説明

座席用暖房装置

【課題】外力に対し強度保持が可能な座席用暖房装置を提供すること。
【解決手段】前後方向に並ぶ複数の座席1の前席1fに配設され、後席1rの着座者を暖房可能な座席用暖房装置であって、ヒータ8bと、カバー7と、均熱板8aとを備える。ヒータ8bは、前席1fの背面に配設され、発熱する。カバー7は、ヒータ8bを覆い、均熱板8aは、ヒータ8bとカバー7との間に配設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前後方向に並ぶ複数の座席の前席側に配設され、後席の着座者を暖房可能な座席用暖房装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の座席用暖房装置は、車両のエンジン冷却水を前席のシート背面に設置した輻射パネルまで供給していた(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図7は、前記特許文献1に記載された従来の座席用暖房装置を示すものである。図7に示すように、前席シート1のシートバック2の背面下部位置に設置された上側輻射パネル3と、前席シート1のシートクッション4の背面位置に設置された下側輻射パネル5から構成されている。上側輻射パネル3は下腿部を、下側輻射パネル5は足部を狙って輻射熱を照射する。上側輻射パネル3と下側輻射パネル5にはエンジン冷却水を循環させる温水用配管6が配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−254665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の構成では、温水用配管の配設が面倒で、その上、輻射パネルが上側輻射パネル3と下側輻射パネル5に分かれているので、足蹴等の外力に対して弱いという課題を有していた。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、外力に対し強度保持が可能な座席用暖房装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明は、前後方向に並ぶ複数の座席の前席側に配設され、後席の着座者を暖房可能な座席用暖房装置であって、前記前席の背面に配設され、発熱するヒータと、前記ヒータを覆うカバーと、前記ヒータと前記カバーとの間に配設される均熱板とを備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の座席用暖房装置は、ヒータおよび均熱板で後席の着座者の下腿部から足部を狙って、均等な温度での輻射暖房が可能となるとともに、均熱板により、足蹴りなどの外力に対する強度保持を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1に係る座席用暖房装置およびその周辺を示す模式図
【図2】図1の座席用暖房装置に備わるカバー7、ヒータ部8、断熱材9の縦断面図
【図3A】図1の前席1fの背もたれ2を前方に倒した時の前席1fの縦断面図
【図3B】図1の前席1fの背もたれ2を後方に倒した時の前席1fの縦断面図
【図4A】本発明の実施の形態2における座席用暖房装置の背もたれ部2にカバー7を配設する前の状態でのシートカバー11の斜視図
【図4B】図4Aに示す座席用暖房装置のカバー7を背もたれ部2に配設した時の斜視図
【図5A】本発明の実施の形態3における座席用暖房装置のカバー7の斜視図
【図5B】図5Aに示す座席用暖房装置のカバー7の断面図
【図6】本発明の実施の形態4における座席用暖房装置の輻射透過手段14の一部を示した斜視図
【図7】従来の座席用暖房装置を配設したシートの断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、前後方向に並ぶ複数の座席の前席側に配設され、後席の着座者を暖房可能な座席用暖房装置であって、前記前席の背面に配設され、発熱するヒータと、前記ヒータを覆うカバーと、前記ヒータと前記カバーとの間に配設される均熱板とを備える。これにより、後席の着座者に対してヒータにより下腿部から足部を狙って輻射暖房が可能となる。さらに、均熱板を備えることにより、均等な輻射熱を着座者に提供すると同時に、足蹴りなどの外力に対する強度保持を可能にすることが可能となる。
【0011】
また、好ましくは、前記カバーの一端は、前記前席の背もたれの裏側に固定され、前記カバーの他端は、弾性体を介して前記前席の座部の底面に固定される。この構成によれば、背もたれがリクライニングされ、カバーが背もたれ部と一緒に移動しても、弾性体により背もたれが常に引っ張られているので、カバーが弛んで座席の他の部分に引っ掛かったりすることがない。また、仮に座席下にリアダクトがあったとしても、カバーが弛んで座席下の通風経路を塞いでしまうということがない。
【0012】
さらに好ましくは、前記ヒータは、断熱材に覆われた状態で、前記カバーの裏面に配設され、前記断熱材のヒータ側とは反対の面は低摩擦体で構成される。この構成によれば、背もたれがリクライニングされてカバー、ヒータ、断熱材が背もたれと一緒に移動して、断熱材の表面が座席の部材と擦れあっても、断熱材においてヒータ側と反対の面は低摩擦体で構成されているので、断熱材が剥がれたり、磨耗したりしない。
【0013】
また、好ましくは、前記カバーは、開口部と、前記開口部を覆って配設され、前記ヒータからの熱を透過する輻射透過部とを有し、前記輻射透過部の裏面に前記ヒータが配設される。この構成によれば、ヒータからの熱が輻射透過部を透過して、直接、後席側に輻射されるので、効率のよい暖房が可能となる。
【0014】
さらに好ましくは、前記輻射透過部は、シート状の基材と、メッシュ状の表面材と、前記基材と前記表面材との間に空隙を設けつつ、前記基材と前記表面材とを接続保持する複数の連結部とを有する。上記構成によれば、表面材は基材と連結部を介して空隙を設けて離れている。ここで、表面材の温度は基材より低温であり、かつ、表面材は身体よりも熱容量が小さい。したがって、身体の一部、例えば手が表面材に触れても、接触面の表面材の温度は接触直後に手の皮膚温度近傍まで低下する。これによって、接触面の身体が不要に加熱されることが無く、身体の接触時の身体への熱影響を排除することができる。
【0015】
さらに好ましくは、前記基材と、前記表面材と、前記連結部とは、織編糸によって立体的に繋がれて形成された織編物からなる。これにより、輻射熱の透過と、身体接触時の身体への熱影響の排除とを両立できる実用的な構成を提供することができる。
【0016】
また、前記基材と、前記表面材と、前記連結部とは、それぞれ表面が撥水加工を施されていてもよい。これにより、泥やゴミがつまり難くなる。また、たとえ泥やゴミがつまったり、汚れたりしたとしても、これらを取り除きやすく、掃除の容易性を向上させることができる。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る座席用暖房装置およびそれが設置される車室内を示す模式図である。
【0019】
図1において、車室内には、車両の前後方向に並ぶ複数の座席1が設置されている。座席用暖房装置は、複数の座席1のうち前席1fの背もたれ部2の裏側から前席1fの座部4の底面までを覆うカバー7と、カバー7の裏面(つまり、カバー7と前席1fの背面との間)に配設されたヒータ部8と、ヒータ部8の裏面(つまり、ヒータ部8と前席1fの背面との間)に配設された断熱材9を備えている。ヒータ部8は、より具体的には、均熱板8aと、ヒータ8bとからなる。
【0020】
図2は、座席用暖房装置のカバー7、ヒータ部8、断熱材9の部分断面図である。図2において、断熱材9は、ウレタン材9aからなる。ウレタン材9aにおいて、前席1f側の表面を熱処理することにより低摩擦体9bが形成されている。なお、ウレタン材9aとしては、熱伝導の少ない独立発泡タイプのウレタンを用いることが好ましい。
【0021】
また、ヒータ部8は、均熱板8aとヒータ8bとからなり、ヒータ8bとしては、典型的には電気ヒータ、より具体的には、シート状に成型したPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータを使用することが好ましい。このPTCヒータは自己温度制御するので、サーミスタやサーモスタットが不要で薄手にでき、カバー7への配設が容易となる。また、ヒータ8bとカバー7との間には、均熱板8aとして、厚さ1mm程度のアルミ均熱板が使用される。これにより、ヒータ8bから発せられる熱により均熱板8aが面状にムラなく暖まり、暖房性能を向上させることができる。それに加えて、均熱板8aにより、後席1rの着座者による足蹴りなどの外力に対する強度保持が可能となり、ヒータ8bの故障を防止することができる。
【0022】
再度図1を参照する。本実施の形態では、カバー7の一端は、背もたれ部2の背面の表布と固定され、カバー7の他端は、弾性体10を介して座部4の底面に固定されている。弾性体10は、例えばゴム紐を用い、フック(図示せず)で座部4の底面に引っ掛けたり、座部4の底面にあるクッションバネ(図示せず)に直接引っ掛けたりして固定される。
【0023】
以上説明したとおり、本実施の形態では、前席1fの背もたれ部2の背面から座部4の底面までを覆うカバー7の裏面にヒータ部8を配設したので、PTCヒータ8bの発熱によりアルミ均熱板(均熱板8a)が面状にムラなく高温になる。これによって、カバー7も加熱されて面状にムラなく高温になり、カバー7の表面から後席側に向けて輻射熱が発生し、後席乗員に対して1つのヒータ部8により下腿部から足部を狙って輻射暖房が可能となる。
【0024】
また、背もたれ部2と座部4との間がカバー7により目隠しされるので、見栄えがよくなる。さらに、均熱板8aとして厚さ1mm程度のアルミ均熱板を使用することで、足蹴りなどの外力に対する強度保持が可能となり、ヒータ8bの故障防止ができる。
【0025】
次に、図3Aおよび図3Bは、背もたれ部2をリクライニングした時の前席1fの断面図を示す。図3Aは、特に、背もたれ部2を前方に倒した時で、図3Bは、背もたれ部2を後方に倒した時の状態を示す図である。
【0026】
まず、図3Aにおいて、背もたれ部2を前方に倒すと、背もたれ部2と接続されたカバー7が矢印方向に引っ張られ、弾性体10が伸びることによりカバー7が矢印方向に移動する。そして、ヒータ部8と断熱体9も同時に移動する。この際、断熱材9は当接するシート部材(ウレタンやシートフレームの一部など)と擦れて、断熱材9が損傷したり引っかかったりする恐れがある。しかし、断熱材9の背もたれ部2側には低摩擦体9bが形成されているため、シート部材と擦れても断熱材9はスムーズに移動可能となり、断熱材9が損傷したり引っかかったりすることがない。さらに、均熱板8aとして厚さ1mm程度のアルミ均熱板を使用しているため、ヒータ8bへ過大な応力をかけることなくヒータ部8は移動できる。
【0027】
図3Bにおいて、背もたれ部2を後方に倒すと、背もたれ部2と接続されたカバー7は弾性体10により矢印方向に引っ張られ、弾性体10が収縮することによりカバー7が矢印方向に移動する。そして、ヒータ部8と断熱体9も同時に移動する。この際も、断熱材9は当接するシート部材と擦れて、断熱材9が損傷したり引っかかったりする恐れがある。しかし、上記同様、断熱材9には低摩擦体9bが形成されているため、シート部材と擦れても、断熱材9はスムーズに移動可能となり、断熱材9が損傷したり引っかかったりすることがない。さらに、均熱板8aとして厚さ1mm程度のアルミ均熱板を使用しているため、ヒータ8bへ過大な応力をかけることなくヒータ部8は移動できる。
【0028】
このように、本発明の座席用暖房装置は、カバー7の一端は背もたれ部2の背面側の表布と固定され、カバー7の他端は弾性体10を介して座部4の底面に固定されたもので、背もたれ部7がリクライニングされてカバー7が背もたれ部2と一緒に移動しても、弾性体10により背もたれ部7が常に引っ張られているので、カバー7が弛んで他のシート部材に引っ掛かったりすることがない。また、シート下にリアダクトがある場合でも、カバー7が弛んでシート下の通風経路を塞いでしまうということがない。
【0029】
また、本発明のヒータ部8は、断熱材9により覆われた状態でカバー7の裏面に配設される。また、断熱材9のヒータ部側とは反対の面は低摩擦体9bで構成されたもので、背もたれ部2がリクライニングされてカバー7、ヒータ部8、断熱材9が背もたれ部と一緒に移動して、断熱材9の表面がシート部材と擦れあっても、断熱材9のヒータ部側とは反対の面は低摩擦体9bで構成されているので、断熱材9が剥がれたり、磨耗したりするといったことがない。さらに、均熱板8aが厚さ1mm程度のアルミ均熱板で構成されているので、ヒータ8bへ過大な応力をかけることなくヒータ部8が移動でき、ヒータ8bの故障防止ができる。
【0030】
(実施の形態2)
図4Aは、本発明の実施の形態2における座席用暖房装置の背もたれ部2にカバー7を配設する前の状態でのシートカバー11の斜視図、図4Bは同装置のカバー7を背もたれ部2に配設した時の斜視図である。
【0031】
図4Aにおいて、背もたれ部2のシートカバー11は、背面上部11aと背面下部11bを勘合部12a、12bから開口して、背もたれ部2のウレタンパッド(図示せず)に被せて、最後に背面上部11aと背面下部11bとを勘合部12a、12bで勘合して組み立てている。ここで、勘合部12a、12bは背面上部11aや背面下部11bと縫製により固定されている。
【0032】
一方、図4Bに示したように、座席用暖房装置のカバー7は、勘合部12a、12bを背面上部11aと縫製固定する際に、同時にカバー7の端部も縫製して固定する。これにより、図4Bのように、カバー7の他端を弾性体10を介して前席1fの底面に固定すると、カバー7により勘合部12a、12bが隠されて見えなくなり、座席背面側の見栄えがさらに向上する。
【0033】
(実施の形態3)
図5Aは、本発明の実施の形態3における座席用暖房装置のカバー7の斜視図である。カバー7は、開口部13と、カバー7の裏側から開口部13を覆って配設された可撓性の輻射透過手段14とを有している。また、図5Bは、同装置のカバー7の断面図で、輻射透過手段14の裏面にヒータ部8と断熱材9が配設されている。輻射透過手段14は、例えば、ハニカム状の開口格子を有した格子状体を使用する。
【0034】
上記構成により、ヒータ部8から発生する輻射熱がカバー7を介することなく、輻射透過手段14の開口格子を透過して、直接、後席側に輻射されるので、効率のよい暖房が可能となる。
【0035】
(実施の形態4)
図6は、本発明の実施の形態4における座席用暖房装置の輻射透過手段14の一部を示した斜視図である。
【0036】
本実施の形態が実施の形態3と相違する点は、図6に示すように、輻射透過手段14が、可撓性を有したシート状の基材14aと、可撓性を有し所定の開口率を有したメッシュ状の表面材14bと、基材14aと表面材14bとの間に空隙を設けて基材14aと表面材14bとを接続保持する複数の連結部14cとを備えている点にある。ここで、輻射透過手段14は、基材14aと表面材14bと連結部14cとが織編糸によって立体的に繋がれて形成された織編物で形成されることが望ましく、本実施の形態では、図6のような形状のダブルラッセルの織編物を用いている。基材14aはヒータ部8と接着され、表面材14bは亀の子状の開口格子部14dを有し、後席側に面している。
【0037】
上記構成により、ヒータ部8により基材14aが加熱され、基材14aからの輻射熱が開口格子部14dを透過して後席側に輻射され、後席乗員の下腿部から足部を狙って輻射暖房が可能となる。また、後席乗員の身体の一部、例えば手などが、万一、表面材14bに触れても、表面材14bは基材14aと連結部14cを介して空隙を設けて離れているので、表面材14bの温度は基材14aより低温であり、かつ、織物で形成された表面材14bは身体よりも熱容量が小さいため、接触面の表面材14bの温度は接触直後に手の皮膚温度近傍まで低下するので、接触面の身体が不要に加熱されることは無い。
【0038】
尚、連結部14cは所定の弾性率を有していて、例えば、手掌や指先で表面材14bを押しても連結部14cが容易につぶれない程度の強度を有している。これにより、後席乗員の身体の一部が、万一、表面材14bに触れて押圧が印加されても、連結部14cが容易につぶれないので、身体が直接、基材14aに接することがなく、容易に身体が不要に加熱されることが無い。
【0039】
また、さらに強い押圧により指先などが基材14aに接触しても、ヒータ部8と指先との間に基材14aが介在しているため、ヒータ部8に直接、指先が触れることは無く、かつ、基材14aが織物で形成されていて熱容量が小さいので、接触面の基材14aの温度は指先の温度の影響を受けて低下するので、接触面の身体が早期に不要に加熱されることは無い。
【0040】
尚、上記のような身体の接触や押圧に対する身体への熱影響の排除のため、連結部14cの高さは4〜10mm程度に設定することが好ましく、また、開口格子部14dの最低開口寸法は4〜6mm程度に設定することが好ましい。
【0041】
また、基材14aから発生する輻射熱は基材14aの表面と垂直方向は開口格子部14dをそのまま透過していくが、基材14aの表面から斜めの方向に放射される輻射熱は、その一部が連結部14cに遮られて、輻射透過手段14の前面に放射されない。従って、輻射暖房の効率を上げるために、連結部14cの相互の間隔は可能な限り広くする方が好ましい。具体的には、ダブルラッセルで輻射透過手段14を形成する場合、連結部14cに使用する編糸はなるべく剛性の高いものを選択し、連結部14d相互の間隔を広くする。
【0042】
また、輻射透過手段14はダブルラッセル以外の他の同様な素材で構成してもよく、例えば、基材14aを可撓性の樹脂シート、表面材14bを可撓性の樹脂網、連結部14cを樹脂製スペーサでそれぞれ形成して輻射透過手段14を構成してもよい。この際、樹脂網に植毛加工を施すと身体接触時の熱影響をさらに低減することができる。
【0043】
また、基材14aと表面材14bと連結部14cの表面に撥水加工を施すことで、泥やゴミがつまり難くなり、たとえ泥やゴミがつまったり、汚れたりしたとしても、取り除きやすく、掃除の容易性を向上させることができる。
【0044】
尚、上記実施の形態の座席用暖房装置は、温風暖房に比べて少ないエネルギーで後席の足元暖房が可能となる。そして、室温を下げても輻射による足元暖房で体感温度を維持できる。そのため、例えば、ハイブリッド車の暖房に適用すると、暖房のためにエンジンを作動する頻度を低減できる。具体的には、輻射暖房に必要なエネルギーは通常、数十ワットであるのに対して、室温低減による暖房負荷削減のエネルギーは数百〜数キロワットになるので、最低でも数百ワットの省エネとなり、その分、燃費が向上するといった効果がある。また、排熱の全く無い電気自動車の暖房へ適用すると、航続距離が伸びる効果がある。さらに、後席でシートヒータと併用したり、少ない風量でのリアダクト暖房と併用したり、靴を置く場所のみを限定した小面積での電気床暖房と併用したりすると、後席の快適性がさらに向上する。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上のように、本発明にかかる座席用暖房装置は、シンプルな構成で見栄えのよい暖房が可能となり、かつ、足蹴りなどによる外力に対する強度保持が可能となるので、車両のみならず、劇場などの観客席での暖房等の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0046】
7 カバー
8 ヒータ部
8a 均熱板
8b ヒータ
9 断熱材
9b 低摩擦体
10 弾性体
13 開口部
14 輻射透過手段
14a 基材
14b 表面材
14c 連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に並ぶ複数の座席の前席側に配設され、後席の着座者を暖房可能な座席用暖房装置であって、
前記前席の背面に配設され、発熱するヒータと、
前記ヒータを覆うカバーと、
前記ヒータと前記カバーとの間に配設される均熱板とを備える、座席用暖房装置。
【請求項2】
前記カバーの一端は、前記前席の背もたれの裏側に固定され、前記カバーの他端は、弾性体を介して前記前席の座部の底面に固定される、請求項1に記載の座席用暖房装置。
【請求項3】
前記ヒータは、断熱材に覆われた状態で、前記カバーの裏面に配設され、
前記断熱材のヒータ側とは反対の面は低摩擦体で構成される、請求項2に記載の座席用暖房装置。
【請求項4】
前記カバーは、
開口部と、
前記開口部を覆って配設され、前記ヒータからの熱を透過する輻射透過部と、を有し、
前記輻射透過部の裏面に前記ヒータが配設される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の座席用暖房装置。
【請求項5】
前記輻射透過部は、
シート状の基材と、
メッシュ状の表面材と、
前記基材と前記表面材との間に空隙を設けつつ、前記基材と前記表面材とを接続保持する複数の連結部とを有する、請求項4記載の座席用暖房装置。
【請求項6】
前記基材と、前記表面材と、前記連結部とは、織編糸によって立体的に繋がれて形成された織編物からなる、請求項5記載の座席用暖房装置。
【請求項7】
前記基材と、前記表面材と、前記連結部とは、それぞれ表面が撥水加工を施されたことを特徴とする、請求項5または6に記載の座席用暖房装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項記載の座席用暖房装置を備えた車両。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−6411(P2012−6411A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141178(P2010−141178)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】