説明

床頭台

【課題】液体による天板等の傷みを抑え、容易に掃除ができる床頭台を提供する。
【解決手段】 天板30上に脱着可能なトレー32を装着する。これにより、利用者が床頭台20利用時に誤って液体等をこぼしても、トレー32上に液体等が保持される。これにより、天板30を含む床頭台20に液体等がかかることを防ぐことができ、床頭台20の液体等による傷みを抑えることができる。また、トレー32を取り外すことで、トレー32を丸ごと水洗い等することができ、容易に掃除をすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床頭台に係り、特に、病室などでベッドサイドに置かれる床頭台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院などの病室では、入院患者のためにベッドサイドに床頭台と呼ばれるサイドキャビネットを設置していることが多い。床頭台の天板上には、患者が日常的に使用するカップ又はティッシュボックスなどの日常品と、薬剤又は医療従業者が使用する検診用具などを置くことができ、患者の入院生活及び医療従業者の医療活動の一助となっている。
【0003】
床頭台の天板上に置かれたグラス、カップ、あるいは湯呑みなどの飲み物用容器内に入った飲み物(水、白湯、ジュースなど)を飲むとき、又は飲み物の入った飲み物用容器を天板上に置くときに、誤って中の液体を天板上にこぼすことがある。しかるに、従来、床頭台としては木製の床頭台が多く用いられ、特に近年では、スチール製などに比べて暖かみが感じられ、患者の心を落ち着かせる上、美観の面でも優れているなどの理由で、木製の床頭台を用いることが一般的である。特に、オーダーメイドの床頭台は、殆ど全てが木製である。このため、天板上に飲み物をこぼした場合に、天板上にシミができたり、天板を傷めたりするおそれがあった。また、患者又は医療従業者などが天板上を掃除する場合、一度天板上に置かれたコップなどを片づけ、天板が傷まないよう雑巾などを用いて水ぶき、又は乾拭きをする必要がある。
【0004】
特に、例えば特許文献1に記載の床頭台のように、天板の上方にテレビジョン(以下、「テレビ」と称する)を吊下げるタイプの床頭台では、吊下げられたテレビが障害となり誤ってコップ内の液体をこぼす可能性が高くなると同時に、天板を掃除するときにテレビが障害となり拭き残しが発生するなど衛生面上の問題も生じるおそれがあった。
【0005】
そのため、天板を含む床頭台に液体をこぼしても床頭台を傷めることがなく、また、掃除が容易な床頭台が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−0283534号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の事情の下でなされたもので、第1の観点からすると、ベッドサイドに設置される床頭台であって、床面に直交する方向に沿ってそれぞれ配置され、互いに対向する一対の側壁部材と、該一対の側壁部材間に固定され、両者を連結する少なくとも1つの連結部材とを含み、全体として略直方体状を有するキャビネット部を有する木製の床頭台本体と、前記連結部材の上方の装着対象部位に脱着可能に装着され、液体を一時的に保持可能なプレート部材と、を備える床頭台である。
【0008】
これによれば、液体を一時的に保持可能なプレート部材が連結部材の上方の装着対象部位に脱着可能に装着されているので、床頭台の使用者(利用者)、例えば患者などが、飲料容器内の飲み物をこぼしても、その飲料が、プレート部材によって一時的に保持され、床頭台本体に付着することが防止される。これにより、木製の床頭台本体にシミができたり、床頭台本体が傷んだりすることを防止することができる。これに加え、プレート部材は、着脱可能であることから、これを取り外して洗うことで、簡単にその表面の清掃を行うことができ、衛生的でもある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係る床頭台をベッドと共に示す斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係る床頭台を概略的に示す斜視図である。
【図3】図3(A)は、第1の実施形態に係る床頭台の天板上に装着されるトレーを示す平面図、図3(B)は、第1の実施形態に係るトレーの着脱方法を説明するための図であって、トレー及び床頭台本体を斜視図にて示す図である。
【図4】第2の実施形態に係るトレーを示す平面図である。
【図5】図5(A)は、第2の実施形態に係るトレーの着脱方法を説明するための図(その1)、図5(B)は、第2の実施形態に係るトレーの着脱方法を説明するための図(その2)かつ床頭台を示す一部省略した正面図である。
【図6】図6(A)は、第3の実施形態に係るトレーを示す斜視図、図6(B)は、第3の実施形態に係るトレーの着脱方法を説明するための図かつ床頭台を示す一部省略した正面図である。
【図7】第4の実施形態に係るトレーを示す一部省略した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態について、図1〜図3(B)に基づいて説明する。
【0011】
図1には、第1の実施形態に係る床頭台20が、ベッド10とともに示されている。床頭台20は、不図示のテレビ取付装置を介して液晶テレビ40が吊り下げ支持されるタイプの床頭台である。テレビ取付装置としては、例えば特許第2914568号公報に開示されるテレビ取付装置を用いることができる。床頭台20は、ベッド10に対してどのような向きで配置しても良く、また、設置場所も例えばベッド10に対して所望の位置関係となる位置に定めれば良い。
【0012】
床頭台20は、図2に示されるように、概略直方体状のキャビネット部96と、その上方の部分(本実施形態ではテレビを吊り下げ支持する部分であるので、以下、便宜上テレビ台部と呼ぶ)とが一体的に構成された床頭台本体98と、床頭台本体98の一部である取り付け対象部位に脱着可能に装着される複数、例えば2つのトレー32とを備えている。床頭台本体98は、ミドルタイプなどと呼ばれている。
【0013】
床頭台20は、図2に示されるように、床頭台本体98の底面に設けられた複数のキャスタ27を介して床面上に設置されている。以下、床頭台20の前後方向をX軸方向とし、水平面内でX軸に直交する方向をY軸方向、X軸及びY軸に直交する方向をZ軸方向として説明を行う。なお、図2以降の各図では、液晶テレビ40の図示は省略されている。
【0014】
床頭台本体98は、その底面に複数のキャスタ27が設けられた底板22、一対の側板23、背板24、天井板25、天井板25の下方に配置される天板30、底板22と一対の側板23と背板24と天板30とによって囲まれた直方体の空間内に収容される収納部29等を備えている。
【0015】
底板22は、平面視矩形の薄板部材から成る。底板22の両側面(±Y側面)には、一対の側板23が互いに対向してかつそれぞれXZ平面に平行に配置されている。この一対の側板23の下端部が底板22の両側面(±Y側面)に固定されることで、一対の側板23が、底板22によって連結されている。一対の側板23のそれぞれには、Z軸方向(高さ方向)の中央部より幾分上方に前端(+X側端)からX軸方向中央より幾分−X側に至る側面視矩形の切り欠き33が形成されている。切り欠き33は、天板30よりも上方に位置している。以下、一対の側板23それぞれの天板30よりも+Z側に突出した部分(天板30上面から切り欠き33の下端までに対応する側板23の部分)を突出部70と称する。
【0016】
また、底板22の背面(−X側面)には、薄板部材である背板24がYZ平面に平行に配置される。背板24は、一対の側板23にY軸方向の両端面が固定され、かつその下端部が底板22の−X側の端面に固定されている。天井板25は、平面視矩形の薄板部材であり、一対の側板23と背板24とのそれぞれの上端部近傍に固定されている。天井板25は、前述の切り欠き33よりも上方に位置し、天井板25が組付けられた状態で、一対の側板23と背板24とが天井板25に対して幾分上方に突出している。以下では、便宜上、一対の側板23の天井板25よりも+Z側に突出した部分を第2突出部35と呼ぶ。
【0017】
天板30は、平面視矩形の薄板部材から成り、前述の切り欠き33より幾分低い位置に配置され、一対の側板23及び背板24に固定されている。
【0018】
収納部29は、開閉扉28、開閉扉28上部に配置される下側引き出し27及び下側引き出し27上部に配置される上側引き出し26を有している。開閉扉28、下側引き出し27及び上側引き出し26のそれぞれが配置される空間は、一対の側板23及び背板24に固定された2枚の中仕切り板34のそれぞれによって仕切られている。
【0019】
以上の説明から明らかなように、本実施形態では、天板30及び2枚の中仕切り板34が、一対の側板23を連結する連結部材を構成している。また、底板22、一対の側板23、背板24、天板30、2枚の中仕切り板34、開閉扉28、下側引き出し27及び上側引き出し26によって、キャビネット部96が構成されている。
【0020】
トレー32は、平面視矩形の薄板部材から成り、天板30(天井板25)上面上に脱着可能に装着されている。なお、トレー32の着脱方法は、後で詳述する。トレー32は防水性を有し、軽量で比較的丈夫な材料、例えばプラスチックなどで構成されている。トレー32は、図3(A)に示されるように、平面視略矩形状の底面部42、底面部42の−X側端の全域から上方に立ち上がった後方立ち上がり部44及び底面部42の±Y側端の全域から上方に立ち上がった一対の側方立ち上がり部45を有している。ここで、図3(A)では、底面部42は簡略化して平面視矩形に図示されているが、実際には、底面部42の後ろ側の両角部には、例えば半径10mm程度の円弧部が設けられており、後方立ち上がり部44と一対の側方立ち上がり部45との境の部分にも円弧部が設けられている。
【0021】
また、底面部42は、幅(Y軸方向長さ)、奥行き(X軸方向長さ)に比べ厚み(Z軸方向長さ)が非常に小さく、それぞれ例えば、448mm、435mm、5mm程度の寸法から成る。また、底面部42は、後方から前方に行くに従って上面の高さ(上面のZ位置)が徐々に高くなるよう設定されている。これにより、飲み物をトレー32上にこぼした場合、その飲み物は、トレー32から漏れ出すこと無く、トレー32上に(一時的)に保持される。なお、底面部42は、幅方向の長さが後方から前方(−X側から+X側)に行くに従って直線的に増加する台形状、一例として+X側端での幅方向寸法が448mmであるのに対し、−X側端での幅方向寸法が440mmとなっていても良い。
【0022】
また、底面部42には、複数(例えば2つ)の平面視円形の第1凹部46と2つの第1凹部46に挟まれた平面視矩形の第2凹部48とを有している。2つの第1凹部46及び第2凹部48は、底面部42上の+X側端部近傍にそれぞれ配置されている。第1凹部46は、カップ、湯呑み、あるいはグラス等を置くのに適している。また、第2凹部48は、一例として、ティッシュボックスを置くのに適している。
【0023】
後方立ち上がり部44は、底面部42の−X端の全域に渡って設けられた所定高さ、例えば20mm程度の薄板部から成る。なお、後方立ち上がり部44は、例えば下端の厚みが8mmであるのに対し、上端の厚みが3mmである断面台形状の薄板部となっていても良い。
【0024】
一対の側方立ち上がり部45のそれぞれは、底面部42の±Y側端の全域に形成された所定高さ、例えば20mm程度の棒状部材から成る。一対の側方立ち上がり部45のそれぞれは、図3(B)に示されるように、底面部42の前端(+X端)から奥行き方向(X軸方向)の中央部より幾分後端(−X端)側の位置まで延びる第1部分90と、該第1部分90の後ろ側(−X側)に位置する第2部分91とを有する。第1部分90は、下面(−Z側面)の幅方向(Y軸方向)中央部にその全長に渡って溝部64が形成された断面矩形の棒状部から成る。該第1部分90は長手方向(X軸方向)両端が溝部64により開口されている。第2部分91は、第1部分の断面逆凹状部における幅方向外側のL字状部が取り除かれた幅方向内側の薄板部のみから成る。以下、一対の側方立ち上がり部45それぞれの第1部分90を固定部90と称する。なお、固定部90は、例えば底面部42の奥行き方向の中央部より幾分後方から前端部近傍、例えば前端から15mm程度の位置まで形成されていても良い。
【0025】
次に、トレー32の対象部位に対する装着(取り付け)動作について説明する。以下の説明では、トレー32を天板30上に装着する方法について説明するが、天井板25上に装着する際も同様の方法にて装着される。また、以下の各実施形態においても同様に、トレー32を天板30上に装着する方法について説明するが、天井板25上に装着する際も同様の方法にて装着される。
【0026】
図3(B)に示されるように、患者又は医療従業者などの床頭台20を使用する者(以下、適宜「利用者」と称する)は、例えば右手で+Y側の固定部90を把持し、左手で−Y側の固定部90を把持する。次に、利用者は、一対の固定部90の溝部64を一対の突出部70に係合させた状態で、トレー32を−X方向(図3(B)中の白抜き矢印の方向)にスライド(移動)させる。そして、トレー32の後方立ち上がり部44が、背板24に当接したことを確認すると、利用者は、一対の固定部90から両手を離す。
【0027】
ここで、トレー32の天板30に対するX位置は、天板30上にトレー32が装着された状態でトレー32上に例えばカップなどを載置したときに、トレー32が天板30上から落下しない位置であれば良いが、通常は、トレー32のサイズは、天板30のサイズを考慮して定められるので、トレー32の後方立ち上がり部44を背板24に当接させれば、トレー32の前端面と、天板30の前端面とがほぼ面一になる。
【0028】
次にトレー32の取り外し動作について説明する。利用者は、トレー32上に空のカップなどを載置した状態又はトレー32上からカップなどを取り去った状態で、例えば−Y側の固定部90を左手で把持し、+Y側の固定部90を右手で把持する。一対の固定部90を把持した状態で、利用者は、トレー32を+X方向にスライド(移動)させ、天板30上からトレー32を引き抜く。
【0029】
以上説明したように、本第1の実施形態に係る床頭台20によれば、天板30の上に防水性を有するトレー32を装着したので、利用者が誤って飲み物等の液体をこぼしたとしてもトレー32上に液体が保持され、天板30に液体が付着することが防止され、天板30を含む床頭台本体98が汚れたり(シミの発生を含む)、傷んだりすることを防止することが可能になる。
【0030】
また、本実施形態に係る床頭台20では、トレー32が液体の付着等により汚れた場合、利用者は、トレー32を、天板30上から取り外して水洗いなどすることができる。従って、トレー32の上面を清潔に保つことができる。また、飲み物をこぼすなどのおそれがない場合には、利用者は、トレー32を取り外した状態で、床頭台20を使用しても良い。
【0031】
また、トレー32は、突出部70に固定部90の溝部64を嵌合することで取り付けられるので、図2に示されるように、トレー32を側板23の第2突出部35に固定部90の溝部64を係合させ、天井板25上に装着することもできる。
【0032】
《第2の実施形態》
次に第2の実施形態について図4〜図5(B)に基づいて説明する。第2の実施形態に係る床頭台は、トレーの構成、具体的には、トレーを一対の突出部70を介して床頭台本体98(図2参照)に取り付けるための構成が一部異なる点を除き、上記第1の実施形態とほぼ同様になっている。以下、上記第1の実施形態と同様の構成、及び機能を有する部材については、上記第1の実施形態と同じ符号を用いると共に、その説明を省略する。
【0033】
図4に示されるように、第2の実施形態に係るトレー132には、トレー132を前述の天板30上に装着するための一対の固定部材60がトレー132のY方向両端部に設けられている。一対の固定部材60は、第1の実施形態におけるトレー32に設けられた固定部90と同様の形状を有するが、側方立ち上がり部45aから分離して配置されている点が異なる。一対の側方立ち上がり部45aは、底面部42の±Y側端の後端から前端近傍、例えば前端から15mm程度の位置まで形成されている。なお、一対の側方立ち上がり部45aは、±Y側端の全域に形成されていても良い。−Y側の固定部材60は、例えば圧縮コイルばねなどの弾性部材62を複数介して−Y側の側方立ち上がり部45aに接続され、+Y側の固定部材60は、+Y側の側方立ち上がり部45aに固定されている。+Y側の固定部材60と、+Y側の側方立ち上がり部45aとの固定は、例えば接着材による固定またはボルトなどを用いた機械的な固定でも良いし、固定部材60と側方立ち上がり部45aとを一体成形しても良い。ここで、本実施形態では、トレー132、複数の弾性部材62、及び一対の固定部材60は、全体として、床頭台本体98に対して一体で着脱されるトレーユニット92を構成する。
【0034】
次に、トレー132(トレーユニット92)の対象部位に対する装着(取り付け)動作について説明する。一例として、弾性部材62が自然長のときに、一対の固定部材60に形成された溝部64間の距離(Y軸方向の間隔)が、一対の側板23相互の間隔(Y軸方向の距離)に比べて、長い場合について説明する。
【0035】
図5(A)に示されるように、利用者は、例えば右手で+Y側の固定部材60を把持し、左手で−Y側の固定部材60を把持した状態で、−Y側の固定部材60と+Y側の固定部材60との間隔が、一対の側板23の間隔に一致するように、一対の固定部材60を相互に近づけ、複数の弾性部材62を縮める。
【0036】
そして、一対の固定部材60に形成された溝部64間の距離と一対の側板23の間隔がおおよそ同じになったことを確認した後、利用者は、一対の突出部70に一対の固定部材60の溝部64を係合させた状態で、一対の固定部材60と共にトレー132を、−X方向(図5(A)中の白抜き矢印の方向)にスライド(移動)させる。そして、トレー132の後方立ち上がり部44が、背板24に当接したことを確認すると、利用者は、一対の固定部材60から両手を離す。これにより、図5(B)に示されるように、弾性部材62の弾性力により固定部材60が突出部70の側面に押圧され、トレー132が、天板30上に固定される。
【0037】
次にトレー132(トレーユニット92)の取り外し動作について説明する。利用者は、トレー132上に空のカップなどを載置した状態又はトレー132上からカップなどを取り去った状態で、例えば−Y側の固定部材60を左手で把持し、+Y側の固定部材60を右手で把持する。一対の固定部材60を把持した状態で、かつ弾性部材62の弾性力による−Y側の固定部材60の突出部70の側面に対する圧接を解除した状態で、利用者は、一対の固定部材60と共にトレー132を+X方向にスライド(移動)させ、天板30上からトレー132を引き抜く。
【0038】
以上説明したように、本第2の実施形態に係る床頭台20によれば、上述の第1の実施形態で得られる効果に加え、弾性部材62を介して固定部材60が接続されているので、トレー132を前述のようにして天板30上に装着後、両手を離すだけで、トレー132を床頭台本体98に固定することができる。
【0039】
《第3の実施形態》
次に第3の実施形態について図6(A)、図6(B)に基づいて説明する。第3の実施形態に係る床頭台は、トレーユニットの構成、具体的には、トレーを一対の突出部70を介して床頭台本体に取り付けるための構成が一部異なる点を除き、上記第2の実施形態とほぼ同様になっている。以下、上記第2の実施形態と同様の構成、及び機能を有する部材については、上記第2の実施形態と同じ符号を用いると共に、その説明を省略する。
【0040】
第3の実施形態に係るトレーユニット192は、図6(A)に示されるように、底面部42、後方立ち上がり部44、一対の側方立ち上がり部45aとを有するトレー232と、一対の側方立ち上がり部45aそれぞれの外側面に固定された一対の固定部材60aとを有している。固定部材60a及び固定部材60a底面に形成された溝部64aは、幅方向(Y軸方向)の寸法が前記第2の実施形態における固定部材60に比べ幾分長く設定されている。すなわち、溝部64aの幅は、図6(B)に示されるように、対応する側板23の突出部70の幅(Y軸方向寸法)に比べ十分広くなるように設定されている。
【0041】
一対の固定部材60aそれぞれの内壁には、図6(B)に示されるように、圧縮コイルばね等の弾性部材86を介して押さえ部材84が接続されている。押さえ部材84は、X軸方向に延びる厚さの薄い板状部材から成り、溝部64a内に少なくとも一部、例えば前端部の一部を除く残りの部分が収容されている。弾性部材86は、+Y側の固定部材60aでは、+Y側の内壁面に接続され、−Y側の固定部材60aでは、−Y側の内壁面に接続されている。各押さえ部材84は、それぞれが接続された弾性部材86が自然長のとき、その弾性部材86の付勢力により固定部材60aの内側側壁に押し付けられている。すなわち、弾性部材86が自然長のとき、−Y側の固定部材60aに取り付けられた押さえ部材84は、その固定部材60aの+Y側の内壁と接触し、+Y側の固定部材60aに取り付けられた押さえ部材84は、その固定部材60aの−Y側の内壁と接触している。
【0042】
次に、トレーユニット192(トレー232)の取り付け動作について説明する。
【0043】
利用者は、例えば右手で+Y側の固定部材60aを把持し、左手で−Y側の固定部材60aを把持する。このとき、利用者は、一対の押さえ部材84を弾性部材86の付勢力に抗し、Y軸方向外側に移動させる。次に、利用者は、トレー232のY軸方向中央のY位置と天板30のY軸方向中央のY位置とを合わせる。その後、利用者は、トレー232(トレーユニット192)を、一対の側板23の突出部70が固定部材60aの溝部64aに係合し、かつ一対の押さえ部材84のそれぞれが、対応する突出部70のY軸方向外側に位置した状態で、−X方向にスライド(移動)させる。そして、トレー232の後方立ち上がり部44が、背板24に当接したことを確認すると、利用者は、一対の固定部材60aから手を離すと同時に、一対の押さえ部材84から手を離す。各押さえ部材84は、それぞれに接続された弾性部材86の付勢力により、Y軸方向内側に移動し、対応する突出部70の側面に圧接され、これにより、トレー232(トレーユニット192)が床頭台本体98に固定される。
【0044】
次にトレー232(トレーユニット192)の取り外し動作について説明する。利用者は、トレー232上に空のカップなどを載置した状態又はトレー232上からカップなどを取り去った状態で、例えば−Y側の固定部材60aを左手で把持し、+Y側の固定部材60aを右手で把持する。このとき、利用者は、押さえ部材84を弾性部材86の付勢力に抗しY軸方向外側に移動させ押さえ部材84と突出部70との接触を解除する。次に、一対の固定部材60aを把持した状態で、利用者は、固定部材60aと共にトレー232(トレーユニット192)を+X方向にスライド(移動)させ、天板30(突出部70)上からトレー232(トレーユニット192)を引き抜く。
【0045】
以上説明したように、本第3の実施形態によれば、上述の第2の実施形態で得られる効果に加え、トレー232(トレーユニット192)を突出部70に取り付けるための溝部64aを広く設定しているので、トレー232(トレーユニット192)の取り付けを容易に行うことができる。
【0046】
《第4の実施形態》
次に第4の実施形態について図7に基づいて説明する。第4の実施形態に係る床頭台は、トレーユニットの構成の一部、具体的には、トレーの奥行き方向の長さが調整可能になっている点を除き、上記第3の実施形態とほぼ同じ構成である。以下、上記第3の実施形態と同様の構成、及び機能を有する部材については、上記第3の実施形態と同じ符号を用いると共に、その説明を省略する。
【0047】
第4の実施形態に係るトレーユニット292は、中空部材から成る中空トレー332cと中実部材から成る中実トレー332dとを有するトレー332と、中空トレー332cの一対の側方立ち上がり部45cそれぞれのY軸方向外側面に固定された一対の固定部材60a(−Y側に配置される固定部材60aは、図面の錯綜を防止するため不図示)とを有している。
【0048】
中空トレー332cは、平面視矩形の中空の底面部42cと、底面部42cのY軸方向の両端に接続された一対の中空の側方立ち上がり部45cとを有している。一対の側方立ち上がり部45cのそれぞれと底面部42cとに形成された中空部は、連通しており、YZ断面で凹状を有する凹状中空部82が形成されている。一対の側方立ち上がり部45cの外側の面には、それぞれ固定部材60aが接続されている。一対の固定部材60aには、第3の実施形態と同様に溝部64aの内壁に不図示の弾性部材を介して不図示の押さえ部材が接続されている。なお、固定部材60aの構成はこれに限らず、側板23の突出部70にトレー332が取り付けられれば良いので、例えば第2の実施形態で使用された可動式の固定部材60を用いても良い。
【0049】
中実トレー332dは、平面視矩形の中実の底面部42d、底面部42dの−X側面に接続された中実の後方立ち上がり部44d及び底面部42dのY軸方向両端に接続された一対の側方立ち上がり部45dを有している。中実トレー332dの一対の側方立ち上がり部45dは、中空トレー332cの一対の側方立ち上がり部45cに比べ高さ及び幅方向の寸法が幾分小さく、YZ断面における底面部42dと後方立ち上がり部44dとの寸法は、凹状中空部82の寸法とほぼ同じ又は僅かに小さくなっている。中実トレー332dは、中空トレー332cに対して−X側に配置され、底面部42dと一対の側方立ち上がり部45dとは、少なくとも一部が凹状中空部82に対してX軸方向にスライド可能に収納される。
【0050】
次に、トレー332(トレーユニット292)の取り付け動作について説明する。利用者は、トレー332を第3の実施形態と同様の方法で天板30上に装着した後、中実トレー332dを中空トレー332cから後方(−X方向)に引き出す。中実トレー332dの後方への引き出し動作は、後方立ち上がり部44dが背板24に接触するまで行うことが望ましい。トレー332を取り外す際は、中実トレー332dを中空トレー332c内に収納してからトレー332を前方(+X方向)に引き出しても良いし、トレー332を引き出してから中実トレー332dを収納しても良い。
【0051】
以上説明したように、本第4の実施形態によれば、上述の各実施形態で得られる効果に加え、奥行き方向(X軸方向)にトレー332が引き出されるので、トレー332上面をより広く利用することができる。また、中実トレー332dと中空トレー332cとを分離して、別々に水洗いなどすることも可能である。
【0052】
なお、上記各実施形態で説明した構成は、適宜変更が可能である。例えば、上記各実施形態において、溝部64,64aの形状を−X側に向かうにつれ溝幅が広くなるようにテーパを切っても良い。
【0053】
また、例えば、上記各実施形態では、一対の固定部90又は固定部材60,60aの溝部64,64aを一対の側板23の突出部70に嵌合させた状態でトレー32,132,232,332(又はトレーユニット92,192,292)を、X軸方向にスライド(移動)させて天板30上に装着する場合について例示したが、これに限らずトレー32,132,232,332(又はトレーユニット92,192,292)を、上方(+Z側)から下方(−Z側)に下ろすことで、固定部90又は固定部材60,60aの溝部64,64aを突出部70に嵌合させるようにしても良い。このようにトレー32,132,232,332(又はトレーユニット92,192,292)をZ軸方向に移動させることで突出部から着脱する場合は、溝部64,64aに+Z側から−Z側に向かうに連れ溝幅が大きくなるようにテーパを設けても良い。
【0054】
また、上記第2の実施形態では、−Y側の固定部材60にのみ弾性部材62を接続したが、これに限らず+Y側の固定部材60に弾性部材62を接続しても良いし、一対の固定部材60それぞれに弾性部材62を接続しても良い。
【0055】
また、上記第2の実施形態では、弾性部材62が自然長のときに、一対の溝部64間のY軸方向の間隔が側板23のY軸方向の間隔よりも長いものに関して使用するのであれば、固定部材60に溝部64を形成せずに固定部材60の側面(Y側面)と突出部70の側面とを弾性部材62の付勢力により圧接させ、摩擦抵抗によってトレー132又はトレーユニット92が天板30上からずれないようにしても良い。この場合、摩擦力を高めるために、固定部材60の突出部70に対する接触面に摩擦係数の大きいコーティングを施しても良いし、ゴムなどを固定しても良い。
【0056】
また、上記第4の実施形態では、トレー332及び固定部材60aなどから構成されるトレーユニット292を床頭台本体98に対して着脱するものとしたが、前述した第1の実施形態と同様に、トレー332のみを床頭台本体98に対して着脱することとしても良い。この場合において、トレー332として、上記第1の実施形態と同様に下面に溝部64が設けられた一対の側方立ち上がり部45を有するトレーを用いても良いが、これに限らず、一対の突出部70の内壁面相互間に所定の僅かな隙間を介して挿入可能となるサイズに一対の側方立ち上がり部を含むトレーの幅方向のサイズを設定する場合には、溝部64が形成されていない一対の側方立ち上がり部45aを有するトレー332を用いても良い。この場合において、一対の立ち上がり部45aの外面にガタつき防止用の凸部などを設けても良い。
【0057】
また、第4の実施形態では、中空トレー332cと中実トレー332dとを用いて、トレー332のX軸方向長さを調整可能なトレー332について説明したが、これに限らず、例えばY軸方向に長さ調整が可能なトレーを用いても良い。
【0058】
また、特に、第4の実施形態では、トレー332表面に撥水性を有するコーティングを施しても良い。撥水性コーティングを行うことで、毛細管現象により、利用者が飲み物などの液体をこぼしたときに中空トレー332cと中実トレー332dとの僅かな隙間に液体が流入することを防ぐことができる。この際、表面に微小な凹凸を設けることで、更に疎水性を向上させ液体の流入を防ぐようにしても良い。
【0059】
また、第4の実施形態では、中実トレー332dの有する底面部42dの+X側端部近傍にY軸方向に延びる水受け部(液体収容用凹部)を設けても良い。
【0060】
また、上記第4の実施形態では、一対の固定部材60aに形成された溝部64aを一対の側板23の有する突出部70に嵌合させることでトレーユニット292又はトレー332を装着したが、これに限らず、−Y側もしくは+Y側の固定部材60aのうち、片側の固定部材60aに形成された溝部64aを突出部70に嵌合させても良い。このように嵌合させる場合は、固定部材60aは、片側にのみ配置すれば良い。この点については、第1及び第3の実施形態においても同様である。
【0061】
また、上記第2〜第4の実施形態では、弾性部材62,86の付勢力により固定部材60,60a又は押さえ部材84を突出部70に圧接させることでトレー132,232,332(又はトレーユニット92,192,292)が突出部70に対して移動しないようにしたが、トレー132,232,332(又はトレーユニット92,192,292)を床頭台本体98に対して固定する構造は、これらに限定されないことは勿論である。ただし、トレーを天板30上に装着した際にトレーが天板30上でがたつかない構造であることが望ましい。
【0062】
また、上記各実施形態では、固定部90又は固定部材60の溝部64,64aと側板23の突出部70とを嵌合させることで、トレー32,132,232,332(又はトレーユニット92,192,292)が天板30上を移動しないように装着されていたが、これに限らず、トレー32,132,232,332(又はトレーユニット92,192,292)下面に磁石を固定し、天板30の上面にトレー32,132,232,332(又はトレーユニット92,192,292)に固定した磁石に引力を生じる磁石を固定することで、着脱可能なトレー32,132,232,332(又はトレーユニット92,192,292)を構成しても良い。
【0063】
なお、上記各実施形態では、トレー32,132,232,332(又はトレーユニット92,192,292)が、一対の突出部70を介して床頭台本体98に装着された場合について説明したが、これに限らず、一対の第2突出部35を介してトレー32,132,232,332(又はトレーユニット92,192,292)が、床頭台本体98に脱着可能に装着されていても良い。また、一対の突出部70を介してトレー32,132,232,332(又はトレーユニット92,192,292)を床頭台本体98に装着する構成を採用する場合、天板30は必ずしも設けなくても良い。同様に、一対の第2突出部35を介してトレー32,132,232,332(又はトレーユニット92,192,292)を床頭台本体98に装着する構成を採用する場合、天井板25は必ずしも設けなくても良い。また、同じトレー32,132,232,332(又はトレーユニット92,192,292)が、一対の突出部70及び一対の第2突出部35をそれぞれ介して床頭台本体98に脱着可能に構成されていても良いし、一対の突出部70、一対の第2突出部35のそれぞれを介して床頭台本体98に脱着可能に装着される2つのトレー32,132,232,332(又はトレーユニット92,192,292)が設けられていても良い。
【0064】
また、上記各実施形態では、天板30及び天井板25上に装着するトレー32,132,232,332(又はトレーユニット92,192,292)を備える床頭台20について説明したが、これに限らず、床頭台20は、更に天板30及び天井板25上に装着する交換用の予備のトレー又はトレーユニットを備えていても良い。また、各実施形態におけるトレー32,132,232,332(又はトレーユニット92,192,292)は組み合わせ自在であり、例えば天板30上にトレー32を装着し、天井板25上にトレーユニット292を装着しても良い。
【0065】
また、上記各実施形態では、液晶テレビ40を吊り下げ可能なミドルタイプの床頭台に本発明が適用された場合について説明したが、これに限らず上記床頭台本体98のキャビネット部96に相当する部分のみから成るいわゆるロータイプの床頭台は勿論、上記床頭台本体98の天井板25の上部に戸棚等が一体的に設けられたいわゆるハイタイプの床頭台に本発明を適用しても良い。また、床頭台20に限らず、棚及び台などにトレー32,132,232,332又はトレーユニット92,192,292を用いても良い。
【0066】
また、トレー32,132,232,332はプラスチックの1枚板から構成されているが、これに限らずトレー32,132,232,332は、一時的に液体を保持可能であれば良く、その際液体が付着する表面が防水性であることが望ましい。従って、例えば表面のみ防水性を有する部材で構成された2層以上の多層構造としても良いし、親水性の部材の表面に疎水性のコーティングを施しても良い。
【符号の説明】
【0067】
20…床頭台、23…側板、24…背板、25…天井板、26…突出部、30…天板、32…トレー、42…底面部、60…固定部材、62…弾性部材、64…溝部、82…凹状中空部、90…固定部、96…キャビネット部、98…床頭台本体、332c…中空トレー、332d…中実トレー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッドサイドに設置される床頭台であって、
床面に直交する方向に沿ってそれぞれ配置され、互いに対向する一対の側壁部材と、該一対の側壁部材間に固定され、両者を連結する少なくとも1つの連結部材とを含み、全体として略直方体状を有するキャビネット部を有する木製の床頭台本体と、
前記連結部材の上方の装着対象部位に脱着可能に装着され、液体を一時的に保持可能なプレート部材と、を備える床頭台。
【請求項2】
前記少なくとも1つの連結部材は、前記キャビネット部の天井部を兼ねる板状の第1連結部材を含み、
前記プレート部材は、前記第1連結部材上に装着される請求項1に記載の床頭台。
【請求項3】
前記床頭台本体は、前記キャビネット部の上方に配置された第2天井部をさらに有し、
前記プレート部材は、前記第2天井部上にも装着可能である請求項2に記載の床頭台。
【請求項4】
前記床頭台本体は、前記キャビネット部の上方に配置された第2天井部をさらに有し、
前記第2天井部には、前記プレート部材と同様の構成の別のプレート部材が脱着可能に装着されている請求項2に記載の床頭台。
【請求項5】
前記プレート部材を前記装着対象部位に対して脱着可能に装着するための接続装置をさらに備え、
該接続装置は、少なくとも一部が前記プレート部材に取り付けられている請求項1〜4のいずれか一項に記載の床頭台。
【請求項6】
前記プレート部材は、前記一対の側壁部材に沿う奥行き方向の長さが調整可能である請求項1〜5のいずれか一項に記載の床頭台。
【請求項7】
前記プレート部材は、前記一対の側壁部材に沿ってスライドさせることで、前記装着対象部位に装着される請求項1〜6のいずれか一項に記載の床頭台。
【請求項8】
前記プレート部材は、少なくとも表面が防水性を有する請求項1〜7のいずれか一項に記載の床頭台。
【請求項9】
前記プレート部材と同様に構成され、前記プレート部材と取り替え可能な予備のプレート部材をさらに備える請求項1〜8のいずれか一項に記載の床頭台。
【請求項10】
前記プレート部材は、トレーである請求項1〜9のいずれか一項に記載の床頭台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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