説明

広告配信システム

【課題】
自動車を運転している人々に対する広告配信と、これに呼応して行った購買活動に対するポイント付与、および該広告に対する効果測定を行う。
【解決手段】
広告配信元は自動車の移動経路情報を収集する手段と、自動車に対して広告配信を行った日時を収集する手段と、広告に応じて購買活動を行った個人を特定する情報を収集する手段と、購買活動が行われた日時を収集する手段とを有し、広告配信が行われた日時から広告に対応する商品の購買活動が行われた日時の間に、自動車がどのような経路を辿って移動したかという情報を元にして広告の効果を判定し、判定結果を各商店に送付する。各商店は購買活動を行った個人に対して広告効果の判定結果に応じたポイントを付与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乗用車などに搭載される通信機器に対する移動体通信を利用して広告などの情報を配信する広告情報配信システムおよびそれを実現する通信機器に関する特許である。
【背景技術】
【0002】
従来より、移動体無線通信を利用して、広告元が広告を配信し、広告元の店舗等への顧客の来店を促す広告システムが知られている(特許文献1)。該発明によると、広告元は、基地局から広告情報を配信し、移動体通信の端末はこの通信可能領域内に入った時にこれを受信し、該広告を見た移動端末の利用者の来店意欲を喚起する。
【0003】
また、一般に、店舗等の事業主はいわゆるポイントカード等を顧客に配布し、購入金額に応じてポイントを付与して、ポイント数に応じて、購入商品の割引や他の商品との交換などを受けられるようにしたポイントシステムは、広く普及している。
【0004】
さらに、自動車を運転している人々に対する広告配信技術としては特許文献2にかかる技術が知られている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−109133号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、移動体無線通信を利用して広告配信を行い、これに呼応して購買活動を行った人々に対してポイントを付与する技術に関するものであるが、特許文献1にかかる広告配信システムは鉄道の駅周辺に位置する人々に対する広告配信システムであり、不特定多数の場所に存在する人々、例えば自動車を運転している人々に対する広告配信は考慮されていない。
【0007】
本発明では上記問題に鑑み、自動車を運転している人々に対する広告配信と、これに呼応して行った購買活動に対するポイント付与、および該広告に対する効果測定を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題を解決するため本発明の広告配信システムでは、広告配信元は自動車の移動経路情報を収集する手段と、自動車に対して広告配信を行った日時を収集する手段と、広告に応じて購買活動を行った個人を特定する情報を収集する手段と、購買活動が行われた日時を収集する手段とを有し、広告配信が行われた日時から広告に対応する商品の購買活動が行われた日時の間に、自動車がどのような経路を辿って移動したかという情報を元にして広告の効果を判定し、判定結果を各商店に送付する。
【0009】
各商店は購買活動を行った個人に対して広告効果の判定結果に応じたポイントを付与する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると自動車を運転している人々に対する広告配信と、これに呼応して行った購買活動に対するポイント付与、および該広告に対する効果測定を行うことができる。また、広告が喚起する購買活動の増大により、広告配信を行う広告メディアが得る広告料,自動車を運転している人々が得るポイント,商店の売上げ、以上三者の増大を図ることができ、経済的に好ましい変化を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明を適用した場合の情報交換概要を示している。本モデルは、自動車の乗員10〜1n、広告配信により購買活動を喚起したい商店30〜3n、実際に広告配信を行う広告メディア20からなる。なお、上記の自動車乗員10〜1nは運転者に限らず、その同乗者も含む。
【0012】
次に上記3者間での情報のやり取りについて説明する。広告メディア20は自動車乗員10〜1nに対して移動体無線通信を用いて広告配信を行う((1))。自動車乗員10〜1nはこれに呼応して購買活動を行う((2))。商店30〜3nは購買活動の情報を広告メディア20に送付する((3))。一方で広告メディア20は自動車乗員10〜1nが乗車している自動車から移動経路情報を収集する((4))。これは広告配信の後に自動車が該広告元の商店30〜3nへどのようなルートでやって来たか、どのくらいの時間を置いてやって来たか、などを元に広告効果の判定材料とするためである。広告メディア20は広告効果の判定結果を商店30〜3nへ送付し((5))、各商店はこれを元に購買活動を行った自動車乗員10〜1nに対してポイントを付与する((6))。
【0013】
なお、これらの情報のやり取りの時系列は必ずしも上記(1)〜(6)の順番で進むものではなく、実施の仕方により複数の順番があり得る。また、情報のやり取りもそれぞれ直線的に行われるものではなく、他の場所を経由する場合があるが、詳細はこの後に説明する。
【0014】
図2は本発明を適用したビジネスモデルを示している。
【0015】
これらの情報のやり取りを通じて、自動車乗員10〜1nは商店30〜3nから、値引きを含む今後の購買活動に有利となるようなポイントを得る。広告メディア30は商店30から効果的な広告を配信した報酬として広告料を得る。商店は広告による顧客の獲得、および売上の増加を得る。以上のように3者に間でビジネス上の好ましい変化を獲得することができる。
【0016】
前記の図1(1)〜(6)のプロセスにおける情報交換システム、および情報交換システムを構成する要素について、別図を用いて説明する。図3は移動体無線通信網40を中心とした情報収集システムを表す。自動車100〜10nはVICS(Vehicle Information and Communication System)などに見られるよう、路側に設置された情報交換装置50〜5nとをやり取りする。自動車100〜10nと情報交換装置50〜5nとの間は電波を媒体とする通信を行うこともあれば光を媒体とする通信を行うこともある。広告メディア20は広告配信((1))や自動車が移動した経路情報の収集((4))を、移動体無線通信網40および情報交換装置50〜5nを介して自動車100〜10nと行う。また、商店30〜3nは広告メディア20は移動体無線通信網40を介して購買情報の送付を行い((3))、広告メディア20からは広告効果の判定結果を受領する((5))。
【0017】
図4は情報収集システムの別の形態である。情報交換装置50を経由して自動車100に受け渡された情報はさらに複数の自動車100〜10nの間をリレー式に受け渡しされる、いわゆるアドホックネットワークを構成して広告配信((1))や移動経路情報の収集((4))を行う。
【0018】
図5は自動車100に搭載され通信端末として動作する車載機器60と情報を媒介する機能を持つカード70を示す。カード70は後述する対カードインタフェースを介して車載機器60と情報のやり取りを行う。カード70は情報記憶手段を持ち、この中にカード所有者の個人情報,車載機器60や後述する管理端末とやり取りした情報を保持することができる。説明例ではカード70は情報記憶手段としてICチップを埋め込まれており、車載機器60とは近接かつ非接触で情報をやり取りできることを想定しているが、カードおよび情報やり取り方法は他の形態でもよい。個人情報のうち、カード所有者を識別するために付加されている情報を以降、個人IDと称する。
【0019】
図6は車載機器60の詳細構成を示す。車載機器60は配信された広告を表示する画像ディスプレイ61,画像制御手段62,自動車の経路情報や広告配信の来歴情報およびその他情報を蓄積するストレージ63,ストレージ63から自動車の経路情報を収集するための経路情報収集手段64,カード70との情報をやりとりするための対カードインタフェース65,前記の情報交換装置50〜5nと通信を行うための通信インタフェース66を備える。説明例では車載機器60としてカーナビゲーション機器を想定しているが、他の形態の機器でもよい。車載機器60は自動車100が移動する経路情報をGPSから得る地図情報と関連付けて常時ストレージに蓄積する一方、何らかの時間区切り情報を指示されると、その時間内の経路情報を収集することができる。
【0020】
図7は商店30に設置される管理端末80を示す。管理端末80は前記カード70と広告配信の来歴情報,カード所有者の個人情報などをやり取りする。また一方で広告メディア20と移動体無線通信網40を介して、購買情報や広告効果の判定結果などをやり取りする。説明例ではカード70は管理端末80とは近接かつ非接触で情報をやり取りできることを想定しているが、情報やり取り方法は他の形態でもよい。
【0021】
ここで前記の図1における図1(1)〜(6)のプロセスの詳細を図3〜図7および後述の図8を用いて時系列的に説明する。まず広告メディア20は移動体無線通信網40を介して広告を配信する。自動車100〜10nは情報交換装置50〜5nを中継して広告を受信し、その内容は車載機器60が画像ディスプレイ61に表示する。車載機器60はこれと同時に各広告に対して個別に割り振られた広告IDと広告受信時間とをストレージ63に記録する。
【0022】
広告を見て自動車乗員10は商店30で商品・サービスの購入などの購買活動を行う。このとき、今後ポイント付与を受ける個人を特定するため、自動車乗員10はカード70より管理端末80へ個人情報を受渡しする。この際、管理端末80には購入した商品・サービス固有のID(以下商品IDと称する)、購買が発生した時間を個人情報と共に記録する。このあと管理端末80は広告メディア20に対して前記記録情報を送付する。
【0023】
自動車乗員10は上記の購買活動とは別に、カード70を車載機器60に近づけることで(以下カードタッチと称する)、車載機器60のストレージ63に蓄積されている広告受信時間と広告IDの組み合わせ情報群を広告メディア20へ送付するよう指示する。この情報群にはカード70に記録されている所有者の個人情報を付加して送付するようになっており、広告メディア20では情報を送付してきた個人を特定することができる。なお、車載機器60に対する広告メディア20への情報送付指示は画像ディスプレイ61の特定部位を触れることで行う、いわゆるタッチパネル方式に依ってもよい。
【0024】
図8は〔xxx〕〜〔xxx〕に記載された広告メディア20への情報集約を表した図である。情報は個人IDごとに整理されている。配信広告の広告IDの情報:D101と、広告配信時間の情報:D102は、車載機器60から自動車乗員10のカードタッチをトリガとして、また購買商品の商品IDの情報:D201と商品購買時間の情報:D202は、管理端末80から自動車乗員10の商品購買をトリガとして、それぞれ広告メディア20へ情報が送付される。広告メディア20では配信広告IDと購買商品IDを結び付けるデータベースを保持しており、これによりD101,D102,D201,D202の各情報を関連付ける。
【0025】
次に広告配信と商品購買が結び付けられた案件に対する対応を説明する。図8では行番1と行番Nにおいて広告配信と商品購買とが結び付けられている。広告メディア20はこの組み合わせにおける広告配信時間:D102と商品購買時間:D202とを車載機器60へ送付する。車載機器60はこれを受信し、この間の車両の移動経路情報を作成し、広告メディア20へ返送する。図9は本節で説明した経路情報:D301の収集結果を示す。
【0026】
広告メディア20では図9に記載の収集情報を元に広告効果を判定する。例えば「広告配信してから購買時間が短いほど効果が高い」「購買商店と関連付けて、広告配信後に寄り道せずに購買商店へ向かえば効果が高い」「通常、自動車乗員が立ち寄らない商店で購買活動を行えば効果が高い」など、商店ごとに様々な判定ロジックを用意しておき、これを元に広告効果を判定する。判定ロジックは各商店30〜3nが設計してもよく、広告メディア20が一括して設計し、各商店は売上げ推移を見ながら広告メディア20に対し、判定ロジック見直しの大まかな方向性をフィードバックする方法を採ってもよい。判定結果は個人IDごとにまとめて、各商店30〜3nへ送付する。
【0027】
各商店30〜3nでは広告メディア20から受け取った広告効果の判定結果を元に各個人に対してポイントを付与する。付与するポイントは各商店30〜3nで独自のものであってもよいし、広告メディア20が用意する統一的なものでもよい。ポイント還元の形式も例えばキャッシュバックでもよいし、次回購買活動に対する値引きでもよい。またポイント累積の方法は単純加算方式でもよいし、さらなる購買活動を喚起するために購買活動を行うほど付与されるポイントを増加させる方式でもよい。
【0028】
なお、以上説明した実施例は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。従って、上記の実施例に示した各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更をも含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の広告配信システムにおける情報交換概要。
【図2】本発明の広告配信システムを適用したビジネスモデル。
【図3】移動体無線通信網40を中心とした情報収集システム。
【図4】移動体無線通信網40を中心とした情報収集システムの他実現例。
【図5】車載機器60の概要。
【図6】車載機器60の詳細。
【図7】管理端末80の概要。
【図8】広告メディア20へ集約される情報を示す図(その1)。
【図9】広告メディア20へ集約される情報を示す図(その2)。
【符号の説明】
【0030】
10〜1n 自動車乗員
100〜10n 自動車
20 広告メディア
30〜3n 商店
40 移動体無線通信網
50〜5n 情報交換装置
60 車載機器
70 カード
80 管理端末
D101 配信広告ID
D102 広告配信時間
D201 購買商品ID
D202 商品購買時間
D301 広告配信時間〜商品購買時間での自動車の移動経路情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局から少なくとも1台の移動端末に対して広告を配信する広告配信システムであって、該移動端末は自身の移動経路情報を蓄積する手段を有し、
基地局は広告の効果を判定するための手段として、該移動端末から移動経路情報を収集する手段を有することを特徴とする広告配信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の広告配信システムであって、広告の効果を判定するための手段として、基地局は広告配信した日時を収集する手段を有することを特徴とする広告配信システム。
【請求項3】
請求項1に記載の広告配信システムであって、広告の効果を判定するための手段として、基地局は広告に対応して購買活動を行った個人を特定できる情報を収集する手段を有することを特徴とする広告配信システム。
【請求項4】
請求項3に記載の広告配信システムであって、広告の効果を判定するための手段として、基地局は購買活動が行われた日時を収集する手段を有することを特徴とする広告配信システム。
【請求項5】
請求項1から4に記載の広告配信システムであって、移動経路情報を対象時間を広告配信した日時から購買活動が行われた日時に限定して収集することを特徴とする広告配信システム。
【請求項6】
請求項1から5に記載の広告配信システムであって、広告効果の判定結果に応じて、購買活動を行った個人に対して所定の購買活動に関連するポイントを付与することを特徴とする広告配信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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