説明

平面コイル用のシールド構造

【課題】 二次側の起電力を上昇させ、不要輻射ノイズを低減させて安定した電力を送電することのできる平面コイル用のシールド構造を提供する。
【解決手段】 平面に巻回したコイル(1a)(1b)とそのコイル(1a)(1b)の裏面に配置した磁気シールド体(2a)(2b)とで構成した電力伝送用の平面コイルでのシールド構造であって、磁気シールド体(2a)(2b)の少なくともコイル配置側の面とは反対側の面に位置する二次電池との間に金属シート(3b)を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば携帯電話やPDA等の携帯用小型電子機器の電力系に使用される電力伝送用コイルのシールド構造に関し、特に、コイルを平面的に巻回させている平面コイルでのシールド構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、携帯用小型電子機器の電力系ではその電力源として二次電池を使用し、その二次電池の充電用回路に平面コイルを使用している(特許文献1)。
このような平面コイルでは、その実装を前提とした場合、コイルの裏面に装着される回路基板、二次電池等の金属部品が送電コイルからの磁束を吸収し、発熱、誤動作、劣化等が発生する問題がある。これらの解決手段として、磁束を遮断、屈折する磁気シールドが必要不可欠とされているが、コイル自体の発熱やシールド自体の発熱があり、全体として発熱を抑えることは困難であった。この場合、コイル自体の発熱は電流と等価直列抵抗成分の積で求まり、線材等の工夫をすることにより抑えることが可能であるが、磁気シールド自体の発熱を押えることはできなかった。
【0003】
そこで、本出願人は、先に、磁気シールド体のコイル配置面での面積の大部分をコイルで覆うようにして、磁気シールド体自体の発熱を可及的に抑制することのできる電力伝送用の平面コイルを提案した。
【特許文献1】特開2006−230032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、先に提案した、平面コイルでも、大部分の磁束はコイルと磁気シールド体に吸収されるものの、僅かながら二次電池筐体の影響を受け起電力が不安定になり、電力の劣化を招くという問題は残っていた。
【0005】
本発明は、このような点に着目してなされたもので、二次側の起電力を上昇させ、不要輻射ノイズを低減させて安定した電力を送電することのできる平面コイル用のシールド構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために請求項1に記載の本発明は、平面に巻回したコイルとそのコイルの裏面に配置した磁気シールド体とで構成した電力伝送用の平面コイルでのシールド構造であって、磁気シールド体の少なくともコイル配置側の面とは反対側の面に位置する二次電池との間に金属シートを配置したことを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載した平面コイルのシールド構造において、金属シートが磁気シールドと同形状で磁気飽和しない程度の厚みを有していることを特徴とし、請求項3に記載の本発明は、請求項1又は2に記載した発明において、磁気シールド体及び金属シートが、コイルと相似形の角型で構成してあることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、磁気シールドとともに金属シートが、コイルと二次電池との間に挿入配置されることから、二次側のインダクタンスを減少させ、一次側からの送電電力も増大させ、かつ磁力線も集中されることになり、二次側の起電力を上昇させ、不要輻射ノイズを低減させて安定した電力を送電することができる。さらに、一次側も同様の構成にすることにより、ノイズの低減、金属机等の影響を減少させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は本発明の一実施形態を示す概略図であり、これは、一次側送電用コイル(一次側コイル)(1a)と二次側受電用コイル(二次側コイル)(1b)とを対向させて配置するとともに、各コイル(1a)(1b)の裏面側に方形の磁気シールド体(2a)(2b)と、金属シート(3a)(3b)とがを順に配置してある。
【0010】
前記一次側コイル(1a)及び二次側コイル(1b)とは、それぞれコイルを平面的に巻回して構成してあり、積層プリント基板にプリント配線されたものでも、単芯のリード線を巻回形成したものでも、リッツ線を巻回形成したものであってもよい。また、その巻回形状としては、方形渦巻状に平面巻回したものでも、円形渦巻状に平面巻回したものであってもよい。リード線あるいはリッツ線を平面巻回することにより構成した平面コイルは、薄板状(シート状)に形成されている。
【0011】
また、金属シート(3a)(3b)としては、例えばアルミニウム等を素材とするシート材で磁気飽和しない程度の厚み(例えば50μm)を有するものが使用される。
【0012】
さらに、金属シートと磁気シールドとはそれぞれ角型で、略同形状に形成してある。なお、コイルが方形渦巻状の角型に形成されている場合、磁気シールド体及び金属シートはそれぞれコイルと相似形の角型に構成してある。
【実施例】
【0013】
二次側のコイルを35×35mmの方形平面コイルとし、一次側のコイルを直径45mmの円形平面コイルとした場合、コイル板の裏面側(非対向面)側に磁気シールドだけを装着した場合の二次側での起電力は2.5W、効率は65%を示した。一方、同じ二次側コイルと一次側コイルとを使用し、コイル板の裏面側(非対向面)側に磁気シールと厚さ50μmのアルミニウム素材製金属シートとをコイル側から順に配置した場合には、その二次側での起電力は2.9W、効率は63%を示した。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明は、携帯電話を始めとする携帯用小型電子機器の電源用二次電池の充電回路やその他の電子回路での無接点式電力伝送装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明の一実施形態を示す概略断面構成図である
【符号の説明】
【0016】
1a・1b…コイル(1a…一次側コイル、1b…二次側コイル)、2a・2b…磁気シールド体、3a・3b…金属シート。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面に巻回したコイルとそのコイルの裏面に配置した磁気シールド体とで構成した電力伝送用の平面コイルでのシールド構造であって、
磁気シールド体の少なくともコイル配置側の面とは反対側の面に位置する二次電池との間に金属シートを配置したことを特徴とする平面コイル用のシールド構造。
【請求項2】
金属シートが磁気シールドと同形状で磁気飽和しない程度の厚みを有している請求項1に記載の平面コイル用のシールド構造。
【請求項3】
磁気シールド体及び金属シートが、コイルと相似形の角型で構成してある請求項1又は2に記載の平面コイル用のシールド構造。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−76513(P2009−76513A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−241673(P2007−241673)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(507313102)
【Fターム(参考)】