説明

床面平滑化装置

【課題】半乾き状態のコンクリート表面の不陸を解消して容易に平滑化することができ、コンクリート固化後のクラック発生も防止することのできる床面平滑化装置を提供する。
【解決手段】床面平滑化装置10は、軸心11c,12c,13c同士が同一の仮想平面P上で互いに平行をなすように配置された3本の加圧ローラ11,12,13と、3本の加圧ローラ11〜13の両端部をそれぞれ回転自在に保持する保持部材14と、3本の加圧ローラ11〜13に振動を伝えるため保持部材14に連設された平板状の振動部材15と、振動部材15にその固有振動を与えるため振動部材15上に付設された発振手段16と、加圧ローラ11〜13が転動通過した後の床面に摺動可能に接触する平板状の仕上げ鏝17と、加圧ローラ11〜13が転動通過する前の床面に摺動可能に接触するブラシ18と、振動部材15の上面に取り付けられた操作ハンドル19と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設物や各種構造物などのコンクリート床面の施工現場において、床部分に打設されたコンクリートやモルタルの表面を平滑化する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物や各種構造物などのコンクリート床面を施工する場合、従来、施工現場の床部分に搬入された生コンクリートを均一に均して床面のレベル出しを行い、数時間放置して硬化させた後、「トロウェル」と呼ばれる装置を用いて床面を万遍なく加圧して平面化し、この後、熟練作業者が仕上げ鏝(角鏝)を用いて手作業で最終仕上げを行っている。乗用型のトロウェルで行っている。
【0003】
しかしながら、床面のレベル出し作業においてコンクリート表面を完全な平面状態にすることは困難であるため、トロウェルによる平面均し作業を開始する前段階のコンクリート表面には、不陸(±5〜8mm程度の凹凸部分)が残っているのが実状である。コンクリート表面の不陸は、この後に行われるトロウェルによる平面均し作業や仕上げ鏝による最終仕上げ作業によって解消することができないため、施工完了後の床面に残存することとなり、床面の品質向上の妨げとなっている。
【0004】
一方、道路工事の施工現場において路面を締め固める作業に使用される機械として、ハンドガイド式の振動ローラが広く知られている(例えば、特許文献1参照)。また、歩道に敷設される複数のインターロッキングブロックの表面を平らに仕上げる作業に使用される機械として、例えば、図6に示す、三笠産業株式会社の輾圧成形仕上げ機「ブロックプレート」が知られている。
【0005】
図6に示すように、この輾圧成形仕上げ機60は、外周面が硬質ゴムで形成された複数のゴムローラ61と、これらのゴムローラ61を回転自在に保持する本体フレーム62と、本体フレーム62上に搭載された原動機63及び振動発生機64と、操作ハンドル65と、を備えている。原動機63を作動させると、これによって駆動された振動発生機64が振動を発生し、この振動が本体フレーム62を経由して複数のゴムローラ61に伝わる構造である。公園や歩道などに敷設された複数のブロック上に輾圧成形仕上げ機60を持ち込み、原動機63を作動させた状態で作業者が操作ハンドル65を握り、輾圧成形仕上げ機60全体を前進若しくは後退させれば、複数のゴムローラ61の振動により複数のブロック表面が略同一面を成すように仕上げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−307475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1記載の振動ローラは、硬い路面を更に硬く締め固める作業には適している作業機であるが、これを半乾き状態にあるコンクリート床面上に持ち込むと、ローラがコンクリート床面を凹ませ、短時間のうちに沈下してしまうので、使用不能である。即ち、この振動ローラは、硬い路面上では使用することができるが、半乾き状態のコンクリート床面のように、作業者の足跡が付く可能性のある場所では使用できない。
【0008】
また、図6に示す、三笠産業株式会社の輾圧成形仕上げ機60は、施工現場に敷設された複数のブロックに振動を与えながら移動し、その表面を平らに仕上げることを目的とするものであるため、輾圧成形仕上げ機60のゴムローラ61を介して加えられる圧力や振動によって変形するおそれのない硬質ブロックなどの輾圧作業には好適である。しかしながら、この輾圧成形仕上機60を半乾き状態のコンクリート床面上に持ち込んだ場合、前述の振動ローラと同様、短時間のうちに沈下してしまい、作業不能となる。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、半乾き状態のコンクリート表面の不陸を解消して容易に平滑化することができ、コンクリートが固化した後のクラック発生も防止することのできる床面平滑化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の床面平滑化装置は、軸心同士が同一の仮想平面上で互いに平行をなすように配置された複数の加圧ローラと、複数の前記加圧ローラの両端部をそれぞれ回転自在に保持する保持部材と、複数の前記加圧ローラに振動を伝えるため前記保持部材に連設された振動部材と、前記振動部材に振動を与えるため前記振動部材に付設された発振手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の床面平滑化装置を、平滑化作業の対象である半乾き状態のコンクリート床面上に持ち込み、発振手段を作動させて振動部材に振動を与えると、振動部材が共振して激しく振動するとともに、この振動が保持部材を介して加圧ローラに伝えられ、各加圧ローラが激しく振動する。このように加圧ローラが振動状態にある床面平滑化装置に対し、作業者が、加圧ローラの軸心と直交する方向の力を加えると、当該床面平滑化装置は沈下することなく、容易に移動する。
【0012】
このように、前記振動部材が振動状態にある床面平滑化装置に対し、作業者が水平方向の力を加え、加圧ローラの転動方向へ装置全体を移動させれば、コンクリート床面上を転動しながら通過する複数の加圧ローラの激しい振動加圧作用により、半乾き状態のコンクリート床面の不陸が均され、凹凸や段差のない平滑な状態となる。また、複数の加圧ローラの振動加圧作用により、半乾きのコンクリートが強く締め固められるため、コンクリートが固化した後のクラック発生も防止することができる。
【0013】
なお、前記加圧ローラの本数は特に限定しないので、施工条件に応じて任意に設定することができるが、作業性、操作性、搬送性、収納性などを考慮すると3本〜5本程度が好適である。加圧ローラが2本の場合はコンクリート床面の凹凸や段差に沿って上下動しながら転動していくので、不陸を無くすことができず、床面平滑化作用が著しく低下する一方、6本以上の場合、床面平滑化作用は向上するが、装置大型化のデメリットが増大するので、前記範囲内が好適である。また、発振手段は振動部材を共振させることができるものであれば良いので、特に限定しないが、振動部材を当該振動部材の固有振動数で振動(共振)させる機能を有するものであることが望ましい。
【0014】
ここで、前記加圧ローラが転動通過した後の床面に摺動可能に接触する仕上げ鏝を備えることもできる。このような構成とすれば、加圧ローラの転動により不陸が解消されたコンクリート床面が、その上を摺動する仕上げ鏝の滑動作用によって平滑化されるので、仕上レベルをさらに向上させることができる。
【0015】
また、前記加圧ローラが転動通過する前の床面若しくは前記加圧ローラが転動通過した後の床面の少なくとも一方に摺動可能に接触するブラシを設けることもできる。このような構成とすれば、転動する複数の加圧ローラの振動加圧作用のみでは解消され難いコンクリート床面の凹凸、例えば、作業者の足跡などを前記ブラシの摺動によって消すことができるため、コンクリート床面の品質向上に有効である。
【0016】
さらに、複数の前記加圧ローラのうちの少なくとも1本の外周面を透水性部材で形成することもできる。ここで、透水性部材としては、網材、格子材あるいは多孔板などを使用することができる。
【0017】
このような構成とすれば、外周面が透水性部材で形成された加圧ローラにより、コンクリート床面の不陸を解消する作用を高めることができる。また、外周面が透水性部材で形成された加圧ローラは、半乾き状態のコンクリート床面に対する摩擦が大きいので、当該加圧ローラの回転駆動手段を設ければ、床面平滑化装置を自走式とすることもできる。
【0018】
ここで、平滑化対象である床面に対する前記加圧ローラの接地圧力を当該加圧ローラの軸心方向の長さ1cm当たり0.2kg〜0.4kgとすることが望ましい。このような構成とすれば、床面平滑化装置の操作性を悪化することなく、優れた床面平滑化作用を得ることができる。なお、接地圧力が0.2kg/cmより小さくなると、コンクリート床面に対する振動加圧力が弱まり、不陸を無くす作用が低下し、0.4kg/cmを超えると、加圧ローラの転動に大きな力を要するようになり、操作性が悪化するので、前記範囲が好適である。
【0019】
なお、前記加圧ローラのサイズは限定しないので、搬送性、施工現場の床面積、取り扱い性あるいは収納性などを考慮して設定することができるが、これまでの施工状況から判断すると、長さ700mm〜2000mm程度、外径50mm〜200mm程度が好適である。なお、施工現場の床面積が広く、取り扱いや操作性などに支障がなければ、長さが2000mmを超える加圧ローラを使用して、作業効率の向上を図ることもできる。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、半乾き状態のコンクリート表面の不陸を解消して容易に平滑化することができ、コンクリートが固化した後のクラック発生も防止することのできる床面平滑化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態である床面平滑化装置を正面斜め方向から見た斜視図である。
【図2】図1に示す床面平滑化装置を背面斜め方向から見た斜視図である。
【図3】図1に示す床面平滑化装置を構成する加圧ローラの配列状態を示す斜視図である。
【図4】図1に示す床面平滑化装置を一部省略して示す側面図である。
【図5】図1に示す床面平滑化装置の振動機構を示す概略正面図である。
【図6】従来の輾圧成形仕上機を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について説明する。図1〜図3に示すように、本実施形態の床面平滑化装置10は、軸心11c,12c,13c同士が同一の仮想平面P上で互いに平行をなすように配置された3本の加圧ローラ11,12,13と、3本の加圧ローラ11,12,13の両端部をそれぞれ回転自在に保持する保持部材14と、3本の加圧ローラ11,12,13に振動を伝えるため保持部材14に連設された平板状の振動部材15と、振動部材15にその固有振動を与えるため振動部材15上に付設された発振手段16と、加圧ローラ11〜13が転動通過した後の床面に摺動可能に接触する平板状の仕上げ鏝17と、加圧ローラ11〜13が転動通過する前の床面に摺動可能に接触するブラシ18と、振動部材15の上面に取り付けられた操作ハンドル19と、を備えている。
【0023】
操作ハンドル19は、作業者が手で把持する水平部19hと、水平部19hの左右から振動部材15に向かって延設された連結部19aと、連結部19a同士を繋ぐ水平補強部19bと、で形成され、振動部材15の上面に制振材30を介して取り付けられたL字状の連結部材29に対し、連結部19aの前端部が着脱可能に取り付けられている。なお、本実施形態の床面平滑化装置10において、仕上げ鏝17が取り付けられている方向を前方(または正面)といい、ブラシ18が取り付けられている方向を後方(または背面)といい、操作ハンドル19の後方に、振動部材15に向かった姿勢で起立した作業者を基準に上下及び左右を表示する。
【0024】
図3に示すように、加圧ローラ11,12,13は外周面が滑らかな金属で形成された同じサイズの円筒状部材であり、いずれも直径Dが120mm、長さLが1250mmである。加圧ローラ11,12,13の配置間隔Sは175mmである。床面平滑化装置10全体の重量は約100kgであり、平滑化対象である床面に対する加圧ローラ11,12,13の接地圧力を算出すると、加圧ローラ11,12,13の軸心11c,12c,13c方向の長さ1cm当たり約0.27kgとなる。なお、床面平滑化装置10に関する前記数値は、一例であって、これらに限定するものではない。なお、図6に示す輾圧成形仕上機60を構成するゴムローラ61の軸心方向の長さ1cm当たり接地圧力を算出したところ、約0.71kgという結果が得られた。
【0025】
図5に示すように、加圧ローラ11,12,13は、それぞれの左右両端に突設された支軸11s,12s,13s及び軸受け11a,12a,13aを介して、保持部材14を構成する左右一対の側面部14aにそれぞれ回転自在に取り付けられている。保持部材14は、前述した左右一対の側面材14sと、側面部14aの前端部同士を連接する正面材14fと、で形成された平面視略コ字状の部材である。左右の側面材14sは加圧ローラ11,12,13の軸心11c,12c,13cと直角に立体交差する方向に配置され、正面材14fは軸心11c,12c,13cと平行をなすように配置されている。正面材14f及び側面材14sはいずれも断面L字状のアングル材で形成されている。そして、側面材14sの後端部同士を連結する位置に、長尺のブラシ18が着脱可能に取り付けられている。
【0026】
発振手段16は、原動機16eと、振動発生機16bと、原動機16eの回転力を振動発生機16bに伝えるベルト16vと、を備えている。振動発生機16bに内蔵されている偏心回転体(図示せず)が原動機16eの駆動によって回転することにより振動が発生する。原動機16eの出力回転数を増減するためのスロットルレバー16tが操作ハンドル19に取り付けられ、このスロットルレバー16tを操作することによって振動発生機16bの振動出力を調節することができる。振動部材15は、前後方向(加圧ローラ11,12,13の転動方向)の断面が略コ字状をした厚さ2〜5mm程度の金属板で形成され、発振手段16が発生する振動によって当該振動部材15が共振しやすい材質、形状を具備している。
【0027】
保持部材14の正面材14fの前方に、複数の蝶番20介して、断面L字状の補強部材21が正面材14fと平行に取り付けられ、この補強部材21に沿って仕上げ鏝17が着脱可能に取り付けられている。仕上げ鏝17は補強部材21とともに蝶番20を中心に上下に回動自在であり、保持部材14の正面材14fと補強部材21とが逆V字状のリンク機構23によって連接されている。リンク機構23に先端部が係止された操作ワイヤ25の基端部が、操作ハンドル19に設けられた操作桿24に係止されている。
【0028】
操作桿24をシリンダ24sに沿って前後移動させると、操作ワイヤ25が引っ張られたり、緩められたりし、これによって仕上げ鏝17が蝶番20を中心に上下回動する。本実施形態では、図1に示すように、操作桿24がシリンダ24sの前方に位置するとき仕上げ鏝17が床面に接触可能に下降した状態にあり、図2に示すように、操作桿24をシリンダ24sに沿って後方に引っ張った後、右側方に倒して操作桿24の基端部をシリンダ24sの湾状部24bに嵌入させると、仕上げ鏝17は床面から離れるまで上昇した状態でロックされる。
【0029】
補強部材21の左右に立設された一対の支柱26にはフランジ状のストッパ27及び緩衝材28が設けられ、緩衝材28の上面側に重錘22が着脱可能に取り付けられている。これらの重錘22は、仕上げ鏝17を床面に向かって押圧するためのものであり、重錘22の種類や個数を変更することにより、床面に対する仕上げ鏝17の押圧力を調節することができる。仕上げ鏝17は弾性変形可能な金属板で形成されているため、仕上げ鏝17は重錘22の重さに応じて床面を弾性的に押圧することができる。
【0030】
図4に示すように、平滑化作業の対象である半乾き状態のコンクリート床面F1上に床面平滑化装置10を持ち込み、発振手段16を作動させ、スロットルレバー16t(図1参照)を調節して振動部材15にその固有振動を与えると、振動部材15に共振が生じ、激しく振動するとともに、この振動が保持部材14左右の側面材14sから軸受け11a,12a,13a及び支軸11s,12s,13sを介して加圧ローラ11,12,13に伝えられる。
【0031】
これにより、各加圧ローラ11,12,13も激しく振動する状態となるが、当該床面平滑化装置10はコンクリート床面F1に沈下することなく保持されるので、作業者が操作ハンドル19に矢線R方向の引っ張り力を加えれば、加圧ローラ11,12,13の回転方向(加圧ローラ11,12,13の軸心11c,12c,13cと直交する方向)に移動する。なお、スロットルレバー16tを操作して原動機16eの回転数を増減させると、振動部材15が激しく振動する状態(スロットルレバー16tのセット位置)が見つかるので、振動部材15を固有振動状態に設定する操作は容易である。
【0032】
このように、振動部材15が固有振動状態にある床面平滑化装置10に作業者が水平方向(矢線R方向)の力を加え、加圧ローラ11,12,13が回転する方向に装置10全体を移動させれば、図4に示すように、コンクリート床面F1上を順番に転動通過していく複数の加圧ローラ11,12,13の激しい振動加圧作用により、半乾き状態のコンクリート床面F1の不陸が解消され、容易に平滑化することができる。また、複数の加圧ローラ11,12,13の振動加圧作用により、半乾きのコンクリートFCが強く締め固められるため、コンクリートが固化した後のクラック発生も防止することができる。
【0033】
床面平滑化装置10は3本の加圧ローラ11,12,13を備えているが、加圧ローラの本数は特に限定しないので、施工条件に応じて任意に設定することができるが、作業性、操作性、搬送性、収納性などを考慮すると3本〜5本程度が好適である。
【0034】
また、床面平滑化装置10では、平滑化対象であるコンクリート床面F1に対する加圧ローラ11,12,13の接地圧力をその軸心11c,12c,13c方向の長さ1cm当たり0.27kgとしたところ、床面平滑化装置10の操作性を悪化することなく、優れた床面平滑化作用を得ることができた。
【0035】
さらに、床面平滑化装置10は、加圧ローラ11,12,13が転動通過した後のコンクリート床面F2に摺動可能に接触する仕上げ鏝17を備えている。従って、加圧ローラ11,12,13の転動により不陸が解消されたコンクリート床面F1は、その表面に沿って摺動していく仕上げ鏝17の滑動作用によってさらに平滑化される結果、仕上げ鏝17が通過した後のコンクリート床面F3の仕上レベルは極めて良好となる。仕上げ鏝17は、矢線R方向へ移動していく際に、重錘22による押圧力でコンクリート床面F2を押圧していくが、蝶番20を中心に仕上げ鏝17が回動自在であるため、保持部材14の振動や揺動の影響を受けることなく、コンクリート床面F2を仕上げていくことができる。
【0036】
一方、保持部材14の後方には、加圧ローラ11,12,13が転動通過する前のコンクリート床面F1に摺動可能に接触するブラシ18が設けられているため、転動する3本の加圧ローラ11,12,13の振動加圧作用のみでは解消され難いコンクリート床面F1の凹凸、例えば、作業者の足跡などをブラシ18の摺動によって消すことができる。このため、仕上げ面であるコンクリート床面F3の品質向上に有効である。なお、ブラシ18を保持部材14の前方(例えば、正面材14f)に設けることにより、加圧ローラ11,12,13が転動通過した後のコンクリート床面F2に摺動可能に接触する構成とすることもできる。ブラシ18は保持部材14に着脱可能であるため、作業状況に応じて、取り外しておくこともできる。
【0037】
さらに、3本の加圧ローラ11,12,13のうちの少なくとも1本の外周面を透水性部材(例えば、網材、格子材あるいは多孔板など)で形成すれば、当該加圧ローラはコンクリート床面の不陸を解消する作用が高まる。また、外周面が透水性部材で形成された加圧ローラはコンクリート床面に対する摩擦が高いので、当該加圧ローラを回転駆動する動力手段を設ければ、床面平滑化装置を自走式とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の床面平滑化装置は、建設物や各種構造物などのコンクリート床面の施工現場において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
10 床面平滑化装置
11,12,13 加圧ローラ
11a,12a,13a 軸受け
11c,12c,13c 軸心
11s,12s,13s 支軸
14 保持材
14f 正面材
14s 側面材
15 振動部材
16 発振手段
16b 振動発生機
16e 原動機
16t スロットルレバー
16v ベルト
17 仕上げ鏝
18 ブラシ
19 操作ハンドル
19a 連結部
19b 水平補強部
19h 水平部
20 蝶番
21 補強部材
22 重錘
23 リンク機構
24 操作桿
24b 湾状部
24s シリンダ
25 ワイヤ
26 支柱
27 ストッパ
28 緩衝材
29 連結部材
30 制振材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸心同士が同一の仮想平面上で互いに平行をなす状態で配置された複数の加圧ローラと、複数の前記加圧ローラの両端部をそれぞれ回転自在に保持する保持部材と、複数の前記加圧ローラに振動を伝えるため前記保持部材に連設された振動部材と、前記振動部材を振動させるため前記振動部材に付設された発振手段と、を備えたことを特徴とする床面平滑化装置。
【請求項2】
前記加圧ローラが転動通過した後の床面に摺動可能に接触する仕上げ鏝を備えたことを特徴とする請求項1記載の床面平滑化装置。
【請求項3】
前記加圧ローラが転動通過する前の床面若しくは前記加圧ローラが転動通過した後の床面の少なくとも一方に摺動可能に接触するブラシを設けた請求項1または2記載の床面平滑化装置。
【請求項4】
複数の前記加圧ローラのうちの少なくとも1本の外周面を透水性部材で形成した請求項1〜3のいずれかに記載の床面平滑化装置。
【請求項5】
平滑化対象である床面に対する前記加圧ローラの接地圧力を、当該加圧ローラの軸心方向の長さ1cm当たり0.2kg〜0.4kgとしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の床面平滑化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−26776(P2011−26776A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−170496(P2009−170496)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【出願人】(509205696)株式会社上成テクノ (5)