説明

広告自動車およびその広告自動車を用いた広告方法

【課題】複数の広告宣伝用の広告部材を自動車内に保管でき、また、保管されている広告部材とボディ面の広告部材の入れ替えを簡単に行える広告自動車を提供することにある。
【解決手段】広告宣伝用の広告部材を自動車のボディ面に設けた広告自動車であって、前記自動車の側面である側面広告部1に着脱可能に設けられる側面広告部材11と、前記側面広告部材11を前記自動車内に保管するための側面広告保管部と、を具備する構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告宣伝用の広告部材を自動車のボディ面に設けた広告自動車に関する。また、その広告自動車を用いた広告方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車のボディ側面に広告用の看板等を設け、この自動車を走らせ、あるいは車道や駐車場等に停止させて、広告宣伝が行われている。この広告用の看板は、プラスチック板、合板、プラスチックシート等に文字、図等をペイントしたり、印刷したりして形成されていた。プラスチック板や合板で構成される看板の場合、1種類の看板を自動車の側面等に固定するものであり、次の種類の広告看板への入れ替えが大変煩わしいものであった。また、長尺のプラスチックシートをロールに巻回して構成される看板の場合、複数種類の広告内容を複数形成し、広告の入れ替えの際に、このシートを引き出し、他のロールに巻き取るように構成される。さらに、このシート表面の保護のために、透明の保護プラスチック板が設けられる。しかしながら、この透明の保護プラスチック板には、汚れが付着しやすく、また長時間使用による紫外線劣化等があり、広告面の鮮明さ、美しさ等の広告効果を低減するという問題があり、特に化粧品や美容関連の広告において重要な問題である。この透明のプラスチック板を定期的に清掃したり、交換することは、極めて煩雑であり、コスト的にも問題である。
【0003】
また、従来から、広告媒体の取替えを容易にすべく、車両荷台部分をボックス化し、外枠と止め具を用いて広告パネルを着脱式にし、柱を除くボックス面部分は透明パネルで構成し、内部に照明を設置している宣伝広告用複合車両が知られている(特許文献1参照)。この特許文献1の場合、内部に照明装置が設置され、かつ背面に透明パネル固定されている。
【特許文献1】特開2007−298928号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、上記問題に鑑みて、本発明の目的は、複数の広告宣伝用の広告部材を自動車内に保管でき、また、保管されている広告部材とボディ面の広告部材の入れ替えを簡単に行える広告自動車を提供することにある。また、この広告自動車を用いた広告宣伝方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、広告宣伝用の広告部材を自動車のボディ面に設けた広告自動車であって、
前記自動車の側面である側面広告部に着脱可能に設けられる側面広告部材と、
前記側面広告部材を前記自動車内に保管するための側面広告保管部と、を具備する構成である。
【0006】
この構成の作用効果は以下のとおりである。自動車の側面に、側面広告部が設けられ、この側面広告部に側面広告部材が着脱可能に設けられる。側面広告部は、例えば、矩形のフレーム構成とし、それが自動車ボディと一体にあるいは連結された構成でもよい。側面広告部は、側面広告部材を簡単に着脱可能にするために、少なくともフレームの上下位置において、断面コの字状のレールと、側面広告部材と接する箇所に自由回転のローラを設け、スライド式に着脱できるように構成し、側面広告部材の自由な動きや振動を抑制するため抑制部材あるいは固定部材を備えることが好ましい。なお、自由回転のローラを設けない場合、スライド移動容易になるように、接触する部分に摩擦抵抗の小さい部材を双方に用いることが好ましい。
【0007】
側面広告部材は、単層あるいは積層の板材で構成できる。板材は、例えばプラスチック板、合板、金属板等が挙げられる。積層の板材の一例としては、アルミ合金板とプラスチック板と紙あるいはプラスチックフィルム等が挙げられ、この紙あるいはプラスチックフィルムに広告内容が印刷あるいは手書きされている。また、プラスチック板として、硬質発泡ウレタン等の硬質発泡プラスチックを用いることもできる。そして、上記の側面広告部材は、自動車内に保管可能であり、自動車内に側面広告保管部が設けられている。側面広告保管部には、少なくとも上下位置において、断面コ字状のレールを設け、スライド式に着脱できるように構成し、側面広告部材の自由な動きや振動を抑制するため抑制部材あるいは固定部材を備えることが好ましい。以上の構成によって、複数の広告宣伝用の広告部材を自動車内に保管でき、また、保管されている広告部材とボディ面の広告部材の入れ替えを簡単に行える広告自動車を提供することができる。また、自動車内部に、広告部材を保管できるため、低コストで保管でき、その費用節約分を新しい広告部材の作製に使える。また、簡単に入れ替えられるため、車のボディに長期間固定されず、広告部材の汚れや劣化等が生じにくく、長期間の使用が可能となる。また、自動車内に複数種類の広告部材を保管しているため、広告スケジュールに応じて、広告部材をどこの場所でも自由に入れ替えることができ、従来のように保管場所に戻る必要がない。
【0008】
また、上記の本発明において、前記側面広告部材が、前記側面広告部と前記側面広告保管部とをそれぞれ相互に移動可能に構成したことを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、側面広告部材を、側面広告部と側面広告保管部とをそれぞれ相互に簡単に、短時間に移動させることができる。例えば、スライド式に着脱する場合において、側面広告部から、側面広告部材を自動車後方に引き出していき、側面広告部材を完全に引き出す前に、側面広告部材を自動車中央方向に横移動させ、側面広告保管部に差し込む構成がある。逆に、側面広告保管部から、側面広告部材を自動車後方に引き出していき、側面広告部材を完全に引き出す前に、側面広告部材を自動車側面方向に横移動させ、側面広告部に差し込む構成がある。これらの横移動に際し、自由回転のローラを用いてもよい。なお、自由回転のローラを設けない場合、スライド移動容易になるように、接触抵抗の小さい部材を双方に用いることが好ましい。
【0010】
また、上記の本発明において、前記自動車の背面である背面広告部に着脱可能に設けられる背面広告部材と、
前記背面広告部材を前記自動車内に保管するための背面広告保管部と、をさらに具備する。
【0011】
この構成によれば、自動車の背面である背面広告部に背面広告部材を着脱可能に設けることができ、さらに、この背面広告部材を自動車内の背面広告保管部に保管することができる。背面広告部は、例えば、矩形のフレーム構成とし、それが自動車ボディと一体にあるいは連結された構成でもよい。背面広告部は、背面広告部材を簡単に着脱可能にするために、少なくともフレームの上下位置において、断面コ字状のレールを設け、スライド式に着脱できるように構成し、背面広告部材の自由な動きや振動を抑制するため抑制部材あるいは固定部材を備えることが好ましい。背面広告部材は、上述の側面広告部材と同様に構成できる。背面広告保管部には、少なくとも上下位置において、断面コ字状のレールを設け、スライド式に着脱できるように構成し、背面広告部材の自由な動きや振動を抑制するため抑制部材あるいは固定部材を備えることが好ましい。また、広告部材とレールとの移動を容易に行なうために、自由回転のローラを設けたり、接触抵抗の小さい部材を双方に用いることもできる。
【0012】
また、他の本発明は、自動車の側面である側面広告部に着脱可能に設けられる側面広告部材と、
前記側面広告部材を前記自動車内に保管するための側面広告保管部と、を具備する広告自動車を用いて、広告を行う広告方法であって、
前記広告自動車内に、複数種の広告部材を保管しておき、予め設定された広告スケジュールに応じて、当該広告部材を入れ替えて、当該広告自動車を走らせ広告を行うことを特徴とする。
【0013】
広告スケジュールとして、例えば、走行ルート、走行期間(時間帯)、広告の識別情報とを有し、この広告スケジュールが、ナビゲーションシステムのモニターや、携帯電話、携帯情報処理装置のモニターに表示される構成が例示される。この広告スケジュールに従って、運転手は、広告の設定、差し替え等を行い、その走行ルートでその走行期間に応じて自動車を走行させることができる。また、走行期間の時間データとタイマーを連動する構成として、次の広告において、自動的に次の広告に関するデータがモニターに表示されるように構成できる。また、走行ルートデータをナビゲーションシステムに送信し、ナビゲーションシステムによって、走行ルートを表示させる構成も例示できる。以上によって、広告主の指定のコース、場所、日時で効果的な広告が可能となる。また、短時間での広告部材の差し替えが可能であり、運転手の作業性も大幅に改善される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(広告自動車)
以下に、本発明の広告自動車について図面を用いて詳細に説明する。図1は広告自動車の側面図、図2はその天面図、図3は背面図を示す図である。図4は背面から見た自動車内部を示す一例である。図5(a)、(b)は、図4の背面左下側における概略説明図である。図5(a)は、上から見た一部平面図であり、図5(b)は、後ろから見た一部背面図である。図6、7は、広告部材の入れ替え作業を示す図である。以下では、広告自動車として4tトラックを例にして説明するが、広告自動車は、特にこれに制限されない。
【0015】
図1から3に示すように、側面広告部1は、車体ボディと一体に成形されている。この側面広告部1に、側面広告部材11が着脱可能に収納されている。また、背面広告部10は、リアゲート3に設けられている。リアゲート3は、電導油圧シリンダー6によって、開閉可能に構成されている。発動発電機7は、図4に示す側面広告部1の上下照明灯41の電源供給として用いられる。なお、背面広告部10にも照明灯が設置されている(不図示)。この側面広告部1に、側面広告部材11が着脱可能に収納されている。また、背面広告部10に、背面広告部材12が着脱可能に収納されている。自動車の物品収納庫20(側面広告、背面広告保管部に相当する)には、図2の破線に示すように、予備の側面広告部材18、予備の背面広告部材19が収納されている。
【0016】
図4に示すように、側面広告部1の上下位置に、断面コの字のレール1a、1b(フレーム枠の一部を構成している)が設けられ、このレール内に、側面広告部材11がスライド式に着脱できる構成となっている。また、走行時等における側面広告部材11の自由な動きや振動による破損を抑制するために、フレーム枠の左右側面等に固定部材によって固定を行っている。この固定部材は、その機能を発揮できる構成部材であれば特に制限されず、例えば、板バネやゴム等で構成してもよく、開閉式の側面枠(不図示)によって構成してもよい。固定部材の位置も上下、左右等に複数設けてもよい。この固定部材は、スライド式に着脱する際に、側面広告部材11との接触を実質的に減少あるいは無くし、それら相互の摩擦によるスライド負荷がないように構成されることが好ましい。図示していないが、背面広告部10も同様に、その上下位置に、断面コの字のレールが設けられ、このレール内に、背面広告部材12がスライド式に着脱できる構成となっている。
【0017】
図4、5に示すように、物品収納庫20の上下位置に、断面コの字のレール20a、20bが設けられ、予備の側面広告部材18がスライド式に着脱できる構成となっている。また、図2に示すように、物品収納庫20の中央側においても上下位置に断面コの字のレールが設けられ、予備の背面広告部材19がスライド式に着脱できる構成となっている。通常、背面広告部材12は、側面広告部材11よりも小さいため、軽い。よって、背面広告部材12を完全に背面広告部10から引き出し、不図示の操作盤の操作ボタン操作によって、電導油圧シリンダー6を駆動し、リアゲート3を開閉し、引き出した背面広告部材12を、物品収納庫20に差し込み保管できる。
【0018】
(側面広告部材の差し替え方法)
一方、側面広告部材11は、大きく重いため、それを完全に引き出さず、車両との片持ち状態にしておき、横にスライド自在に構成される。図5(b)、6に示すように、レール1aの側面壁101a、102aがレール底部よりも短く構成されている。側面広告部材11を図面上下矢印方向に、引き出す。この場合、完全に引き出すのではなく、側面広告部材11の一方端部分を車体部分に片持ち状態にしておく。次いで、右矢印方向に側面広告部材11をスライドさせ、保管位置のレール20aに挿入する。側面広告部材11の一方端部分を車体部分に片持ち状態にしているため、横スライドの作業を簡単に一人で行える。次いで、図7に示すように、予備の側面広告部材18を下矢印方向に引き出し、左矢印方向に横スライドさせ、レール1aに挿入する。この場合も予備の側面広告部材18の一方の端部分を片持ち状態にして作業する。
【0019】
(別実施形態)
上記において、レール1aの側面壁101a、102aがレール底部よりも短く構成されている例を説明したが、特にこれに制限されず、レール底部は、側面壁101a、102aと同じ長さに構成されていてもよい。また、レールには、レール底部に自由回転ロールが設置され、広告部材を引き出し挿入容易に構成することもできる。また、広告部材を横スライドさせる場合において、広告部材と車体との接触部分に段差が設けられている場合には、片持ち状態の広告部材の一部を支点にして横移動可能に構成するできるため、問題なく横スライドすることができる。
【0020】
(広告方法)
上記の広告自動車内に、複数種の広告部材を保管しておき、予め設定された広告スケジュールに応じて、当該広告部材を入れ替えて、当該広告自動車を走らせ広告を行う。
【0021】
広告スケジュールとして、例えば、走行ルート、走行期間(時間帯)、広告の識別情報とを有し、この広告スケジュールデータが、ナビゲーションシステムのメモリに保存されている。そして、この広告スケジュールの広告期間のデータとタイマーが連動されて、広告時間になると、ナビゲーションシステムのモニターに広告スケジュールが表示される。広告スケジュールの広告識別情報と一致する広告部材(側面、背面)を物品収納庫から選び、側面広告部および背面広告部に設置する。また、広告の走行ルートをナビゲーションシステムに連動させてモニターに表示させ、それに従って自動車を走行させる。
【0022】
そして、次の広告の場合、自動的に次の広告に関するデータがモニターに表示される。広告の差し替えは、上述の通り簡単に短時間に行える。よって、複数の広告部材を一台の車に保管できるため、広告主の指定のコース、場所、日時で効果的な広告が可能となる。また、短時間での広告部材の差し替えが可能であり、運転手の作業性が大幅に改善される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】広告自動車の側面について説明するための図
【図2】広告自動車の天面について説明するための図
【図3】広告自動車の背面について説明するための図
【図4】背面から見た自動車内部を示す一例の図。
【図5】図4の背面左下側における概略説明図。
【図6】広告部材の入れ替え作業を示す図。
【図7】広告部材の入れ替え作業を示す図。
【符号の説明】
【0024】
1 側面広告部
1a、1b レール
11 側面広告部材
10 背面広告部
12 背面広告部材
20 物品収納庫
20a、20b レール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
広告宣伝用の広告部材を自動車のボディ面に設けた広告自動車であって、
前記自動車の側面である側面広告部に着脱可能に設けられる側面広告部材と、
前記側面広告部材を前記自動車内に保管するための側面広告保管部と、を具備する広告自動車。
【請求項2】
前記側面広告部材が、前記側面広告部と前記側面広告保管部とをそれぞれ相互に移動可能に構成したことを特徴とする請求項1の広告自動車。
【請求項3】
前記自動車の背面である背面広告部に着脱可能に設けられる背面広告部材と、
前記背面広告部材を前記自動車内に保管するための背面広告保管部と、をさらに具備する請求項1または2の広告自動車。
【請求項4】
自動車の側面である側面広告部に着脱可能に設けられる側面広告部材と、
前記側面広告部材を前記自動車内に保管するための側面広告保管部と、を具備する広告自動車を用いて、広告を行う広告方法であって、
前記広告自動車内に、複数種の広告部材を保管しておき、予め設定された広告スケジュールに応じて、当該広告部材を入れ替えて、当該広告自動車を走らせ広告を行う広告方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−122524(P2010−122524A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297076(P2008−297076)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(508035414)バンクンメイ株式会社 (1)