説明

床用掃除用具の掃除用シート

【課題】
掃除用シート材料として従来の合成繊維や再生繊維を主体としたシートに代替して木材パルプを主原料とする紙シートを用いることにより掃除用シートの廃棄時の環境負荷の問題を解消することにある。
【解決手段】
木材パルプを主原料とする比較的低坪量の紙シートを用い、この紙シートの少なくとも片面のほぼ全面あるいは所要パターンに粘着剤を備えたことを特徴とする床用掃除用具の掃除用シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフローリングワイパーのワイパーシートに関する。
【背景技術】
【0002】
フローリング等を清拭するため専用の掃除具に装着して使用するフローリングワイパーの掃除用シートは、スパンレース不織布や長繊維集合体(開繊トウ)を表面に溶着したもの、あるいは、スパンレース不織布と合成樹脂製のネットを挿入したりした不織布製シートに油剤を含ませたものが一般的に用いられており、広く家庭にも普及している。また、シート表面に凹凸を設けたり、粘着剤を付与してゴミの捕捉性を高める試みがなされたりしている。しかし、これらは高坪量の合成繊維や再生繊維を主体としたシートやこれらを複数枚重ね合わせたものであり廃棄時の環境負荷の問題が存在した。また、パン屑や砂粒といった比較的大きな塵の捕集能力は低く、一旦捕捉した毛髪が簡単に脱落してしまう問題もあった。
【0003】
【特許文献1】特開平8−196504
【特許文献2】特開平9−224895
【特許文献3】特開平9−224901
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は掃除用シート材料として従来の合成繊維や再生繊維を主体としたシートに代替して木材パルプを主原料とする紙シートを用いることにより掃除用シートの廃棄時の環境負荷の問題を解消することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は木材パルプを主原料とする比較的低坪量の紙シートを用い、この紙シートの少なくとも片面のほぼ全面あるいは所要パターンに粘着剤を備えたことを特徴とする床用掃除用具の掃除用シートに係わる。
また本発明は上記において粘着剤の表面に拭き取り時のすべり抵抗をコントロールする填料その他の粒状物を付与したものに係わる。
【0006】
更に本発明は木材パルプを主原料とする比較的低坪量の紙シートを用い、この紙シートに定形あるいは不定形の凹凸を与えたことを特徴とする床用掃除用具の掃除用シートに係わる。
また本発明は上記において紙シートにエンボス処理して定形の凹凸を与えたものおよび紙シートに皺つけ処理、クレープ処理その他の処理を行って不定形の凹凸を与えたものに係わる。
【0007】
更にまた本発明は木材パルプを主原料とする紙シートにエンボス処理を行い、そのエンボス凹部に粘着剤を備えた床用掃除用具の掃除用シートに係わる。
また本発明は木材パルプを主原料とする紙シートにエンボス処理を行い、そのエンボス凹凸部または凸部に粘着剤を備えかつ該エンボス凸部の粘着剤の表面に粒状物を付与した床用掃除用具の掃除用シートに係わる。
また本発明は木材パルプを主原料とする紙シートにエンボス処理を行い、このエンボス凹凸部に粘着剤を備えかつ該エンボス凹凸部の粘着剤の表面に粒状物を付与した床用掃除用具の掃除用シートに係わる。
【0008】
本発明の比較的低坪量の紙シートとして有利に用いられるものは坪量35g/m以上で引張強度は縦方向1800gf/25mm以上横方向1200gf/25mm以上(いずれも乾燥時)のものである。
【0009】
以下に本発明の実施態様を列記すると次の通りである。
(1)木材パルプを主原料とする紙シートの少なくとも片面のほぼ全面/あるいは所定パターンに弱粘着剤を備え、さらにその粘着剤表面に拭き取り時のすべり抵抗をコントロールする粒状物を付与した掃除用シートが提供される。粒状物は、カオリンやタルクなどの填料や有機系粒状物であり、粒径や付与量については、粘着剤の粘着力や拭き取り面の状態等に応じて適宜設定が可能であり、粒状物によりシートの過度のべた付きが抑えられる。
(2)シートには定形あるいは不定形の凹凸を与えるが、定形はエンボス処理、不定形は皺つけ処理やクレープ処理などである。凹凸部を備えることにより、汚れの掻き取り性やゴミの捕捉性が付与される。また、紙シートの保形性は、比較的小さいため、凸部表面の粘着力が損なわれた場合には、厚さ方向に押圧してやることで、接触面積が広がり、粘着力の耐久性も確保できる。
(3)紙シートは、坪量35g/m以上で引張強度は縦方向1800gf/25mm横方向1200gf/25mm以上(乾燥)であることが好ましい。粘着剤は、ゴム系、オレフィン系ホットメルトやコールドグルーでホットメルトの場合には塗工量は、20g/m未満が廃棄処理上好ましい。以下は粘着剤の組成の一例である。
ホットメルト ゴム系 (SBS,SIS,SEBS,SEPS)
オレフィン(EVA,エチレン・プロピレン・ブテン−1共重体)
コールドグルー アクリルエマルジョン系接着剤
酢酸ビニル樹脂エマルジョン系接着剤
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果を要約して列記すると次の通りである。
(1)木材パルプを原料とする比較的低坪量の紙シートを用いることにより廃棄時の環境負荷が少ない。
(2)表面上の凹凸部により、汚れの掻き取り性、ゴミの捕捉性が付与される。また、粘着力の耐久性にも寄与する。
(3)粒状物によりシートの過度のべた付きが抑えられ、保管時の安定性、包装状態(折り畳みや積層)からのシートの展開や掃除具への取り付けも容易となる。また、粒状物にワックス成分や消臭成分等を担持させれば、仕上げ処理等の手間も省くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれのみに制約されるものではない。
【実施例1】
【0012】
エンボスの面積率の異なるシート5種に粘着剤を付与して拭き取り試験を行った。

【0013】
集塵性は、JIS試験用粉体7種0.1g、磨り潰したパン粉0.2gをそれぞれフローリング上15×5cmの範囲に均一に撒き、粉体を撒いた端からワイパーを1.0m滑らせ拭き取ったときの捕捉率。絡めとり性は、毛髪10本を被清拭面に載せ、1回拭き取りをおこなったときの捕捉率。絡めとり保持率は、シートを所定条件で振り、脱落しなかった毛髪の保持率。
【実施例2】
【0014】
図1はフローリングワイパー掃除具の外観図で板状本体(1)の上面中心部に自在継手を介して柄部(2)の先端が取付けられ、板状本体(1)の正面に当合して図2および図3に示す掃除用紙シート(3)が取付けられる。
図2および図3は掃除用紙シート(3)の表面図および断面図で掃除用紙シート(3)の表面にはエンボス処理による凹凸(4)が付けられ、少なくともその掃除面側は粘着剤および填料その他の粒状物が付与される。
【実施例3】
【0015】
図4〜図6は掃除用紙シート(3)の凹凸(4)と粘着剤(5)のパターンの概念図を示す。尚図4〜図6において下面側が紙シート(3)の掃除面(7)を示している。
図4では掃除面の凹部(4−1)のみに粘着剤(5)を付与し、凹部(4−1)を除く掃除面(7)で集塵するパン粉、粒体等を凹部(4−1)内に陷入させ粘着剤(5)で捕捉する。
図5では凹部(4−1)を含む掃除面(7)の全面に粘着料(5)を備えると共に凹部(4−1)を除く掃除面(7)の粘着剤(5)に粒状物(6)を付与したもので凹部(4−1)を除いた粒状物(6)によって粘着物を抑制されている掃除面(7)でパン粉、粒体等を集塵すると同時に当該面の粘着性を抑制された粘着剤(5)によってその集塵体を捕捉する。そしてここで捕捉されなかった集塵体あるいはここでの集塵量をオーバーした集塵体は凹部(4−1)内に陷入し当該面の粘着剤(5)によって選択的に捕捉される。
図6は凹部(4−1)を含む掃除面の全面に粘着剤(5)を備えると共に同じく全面に粒状物(6)を付与した例である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】フローリングワイパー掃除具の外観図
【図2】シート表面図で紙シート表面の凹凸の一例を示す。
【図3】シート断面図で断面形状の一例を示す。
【図4】凹凸と粘着剤のパターンの概念図の各例示図である。
【図5】凹凸と粘着剤のパターンの概念図の各例示図である。
【図6】凹凸と粘着剤のパターンの概念図の各例示図である。
【符号の説明】
【0017】
1…掃除具の板状本体
2…同上の板部
3…掃除用紙シート
4…エンボスの凹凸
4−1…エンボス凹部
5…粘着剤
6…粒状物
7…掃除面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材パルプを主原料とする比較的低坪量の紙シートを用い、この紙シートの少なくとも片面のほぼ全面あるいは所要パターンに粘着剤を備えたことを特徴とする床用掃除用具の掃除用シート。
【請求項2】
粘着剤の表面に拭き取り時のすべり抵抗をコントロールする填料その他の粒状物を付与した請求項1記載の掃除用シート。
【請求項3】
木材パルプを主原料とする比較的低坪量の紙シートを用い、この紙シートに定形あるいは不定形の凹凸を与えたことを特徴とする床用掃除用具の掃除用シート。
【請求項4】
紙シートにエンボス処理して定形の凹凸を与えた請求項3記載の掃除用シート。
【請求項5】
紙シートに皺つけ処理、クレープ処理その他の処理を行って不定形の凹凸を与えた請求項3記載の掃除用シート。
【請求項6】
木材パルプを主原料とする紙シートにエンボス処理を行い、そのエンボス凹部に粘着剤を備えた床用掃除用具の掃除用シート。
【請求項7】
木材パルプを主原料とする紙シートにエンボス処理を行い、そのエンボス凹凸部または凸部に粘着剤を備えかつ該エンボス凸部の粘着剤の表面に粒状物を付与した床用掃除用具の掃除用シート。
【請求項8】
木材パルプを主原料とする紙シートにエンボス処理を行い、このエンボス凹凸部に粘着剤を備えかつ該エンボス凹凸部の粘着剤の表面に粒状物を付与した床用掃除用具の掃除用シート。
【請求項9】
紙シートは坪量35g/m以上で引張強度は縦方向1800gf/25mm以上横方向1200gf/25mm以上(いずれも乾燥時)である請求項1から8までのいずれか1項記載の掃除用シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−68356(P2006−68356A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−256881(P2004−256881)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【出願人】(000183462)株式会社クレシア (112)
【Fターム(参考)】