説明

床面吸込具、及び、この床面吸込具を用いた電気掃除機

【課題】
床面吸込具に用いられる回転ブラシの安全性を高める。
【解決手段】
床面吸込具において、外郭をなすケースと、回転駆動することで被清掃面から塵埃を掻き出す回転ブラシと、ケースに設けられ回転ブラシを回転駆動する駆動部を有し、駆動部には、内部に気流を導入する導入開口と、ケース内部に向けて気流を排出する排気口が形成され、導入開口と排気口の間に位置する気流により回転駆動するタービンと、このタービンの回転駆動力を回転ブラシに伝達する駆動力伝達手段が設けられ、ケースには、回転ブラシを回転自在の収納する回転ブラシ収納室と、回転ブラシ収納室に開口する塵埃を吸込む吸込口と、吸込口から吸込んだ塵埃をケース外部へ向けて流下させる集塵風路と、排気口から排出された気流を流下させる空間と、空間と回転ブラシ収納室を連通する開口が形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵埃を被清掃面から吸込む床面吸込具、及び、この床面吸込具を用いた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気掃除機に用いる床面吸込具に設けられた清掃面に回転接触して塵埃をかき出す回転ブラシの駆動源に、電気掃除機の吸引力により生じる気流で回転するタービンを用いたものがある(例えば、特許文献1参照)。
この床面吸込具は、床面に対峙した吸込口を有するケースと、吸込口から電気掃除機本体側に吸気を導く吸気通路と、吸込口に臨んで配される回転ブラシと、吸気通路を通る吸気により回転してシャフトを介して回転ブラシを回転駆動するタービンファンを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−161610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された床面吸込具は、吸気通路にタービンファンを配置し、吸気通路内部を流下する吸気を受けてタービンファンを回転駆動されるので、電気掃除機が運転している状態(吸引力を発揮している状態)では、常にタービンファンは回転し続け、これに伴い、回転ブラシも回転し続ける。
つまり、回転ブラシの回転を止める場合、電気掃除機の電源を切る必要があり、清掃中に掃除機を運転状態のまま離れてしまった時や子供のいたずら等により、清掃面から床面吸込具が離れた状態のときに、回転駆動する回転ブラシに手や髪の毛を巻き込まれてしまう恐れがあるという課題があった。
【0005】
そこで本発明は、上記の課題を解決するものであり、電気掃除機が運転中であっても、床面吸込具が被清掃面から持ち上がった際に、回転ブラシを停止させる、又は、回転力を弱めることにより、人体が回転ブラシに接触しても、安全な床面吸込具及びこの床面吸込具を用いた電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決する為には、床面吸込具において、外郭をなすケースと、回転駆動することで被清掃面から塵埃を掻き出す回転ブラシと、前記ケースに設けられ該回転ブラシを回転駆動する駆動部を有し、前記駆動部には、内部に気流を導入する導入開口と、前記ケース内部に向けて気流を排出する排気口が形成され、該導入開口と該排気口の間に位置する気流により回転駆動するタービンと、該タービンの回転駆動力を前記回転ブラシに伝達する駆動力伝達手段が設けられ、前記ケースには、前記回転ブラシを回転自在の収納する回転ブラシ収納室と、該回転ブラシ収納室に開口する塵埃を吸込む吸込口と、該吸込口から吸込んだ塵埃をケース外部へ向けて流下させる集塵風路と、前記排気口から排出された気流を流下させる空間と、該空間と前記回転ブラシ収納室を連通する開口が形成すれば、上記課題を解決することが可能である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、床面吸込具が床面を清掃する際には、回転ブラシを確実に回転駆動させることができ、床面吸込具が床面を離れた際には、回転ブラシの回転を停止、又は、回転力を大幅に弱めることができる。
これにより、電気掃除機が運転中であっても、床面吸込具が被清掃面から持ち上がった際に、回転ブラシを停止させる、又は、回転力を弱めることが可能となる。
従って、人体が回転ブラシに接触しても巻き込まれにくい、安全な床面吸込具及びこの床面吸込具を用いた電気掃除機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る床面吸込具を用いた電気掃除機の全体外観図
【図2】床面吸込具Sを前方から見た斜視図
【図3】図2の分解斜視図
【図4】床面吸込具Sを後方から見た斜視図
【図5】床面吸込具Sを下方から見た斜視図
【図6】図5において、回転ブラシの着脱過程を示す斜視図
【図7】床面吸込具を上方より見た平面図
【図8】図7において、上カバー46を外した状態を示す平面図
【図9】図7において、ケース40の下面に平行で、回転ブラシ中心を通る位置で切断した断面図
【図10】床面吸込具Sの下ケース側から見た平面図
【図11】床面吸込具Sの駆動部側の側面図
【図12】図7のD−D断面図
【図13】図7のD−D断面において、吸込筒と接続管の状態を示す断面外略図 (a)床面吸込具Sが被清掃面に乗っている状態(b)床面吸込具Sが被清掃面から持ち上げられた状態
【図14】軸60gを通る面で切断した回転ブラシ60の断面図
【図15】回転ブラシ60の分解斜視図
【図16】図7のA−A断面を前方から見た断面図(回転ブラシ60が外れた状態)
【図17】図16において、ブラシの着脱過程を示す断面図
【図18】回転ブラシ60と塵埃除去具43の組合せ状態を示す斜視図
【図19】図7のA−A断面を前方から見た断面図(回転ブラシが装着された状態)
【図20】駆動部70の各プーリーの接続状態を示す平面図
【図21】駆動部70を床面吸込具Sへの取り付け側からみた斜視図
【図22】図21のB−B断面図
【図23】図7のC−C断面図
【図24】駆動部の分解斜視図
【図25】風路Fの変形例を示す平面図(上カバー46を外した状態)
【図26】図25のE−E断面図
【図27】図25に示す床面吸込具Sの変形例
【図28】図27のF−F断面図
【図29】床面吸込具Sの前縁41gの変形例
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照して、実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態に係る電気掃除機の全体外観図である。
電気掃除機Cは、掃除機本体10と、この掃除機本体10に接続されるホース20と、このホース20の先端部に設けられた掃除機の運転モードなどを操作する把持部21と、この把持部21に設けられた手元操作部21aと、把持部20を形成するパイプに接続される伸縮自在に構成された延長管30と、この延長管30に接続される被清掃面Gから塵埃を吸込む床面吸込具Sを有する。
【0010】
この様に構成された電気掃除機Cは、掃除機本体10に搭載された電動送風機(図示せず)により発生させられる吸引力により、床面吸込具Sに開口する吸込口から被清掃面Gの塵埃を吸込み、延長管30とホース20を通して掃除機本体10に設けられた集塵部(図示せず)に搬送するように構成されている。
【0011】
次に、主に図2〜図13を参照して、床面吸込具Sについて説明する。
床面吸込具Sは、外郭をなすケース40と、ケース40の上面(上ケース42の上面)に所定間隔を空けて設けられた上カバー46と、ケース40の後部中央にもうけられ延長管30などが接続される接続部50と、被清掃面Gに付着した塵埃を掻き出し集塵性能を向上させる回転ブラシ60と、この回転ブラシ60の回転駆動力を得るための動力装置である駆動部70から構成されている。
尚、駆動部70について電動機を用いて回転ブラシ60を回転駆動するものもあるが、本実施の形態においては、掃除機本体10に具備された電動送風機の吸引力により生じる気流を活用するタービンを用いたもので説明する。
【0012】
以下、床面吸込具Sの各部について詳述する。
ケース40は、床面吸込具Sの外郭下側を成す略箱形状の下ケース41と、外郭上側を成す略箱形状の上ケース42から成り、下ケース41と上ケース42が、上下に合わさることにより構成されている。
【0013】
ケース40の底となる下ケース41の底板には、被清掃面から塵埃を吸込むための長手方向に開口する吸込口41aが形成されている。この吸込口41aと上ケース42との間には、所定の空間を確保することにより、回転ブラシ60が収納される回転ブラシ収納室40aが形成されている。つまり、回転ブラシ収納室40aに吸込口41aが開口する構造と成っている。
尚、回転ブラシ収納室40aの後方、つまり、吸引された気流の下流方向には、後述する接続部50へと連通する集塵風路45が上ケース42と下ケース41により形成されている。この集塵風路45は、吸込口41aから吸い込まれた塵埃の混ざった気流を、接続部50方向へ、つまり、ケース40の外部へ向けて、流下させる風路である。
【0014】
ケース40の後部中央には、接続部50が取り付けられる開口である接続部取付け口40eが形成されている。
この接続部取付け口40eは、下ケース41と上ケース42の後部中央に、それぞれ切り欠き部を形成し、下ケース41と上ケース42が上下に合わさる際に、これらの切り欠き部が合わさることで開口が形成される。
【0015】
次に、ケース40の一方の側壁には、後述する回転ブラシ60の一端と嵌め合う駆動部70の駆動側装着ガイド73をケース40の内方に挿入するための略円形状の駆動部装着開口40bが形成されている。
この駆動部装着開口40bは、下ケース41と上ケース42の側壁の端に、それぞれ半円形状の切り欠き部を形成し、下ケース41と上ケース42が上下に合わさる際に、これらの切り欠き部が合わさることで円形状の開口が形成される。
【0016】
次に、ケース40の他方の側壁には、後述する回転ブラシ60を回転ブラシ収納室40aに挿入し、回転ブラシ60の固定側装着ガイド60eを係合する位置である略円形状で部分的に凹形状が形成された回転ブラシ装着開口40cが開口している。
この回転ブラシ装着開口40cは、下ケース41と上ケース42の側壁に、それぞれ半円形状及び凹形状が組み合わされた形状の切り欠き部を形成し、下ケース41と上ケース42が上下に合わさる際に、これらの切り欠き部が合わさることで形成される。
【0017】
次に、回転ブラシ装着開口40c側の回転ブラシ収納室40aの端側であって、吸込口41aと上下に重ならない位置には、回転ブラシ60に付着した毛髪等を除去するリング形状である塵埃除去具43を、このリング形状の周方向に回転自在に収納する塵埃除去具収納室44が形成されている。
この塵埃除去具43は、リング部43aと、このリング部43aから立設する爪部43bを有する。尚、爪部43bの数は、後述する回転ブラシ60のらせん状の溝60bの数と同数である。また、爪部43bが立設する方向は、リング部43aが塵埃除去具収納室44に取り付けられた状態において、駆動部装着開口40bの方向を向いている。
【0018】
次に、塵埃除去具収納室44は、下ケース41から立設する半円状の切欠きがそれぞれ形成された3枚のリブ41b,41c,41dと、上ケース42から立設する半円状の切欠きがそれぞれ形成された3枚のリブ42b,42c,42dが、下ケース42と上ケース41が上下に合わさる際に、これらの切り欠き部が上下に合わさることで形成されている。
尚、回転ブラシ収納室40aの下方(下ケース41側)は、塵埃除去具43の回転空間を確保する為に、塵埃除去具43が外れない程度に開口している。
【0019】
尚、回転ブラシ収納室40a側と回転ブラシ装着開口40c側に位置するリブ41b,41d,42b,42dに形成されている半円状の切欠きは、塵埃除去具43のリング部43aの外径より小さい。また、これらのリブの中央に位置するリブ41c,42cの半円状の切欠きは、リング部43aの外径より大きく形成されている。
従って、回転ブラシ収納室40a側と回転ブラシ装着開口40c側に位置するリブに、左右に挟まれた位置に、塵埃除去具収納室44が形成されており、上記の大きさの関係により、塵埃除去具43が収納室から外れることなく保持される。
【0020】
更に、リブ41b,41c,41dと、リブ42b,42c,42dは、それぞれ互いに平行であり、また、床面吸込具Sの使用時の進行方向と平行に構成されている。
つまり、塵埃除去具収納室44は、塵埃除去具43を床面吸込具Sの使用時の進行方向と平行な状態に保持する。
以上説明した、回転ブラシ装着開口40c、塵埃除去具収納室44、この毛髪除去収納室44に保持される塵埃除去具43、駆動部装着開口40bの各中心は、略同軸方向に床面吸込具40内部に並んでいる。
【0021】
ここで、主に図14〜図19を参照して、ケース40に取り付けられる回転ブラシ60について説明する。
回転ブラシ60は、回転ブラシ60の回転軸となる棒状の軸60gが内部に挿入されている本体軸60aの外周に、らせん状の複数の溝60bが形成されていると共に、隣り合う溝の間にらせん状にブラシ60cが回転ブラシの外方向に向かって設けられている。
図において、ブラシ60cは柔軟性のある樹脂などで構成された短冊状のものを用いているが、回転ブラシの外方向に向かって伸びる毛状ものでもよい。
【0022】
そして、本体軸60aの一方の端には、後述する駆動部70の駆動側装着ガイド73が嵌りこみ係合する凹部60dが形成されている。この凹部60dには、軸60gと平行な向きとなる溝60jが形成されている。
この溝60jは、後述する駆動側装着ガイド73に形成された動力伝達リブ73aが、軸60gの軸方向から入り込むことにより係合し、駆動側装着ガイド73の回転に対して凹部60dの空回りを防止する為の回り止め構造である。
尚、凹部60d側の軸60gの先端側には、本体軸60aから軸60gが抜けないようにするために、抜け止め60wが設けられている。
【0023】
次に、本体軸60aの他方の端に形成された凹部60iには、固定側装着ガイド受部60hが、内部に軸60gを貫通した状態で、圧入により固定されている。
そして、この固定側装着ガイド受部60hの本体軸60aが位置する反対側には、内部に軸受60rを有する固定側装着ガイド60eが、軸受60rが軸60gを軸支した状態で、軸60gに対して回転自在に設けられている。
【0024】
尚、固定側装着ガイド受部60hと軸受60rの間には、リング形状の2つの潤滑板60kがリング開口に軸60gを通した状態で設けられている。この潤滑板60kは、回転ブラシ60が回転する際に、ケース40に固定されている固定側装着ガイド60eと、本体軸60aと共に回転する固定側装着ガイド受部60hの接触抵抗を減らし、効率よく本体軸60aを回転させるためのものである。
また、固定側装着ガイド60eが、軸60gから抜けないように、固定側装着ガイド60eから見て、固定側装着ガイド60eを貫通する軸60gの先端側に、抜け止め60mが設けられている。
【0025】
この抜け止め60mは、固定側装着ガイド60eと固定側装着ガイド受部60hの軸60gの軸方向(図面左右方向)の間に、クリアランスが形成されるように軸60gに取付けられている。このように構成することにより、ケース40や回転ブラシ60の大きさに製造誤差などによりバラつきが生じても、各部を組みたて可能で、かつ、回転ブラシ60がスムーズに回転できるように構成されている。
また、上記のように形成されたクリアランスに弾性体(例えば、バネ、ウエーブワッシャー)を介在させることで、上記の効果を奏すると共に、クリアランス内部に糸くずや毛髪などの塵埃の侵入を防止することができる。
【0026】
次に、この抜け止め60mを被うように固定側装着ガイド60eにカバー60nが圧入により固定されている。
このカバー60nには、開口である透孔60tが形成されている。この透孔60tが形成されていることで、回転ブラシ60を水で洗浄した後に、カバー60nと固定側装着ガイド60eの隙間に進入した水を外部に排出可能であると共に、軸受60rで生じる熱を回転ブラシ60の外部に放出し、軸受60rを冷却することができる。
【0027】
特に、固定側装着ガイド60eにブラシ室と連通する透孔を形成することで、床面吸込具を使用する際に、透孔60tからブラシ室へと流れる気流を形成することができ、より軸受60rの冷却を促進することが可能となる。
また、回転ブラシ60の端となるカバー60nに隆起部60vを形成することで、床面吸込具を使用する際に受ける衝撃力を緩和や、隆起部60vを曲面とすることで、家具や壁などとの引っかかりを軽減することができる。
【0028】
次に、固定側装着ガイド60eには、固定側装着ガイド60eと共に回転可能で、周方向に突出した凸部60fが形成されている。
固定側装着ガイド60eは、回転ブラシ装着開口40cに装着する際、凸部60fを回転ブラシ装着開口40cの凹形状の部分から挿入し、係止片60sを固定側装着ガイド60eに対して回転させることで、凹形状の部分と係止片60sの左右の位置がずれて回転ブラシ装着開口40c側に係合する。
【0029】
これにより、固定側装着ガイド60eが回転ブラシ装着開口40cに固定されて、抜けなくなるように構成されている。
尚、固定側装着ガイド60eは、本体軸60aに対して回転自在に設けられているので、固定側装着ガイド60eが回転ブラシ装着開口40cに固定されても、本体軸60aは回転ブラシ収納室40aに回転可能に収納される。
【0030】
次に、主に図20〜図24を参照して、回転ブラシの回転駆動力を発生させる駆動部70について説明する。
駆動部70は、ケース40とは別体とである外郭を構成する駆動部ケースであるタービンケース71と、このタービンケース71の内部に設けられた気流により回転し駆動力を生み出す駆動力発生手段であるするタービン72と、回転ブラシの一端に装着しタービン72の回転駆動力を伝える駆動側装着ガイド73と、このタービン72の回転駆動力を各プーリーを介して駆動側装着ガイド73に伝達するベルト74と、この駆動部70を床面吸込具40に取り付けた際に床面吸込具40からの脱落を防止する為の係止部75を有する。
尚、ベルト74、駆動側装着ガイド73、後述する各プーリーは、駆動力発生手段であるタービンからの駆動力を回転ブラシに伝達する駆動力伝達手段を構成する。
【0031】
タービンケース71は、本体部71aと蓋部71bと筒部71cから構成されている。
本体部71aには、駆動側装着ガイド73の軸73jが取付けられる軸開口71sと、タービン72の軸72jが取付けられる軸開口71tと、タービン72の回転駆動力を駆動側装着ガイド73に伝達する中間プーリー76の軸76jの一端を支持する凹部71uと、タービン72へと空気を流下させるタービン開口71vと、この開口71vに形成されたタービンへ72へと流れる空気を整流する整流部71wと、この開口71vへと流下する空気を導く吸気側コーン部71xが形成されている。
【0032】
蓋部71bには、駆動部70内部に空気が導入する導入開口71hが形成されており、この導入開口71hを避けた位置に凹部71mが形成されている。尚、導入開口71hには、通気性があるフィルターにより覆われている。
筒部71cは、円筒形状であり、先端方向に向かって窄んだ形状である。筒部71cの内部には、タービン72から流下する空気を整流する排気側コーン71yが、内壁から立設するリブ71zにより設けられている。この排気側コーン71yは、略円錐形状であり、先端を流下する気流の下流方向に向けて設けられている。
【0033】
次に、上記の本体部71aには、次のように各部が設けられる。
まず、軸開口71sには、軸受73uが設けられる。この軸受73uには、軸受内部及び軸開口71sを貫通して、軸73jが回転自在に軸支されて設けられる。また、軸73jの一端側には、駆動側装着ガイド73が設けられ、他端側には装着ガイドプーリー73bが設けられる。ここで、装着ガイドプーリー73bへのベルト74aの架け位置は、なるべく軸受73u側に近い位置となるように構成されている。
尚、軸受73uと駆動側装着ガイド73の間、及び、軸受73uと装着ガイドプーリー73bの間には、動作時の各部の摩擦を抑えるワッシャー73wが設けられている。
【0034】
次に、凹部71uには、軸受76uが設けられる。そして、軸受76uには軸76jが回転自在に軸支されて設けられる。この軸76jには、中間プーリー76が設けられ、軸受76u側のベルトの架け位置(小プーリー)には、ベルト74aが架けられる。
尚、プーリー76と軸受76uの間には、動作時の各部の摩擦を抑えるワッシャー76wが設けられている。
【0035】
次に、軸開口71tには、軸受72uと軸受72sが同じ軸を軸支可能なように設けられる。そして、軸受72uと軸受72sには、軸開口71tを貫通して軸72jが回転自在に軸支されて設けられる。
この軸72jの一方の端側には、プーリー72aが設けられ、他方の端にはタービン72が設けられており、軸72jとプーリー72aとタービン72は、一緒に回転するように構成されている。
尚、プーリー72aと軸受72uの間、及び、タービン72と軸受72sの間には、動作時の各部の摩擦を抑えるワッシャー72wが設けられている。
【0036】
このように設けられたタービン72は、タービン開口71vとタービンへ72へと流れる空気を整流する整流部71wが対向する位置となる。
尚、中間プーリー76とタービンプーリー72aに架けられるベルト74bは、軸受け71u側から見て、プーリー76のベルト74aの架け位置より遠いプーリー76の架け位置(大プーリー)に架けられる。
従って、プーリー72aは、タービン72から離れた位置となり、プーリー72aとタービン開口71vの間には、タービン開口71vの縁から盛り上がったドーム形状の吸気側コーン部71xを配置することができる(軸開口71tは吸気側コーン部71xの内部に位置する)。
【0037】
次に、上記のように各プーリーやベルトが配置された側の本体部71aは、蓋部71bが取付けられる。このとき、蓋部71bに形成されている凹部71mに軸受76vが取付けられており、この軸受76vに、軸76jの端が軸支され、軸76jがタービンケース71に対して回転自在に軸支される。
尚、軸受76vと中間プーリー76との間には、動作時の各部の摩擦を抑えるワッシャー76wが設けられている。
以上のように本体部71aに対して蓋部71bを取付けることにより、本体部71aと蓋部71bにより囲まれた空間に各プーリーやベルト等の駆動機構が収まり、内部に導入開口71hから空気が流入可能な駆動室71rが形成される。
【0038】
次に、タービン72が位置する側の本体部71aには、タービン72、タービン開口71v、及び、コーン71xを囲うように、筒部71cが取付けられる。
このとき、筒部71cの内部に設けられた略円錐形状である排気側コーン71yは、底面を構成する円の中心と円錐の先端を結ぶ直線が、タービン72の回転中心と一致するように構成されている。
【0039】
そして、筒部71cの本体部71aへの取り付け位置ではない側の開口は、タービン72を通過した空気を駆動部の外部に排出する排気口71dとなっている。また、排気口71dとなっている開口は、先端に向けて窄んだ形状(先端に向けて絞った形状)となっているが、この形状は、排気側コーン71yの外形上に倣った形状である。
この排気側コーン71yは3つのリブ71zによって支えられているが、このリブ71zのうち、少なくてもいずれかのうち1つは、床面方向を向くように配置されている。
【0040】
以上の構成を、言い換えると、タービンケース71は、一方の側方には、タービン72を回転させる為の気流を導入する導入口となる導入開口71hが形成され、他方の側方には、タービン72を通過した気流が外部に排気される排気口71dと、タービンケース71内部から駆動側装着ガイド73が突出している。
そして、タービンケース71の内部空間には、導入開口71hと排気口71dの間に、タービン72が回転自在に軸支されている。
【0041】
更に、タービンケース71の内部のタービン用プーリー72aとガイド用プーリー73bの間には、中間プーリー76が設けられている。この中間プーリー76は、タービン72で発生した回転駆動力を適切な回転速度・トルクに変換して装着ガイド部73aに伝達する為のものである。
【0042】
そして、タービン側プーリー72aと中間プーリー76、中間プーリー76とガイド側プーリー73bをそれぞれベルト74a、74bにより繋ぐことで、タービン72の回転駆動力を駆動側装着ガイド73に伝達可能に構成されている。
尚、本実施の形態のように、タービン側プーリー72aとガイド側プーリー73bとの間に、減速用の中間プーリーを介在さることで、駆動側装着ガイド73に伝達される回転駆動力を調整しているが、タービン側プーリー72aとガイド側プーリー73bを直接ベルトで繋いでもよい。
【0043】
次に、駆動側装着ガイド73は、略円筒形状の基部73b、この基部73bの回転中心を基準に90度間隔で、動力伝達リブ73aが形成されている。この動力伝達リブ73aは、各部を組みつけた際に、軸60gの軸方向に対して垂直方向から見た形状が、円弧形状(又は弓形)であり、各部が組み付けられた際に軸60gに対して平行になるように、基部73bから径方向に突出している。
そして、駆動側装着ガイド73は、同軸にガイド用プーリー73cが設けられている。
【0044】
また、駆動側装着ガイド73は、動力伝達リブ73aが、タービンケース71の外側に位置し、ガイド用プーリー73cがタービンケース71の内部に位置するように、ガイド開口71gに回転自在に軸支されている。
更に、タービンケース71の内部のタービン用プーリー72aとガイド用プーリー73cの間には、プーリー76が設けられている。このプーリー76は、タービン72で発生した回転駆動力を適切な回転速度・トルクに変換して駆動側装着ガイド73に伝達する為のものである。
【0045】
そして、タービン側プーリー72aとプーリー76、プーリー76とガイド側プーリー73bをそれぞれベルト74a、74bにより繋ぐことで、タービン72の回転駆動力を駆動側装着ガイド73に伝達可能に構成されている。
尚、本実施の形態のように、タービン側プーリー72aとガイド側プーリー73bとの間に、減速用のプーリーを介在さることで、駆動側装着ガイド73に伝達される回転駆動力を調整しているが、タービン側プーリー72aとガイド側プーリー73bを直接ベルトで繋いでもよい。
【0046】
このように構成された駆動部70は、次のようにケース40に取り付けられることで、床面吸込具Sを構成する。
主に図19,図23を参照すると、まず、上カバー46と上ケース42が上下に合わさることにより形成された円形状の開口である連通開口46aには、タービンケース71の筒部71cが挿入されると共に、駆動部装着開口40bには、タービンケース71に設けられた駆動側装着ガイド73が挿入される。尚、連通開口46aと駆動部装着開口40bは、同じケース40の側面に位置している。
【0047】
そして、駆動部70に設けられた係止部75が、ケース40の係合開口46bに係止することにより、駆動部70が床面吸込具に40に確実に取り付けられる。
ここで、係止部75は、バネ75aによって上方向に付勢されることにより、係合開口46bに介して係合しており、係止部75を押し下げることにより、両部材の係合を解除することができる。これにより、駆動部70はケース40から外すことができる。
【0048】
つまり、本実施の形態において、駆動部70は、ケース40の側方から取付けられることとなる。また、タービンケース71の導入開口71hは、駆動部70がケース40に取付けられた状態において、側方に開口するように蓋部71bに形成されているが、開口の一部を上方に向けて開口させても良い。
このように、開口を上方に向くように形成すれば、清掃中に側方に向く導入開口71hが壁などにより塞がれても、上方から空気を駆動部内部に吸引することができる。
【0049】
以上のように駆動部70が床面吸込具40に取り付けられることにより、回転ブラシ収納室40aと空間Kと駆動部70の導入開口71hと排気口71dが連通して風路Fを形成するので、駆動部70に対しても電動送風機が発生する吸引力が生じることで、タービン72を回転可能な気流を得ることができる。
つまり、電動送風機が起こす吸引力により、導入開口71hから流入した気流は、タービン72を回転駆動し、排気口71dから排出され、この排出された気流は上ケースと上カバーにより形成された風路Fを流下した後、上ケース42の前開口から回転ブラシ収納室40aへと流入し、吸込口から流入した気流と共に、集塵風路を通り接続部50へと流下する。尚、詳細は後述する。
【0050】
このように生じたタービン72の回転駆動力は、まず、ベルト74bによって中間プーリー76に伝達され、中間プーリー76からベルト74aによって駆動側装着ガイド73に伝達される。
そして、後述するように駆動側装着ガイド73に取付けられた回転ブラシ60を回転駆動する。
【0051】
以上のように構成された駆動部70は、タービン72やタービン72からの駆動力を伝達する機構を構成する部品や回転ブラシ60に駆動力を伝達する部品を、駆動部の外郭であるタービンケース71に集約して、ケース40とは別体のユニットを構成している。
このように駆動部70をケース40から独立したユニット構成にすることにより、駆動部が、ケース40の組み立て精度やケースが受ける衝撃の影響を受けにくい構成とすることができる。
【0052】
また、駆動部70は、ケース40とは別体のユニットで構成されているので、ケース40から駆動部70を容易に着脱可能である。
これにより、床面吸込具Sを水で洗う場合、水分を嫌う軸受を多く使用する駆動部を外して洗うことができ、床面吸込具Sの各部を特性に合ったメンテナンスを行うことができる。
【0053】
また、プーリー72aは、タービン72から離れた位置となるようにベルト74bの架け位置が構成されているので、タービン72の軸方向前後に位置する吸気側コーン71xと排気側コーン71yの長さをより大きくすることができる。
これにより、駆動部70の大きさをよりコンパクトに構成すると共に、導入開口71hから排気孔71dに向けて流下する気流を整流する部分である吸気側コーン71xと排気側コーン71yを長く取ることが可能となる。
【0054】
また、この排気側コーン71yは、円筒部71cの内部で3つのリブ71zによって支えられており、このリブ71zのうち、少なくてもいずれかのうち1つは、床面方向を向くように配置されているので、床面吸込具Sが使用時に床面側から受ける衝撃に対して、より強固に構成することが可能である。
【0055】
また、筒部71cの排気口71dは、排気側コーン71yの外形上に倣って、先端に向けて窄んだ形状(先端に向けて絞った形状)となるように構成されている。このように構成されることで、タービン72を通過し排気口71dへ流下する気流の圧力損失を極力抑えることができると共に、筒部71cをコンパクトにすることができる。
【0056】
また、蓋部71bの凹部71mの近傍に、蓋部71bと本体部71aとの間を支える支柱を設けても良い。
これにより、床面吸込具Sを使用している際に、蓋部71b側から衝撃を受けてもタービンケース71の変形を防止することができる共に、タービンケース71内部の駆動機構に加わる衝撃を緩和することができる。
【0057】
また、床面吸込具Sを駆動部70が取付けられている側方から見て、ベルト74bと重なる蓋部71bには、導入開口71hを形成せずに、ベルト74bのカバーを設けてもよい。
これにより、回転駆動する各プーリーやベルト74bに対して、指や異物の挟まりを防止することができる。
また、ベルト74aと導入開口71hの間に、カバーを設けてもよい。これにより、導入開口71hに設けられたフィルターが破損しても、回転駆動する各プーリーやベルト74aに対して、指や異物の挟まりを防止することができる。
【0058】
次に、ケース40の内部からの回転ブラシ60の着脱について説明する。
(1)回転ブラシ60の取り付け
まず、回転ブラシ60は、凹部60dが形成されている側の端から、回転ブラシ装着開口40cに挿入される。
この時、塵埃除去具43のリング部43aの内部開口に、回転ブラシ60が挿入されると共に、回転ブラシ60の複数の溝60bに、リング部43aの爪部43bがそれぞれ嵌り込んだ状態(爪部43aが溝部60bにガイドされた状態)となる。
尚、回転ブラシ60が、リング部43a内に挿入されるとき、ブラシ60cはリング部43aの内を折り曲がりながら通過し、駆動側装着ガイド73方向に進む。
【0059】
そして、回転ブラシ60が駆動側装着ガイド73に向けて、更に挿入されると、爪部43aは回転ブラシに60に接しながら、らせん状に形成された溝部60bに倣って、回転ブラシの挿入動作に逆らわず、塵埃除去具収納室内部で回転する。
尚、爪部43bは、駆動部装着開口40bが位置する方向(ケース40の内方)に先端を向けて形成されているので、回転ブラシ60を回転ブラシ収納室に装着する際に、大きな抵抗とならない。
【0060】
次に、回転ブラシ60が駆動部70の駆動側装着ガイド73の位置まで挿入されることで、凹部60dに駆動側装着ガイド73が嵌り込む。このとき、動力伝達リブ73aは、溝60jに軸方向から入り込み、溝60jにおいて、駆動側装着ガイド73の回転駆動方向に保持されることで、駆動側装着ガイド73の凹部60dにおける空回りを防止する。
また、動力伝達リブ73aが溝60jに軸方向から入り込み際に、動力伝達リブ73aが円弧形状であることから、溝60jを形成する壁面に対して引っかかりにくく、効率よく装着することができる。
【0061】
そして、凹部60dに駆動側装着ガイド73が嵌り込んだ状態において、固定側装着ガイド60eの凸部60fを回転ブラシ装着開口40cの凹形状の部分から挿入し、固定側装着ガイド60eを回転させることで、装着ガイド60eが回転ブラシ装着開口40cに固定されて抜けなくなり、ケース40からの回転ブラシ60の脱落を防止される。
これで回転ブラシ60は、回転ブラシ収納室40aに正しく取り付けられる。
【0062】
尚、回転ブラシ60が、回転ブラシ収納室40aに取り付けられた状態において、爪部43bは回転ブラシの溝部60bに倣った状態で保持され、回転ブラシと共に回転駆動する。このように、爪部43bが溝部60bに倣った状態で保持されれば、回転ブラシ30を床面吸込具から抜くときに、あらためて爪部43bと溝部60bの位置を合わせる必要がない。
【0063】
(2)回転ブラシ60の取外しについて
まず、固定側装着ガイド60eを回転させ、装着開口40cの凹形状と位置を合わせ、装着開口40cと固定側装着ガイド60eの固定を解除し、固定側装着ガイド60eを引くことで、装着開口40cから回転ブラシ60を引き抜くことができる。
回転ブラシ60が床面吸込具から引き抜かれ始めると、爪部43bがらせん状に形成された溝部60bに倣って、回転ブラシ60の引き抜き動作に逆らわず、塵埃除去具収納室44の内部で回転する。
【0064】
この時、爪部43aが溝部60bに倣うことにより、回転ブラシ60の周囲に絡みつく髪の毛や糸くずのような塵埃を軸やブラシから剥ぎ取る。そして、回転ブラシ60が塵埃除去具のリング部を通過するときに、回転ブラシ60の表面から塵埃がこそぎとられる。
【0065】
以上のように、駆動側装着ガイド73の動力伝達リブ73aと凹部60dに溝60jを形成することにより、両部材を容易に着脱できるように構成できる。
また、動力伝達リブ73aの外形状が円形状(弓形)なので、回転ブラシ60が駆動側装着ガイド73に対して斜めになっても、溝60jの内壁面(凹部60dの内壁面)に動力伝達リブ73aが、径方向に接触することが無い(強く接することが無い)。言い換えると、動力伝達リブ73aは回転ブラシ60が斜めになった状態において、溝60jと径方向に強く接触しない逃げ形状となっている。
つまり、動力伝達リブ73aと溝60jの係合関係を自在継ぎ手構造(ユニバーサルジョイント)に構成されている。
【0066】
これにより、床面吸込具を構成する各部の大きさの製造誤差や、回転ブラシを取付ける際の不手際等により、回転ブラシが軸受係止凹部に対して斜めに取付けられ場合や、清掃時の床面の凸部を回転ブラシが乗り越える際などに、回転ブラシ60が駆動側装着ガイド73に対して斜めになっても、動力伝達リブ73aと溝60jが、駆動力伝達のための回転を阻害することなく回転方向に係合するので、駆動側装着ガイド73からの回転駆動力を回転ブラシ60に確実に伝達することが可能である。
【0067】
また、回転ブラシ60をケース40から抜きながら回転ブラシ60に付着した塵埃を取ることができる。特に、床面吸込具40の吸込口を上方に向けて、回転ブラシを抜き取れば、回転ブラシからとられた塵埃は、床面吸込具Sの内部に落ちることから、作業者の手や周囲を汚すことがない、
【0068】
また、回転ブラシ60を取り付けるときも、取外すときも、塵埃除去具43が溝部60bの形状に倣って回転するので、塵埃除去具43が設けられたことによる回転ブラシ着脱時の抵抗を最小限にすることが可能である。
更に、塵埃除去具43が溝60b部の形状に倣って回転するので、溝部60bの形状を直線形状の形態に限らず、溝部60bの形状をらせん形状等の曲線により構成することが可能である。
また、固定側装着ガイド60eの軸60gから離れた位置には、径方向の突出するつまみ部60uが形成されている。これにより、毛髪や糸くずなどが固定側装着ガイド60eに巻きついても、固定側装着ガイド60eの取外し動作をより少ない力で行うことが可能となる
【0069】
以上、回転ブラシ60の着脱について説明したが、図18において、塵埃除去具43とブラシ60cの関係を解りやすく説明する為、ブラシ60cと塵埃除去具43が重なる部分については、ブラシ60を省略して表現した。
実際の形態は、塵埃除去具43内を回転ブラシ60が移動する際、ブラシ60cはリング部43aの内部を折れ曲がった状態で通過する。
【0070】
次に、ブラシ収納室40aの前方及び後方の下ケース41には、床面吸込具Sの操作性を向上させるための前方側の走行ローラー41rが回転自在に設けられている。
また、下ケース41と上ケース42の組み立てに用いる、前方側のネジボス受け40dは、ブラシ収納室40a内の気流を遮らぬように、下ケース41の前側に設けられた走行ローラーの外側、即ち、ブラシ収納室40a外側に配置されている。
【0071】
次に、主に図8,図12を参照して、駆動部70内に設けられたタービン72を回転させ、駆動部70から排出された気流を流下させる風路Fについて説明する。
まず、上ケース42には、上ケース42の上面と所定の間隔を空けて、上ケース42の上面及び前側を覆う上カバー46が設けられている。そして、上ケース42の前方には、長手方向に前開口部42aが形成されており、上ケース42と上カバー46により囲まれた空間Kと回転ブラシ収納室40aとが連通している。
【0072】
また、上ケース42の駆動部装着開口40bが形成されている側の側面後方には、上ケース42と上カバー46が合わさることで、駆動部70の排気風路と連通する連通開口46aが形成されている(図3参照)。この連通開口46aと排気口71dは連通していおり、駆動部70の内部は、空間Kと連通した位置関係となる。
以上のように各部が構成されているので、駆動部70がケース40に取付けられた状態において、駆動部70の導入開口71h及び排気口71dと、空間Kと、前開口部42aと、ブラシ収納室40aと、集塵風路45が連通した、タービン72を回転駆動させる為の風路Fが構成される。
つまり、タービン72を回転駆動させる為の風路Fの中に、回転ブラシ収納室40aが位置した構造となっている。
【0073】
従って、導入開口71hから流入した気流は、駆動部70の内部を流下し、排気口71dから連通開口46aに排出され、空間K内部に流下し、そして、前開口部42aを通過して回転ブラシ収納室40aへ流入して、集塵風路45へと至る。
尚、上カバー46には、駆動部70を床面吸込具40に取り付ける時に駆動部70の係止部75と係合する係合開口46bが形成されている。
【0074】
以上のように風路Fを構成することにより、各部は次のように作用・動作する。
(被清掃面を清掃している状態)
まず、被清掃面を床面吸込具Sが清掃している状態において、吸込口41aが床面と近接して対面しているので、吸込口41aからの気流の流入量が少なくなり、床面吸込具Sの内部の真空度が上がる。つまり、床面吸込具S内部の気圧が、外部空間より低い状態となる。
【0075】
すると、ケース40に取付けられた駆動部70の導入開口71hから、気圧が低くなった床面吸込具Sの内部へと空気が気流となって流入し、風路Fを流下して、接続部50方向へ流れる。
従って、この時生じる風路Fを流下する気流により、タービン72が回転駆動されることから、タービン72の回転駆動力を伝達可能に接続された回転ブラシ60が回転駆動する。
【0076】
(被清掃面から床面吸込具を持ち上げた状態)
次に、被清掃面から床面吸込具Sを持ち上げた状態の各部の作用・動作を説明する。
まず、被清掃面から床面吸込具Sを持ち上げると、吸込口41aが床面から離れ吸込口41aに対して、効率よく気流が流入しやすい状態となり、床面吸込具Sの内部の真空度が、床面清掃時と比べて下がる。
つまり、床面吸込具S内部の気圧が、外部空間の気圧に近い状態となる。
【0077】
この時、駆動部70の導入開口71hの開口面積は、吸込口41aの開口面積より小さく形成されているので、床面吸込具Sの内部に流入する気流は、主に吸込口41aから流入することとなる。これは、気流は、複数の流路がある場合、流れやすい流路に集中する性質があるためである。
このような状態において、駆動部70の導入開口71hから床面吸込具Sの内部に流入する気流は、床面吸込具Sが床面を清掃しているときと比べて大幅に減少する。従って、タービン72を通過する風量が減少し、タービン72の回転が停止、又は、回転力が大幅に弱まり、回転ブラシ60の回転を停止、又は、回転数が大幅に低下する。
【0078】
以上のように、各部及び風路Fを構成することにより、床面吸込具Sが床面を清掃する際には、回転ブラシ60を確実に回転駆動させることができ、床面吸込具Sが床面を離れた際には、回転ブラシ60の回転を停止、又は、回転力を大幅に弱めることができる。
これにより、電気掃除機が運転中であっても、床面吸込具が被清掃面から持ち上がった際に、回転ブラシを停止させる、又は、回転力を弱めることが可能となり、人体が回転ブラシに接触しても巻き込まれにくい、安全な床面吸込具及びこの床面吸込具を用いた電気掃除機を提供することができる。
【0079】
次に、図25〜図26を参照すると、風路Fの変形例として、上ケース42の集塵風路45に面した位置に開口42hを形成し、風路Fに加え、空間Kと集塵風路45が直接連通する補助風路Faを設けた形態である。
このように補助風路Faを加えた場合、被清掃面を床面吸込具Sが清掃している状態において、まず、吸込口41aが床面と近接して対面しているので、吸込口41aからの気流の流入量が少なくなり、床面吸込具Sの内部の真空度が上がる。つまり、床面吸込具S内部の気圧が、外部空間より低い状態となる。
【0080】
すると、ケース40に取付けられた駆動部70の導入開口71hから、気圧が低くなった床面吸込具Sの内部へと空気が気流となって流入し、風路Fを流下して、接続部50方向へ流れる。
この時、集塵風路45は、吸引された気流を1つに集めて流下させる流路なので、高速で気流が流れている。つまり、床面吸込具S内部の気流が流れている他の部位に比べて、気圧が低い状態となっている(ベルヌーイの法則)。
【0081】
これにより、集塵風路45に対して、空間Kから直接連通する補助風路Faを設けられているので、空間Kから開口42hを通過して集塵風路45に向かって、風路Fから分岐した一部の気流が引き込まれて流下する。つまり、風路Fに加え補助風路Faを形成したことで、空間Kからこの空間Kの外部への気流の流れが良くなる。
従って、駆動部70の導入開口71hから入り込む気流の流れも良くなり、タービン72をより高速で回転駆動させることが可能となり、これに伴い、回転ブラシ60をより高速で回転駆動することができる。
【0082】
また、被清掃面に凹凸がある場合、この凹凸を床面吸込具Sが通過する際に、床面から吸込口41aの距離が短時間で変化するので、吸込口41aから吸込む気流の量が短時間で変化する。これにより、床面吸込具Sの内部の気圧も短時間で変化し、これにより、タービン72の回転状態(回転数・トルク)が短時間で大きく変動し、回転状態の安定性を欠くなど影響がある。
しかし、補助風路Faが形成されていることで、常に集塵風路45から空間Kに対して気流の引き込みがあるので、所定量の駆動部70に流下する気流を維持することができ、回転ブラシ60の回転状態の変化を穏やかにすることができる。
【0083】
尚、補助風路Faを形成した床面吸込具Sにおいても、補助風路Faが無いものと比べて、回転ブラシ60の回転状態の変化は穏やかになるが、上記の作用・動作により、床面吸込具Sが床面を離れた際には、回転ブラシ60の回転を停止、又は、回転力を大幅に弱めることができる。
【0084】
以上、補助風路Faを形成するために、上ケース42の集塵風路45に面した位置に開口42hを形成した床面吸込具Sについて説明したが、床面吸込具Sが接続する電気掃除機の性能や仕様などの違いにより、開口42hの有無や大きさの違いを超えて、共通の形態の床面吸込具Sを異なる機種で使用したい場合がある。
【0085】
この場合、図27〜図28を参照すると、開口42hが形成された床面吸込具Sに対して、性能や仕様によって形成した開口42hを被う閉鎖部材42sを準備し、性能や仕様に応じて、選択的に取付けて用いると良い。尚、図中に示す閉鎖部材42aは、開口42hを完全に塞ぐものである。
このように、開口42hに対して機種ごとの閉鎖部材42sを用いることで、1つの形態の床面吸込具Sを多岐にわたる機種に共通部品として用いることができる。
【0086】
次に、床面吸込具Sの内部の真空度によって、タービン72の回転が影響されるのを防ぐ床面吸込具Sの変形例を説明する。
図29を参照すると、下ケース41に開口する吸込口41aの前方に位置する前縁41gには、ケース40の前方と回転ブラシ収納室40aが連通するように、前縁41gを凹ませることにより、切り欠き部41hが形成されている。
【0087】
この切り欠き部41hは、吸込み風量が大きい機種であっても、回転ブラシ収納室40a内部の真空度が適切となるように、床面吸込具Sの外部から空気を導入するためのものである。
これにより、タービン72の回転が適正に保たれ、よって、回転ブラシ60を適正に回転駆動させることが可能である。
【0088】
また、電気掃除機の吸込み性能や仕様によって切り欠き部41hが不要な場合、又は、切り欠き部41hの大きさを調整したい場合、仕様ごとに準備された閉鎖部材41iを切り欠き部41hに設けることにより、切り欠き部41hを塞ぐ、又は、大きさを調整しても良い。
【0089】
このように、切り欠き部41hに対して機種ごとに異なる閉鎖部材41iを選択的に用いることで、1つの形態の床面吸込具Sを多岐にわたる機種に共通部品として用いることができる。
特に、閉鎖部材41iを着脱自在構成すれば、使用者が所有する本体に合わせて床面吸込具Sを使用することができる。
【0090】
また、切り欠き部41hに閉鎖部材41iを取付けた状態において、床面吸込具Sを使用する際に、前縁41gの高さより閉鎖部材41iの高さが高くなるように構成するとよい。
このように構成することで、吸込み風量が小さい電気掃除機を用いた場合でも、回転ブラシ収納室40aの内部の真空度を適切に維持すると共に、ある程度の大きさの塵埃を吸引することができる。
【0091】
次に、主に図11〜図12を参照して、接続部50について説明する。
接続部50は、吸込筒51と接続管52から構成されている。吸込筒51は、一端(第1の端51a)をケース40の後部中央(後部長手方向中央)に形成された接続部取付口41eに、取付け位置を中心にケース40に対して、前後に回動自在に連結されている。
そして、吸込筒51の他端(第2の端51b)の外形状は円筒形状に形成されており、第2の端51bと縁から所定間隔空けた位置に吸込筒51外周に沿ったフランジ部51cが形成されている。
【0092】
この第2のフランジは第1のフランジより直径が小さく、また、第2のフランジは、第1のフランジが形成されている位置より、吸込筒51の端側に位置している。
また、フランジ部51cと第2の端51bの縁の間には、吸込筒51の外周に沿った環状の溝部51dが形成されている。
【0093】
次に、接続管52は、内部に円筒形状の空間を有する管状で、その一端には、延長管30やホース20と接続するための接続管接続部52aが、他端には、接続管接続部52aの中心軸に対し傾いて開口した吸引筒51と連結するための接続管連結部52bが形成されている。
この接続管連結部52bは、円筒形状に形成されており、接続管連結部52bの開口の直径は、吸込筒51の第2の端51bの直径より大きく、フランジ51cの直径よりも小さいく構成されている。そして、接続管連結部52bの外周面には、2つの透孔が開口している。
尚、接続管連結部52bの上面に形成された透孔52cは、上方を接続管52にネジ止め53aなどにより取り付けられるカバーにより覆われる。
【0094】
以上のように構成された吸込筒51と接続管52は、次のように連結される。
まず、接続管52の開口がある接続管連結部52bに、吸込筒51の第2の端51bを挿入する。つまり、吸込筒51と接続管52は、前後の位置関係に連結される。
この時、第2の端51b側の吸込筒51の直径は、接続管連結部52bの開口直径より小さいので、接続管52の内部に入り込と共に、接続管52と吸込筒51の間には、吸込筒51に対して接続管52が連結位置中心に回動可能(つまり、吸込筒51に対して接続管52が左右に動くことが可能)なクリアランスが介在する。
尚、本願でいうクリアランスとは、両部材間に隙間が開いていること、及び、吸込筒41に対して接続管52が回動可能な程度の接触状態も含む。
【0095】
また、フランジ51cの直径は、接続管連結部52bの開口直径より大きいので、接続管52の接続管連結部52bの端は、フランジ51cに当接する。
この状態において、接続管連結部52bの外周面に開口する透孔52に、溝部51dの内部に届く抜け止め部材54を挿入することにより、吸込筒51の他端側に形成された環状の溝部51dに、この抜け止め部材54が入り込み、接続管連結部52bから吸込筒51が抜けるのを防止する。
従って、上記のように各部が連結されることにより、接続管52は吸込筒51に対して脱落することなく回動可能に連結される。
【0096】
次に、主に図12〜図13を参照して、被清掃面Gに対する床面吸込具の状態における接続管52と吸込筒51の連結状態と、床面吸込具の状態を説明する。
(1)被清掃面を清掃している状態(床面吸込具が被清掃面G上に乗っている状態)
床用吸込具40で被清掃面Gを清掃している場合、床面吸込具40の重量は被清掃面Gが支えている。この状態で使用者は、接続部52に接続された延長管30などに接続された手元操作部21の把持部を握り、床用吸込具40を、被清掃面G上を前後に動かして清掃を行う。
【0097】
この時、吸込筒51がケース40に対して取付け位置を中心に、前後に回転動作可能に取り付けられているので、使用者が前後に動かす際に、被清掃面上に位置する床面吸込具40のケース側と、接続部50とこの接続部50取り付けられた延長管側が、スムーズに動作することができる。
つまり、床面吸込具40を前後に動かすことにより、吸込筒51がケースに対して回動して、延長管等と被清掃面G(ケース40)のなす角度が変化させて、床面吸込具40が被清掃面G上から離れることなく動作させることができる。
【0098】
次に、吸込筒51と接続管52の連結位置状態について説明する。
上記のように、床面吸込具40を、被清掃面G上を前後に動かす場合、吸込筒51と接続管52の連結位置には、主に前後方向の力が作用する。
つまり、接続管52の接続管連結部52bの内周面と52s、吸込筒51の第2の端51d側の外周面51sは、上下に互いに強く接触しないので、接続管52が吸込筒51に対して回動可能なクリアランスCを保つことが可能である。
従って、床面吸込具40が被清掃面G上にある時は、吸込筒51に対して接続管52が左右に回動可能(取り付け方向に対して垂直の面を回動作可能)に保たれる
【0099】
(2)床面吸込具40が接続部50側を持って、被清掃面Gから持ち上げられた状態
次に、床用吸込具40が、接続部50側を持って被清掃面Gをから持ち上げられた状態を説明する。
まず、ケース40は自重によって、吸込筒51に対して、吸込筒51のケース40の取付け位置を中心に、前方に傾こうとする力が作用する。これに伴い、吸込筒51と接続管52は、上記の力が作用することにより、吸込筒51が接続管52に対して、前方に傾く力が作用する。
【0100】
この時、接続管52は吸込筒51に対して、回動可能となるように両部材の連結位置にクリアランスを設けて連結されているので、上記の作用により接続管連結部52b内で吸込筒51が前方へ傾く。
そして、接続管連結部52bの内周面52sと吸込筒51の外周面51s、溝部51dの内壁と抜け止め部材54、及び、接続管52の端52aと吸込管51の端51tが、それぞれ互いの面を押圧した状態で接触する。
これにより、吸込筒51の外周面51sと接続部52の内周面52sとの間に接触抵抗が生じ、接続管52に対する吸込筒51の回動を抑止することができる。
【0101】
従って、回転ブラシの駆動部が床面吸込具の側部に設けられ、左右の重量バランスが不均衡な床面吸込具を、接続部に延長管を接続した状態で被清掃面から持ちあげても、上述した作用により、接続管52に対する吸込筒51の回動を抑止することができ、床面吸込具の傾きを抑止できる。
これにより、床面吸込具を持ち上げた際に床面吸込具が右側又は左側(回転ブラシの駆動部が位置する側)に傾いた状態になりにくく、清掃面に吸込具を接地させる際に、吸込具が斜めの状態で清掃面に接触することがないので、清掃面及び吸込具に強い衝撃を与えることを防止できる。
【符号の説明】
【0102】
電気掃除機 C、掃除機本体 10、ホース 20、手元操作部 21、延長管 30
床面吸込具 S、ケース 40、下ケース 41、 吸込口 41a,上ケース 42
前開口部 42a、上カバー 46、毛髪除去具 43、リング部43a、爪部 43b
集塵風路 45、接続部 50、回転ブラシ 60、駆動部 70、ケース 71
導入口 71a、排気口 71b、タービン 72、駆動側装着ガイド73、
風路 F、補助風路 Fa、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外郭をなすケースと、回転駆動することで被清掃面から塵埃を掻き出す回転ブラシと、前記ケースに設けられ該回転ブラシを回転駆動する駆動部を有し、
前記駆動部には、内部に気流を導入する導入開口と、前記ケース内部に向けて気流を排出する排気口が形成され、該導入開口と該排気口の間に位置する気流により回転駆動するタービンと、該タービンの回転駆動力を前記回転ブラシに伝達する駆動力伝達手段が設けられ、
前記ケースには、前記回転ブラシを回転自在の収納する回転ブラシ収納室と、該回転ブラシ収納室に開口する塵埃を吸込む吸込口と、該吸込口から吸込んだ塵埃をケース外部へ向けて流下させる集塵風路と、前記排気口から排出された気流を流下させる空間と、該空間と前記回転ブラシ収納室を連通する開口が形成されたことを特徴とする床面吸込具。
【請求項2】
前記ケースには、前記空間と前記集塵風路を連通する開口を形成したことを特徴とする請求項1に記載の床面吸込具。
【請求項3】
前記駆動部は、前記ケースから着脱自在に構成したことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の床面吸込具。
【請求項4】
請求項1乃至3に記載の床面吸込具を用いたことを特徴とする電気掃除機

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2012−5574(P2012−5574A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142509(P2010−142509)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】