説明

広告表示システム,その方法,そのプログラム,広告用外部サーバ

【課題】広告掲載サイトが有するユーザ情報や、広告掲載サイトが付与・保存・管理するCookie情報にアクセスすることなく、ユーザの広告閲覧履歴に応じた効果的な広告表示を行う。
【解決手段】外部サーバ200から外部swfファイル202を読み込んでユーザ端末110で実行することで、広告掲載サイト120のドメインに関連付けられる広告掲載サイトのCookieとは異なるドメイン,すなわち外部サーバ200のドメインに関連付けられるShared Objectが、共有オブジェクト118としてユーザ端末110に付与される。この共有オブジェクト118を利用してユーザの広告に関する閲覧履歴情報を参照し、それに基づく広告表示が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを利用した広告表示システム,その方法,そのプログラム,広告用外部サーバに関し、特に、ユーザの閲覧履歴に対応して、インターネットサイトの画面上に広告画像を配信するような場合に好適な広告配信技術の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
Webを利用する広告としては、検索サイト,ポータルサイト,あるいはユーザの多い専門サイトなどの広告表示サイトのWebページの広告枠に表示するバナー広告などが知られている。広告表示サイトとしては、Yahoo,msn,mixi,niftyなどが知られている。広告主は、それらの広告表示サイトの表示画面に、自己の商品やサービスに関する広告画像を掲載する。
【0003】
現状における広告配信は、図6に示すような仕組みとなっている。同図において、インターネット900には、ユーザ(利用者)が使用する端末ないしユーザ端末910としての複数のパソコン(パーソナルコンピュータ)911,広告表示サイト(Yahoo,msn,mixiなど)を運営する広告掲載サイト920の媒体コンテンツ運用サーバ922及び広告配信サーバ(ADサーバ)924,配信代行会社930の広告配信代行サーバ932が接続されている。なお、接続のためのルータなどの機器やプロバイダなどは公知であるので省略している。
【0004】
これらのうち、媒体コンテンツ運用サーバ922は、パソコン911のディスプレイ912上に、ポータルサイトのWebページ914を表示するためのサーバである。Webページ914には、例えば、ニュース,天気予報などのコンテンツが表示されており、更に広告画像を表示するための広告枠916が設けられている。Webページ914は、広告を表示するための媒体であると考えることができる。一方、広告配信サーバ924は、広告主940から広告原稿(クリエイティブ)ファイル942が入稿されており、これが前記ポータルサイトのWebページ914の広告枠916に広告画像として表示されるようになっている。例えば、Flash(登録商標,動画や音声などのアニメーションを組み合わせてWebコンテンツを作成するソフトウエア)を使用したバナー広告の場合、広告原稿ファイル942のファイル容量は500Kb〜2Mb程度である。
【0005】
次に、広告配信代行サーバ932は、前記広告配信サーバ924と同様に、広告主940から入稿された広告原稿ファイル942に基づいて、前記ポータルサイトのWebページ914の広告枠916に広告画像を表示するためのものである。Yahoo,msn,mixi,gooなどの規模の大きなポータルサイトは、独自に広告配信サーバ924を所有しているが、そのような独自に広告配信サーバを持たない広告表示サイトに対する広告配信の代行を行うためのものが広告配信代行サーバ932である。例えば、メディアレップなどのWEB広告を取扱う会社や、通信キャリア系のWeb広告媒体の運営会社や、通信キャリア系のWeb広告媒体の運営会社が該当する。なお、図示しないが、多数のパソコン911や媒体コンテンツ運用サーバ922がインターネット900に接続されている。
【0006】
広告主940は、広告原稿ファイル942を、広告配信サーバ924(もしくは広告配信代行サーバ932)に入稿する。この入稿の処理も、インターネット900を介して行ってよい。一方、ユーザがパソコン911から、広告掲載サイト920のポータルサイトにインターネット900を介してアクセスすると、媒体コンテンツ運用サーバ922からWebページ914のデータがパソコン911に送信される。パソコン911では、Webブラウザ(図示せず)によって受信したデータが解析され、Webページ914がディスプレイ912上に表示される。このとき、広告配信サーバ924もしくは広告配信代行サーバ932から広告原稿ファイル942のデータがパソコン911に送信され、Webページ914の広告枠916に表示される。大手ポータルサイトの場合、1社で1500〜1600本/月程度の広告が配信されている。
【0007】
ところで、広告を表示する際に、当該ユーザを識別して、その閲覧履歴(表示,オンマウス,クリック等の情報)を利用することができれば、そのユーザが興味を持ちそうな広告を表示することが可能となり、広告効果を高めることができる。例えば、下記特許文献1には、インターネットユーザの属性に関連した広告を個別に提示するのみでなく、広告に対するインターネットユーザの参照履歴に基づいてインターネットユーザに提示する広告を逐次更新し、インターネットユーザに対して有益な広告を提示することを目的とした属性別広告提示方法および装置が開示されている。これによれば、各広告に対応して属性情報およびその選択頻度が評価テーブルとして蓄積される。そして、該選択頻度に基づいて評価テーブルから絞り込んで選定した属性情報を各広告に対応して広告群テーブルとして蓄積し、アクセスしたインターネットユーザの属性情報を広告群テーブルの各広告の属性情報と比較して、インターネットユーザの属性情報に適切な広告が選択されて提示される。しかし、この手法では、ユーザの属性情報や広告表示の閲覧履歴情報をユーザID毎に格納するデータベースが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−265810号公報
【0009】
上述した特許文献1記載の背景技術のようなデータベースを別途必要とすることなく、ユーザの識別と閲覧履歴情報を考慮した広告を実現する手法として、Cookie(以下、本発明と区別するため、便宜的に「Http Cookie」という)を利用する方法が考えられる。ユーザがポータルサイトにアクセスすると、そのポータルサイトはそのユーザに対してIDを付与し、そのIDと閲覧情報をそのユーザのパソコン等にHttp Cookieとして保存する。Http Cookieは、例えば、テキスト形式のファイルとして、所定のフォルダに保存される。ユーザが再びそのポータルサイトにアクセスすると、当該サイトは、自己のHttp Cookieがそのユーザのパソコンにあるかどうかを調べる。Http Cookieがあるときは、前回の閲覧履歴情報に今回の閲覧履歴情報を付け加える。あるいは閲覧履歴情報を更新する。
【0010】
この場合において、Http Cookieに、バナー広告の閲覧履歴情報を付加し、この情報をポータルサイトに表示するバナー広告の選択に利用する方法が考えられる。例えば、バナー広告の閲覧履歴から、そのユーザが携帯電話に関するバナー広告を過去にクリックしているようなときは、今回も、携帯電話に関するバナー広告をポータルサイト内に表示すれば、ユーザがバナー広告に興味を示してクリックする可能性が高く、効果的な広告表示が可能となるという具合である。
【0011】
いわゆる「行動ターゲティング」と呼ばれる手法は、ポータルサイトが付与するCookieのみならず、ポータルサイト運営者側に登録しているユーザ属性情報も利用し、それらに応じてバナー広告の表示を広告配信サーバ924側で切り替える手法である。また、「リターゲティング」と呼ばれる手法は、ユーザがバナー広告をクリックしたか否かをHttp Cookie,ユーザ属性情報,更にはクリックログなどを活用して広告配信サーバ924側で管理し、次に広告を表示する際に、クリックしたユーザに特定のバナー広告を表示させる手法である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述した背景技術による広告手法は、ポータルサイトによってユーザに付与されるHttp Cookieやユーザ属性情報を利用することから、ポータルサイト側で広告表示を管理している場合に可能な手法である。しかし、利用登録等によってユーザから提供されたユーザの属性情報は、ポータルサイトにしか存在せず、Http Cookieは、ドメインとの関連性があるために、それを付与したポータルサイトしか読み取ることができない。すなわち、バナー広告をページ上に表示したか否か、どのバナー広告を表示したのか、そしてそのバナーをユーザがクリックしたか否かの情報については対象となるバナー広告の画像データを配信する広告配信サーバ924または広告配信代行サーバ932にしかなく、異なるドメインからHttp Cookieの情報を得ることはできない。
【0013】
このため、ポータルサイト広告主にバナー広告を掲載する広告主は広告主ポータルサイトが有するユーザの属性情報はむろんのこと、ポータルサイトが付与したHttp Cookieの情報を利用することができない。具体的には、広告主(図6では配信代行会社930)は、ユーザを特定し、そのユーザのパソコンでどのようなバナー広告が表示されたか,何回表示されたか,表示されたバナー広告をユーザがクリックしたか,どの広告素材をクリックしたかなどの閲覧履歴を把握し管理することは不可能であり、効果的な広告表示を行うことができない。
【0014】
仮に、既存の技術を利用して、ポータルサイトが付与したHttp Cookieの情報を広告主が利用しようとすると、広告主は、既存のFlashアクションスクリプトをバナーファイル内に施したバナー広告原稿を広告媒体に入稿し、ポータルサイトがユーザのパソコンに生成して管理するCookieフォルダやShared Objectフォルダに、ポータルサイトに無断でアクセスしてバナー広告の閲覧履歴等の情報に追加保存するか、ポータルサイトに登録しているユーザIDを何らかの手法で無断利用するなど、企業のプライバシーポリシーに反する行為や違法となる行為を行ってしまうことになる。
【0015】
一方で、広告主が広告枠を広告媒体から購入する際は、テレビジョンやラジオの放送時間に相当するものとして、広告表示回数という配信量と表示する場所を指定する。その表示回数に対してクリックされた数が広告効果として図られていたが、近年クリック後に広告主のサイトにユーザが遷移した後の購入等の最終アクションを成果として求められ広告の費用対効果が厳しく問われるようになってきている。このような可能な限りターゲットとなるユーザに最適な広告表現で伝えたいという広告主の欲求に応えるためには、広告媒体が配信サーバで管理しているユーザの行動履歴と連動させた広告メニューの開発を行い広告配信サーバへの設備投資を行う必要があり、莫大な投資を行わなければならず、広告表示単価(通称:インプレッション単価)が高騰して広告主の負担も増加することになる。
【0016】
本発明は、以上のような点に鑑みてなされたもので、その目的は、ポータルサイトなどの広告掲載サイトが有するユーザ情報や、広告掲載サイトが付与・保存・管理するCookie情報にアクセスすることなく、どの広告配信サーバから配信されたとしても、どの広告掲載サイトに掲載したとしても、それらに依存することなく、広告主がその過去にバナー広告を出稿し、掲載し、そのバナー広告が表示された全てのユーザの閲覧履歴に応じた効果的な広告表示を広告主が計画設定して行うことである。他の目的は、開発費用や設備費用の増大や、広告主の負担の増大を招くことなく、効果的な広告表示を行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、媒体コンテンツ運用サーバからネットワークを通じてクライアントに送信された広告媒体としてのWebページ上に、ネットワークを通じてクライアントに送信された広告原稿ファイルに含まれている広告画像を表示する広告表示システムであって、前記広告原稿ファイルには、複数の広告画像が含まれており、前記媒体コンテンツ運用サーバのドメインとは異なるドメインを有する広告用外部サーバを用意し、該広告用外部サーバには、前記Webページ上に前記広告画像が表示される際に、前記クライアントに送信されて実行され、前記クライアントにおける広告画像の閲覧履歴に関する広告閲覧履歴情報を保存する外部ファイルを用意し、前記広告画像を表示する際に、前記保存した広告閲覧履歴情報を参照して、前記広告原稿ファイルに含まれている複数の広告画像の表示設定を行うことを特徴とする。
【0018】
他の発明は、媒体コンテンツ運用サーバからネットワークを通じてクライアントに送信された広告媒体としてのWebページ上に、ネットワークを通じてクライアントに送信された広告原稿ファイルに含まれている広告画像を表示する広告表示システムであって、前記広告原稿ファイルには、複数の広告画像が含まれており、前記媒体コンテンツ運用サーバのドメインとは異なるドメインを有する広告用外部サーバには、前記Webページ上に前記広告画像が表示される際に、前記クライアントに送信・実行される外部ファイルを用意し、該外部ファイルは、クライアントにおける広告画像の閲覧履歴に関する広告閲覧履歴情報を保存するデータ保存ファイルをクライアントに設定するデータ保存ファイル設定手段を備えており、前記広告原稿ファイルには、前記Webページ上に前記広告画像が表示される際に前記外部ファイルを前記クライアントに読み込むための外部ファイル読込手段を用意し、前記外部ファイルもしくは前記広告原稿ファイルのいずれか一方が、前記クライアントで前記広告画像を表示する際に、前記データ保存ファイルを参照して、前記広告原稿ファイルに含まれている複数の広告画像の表示設定を行う表示設定手段,前記データ保存ファイルの広告閲覧履歴情報を更新するデータ保存ファイル更新手段,を備えたことを特徴とする。
【0019】
主要な形態の一つによれば、前記広告画像は、Flashによって再生される画像であり、前記外部ファイル及びその読込手段は、Flashで作成されたswfファイルであり、前記データ保存ファイルは、Flashで作成されたShared Objectであることを特徴とする。更に他の形態によれば、前記広告原稿ファイルもしくは前記外部ファイルに、前記データ保存ファイルに保存されている広告閲覧履歴情報を前記広告用外部サーバに送信するための広告閲覧履歴情報送信手段を用意するとともに、前記広告用外部サーバに、前記広告閲覧履歴情報送信手段によって送信された多数のクライアントの広告閲覧履歴情報を集積する広告閲覧履歴情報データベース,該広告閲覧履歴情報データベースの広告閲覧履歴情報を解析して多数のクライアントの広告閲覧傾向を抽出する広告閲覧履歴情報解析手段,を設けたことを特徴とする。
【0020】
更に他の発明は、媒体コンテンツ運用サーバからネットワークを通じてクライアントに提供される広告媒体としてのWebページ上に広告画像を表示する広告表示方法であって、複数の広告画像を含む広告原稿ファイルを広告用のサーバからクライアントに送信するステップ,前記媒体コンテンツ運用サーバのドメインとは異なるドメインの広告用外部サーバに用意されている外部ファイルを、前記クライアントに送信するステップ,受信した前記外部ファイルを実行し、クライアントにおける過去の広告画像の閲覧履歴に関する広告閲覧履歴情報をデータ保存ファイルとして保存するステップ,前記クライアントで前記広告画像を表示する際に、前記データ保存ファイルを参照して、前記広告原稿ファイルに含まれている複数の画像の表示設定を行うステップ,広告画像が表示されたクライアントにおける広告画像の閲覧履歴に基づいて、前記データ保存ファイルの広告閲覧履歴情報を更新するステップ,を含むことを特徴とする。
【0021】
更に他の発明は、媒体コンテンツ運用サーバからネットワークを通じてクライアントに提供される広告媒体としてのWebページ上に広告画像を表示する広告表示プログラムであって、前記媒体コンテンツ運用サーバのドメインとは異なるドメインの広告用外部サーバに用意されている外部ファイルを前記クライアントに読み込む外部ファイル読込手段,読み込まれた前記外部ファイルを実行し、クライアントにおける過去の広告画像の閲覧履歴に関する広告閲覧履歴情報をデータ保存ファイルとして保存する広告閲覧履歴情報保存手段,前記クライアントで前記広告画像を表示する際に、前記データ保存ファイルを参照して、広告用のサーバからクライアントに送信された広告原稿ファイルに含まれている複数の画像の表示設定を行う表示設定手段,広告画像が表示されたクライアントにおける広告画像の閲覧履歴に基づいて、前記データ保存ファイルの広告閲覧履歴情報を更新する広告閲覧履歴情報更新手段,を含むことを特徴とする。
【0022】
更に他の発明は、媒体コンテンツ運用サーバからネットワークを通じてクライアントに提供される広告媒体としてのWebページ上に広告画像を表示する際に利用する広告用外部サーバであって、前記媒体コンテンツ運用サーバのドメインとは異なるドメインを有しており、前記クライアントに前記広告画像を表示する際に前記クライアントに読み込まれて実行され、クライアントにおける過去の広告画像の閲覧履歴に関する広告閲覧履歴情報をデータ保存ファイルとして保存する外部ファイルを含むことを特徴とする。主要な形態の一つは、広告用外部サーバが前記広告閲覧履歴情報データベース及び広告閲覧履歴情報解析手段を備えたことを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明らかになろう。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、広告掲載サイトのWebページを表示する際に、広告掲載サイトとは異なるドメインの外部サーバから送信された外部ファイルを実行して、ユーザ端末に共有オブジェクトを付与し、この共有オブジェクトにユーザ個々の広告閲覧履歴情報を保存する。そして、広告画像を表示する際には、前記広告閲覧履歴情報を参照して表示設定が行われるので、個々のユーザの興味に対応した広告画像を表示することができ、広告効果の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例1の全体構成を示すブロック図である。
【図2】前記実施例1の動作手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施例2を示す説明図である。
【図4】本発明の実施例3を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施例4を示すブロック図である。
【図6】ポータルサイトにおける一般的な広告配信のシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0026】
<実施例の全体構成>・・・最初に、図1を参照しながら、実施例1の全体構成を説明する。図1において、インターネット100には、ユーザ端末110としての多数のパソコン111とともに、Yahoo,msn,mixiなどのポータルサイトなどの広告掲載サイト120の媒体コンテンツ運用サーバ122,広告配信サーバ124,配信代行会社130の広告配信代行サーバ132が接続されている。なお、接続のためのルータなどの機器やプロバイダなどは公知であるので省略している。また、ユーザ端末110,広告掲載サイト120,配信代行会社130は、実際上、多数がインターネット100に接続されている。
【0027】
これらのうち、パソコン111には、ディスプレイ112,キーボード113が接続されている。なお、他に必要に応じて、プリンタなどが接続される。このようなユーザ端末110の構成は公知である。ユーザ端末110としては、パソコン111の他、携帯電話,携帯情報端末,ゲーム機など、公知の各種のものが該当する。
【0028】
次に、媒体コンテンツ運用サーバ122は、ユーザ端末110のディスプレイ112上に、広告媒体としてのWebページ114を表示するためのサーバである。Webページ114には、例えば、ニュース,天気予報などのコンテンツが表示され、更に広告を表示するための広告枠116が設けられる。一方、広告配信サーバ124は、前記Webページ114の広告枠116に広告画像を表示するためのサーバである。
【0029】
以上のように、本実施例では、広告掲載サイト120や配信代行会社130のサーバシステムが、そのまま現状と同様に利用されるようになっており、新たな設備投資はまったく必要とされない。広告主140からの広告原稿は、Flash(登録商標)を利用して作成された広告Flashバナーファイル142として、前記広告配信サーバ124もしくは広告配信代行サーバ132に入稿されるようになっており、これが前記ポータルサイトのWebページ114の広告枠116に表示される。ただし、本実施例の広告Flashバナーファイル142には、複数の広告画像142A〜142Cとともに、後述する外部swfファイルを読み込むためのswf読込プログラム(スクリプト)142Pが含まれている。
【0030】
次に、本実施例では、広告掲載サイト120とは異なるドメインを有する外部サーバ200が用意される。上述した広告Flashバナーファイル142は、外部サーバ200と双方向通信を行う。外部サーバ200は、ドメインが異なれば、どのようなサーバであってもよいが、例えば、本発明の広告配信サービスを提供する管理会社のサーバを利用する。この外部サーバ200には、外部swfファイル202が用意される。この外部swfファイル202は、広告掲載サイト120のホームページが表示される際に、パソコン111に読み込まれて実行されるプログラム(スクリプト)で、
(1)共有オブジェクト設定プログラム202A,
(2)表示画像設定プログラム202B,
(3)共有オブジェクト更新プログラム202C,
をそれぞれ含んでいる。
【0031】
これらのうち、共有オブジェクト設定プログラム202Aは、広告掲載サイト120にユーザ端末110が最初にアクセスして広告を表示(インプレッション)するときに、パソコン111に対して共有オブジェクト(Shared Object)118を、ユーザ毎のIDとともに設定付与するためのプログラムである。表示画像設定プログラム202Bは、ユーザ端末110が2回目以降に広告掲載サイト120にアクセスして広告を表示するときに、既に設定されている共有オブジェクト118を読み込んで、その内容に応じた広告画像を選択・表示するためのプログラムである。共有オブジェクト更新プログラム202Cは、ユーザ端末110における広告画像の表示,オンマウス,クリック等の情報(「広告閲覧履歴情報」と総称する。)を共有オブジェクト118に追記ないし更新するためのプログラムである。
【0032】
共有オブジェクト118であるShared Objectは、外部サーバ200の外部swfファイル202を実行することによってユーザ端末110の内部(例えばハードディスク)に保存され、ブラウザのCookieのように、端末毎の情報を保持する機能を備えている。
【0033】
<実施例の動作>・・・次に、動作の手順を示す図2も参照しながら、本実施例の動作を説明する。まず、広告主140は、広告Flashバナーファイル142を、広告配信サーバ124に入稿する。例えば、広告Flashバナーファイル142に、図1に示す広告画像142A〜142Cの3つが含まれているものとする。広告画像142Aが自動車に関する広告,広告画像142Bが飲料に関する広告,広告画像142Cがスマートフォンに関する広告となっている。以下の説明では、ユーザ端末110における過去の広告閲覧履歴情報から、同じ種類に属する広告を表示する場合について説明する。
【0034】
ユーザ端末110が、パソコン111によって広告掲載サイト120にインターネット100を通じてアクセスすると(図2ステップSA)、媒体コンテンツ運用サーバ122は、当該広告掲載サイト120のWebページ114の媒体コンテンツをインターネット100を通じてユーザ端末110に送信する(ステップSB)。また、広告配信サーバ132は、広告枠116に表示する広告画像である広告Flashバナーファイル142も、同様にインターネット100を通じてユーザ端末110に送信する(ステップSB)。
【0035】
ユーザ端末110では、パソコン111によってウェブブラウザが実行され、媒体コンテンツと広告Flashバナーファイル142がインターネット100を通じて読み込まれ、その表示が行われる(ステップSC)。このとき、パソコン111の所定フォルダに、媒体コンテンツ運用サーバ122のドメインと関連付けられたHttp Cookieが付与され、必要があればその読込や更新が行われる。この手法は公知である。
【0036】
加えて、パソコン111では、広告Flashバナーファイル142に含まれているswf読込プログラム142Pが実行され、外部サーバ200に対して外部swfファイル202の送信を要求する(ステップSD)。外部サーバ200は、要求に応じて、外部swfファイル202をユーザ端末110に送信する(ステップSE)。この手法は、例えば、特許第4731814号の手法を利用することができる。
【0037】
ユーザ端末110では、パソコン111によって受信した外部swfファイル202を実行する。最初に、共有オブジェクト設定プログラム202Aが実行され、共有オブジェクト118が付与されていないときは(ステップSFのNo)、IDとともにその付与が行われる(ステップSG)。すなわち、外部サーバ200のドメインと関連付けられたShared Objectとして機能する共有オブジェクト118が付与される。その後、予め設定された広告画像,例えば広告画像142Aが表示される(ステップSH)。
【0038】
一方、共有オブジェクト118が既に設定されているときは(ステップSFのYes)、表示画像設定プログラム202Bが実行され、既にパソコン111に付与されている共有オブジェクト118を読み込むとともに、その内容に応じて表示すべき広告画像を選択し、表示する(ステップSI)。例えば、共有オブジェクト118にスマートフォンに関する広告をクリックしたという広告閲覧履歴情報があるときは、そのユーザはスマートフォンに興味があると考えることができるので、今回もスマートフォンに関する広告画像142Cを表示するという具合である。なお、閲覧履歴としては、どのような広告をクリック等したかの逆、すなわちどの広告をクリック等しなかったかといった情報も該当する。
【0039】
ユーザが表示された広告画像をクリックしたかどうかといった広告閲覧履歴情報は、外部swfファイル202の共有オブジェクト更新プログラム202Cによって共有オブジェクト118に記録され、その更新(情報の追加や書換)が行われる(ステップSJ)。
【0040】
次に、Cookieの付与を行う具体的なプログラム例を示すと、次のようになる。
(1)パソコン111にCGI(Perl)を用いて、一般的な広告媒体側のHttp Cookieを付与する場合のプログラム例を示すと、次のようになる。
print "Content-type: text/html\n";
print "Set-Cookie: NAME=CookieCK\n";
print "\n";
ここで、第1文はHTTPヘッダ部分の記述開始を示し、第2文は「CookieCK」という名のCookieをセットすることを示し、第3文はHTTPヘッダ記述の終了を示す。なお、「CookieCK」は、Cookieにおいて付与されるユーザ端末110に保存されるHttp Cookieの名前である。
(2)次に、Flash Cookie(Shared Object)を付与する場合のプログラム例を示すと、次のようになる。
var mySO:Shared Object = Shared Object.getLocal("CookieCK");
mySO.data.Name = "CK";
ここで、第1文は「CookieCK」と名付けたShared Objectが変数「mySO」に割り当てられることを示し、第2文は「CookieCK」と名付けたShared Objectに、属性名「Name」に値「CK」を保存することを示す。
(3)本実施例の外部サーバ200の外部swfファイル202を利用する場合の例を示すと、次のようになる。
a,外部swfファイル202側で共有オブジェクト118である「Shared Object」を生成するスクリプトを記載しておく。この第1文は、外部swfファイル202内に、「CookieCK」と名付けた「Shared Object」が、変数「mySO」に割り当てられることを示す。
var mySO:Shared Object = Shared Object.getLocal("CookieCK");
b,次に、広告配信サーバ124から配信される広告Flashバナーファイル142のswf読込プログラム142Pによって、外部サーバ200の外部swfファイル202を読み込み、前記aで記載されたスクリプトが実行される。この第2文は、広告配信サーバ124から配信される広告Flashバナーファイル142のswf読込プログラム142Pに記述され、外部サーバ200の外部swfファイル202「Dh.swf」を、例えばレベル5にHTTPメソッドpostで指定して読み込むことを示す。
loadMovieNum("Dh.swf", 5, "post");
c,次に、読み込んだ「Shared Object」を、広告配信サーバ124から配信された広告Flashバナーファイル142で操作する。この第3文は、広告配信サーバ124から配信された広告Flashバナーファイル142のswf読込プログラム142Pに記述され、外部サーバ200の外部swfファイル202側で生成された「CookieCK」と名付けた「Shared Object」の属性名「Name」に値「CK」を保存することを示す。
level5.mySO.data.Name = "CK";
【0041】
図6の従来技術によれば、ユーザ端末910に保存されている広告掲載サイト920のHttp Cookieの情報は、広告掲載サイト920のWebページ914が表示される際に利用される。例えば、Webページ914を表示する際に、IDやパスワードの入力が要求される場合に、それらの入力がHttp Cookieを利用して自動的に行われるといった具合である。この広告掲載サイト920のHttp Cookieの情報を広告配信サーバ924による広告表示の際に利用しようとすると、広告掲載サイトに無断でそのHttp Cookieにアクセスして履歴情報を利用するといった企業のプライバシーポリシーに反する行為や違法となる行為を行ってしまうことになる。
【0042】
これに対し、本実施例では、例えば媒体コンテンツ運用サーバ122ないし広告配信サーバ124のドメインを「DlvSvr.com」とし、外部サーバ200のドメインを「ExtSvr.com」としたとき、広告配信サーバ124から配信された広告Flashバナーファイル142を閲覧したユーザ端末110に付与される共有オブジェクト118は、広告Flashバナーファイル142が外部サーバ200の外部swfファイル202を読み込むため、媒体コンテンツ運用サーバ122ないし広告配信サーバ124のドメイン「DlvSvr.com」ではなく、外部サーバ200のドメイン「ExtSvr.com」に関連付けられて生成される。このため、外部サーバ200から共有オブジェクト118を見てその広告閲覧履歴情報を利用することが可能となり、共有オブジェクト118に応じて広告Flashファイル142のクリエイティブを広告画像142A〜142Cから適宜選択して表示することが可能となる。
【0043】
従って、広告掲載サイト120がセキュリティポリシーを持っており、媒体コンテンツ運用サーバ122ないし広告配信サーバ124のドメインである「DlvSvr.com」として、Http CookieとしてのShared Objectを、第三者企業が使うことを禁止していても、それを回避して共有オブジェクト118としてのShared Objectを利用することができる。広告配信サーバ124と異なるサーバから配信された異なる広告Flashバナーファイルに対しても、共有オブジェクト118としてのShared Objectを共通に使用することができる。
【0044】
更に詳細に示すと、媒体コンテンツ運用サーバ122ないし広告配信サーバ124のドメインを「DlvSvr.com」とし、外部サーバ200のドメインを「ExtSvr.com」としたとき、以下のアンダーラインで示すようになる。
(1)図6の従来の方法であれば、広告原稿ファイル942は広告配信サーバ924から配信されるので、
C:\Documents and Settings\[ユーザ名]\Application Data\Macromedia\Flash Player\#Shared Objects\DlvSvr.com\CookieCK.sol
となる。
(2)これに対し、本実施例では、広告Flashバナーファイル142は、いずれの広告配信サーバから配信されても、
C:\Documents and Settings\[ユーザ名]\Application Data\Macromedia\Flash Player\#Shared Objects\ExtSvr.com\CookieCK.sol
となる。
【0045】
以上のように、
(1)広告配信サーバ124の広告Flashバナーファイル142には、複数の広告画像データが含まれている。
(2)ユーザ端末110が広告掲載サイト120にアクセスし、Webページ114が表示される際に、広告Flashバナーファイル142が実行され、外部サーバ200から外部swfファイル202が読み込まれて実行され、外部サーバ200のドメインに関連付けられた共有オブジェクト118の付与,読込,更新が行われる。
(3)このため、ユーザ端末110は、広告配信サーバ124から受信した広告Flashバナーファイル142に含まれている複数の広告画像の中から、共有オブジェクト118の広告閲覧履歴情報に基づいて広告画像を選択し、Webページ114の広告枠116に表示する。
(4)従って、ユーザの興味や行動を反映した広告画像を表示することができ、行動ターゲティングやリターゲティングによる広告と比較しても遜色のない広告効果を享受することができる。一方、広告媒体側は、ユーザ個々の行動にターゲットを合わせるなど高度なニーズに対応するための開発費用や設備費用を削減することができ、更には、特定のセグメントされた広告枠(インプレッション)ばかりが売れて、媒体全体の広告価値が下がってしまうといった悪循環も解消することができる。
(5)広告掲載サイト120が有するユーザ情報や、広告掲載サイト120が付与・保存・管理するCookie情報にアクセスすることはなく、まったく影響を与えない。
(6)既存の広告配信サーバ124や広告配信代行サーバ132をそのまま有効に活用することができる。
(7)共有オブジェクト118は、ユーザ端末110への広告Flashバナーファイル142の送信がいずれの広告配信サーバ124から行われたとしても、また、いずれの広告掲載サイト120に広告が掲載されたとしても、共通に利用することができる。
(8)既存の広告配信サービス会社のサーバを外部サーバ200として利用すれば、開発費用,設備費用の増大や、広告主の負担の増大を招くことなく、効果的な広告表示を行うことができる。
【実施例2】
【0046】
次に、図3(A)〜(E)を参照しながら、本発明の実施例2について説明する。この実施例は、各種の広告画像の表示態様の例である。このような設定の変更は、外部サーバ200の外部swfファイル202の表示画像設定プログラム202Bを変更することで行うことができる。
【0047】
図3(A)は、上述した場合を示すもので、ユーザ端末110の共有オブジェクト118にスマートフォンの広告画像G10をクリックした履歴があるときは、ユーザはスマートフォンに興味があるものと考えられるので、今回もスマートフォンの広告画像G12を、広告掲載サイト120のWebページ114の広告枠116に表示する。
【0048】
図3(B)は、スマートフォンの広告画像G20,G21を連続してクリックしている履歴があるときに、今回もスマートフォンの広告画像G22を表示する例である。同一カテゴリの広告画像を複数回クリックしているということは、クリック回数が1回の場合よりも強くそのカテゴリの広告に関心があるものと考えられる。図3(C)は、同一カテゴリではなく、関連するカテゴリの広告画像を表示する例で、旅行に関する広告画像G30がクリックされた履歴があるときに、スーツケースの広告画像G32を表示する例である。
【0049】
図3(D)は、前回の表示画像と今回の表示画像が順序のある関連を有する例で、最初に、広告画像G40がクリックされてユーザが寄付行為を行い、次にお礼の広告画像G41が表示された場合を想定する。このような履歴を前提にユーザが次に広告掲載サイト120を訪れた場合に、寄付金額の合計を表示する広告画像G42が表示されるという具合である。
【0050】
図3(E)は、複数の広告画像を順次表示するような場合の例である。Flashには、タイムライン (Timeline)という機能があり、コンテンツを時間軸上に配置すると、当該配置の順番に再生することができる。広告画像G51〜G54をタイムライン上に配置したファイルだとすると、G51→G52→G53→G54の順に広告画像が表示される。過去に自動車に関する広告画像G50がクリックされた履歴がある場合に、広告画像G51〜G54から広告画像G50に関連するタイヤの広告画像G51及びカーナビゲーションの広告画像G53を選択し、これらをタイムライン上に配置して、G51→G53の順序で表示する。表示の時間割合を変更するようにしてもよい。広告画像G51,G53の表示時間割合を長くし、広告画像G52,G54の表示時間割合を短くするといった具合である。
【実施例3】
【0051】
次に、図3(F)及び図4を参照しながら、本発明の実施例3について説明する。この実施例は、多数のユーザ端末110にある共有オブジェクト118の広告閲覧履歴情報を収集して解析することで、多数のユーザ全体としての広告の閲覧傾向を把握し、更に広告効果の向上を図るようにしたものである。図4には、本実施例のシステム構成が示されており、前記実施例で示した外部サーバ200の外部swfファイル202に広告閲覧履歴情報送信プログラム202Dが付加されており、更に、広告閲覧履歴情報データベース210と、広告閲覧履歴情報解析プログラム212も用意されている。
【0052】
外部swfファイル202は、上記実施例と同様にしてユーザ端末110のパソコン111に読み込まれる。その際に、広告閲覧履歴情報送信プログラム202Dも実行され、パソコン111の共有オブジェクト118に含まれている広告閲覧履歴情報がインターネット100を介して外部サーバ200に送信される。外部サーバ200では、受信した広告閲覧履歴情報を、そのデータベース210に保存する。このような処理を多数のユーザ端末110に対して行うことで、広告閲覧履歴情報データベース210に多数のユーザの広告閲覧履歴情報が集積される。集積された広告閲覧履歴情報は、広告閲覧履歴情報解析プログラム212で解析され、多数のユーザの広告閲覧傾向が抽出される。そして、この抽出結果を利用して、広告画像の選択やタイムラインの変更などが行われる。
【0053】
一例を、図3(F)を参照して説明する。同図は、車の広告画像の例である。広告画像GMS,GSS,GCSは、いずれも車種がセダンの場合であり、広告画像GMW,GSW,GCWは車種がワゴンの場合である。また、広告画像GMS及びGMWは背景が山の風景となっており、広告画像GSS及びGSWは背景が海の風景となっており、広告画像GCS及びGCWは背景が都会の風景となっている。これらの広告画像GMS,GSS,GCS,GMW,GSW,GCWが、広告配信サーバ124もしくは広告配信代行サーバ132に、広告Flashバナーファイル142として広告主140から入稿され、更にユーザ端末110に送信される。
【0054】
このような場合において、広告閲覧履歴情報解析プログラム212による解析結果から、多数のユーザが海の風景の広告画像GSS,GSWをクリックしているときは、広告主は、山の風景の広告画像GMS及びGMWや都会の風景の広告画像GCS及びGCWの表示を取りやめる(広告Flashバナーファイル142から広告画像GMS,GMW,GCS,GCWを削除),あるいは表示回数や時間を短くする(広告Flashバナーファイル142におけるタイムライン設定を変更)といった表示選択を行う。
【0055】
一方、特定のユーザにおいて、そのユーザ端末110の共有オブジェクト118からワゴンに関する広告画像をクリックしているという履歴があるときは、海の風景の広告画像GSS,GSWのうち、ワゴンの広告画像GSWを選択して表示するか、表示回数や表示時間を長くする。
【0056】
このように、本実施例によれば、多数のユーザにおける広告閲覧傾向と、当該ユーザにおける広告閲覧履歴の双方を考慮した広告画像の表示が可能となり、全体として、更に広告効果の向上を図ることができる。
【実施例4】
【0057】
次に、図5を参照しながら、本発明の実施例4について説明する。この実施例は、プログラムを広告側,外部サーバ側のいずれに置くかといった配置の他の例を示すものである。前記図1の実施例では、外部サーバ200の外部swfファイル202に、表示画像設定プログラム202B,共有オブジェクト更新プログラム202Cを配置したが、図5(A)は、それらを広告配信サーバ124の広告flashバナーファイル142に、表示画像設定プログラム142Q,共有オブジェクト更新プログラム142Rとして配置している。広告flashバナーファイル142も、外部swfファイル202も、いずれもユーザ端末110に読み込まれる。従って、共有オブジェクト設定プログラム202Aが外部サーバ200から読み込まれて共有オブジェクト118が設定されるのであれば、前記実施例1と同様の作用・効果を得ることができる。表示画像設定プログラム,共有オブジェクト更新プログラムのいずれか一方を外部swfファイル202に配置し、他方を広告flashバナーファイル142に配置しても、同様の効果を得ることができる。
【0058】
図5(B)の例は、前記図4の実施例において、広告閲覧履歴情報送信プログラム202Dの代わりに、広告Flashバナーファイル142に広告閲覧履歴情報送信プログラム142Sを設けた例である。これによっても、前記図4と同様の効果を得ることができる。図5(A)と(B)の例を組み合わせるようにしてもよく、図4や図5(B)において、表示画像設定プログラム202B,共有オブジェクト更新プログラム202Cのいずれか一方を、広告flashバナーファイル142に配置してもよい。
【0059】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)広告画像としては、テキストのみ,静止画もしくは動画,テキストと静止画,など多様な組み合わせが考えられ、広告を目的としたものであれば、どのようなものでもよく、本発明はいずれにも適用可能である。また、広告画像の差替えや変更の態様も任意であり、上記実施例に限定されるものではない。
(2)前記実施例で示したプログラムは一例であり、それに限定されるものではない。また、Flashを利用したが、他のソフトウエアないし言語を用いることを妨げるものではない。
(3)外部サーバ200としては、広告掲載サイト120と異なるドメインであれば、どのようなサーバであってもよいが、例えば、図1に示した広告配信代行サーバ132が外部サーバ200を兼用するようにしてもよい。
(4)前記実施例では、ユーザ端末がパソコンの場合を示したが、携帯電話,スマートフォン,PDA,ゲーム機など、各種のものに適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明によれば、現状の広告配信システムをそのまま活用しつつ、ユーザ側の興味や、広告主側の要望に応じて簡便に広告画像であるクリエイティブの差し替え等を行うことができるので、Web媒体におけるバナー広告などに有効である。
【符号の説明】
【0061】
100:インターネット
110:ユーザ端末
111:パソコン
112:ディスプレイ
113:キーボード
114:Webページ
116:広告枠
118:共有オブジェクト
120:広告掲載サイト
122:媒体コンテンツ運用サーバ
124:広告配信サーバ
130:配信代行会社
132:広告配信代行サーバ
140:広告主
142:広告Flashバナーファイル
142A〜142C:広告画像
142P:swf読込プログラム
142Q:表示画像設定プログラム
142R:共有オブジェクト更新プログラム
142S:広告閲覧履歴情報送信プログラム
200:外部サーバ
201:表示設定プログラム
202:外部swfファイル
202A:共有オブジェクト設定プログラム
202B:表示画像設定プログラム
202C:共有オブジェクト更新プログラム
202D:広告閲覧履歴情報送信プログラム
210:広告閲覧履歴情報データベース
212:広告閲覧履歴情報解析プログラム
900:インターネット
910:ユーザ端末
911:パソコン
912:ディスプレイ
914:Webページ
916:広告枠
920:広告掲載サイト
922:媒体コンテンツ運用サーバ
924:広告配信サーバ
930:配信代行会社
932:広告配信代行サーバ
940:広告主
942:広告原稿ファイル
G10〜G12,G20〜G22,G30〜G32,G40〜G42,G50〜G54,GMS,GSS,GCS,GMW,GSW,GCW:広告画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体コンテンツ運用サーバからネットワークを通じてクライアントに送信された広告媒体としてのWebページ上に、ネットワークを通じてクライアントに送信された広告原稿ファイルに含まれている広告画像を表示する広告表示システムであって、
前記広告原稿ファイルには、複数の広告画像が含まれており、
前記媒体コンテンツ運用サーバのドメインとは異なるドメインを有する広告用外部サーバを用意し、
該広告用外部サーバには、前記Webページ上に前記広告画像が表示される際に、前記クライアントに送信されて実行され、前記クライアントにおける広告画像の閲覧履歴に関する広告閲覧履歴情報を保存する外部ファイルを用意し、
前記広告画像を表示する際に、前記保存した広告閲覧履歴情報を参照して、前記広告原稿ファイルに含まれている複数の広告画像の表示設定を行うことを特徴とする広告表示システム。
【請求項2】
媒体コンテンツ運用サーバからネットワークを通じてクライアントに送信された広告媒体としてのWebページ上に、ネットワークを通じてクライアントに送信された広告原稿ファイルに含まれている広告画像を表示する広告表示システムであって、
前記広告原稿ファイルには、複数の広告画像が含まれており、
前記媒体コンテンツ運用サーバのドメインとは異なるドメインを有する広告用外部サーバには、前記Webページ上に前記広告画像が表示される際に、前記クライアントに送信・実行される外部ファイルを用意し、
該外部ファイルは、クライアントにおける広告画像の閲覧履歴に関する広告閲覧履歴情報を保存するデータ保存ファイルをクライアントに設定するデータ保存ファイル設定手段を備えており、
前記広告原稿ファイルには、前記Webページ上に前記広告画像が表示される際に前記外部ファイルを前記クライアントに読み込むための外部ファイル読込手段を用意し、
前記外部ファイルもしくは前記広告原稿ファイルのいずれか一方が、
前記クライアントで前記広告画像を表示する際に、前記データ保存ファイルを参照して、前記広告原稿ファイルに含まれている複数の広告画像の表示設定を行う表示設定手段,
前記データ保存ファイルの広告閲覧履歴情報を更新するデータ保存ファイル更新手段,
を備えたことを特徴とする広告表示システム。
【請求項3】
前記広告画像は、Flashによって再生される画像であり、
前記外部ファイル及びその読込手段は、Flashで作成されたswfファイルであり、
前記データ保存ファイルは、Flashで作成されたShared Objectであることを特徴とする請求項2記載の広告表示システム。
【請求項4】
前記広告原稿ファイルもしくは前記外部ファイルに、前記データ保存ファイルに保存されている広告閲覧履歴情報を前記広告用外部サーバに送信するための広告閲覧履歴情報送信手段を用意するとともに、
前記広告用外部サーバに、
前記広告閲覧履歴情報送信手段によって送信された多数のクライアントの広告閲覧履歴情報を集積する広告閲覧履歴情報データベース,
該広告閲覧履歴情報データベースの広告閲覧履歴情報を解析して多数のクライアントの広告閲覧傾向を抽出する広告閲覧履歴情報解析手段,
を設けたことを特徴とする請求項2又は3記載の広告表示システム。
【請求項5】
媒体コンテンツ運用サーバからネットワークを通じてクライアントに提供される広告媒体としてのWebページ上に広告画像を表示する広告表示方法であって、
複数の広告画像を含む広告原稿ファイルを広告用のサーバからクライアントに送信するステップ,
前記媒体コンテンツ運用サーバのドメインとは異なるドメインの広告用外部サーバに用意されている外部ファイルを、前記クライアントに送信するステップ,
受信した前記外部ファイルを実行し、クライアントにおける過去の広告画像の閲覧履歴に関する広告閲覧履歴情報をデータ保存ファイルとして保存するステップ,
前記クライアントで前記広告画像を表示する際に、前記データ保存ファイルを参照して、前記広告原稿ファイルに含まれている複数の画像の表示設定を行うステップ,
広告画像が表示されたクライアントにおける広告画像の閲覧履歴に基づいて、前記データ保存ファイルの広告閲覧履歴情報を更新するステップ,
を含むことを特徴とする広告表示方法。
【請求項6】
媒体コンテンツ運用サーバからネットワークを通じてクライアントに提供される広告媒体としてのWebページ上に広告画像を表示する広告表示プログラムであって、
前記媒体コンテンツ運用サーバのドメインとは異なるドメインの広告用外部サーバに用意されている外部ファイルを前記クライアントに読み込む外部ファイル読込手段,
読み込まれた前記外部ファイルを実行し、クライアントにおける過去の広告画像の閲覧履歴に関する広告閲覧履歴情報をデータ保存ファイルとして保存する広告閲覧履歴情報保存手段,
前記クライアントで前記広告画像を表示する際に、前記データ保存ファイルを参照して、広告用のサーバからクライアントに送信された広告原稿ファイルに含まれている複数の画像の表示設定を行う表示設定手段,
広告画像が表示されたクライアントにおける広告画像の閲覧履歴に基づいて、前記データ保存ファイルの広告閲覧履歴情報を更新する広告閲覧履歴情報更新手段,
を含むことを特徴とする広告表示プログラム。
【請求項7】
媒体コンテンツ運用サーバからネットワークを通じてクライアントに提供される広告媒体としてのWebページ上に広告画像を表示する際に利用する広告用外部サーバであって、
前記媒体コンテンツ運用サーバのドメインとは異なるドメインを有しており、
前記クライアントに前記広告画像を表示する際に前記クライアントに読み込まれて実行され、クライアントにおける過去の広告画像の閲覧履歴に関する広告閲覧履歴情報をデータ保存ファイルとして保存する外部ファイルを含むことを特徴とする広告用外部サーバ。
【請求項8】
請求項4記載の広告閲覧履歴情報データベース及び広告閲覧履歴情報解析手段を備えたことを特徴とする請求項7記載の広告用外部サーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−77119(P2013−77119A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216057(P2011−216057)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(501195485)株式会社ネットワークス・プラス (3)
【Fターム(参考)】