説明

床材

【課題】滑りにくい床材を提供することを目的とする。
【解決手段】床材1は、人が歩行する場所に並べて敷設されることで使用される。床材1は、金属板(ステンレス板10)の表面にエッチングにより網目状(格子状)の溝20を形成したものであり、溝20に対して凸面となる複数の凸領域(凸部30)を有している。床材1の製造方法は、金属板の表面のうち凸領域(凸部30)となる面にマスクを形成する工程と、マスクを形成した金属板をエッチング液に漬けて金属板の表面に凹部(溝20)を形成する工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人が歩行する場所に敷設される床材に関する。
【背景技術】
【0002】
人が歩行する場所、例えば、道路や駅のプラットホーム、建物の床面や通路などに敷設される金属製の床材として、縞鋼板(チェッカープレート)が知られている。このような縞鋼板は、鋼板をプレス加工して突起を形成したり、熱間圧延(例えば、特許文献1参照)したりすることによって製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−254711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、縞鋼板などの従来の金属製の床材や、表面が平滑な磁器タイルなどの床材を敷設した歩行面は、滑りを抑制する効果が不十分であり、特に降雨などで濡れると滑りやすいという問題があった。
そこで、本発明は、滑りにくい床材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記した目的を達成するため、本発明の床材は、金属板の表面にエッチングにより網目状の溝を形成したことを特徴とする。
【0006】
このような床材によれば、エッチングにより形成された凸部分のエッジ部には、金属板をプレス加工したり、熱間圧延したりすることによって凸部を形成する場合と比較して、適度な角が形成されることとなる。そして、本発明の床材では、この角が引っ掛かりとなるため、従来の床材と比較して、滑りを抑制することができる。また、溝が網目状に形成されているため、床材に対し、人がどの方向から進入しても、滑りを抑制することができる。
【0007】
前記した床材において、前記溝の幅は、隣り合う溝同士の間隔よりも小さいことが望ましい。これによれば、金属板の表面のうち、溝を形成する領域、すなわち、エッチングにより腐食させる領域の面積を減らすことができるので、床材の製造が容易かつ比較的短時間となる。また、腐食時間(エッチング処理時間)を短くできることで、凸部分のエッジ部に適度な角を残すことができる。
【0008】
前記した各床材において、前記溝に対して凸面となる凸領域の最大長さは、10mm以下であることが望ましい。ここで、凸領域の最大長さとは、凸領域のうち、最も長い部分の長さをいうものとする。例えば、凸領域が略正方形状の場合、最大長さは対角線の長さとなり、凸領域が略正三角形状の場合、最大長さは一辺の長さとなる。また、凸領域が略円形状の場合、最大長さは直径となり、凸領域が略楕円形状の場合、最大長さは長軸の長さとなる。
【0009】
また、前記した各床材において、前記溝の深さは、0.07〜0.27mmであることが望ましい。また、前記した各床材において、前記溝は、例えば、格子状である構成とすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、凸部分のエッジ部に形成された適度な角が引っ掛かりとなるため、従来の床材と比較して、滑りを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施形態に係る床材の使用状態を示す斜視図(a)と拡大斜視図(b)である。
【図2】床材の平面図(a)と断面図(b)である。
【図3】床材の製造方法の説明図(a)〜(d)である。
【図4】変形例に係る床材の平面図(a)〜(d)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1(a)に示すように、実施形態に係る床材1は、主に、人が歩行する場所に並べて敷設されることで使用される。この床材1は、図1(b)に示すように、金属板の一例としてのステンレス板10の表面(上面)にエッチングにより網目状の溝20を形成したものであり、溝20に対して凸面となる複数の凸領域(凸部30)を有している。
【0013】
ステンレス板10は、平面視矩形のタイル状に形成されている。本発明において、ステンレス板10の縦横の寸法は、特に限定されないが、例えば、300mm×300mm、304mm×350mm、609mm×650mm、1000mm×350mm、1219mm×350mm、4000mm×1000mmなどとすることができる。
【0014】
ステンレス板10の厚さT(図2(b)参照)は、後述する深さDの溝20を形成した場合であっても、床材1の強度を確保できる厚さであれば特に限定されないが、例えば、1〜5mmであるのが望ましい。ちなみに、本実施形態において、ステンレス板10の厚さTはおよそ1.5mmとなっている。
【0015】
なお、本発明において、ステンレス板10の材質(化学組成)は、後述するようなエッチングにより溝20を形成可能なものであれば特に限定されず、例えば、SUS304などを使用することができる。
【0016】
図2(a),(b)に示すように、本実施形態において、溝20は、ステンレス板10の縦横の縁部に沿った格子状に形成されている。これにより、図2(a)の上下方向、左右方向および斜め方向のいずれの方向から歩行者が進入しても確実に滑りを抑制できるようになっている。また、各溝20は、互いにつながっており、ステンレス板10の端まで形成されている。
【0017】
溝20の幅Wは、縦方向または横方向において隣り合う溝20同士の間隔Sよりも小さくなっている。より具体的に、溝20の幅Wは、1〜10mmであるのが望ましい。ちなみに、本実施形態において、溝20の幅Wはおよそ1mm、隣り合う溝20同士の間隔Sはおよそ3mmとなっている。
【0018】
溝20の幅Wを間隔Sよりも小さくすることで、ステンレス板10の表面のうち、溝20を形成する領域(エッチングにより腐食させる領域の面積)を減らすことができるので、床材1の製造が容易かつ比較的短時間となる。また、腐食時間(エッチング処理時間)を短くできることで、後述するように、凸部30のエッジ部31に適度な角を残すことができる。
【0019】
溝20の深さD(最も深い部分の深さ)は、床材1の用途によって適宜設定することができる。溝20の深さDは、例えば、道路や歩道、駅のプラットホーム、建物の床面や通路など、一般的な歩行面に使用する場合には、0.07〜0.27mm程度とすれば十分である。また、油を使用する調理場など、比較的滑りやすい環境の床などに使用する場合には、0.27mmを超えて、例えば、0.32mmなどとしてもよい。ちなみに、本実施形態において、溝の20深さDはおよそ0.27mmとなっている。
【0020】
床材1においては、溝20の深さDや幅W、隣り合う溝20同士の間隔S、溝20がなす形状を適宜設定することで、滑り抑制効果を調整することが可能となっている。また、溝20のなす形状により、美観を高める効果を得ることもできる。
【0021】
本実施形態において、凸部30は、平面視略正方形状をなしている。この凸部30のエッジ部31には、エッチングにより断面視略直角形状の適度な角が形成されている。
【0022】
凸部30の一辺の長さは、隣り合う溝20同士の間隔Sと略等しくなっている(本実施形態においてはおよそ3mm)。したがって、凸部30の最大長さL(対角線の長さ)は、およそ4.2mmとなっている。凸部30の最大長さは、10mm以下であることが望ましい。さらに述べると、凸部30の最大長さは、例えば、道路や歩道など一般的な歩行面に使用する場合には、5.7〜10mm程度(凸部30の一辺の長さに換算するとおよそ4〜7mm)とすれば十分である。また、調理場など、比較的滑りやすい環境の床などに使用する場合には、5.7mm未満としてもよい。
【0023】
床材1においては、適度な角が形成されたエッジ部31が引っ掛かりとなるため、乾燥した状態においては勿論、特に濡れた状態においても確実に滑りを抑制することが可能となっている。補足すると、床材1においては、濡れたとき、水が溝20に入り込むので、床材1の表面には溜まりにくくなっている。さらに述べると、各溝20は互いにつながり、ステンレス板10の端まで形成されているので、溝20に入り込んだ水を排水することができるようになっている。これらにより、濡れた状態においても、前記したエッジ部31の効果を効果的に得ることができる。
【0024】
なお、凸部30の表面(上面)での滑りを抑制するため、凸部30の表面を粗面としてもよいし、凸部30の表面にエッチングにより1つまたは複数の凹部を形成してもよい。また、溝20の幅Wや深さDを適宜設定することで、互いにつながり、かつ、ステンレス板10の端まで形成されている溝20の排水効果を高めることができる。
【0025】
以上説明した床材1は、人が歩行する場所、具体的には、道路や歩道、駅のプラットホーム、建物の床面や通路、階段の踏み板、乗り物等のステップなどに好適に使用することができる。また、濡れた場合であっても滑りにくいので、調理場の床や浴場の洗い場、浴槽の底面、プールサイドなどにも好適に使用することができる。また、床材1は、タイル状に形成されているので、既存の床面、例えば、滑りやすい磁器タイルの床などに直接貼り付けるなどして敷設することができる。さらに、ステンレス板10からなる床材1は、適宜加工することで、側溝の蓋や歩行面用のエキスパンションジョイント、建物の入口に敷設される段差解消のためのスロープなどとしても使用することができる。
【0026】
次に、実施形態に係る床材1の製造方法の概略について説明する。
まず、図3(a)に示すように、ステンレス板10の表面11のうち、凸領域(凸部30)となる面に、公知の方法、例えば、シルク印刷などによりマスク40を形成する(マスク形成工程)。
【0027】
次に、図3(b)に示すように、表面11にマスク40を形成したステンレス板10をエッチング液に漬ける。これにより、図3(c)に示すように、ステンレス板10の表面11のうち、マスク40が形成されていない部分に凹部(溝20)を形成することができる(凹部形成工程)。
【0028】
なお、当該工程において、エッチング液は、ステンレス板10をエッチング処理できるものであれば特に限定されないが、例えば、塩化鉄(III)を含む水溶液を使用することができる。また、ステンレス板10をエッチング液に漬けた後、エッチング液を撹拌したり、反応槽を揺り動かしたりするとよい。これにより、ステンレス板10の表面11(溝20が形成される部分)が常に新鮮なエッチング液と触れることになるので、反応性(床材1の生産性)を向上させることができる。
【0029】
溝20の深さDは、主にステンレス板10をエッチング液に浸けておく時間(エッチング処理時間)やエッチング液の濃度などを変えることで調整することができる。また、エッチング処理温度は略一定とすることが望ましい。
【0030】
所定時間エッチング処理を行った後、ステンレス板10をエッチング液内から取り出し、図3(d)に示すように、ステンレス板10の表面11から公知の方法によりマスク40を除去する(マスク除去工程)。これにより、床材1を製造することができる。なお、床材1は、ステンレス板10を予め所定の縦横寸法とした上で溝20を形成することによって製造してもよいし、床材1を製造した後に所定の縦横寸法に切断してもよい。
【0031】
以上のように製造された床材1は、エッチング処理によって凸部30のエッジ部31に断面視略直角形状の適度な角が形成されることとなる。そのため、床材1は、凸部30のエッジ部31が引っ掛かりとなることで、乾燥した状態においては勿論、濡れた場合であっても滑りを抑制することが可能となっている。また、エッチング処理によって溝20を形成することで、幅Wの小さい溝20を有する床材1を比較的容易に製造することができる。
【0032】
ちなみに、ステンレス板をプレス加工したり、熱間圧延したりする方法によって凸部を形成した場合には、凸部のエッジ部は曲面状となるので、本発明の床材1のような高い滑り抑制効果を得ることはできない。また、プレス加工や熱間圧延では、幅の小さい溝を形成するのは容易ではない。
【0033】
なお、前記した製造方法においては、必要に応じて、マスク40を形成する前(マスク形成工程前)にステンレス板10の表面11を粗面加工する工程を加えてもよい。これによれば、床材1の凸部30の表面を滑りにくくすることができる。
【0034】
また、マスク40を除去した後(マスク除去工程後)、溝20内や凸部30の表面に色をつける工程を加えてもよい。具体的に、例えば、溝20内に色をつける場合には、まず床材1の凹凸表面にプライマー(下塗剤)を塗った後、プライマーを塗った凹凸表面に塗料を塗って乾燥させ、その後、凸部30の表面の塗料とプライマーを削ることにより実現することができる。
【0035】
これによれば、床材1へ注意を引きつける効果や、床材1の美観をより高める効果を得ることができる。また、溝20内に色を入れることで、溝20の深さD、すなわち、滑り抑制効果を調整(微調整)することも可能となる。さらに、溝20内に色を入れることで、凸部30のエッジ部31の形状が若干変化するので、これによっても滑り抑制効果を調整することが可能となる。
【0036】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0037】
前記実施形態では、各溝20がステンレス板10の縦横の縁部に沿った格子状に形成されていたが、本発明はこれに限定されず、例えば、図4(a)に示すように、各溝20がステンレス板10の縦横の縁部に対して略45度傾く方向に延びる格子状に形成されていてもよい。
【0038】
前記実施形態では、凸部30が平面視略正方形状をなしていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図4(b)に示すように、凸部30が略正三角形状をなしていてもよいし、図4(c)に示すように、凸部30が略正六角形状をなしていてもよいし、図4(d)に示すように、凸部30が略円形状をなしていてもよい。さらに、図示は省略するが、凸部が略長方形状や略楕円形状、略長円形状をなしていてもよい。なお、凸部の平面形状は、床材の製造工程において、ステンレス板(金属板)の表面に形成するマスクの形状を変えることで容易に変更することができる。
【0039】
前記実施形態や図4に示した形態では、溝の網目形状が規則的な形状となっているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、溝の網目形状は、不規則的な形状であってもよい。
【0040】
前記実施形態で説明した床材1の製造方法は、マスク形成工程と、凹部形成工程と、マスク除去工程とを有していたが、本発明はこれに限定されず、例えば、マスク除去工程を省略してもよい。ちなみに、マスクが着色されている場合、マスク除去工程を省略すること(マスクを残すこと)で、新たな工程を加えることなく、凸部の表面に色をつけることができる。
【0041】
前記実施形態では、金属板としてステンレス板10を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えば、アルミニウム板や銅板、真鍮板、鋼板などを採用してもよい。なお、エッチング処理の具体的な方法やエッチング液などは、採用した金属板に網目状の溝を形成することができるのであれば特に限定されない。ちなみに、金属板としてアルミニウム板を採用した場合、エッチングにより網目状の溝を形成した後に、必要に応じて、アルマイト加工を行ってもよい。
【実施例】
【0042】
次に、本発明の効果を確認した実施例について説明する。
【0043】
[試験1]
まず、溝の深さに関して本発明の効果を確認した。詳細には、溝の深さを0.07mmまたは0.27mmとした本発明に係る床材(試験片)について、以下に示す条件および試験方法により、滑り性を評価した。その結果を表1に示す。
【0044】
<試験片>
材質 :SUS304
寸法 :150mm×300mm×3mm
凸部 :3mm×3mmの正方形状(最大長さ:4.2mm)
溝の幅 :1mm
溝の深さ :0.07mm、0.27mm(各1枚ずつ)
備考:試験片を温度20±2℃、相対湿度65±10%の試験室内に24時間以上静置したのち試験に供した。
【0045】
<試験方法>
JIS A1454(高分子系張り床材試験方法) 6.14 滑り性試験に従って行った。試験の諸条件は以下の通りである。
1.滑り片 :硬質ゴムシート;硬さ(A形)78、厚さ5mm
2.試験片の表面状態 :乾燥状態;清掃し、乾燥した状態。
湿潤状態;水道水を400g/m2の割合で散水した状態。
3.試験片の方向 :試験片の長さ方向。
4.滑り抵抗係数の算出式:C.S.R=Pmax/W
C.S.R:滑り抵抗係数
Pmax :最大引張加重[N]
W :鉛直加重(785N)
【0046】
【表1】

【0047】
表1に示すように、本試験に供した床材は、溝の深さが0.07mmのとき滑り抵抗係数が、乾燥状態で1.04、湿潤状態で0.85であり、溝の深さが0.27mmのとき滑り抵抗係数が、乾燥状態で1.08、湿潤状態で0.85であった。これは、湿潤状態であっても、例えば、都道府県の条例で規定される、床の滑り抵抗係数の下限値(東京都の場合、下足で歩行する部分は0.4、素足で歩行する部分は0.45)を大きく上回っている。したがって、本発明の床材は、乾燥状態においては勿論、湿潤状態においても十分に滑りにくいものであるといえる。また、本試験に供した床材は、乾燥状態における滑り抵抗係数と、湿潤状態における滑り抵抗係数との差が0.2程度と小さくなっている。
【0048】
なお、凸部の最大長さが4.2mmの本試験に供した床材は、滑り抵抗係数が十分すぎるほど大きいので、特に、調理場の床や浴場の洗い場、浴槽の底面、プールサイドなどに使用することが望ましいといえる。
【0049】
[試験2]
次に、凸部の最大長さに関して本発明の効果を確認した。詳細には、凸部の最大長さを5.7mmまたは10.0mmとした本発明に係る床材(試験片)について、前記した試験1と同様の試験方法により、滑り性を評価した。その結果を表2に示す(なお、最大長さ4.2mmの結果は前記した試験1の試験結果を載せたものである。)。
【0050】
<試験片>
材質 :SUS304
寸法 :150mm×300mm×3mm
凸部の最大長さ: 5.7mm(4mm×4mmの正方形状)
10.0mm(7mm×7mmの正方形状)
(各1枚ずつ)
溝の幅 :1mm
溝の深さ :0.07mm
備考:試験片を温度20±2℃、相対湿度65±10%の試験室内に24時間以上静置したのち試験に供した。
【0051】
【表2】

【0052】
表2に示すように、本試験に供した床材は、最大長さが5.7mmおよび10.0mmのいずれの場合も、滑り抵抗係数が、乾燥状態で0.70、湿潤状態で0.67であった。これは、湿潤状態であっても、前記した条例で規定される床の滑り抵抗係数の下限値(例えば、0.4〜0.45)の1.5倍程度となっている。したがって、本発明の床材は、凸部の最大長さが5.7〜10mm(正方形状の凸部の一辺の長さが4〜7mm)程度であれば、乾燥状態においては勿論、湿潤状態においても十分に滑りにくいものであるといえ、道路や歩道、駅のプラットホーム、建物の床面や通路、階段の踏み板、乗り物等のステップなど、一般的な歩行面に好適に使用することができるといえる。
【0053】
また、本試験に供した床材は、乾燥状態における滑り抵抗係数と、湿潤状態における滑り抵抗係数との差が0.03と特に小さくなっているので、敷設された床材のうち、一部が濡れていても、滑ったり、つまずいたりするおそれが小さいといえる。
【0054】
なお、表2には示していないが、凸部の最大長さを14.1mm(10mm×10mmの正方形状)とした場合、乾燥状態における滑り抵抗係数は十分に滑りにくいことを示す値であったが、湿潤状態における滑り抵抗係数は表2に示した他の場合と比べると滑り抑制効果が小さいことを示す値であった。しかしながら、このような床材であっても、濡れない歩行面、例えば、室内(建物内)の床面や通路などとしては十分に使用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 床材
10 ステンレス板
11 表面
20 溝
30 凸部
31 エッジ部
D 深さ
L 最大長さ
S 間隔
W 幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板の表面にエッチングにより網目状の溝を形成したことを特徴とする床材。
【請求項2】
前記溝の幅は、隣り合う溝同士の間隔よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の床材。
【請求項3】
前記溝に対して凸面となる凸領域の最大長さは、10mm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の床材。
【請求項4】
前記溝の深さは、0.07〜0.27mmであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の床材。
【請求項5】
前記溝は、格子状であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の床材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−219517(P2012−219517A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86734(P2011−86734)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(592058234)株式会社エム・アンド・エフ (8)
【Fターム(参考)】