平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム
【課題】平面形ループコイルを絶縁し2枚重ねるように近接させて、この間に高透磁率の磁性体シートを挟み込み、対なるループコイルに正相(逆相)電流を流す手段により、x,y,z方向の放射を抑えながら、絶縁された一方のコイル面が金属面に当った場合でも金属面の影響を殆んど受けないという方式である。影像による逆相電流を最初から予想し、これに対応できる構成とする方式の平行2線ループアンテナ磁界とその応用システムを提供することを目的とする。
【解決手段】平行2線により夫々が同大のループを構成するように、平行に同軸に置きループ間の距離が0.1mm〜2cmに設置し、両アンテナに給電を行うことを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【解決手段】平行2線により夫々が同大のループを構成するように、平行に同軸に置きループ間の距離が0.1mm〜2cmに設置し、両アンテナに給電を行うことを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HF(ハイフリクエンシー)帯、VHF(ベリーハイフリクエンシー)帯、UHF(ウルトラハイフリクエンシー)帯で用いられる平行2線ループアンテナ磁界とその応用システムに関する。
【0002】
また、ICカードやRFIDやNFC分野に用いるセンサアンテナは誘導コイルとしてループに流れる電流による誘導磁界を利用しており、ICカードや携帯電話やノートPCその他の端末と通信を行うための薄形の平行2線ループアンテナ磁界とその応用システムに関する。
【背景技術】
【0003】
従来のループアンテナでは、ループの軸方向には電流ベクトルは打ち消され基本的に放射はないがループが存在する面内には微少ループの場合でも僅かな放射がある。一般には放射インピーダンスは非常に低く2Ω以下となる。然るにRFIDやNFC端末、モバイル端末等にはループが用いられ、放射が規制されている。また金属面の影響を避けるための磁性体シートを用いる方法や磁性体によるオンメタル方式、共振方式等があるが、金属面の影響を消極的な方法で解決が試みられているが完全ではない。端末の数が増え、僅かな放射自体も気になる存在となる。
【0004】
例えば、特許文献1において、非接触情報記録媒体が金属面に挟まれたり載せられたりした場合でも、共振周波数のずれや通信感度の低下が発生せず使用できる無線送受信機器、非接触情報記録媒体、情報読取書込装置及び管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−130446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、NFC、RFID等のセンサアンテナは大量に用いられるので微小ループとはいえ放射は少しでも行われる。これを無くしながら且つ誘導磁界が損なわれないように外部に現れることが大事である。また、PC、携帯電話等の機器の内部や周囲には金属ばかりで誘導コイルを用いているアンテナセンサはこの金属面の影響を受け通信が著しく阻害されることを如何に改善しなければならないか、一見矛盾する問題を解決しなければならない。
【0007】
本発明は、以上の点に着目して平行2線で渦巻線ループコイルを構成する方法で、言い換えると、平面形ループコイルを絶縁し2枚重ねるように近接させて、この間に高透磁率の磁性体シートを挟み込み、対なるループコイルに正相(逆相)電流を流す手段により、x,y,z方向の放射を抑えながら、絶縁された一方のコイル面が金属面に当った場合でも金属面の影響を殆んど受けないという方式である。影像による逆相電流を最初から予想してこれに対応できる構成とする方式の平行2線ループアンテナ磁界とその応用システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の目的を達成するため、以下(1)〜(22)の構成を備えるものである。
【0009】
(1)平行2線により夫々が同大のループを構成するように、平行に同軸に置きループ間の距離が0.1mm〜2cmに設置し、両アンテナに給電を行うことを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【0010】
(2)前記(1)において、平面形1〜6巻ループの夫々を正相(逆相)あるいは零相に励振することを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とこの応用システム。
【0011】
(3)前記(1)または(2)において、ループの間に高透磁率の磁性体板を挟み込むことを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【0012】
(4)前記(1)または(2)において、夫々が同大のループを構成する平行2線のループアンテナをプリント基板で構成することを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【0013】
(5)前記(1)または(2)において、ループアンテナ素子を印刷や塗料や蒸着あるいは巻線で構成することを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【0014】
(6)前記(1)または(2)において、ループアンテナを支持する支持板をPCB、pi基板あるいはプラスチックフィルムあるいはフィルム基板で構成することを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【0015】
(7)前記(1)または(2)において、上下2枚のループアンテナを接続する方法は上下の導線位置を合わせ、スルーホールで上下のアンテナ線に導通するよう接続する方法を特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【0016】
(8)前記(1)または(2)において、上下2枚のループアンテナを接続する方法は上下の導線の位置合わせを行いスルーホールを設け、更に磁性体も貫通する穴を設けて上下のアンテナ線に接続する方法を特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【0017】
(9)前記(1)または(2)において、上下2枚のループアンテナを接続する方法はフレキシブル基板やポリイミド基板を用いて導線や端子の一部を半田または圧着、カシメ、融着により接続することを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【0018】
(10)前記(1)または(2)において、上下2面のループアンテナを接続する方法は2層基板のスルーホール等により、端子部を片側に集め、半田付、圧着、カシメ、融着により接続することを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【0019】
(11)前記(1)または(2)において、上下2枚のループアンテナを支えるフレキ基板の場合、給電部は2枚密着させ半田、圧着、カシメ、融着、スルーホールにより接続し、この部分から給電線を取り出すことを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【0020】
(12)前記(1)乃至(3)いずれかにおいて、ループアンテナを基板に構成する場合、基板裏に金属面を構成する場合は両面基板のアンテナ面の反対側の金属面を残しこれを金属面とすることを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【0021】
(13)前記(1)乃至(3)、または(12)いずれかにおいて、基板裏の配線が必要な部分は配線部として用い、アンテナ下部のみ金属面とすることを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【0022】
(14)前記(1)乃至(3)、または(12)または(13)いずれかにおいて、アンテナ給電部をアンテナの外側のどちらかの一辺に集中することを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【0023】
(15)前記(1)または(2)において、上面の基板にICやクリスタルや整合回路を搭載する場合は、アンテナコイルと一体のリーダライタとするため中心部の空間あるいはアンテナの外側の片端に集中させる方式とすることを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【0024】
(16)前記(1)または(2)において下面の基板にICやクリスタルや整合回路を搭載する場合は、アンテナコイルと一体のリーダライタとするため、中心部の空間あるいはアンテナの外側の片端に集中させ、磁性体や上部基板が邪魔にならないようにこの部分を切り欠いてしまい、全体として非常に薄形とすることを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【0025】
(17)前記(1)乃至(3)いずれかにおいて、携帯電話やsmart phone(登録商標)、iPhone(登録商標)等において、コイルアンテナの大きさが、一辺20〜35mm、他辺20〜45mm、磁性体の厚み0.05〜0.5mm、少なくとも1mm以下、PC組み込みの場合は、一辺30〜55mm、他辺45〜70mm、厚み0.1〜1mm、大形センサの場合、一辺25〜40mm、他辺25〜40mm、厚さ0.5〜20mm、中形センサの場合、一辺10〜15cm、他辺10〜15cm、厚さ0.1〜1mmとすることとし、中形、大形センサを除き薄形基板で2枚のアンテナを構成することを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【0026】
(18)前記(1)乃至(3)いずれかにおいてICカードまたはRFIDのICを載せ、カードあるいはタグとすることを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【0027】
(19)前記(1)乃至(3)いずれかにおいて本発明のアンテナを、携帯電話、パーソナルコンピュータ、smart phone(登録商標)、PDA、iPhone(登録商標)、iPod(登録商標)等に内蔵し、内部のインターフェースと接続し、夫々の機器あるいは外部端末と通信を行うことを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【0028】
(20)前記(1)または(2)においてゲート用、通過用の大形のアンテナを作るときは、一辺が1〜2m、他辺も1〜3mとし、磁性体を用いる場合と用いない場合とに分け、磁性体を用いる場合には薄形に厚さ10cm以下とし、磁性体を用いない場合は厚さ20〜40cmとし、これをR/Wに接続PCで管理することを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【0029】
(21)前記(1)乃至(18)いずれかにおいて述べられているセンサ、タグにおいて、PC、POS、R/W、OA、FA、家電機器で読まれたデータを基本とし、通信を行うことを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【0030】
(22)前記(1)乃至(3)いずれかにおいて夫々の平行線の線路に切換えを行ったり、別々に給電した場合に整合が取れるように整合回路を共通あるいは別々に設けることを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【発明の効果】
【0031】
本発明の平行2線ループアンテナ磁界とその応用システムによれば、基本的にどの方向でも放射を行わない構造となっており、電波法上非常に有利となり更に金属面にループアンテナを載せた場合でも特性の劣化やインピーダンス等の大きな変化がなく、金属面影像(イメージ)による感度の向上が得られる等の特徴があり、金属面、金属面でない場合等の使用上の心配が不要となる。一般に金属面上のアンテナは金属面に直接間接当った場合でも特性の変化があるため、最初から金属面を当てる必要があるが本発明の平行2線ループアンテナ磁界とその応用システムでは金属面による影響が少ない等の有利な点がある。
【0032】
電磁界には座標中心からの距離をrとすると、K1/r3、K2/r2、K3/r、で表されるように三乗、二乗、一乗分の一で減衰する項がある。一般に三乗分の一は静電界や静磁界で、二乗分の一は誘導磁界、一乗分の一は放射電磁界の項と考えられている。所がループの軸方向(ループがxy面内にあるときはz軸方向)にはある距離から三乗分の一で減衰や結合が行われる。正確に云うと距離rによる影響はlogr、1/r、1/r2、1/r3、の函数となる。
【0033】
もし、1/rの項の放射を無くそうとすると誘導磁界も打ち消されてなくなりそうであるが、放射電磁界のベクトルは同相の場合、このようなセンサアンテナやICタグのアンテナとして組み込んだ場合には、金属面上においても且つ他の金属面からもあまり影響を受けないセンサやタグを構成することができる。放射電磁界は打ち消されても、誘導磁界が残るようにすることができる。ループの軸方向ではそうであり、xy面内にも放射しない構造となる。正に一石二鳥の効果である。
【0034】
更に優れたことは金属面の影響が取り除かれることである。最初から金属面に現れる逆相電流を想定し、正相(逆相)電流を最初から組み込むことにより、金属面の影響を取り除くことである。更にこれに加え金属面の影像効果も加算することができるので一石三鳥の効果が得られる。
【0035】
また、金属の影響を受けない最初からこのような特性の優れたアンテナがNFCリーダに用いられると、PC、携帯、smartphone(登録商標)、iPhone(登録商標)、iPod(登録商標)その他の機器に内蔵することによりそのための通信ソフトやインターフェースが合わせられるようにしておくことにより、他の機器が端末に近づいた時にインターフェースの切換えが自動的に行われ、自動的に通信が行われるようになり、置くだけ、触れるだけの通信が可能となる。更にアプリケーションソフトウェアが内蔵させることにより種々のアプリケーションの対応が可能となる。
【0036】
現在の多くの市販ノートパソコンでは、ディスプレイを開いた状態でキーボードの手前部分(キーを打つ時に両手を載せている辺り)に、上述の手段で薄形化したNFCセンサアンテナを組み込むことが容易となる。また、液晶画面の右あるいは左下あるいは全面に薄形化したNFCセンサを組み込むこともできる。NFCセンサの送受信用IC素子としてはRFID規格(ISO/IEC14443, 15693, 18092)に準拠したもの(例えばNXP社のMifare,PN531,PN532,PN533,− − − ,IcodeSLIなどのNFCチップ)を使用し、パソコンとの通信は内部のUSB,SD,PCMCIA等のインターフェースを介して行うようにすれば、組込み型NFCセンサを簡単に実現できる。
【0037】
また、携帯電話の場合には電池蓋が一般的であるが電池蓋の内側も従来のように装着することができる。丁度、裏側がリチウムイオン電池となり、電池の外装はステンレスでその周囲は薄いプラスチックフィルムで覆われており金属面の影響が大きい。NFCICやクリスタル、整合用コンデンサ、フィルタ等は別途基板に装着し、給電線を介して給電し、USB、SD端子に接続するか、適当なインターフェースを持つ通信端子に接続すればよい。
【0038】
アンテナは液晶画面の裏側も組み入れることもできる。また、携帯電話の全面が金属面で覆われているような構造やiPod(登録商標),iPhon(登録商標)等の場合には金属面の外側に薄いアンテナのみを貼り付けるようにして、給電部から金属面の内側に入るように隙間あるいは小さな穴から導線を取り付けるなり、接触端子を設けて内部と導通するように構成することもできる。また、smartphone(登録商標)やPDA等の場合も、PCや携帯電話の場合と同じようにセンサアンテナを取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】通常のループアンテナの説明図、(a)半径a、線の太さ2ρの円形ループアンテナの放射パターン図、(b)一辺がL1とL2の枠形ループアンテナの放射パターン図、(c)微小ループの放射指向性を示す図、(d)極座標系で表される磁界Hθを示す図
【図2】本発明の平行2線ループアンテナ磁界の原理を示す図
【図3】本発明の平行2線ループアンテナの実施例と説明図、(a)上下のコイル(ループ)を直列に給電する方法を示す図、(b)上下のコイル(ループ)を並列に給電する方法を示す図、(c)夫々のコイル(ループ)の給電部P1,P2とP3,P4に整合回路MTCを別々に設置する場合、(d)枠形コイル(枠形ループ)の一辺L1側における電流I1,I2と金属面Mによる影像(イメージ)、(e)L1側のコイルの電流による磁束、(f)枠形コイル(枠形ループ)のもう一辺のL2側の電流I1,I2による金属面Mによる影像(イメージ)、(g)L2側のコイルの電流による磁束
【図4】本発明の平行2線ループアンテナの他の応用を示す説明図、(a)直列励起を示す図、(b)並列励起を示す図
【図5】本発明の平行2線ループアンテナの基礎となる単線と平行線の違いを示す説明図、(a)無限に長い1本の導線の電流I1の周囲に発生する円形の均一な磁界H1を示す図、(b)2本の平行(導)線路の場合の線路2cと下の線路2bには同大反対方向の電流I1,I2が流れている場合の磁界を示す図、(c)高透磁率の磁性体板を平行線路の線間に挿入した場合を示す図、(d)無限に長い導線の磁界を横から見た場合、(e)平行線路の磁界を横から見た場合、(f)平行線路の線間が狭い場合の磁性体を線間に挟んだ時の線路および磁性体内の磁界、(g)直列に給電された対コイル(ループ)アンテナが絶縁されて金属面上に載せられている場合の磁界
【図6】本発明の平行線路ループが平行線路から構成される過程を示す説明図
【図7】本発明の平行2線ループアンテナ磁界の構成図、(a)対コイル(ループ)Ant1とAnt2と磁性体シートの構成図、(b)上下の基板の給電部コイル端子の接続図、(c)上下の基板の給電部コイル端子の他の方法による接続図、(d)図(a)を横から見た場合、(e)図(a)に金属板MBを下方から当てた場合
【図8】本発明の平行2線ループアンテナの磁界分布と非接触ICカードやICタグとの結合を示す説明図と金属帯を更に設けた場合の構成を示す図、(a)対ループアンテナの磁界を側面から見た場合、(b)金属面Mが当っている場合の対ループアンテナの磁界、(c)金属面Mを挟む磁界の方向と分布を示す図、(d)下方の金属板Mとコイル(ループ)の線上のみに金属薄帯(ストライプ)を加えて側方磁界を強力にする場合
【図9】本発明の平行2線ループアンテナの金属対応のアンテナを基板で作った場合の実施例
【図10】本発明の平行2線ループアンテナの基板面上に回路構成した場合の実施例
【図11】本発明の平行2線ループアンテナの基板面上に回路を構成する方法を示す実施例、(a)基板上にリーダライタR/W部品を載せたアンテナ構成図、(b)上の基板の搭載部品を下方に向けて部品の突起を磁性体や下の基板及びスペーサ等で吸収し厚みを軽減する構成図、(c)下の基板に回路部品を装着して部品の厚みを磁性体窓の空間と上の基板の空間で吸収し厚みを軽減する構成図、(d)アンテナ基板2枚と磁性体Mtのみの構成図で、回路部品は別の場所に集約されアンテナの給電線で接続される場合の構成図
【図12】本発明の平行2線ループアンテナをポリイミド基板で実際に構成した場合の1実施例のインピーダンス特性とICカードとの通信距離の例を示す図
【図13】本発明の平行2線ループアンテナを用いて受送信回路を構成し、POS端末やPCに用いた場合の実施例、(a)POSレジのカードリーダに用いた場合、(b)PCにNFCリーダが収納されている場合
【図14】本発明の平行2線ループアンテナをICカード、ICタグや共振器に用いた場合の説明図
【図15】本発明の平行2線ループアンテナあるいはタグをPCに取り付ける場所を示す説明図
【図16】本発明の平行2線ループアンテナを携帯電話やMobile機器に取り付ける場合の説明図
【図17】本発明の平行2線ループアンテナを携帯電話やMobile機器に取り付けた場合の構成と磁界分布を示す図
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下に、本発明を実施するための形態を、実施例により詳しく説明する。
【実施例1】
【0041】
本発明を図面に基づいて説明する。
【0042】
図1は単1巻ループの図とこの場合の放射パターンを示す。図1(a)は半径a、線の太さ2ρの円形ループに電流Iφが流れている場合を示す。微小ループであるので、電流の振幅、位相は一定である。軸対称の構造であり、一定の電流値であるので、xy面内の円周方向には一様な放射を行う。z軸方向には、電流はどの部分でも軸対称で反対方向の電流ベクトルとなるため放射は零となる。
【0043】
図1(c)にはこのような微小ループの放射指向性を示す。即ち、xy面内にはドーナツ形の一様な放射を行い、z軸方向には放射は零である。ドーナツの断面は8字の円となる。このような微小とは云えxy面内には一様な放射が行われる。従って出力の大きなリーダライタや送信機を用いた場合には放射は無視できない。例えばカードの改札口のアンテナや棚管理用のアンテナを用い、高出力のリーダライタを用いた場合は放射に気をつけなければならない。
【0044】
図1(b)は一辺がL1とL2の枠形ループの図を示す。円形ループと枠形ループの指向性はL1=L2の場合殆んど変わらない。また、2(L1+L2)=2πaのとき即ち線長が同じ場合には殆んどインダクタンスの値は変わらない。枠形ループのインダクタンスや放射パターンを計算してあるが円形ループの結果と大差ないので、解析は円形ループで行った結果を利用している。円形ループの場合、先に述べたように電流Iφは一定なので、円周に沿って電流を積分した場合の発生する磁界Hθは、図1(d)でも示すように極座標系で次のように表される。
これを見ても分かるとおり、放射電磁界の項β2/rは存在し、xy面内に一様に放射する。これは先にも述べたように一般のアンテナの形状がこのような形状のループアンテナを用いているので小さいながら放射はあると考えてよい。誘導磁界jβ/r2は虚数であり、インダクティブな作用を行う。実際にはループの近辺に時間的なファクターで現れたり消えたりする量である。一般的にはこの量を誘導結合としてセンサやタグでは利用している。z軸方向の磁界Hzは、放射磁界は含まれず放射がないことが分かる。z軸方向に直交する電界と磁界が存在しないし且つ電流ベクトルは、xy面内のどの位置でも打ち消されて、軸対称となっていることからも理解できる。
【0045】
図2は本発明の平行2線ループ磁界の原理を示す図である。図では平面の1巻枠形ループの例で説明しているが円形ループでも同じである。1巻の枠形コイル(枠形ループ)2aと同大の1巻の枠形コイル(枠形ループ)2bを上下に重ねた構造で0.1〜2cm程度離して重ねた構造をしている。一般にコイル(ループ)の巻数は4巻程度であるが原理は同じなので1巻で説明してある。基本的に上のコイル(ループ)2aと下のコイル(ループ)2bとは、平行2線であるので矢印に示すように正相(逆相)電流を流しており、上方(z軸方向)においては、電流I1はループの電流であるため、φ=180°の点では電流は逆方向に流れており放射ベクトルは打ち消されて放射は行われない。また、下方においても同様である。電流I2においてもループ電流であるためxy面内のφ=180°の点では両電流ベクトルは反対となり、放射ベクトルは打ち消され、z軸方向即ち上下方向には放射しない。
【0046】
一方、xy面内についても電流I1とI2が同大で逆方向を向いており、正相(逆相)電流となっているため放射は行われない。一般に平行2線間の間隔が大きくない限り(位相差が発生しない限り)放射は行われない。従って、z軸方向にも、x、y軸方向にも放射は行われない形の理想的な誘導コイル(ループ)アンテナが構成されることが説明できる。
【0047】
このように基本的にループの面内xy面内に放射がないと云うことは、今までの常識と異なり、放射のない、あるいは放射の殆んどないアンテナとして考えることができ、金属面とは関係なく大変使い易いアンテナと考えることができる。z軸とxy面内には放射がないことが分かったが、わずかながらz軸を中心としz=0を頂点とする上下2つの円錐を考えるとこの方向のみにわずかながら位相差による放射があるが、一般にサイドローブレベルの放射である。上のコイル(ループ)2aの電流I1を励振する端子P1,P2と下のコイル(ループ)2bの電流I2を励振する端子P3,P4とにより、夫々のコイル(ループ)に給電する電圧、電流を制御することができる。先に述べたように上下のコイル(ループ)には正相(逆相)電流が流れているがもう一つの見方をすると上下の平行線路を枠形ループを構成するように折り曲げたと見ることもできる。
【0048】
上の枠形コイル(枠形ループ)の端子P2から端子P1の方向に電流が流れるように給電している。また、下の枠形コイル(枠形ループ)は端子P3から端子P4の方向に電流が流れるように給電している。先に述べたように、平行線路と見ると、I1=I2とすると端子P2から端子P4に電流が流れているように見える。また、端子P3から端子P1の方向に電流が流れているように見える。即ち、この図から見ても端子P1,P2,P3,P4に如何に給電するかにより電流の方向が制御できることが分かる。
【0049】
また、本発明の平行2線ループアンテナの形状が、同一のアンテナを2個重ねた構成となるため、その形状よりツインループアンテナともダブルループアンテナともハイパー(ジェット)ループアンテナとも見ることができる。
【0050】
図3には図2に示す電流I1,I2を枠形コイル(枠形ループ)に流すための具体的な給電方法を示している。図3(a)には上下のコイル(ループ)を直列に接続する方法を示している。端子P1とP3を短絡し、端子P2とP4より給電する方式を示している。
【0051】
一方、端子P2とP4を短絡し、P1とP3を給電する方式にしても同じ動作をする。金属面Mの上にアンテナを載せているがアンテナ線2bは絶縁されている。金属面Mがない場合でも図2で説明したように既に下方のコイル2bには正相(逆相)電流を流しているので下方の金属面の影響を受け難い。
【0052】
図3(b)には上下のコイル(ループ)を並列に給電している場合を示す。並列の場合、上下のコイル(ループ)の条件が違う場合、上下に流れる電流I1,I2が変わることが発生するので不都合な場合には、図3(c)に示すように夫々のループの給電部P1,P2とP3,P4とに整合回路MTCや給電スイッチを別々に設置することもできる。別々に設置した給電スイッチにより、正相(逆相)に給電を行ったり、零相(同相)に給電を行ったりすることで状況に合わせて給電方法を切り換えることができる。
【0053】
図3(d)には枠形コイル(枠形ループ)の一辺L1側における電流I1,I2と金属面Mによる影像(イメージ)により、完全ではないがI2はI2’で打ち消されて図3(e)のように金属面と導線2aと導線2bとの間の磁界の開口部は2倍になったかのように大きくなるので磁束が2倍になったように見える。電流I2は完全に打ち消されないので一部は残るので完全に図3(e)と等価にはならないが当初より正相(逆相)電流があるお陰で磁界の形状やインピーダンスは大きく変化を受けないので設計が楽になる。図5で更に詳しく述べる。
【0054】
図3(f)は、枠形コイル(枠形ループ)のもう一辺のL2側の電流I1,I2による金属面Mによる影像(イメージ)により、L1側と同じように磁界が増えることを説明する図である。
【0055】
図3(g)には、L2側のコイルの電流による磁束は、影像(イメージ)により磁束が2倍となることを説明している。
【0056】
図4には、2対のコイル(ループ)を同相(零相)で励振する場合の例で、図4(a)は直列に、図4(b)には並列に励振する例を示す。正相(逆相)励振ではないので単体ではxy面内の放射は抑えられないが、金属面の影像(イメージ)により、xy面内の放射も抑えられる。下方のコイル2bが金属面の影響を受けるが上方のコイル2aは金属面から離れている分、影響を受け難い。金属面のある場合とない場合では変わるので本目的には適当でない。
【0057】
図5は、本発明の概念を説明するための図である。図5(a)は1本の導線の例で無限に長い1本の導線の場合電流I1の周囲に円形の均一な磁界H1が発生することを示している。図5(b)は2本の平行(導)線路の場合で上の線路2cと下の線路2bには同大反対方向の電流I1,I2が流れている場合を示す。I1とI2を正相(逆相)電流とする。この場合には磁界は上下対象で電流I1,I2を囲むように方向が反射の円群となる。即ち、平行線路に現れる電界Eと磁界Hの図となる。いま2本の線が充分に離れて(例えば2cm以上)いる時はこの平行線路のインピーダンスは電磁界が伝送するには充分なインピーダンスを提供できるが、平行線路の間隔が狭くなり、導線間の間隔が1mm以下となると電界は大きくなり磁界がこの間隙を通り難くなる。即ち線間容量Cが増え線路インダクタンスLは小さくなる。
【0058】
この場合のインダクタンスLは、
線間容量Cは、
で表され、特性インピーダンスZ0は
となる。
【0059】
つぎに枠形ループを円形ループで置き換え、2個のループが同相(逆相)に励振され近接して置かれているとして考察する。いま半径aのループの自己インダクタンスは次の式で表されることがよく知られている。枠形ループとの対応としては、2πa=2(L1+L2)としており、線長が同じと考えている。
N巻のループでかつ平面に巻いた場合のループの半径は巻く毎に異なるのでその平均値をa1とする。大小ループのほぼ中心の大きさのループの半径と考えてよい。この場合、
である。
【0060】
また、上下に巻かれた実施例のようなコイル(ループ)の相互インダクタンスは線の太さも考えて
である。従って、相互インダクタンスの影響を含めた全体のインダクタンスの値は、
となる。即ちループの大きさに関係なく、上下の平行2線によるインダクタンスと同じ値となる。これによってもループ電流による影響より、上下平行線の正相(逆相)電流の影響の方が大きいことが分かる。
【0061】
ここに、
である。いま1式においてd=2ρとすると線間の間隔はなくなるのでインダクタンスL=0となり、2式の容量Cは∞となる。また特性インピーダンスは0となる。
【0062】
次に図5(c)に示すように高透磁率の磁性体板6を平行線路の線間に挿入した場合を示す。線間の間隔dを小さくして行くと先に説明したように磁界が通り難くなり、インダクタンスLは低下する。そこで比透磁率100〜200(約160)程度の高透磁率の磁性体板(シート)を線間に挟み込むことにより、磁界は狭い空間(dm−2ρ)を通ることができ、線間の距離(dm−2ρ)を0.1〜10mm程度にしても磁路が得られ、充分なインダクタンス、容量、特性インピーダンスを得ることができる。実用上(dm−2ρ)が0.1〜0.5mm程度が携帯電話等に用いる小形センサアンテナに適している。磁界はかまぼこ形に偏平になり、高透磁率の磁性体の磁路を通ることができる。特に、導体の周辺5〜25mm程度の空間が磁界の磁路の影響を受け易いので、線の直下ではこの程度の磁性体の幅は必要である。
【0063】
図5(d)には、図5(a)の場合のように、無限に長い導線の磁界を横から見た場合を示す。電流Iを囲んで右回りの磁界とすると、上の磁界は紙面より手前に向かって来る磁界となり、下の磁界は紙面より裏に向かって行く磁界となることを示している。
【0064】
図5(e)は、図5(b)のように、平行線路の磁界を横から見た場合を示す。平行線路の外と中では磁界の方向が変わっていることが分かる。
【0065】
図5(f)には、図5(c)に示すように比較的線間が狭い場合、高透磁率の磁性体を線間に挟んだ場合の線路および磁性体内の磁界を横から見た場合を示す。間隔が狭い場合でも斜線の高透磁率の磁性体内を磁界がよく通れることが分かる。磁性体断面の比透磁率が大きい程磁路が広がったものと等価になる。しかしながら磁力線方向の長さについては磁極による反磁界の影響で磁路に沿っての長さが充分にないため且つ殆んどの磁界が空気中を通るため実効透磁率は低く、μeff=10〜16程度と考えられる。
【0066】
図5(g)には、図3(a)のように直列に給電された対コイル(ループ)アンテナが絶縁されて金属面Mの上に載せられている場合の磁界を示している。電流I1,I2の影像(イメージ)I1’、I2’が金属面Mの反対側に等大、等距離に反対の矢印方向に現れ磁界は矢印で示す方向となる。影像効果(イメージ)により、線間の間隔が広がったように見え、磁束の数も2倍に増えたように見える。しかしながら、電流I2とI2’は完全導体で大きな場合に打ち消されるようになるが、有限の大きさなので完全に打ち消されないでこの電流による磁界は一部残存する。また、影像効果による磁束は増えるのでこの分の効果は上がり通信感度はよくなる。
【0067】
図6は、金属面に置かれた図6(a)の1巻コイルの影像(イメージ)により、1つのコイル(ループ)が図6(b)のように2倍になって見える説明をしたが、このコイルを図6(c)のように細長くし、枠形に折り曲げると図3(a)の対コイル(ループ)になることを説明するもので影像効果(イメージエフェクト)がよりはっきり分かるための説明図である。従って平行線をコイル状に折り曲げたものは影像効果により感度が上昇することが理解される。
【0068】
図7は、基板PCBにエッチングされた対コイル(ループ)Ant1とAnt2の間に高透磁率の磁性体シート6を挟めるようにしている場合を示す。夫々のコイル(ループ)アンテナ端子をスルーホールを介して貫通ピンで接続し、対アンテナの直列アンテナを構成する方式を示している。上の基板のコイルの内側の終端は下の基板のコイルの内側の終端に上の基板のコイルの外側の終端を給電端子とし、下の基板のコイルの外側の終端をピンにより上の基板に接続し、これをもう一方の給電端子とすることを行っている。
【0069】
図(a)では4巻の平面ループの例を示しているが、ループの大きさが小さい場合は3〜5巻程度となる場合があり、中程の場合は2〜4巻、ループの大きさが大きい場合には1巻でも充分な場合がある。インダクタンスの値としても片側のアンテナで、1.5〜3μH、両アンテナ合わせて、3〜6μHとなる。合わせて4μH程度のインダクタンスを目安とすればよい。
【0070】
f=13.56MHzのアンテナとして用いるとき、PC等のセンサアンテナとするときは、L1が約30〜70mm、L2が約30〜50mmとし、磁性体シートの大きさもほぼ同大で、厚みは0.15〜1mm程度としている。携帯電話のように小形化しなければならないときは、L1が約20〜45mm、L2が20〜35mmで磁性体板の厚みは、0.05〜0.5mm程度である。大きなセンサアンテナを作るときは、L1、L2ともに30cm程度で厚みが5〜10mmの磁性体シートを用いる。
【0071】
アンテナ本体として用いる場合で、金属面あろうがプラスチックであろうが両方に用いることができ、且つ両面の磁界や片方のみの磁界を用いることもできる。
【0072】
中形のセンサアンテナを作るときは、L1、L2ともに10cm〜15cm程度で厚みが0.5〜3mm程度である。中間に位置している大きさのセンサでは大、中、小、極小の間に入るような大きさ厚さのセンサとなる。
【0073】
また、大形のアンテナの場合は、磁性体をゴムやプラスチックで固めた比較的比透磁率が高くないμγ=14〜60程度の磁性体シートでも利用できる。更に大きなL1、L2が1m近いようなアンテナでも基本的には放射が発生しない特徴があるので安心である。
【0074】
図7(b)には、上の基板と下の基板の給電部のコイル端子の接続方法を示している。図7(c)は、図7(b)の他の方法によるものでどちらの方法によってもよい。図7(d)は、図7(a)を横から見た場合を示す。磁性体は両基板の間に納まっている。図7(e)は、更に金属板MBを下方に当てた場合を示す。
【0075】
図8(a)は、本発明の平行線ループアンテナの磁界を側面から見た場合の説明図である。上下に対称に磁界が現れ且つ側面にも磁界が現れていることが分かる。
【0076】
図8(b)は、更に金属面Mが当っている場合を示す。この場合も金属面Mの影響で磁界が打ち消されることなく、影像効果(イメージエフェクト)も加わり、きれいな磁界が発生していることがわかる。下方の磁界はあくまでも影像(イメージ)である。
【0077】
図8(c)は、金属面Mを挟む磁界の方向と分布を示す。金属板の下方には影像(イメージ)による電流I1’,I2’と磁界があるように見えるがあくまでも実存はしない。電気的なものである。
【0078】
図8(d)には、下方の金属板Mに加え、コイル(ループ)の線上のみに金属薄帯(ストライプ)を加えて側方磁界を強力にする場合を示す。また、金属板Mがグランドと接続されていない場合、アンテナ基板と金属板Mとの間に浮遊容量が発生して共振周波数の変動要因となるため、金属板Mとアンテナ基板のグランドとの電位を共通にする接地が必要となる場合がある。
【0079】
図9には、図7に示すアンテナ基板の構成の別の実施例を示す。図9(a)には、上下の対となるアンテナ基板PCB1とPCB2とがあり、コイル(ループ)アンテナAnt1とAnt2がエッチングまたは印刷や蒸着されている。元々のコイルアンテナの端部は手前のコイル(ループ)アンテナの外に端部をそろえるようにしている。
【0080】
これによって図9(b)に示すようにフレキシブル基板やフィルム、ポリイミド基板が端部で合わせるように半田付け、融着、圧着、ピン止め、カシメ等の加工によって導通が行われるようにする。そして外部のアンテナケーブルAntCableに接続できるようにコネクタConを介して信号や電力の伝送が行えるようにしている。
【0081】
図9(c)には、上部のアンテナAnt1と端部の構成の方法を示すもので、アンテナ面の裏面にはスルーホールを用いて更に下面の銅箔により、アンテナ端部から基板端部までジャンパーし、導通片としている。これを図9(d)に示す。裏返ししているので左右逆となっている。
【0082】
図9(e)には、下方のアンテナ基板PCB2とアンテナAnt2を示す。コイル(ループ)アンテナの外側の端子は給電部となるので、左の図9(c)の場合と入れ替わった隣りの端子となっている。
【0083】
図9(f)には、アンテナの一番下の基板となり金属面に一番近い面となるため最初から金属面をほぼ全面に残している場合を示す。アンテナ面、ジャンパー線、金属面等、外部接続される部分、半田付けのための部分を除いて総てレジストを掛け金属面がむき出しにならないようにしている。これにより短絡を防止している。
【0084】
次に図10には、NFC等に用いる送受信ICやインターフェースICやクリスタル、整合用コンデンサチップ、フィルタ用インダクターチップ等を基板に載せる場合について説明する。
【0085】
図10はアンテナ基板に、NFCIC、クリスタル、フィルタ、整合器等を載せる場合を示す。また、図7(b)では金属面MBを最初から当てない構造のアンテナとしたが、図10には最初から金属面を当てる構造のアンテナの実施例を示す。
【0086】
図10(a)は、上面の薄形基板PCB1(0.1mm以下が望ましい)にコイル(ループ)アンテナAnt1をエッチングあるいは印刷等の方法で作り、中心部スペースには通信用ICやインターフェースIC、クリスタル、整合用コンデンサ、フィルタ、抵抗等の部品が載る回路を構成する。NFCのICを用いる場合には、NFCIC8が1個のみでよい場合もある。この周辺にクリスタル、フィルタ、コンデンサ、抵抗等の部品を配置する。中心部の四角の部分7は、これらの回路部品で回路が構成されるスペース7を示す。
【0087】
図10(b)は、上面の薄形基板PCB1の裏側を示すもので、表面に回路部品が載るスペースは裏面では配線に用いられる部分でもある。両面基板で配線を達成している。2層構造で足りない場合には、3層、4層構造で組む場合もある。更に、回路組立配線部分からアンテナ接続用の線およびUSB、SD、PCMCIA等の外部回路との接続用のI/O接続が端面まで配線され、表面の配線端子とはスルーホールやピン等によって接合されアンテナに接続され、I/O端子を介して外部の回路と接続される。
【0088】
図10(c)は薄い高透磁率の磁性体板Mtを示す。この磁性体板Mtは、上下のアンテナの間にサンドイッチ状に挟められ、磁界の磁路を提供するため高透磁率μγ=100〜200程度でなければならず、しかも薄い板であることが望まれるので、0.08〜0.2mmの板1〜3枚を合わせるか、一枚もので構成しなければならない。グリンシートを焼いた磁性体板は折れ易く、割れ易いので、プラスチックフィルムをラミネートされた薄板を用いている。
【0089】
図10(d)は、下方のアンテナ基板の表面を示すもので、4巻コイルの巻き終わりと巻き初めを短絡しないように、下面の銅線を用いジャンパーJとして機能する。
【0090】
図10(e)は、下方アンテナの基板の裏面を示すもので、金属面MBが残されている。アンテナの終端を接続するジャンパー線Jが金属面MBと絶縁分離されて配線されている。前にも述べたように外部端子との接続やアンテナ端子との接続等の部分のみを除いて短絡しないように絶縁のためのレジストが掛けられている。短絡を避けるために裏面の配線によりジャンパー線を構成している。表面との端子接続はスルーホールやピンで接続する。
【0091】
図10(h)は、高透磁率の薄い磁性体板で図6や図10(c)で述べたものと同様な特性と目的を持つものであるが、部品搭載の邪魔とならないように中心部が窓のように抜いてある。
【0092】
図10(i)には、下方基板にIC8を含めた回路部品が搭載されており、この周辺に部品の配線7がされている。アンテナの端部の扱いや回路から出るI/O線の扱いは、図10(a)と同じであるので説明は省略する。但し、下方の基板が外部との接続端子を載せる場合は、下方の基板を上方の基板より少し大きくし、磁性体板や上方の基板の邪魔にならないように構成しなければならない。
【0093】
図10(j)は、下方基板に金属面MBを最初から設置する場合で、回路基板の配線部7′とアンテナ、I/O、配線部とジャンパー部Jと金属面MBを同一面で構成している。図10(f)(g)(h)(i)(j)は別の実施例を示す。
【0094】
図10(a)(b)(c)(d)(e)は、上方のアンテナ基板にリーダライタとなる回路部品を搭載するようにしたのであるが、この実施例では下方のアンテナ基板にリーダライタとなる回路部品を搭載した場合である。この場合の特徴はアンテナ基板の厚みの中に回路部品の厚みをある程度吸収させて全体の厚みが薄くなるように構成したもので、上方の基板の厚み約0.1mmと磁性体の厚み約0.4mm、計0.5mm程度の厚みを軽減できる方式である。
【0095】
図10(a)〜(e)方式によれば、全体の厚みが2.0〜2.2mm程度となるが、図9(f)〜(j)方式によれば、1.5〜1.7mm程度となり薄形部品を使えば更に全体を薄くすることが可能となる。
【0096】
図10(f)は、薄形基板に4巻アンテナAntがエッチング等で構成されており、中心部は下方の部品の厚みがある部分を避けて抜いてある。アンテナ終端は、上方アンテナと下方アンテナを接続する部分として手前にジャンパー線を介して引き出している。これは図7や図10(a)等と同じである。
【0097】
図10(g)は上方アンテナの裏面である。金属面MBは、全体にある必要がなく、表面のアンテナコイルの下方に5〜40mmの幅で存在すれば、下方に金属面が来た場合でもこれによる影響を抑制することができる。現在、厚みが影響する部品は、フィルタ用インダクタンス、NFCIC、クリスタル、等であり、極力薄いものを用いることが薄形化へつながる。ICはフラットパッケージ、ベアチップの搭載とポッティングにより薄形化は計れる。クリスタルもメタルカバーを行わずベアチップを用いればかなり薄くできる。
【0098】
図11には、アンテナ基板に部品を搭載する方法とアンテナ基板のみで構成する場合の厚みの検討を示している。
【0099】
図11(a)は、単に上の基板にリーダライタR/W部品を載せてアンテナを組み上げた場合で、厚みは加算されて厚くなる。先にも述べたように2.2mm程度の厚みとなる。
【0100】
図11(b)は上の基板を下方に向けて部品の突起を磁性体や下方の基板、更にはスペーサ(PP)等で吸収し厚みを軽減する構成である。下方の金属板MBの厚みが0.1mm程度ある時、場合によってはこれに窓を開け金属面の厚みをなくすこともできる。
【0101】
図11(c)は、図10(f)〜(j)で示した実施例の場合で、下方の基板に回路部品を装着しているので上に搭載される部品の厚みは磁性体窓の空間と上方の基板の窓の空間で吸収され厚みを薄くすることができる。
【0102】
図11(d)はアンテナ基板2枚と磁性体Mtのみの場合で、回路部品は別の場所に集約されアンテナの給電線で接続される場合を示す。図からも分かる通り薄く構成することができる。
【0103】
図12には、実際の平行線でループを構成し、L1=45mm、L2=35mmとし、磁性体厚0.5mmとし、Poli−Imidの基板にエッチングにより4巻ループを描き、直列給電した場合の、タイプA、タイプB免許証、ELWISE、Felicaのセンサからカードまでの通信距離の値とインピーダンス特性を示す。このように携帯電話に装着できる小形アンテナでも充分な感度が得られ整合もよく取れる。
【0104】
図13は、本発明の応用システムの実施例である。図13(a)は、POSレジのカードリーダに用いた場合で、NFCの場合、タイプA、B、Cのカードがリーダの上に来る場合と、同様な機能を持つ携帯電話やSmartPhone(登録商標)、iPhone(登録商標)等が来る場合とがある。NFCリーダの出力は、USBやLAN等でどちらでも接続できる出力を有している。また、一般に磁気カードリーダとも共用している場合があるので、磁気リーダで読む時脇の磁界により一緒にICカードを読むこともできる。POS端末の先は一般的にLAN netに接続されており決済のデータはサーバに集められる。
【0105】
図13(b)は、PCにNFCリーダが収納されている場合を示す。図10のような一体形のリーダでもよいし、アンテナ部とリーダ部とが分かれて配置されている構造となっていてもよい。PCの手許のスペースにすべり込ませる場合には、できるだけ薄く作りプラスチップ表と金属面の間のスペースに滑り込ませるのが従来の変更が不要で手っ取り早く、PC基板あるいはPCMCIAのスペース等に回路基板を置くようにすることもできる。リーダの接続インターフェースはUSB、SD、PCMCIA等の端子に接続し、ソフトウェア(DS、SDK、AP等)で対応するカード、携帯電話等に対して、応用ソフトウェアを開発利用することができる。一般業務教育、学習等や、決済端末インターネットアクセス端末としても有効である。
【0106】
図14には、本発明の平行線コイルアンテナをタグや共振器に用いる場合の実施例である。上下のアンテナコイルを2つのコイル2a,2bで代表示している。タグやICカードに用いる場合、ICは2個のコイルと直列(図14(b))または並列(図14(c))に示すようにして用いる。共振器として用いた場合には、コンデンサが取り付けられている。コンデンサは2個のコイルと直列(図14(c))、あるいは並列(図14(d))に接続される。
【0107】
共振器には大きな電流が流れるので、不要放射を抑えるのには本発明が適している。一般には両面も用いるので、金属面MBは用いていない。PCB1、PCB2の間には磁性体板Mtが挟まれている。使用時にある金属面に用いた場合、他にも金属面が現れる場合もあり、両面受信できるようにしておいた方が便利なこともある。金属面がどちら側にあっても使用できる。これも万能タグの一つである。このような振る舞いはタグとしてだけでなく、センサとして使用する場合も同じである。タグの場合、金属体にあらかじめ固定されることが分かっているときは、最初から金属面を金属体の当る方にあてがって調整をしておいてもよい。
【0108】
次に、図15には、ノートブックPCのどの部分にNFCセンサアンテナあるいは本発明のアンテナを取り付けるかを示すもので、手前の左右のスペース、液晶面の手前の右下角の部分、あるいは液晶全面を利用し感度を上げる位置とする場合がある。この位置は実施例であってこの位置でなければならないことはない。特に液晶の場合、金属面の前のバックライトの直ぐ後に取り付けるとスクリーンを通して充分な通信感度が得られる。
【0109】
図16には、携帯電話、Smartphone(登録商標)、iPhone(登録商標)、iPod(登録商標)等のMobile機器に本発明のアンテナを取り付ける場合、プラスチックの直ぐ後のスペースに取り付ける場合を図16(a)に示す。金属面で本体が覆われている場合(図16(b))に、金属面の外側にアンテナを取り付ける場合で、外観を損なわないようにアンテナは薄形で塗装色を工夫したり、形状やデザインを工夫する必要がある。
【0110】
図17には、携帯電話やSmartphone(登録商標)、iPhone(登録商標)、iPod(登録商標)等のMobile機器に本発明のアンテナ1を取り付け、リーダ回路7を別に取り付けた場合の例を示す。本発明によるアンテナの磁界(Flux)が下方に現れていることが分かる。また、側方にも磁界が出ているので、携帯電話を横にした場合でも通信ができる利点がある。NFCの場合には、携帯電話自体がリーダともターゲットともなるので双方向の機能が備わっている。
【符号の説明】
【0111】
1 本体
a ループコイル(アンテナ)の半径
2a 上の線(上のコイル)
2b 下の線(下のコイル)
Ant1 上のループコイル
Ant2 下のループコイル
Con コネクタ
ds 平行線の距離(ループ間の距離)
dm 磁性体を挟んだ平行線間の距離
2 コイル(線)
2ρ 線の太さ
3 IC
6 磁性体板
7 IC並びに回路部
8 NFCIC
CPP プラスチック絶縁板または磁性体板
H 磁界
Hθ 極座標θ方向の磁界
Hz 円筒座標z方向の磁界
H1 上の線の磁界
H2 下の線の磁界
I 電流
IC card(ICカード) IC Tag(ICタグ)
I1 上の線の電流
I2 下の線の電流
Image 影像(虚像)
L1 コイルの一辺の長さ
L2 コイルのもう一辺の長さ
Mag 磁性体板
M 金属面(Metal)
Match 整合部
Mt 磁性体板
MB 金属板(面)
P1,P2,P3,P4 コイルの端部
P5,P6 アンテナコイルの給電部
PC パーソナルコンピュータ
PCB プリント基板
PCB1 上のコイルアンテナ基板
PCB2 下のコイルアンテナ基板
POS (ポイントオブセールス)端末
SD SDカードインターフェース
USB USBインターフェース
【技術分野】
【0001】
本発明は、HF(ハイフリクエンシー)帯、VHF(ベリーハイフリクエンシー)帯、UHF(ウルトラハイフリクエンシー)帯で用いられる平行2線ループアンテナ磁界とその応用システムに関する。
【0002】
また、ICカードやRFIDやNFC分野に用いるセンサアンテナは誘導コイルとしてループに流れる電流による誘導磁界を利用しており、ICカードや携帯電話やノートPCその他の端末と通信を行うための薄形の平行2線ループアンテナ磁界とその応用システムに関する。
【背景技術】
【0003】
従来のループアンテナでは、ループの軸方向には電流ベクトルは打ち消され基本的に放射はないがループが存在する面内には微少ループの場合でも僅かな放射がある。一般には放射インピーダンスは非常に低く2Ω以下となる。然るにRFIDやNFC端末、モバイル端末等にはループが用いられ、放射が規制されている。また金属面の影響を避けるための磁性体シートを用いる方法や磁性体によるオンメタル方式、共振方式等があるが、金属面の影響を消極的な方法で解決が試みられているが完全ではない。端末の数が増え、僅かな放射自体も気になる存在となる。
【0004】
例えば、特許文献1において、非接触情報記録媒体が金属面に挟まれたり載せられたりした場合でも、共振周波数のずれや通信感度の低下が発生せず使用できる無線送受信機器、非接触情報記録媒体、情報読取書込装置及び管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−130446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、NFC、RFID等のセンサアンテナは大量に用いられるので微小ループとはいえ放射は少しでも行われる。これを無くしながら且つ誘導磁界が損なわれないように外部に現れることが大事である。また、PC、携帯電話等の機器の内部や周囲には金属ばかりで誘導コイルを用いているアンテナセンサはこの金属面の影響を受け通信が著しく阻害されることを如何に改善しなければならないか、一見矛盾する問題を解決しなければならない。
【0007】
本発明は、以上の点に着目して平行2線で渦巻線ループコイルを構成する方法で、言い換えると、平面形ループコイルを絶縁し2枚重ねるように近接させて、この間に高透磁率の磁性体シートを挟み込み、対なるループコイルに正相(逆相)電流を流す手段により、x,y,z方向の放射を抑えながら、絶縁された一方のコイル面が金属面に当った場合でも金属面の影響を殆んど受けないという方式である。影像による逆相電流を最初から予想してこれに対応できる構成とする方式の平行2線ループアンテナ磁界とその応用システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の目的を達成するため、以下(1)〜(22)の構成を備えるものである。
【0009】
(1)平行2線により夫々が同大のループを構成するように、平行に同軸に置きループ間の距離が0.1mm〜2cmに設置し、両アンテナに給電を行うことを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【0010】
(2)前記(1)において、平面形1〜6巻ループの夫々を正相(逆相)あるいは零相に励振することを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とこの応用システム。
【0011】
(3)前記(1)または(2)において、ループの間に高透磁率の磁性体板を挟み込むことを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【0012】
(4)前記(1)または(2)において、夫々が同大のループを構成する平行2線のループアンテナをプリント基板で構成することを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【0013】
(5)前記(1)または(2)において、ループアンテナ素子を印刷や塗料や蒸着あるいは巻線で構成することを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【0014】
(6)前記(1)または(2)において、ループアンテナを支持する支持板をPCB、pi基板あるいはプラスチックフィルムあるいはフィルム基板で構成することを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【0015】
(7)前記(1)または(2)において、上下2枚のループアンテナを接続する方法は上下の導線位置を合わせ、スルーホールで上下のアンテナ線に導通するよう接続する方法を特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【0016】
(8)前記(1)または(2)において、上下2枚のループアンテナを接続する方法は上下の導線の位置合わせを行いスルーホールを設け、更に磁性体も貫通する穴を設けて上下のアンテナ線に接続する方法を特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【0017】
(9)前記(1)または(2)において、上下2枚のループアンテナを接続する方法はフレキシブル基板やポリイミド基板を用いて導線や端子の一部を半田または圧着、カシメ、融着により接続することを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【0018】
(10)前記(1)または(2)において、上下2面のループアンテナを接続する方法は2層基板のスルーホール等により、端子部を片側に集め、半田付、圧着、カシメ、融着により接続することを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【0019】
(11)前記(1)または(2)において、上下2枚のループアンテナを支えるフレキ基板の場合、給電部は2枚密着させ半田、圧着、カシメ、融着、スルーホールにより接続し、この部分から給電線を取り出すことを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【0020】
(12)前記(1)乃至(3)いずれかにおいて、ループアンテナを基板に構成する場合、基板裏に金属面を構成する場合は両面基板のアンテナ面の反対側の金属面を残しこれを金属面とすることを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【0021】
(13)前記(1)乃至(3)、または(12)いずれかにおいて、基板裏の配線が必要な部分は配線部として用い、アンテナ下部のみ金属面とすることを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【0022】
(14)前記(1)乃至(3)、または(12)または(13)いずれかにおいて、アンテナ給電部をアンテナの外側のどちらかの一辺に集中することを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【0023】
(15)前記(1)または(2)において、上面の基板にICやクリスタルや整合回路を搭載する場合は、アンテナコイルと一体のリーダライタとするため中心部の空間あるいはアンテナの外側の片端に集中させる方式とすることを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【0024】
(16)前記(1)または(2)において下面の基板にICやクリスタルや整合回路を搭載する場合は、アンテナコイルと一体のリーダライタとするため、中心部の空間あるいはアンテナの外側の片端に集中させ、磁性体や上部基板が邪魔にならないようにこの部分を切り欠いてしまい、全体として非常に薄形とすることを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【0025】
(17)前記(1)乃至(3)いずれかにおいて、携帯電話やsmart phone(登録商標)、iPhone(登録商標)等において、コイルアンテナの大きさが、一辺20〜35mm、他辺20〜45mm、磁性体の厚み0.05〜0.5mm、少なくとも1mm以下、PC組み込みの場合は、一辺30〜55mm、他辺45〜70mm、厚み0.1〜1mm、大形センサの場合、一辺25〜40mm、他辺25〜40mm、厚さ0.5〜20mm、中形センサの場合、一辺10〜15cm、他辺10〜15cm、厚さ0.1〜1mmとすることとし、中形、大形センサを除き薄形基板で2枚のアンテナを構成することを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【0026】
(18)前記(1)乃至(3)いずれかにおいてICカードまたはRFIDのICを載せ、カードあるいはタグとすることを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【0027】
(19)前記(1)乃至(3)いずれかにおいて本発明のアンテナを、携帯電話、パーソナルコンピュータ、smart phone(登録商標)、PDA、iPhone(登録商標)、iPod(登録商標)等に内蔵し、内部のインターフェースと接続し、夫々の機器あるいは外部端末と通信を行うことを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【0028】
(20)前記(1)または(2)においてゲート用、通過用の大形のアンテナを作るときは、一辺が1〜2m、他辺も1〜3mとし、磁性体を用いる場合と用いない場合とに分け、磁性体を用いる場合には薄形に厚さ10cm以下とし、磁性体を用いない場合は厚さ20〜40cmとし、これをR/Wに接続PCで管理することを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【0029】
(21)前記(1)乃至(18)いずれかにおいて述べられているセンサ、タグにおいて、PC、POS、R/W、OA、FA、家電機器で読まれたデータを基本とし、通信を行うことを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【0030】
(22)前記(1)乃至(3)いずれかにおいて夫々の平行線の線路に切換えを行ったり、別々に給電した場合に整合が取れるように整合回路を共通あるいは別々に設けることを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【発明の効果】
【0031】
本発明の平行2線ループアンテナ磁界とその応用システムによれば、基本的にどの方向でも放射を行わない構造となっており、電波法上非常に有利となり更に金属面にループアンテナを載せた場合でも特性の劣化やインピーダンス等の大きな変化がなく、金属面影像(イメージ)による感度の向上が得られる等の特徴があり、金属面、金属面でない場合等の使用上の心配が不要となる。一般に金属面上のアンテナは金属面に直接間接当った場合でも特性の変化があるため、最初から金属面を当てる必要があるが本発明の平行2線ループアンテナ磁界とその応用システムでは金属面による影響が少ない等の有利な点がある。
【0032】
電磁界には座標中心からの距離をrとすると、K1/r3、K2/r2、K3/r、で表されるように三乗、二乗、一乗分の一で減衰する項がある。一般に三乗分の一は静電界や静磁界で、二乗分の一は誘導磁界、一乗分の一は放射電磁界の項と考えられている。所がループの軸方向(ループがxy面内にあるときはz軸方向)にはある距離から三乗分の一で減衰や結合が行われる。正確に云うと距離rによる影響はlogr、1/r、1/r2、1/r3、の函数となる。
【0033】
もし、1/rの項の放射を無くそうとすると誘導磁界も打ち消されてなくなりそうであるが、放射電磁界のベクトルは同相の場合、このようなセンサアンテナやICタグのアンテナとして組み込んだ場合には、金属面上においても且つ他の金属面からもあまり影響を受けないセンサやタグを構成することができる。放射電磁界は打ち消されても、誘導磁界が残るようにすることができる。ループの軸方向ではそうであり、xy面内にも放射しない構造となる。正に一石二鳥の効果である。
【0034】
更に優れたことは金属面の影響が取り除かれることである。最初から金属面に現れる逆相電流を想定し、正相(逆相)電流を最初から組み込むことにより、金属面の影響を取り除くことである。更にこれに加え金属面の影像効果も加算することができるので一石三鳥の効果が得られる。
【0035】
また、金属の影響を受けない最初からこのような特性の優れたアンテナがNFCリーダに用いられると、PC、携帯、smartphone(登録商標)、iPhone(登録商標)、iPod(登録商標)その他の機器に内蔵することによりそのための通信ソフトやインターフェースが合わせられるようにしておくことにより、他の機器が端末に近づいた時にインターフェースの切換えが自動的に行われ、自動的に通信が行われるようになり、置くだけ、触れるだけの通信が可能となる。更にアプリケーションソフトウェアが内蔵させることにより種々のアプリケーションの対応が可能となる。
【0036】
現在の多くの市販ノートパソコンでは、ディスプレイを開いた状態でキーボードの手前部分(キーを打つ時に両手を載せている辺り)に、上述の手段で薄形化したNFCセンサアンテナを組み込むことが容易となる。また、液晶画面の右あるいは左下あるいは全面に薄形化したNFCセンサを組み込むこともできる。NFCセンサの送受信用IC素子としてはRFID規格(ISO/IEC14443, 15693, 18092)に準拠したもの(例えばNXP社のMifare,PN531,PN532,PN533,− − − ,IcodeSLIなどのNFCチップ)を使用し、パソコンとの通信は内部のUSB,SD,PCMCIA等のインターフェースを介して行うようにすれば、組込み型NFCセンサを簡単に実現できる。
【0037】
また、携帯電話の場合には電池蓋が一般的であるが電池蓋の内側も従来のように装着することができる。丁度、裏側がリチウムイオン電池となり、電池の外装はステンレスでその周囲は薄いプラスチックフィルムで覆われており金属面の影響が大きい。NFCICやクリスタル、整合用コンデンサ、フィルタ等は別途基板に装着し、給電線を介して給電し、USB、SD端子に接続するか、適当なインターフェースを持つ通信端子に接続すればよい。
【0038】
アンテナは液晶画面の裏側も組み入れることもできる。また、携帯電話の全面が金属面で覆われているような構造やiPod(登録商標),iPhon(登録商標)等の場合には金属面の外側に薄いアンテナのみを貼り付けるようにして、給電部から金属面の内側に入るように隙間あるいは小さな穴から導線を取り付けるなり、接触端子を設けて内部と導通するように構成することもできる。また、smartphone(登録商標)やPDA等の場合も、PCや携帯電話の場合と同じようにセンサアンテナを取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】通常のループアンテナの説明図、(a)半径a、線の太さ2ρの円形ループアンテナの放射パターン図、(b)一辺がL1とL2の枠形ループアンテナの放射パターン図、(c)微小ループの放射指向性を示す図、(d)極座標系で表される磁界Hθを示す図
【図2】本発明の平行2線ループアンテナ磁界の原理を示す図
【図3】本発明の平行2線ループアンテナの実施例と説明図、(a)上下のコイル(ループ)を直列に給電する方法を示す図、(b)上下のコイル(ループ)を並列に給電する方法を示す図、(c)夫々のコイル(ループ)の給電部P1,P2とP3,P4に整合回路MTCを別々に設置する場合、(d)枠形コイル(枠形ループ)の一辺L1側における電流I1,I2と金属面Mによる影像(イメージ)、(e)L1側のコイルの電流による磁束、(f)枠形コイル(枠形ループ)のもう一辺のL2側の電流I1,I2による金属面Mによる影像(イメージ)、(g)L2側のコイルの電流による磁束
【図4】本発明の平行2線ループアンテナの他の応用を示す説明図、(a)直列励起を示す図、(b)並列励起を示す図
【図5】本発明の平行2線ループアンテナの基礎となる単線と平行線の違いを示す説明図、(a)無限に長い1本の導線の電流I1の周囲に発生する円形の均一な磁界H1を示す図、(b)2本の平行(導)線路の場合の線路2cと下の線路2bには同大反対方向の電流I1,I2が流れている場合の磁界を示す図、(c)高透磁率の磁性体板を平行線路の線間に挿入した場合を示す図、(d)無限に長い導線の磁界を横から見た場合、(e)平行線路の磁界を横から見た場合、(f)平行線路の線間が狭い場合の磁性体を線間に挟んだ時の線路および磁性体内の磁界、(g)直列に給電された対コイル(ループ)アンテナが絶縁されて金属面上に載せられている場合の磁界
【図6】本発明の平行線路ループが平行線路から構成される過程を示す説明図
【図7】本発明の平行2線ループアンテナ磁界の構成図、(a)対コイル(ループ)Ant1とAnt2と磁性体シートの構成図、(b)上下の基板の給電部コイル端子の接続図、(c)上下の基板の給電部コイル端子の他の方法による接続図、(d)図(a)を横から見た場合、(e)図(a)に金属板MBを下方から当てた場合
【図8】本発明の平行2線ループアンテナの磁界分布と非接触ICカードやICタグとの結合を示す説明図と金属帯を更に設けた場合の構成を示す図、(a)対ループアンテナの磁界を側面から見た場合、(b)金属面Mが当っている場合の対ループアンテナの磁界、(c)金属面Mを挟む磁界の方向と分布を示す図、(d)下方の金属板Mとコイル(ループ)の線上のみに金属薄帯(ストライプ)を加えて側方磁界を強力にする場合
【図9】本発明の平行2線ループアンテナの金属対応のアンテナを基板で作った場合の実施例
【図10】本発明の平行2線ループアンテナの基板面上に回路構成した場合の実施例
【図11】本発明の平行2線ループアンテナの基板面上に回路を構成する方法を示す実施例、(a)基板上にリーダライタR/W部品を載せたアンテナ構成図、(b)上の基板の搭載部品を下方に向けて部品の突起を磁性体や下の基板及びスペーサ等で吸収し厚みを軽減する構成図、(c)下の基板に回路部品を装着して部品の厚みを磁性体窓の空間と上の基板の空間で吸収し厚みを軽減する構成図、(d)アンテナ基板2枚と磁性体Mtのみの構成図で、回路部品は別の場所に集約されアンテナの給電線で接続される場合の構成図
【図12】本発明の平行2線ループアンテナをポリイミド基板で実際に構成した場合の1実施例のインピーダンス特性とICカードとの通信距離の例を示す図
【図13】本発明の平行2線ループアンテナを用いて受送信回路を構成し、POS端末やPCに用いた場合の実施例、(a)POSレジのカードリーダに用いた場合、(b)PCにNFCリーダが収納されている場合
【図14】本発明の平行2線ループアンテナをICカード、ICタグや共振器に用いた場合の説明図
【図15】本発明の平行2線ループアンテナあるいはタグをPCに取り付ける場所を示す説明図
【図16】本発明の平行2線ループアンテナを携帯電話やMobile機器に取り付ける場合の説明図
【図17】本発明の平行2線ループアンテナを携帯電話やMobile機器に取り付けた場合の構成と磁界分布を示す図
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下に、本発明を実施するための形態を、実施例により詳しく説明する。
【実施例1】
【0041】
本発明を図面に基づいて説明する。
【0042】
図1は単1巻ループの図とこの場合の放射パターンを示す。図1(a)は半径a、線の太さ2ρの円形ループに電流Iφが流れている場合を示す。微小ループであるので、電流の振幅、位相は一定である。軸対称の構造であり、一定の電流値であるので、xy面内の円周方向には一様な放射を行う。z軸方向には、電流はどの部分でも軸対称で反対方向の電流ベクトルとなるため放射は零となる。
【0043】
図1(c)にはこのような微小ループの放射指向性を示す。即ち、xy面内にはドーナツ形の一様な放射を行い、z軸方向には放射は零である。ドーナツの断面は8字の円となる。このような微小とは云えxy面内には一様な放射が行われる。従って出力の大きなリーダライタや送信機を用いた場合には放射は無視できない。例えばカードの改札口のアンテナや棚管理用のアンテナを用い、高出力のリーダライタを用いた場合は放射に気をつけなければならない。
【0044】
図1(b)は一辺がL1とL2の枠形ループの図を示す。円形ループと枠形ループの指向性はL1=L2の場合殆んど変わらない。また、2(L1+L2)=2πaのとき即ち線長が同じ場合には殆んどインダクタンスの値は変わらない。枠形ループのインダクタンスや放射パターンを計算してあるが円形ループの結果と大差ないので、解析は円形ループで行った結果を利用している。円形ループの場合、先に述べたように電流Iφは一定なので、円周に沿って電流を積分した場合の発生する磁界Hθは、図1(d)でも示すように極座標系で次のように表される。
これを見ても分かるとおり、放射電磁界の項β2/rは存在し、xy面内に一様に放射する。これは先にも述べたように一般のアンテナの形状がこのような形状のループアンテナを用いているので小さいながら放射はあると考えてよい。誘導磁界jβ/r2は虚数であり、インダクティブな作用を行う。実際にはループの近辺に時間的なファクターで現れたり消えたりする量である。一般的にはこの量を誘導結合としてセンサやタグでは利用している。z軸方向の磁界Hzは、放射磁界は含まれず放射がないことが分かる。z軸方向に直交する電界と磁界が存在しないし且つ電流ベクトルは、xy面内のどの位置でも打ち消されて、軸対称となっていることからも理解できる。
【0045】
図2は本発明の平行2線ループ磁界の原理を示す図である。図では平面の1巻枠形ループの例で説明しているが円形ループでも同じである。1巻の枠形コイル(枠形ループ)2aと同大の1巻の枠形コイル(枠形ループ)2bを上下に重ねた構造で0.1〜2cm程度離して重ねた構造をしている。一般にコイル(ループ)の巻数は4巻程度であるが原理は同じなので1巻で説明してある。基本的に上のコイル(ループ)2aと下のコイル(ループ)2bとは、平行2線であるので矢印に示すように正相(逆相)電流を流しており、上方(z軸方向)においては、電流I1はループの電流であるため、φ=180°の点では電流は逆方向に流れており放射ベクトルは打ち消されて放射は行われない。また、下方においても同様である。電流I2においてもループ電流であるためxy面内のφ=180°の点では両電流ベクトルは反対となり、放射ベクトルは打ち消され、z軸方向即ち上下方向には放射しない。
【0046】
一方、xy面内についても電流I1とI2が同大で逆方向を向いており、正相(逆相)電流となっているため放射は行われない。一般に平行2線間の間隔が大きくない限り(位相差が発生しない限り)放射は行われない。従って、z軸方向にも、x、y軸方向にも放射は行われない形の理想的な誘導コイル(ループ)アンテナが構成されることが説明できる。
【0047】
このように基本的にループの面内xy面内に放射がないと云うことは、今までの常識と異なり、放射のない、あるいは放射の殆んどないアンテナとして考えることができ、金属面とは関係なく大変使い易いアンテナと考えることができる。z軸とxy面内には放射がないことが分かったが、わずかながらz軸を中心としz=0を頂点とする上下2つの円錐を考えるとこの方向のみにわずかながら位相差による放射があるが、一般にサイドローブレベルの放射である。上のコイル(ループ)2aの電流I1を励振する端子P1,P2と下のコイル(ループ)2bの電流I2を励振する端子P3,P4とにより、夫々のコイル(ループ)に給電する電圧、電流を制御することができる。先に述べたように上下のコイル(ループ)には正相(逆相)電流が流れているがもう一つの見方をすると上下の平行線路を枠形ループを構成するように折り曲げたと見ることもできる。
【0048】
上の枠形コイル(枠形ループ)の端子P2から端子P1の方向に電流が流れるように給電している。また、下の枠形コイル(枠形ループ)は端子P3から端子P4の方向に電流が流れるように給電している。先に述べたように、平行線路と見ると、I1=I2とすると端子P2から端子P4に電流が流れているように見える。また、端子P3から端子P1の方向に電流が流れているように見える。即ち、この図から見ても端子P1,P2,P3,P4に如何に給電するかにより電流の方向が制御できることが分かる。
【0049】
また、本発明の平行2線ループアンテナの形状が、同一のアンテナを2個重ねた構成となるため、その形状よりツインループアンテナともダブルループアンテナともハイパー(ジェット)ループアンテナとも見ることができる。
【0050】
図3には図2に示す電流I1,I2を枠形コイル(枠形ループ)に流すための具体的な給電方法を示している。図3(a)には上下のコイル(ループ)を直列に接続する方法を示している。端子P1とP3を短絡し、端子P2とP4より給電する方式を示している。
【0051】
一方、端子P2とP4を短絡し、P1とP3を給電する方式にしても同じ動作をする。金属面Mの上にアンテナを載せているがアンテナ線2bは絶縁されている。金属面Mがない場合でも図2で説明したように既に下方のコイル2bには正相(逆相)電流を流しているので下方の金属面の影響を受け難い。
【0052】
図3(b)には上下のコイル(ループ)を並列に給電している場合を示す。並列の場合、上下のコイル(ループ)の条件が違う場合、上下に流れる電流I1,I2が変わることが発生するので不都合な場合には、図3(c)に示すように夫々のループの給電部P1,P2とP3,P4とに整合回路MTCや給電スイッチを別々に設置することもできる。別々に設置した給電スイッチにより、正相(逆相)に給電を行ったり、零相(同相)に給電を行ったりすることで状況に合わせて給電方法を切り換えることができる。
【0053】
図3(d)には枠形コイル(枠形ループ)の一辺L1側における電流I1,I2と金属面Mによる影像(イメージ)により、完全ではないがI2はI2’で打ち消されて図3(e)のように金属面と導線2aと導線2bとの間の磁界の開口部は2倍になったかのように大きくなるので磁束が2倍になったように見える。電流I2は完全に打ち消されないので一部は残るので完全に図3(e)と等価にはならないが当初より正相(逆相)電流があるお陰で磁界の形状やインピーダンスは大きく変化を受けないので設計が楽になる。図5で更に詳しく述べる。
【0054】
図3(f)は、枠形コイル(枠形ループ)のもう一辺のL2側の電流I1,I2による金属面Mによる影像(イメージ)により、L1側と同じように磁界が増えることを説明する図である。
【0055】
図3(g)には、L2側のコイルの電流による磁束は、影像(イメージ)により磁束が2倍となることを説明している。
【0056】
図4には、2対のコイル(ループ)を同相(零相)で励振する場合の例で、図4(a)は直列に、図4(b)には並列に励振する例を示す。正相(逆相)励振ではないので単体ではxy面内の放射は抑えられないが、金属面の影像(イメージ)により、xy面内の放射も抑えられる。下方のコイル2bが金属面の影響を受けるが上方のコイル2aは金属面から離れている分、影響を受け難い。金属面のある場合とない場合では変わるので本目的には適当でない。
【0057】
図5は、本発明の概念を説明するための図である。図5(a)は1本の導線の例で無限に長い1本の導線の場合電流I1の周囲に円形の均一な磁界H1が発生することを示している。図5(b)は2本の平行(導)線路の場合で上の線路2cと下の線路2bには同大反対方向の電流I1,I2が流れている場合を示す。I1とI2を正相(逆相)電流とする。この場合には磁界は上下対象で電流I1,I2を囲むように方向が反射の円群となる。即ち、平行線路に現れる電界Eと磁界Hの図となる。いま2本の線が充分に離れて(例えば2cm以上)いる時はこの平行線路のインピーダンスは電磁界が伝送するには充分なインピーダンスを提供できるが、平行線路の間隔が狭くなり、導線間の間隔が1mm以下となると電界は大きくなり磁界がこの間隙を通り難くなる。即ち線間容量Cが増え線路インダクタンスLは小さくなる。
【0058】
この場合のインダクタンスLは、
線間容量Cは、
で表され、特性インピーダンスZ0は
となる。
【0059】
つぎに枠形ループを円形ループで置き換え、2個のループが同相(逆相)に励振され近接して置かれているとして考察する。いま半径aのループの自己インダクタンスは次の式で表されることがよく知られている。枠形ループとの対応としては、2πa=2(L1+L2)としており、線長が同じと考えている。
N巻のループでかつ平面に巻いた場合のループの半径は巻く毎に異なるのでその平均値をa1とする。大小ループのほぼ中心の大きさのループの半径と考えてよい。この場合、
である。
【0060】
また、上下に巻かれた実施例のようなコイル(ループ)の相互インダクタンスは線の太さも考えて
である。従って、相互インダクタンスの影響を含めた全体のインダクタンスの値は、
となる。即ちループの大きさに関係なく、上下の平行2線によるインダクタンスと同じ値となる。これによってもループ電流による影響より、上下平行線の正相(逆相)電流の影響の方が大きいことが分かる。
【0061】
ここに、
である。いま1式においてd=2ρとすると線間の間隔はなくなるのでインダクタンスL=0となり、2式の容量Cは∞となる。また特性インピーダンスは0となる。
【0062】
次に図5(c)に示すように高透磁率の磁性体板6を平行線路の線間に挿入した場合を示す。線間の間隔dを小さくして行くと先に説明したように磁界が通り難くなり、インダクタンスLは低下する。そこで比透磁率100〜200(約160)程度の高透磁率の磁性体板(シート)を線間に挟み込むことにより、磁界は狭い空間(dm−2ρ)を通ることができ、線間の距離(dm−2ρ)を0.1〜10mm程度にしても磁路が得られ、充分なインダクタンス、容量、特性インピーダンスを得ることができる。実用上(dm−2ρ)が0.1〜0.5mm程度が携帯電話等に用いる小形センサアンテナに適している。磁界はかまぼこ形に偏平になり、高透磁率の磁性体の磁路を通ることができる。特に、導体の周辺5〜25mm程度の空間が磁界の磁路の影響を受け易いので、線の直下ではこの程度の磁性体の幅は必要である。
【0063】
図5(d)には、図5(a)の場合のように、無限に長い導線の磁界を横から見た場合を示す。電流Iを囲んで右回りの磁界とすると、上の磁界は紙面より手前に向かって来る磁界となり、下の磁界は紙面より裏に向かって行く磁界となることを示している。
【0064】
図5(e)は、図5(b)のように、平行線路の磁界を横から見た場合を示す。平行線路の外と中では磁界の方向が変わっていることが分かる。
【0065】
図5(f)には、図5(c)に示すように比較的線間が狭い場合、高透磁率の磁性体を線間に挟んだ場合の線路および磁性体内の磁界を横から見た場合を示す。間隔が狭い場合でも斜線の高透磁率の磁性体内を磁界がよく通れることが分かる。磁性体断面の比透磁率が大きい程磁路が広がったものと等価になる。しかしながら磁力線方向の長さについては磁極による反磁界の影響で磁路に沿っての長さが充分にないため且つ殆んどの磁界が空気中を通るため実効透磁率は低く、μeff=10〜16程度と考えられる。
【0066】
図5(g)には、図3(a)のように直列に給電された対コイル(ループ)アンテナが絶縁されて金属面Mの上に載せられている場合の磁界を示している。電流I1,I2の影像(イメージ)I1’、I2’が金属面Mの反対側に等大、等距離に反対の矢印方向に現れ磁界は矢印で示す方向となる。影像効果(イメージ)により、線間の間隔が広がったように見え、磁束の数も2倍に増えたように見える。しかしながら、電流I2とI2’は完全導体で大きな場合に打ち消されるようになるが、有限の大きさなので完全に打ち消されないでこの電流による磁界は一部残存する。また、影像効果による磁束は増えるのでこの分の効果は上がり通信感度はよくなる。
【0067】
図6は、金属面に置かれた図6(a)の1巻コイルの影像(イメージ)により、1つのコイル(ループ)が図6(b)のように2倍になって見える説明をしたが、このコイルを図6(c)のように細長くし、枠形に折り曲げると図3(a)の対コイル(ループ)になることを説明するもので影像効果(イメージエフェクト)がよりはっきり分かるための説明図である。従って平行線をコイル状に折り曲げたものは影像効果により感度が上昇することが理解される。
【0068】
図7は、基板PCBにエッチングされた対コイル(ループ)Ant1とAnt2の間に高透磁率の磁性体シート6を挟めるようにしている場合を示す。夫々のコイル(ループ)アンテナ端子をスルーホールを介して貫通ピンで接続し、対アンテナの直列アンテナを構成する方式を示している。上の基板のコイルの内側の終端は下の基板のコイルの内側の終端に上の基板のコイルの外側の終端を給電端子とし、下の基板のコイルの外側の終端をピンにより上の基板に接続し、これをもう一方の給電端子とすることを行っている。
【0069】
図(a)では4巻の平面ループの例を示しているが、ループの大きさが小さい場合は3〜5巻程度となる場合があり、中程の場合は2〜4巻、ループの大きさが大きい場合には1巻でも充分な場合がある。インダクタンスの値としても片側のアンテナで、1.5〜3μH、両アンテナ合わせて、3〜6μHとなる。合わせて4μH程度のインダクタンスを目安とすればよい。
【0070】
f=13.56MHzのアンテナとして用いるとき、PC等のセンサアンテナとするときは、L1が約30〜70mm、L2が約30〜50mmとし、磁性体シートの大きさもほぼ同大で、厚みは0.15〜1mm程度としている。携帯電話のように小形化しなければならないときは、L1が約20〜45mm、L2が20〜35mmで磁性体板の厚みは、0.05〜0.5mm程度である。大きなセンサアンテナを作るときは、L1、L2ともに30cm程度で厚みが5〜10mmの磁性体シートを用いる。
【0071】
アンテナ本体として用いる場合で、金属面あろうがプラスチックであろうが両方に用いることができ、且つ両面の磁界や片方のみの磁界を用いることもできる。
【0072】
中形のセンサアンテナを作るときは、L1、L2ともに10cm〜15cm程度で厚みが0.5〜3mm程度である。中間に位置している大きさのセンサでは大、中、小、極小の間に入るような大きさ厚さのセンサとなる。
【0073】
また、大形のアンテナの場合は、磁性体をゴムやプラスチックで固めた比較的比透磁率が高くないμγ=14〜60程度の磁性体シートでも利用できる。更に大きなL1、L2が1m近いようなアンテナでも基本的には放射が発生しない特徴があるので安心である。
【0074】
図7(b)には、上の基板と下の基板の給電部のコイル端子の接続方法を示している。図7(c)は、図7(b)の他の方法によるものでどちらの方法によってもよい。図7(d)は、図7(a)を横から見た場合を示す。磁性体は両基板の間に納まっている。図7(e)は、更に金属板MBを下方に当てた場合を示す。
【0075】
図8(a)は、本発明の平行線ループアンテナの磁界を側面から見た場合の説明図である。上下に対称に磁界が現れ且つ側面にも磁界が現れていることが分かる。
【0076】
図8(b)は、更に金属面Mが当っている場合を示す。この場合も金属面Mの影響で磁界が打ち消されることなく、影像効果(イメージエフェクト)も加わり、きれいな磁界が発生していることがわかる。下方の磁界はあくまでも影像(イメージ)である。
【0077】
図8(c)は、金属面Mを挟む磁界の方向と分布を示す。金属板の下方には影像(イメージ)による電流I1’,I2’と磁界があるように見えるがあくまでも実存はしない。電気的なものである。
【0078】
図8(d)には、下方の金属板Mに加え、コイル(ループ)の線上のみに金属薄帯(ストライプ)を加えて側方磁界を強力にする場合を示す。また、金属板Mがグランドと接続されていない場合、アンテナ基板と金属板Mとの間に浮遊容量が発生して共振周波数の変動要因となるため、金属板Mとアンテナ基板のグランドとの電位を共通にする接地が必要となる場合がある。
【0079】
図9には、図7に示すアンテナ基板の構成の別の実施例を示す。図9(a)には、上下の対となるアンテナ基板PCB1とPCB2とがあり、コイル(ループ)アンテナAnt1とAnt2がエッチングまたは印刷や蒸着されている。元々のコイルアンテナの端部は手前のコイル(ループ)アンテナの外に端部をそろえるようにしている。
【0080】
これによって図9(b)に示すようにフレキシブル基板やフィルム、ポリイミド基板が端部で合わせるように半田付け、融着、圧着、ピン止め、カシメ等の加工によって導通が行われるようにする。そして外部のアンテナケーブルAntCableに接続できるようにコネクタConを介して信号や電力の伝送が行えるようにしている。
【0081】
図9(c)には、上部のアンテナAnt1と端部の構成の方法を示すもので、アンテナ面の裏面にはスルーホールを用いて更に下面の銅箔により、アンテナ端部から基板端部までジャンパーし、導通片としている。これを図9(d)に示す。裏返ししているので左右逆となっている。
【0082】
図9(e)には、下方のアンテナ基板PCB2とアンテナAnt2を示す。コイル(ループ)アンテナの外側の端子は給電部となるので、左の図9(c)の場合と入れ替わった隣りの端子となっている。
【0083】
図9(f)には、アンテナの一番下の基板となり金属面に一番近い面となるため最初から金属面をほぼ全面に残している場合を示す。アンテナ面、ジャンパー線、金属面等、外部接続される部分、半田付けのための部分を除いて総てレジストを掛け金属面がむき出しにならないようにしている。これにより短絡を防止している。
【0084】
次に図10には、NFC等に用いる送受信ICやインターフェースICやクリスタル、整合用コンデンサチップ、フィルタ用インダクターチップ等を基板に載せる場合について説明する。
【0085】
図10はアンテナ基板に、NFCIC、クリスタル、フィルタ、整合器等を載せる場合を示す。また、図7(b)では金属面MBを最初から当てない構造のアンテナとしたが、図10には最初から金属面を当てる構造のアンテナの実施例を示す。
【0086】
図10(a)は、上面の薄形基板PCB1(0.1mm以下が望ましい)にコイル(ループ)アンテナAnt1をエッチングあるいは印刷等の方法で作り、中心部スペースには通信用ICやインターフェースIC、クリスタル、整合用コンデンサ、フィルタ、抵抗等の部品が載る回路を構成する。NFCのICを用いる場合には、NFCIC8が1個のみでよい場合もある。この周辺にクリスタル、フィルタ、コンデンサ、抵抗等の部品を配置する。中心部の四角の部分7は、これらの回路部品で回路が構成されるスペース7を示す。
【0087】
図10(b)は、上面の薄形基板PCB1の裏側を示すもので、表面に回路部品が載るスペースは裏面では配線に用いられる部分でもある。両面基板で配線を達成している。2層構造で足りない場合には、3層、4層構造で組む場合もある。更に、回路組立配線部分からアンテナ接続用の線およびUSB、SD、PCMCIA等の外部回路との接続用のI/O接続が端面まで配線され、表面の配線端子とはスルーホールやピン等によって接合されアンテナに接続され、I/O端子を介して外部の回路と接続される。
【0088】
図10(c)は薄い高透磁率の磁性体板Mtを示す。この磁性体板Mtは、上下のアンテナの間にサンドイッチ状に挟められ、磁界の磁路を提供するため高透磁率μγ=100〜200程度でなければならず、しかも薄い板であることが望まれるので、0.08〜0.2mmの板1〜3枚を合わせるか、一枚もので構成しなければならない。グリンシートを焼いた磁性体板は折れ易く、割れ易いので、プラスチックフィルムをラミネートされた薄板を用いている。
【0089】
図10(d)は、下方のアンテナ基板の表面を示すもので、4巻コイルの巻き終わりと巻き初めを短絡しないように、下面の銅線を用いジャンパーJとして機能する。
【0090】
図10(e)は、下方アンテナの基板の裏面を示すもので、金属面MBが残されている。アンテナの終端を接続するジャンパー線Jが金属面MBと絶縁分離されて配線されている。前にも述べたように外部端子との接続やアンテナ端子との接続等の部分のみを除いて短絡しないように絶縁のためのレジストが掛けられている。短絡を避けるために裏面の配線によりジャンパー線を構成している。表面との端子接続はスルーホールやピンで接続する。
【0091】
図10(h)は、高透磁率の薄い磁性体板で図6や図10(c)で述べたものと同様な特性と目的を持つものであるが、部品搭載の邪魔とならないように中心部が窓のように抜いてある。
【0092】
図10(i)には、下方基板にIC8を含めた回路部品が搭載されており、この周辺に部品の配線7がされている。アンテナの端部の扱いや回路から出るI/O線の扱いは、図10(a)と同じであるので説明は省略する。但し、下方の基板が外部との接続端子を載せる場合は、下方の基板を上方の基板より少し大きくし、磁性体板や上方の基板の邪魔にならないように構成しなければならない。
【0093】
図10(j)は、下方基板に金属面MBを最初から設置する場合で、回路基板の配線部7′とアンテナ、I/O、配線部とジャンパー部Jと金属面MBを同一面で構成している。図10(f)(g)(h)(i)(j)は別の実施例を示す。
【0094】
図10(a)(b)(c)(d)(e)は、上方のアンテナ基板にリーダライタとなる回路部品を搭載するようにしたのであるが、この実施例では下方のアンテナ基板にリーダライタとなる回路部品を搭載した場合である。この場合の特徴はアンテナ基板の厚みの中に回路部品の厚みをある程度吸収させて全体の厚みが薄くなるように構成したもので、上方の基板の厚み約0.1mmと磁性体の厚み約0.4mm、計0.5mm程度の厚みを軽減できる方式である。
【0095】
図10(a)〜(e)方式によれば、全体の厚みが2.0〜2.2mm程度となるが、図9(f)〜(j)方式によれば、1.5〜1.7mm程度となり薄形部品を使えば更に全体を薄くすることが可能となる。
【0096】
図10(f)は、薄形基板に4巻アンテナAntがエッチング等で構成されており、中心部は下方の部品の厚みがある部分を避けて抜いてある。アンテナ終端は、上方アンテナと下方アンテナを接続する部分として手前にジャンパー線を介して引き出している。これは図7や図10(a)等と同じである。
【0097】
図10(g)は上方アンテナの裏面である。金属面MBは、全体にある必要がなく、表面のアンテナコイルの下方に5〜40mmの幅で存在すれば、下方に金属面が来た場合でもこれによる影響を抑制することができる。現在、厚みが影響する部品は、フィルタ用インダクタンス、NFCIC、クリスタル、等であり、極力薄いものを用いることが薄形化へつながる。ICはフラットパッケージ、ベアチップの搭載とポッティングにより薄形化は計れる。クリスタルもメタルカバーを行わずベアチップを用いればかなり薄くできる。
【0098】
図11には、アンテナ基板に部品を搭載する方法とアンテナ基板のみで構成する場合の厚みの検討を示している。
【0099】
図11(a)は、単に上の基板にリーダライタR/W部品を載せてアンテナを組み上げた場合で、厚みは加算されて厚くなる。先にも述べたように2.2mm程度の厚みとなる。
【0100】
図11(b)は上の基板を下方に向けて部品の突起を磁性体や下方の基板、更にはスペーサ(PP)等で吸収し厚みを軽減する構成である。下方の金属板MBの厚みが0.1mm程度ある時、場合によってはこれに窓を開け金属面の厚みをなくすこともできる。
【0101】
図11(c)は、図10(f)〜(j)で示した実施例の場合で、下方の基板に回路部品を装着しているので上に搭載される部品の厚みは磁性体窓の空間と上方の基板の窓の空間で吸収され厚みを薄くすることができる。
【0102】
図11(d)はアンテナ基板2枚と磁性体Mtのみの場合で、回路部品は別の場所に集約されアンテナの給電線で接続される場合を示す。図からも分かる通り薄く構成することができる。
【0103】
図12には、実際の平行線でループを構成し、L1=45mm、L2=35mmとし、磁性体厚0.5mmとし、Poli−Imidの基板にエッチングにより4巻ループを描き、直列給電した場合の、タイプA、タイプB免許証、ELWISE、Felicaのセンサからカードまでの通信距離の値とインピーダンス特性を示す。このように携帯電話に装着できる小形アンテナでも充分な感度が得られ整合もよく取れる。
【0104】
図13は、本発明の応用システムの実施例である。図13(a)は、POSレジのカードリーダに用いた場合で、NFCの場合、タイプA、B、Cのカードがリーダの上に来る場合と、同様な機能を持つ携帯電話やSmartPhone(登録商標)、iPhone(登録商標)等が来る場合とがある。NFCリーダの出力は、USBやLAN等でどちらでも接続できる出力を有している。また、一般に磁気カードリーダとも共用している場合があるので、磁気リーダで読む時脇の磁界により一緒にICカードを読むこともできる。POS端末の先は一般的にLAN netに接続されており決済のデータはサーバに集められる。
【0105】
図13(b)は、PCにNFCリーダが収納されている場合を示す。図10のような一体形のリーダでもよいし、アンテナ部とリーダ部とが分かれて配置されている構造となっていてもよい。PCの手許のスペースにすべり込ませる場合には、できるだけ薄く作りプラスチップ表と金属面の間のスペースに滑り込ませるのが従来の変更が不要で手っ取り早く、PC基板あるいはPCMCIAのスペース等に回路基板を置くようにすることもできる。リーダの接続インターフェースはUSB、SD、PCMCIA等の端子に接続し、ソフトウェア(DS、SDK、AP等)で対応するカード、携帯電話等に対して、応用ソフトウェアを開発利用することができる。一般業務教育、学習等や、決済端末インターネットアクセス端末としても有効である。
【0106】
図14には、本発明の平行線コイルアンテナをタグや共振器に用いる場合の実施例である。上下のアンテナコイルを2つのコイル2a,2bで代表示している。タグやICカードに用いる場合、ICは2個のコイルと直列(図14(b))または並列(図14(c))に示すようにして用いる。共振器として用いた場合には、コンデンサが取り付けられている。コンデンサは2個のコイルと直列(図14(c))、あるいは並列(図14(d))に接続される。
【0107】
共振器には大きな電流が流れるので、不要放射を抑えるのには本発明が適している。一般には両面も用いるので、金属面MBは用いていない。PCB1、PCB2の間には磁性体板Mtが挟まれている。使用時にある金属面に用いた場合、他にも金属面が現れる場合もあり、両面受信できるようにしておいた方が便利なこともある。金属面がどちら側にあっても使用できる。これも万能タグの一つである。このような振る舞いはタグとしてだけでなく、センサとして使用する場合も同じである。タグの場合、金属体にあらかじめ固定されることが分かっているときは、最初から金属面を金属体の当る方にあてがって調整をしておいてもよい。
【0108】
次に、図15には、ノートブックPCのどの部分にNFCセンサアンテナあるいは本発明のアンテナを取り付けるかを示すもので、手前の左右のスペース、液晶面の手前の右下角の部分、あるいは液晶全面を利用し感度を上げる位置とする場合がある。この位置は実施例であってこの位置でなければならないことはない。特に液晶の場合、金属面の前のバックライトの直ぐ後に取り付けるとスクリーンを通して充分な通信感度が得られる。
【0109】
図16には、携帯電話、Smartphone(登録商標)、iPhone(登録商標)、iPod(登録商標)等のMobile機器に本発明のアンテナを取り付ける場合、プラスチックの直ぐ後のスペースに取り付ける場合を図16(a)に示す。金属面で本体が覆われている場合(図16(b))に、金属面の外側にアンテナを取り付ける場合で、外観を損なわないようにアンテナは薄形で塗装色を工夫したり、形状やデザインを工夫する必要がある。
【0110】
図17には、携帯電話やSmartphone(登録商標)、iPhone(登録商標)、iPod(登録商標)等のMobile機器に本発明のアンテナ1を取り付け、リーダ回路7を別に取り付けた場合の例を示す。本発明によるアンテナの磁界(Flux)が下方に現れていることが分かる。また、側方にも磁界が出ているので、携帯電話を横にした場合でも通信ができる利点がある。NFCの場合には、携帯電話自体がリーダともターゲットともなるので双方向の機能が備わっている。
【符号の説明】
【0111】
1 本体
a ループコイル(アンテナ)の半径
2a 上の線(上のコイル)
2b 下の線(下のコイル)
Ant1 上のループコイル
Ant2 下のループコイル
Con コネクタ
ds 平行線の距離(ループ間の距離)
dm 磁性体を挟んだ平行線間の距離
2 コイル(線)
2ρ 線の太さ
3 IC
6 磁性体板
7 IC並びに回路部
8 NFCIC
CPP プラスチック絶縁板または磁性体板
H 磁界
Hθ 極座標θ方向の磁界
Hz 円筒座標z方向の磁界
H1 上の線の磁界
H2 下の線の磁界
I 電流
IC card(ICカード) IC Tag(ICタグ)
I1 上の線の電流
I2 下の線の電流
Image 影像(虚像)
L1 コイルの一辺の長さ
L2 コイルのもう一辺の長さ
Mag 磁性体板
M 金属面(Metal)
Match 整合部
Mt 磁性体板
MB 金属板(面)
P1,P2,P3,P4 コイルの端部
P5,P6 アンテナコイルの給電部
PC パーソナルコンピュータ
PCB プリント基板
PCB1 上のコイルアンテナ基板
PCB2 下のコイルアンテナ基板
POS (ポイントオブセールス)端末
SD SDカードインターフェース
USB USBインターフェース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行2線により夫々が同大のループを構成するように、平行に同軸に置きループ間の距離が0.1mm〜2cmに設置し、両アンテナに給電を行うことを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項2】
請求項1において、平面形1〜6巻ループの夫々を正相(逆相)あるいは零相に励振することを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項3】
請求項1または2において、ループの間に高透磁率の磁性体板を挟み込むことを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項4】
請求項1または2において、夫々が同大のループを構成する平行2線のループアンテナをプリント基板で構成することを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項5】
請求項1または2において、ループアンテナ素子を印刷や塗料や蒸着あるいは巻線で構成することを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項6】
請求項1または2において、ループアンテナを支持する支持板をPCB、pi基板あるいはプラスチックフィルムあるいはフィルム基板で構成することを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項7】
請求項1または2において、上下2枚のループアンテナを接続する方法は上下の導線位置を合わせ、スルーホールで上下のアンテナ線に導通するよう接続する方法を特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項8】
請求項1または2において、上下2枚のループアンテナを接続する方法は上下の導線の位置合わせを行いスルーホールを設け、更に磁性体も貫通する穴を設けて上下のアンテナ線に接続する方法を特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項9】
請求項1または2において、上下2枚のループアンテナを接続する方法はフレキシブル基板やポリイミド基板を用いて導線や端子の一部を半田または圧着、カシメ、融着により接続することを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項10】
請求項1または2において、上下2面のループアンテナを接続する方法は2層基板のスルーホール等により、端子部を片側に集め、半田付、圧着、カシメ、融着により接続することを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項11】
請求項1または2において、上下2枚のループアンテナを支えるフレキ基板の場合、給電部は2枚密着させ半田、圧着、カシメ、融着、スルーホールにより接続し、この部分から給電線を取り出すことを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項12】
請求項1乃至3いずれかにおいて、ループアンテナを基板に構成する場合、基板裏に金属面を構成する場合は両面基板のアンテナ面の反対側の金属面を残しこれを金属面とすることを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項13】
請求項1乃至3、または12いずれかにおいて、基板裏の配線が必要な部分は配線部として用い、アンテナ下部のみ金属面とすることを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項14】
請求項1乃至3、または12または13いずれかにおいて、アンテナ給電部をアンテナの外側のどちらかの一辺に集中することを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項15】
請求項1または2において、上面の基板にICやクリスタルや整合回路を搭載する場合は、アンテナコイルと一体のリーダライタとするため中心部の空間あるいはアンテナの外側の片端に集中させる方式とすることを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項16】
請求項1または2において下面の基板にICやクリスタルや整合回路を搭載する場合は、アンテナコイルと一体のリーダライタとするため、中心部の空間あるいはアンテナの外側の片端に集中させ、磁性体や上部基板が邪魔にならないようにこの部分を切り欠いてしまい、全体として非常に薄形とすることを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項17】
請求項1乃至3いずれかにおいて、携帯電話やsmart phone(登録商標)、iPhone(登録商標)等において、コイルアンテナの大きさが、一辺20〜35mm、他辺20〜45mm、磁性体の厚み0.05〜0.5mm、少なくとも1mm以下、PC組み込みの場合は、一辺30〜55mm、他辺45〜70mm、厚み0.1〜1mm、大形センサの場合、一辺25〜40mm、他辺25〜40mm、厚さ0.5〜20mm、中形センサの場合、一辺10〜15cm、他辺10〜15cm、厚さ0.1〜1mmとすることとし、中形、大形センサを除き薄形基板で2枚のアンテナを構成することを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項18】
請求項1乃至3いずれかにおいてICカードまたはRFIDのICを載せ、カードあるいはタグとすることを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項19】
請求項1乃至3いずれかにおいて本発明のアンテナを、携帯電話、パーソナルコンピュータ、smart phone(登録商標)、PDA、iPhone(登録商標)、iPod(登録商標)等に内蔵し、内部のインターフェースと接続し、夫々の機器あるいは外部端末と通信を行うことを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項20】
請求項1または2においてゲート用、通過用の大形のアンテナを作るときは、一辺が1〜2m、他辺も1〜3mとし、磁性体を用いる場合と用いない場合とに分け、磁性体を用いる場合には薄形に厚さ10cm以下とし、磁性体を用いない場合は厚さ20〜40cmとし、これをR/Wに接続PCで管理することを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項21】
請求項1乃至18いずれかにおいて述べられているセンサ、タグにおいて、PC、POS、R/W、OA、FA、家電機器で読まれたデータを基本とし、通信を行うことを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項22】
請求項1乃至3いずれかにおいて夫々の平行線の線路に切換えを行ったり、別々に給電した場合に整合が取れるように整合回路を共通あるいは別々に設けることを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項1】
平行2線により夫々が同大のループを構成するように、平行に同軸に置きループ間の距離が0.1mm〜2cmに設置し、両アンテナに給電を行うことを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項2】
請求項1において、平面形1〜6巻ループの夫々を正相(逆相)あるいは零相に励振することを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項3】
請求項1または2において、ループの間に高透磁率の磁性体板を挟み込むことを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項4】
請求項1または2において、夫々が同大のループを構成する平行2線のループアンテナをプリント基板で構成することを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項5】
請求項1または2において、ループアンテナ素子を印刷や塗料や蒸着あるいは巻線で構成することを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項6】
請求項1または2において、ループアンテナを支持する支持板をPCB、pi基板あるいはプラスチックフィルムあるいはフィルム基板で構成することを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項7】
請求項1または2において、上下2枚のループアンテナを接続する方法は上下の導線位置を合わせ、スルーホールで上下のアンテナ線に導通するよう接続する方法を特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項8】
請求項1または2において、上下2枚のループアンテナを接続する方法は上下の導線の位置合わせを行いスルーホールを設け、更に磁性体も貫通する穴を設けて上下のアンテナ線に接続する方法を特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項9】
請求項1または2において、上下2枚のループアンテナを接続する方法はフレキシブル基板やポリイミド基板を用いて導線や端子の一部を半田または圧着、カシメ、融着により接続することを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項10】
請求項1または2において、上下2面のループアンテナを接続する方法は2層基板のスルーホール等により、端子部を片側に集め、半田付、圧着、カシメ、融着により接続することを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項11】
請求項1または2において、上下2枚のループアンテナを支えるフレキ基板の場合、給電部は2枚密着させ半田、圧着、カシメ、融着、スルーホールにより接続し、この部分から給電線を取り出すことを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項12】
請求項1乃至3いずれかにおいて、ループアンテナを基板に構成する場合、基板裏に金属面を構成する場合は両面基板のアンテナ面の反対側の金属面を残しこれを金属面とすることを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項13】
請求項1乃至3、または12いずれかにおいて、基板裏の配線が必要な部分は配線部として用い、アンテナ下部のみ金属面とすることを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項14】
請求項1乃至3、または12または13いずれかにおいて、アンテナ給電部をアンテナの外側のどちらかの一辺に集中することを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項15】
請求項1または2において、上面の基板にICやクリスタルや整合回路を搭載する場合は、アンテナコイルと一体のリーダライタとするため中心部の空間あるいはアンテナの外側の片端に集中させる方式とすることを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項16】
請求項1または2において下面の基板にICやクリスタルや整合回路を搭載する場合は、アンテナコイルと一体のリーダライタとするため、中心部の空間あるいはアンテナの外側の片端に集中させ、磁性体や上部基板が邪魔にならないようにこの部分を切り欠いてしまい、全体として非常に薄形とすることを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項17】
請求項1乃至3いずれかにおいて、携帯電話やsmart phone(登録商標)、iPhone(登録商標)等において、コイルアンテナの大きさが、一辺20〜35mm、他辺20〜45mm、磁性体の厚み0.05〜0.5mm、少なくとも1mm以下、PC組み込みの場合は、一辺30〜55mm、他辺45〜70mm、厚み0.1〜1mm、大形センサの場合、一辺25〜40mm、他辺25〜40mm、厚さ0.5〜20mm、中形センサの場合、一辺10〜15cm、他辺10〜15cm、厚さ0.1〜1mmとすることとし、中形、大形センサを除き薄形基板で2枚のアンテナを構成することを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項18】
請求項1乃至3いずれかにおいてICカードまたはRFIDのICを載せ、カードあるいはタグとすることを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項19】
請求項1乃至3いずれかにおいて本発明のアンテナを、携帯電話、パーソナルコンピュータ、smart phone(登録商標)、PDA、iPhone(登録商標)、iPod(登録商標)等に内蔵し、内部のインターフェースと接続し、夫々の機器あるいは外部端末と通信を行うことを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項20】
請求項1または2においてゲート用、通過用の大形のアンテナを作るときは、一辺が1〜2m、他辺も1〜3mとし、磁性体を用いる場合と用いない場合とに分け、磁性体を用いる場合には薄形に厚さ10cm以下とし、磁性体を用いない場合は厚さ20〜40cmとし、これをR/Wに接続PCで管理することを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項21】
請求項1乃至18いずれかにおいて述べられているセンサ、タグにおいて、PC、POS、R/W、OA、FA、家電機器で読まれたデータを基本とし、通信を行うことを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【請求項22】
請求項1乃至3いずれかにおいて夫々の平行線の線路に切換えを行ったり、別々に給電した場合に整合が取れるように整合回路を共通あるいは別々に設けることを特徴とする平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図12】
【公開番号】特開2011−66628(P2011−66628A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−214677(P2009−214677)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【出願人】(599154663)株式会社スマート (18)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【出願人】(599154663)株式会社スマート (18)
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