説明

床敷鉱ホッパー及びそれを備えた焼結機

【課題】焼結パレット台車に装入される床敷鉱の落下衝撃からシンターケーキ支持スタンドを保護しつつ、焼結パレット台車上の床敷鉱量の均一化を図ることができる床敷鉱ホッパー及びそれを備えた焼結機を提供する。
【解決手段】シンターケーキ支持スタンドが立設された焼結パレット台車を備えた焼結機で用いる床敷鉱ホッパーであって、焼結パレット台車の上方に配置して、焼結パレット台車上に床敷鉱を装入する装入口を下端に有する床敷鉱ホッパーにおいて、前面部と後面部の下端側に、焼結パレット台車の幅方向のシンターケーキ支持スタンドと同位置に、進行する焼結パレット台車が通過可能な前面切欠部と後面切欠部をそれぞれ有し、平面視して装入口の、前面切欠部と後面切欠部との間を目張りすると共に、同位置の非直上に床敷鉱落下口を有する目張り部材を、前面切欠部と後面切欠部との間に備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高炉用原料となる焼結鉱を製造する焼結機で用いる床敷鉱ホッパー及びそれを備えた焼結機に関する。
【背景技術】
【0002】
高炉用原料である焼結鉱を製造する下方吸引式焼結機では、図5に示すように、まず、床敷鉱ホッパー101から床敷鉱を、焼結パレット台車103の底面のグレートバー103a上に装入し、30mm程度の厚みの床敷層102を形成する。次いで、主原料の粉状鉄鉱石等の鉄含有原料、石灰石等の副原料の、粉コークス等の燃料からなる焼結原料104をサージホッパー105に搬送して貯蔵した後、ドラムフィーダーから切り出し、シュート106を介して焼結パレット台車103の床敷鉱102の上に装入して原料充填層107を形成する。
床敷鉱を装入するのは、焼結原料が焼結パレット台車のグレートバーの間からこぼれ落ちるのを防ぐためと、固体燃料(粉コークス)を含む焼結原料が直接にグレートバーに接触し焼結過程でグレートバーに溶着し離れなくなるのを防ぐためである。
【0003】
次いで、原料充填層107の上面表層中の粉コークスに点火炉108で点火したのち、吸引負圧をかけて空気を下方に吸引しながら焼結パレット台車103を排鉱部まで順次水平移動し、その間に原料充填層107中の粉コークスを燃焼させ、この燃焼熱で上層から下層にかけて順次原料を焼結して焼結鉱を製造する。
【0004】
原料充填層107の上層から下層に向かって焼結が進行する焼結過程において、先ず上層に焼結が完了した焼結完了層(以下、「シンターケーキ」という)が形成される。このシンターケーキの直下の原料充填層には燃焼・焼結進行中の軟化溶融層が形成され、その下層には未焼結の原料充填層が存在しているが、この軟化溶融層および原料充填層はシンターケーキの荷重を受けて圧縮され、高嵩密度化する。このため、シンターケーキの下方の軟化溶融層を含む原料充填層内の通気が低下し、また通気が不均一化する。そして、これは原料充填層中の炭材の燃焼速度の低下や燃焼むらにつながり、結果として焼結速度の低下、焼結成品歩留りの低下から、焼結鉱の生産性が低下してしまうという問題がある。
このようなシンターケーキの下方の軟化溶融層および原料充填層にかかるシンターケーキ荷重の軽減を図る方法として、図6に示すように、焼結パレット台車103上にシンターケーキを支持するスタンド109(以下、「シンターケーキ支持スタンド」という)を立設して焼結を行うスタンド支持焼結法が発明された(例えば、特許文献1、2)。
【0005】
床敷鉱ホッパーはその下端が焼結パレット台車のグレートバーの上面から離間して焼結パレット台車の幅方向に設置され、焼結パレット台車が移動すると、床敷鉱ホッパーの下端の装入口から床敷鉱が焼結パレット台車のグレートバー上面に供給される。床敷鉱を焼結パレット台車上に均一に供給する観点から、床敷鉱ホッパーはその下端が焼結パレット台車のグレートバーの上面から離間し過ぎないように30〜60mm程度の離間距離で配置される。
【0006】
このように床敷鉱ホッパーが焼結パレット台車のグレートバーに近接して配置しても、シンターケーキ支持スタンドが立設された焼結パレット台車の移動に支障がないように、床敷鉱ホッパーの前面部と後面部の下端側に、焼結パレット台車の幅方向のシンターケーキ支持スタンドと同位置に切欠部をそれぞれ有し、移動するシンターケーキ支持スタンドが通過できる構成とされている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平2−293586号公報
【特許文献2】特開平4−168234号公報
【特許文献3】特開2007−218470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述した床敷鉱ホッパーの切欠部には、床敷鉱ホッパー装入口から装入される床敷鉱がシンターケーキ支持スタンドに直接衝突するのを回避してシンターケーキ支持スタンドを保護するために、床敷鉱の装入口の、焼結パレット台車の幅方向のシンターケーキ支持スタンドの位置は床敷鉱が落下できないように目張りされた構成とされているのが好ましい。しかしながら、目張りされた構成とすると、焼結パレット台車上のシンターケーキ支持スタンドの周辺領域では他の領域に比べて床敷鉱の供給量が少なくなり、その結果、その周辺領域では焼結原料が焼結パレット台車のグレートバーの間からこぼれ落ちやすくなったり、焼結原料が直接グレートバーに接触し焼結過程で溶着しやすくなる。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、焼結パレット台車下部に装入される床敷鉱の落下衝撃からシンターケーキ支持スタンドを保護しつつ、焼結パレット台車上の床敷鉱量の均一化を図ることができる床敷鉱ホッパー及びそれを備えた焼結機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記目的を達成するべく鋭意検討を行なった結果、装入される床敷鉱の落下衝撃からシンターケーキ支持スタンドを保護するために、床敷鉱ホッパーが焼結パレット台車の幅方向のシンターケーキ支持スタンドと同位置に目張り部材、好ましくは箱形状の目張り部材を備える構成とし、さらに、焼結パレット台車上の床敷鉱量の均一化を図るために、床敷鉱供給時の、目張り部材の設置によるシンターケーキ支持スタンド周辺領域への床敷鉱供給量の低減を抑制するために、目張り部材にはシンターケーキ支持スタンドの非直上に床敷鉱落下口を設けると共に、床敷鉱供給後の、シンターケーキ支持スタンド周辺領域の床敷鉱量不足を補充するために、焼結パレット台車上に装入された床敷鉱をシンターケーキ支持スタンド近傍に寄せる床敷鉱寄せ部材を備える構成として、本発明を完成させた。
【0011】
上記課題を解決するための本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)シンターケーキ支持スタンドが立設された焼結パレット台車を備えた焼結機で用いる床敷鉱ホッパーであって、前記焼結パレット台車の上方に配置して、該焼結パレット台車上に床敷鉱を装入する装入口を下端に有する床敷鉱ホッパーにおいて、前面部と後面部の下端側に、前記焼結パレット台車の幅方向の前記シンターケーキ支持スタンドと同位置に、進行する前記焼結パレット台車が通過可能な前面切欠部と後面切欠部をそれぞれ有し、平面視して前記装入口の、前記前面切欠部と前記後面切欠部との間を目張りすると共に、前記同位置の非直上に床敷鉱落下口を有する目張り部材を、前記前面切欠部と前記後面切欠部との間に備えたことを特徴とする床敷鉱ホッパー。
(2)前記目張り部材は前記焼結パレット台車の進行方向に平行に配置する上板及び2枚の側板を備えてなる箱形状であり、前記床敷鉱落下口は前記側板の下端側に配置されていることを特徴とする(1)に記載の床敷鉱ホッパー。
(3)前記床敷鉱落下口は前記側板の下端側でかつ前記進行方向下流側に配置されていることを特徴とする請求項(2)に記載の床敷鉱ホッパー。
(4)前記前面部上の、前記前面切欠部を挟んで前記幅方向の両側近傍部のそれぞれから、前記進行方向の前記シンターケーキ支持スタンド寄りの斜め前方に延設され、前記焼結パレット台車上に装入された床敷鉱を前記シンターケーキ支持スタンド側に寄せる床敷鉱寄せ部材をさらに備えたことを特徴とする(1)から(3)のいずれか一に記載の床敷鉱ホッパー。
(5)前記床敷鉱寄せ部材は、板状部材からなることを特徴とする(4)に記載の床敷鉱ホッパー。
(6)前記板状部材は、金属材料又は高分子弾性材料からなることを特徴とする(5)に記載の床敷鉱ホッパー。
(7)前記板状部材は、金属部材と高分子弾性部材を重ね合わせてなることを特徴とする(5)に記載の床敷鉱ホッパー。
(8)(1)から(7)のいずれか一に記載の床敷鉱ホッパーを備えたことを特徴とする焼結機。
【発明の効果】
【0012】
本発明の床敷鉱ホッパーによれば、前面部と後面部の下端側に、焼結パレット台車の幅方向のシンターケーキ支持スタンドと同位置に、進行する焼結パレット台車が通過可能な前面切欠部と後面切欠部をそれぞれ有する構成なので、シンターケーキ支持スタンドとの衝突を回避しつつ床敷鉱ホッパーの下端を焼結パレット台車のグレートバーの上面に近接した位置に配置して焼結パレット台車上の床敷鉱量の均一供給を図ることができる。
【0013】
本発明の床敷鉱ホッパーによれば、平面視して装入口の、前面切欠部と後面切欠部との間を目張りすると共に、焼結パレット台車の幅方向のシンターケーキ支持スタンドと同位置の非直上に床敷鉱落下口を有する目張り部材を、前面切欠部と後面切欠部との間に備えた構成なので、装入される床敷鉱がシンターケーキ支持スタンドに直接衝突するのが回避され、シンターケーキ支持スタンドの長寿命化を図ることができる。
【0014】
本発明の床敷鉱ホッパーによれば、目張り部材を焼結パレット台車の進行方向に平行に配置する上板及び2枚の側板を備えてなる箱形状とし、床敷鉱落下口を側板の下端側に配置された構成とすることにより、床敷鉱がシンターケーキ支持スタンドに直接衝突するのを回避しつつ、床敷鉱ホッパーから床敷鉱を焼結パレット台車に供給する時の、目張り部材の設置によるシンターケーキ支持スタンド周辺領域への床敷鉱供給量の低減を抑制することができる。床敷鉱落下口は側板の下端側でかつ進行方向下流側に配置された構成の方が、進行方向上流側に配置された構成よりも、床敷鉱落下口からの床敷鉱が抜けやすくシンターケーキ支持スタンド周辺領域への床敷鉱供給が増えて床敷鉱供給量の均一化を図ることができるのでより好ましい。
【0015】
本発明の床敷鉱ホッパーによれば、前面部上の、前面切欠部を挟んで幅方向の両側近傍部のそれぞれから、進行方向のシンターケーキ支持スタンド寄りの斜め前方に延設され、焼結パレット上に装入された床敷鉱を前記シンターケーキ支持スタンド側に寄せる床敷鉱寄せ部材をさらに備えた構成とすることにより、床敷鉱ホッパーから床敷鉱を焼結パレット台車に供給した後に、シンターケーキ支持スタンド周辺領域の床敷鉱量のそれ以外の領域に比べた不足を補充して、床敷鉱供給量の均一化を図ることができる。
【0016】
本発明の床敷鉱ホッパーによれば、床敷鉱寄せ部材を板状部材からなる構成とすることにより、簡易な構成で床敷鉱供給量の均一化を図ることができると共に、板状部材の弾性機能により、シンターケーキ支持スタンド通過後に、1対の床敷鉱寄せ部材の先端部間の間隔が狭められ、若しくは閉じられ、安定して床敷鉱を寄せる効果を発揮することできる。
【0017】
本発明の床敷鉱ホッパーによれば、板状部材を、金属材料又は高分子弾性材料からなる構成とするか、又は、金属部材と高分子弾性部材を重ね合わせてなる構成とすることにより、板状部材の弾性機能がさらに強化され、さらに安定して床敷鉱を寄せる効果を発揮することできる。
【0018】
本発明の焼結機によれば、上述の(1)から(7)のいずれかに記載の床敷鉱ホッパーを備えた構成なので、焼結原料が焼結パレット台車のグレートバーの間からこぼれ落ちるのが防止され、焼結原料が直接グレートバーに接触し焼結過程で溶着した状態でグレートバーに付いたまま離れなくなるのが防止される。その結果、その溶融物を除去するために焼結機を停止する必要がなく、安定した焼結操業が可能となり、焼結鉱の生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態である下方吸引式焼結機の床敷鉱ホッパー周辺の概略断面図である。
【図2】本発明の実施形態である床敷鉱ホッパーの焼結パレット台車の進行方向下流側から見た概略正面図である。
【図3】本発明の実施形態である床敷鉱ホッパーの前面切欠部及び後面切欠部の近傍の概略拡大斜視図である。
【図4】(a)本発明の実施形態である床敷鉱ホッパーの前面切欠部近傍の概略正面図であり、(b)その概略水平断面図である。
【図5】従来の下方吸引式焼結機の床敷鉱ホッパー周辺の概略断面図である。
【図6】シンターケーキ支持スタンドを備えた焼結パレット台車の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を適用した一実施形態である床敷鉱ホッパー及びそれを備えた焼結機について、図面を用いて詳細に説明する。
【0021】
図1は、下方吸引式焼結機の床敷鉱ホッパー周辺の概略断面図である。
床敷鉱ホッパー1は焼結パレット台車3の上方に配置され、焼結パレット台車3の進行方向の下流側に前面部13を備え、上流側に後面部14を備えており、下端1aに有する装入口11から焼結パレット台車3上に床敷鉱を装入して床敷層2を形成する。焼結パレット台車3上には、図2に示すように、焼結パレット台車の幅方向に等間隔で、その進行方向に平行に立設するシンターケーキ支持スタンド9が複数設置されている。
【0022】
図2は、床敷鉱ホッパーの焼結パレット台車の進行方向上流側から見た概略正面図である。
床敷鉱ホッパー1においては、前面部13と後面部14の下端側13a(図3参照)、14aに、焼結パレット台車3の幅方向のシンターケーキ支持スタンド9と同位置に、進行する焼結パレット台車3が通過可能にされた前面切欠部15a(図3参照)と後面切欠部15bをそれぞれ有している。
【0023】
床敷鉱ホッパー1は前面部13と後面部14の下端側13a、14aに前面切欠部15aと後面切欠部15bを備え、焼結パレット台車3の移動の際に、シンターケーキ支持スタンド9が前面切欠部15aと後面切欠部15bを通過してシンターケーキ支持スタンド9が床敷鉱ホッパー1に当たらない構成とされている。
【0024】
床敷鉱ホッパー1は前面切欠部15aと後面切欠部15bを備えるので、床敷鉱を焼結パレット台車上に均一に供給するために、床敷鉱ホッパー1の下端1aを焼結パレット台車3のグレートバーの上面に近接した位置に配置することができる。
床敷鉱ホッパー1の下端1aと焼結パレット台車3のグレートバー3aの離間距離は30〜60mm程度にとるのが好ましい。上記離間距離が30mmより近い場合は、グレートバー3a上に十分な層厚で床敷鉱層を形成することができなくなるため、シンターケーキが焼結パレット台車3のグレートバー3aに溶着し易くなる。焼結機の排鉱部においてシンターケーキが焼結パレット台車3のグレートバー3aに溶着して離れない場合には、焼結機の給鉱部でシンターケーキが床敷鉱ホッパー1の下端に当たりやすくなり、操業障害の原因となる。また、上記離間距離が60mmより遠い場合は、床敷鉱を焼結パレット台車3のグレートバー3a上の幅方向に均一に供給するのが難しくなるからである。
【0025】
シンターケーキ支持スタンド9は焼結操業中に、その底部と焼結パレット台車3との取付部に粉の鉱石や粉の焼結鉱が噛み込む等に起因してパレット台車進行方向の前後左右に傾いたりすることがある。かかる場合にもその傾きを矯正する間にシンターケーキ支持スタンド9が床敷鉱ホッパー1に衝突することが回避できるように、前面切欠部及び後面切欠部の幅及び高さは、シンターケーキ支持スタンドの幅及び高さに対して大きめにとることができる。例えば、幅については200〜260mm程度大きくとるのが好ましく、高さについては新品時(摩耗がない)のシンターケーキ支持スタンド高さよりも30〜50mm程度高くとるのが好ましい。これらの値より小さくとると衝突が生じやすくなり、また、これらの値より大きくとるとシンターケーキ支持スタンド周辺領域に供給される床敷鉱量が少なくなるからである。
【0026】
図3は、床敷鉱ホッパーの前面切欠部と後面切欠部の近傍の概略拡大斜視図である。図中の矢印は床敷鉱の流れを示す。
前面切欠部15aと後面切欠部15bとの間には、上板16A及び2枚の側板16B、16Bからなる箱形の目張り部材16が備えられ、前面切欠部15aと後面切欠部15bとの間を目張りしている。また、箱形目張り部材16は、焼結パレット台車3の幅方向のシンターケーキ支持スタンド9と同位置の非直上であってかつ側板16Bの下端側に床敷鉱落下口16aを有する。
【0027】
床敷鉱は、床敷鉱ホッパー1内を矢印に示すように落下して焼結パレット台車3上に装入される。
床敷鉱ホッパー1の装入口1aの箱形目張り部材16がない部分では、床敷鉱はそのまま自由落下するが、箱形目張り部材16を有する部分では床敷鉱はその上板16Aに当たり自由落下できない。これにより、床敷鉱がシンターケーキ支持スタンド9に直接衝突するが防止され、シンターケーキ支持スタンドの長寿命化が図られている。
他方、箱形目張り部材16の存在のために、シンターケーキ支持スタンド9の周辺領域への床敷鉱の供給量は他の領域に比べて少ないものとなってしまうので、箱形目張り部材16の側板16Bの下端側に床敷鉱落下口16aを備え、この床敷鉱落下口16aからシンターケーキ支持スタンド9の周辺領域に床敷鉱が供給される構成とされている。
【0028】
この床敷鉱落下口16aは、図3に示すように、箱形目張り部材16の側板16Bの下端側でかつ進行方向下流側に配置された方が、進行方向上流側に配置されるよりも、床敷鉱落下口からの床敷鉱が抜けやすく、好ましい。
床敷鉱落下口16aは、幅が50〜100mmであり、高さが50〜100mmであるのが好ましい。上記の幅および高さが上記下限より小さい場合は、床敷鉱落下口から床敷鉱が抜けにくくなるため床敷鉱の落下量が十分ではなくなる。また、上記の幅および高さが上記下限より大きい場合は、床敷鉱の落下量が多くなり過ぎるため、焼結原料の装入量が減少し、成品歩留を低下するため好ましくない。
【0029】
図4(a)及び(b)はそれぞれ、床敷鉱ホッパーの前面切欠部近傍の概略正面図、概略水平断面図である。
床敷鉱ホッパー1の前面部13上の、前面切欠部15aを挟んで幅方向の両側近傍部のそれぞれから、焼結パレット台車3の進行方向のシンターケーキ支持スタンド9寄りの斜め前方に一対の床敷鉱寄せ部材21が延設されている。床敷鉱寄せ部材21の先端部21bは一対でシンターケーキ支持スタンドの進行を塞ぐ程度に近接して配置する。
【0030】
焼結パレット台車3の移動によって、シンターケーキ支持スタンド9は床敷鉱寄せ部材21の先端部21bに当たることになるが、床敷鉱寄せ部材21は板状部材からなり、板バネとして作用するので、シンターケーキ支持スタンド9が床敷鉱寄せ部材21の先端部21bを抜けた後は、床敷鉱寄せ部材21の先端部21bはシンターケーキ支持スタンドの進行を塞ぐ元の位置に戻る。
図4(b)において、2点鎖線は床敷鉱寄せ部材21の板バネとして作用を示すものである。
【0031】
床敷鉱寄せ部材21の板状部材の材料としては、板バネ機能、耐久性、耐熱性、耐蝕性の観点から、ステンレス鋼が好ましい。
また、床敷鉱寄せ部材21の板状部材の長さ、高さ、厚さとしては板バネ機能の観点から、それぞれ、350〜450mm、100〜200mm、0.5〜1.5mmであるのが好ましい。
【0032】
また、床敷鉱寄せ部材21の板状部材として、金属部材22と高分子弾性部材23を重ね合わせてなるのが好ましい。内面21a側が金属部材からなれば、床敷鉱が移動しやすく、外側が高分子弾性部材とすれば、長期間安定に弾性機能を発揮するからである。
金属部材の材料としては、ステンレス鋼が好ましく、また、高分子弾性部材の材料としては、耐摩耗ゴムが好ましい。
【0033】
床敷鉱が装入された焼結パレット台車3が移動すると、床敷鉱寄せ部材21の内面21aに当たった床敷鉱はその内面21aに沿って斜め前方に移動してシンターケーキ支持スタンド9に寄っていく。これによって、床敷鉱ホッパー1から焼結パレット台車3に床敷鉱を供給した後に、シンターケーキ支持スタンド周辺領域にそれ以外の領域に比べて不足していた床敷鉱を補充して、床敷鉱供給量の均一化を図ることができる。
【符号の説明】
【0034】
1 床敷鉱ホッパー
1a 下端
2 床敷層
3 焼結パレット台車
3a グレートバー
9 シンターケーキ支持スタンド
13 前面部
14 後面部
14a 下端側
15a 前面切欠部
15b 後面切欠部
16 目張り部材
16a 床敷鉱落下口
16A 上板
16B 側板
21 床敷鉱寄せ部材
21a 内側
21b 先端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンターケーキ支持スタンドが立設された焼結パレット台車を備えた焼結機で用いる床敷鉱ホッパーであって、前記焼結パレット台車の上方に配置して、該焼結パレット台車上に床敷鉱を装入する装入口を下端に有する床敷鉱ホッパーにおいて、
前面部と後面部の下端側に、前記焼結パレット台車の幅方向の前記シンターケーキ支持スタンドと同位置に、進行する前記焼結パレット台車が通過可能な前面切欠部と後面切欠部をそれぞれ有し、
平面視して前記装入口の、前記前面切欠部と前記後面切欠部との間を目張りすると共に、前記同位置の非直上に床敷鉱落下口を有する目張り部材を、前記前面切欠部と前記後面切欠部との間に備えたことを特徴とする床敷鉱ホッパー。
【請求項2】
前記目張り部材は前記焼結パレット台車の進行方向に平行に配置する上板及び2枚の側板を備えてなる箱形状であり、前記床敷鉱落下口は前記側板の下端側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の床敷鉱ホッパー。
【請求項3】
前記床敷鉱落下口は前記側板の下端側でかつ前記進行方向下流側に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の床敷鉱ホッパー。
【請求項4】
前記前面部上の、前記前面切欠部を挟んで前記幅方向の両側近傍部のそれぞれから、前記進行方向の前記シンターケーキ支持スタンド寄りの斜め前方に延設され、前記焼結パレット台車上に装入された床敷鉱を前記シンターケーキ支持スタンド側に寄せる床敷鉱寄せ部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の床敷鉱ホッパー。
【請求項5】
前記床敷鉱寄せ部材は、板状部材からなることを特徴とする請求項4に記載の床敷鉱ホッパー。
【請求項6】
前記板状部材は、金属材料又は高分子弾性材料からなることを特徴とする請求項5に記載の床敷鉱ホッパー。
【請求項7】
前記板状部材は、金属部材と高分子弾性部材を重ね合わせてなることを特徴とする請求項5に記載の床敷鉱ホッパー。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の床敷鉱ホッパーを備えたことを特徴とする焼結機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−179753(P2011−179753A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44266(P2010−44266)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)