説明

床仕上げ方法

【課題】実質無溶剤の光硬化樹脂は光沢が得られ易いものの、反面粘度が高く、現場施工では下地の不陸が現れたり、塗布具の裁きの影響を受け、良好な仕上げ面が得られなかった。光硬化樹脂の現場塗装方法で高光沢かつ平滑な表面となる仕上方法を課題とする。
【解決手段】施工時300〜12000mPa・sで構造粘性指数が1である光硬化樹脂をゴム鏝で仕上げすることを特徴とする床仕上げ方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床の仕上げ方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光硬化樹脂は無溶剤で、高光沢、耐傷性を付与できる配合ができ、発泡塩ビフロア材等では工場でライン塗装された連続フロアシート、パネルが実用化され、前記特性以外、耐シガレット等の耐熱性があり床材として好適な樹脂であった。しかし、現場での施工では、光照射しなければ、増粘・ゲルに至らず作業時間を確保し易い反面高光沢で塗りむら等の欠点を持たない塗面を形成することは経験する職人の技を持ってする以外なかった。
【0003】
建物床面あるいは壁面、天井面の表面の汚れを除去した後該表面に紫外線硬化型樹脂塗料を塗布する事を特徴とする建物床面、壁面、天井面の補修方法、前記表面にFRP層を層設し、しかる後、紫外線硬化型樹脂塗料を塗布する事を特徴とする建物床面、壁面、天井面の補修方法が開示されている。(特許文献1)
【0004】
被印刷基材上にロータリースクリーン印刷手法を用い、着色インクによる柄状多色盛り上げ印刷をした後、その盛り上げ印刷の非印刷部の凹部に着色した粉粒体もしくはそれのペースト配合物を充填、融着することにより得られる装飾床材。その表面に更に透明樹脂層を有し、その上に更に紫外線硬化性樹脂層を有する装飾床材が開示されている。(特許文献2)
【0005】
コテ面となる平板状ゴム部が十分な弾性を有する同形状の薄板状ゴム支持部によって保持されており、ゴム支持部上面には弾性体の厚板状支持補強部が付設され、当該支持補強部は周縁部に向かって一部乃至全体を徐徐に薄く形成し、コテ面の弾力性を周縁部にいくにしたがって徐徐に高めて全体にしなやかなしなりが発生する構成としたことを特徴としたもので、高粘度の塗布材料に対してでも急激なゴム部の圧力変形が起こらずに塗り波の発生を防止することが出来、十分なしなり及び弾性を有して正確に力を塗り面に伝えることが出来る等々、経験の浅い作業者であっても下地の状況、材料粘度等にかかわらず安定した塗布作業が行えることが開示されている。(特許文献3)
【特許文献1】特公平6−78691号公報
【特許文献2】特開平10−169173号公報
【特許文献3】特開平10−140817号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする課題は、光硬化樹脂の現場塗装方法であって高光沢かつ平滑な表面となる仕上方法である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、施工時300〜12000mPa・sで構造粘性指数が1である光硬化樹脂をゴム鏝で仕上げすることを特徴とする床仕上げ方法で、仕上げ時の不陸が無く、高光沢かつ平滑な表面仕上げがえられる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の無溶剤の光硬化樹脂の高光沢を、塗付時不陸、仕上げ不良が無い仕上げ面が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
無溶剤光硬化樹脂は一般には高光沢が得られ易い。しかし、反面低粘度化は難しく、塗布工程後、加熱等で処理するか、無溶剤、高光沢を犠牲にして処理されていた。しかし、施工現場で、加熱、溶剤を使用することは、火災恐れ、作業環境悪化を招き採用することは好まれない方法であった。ここで無溶剤光硬化樹脂とは溶剤の蒸発により成膜するものではなく、原料樹脂が高分子であり、配合処理上等で、減粘のための溶剤を含むものも実質無溶剤としこれに含める。
【0010】
本発明の仕上げ方法は現場施工方法で、従来凹凸面或いは光沢を落とす等で仕上がりの不備を目立たなくしていたものを4〜5mの範囲で塗布時の平面性と光沢を確保し、塗布時の欠陥をなくす仕上げ方法である。
【0011】
本発明で使うゴム鏝のゴムの材質は天然ゴムやスチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等の合成ゴムが適しており、その硬さは20〜100IRHD(JIS K6253 加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験方法による)であることが望ましい。形状については左官用鏝状やヘラ状であることが望ましい。詳しく記すと鏝の場合、左官鏝の略五角形支持体の長辺とほぼ平行にゴム或いは弾性体の端がなる様に支持体に貼られ、または成形されたもので、支持体より、ゴム或いは弾性体の端がでているのが好ましい。またヘラについても同じく 支持体の直線部分で支持体より、ゴム或いは弾性体の端がでているのが好ましい。支持体より出ている長さとしてはゴム或いは弾性体の厚み以上で5倍以下であるとより好ましい。弾性体の厚み未満であると鏝の被塗布面との角度に幅がなく、5倍を超えると作業性を損ない、人為的な欠点を多く発生する。なお 弾性体は発泡体、スポンジ体も含む。
【0012】
本発明で光硬化樹脂は粘性として施工時300〜12000mPa・sで、構造指数1のニュートニアン粘性が好ましく。この条件であれば、床の不陸による流失もなく、また、鏝処理後のレベリングも約15分で完了し、塗布から光照射に至る工程の待ち時間もなく、短工期となる。前記構造指数1とは簡易的には粘度計で剪断速度を変えても同じ値を示す粘性であり、粘弾性測定機で剪断速度を一定速度で上昇させてその応力を測定したとき剪断速度と応力の関係が略直線になるものを言う。
【0013】
上記 光硬化樹脂の主成分は耐傷性等を上げるためポリエステル主鎖ウレタンアクリレートが好ましく、全体の45〜50重量%の範囲で配合される。市販品でオレスターRA−1328(三井化学(株)、商品名)などがある。また前記ウレタンアクリレートと組み合わせてオリゴエステルアクリレートは耐傷性を損なわず、硬化性維持し粘度低下をもたらすもので、10〜15重量%の範囲で配合される。市販品としてアロニックスM7100(東亜合成(株)、商品名)などがある。さらに、本発明の実施できる粘度とするために希釈目的で、前記効果を損なわない2官能アクリレートが35〜40重量%の範囲で配合される。具体例としてPEG400DA(ダイセルサイテック(株)、商品名、ポリエチレングリコールジアクリレート)などがある。なお、光開始剤は照射光に合わせ適宜選択する。紫外光であれば、チバスペシャルティ・ケミカルズ(株)のダロキュア1173(商品名)などがあげられる。
このほか、耐光性、樹脂液の安定性等のため、添加剤が配合される。
【0014】
以下 実施例・比較例を示し、詳細を記す。
【0015】
<<光硬化樹脂配合例>>
【0016】
配合例1としてオレスターRA−4197を34重量部、アロニックスM7100を10重量部、PEG400DAを51重量部、ダロキュア1173を5重量部を配合し、この粘度はBM型粘度計で400mPa・s/23℃、構造粘性指数1であった。なお、構造粘性指数は、B型粘度計を用い60回転/分とよう度を測定し、(6回転時の粘度/60回転時の粘度)から算出した。
【0017】
配合例2としてオレスターRA−1328を76重量部、アロニックスM7100を10重量部、PEG400DAを10重量部、ダロキュア1173を5重量部を配合し、この粘度はBM型粘度計で8000mPa・s/23℃、構造粘性指数1であった。
【実施例1】
【0018】
上記配合例1及び2の光硬化樹脂をそれぞれ約0.1kg/mを1×2m角(スレート板)に配しゴム鏝で撫でて仕上げ紫外線照射機で硬化させ、実施例1とした。
【0019】
比較例1
実施例1においてゴムローラー(大塚刷毛製造(株)製)を転がし仕上げた以外同じく行い比較例1とした。
【0020】
比較例2
実施例1においてスポンジローラー(大塚刷毛製造(株)製)を転がした仕上げた以外同じく行い比較例2とした。
【0021】
比較例3
実施例1において中毛ローラー((株)カインズ製)を転がし仕上げた以外同じく行い比較例3とした。
【表1】

【0022】
評価方法
約1.5mの距離から観察した。
【0023】
塗布作業性:配合例1及び2の光硬化樹脂いずれでも人手にて軽く塗布できるものを○
【0024】
塗布ムラ:配合例1及び2の光硬化樹脂いずれでも基材に塗布ムラを発生することなく塗れるものを○、不陸具合によっては、塗れている箇所と塗れていない箇所が発生するものを×とした。
【0025】
仕上がり:配合例1及び2の光硬化樹脂いずれでも、平滑で光沢のある表面に仕上がったものを○、泡・すじが生じたものを×とした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工時300〜12000mPa・sで構造粘性指数が1である光硬化樹脂をゴム鏝で仕上げすることを特徴とする床仕上げ方法。