置に最大応力が生じることから、フレーム4の縦断面を同じ高さに保ちつつ最大応力を小さく抑えるには、縦断面の重心を挟んだ上下方向の中央部に、縦断面の重心が位置することが望ましい。
【0035】
例えば、図8(a)に模式的に示すように、上面のみに凹部420を備えたフレーム400では、フレーム400の縦断面の重心が高さ方向の中央部よりもより多くの材料の配置された下側に偏る。これに対し、図8(b)に模式的に示すように、一凹部410と他凹部410とを上面及び下面の延伸方向に沿って交互に碁盤目状に配置したフレーム400では、縦断面の重心を高さ方向の中央部に位置させ、より多くの材料の配置された平板部を、重心から離すことができる。このため、一凹部410及び他凹部410と凹部420とのサイズ及び配置間隔が同じであれば、つまり、材料の量が同じであれば、図8(a)に示すフレーム400に比べ、図8(b)に示すフレーム400の方が、断面2次モーメント及び断面係数をより大きくすることができる。この結果、撓み及び塑性変形や破壊・破断に対する強度をより高めることができる。
【0036】
従って、フレーム4の上面に開口する一凹部と下面に開口する他凹部とが、上面及び下面の延伸方向に沿って交互に配置されている本実施形態のフレーム4によれば、材料効率の低減を抑えて重量増加を抑えつつ、一凹部又は他凹部のみを設けた場合に比べ、計量時に上面に加えられる荷重に対し高い強度を持たせることができる。この結果、体重計1の重量増加を抑えつつ、強度を高めることができる。
【0037】
また、フレーム4の上側及び下側にカバー2及びベース3を被せて構成される体重計1においては、加えられた荷重をフレーム4で受けることから、フレーム4に高い強度が求められるが、フレーム4を肉厚に形成すると材料効率が低下して体重計1の重量の増加を招くこととなる。しかしながら、フレーム4の上面に一凹部、下面に他凹部を備える上記実施形態の構成によれば、フレーム4の厚さを薄く抑えつつ強度を高められることから、材料効率の低下を抑えつつ、高い強度をフレーム4に付与することができる。
【0038】
上記実施形態では、フレーム4の各脚部43間に一凹部及び他凹部が設けられている場合について説明した。しかしながら、曲げ応力に対する強度を高める必要がある場合には、各脚部43で囲まれるフレーム4の外方にも一凹部及び他凹部を設けてもよい。また、一凹部及び他凹部の配置間隔,形状,大きさは、フレーム4に求められる強度や重量に応じて適宜設定することができる。
【0039】
また、上記実施形態では、フレーム4の左右の側部に肉抜き孔45を設けて材料効率を高め、軽量化を図った場合について説明したが、肉抜き孔45に代えて一凹部及び他凹部を設ける構成としてもよい。また、フレーム4(体重計1)を支持する脚部63の数量、つまり、フレーム4に取り付けられるロードセルの数量や配置態様も任意である。
【0040】
また、図9に示すように、互いに隣り合う肉抜凹部53と配線固定凹部50又は肉抜凹部54とを隔てる壁部59の高さ方向の中央部に、上面側及び下面側に比べて肉薄に形成された薄肉部59aを設ける構成としてもよい。この構成によれば、フレーム4の断面係数が小さくなるのを極力抑えて曲げ応力に対する強度を保ちつつ、フレーム4に用いる材料を削減することができ、材料効率を向上させ、軽量化を図ることができる。
【0041】
また、上記実施形態では、本発明を体重計1のフレーム4に適用した場合について説明したが、他の平板体にも本発明は適用することが可能である。例えば、カバーとベースとを組み合わせて構成される体重計では、カバーやベースに取り付ける補強板の上面に一凹部、下面に他凹部を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態の体重計を上方から見た斜視図である。
【図2】図1の体重計を示す図であり、(a)は平面図,(b)は底面図,(c)は正面図である。
【図3】図1のベースを示す図であり、(a)は平面図,(b)は底面図である。
【図4】図1の体重計のカバーを示す図であり、(a)は平面図,(b)は底面図である。
【図5】図1に示す体重計の備えるフレームを示す図であり、(a)は平面図,(b)は(a)のA−Aでの断面図である。
【図6】図1に示す体重計の備えるフレームを示す図であり、(a)は底面図,(b)は正面図である。
【図7】図1に示す体重計の備えるフレームを示す図であり、(a)は図6(a)のB−Bでの断面図,(b)はC−Cでの断面図,(c)はD−Dでの断面図である。
【図8】フレームを模式的に示す図であり、(a)本発明を適用したフレーム,(b)は、従来の荷重受け構造を適用したフレームを示している。
【図9】フレームの構成の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 体重計
12 載置部
2 カバー
3 ベース
4 フレーム
43 ロードセル収容部
49 配線収容溝
50 配線固定凹部
53 凹部
54 凹部
63 脚部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一主面で荷重を受ける平板体の荷重受け構造であって、
前記平板体には、一主面に開口する一凹部と他主面に開口する他凹部とが、両前記主面の延伸方向に沿って、碁盤目状に交互に配設されていることを特徴とする平板体の荷重受け構造。
【請求項2】
互いに隣り合う前記一凹部及び前記他凹部を隔てる各壁部の高さ方向の中央部に、前記一主面側及び前記他主面側に比べて肉薄に形成された薄肉部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の平板体の荷重受け構造。
【請求項3】
前記平板体は、前記他主面の複数の支持部を支持されて荷重を受け、
前記一凹部及び前記他凹部を、各前記支持部間に備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の平板体の荷重受け構造。
【請求項4】
一主面で荷重を受ける平板状のフレームと、前記フレームで受けた荷重を計測する計測手段とを備える秤であって、
前記フレームは、請求項1から請求項3の何れかに記載の平板体の荷重受け構造を有していることを特徴とする秤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−121921(P2009−121921A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−295678(P2007−295678)
【出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【出願人】(000133179)株式会社タニタ (303)