説明

床仕上げ方法

【課題】光硬化樹脂の塗床現場仕上げ方法では凹凸がなく、滑りやすく、また、塗装下の意匠性を高めるものがなく、歩行安全性・意匠性・耐久性を高める仕上げ方法の提供である。
【解決手段】床面に光硬化樹脂を塗布し硅砂等の防滑用骨材を散布した後、光照射硬化させること、また、さらに光硬化樹脂を塗布し、この防滑用骨材は鉄等の金属酸化物が含まれないもので、純度99%以上の二酸化ケイ素とすることである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床の仕上げ方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光硬化樹脂は無溶剤で、高光沢、耐傷性を付与できる配合ができ、発泡塩ビフロア材等では工場でライン塗装された連続フロアシート、パネルが実用化され、前記特性以外、耐シガレット等の耐熱性があり床材として好適な樹脂であった。
【0003】
建物床面あるいは壁面、天井面の表面の汚れを除去した後該表面に紫外線硬化型樹脂塗料を塗布する事を特徴とする建物床面、壁面、天井面の補修方法、前記表面にFRP層を層設し、しかる後、紫外線硬化型樹脂塗料を塗布する事を特徴とする建物床面、壁面、天井面の補修方法が開示されている。(特許文献1)
【0004】
被印刷基材上にロータリースクリーン印刷手法を用い、着色インクによる柄状多色盛り上げ印刷をした後、その盛り上げ印刷の非印刷部の凹部に着色した粉粒体もしくはそれのペースト配合物を充填、融着することにより得られる装飾床材。その表面に更に透明樹脂層を有し、その上に更に紫外線硬化性樹脂層を有する装飾床材が開示されている。(特許文献2)
【特許文献1】特公平6−78691号公報
【特許文献2】特開平10−169173号公報
【0005】
無溶剤或いは紫外線硬化樹脂は速硬化で、高光沢或いは透明性の特徴を活かし、現場での施工が、行われてはいるものの、平滑な仕上げであり、歩行安全性・意匠性・耐久性等を向上させるものはなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする課題は、光硬化樹脂の塗床現場仕上げ方法であって歩行安全性・意匠性・耐久性を高める仕上げ方法の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、床面に光硬化樹脂を塗布し防滑用骨材を散布した後、光照射硬化させることを特徴とする床仕上げ方法で、滑る恐れがない、安全歩行ができる床となる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1記載の光硬化樹脂の硬化後さらに光硬化樹脂を塗布することを特徴とする床仕上げ方法で、滑る恐れがない、安全歩行ができ、さらに耐久性が向上する。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1記載の防滑用骨材が純度99%以上の二酸化ケイ素であることを特徴とする請求項1乃至2いずれか記載の床仕上げ方法で、滑る恐れがない、安全歩行ができ、意匠性が向上する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の無溶剤の光硬化樹脂塗床において歩行安全性・意匠性・耐久性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
光硬化樹脂は照射光の波長により、紫外線硬化樹脂も含み、この特徴は速硬化、無溶剤が可能なこと、さらに前記により高光沢、透明性が特徴となる。逆に溶剤蒸発による目減りがなく、骨材等の配合は前記特性を損なうこととなる。本発明は前記光硬化樹脂の特徴を活かし、床面に模様、案内等施された意匠を活かし、さらに滑り難くし、安全性を高めるものである。
【0012】
本発明の防滑用骨材は、粒径0.15〜0.3mmの骨材であれば、使用することができる。耐久性、入手性から硅砂が好ましい。さらに、透明性・意匠的価値を上げるため、二酸化ケイ素が適し、鉄等の金属酸化物が含まないものが好ましい。最も好ましい防滑用骨材として、ハイシリカH新(ニッチツ(株)、商品名、二酸化ケイ素、純度99.8%以上)を一例として挙げることができる。
【0013】
本発明で使う光硬化樹脂は特に制限はないが、床への塗工性から粘性として施工時300〜12000mPa・sで、構造指数略1のニュートニアン粘性が好ましく、この条件であれば、床の不陸による流失もなく、また、鏝処理後のレベリングも約15分で完了し、塗布から光照射に至る工程の待ち時間もなく、短工期でできる。
【0014】
光硬化樹脂と防滑用骨材の関係は防滑用骨材の散布後、光硬化樹脂に埋没しないことが必要で、上記の粒径の骨材を使用した場合、樹脂は0.2〜0.3kg/mの塗布厚となる様にし、さらに、光硬化樹脂の硬化速度、硬化後の性能を満足すれば、良い。
【0015】
以下 実施例・比較例を示し、詳細を記す。
【0016】
光硬化樹脂配合例
オレスターRA−4197(三井化学(株)、商品名、ポリエステル主鎖ウレタンアクリレート)を43重量部、アロニックスM7100(東亞合成(株)、商品名、オリゴエステルアクリレート)を10重量部、PEG400DA(ダイセルサイテック(株)、商品名、ポリエチレングリコールジアクリレート)を42重量部、ダロキュア1173(チバスペシャルティ・ケミカルズ(株)、商品名、紫外光開始剤)を5重量部配合した。
【実施例1】
【0017】
上記配合例の光硬化樹脂を0.1kg/mを1×1m角のフレキシブルボードにゴム鏝で塗付し、7号東北硅砂(東北硅砂(株)、商品名、粒径0.15〜0.2mm、組成は二酸化ケイ素85.87%、酸化アルミニウム7.76%、酸化鉄0.22%、酸化カルシウム1.63%、酸化ナトリウム2.10%、酸化カリウム1.61%、酸化チタン0.06%)を防滑用骨材として 0.3kg/m手で散布し、その後紫外線照射機で硬化させ、さらに配合例の光硬化樹脂を0.1kg/m刷毛で塗布し紫外線照射機で硬化させたものを実施例1とした。
【実施例2】
【0018】
実施例1の7号東北硅砂をハイシリカHに変えた以外同じく行い実施例2とした。
【0019】
比較例1
配合例の光硬化樹脂を0.1kg/mを1×1m角のフレキシブルボードにゴム鏝で塗付し、紫外線照射機で硬化させたものを比較例1とした。
【0020】
【表1】

【0021】
防滑性:ポータブルスキットレジスタンステスターを用い、実施例、比較例1のすべり抵抗値を測定した。なお、ポータブルスキッドレジスタンステスターはイギリスの道路交通研究所で開発された試験機で、振り子の先のゴムスライダーを所定の位置から振り下ろし、スライダーと試料間の摩擦による減衰を測定するもので、表の塗膜湿潤状態とは塗膜上に水をまいた状態で、塗膜乾燥状態は、前記処理をしないもの。
【0022】
【表2】

透明性の評価方法
15×15cm角の離型紙を固定したフレキシブルボードを用いて実施例と同じに行い、前記離型紙部の樹脂膜を様々な大きさの活字が印刷された新聞紙に、置き、30cm上方より目視により活字の見え方で評価した。
評価 ○;文字がすべて見える。 △;文字が多少欠けて見える。 ×;文字が見えない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に光硬化樹脂を塗布し防滑用骨材を散布した後、光照射硬化させることを特徴とする床仕上げ方法。
【請求項2】
請求項1記載の光硬化樹脂硬化後さらに光硬化樹脂を塗布することを特徴とする床仕上げ方法。
【請求項3】
請求項1記載の防滑用骨材が純度99%以上の二酸化ケイ素であることを特徴とする請求項1乃至2いずれか記載の床仕上げ方法。